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2011年5月18日

助っ人なんて、いるわけない

2011年Jリーグディビジョン2第12節
コンサドーレ札幌 2-0 ガイナーレ鳥取
得点者:札幌/三上 x 2
     鳥取/なし

 開幕5試合でわずか1得点というすがすがしいまでの得点力不足を惜しげもなく披露し、18位に絶賛低迷中の札幌は、今季からJリーグに参入を果たしたガイナーレ鳥取を札幌ドームに迎えてのホームゲームとなります。Jリーグへの準加盟は2007年と比較的早く、また鳥取(境港市)出身の水木しげる先生の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」とのタイアップで話題を呼んだにも関わらず、財政面の整備が遅れたことや成績面で振るわなかったこともあり、加盟年としては後になるファジアーノ岡山やニューウェーブ北九州(現ギラヴァンツ)、カターレ富山に先を越されてしまっていましたが、昨季JFLで優勝を果たし、5シーズン目にしてようやくJリーグの舞台に立つことになりました。
 かつては札幌に在籍していたMF吉瀬広志やFW徐暁飛が所属したこともあり、また現在でもGKいのっちこと井上敦史が所属しているチームですが、前身のSC鳥取時代も含めてこの試合が初の対戦。あまり他のチームの試合を観てないのでどんなチームかはわからないのですが、前節までの成績は2勝2敗1分の8位。勝敗だけを見ても参入初年度のチームとしては及第点以上で、さらに詳細を見ると5試合でわずか2失点とリーグトップタイ、得点数は3とさほど多くはないものの、シュート数は1試合平均で11本を記録しており、がちがちの専守防衛チームでもないようです。J1にいたこともある今年Jリーグ16年目のチームが1勝3敗1分、シュート数1試合平均8本というというのもはずかしいなぁと思ったりもしましたが、同じような成績に元J1どころかタイトルホルダーいるのを見てまぁいいかと思いました。よくないけど。

 前節はロアッソ熊本にまさしくいいところなく敗戦しましたが、ひとまずノブリンはメンツを替える段階ではないと判断したのか、スタメンは前節と同じ。まぁうまくいかないからといってそのたびにメンツを替えたら固まるものも固まらないと思いますから、うっちーの回復次第ながらも当面はこのメンバーで行くんでしょうね。
 アウェイの鳥取はベテラン服部年宏やベンチの岡野雅行はもちろん、美尾敦や小井手翔太、戸川健太、喜多靖といったなかなか渋めの選手も多いのですが、札幌サポーターとしての注目はやはりGKいのっちでしょう。今季33歳にして初めてJリーグ公式戦への出場を果たした苦労人。札幌時代は佐藤洋平(現ベガルタ仙台GKコーチ)や藤ヶ谷陽介(現ガンバ大阪)といった分厚い壁もあって出場機会に恵まれませんでしたが、よく通る甲高い声で「クリアー!」と叫びながらパンチングしたり、セーブ時の美しい飛型フォームと、しかしボールに触れないギャップでサポーターから愛された選手でした。
 
 それはともかく試合ですが、前回の試合で書いた、「パスを出したら動く」、「相手より一歩前へ行く」、「スペースを見つけて走る」というのが実にしっかり出来ていて、とてもオレ好みのテンポのよいサッカーを繰り広げています。鳥取が。常にボールと人が動くのでプレスのポイントを絞らせず、細かいパスがぽんぽんと繋がり、アタッキングエリアまでスムーズにボールを運ぶことが出来ています。なるほど、これなら1試合平均で10本以上のシュートが打てているのも納得できますね。
 対する札幌はといえば相変わらずどう攻めたいのかがよくわかりません。鳥取に比べるまでもなくパスの受け手も出し手も動きが少ないので、手詰まりになって精度の低いロングパスを前に送るか、がっちりマークの付いてる前線の選手にくさびのパスを送ってカットされるかどっちかのパターン。サポーターではなく、単なるサッカーファンとしての視点に立つなら、どちらが魅力的なサッカーをしているかは一目瞭然でした。ただ、サッカーというのはいいサッカーをやっているほうが勝つとは限らないのが面白くもあり、残酷でもあるところです。この試合でも先制をしたのは劣勢の札幌でした。前半6分、古田が自陣から送ったロングボールに抜け出した三上が、飛び出してきたいのっちも交わし、うまくゴールに流し込みます。ルーキーなのにルーキーではない三上の今季初ゴール。
 高いディフェンスラインの裏を突かれた格好の鳥取ですが、先制されても怯むことなくラインを高く保ったまま。試合は相変わらず鳥取ペースで進み、札幌は守勢に回ることが多く、なんか勝ってる気が全然しません。
 しかし鳥取も攻めてる割には最後の詰めがあと一工夫足りてなかったようで、このあたりは札幌の最終ラインがそれなりに安定していたこともあるのですが、シュートの数こそ多いものの結局はいい形で崩す手がないまま、ペナルティエリアの外から精度の低いシュートで終わるパターンがほとんど。鳥取の松田監督はこのことについて「ポゼッションできていたというよりは、ポゼッションさせられていた」と評していましたが、そんな誘い受けみたいな器用なことが札幌に出来るもんですかね。まぁ、なんだかんだ言って力押しには滅法強いセンターバックと、なんだかんだ言って芳賀さん1人ががんばるだけの中盤を持つ札幌に対して「なんかもう少し押せば点取れんじゃね?」などと思ってしまったのか、攻撃ペースも割とスロットル全開気味で、確かにいいサッカーはしてるけどたぶんこれは90分持たないだろうな~という感じでしたので、結果的には誘い受けがうまくいったと言えるかも知れませんけど。

 後半も引き続き鳥取が主導権を握る展開ですが、さすがに鳥取にも疲れが出来たのか前半に比べればペースも落ち着き、札幌にも攻めるチャンスがいくつか出てきます。しかしどうにもシュートのタイミングが遅いのはなんでなんでしょうかね。校則かなんかで決まってるんでしょうかね。生徒手帳に「無理矢理シュートを打つべからず」とか書いてあるんでしょうかね。それともお気に入りのもふもふしたクッションを人質に取られて「強引なシュートを打ったらごわごわにするぞ!」とか言われてるんでしょうかね。それならしょうがないですけどね。ただでさえボールをシュートエリアに運べないのに、たまに攻め込んだときにも打てるときに打たないんじゃ、取れるものも取れないですよね。そういえば中学校の時、野球部に打田内(うたない)くんという人が実在しました。お元気でしょうか。
 そんなこんなでまた1点どまりかな~と思っていたのですが、後半15分、高木が右サイドに振ったボールを日高が受け、折り返したクロスに三上が頭で合わせて追加点をゲットします。いきなりなんの前触れもない見事な攻撃でしたが、大きいのは日高が攻撃に絡んだことですかね。グアムで骨折して熊本ではほとんど戦術練習に参加できなかったこともあってか、復帰してもいまいち周囲と合ってなかったのが気になりましたが、これでもう少しフリーランが無駄にならないことが多くなりそうですね。その分逆サイドの岩沼が攻撃では空気扱いされてるのが気になるところですが。
 この追加点が効いたのか、この後は鳥取の運動量が目に見えて落ちてきます。それでも気持ちは前へ前へというのが見えるあたり、いいチームだなと思いますが、セットプレイかカウンター以外で点を取られる心配はあまりなく、ただしそうはいってもゴールを割る気満々の鋭いバックパスをホスンに送ったり、心臓に悪いシーンがなかったわけではないですが。
 鳥取の運動量が落ちたことで中盤のスペースを得た札幌も追加点のチャンスはいくつかあったのですけど、古田のシュートがゴール・ポスト選手に阻まれたりなどで追加点は奪えず。周囲がどうせなら三上にもう1点取らせたいというのが見え隠れしてたのがほほえましかったですけど。実際に三上がハットトリックしてたら本人としてもチームとしてももっと自信が付いたかも知れませんが、残念ながらそこまでうまくはいかず試合は2-0で終了。内容的にはPSNの個人情報流出の補償内容くらい攻撃はしょぼいながらも2点取れたこと、シュートこそ多く打たれながらも無失点に抑えたことで、少しは上向きになってくれるといいのですが。

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