前にも書いたと思いますが、選手の移籍というのはいつでもどこでも出来るというわけではありません。「大会の公平な競争性を確保する」ため、具体的に言うと「チーム作りに失敗したからといって金持ちチームが札束振り回して選手とっかえひっかえしたりしたらつまんないでしょ?」という理由から、FIFAの定めるルールに従い、いくつかの例外を除いてある一定の期間しか移籍(選手登録)ができないような仕組みになっています。
この移籍(登録)できる期間がいわゆる「移籍ウィンドー」と呼ばれるもので、年に2回設けられています。第1の登録期間が「1月2日以降の第1金曜日から12週間」、第2の登録期間が「7月の第3金曜日から4週間」となっており、2011年の第2期間は7月15日から8月12日までとなっています。
春開幕のJリーグでは、この第2期間の頃というのは大きな怪我人が出てきてしまったり、想定外のウィークポイントがはっきりしてきてしまう頃合いで、その穴埋めや補強のため、シーズン開幕前ほどではないにせよ活発な選手の移籍が行われます。そしてもう一つ、この期間は「フィットしなかった助っ人選手がいなくなる」時期でもあります。ご存じの通り助っ人選手は立場が特殊で、まず1チームにわずか3~5人しか登録することができませんから、既に枠がいっぱいの場合、新しい選手を入れるためには、既にいる選手を出さなければいけません。フィギュアケースがパンパンでこれ以上置く場所がないのに、新しく「俺の嫁」を迎えてしまった場合、既にいる嫁の誰かをケースから出さなければいけないのと同じではないが似ています。それに、日本人選手であれば「成長見込み」として当面囲っておくことが可能でも、助っ人とはその名の通りチームを助けるためにいる人。つまり、完全なる即戦力を期待されている選手であり、それは「試合に出られない助っ人は必要ない」という極めてシビアな立場に置かれています。
そして、残念ながら今年やってきたアンドレジーニョ、ブルーノ、チアゴの3人のブラジル人選手は、ここ最近の試合ではスタメンはおろかベンチにも名前がなかったことからも、ウィンドウが開いているこの期間で何か動きはあるだろうなと思っていたんですが…案の定、MFアンドレジーニョ選手がオーストラリアのパース・グローリーFCへ移籍、そしてDFチアゴの契約解除が発表されています。
チアゴはついぞ本職のCBとして公式戦で使われることないまま退団。もともと京都にいた頃もパワータイプでクイックネスはさほどでもない選手でしたが、それにしても身体が絞りきれないのか、練習を見ても「この人センターバックに使ったら絶対に怖い」レベルでしたから、しかたないですね。アンドレもブラジル人ドリブラーにありがちな「俺のドリブルで相手の守備をぽぽぽぽーん」という独りよがりなタイプでないのはいいんですが、「球離れが良すぎてキープしてくれない」のが致命的だったのか、というかたぶんノブリンが欲しかったのは「シャア専用砂さん」だったんだろうと思います。ブルーノさんは今のところ契約解除や移籍の発表はありませんが、彼もあまりの守備の軽さのせいか最近はベンチにも入っていません。契約解除するにもおそらく給料は1年分払う必要があるでしょうから、入ってくるあてが(金銭的にも)ないのであればそのままチームにとどまるかもしれませんが、このままだとマユゲのインパクトだけが置き土産になりそうな雰囲気です。うーん…。
というわけで2選手の退団によってアンドレジーニョの移籍が発表された同じ日に、ブラジルのサンタエレナからFWジオゴ選手の新加入が発表されています。
ジオゴ選手は本名をDIOGO CORREA DE OLIVEIRA、ジオゴ・コヘア・デ・オリベイラ…と読むんでしょうかね。1983年4月8日生まれの28歳。187cm82kgという長身の選手。前所属のサンタエレナはゴイアス州リーグ1部、ブラジル全国リーグ4部のチームのようですが、それ以前にはUAEやスウェーデンを含むやたらたくさんのクラブを渡り歩いているようです。ざっと調べた限りでは…よくわかんないですね。あんまり試合には出ていなかったみたいで、ここ2シーズンで18試合出場4ゴール、という感じなんでしょうかね。まぁこの時期に札幌が獲れるような選手なんですから、「当たれば儲けもん」くらいに考えておくのがベストだと思いますし、とりあえず今の1トップを変えないのであれば、うっちーがいる以上使い道があまり思いつかないんですけど、Google先生の画像検索で見る限りは、なんだかとってもオモシロ人間の予感がしますね。