2011年Jリーグディビジョン2第23節
コンサドーレ札幌 1-0 FC岐阜
得点者:札幌/上原
岐阜/ない
前節はジェフユナイテッド市原・千葉に完膚無きまで叩きつぶされてしまった札幌は、ホームに戻ってFC岐阜を迎えての試合を行います。ここまでわずか2勝、引き分けも2つだけであとは全部負け、勝点8は19位の横浜FCの勝点16に大きく差をつけられるぶっちぎりの最下位です。まさに異次元の弱さ、と書いたところでそういえば2004年のコンサドーレ札幌はどうだったんだろうなぁと思って調べてみたら、トータルの試合数は違いますが17試合を終えた時点でたったの1勝しかしてませんでした。異次元を通り越して超次元の弱さですね。あまり人のことは言わないようにしておきます。もっとも、当時を知るメンバーはもう砂さんしか残っていないわけですが。
そして札幌は千葉に負けたことで順位も9位にまで落としてしまったわけですが、現時点での順位はさておき、ちょっと心配なのは選手の精神的なダメージです。もちろん千葉が強いことは選手たちもわかっていたでしょうけど、もう少し勝負になるんじゃないかと思っていましたし、たぶん選手たちもそうだったと思うんですよ。それがまさに「前足も後ろ足も出ない」という試合だったんですからね。今まで自分たちがやってきたことはなんだったんだ、という気になったとしても無理はないように思います。
そういう意味では、次の試合がホームで最下位のチームが相手というのは、第三者的視点で見ると巡り合わせとしてはいいのかもしれませんが、何しろコンサドーレは19位(対戦時18位)の横浜FCにホームでシュート2本しか打てなかったチームですから、ナメてはいけません。案の定、札幌の動きはあまりパッとしません。この試合、ノブリンはDF岡山を加入後初めてスタメンで起用。河合をボランチで使ってきました。チアゴが想定通りに使えていれば、おそらくはこの形で行きたかったのだろうと思いますが、これがどうにもしっくり来ません。彼を中盤で使う目論見のひとつである「ボランチのところで相手を食い止める」というのが思ったほど出来ていない感じ。マリノス時代の河合はこんな程度ではなかったと思いますし(もちろん芳賀さんのようなワンワンディフェンスタイプではないにせよ)、攻撃面でも、少なくともイメージほど守備に偏った選手ではなかったような気がするのですけど。特にここのところは宮澤が札幌の攻撃の中心というのが相手チームもわかっていて、まずそこを潰しに来ることが多いので、河合が攻撃にももう少し絡めるようになれば面白いのですけどね。
岡山もまだ合流して日が浅いこともあってか、気合満点なのは充分に伝わってくるのですけど、現状ちょっと空回りというかもともと空回りがデフォとも言えますが、割と危ないシーンもありましたね。もともと札幌は「シュートを打たせない守備」ではなく、むしろ被シュートはリーグでも多いほうなんですが、相手のミスで命拾いしたシーンもあり(まぁああいうところで決められていれば岐阜はもう少し上の順位に行ってると思いますが)、今のところはしっくりいってない感じですね。
そんなわけで前半は0-0で終了。こんな程度で終わるチームじゃないぜ、後半から大変身して怒濤の反撃を見せてくれるに違いない、と期待に胸と鼻の穴を膨らませたサポーターの声援に応えるべく、電光石火の早業でうっちー退場。
どうやら故意のハンドを取られたっぽいです。スローで見る限りは肩なのか腕なのかははっきりしませんけど、いずれにしても2枚目のイエローで退場。プリキュアみたいな変身ならよかったのに、11人のチームが10人になったんじゃ、これじゃどう見てもグレゴール・ザムザの変身ですよね。
とはいえ、結果から言えば10人になってよかったのかもしれません。1人減ったことでかえって各選手のやるべきことがはっきりとし、プラスアルファの働きをするようになって動きが良くなるのはサッカーにはままあることです。10人になった札幌はさすがに相手を圧倒とまではいかずともわりかし互角っぽい試合を展開。とはいえ、人数がいようがいまいがシュートについては断固拒否する姿勢は変えるつもりもないようで、まんじりともだんじりともしない展開が続きます。
守備の選手が退場した場合は、たいていFWを1人外して新たにその退場したポジションの代わりの選手を入れるものですが、今回はいなくなったのがFWのうっちーということもあってノブリンも選手交代はギリギリまで動きませんでした。動いたのは後半30分を過ぎてから。まずは77分に砂川に代えて岡本を投入、その6分後には疲れの見えた近藤に代えて上原を投入します。今季はサイドバックにコンバートされたりしていまいちFWとしての存在感の薄かった上原ですが、入って早々に大仕事をします。左サイドの折り返しを拾った古田のクロスボールをドンピシャで頭に合わせて先制点をゲット。サイドバックで守備が出来ずに自分を見失っていた上原くんですが、これで自分探しの旅に出たりする必要もなくなりましたね。今季初ゴールということで、自分へのごほうびを買っちゃったりしてもいいかもしれません。
さて、数的不利の中リードを奪った札幌ですが、ここから先は無理をせず1点を守る戦術に。サポーター的な興味は横野の肺炎によって初のベンチ入りとなったユースの榊翔太くんの出番はあるか? ということでしたが、その期待も最後の交代も時間稼ぎ的な意味合いでの岩沼→日高で終了。さすがにこの展開ではを出すわけにもいかないでしょうけどね。
そんなわけで不格好ながらも勝利した札幌は、この結果6位に浮上。3位との差も「7」に縮まり、ようやく相手の背中が見えてきたという感じですね。正直なところ、実力的にはこの辺の順位が妥当ではないかというような気もしないでもないのですが、すぐ上の順位にいるのがギラヴァンツ北九州というところから見ても、今のJ2は何が起こるかわかりませんからね。いけるところまで行って欲しいと思います。