2011年Jリーグディビジョン2第24節
カターレ富山1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/魅惑の助っ人、宮澤
富山/黒部
FC岐阜戦の勝利で6位に浮上し、昇格圏内との勝点差を7に縮めた札幌は、今節はアウェイでカターレ富山との対戦を迎えます。前節は勝ったとはいえアレな感じの内容で、まぁアレな感じの内容でも最低限の結果だけは出せるようになり、しかも試合を決めたのが途中出場の上原だったことは、チーム全体の成長と捉えていいのかもしれませんが、できればあんまりアレじゃないほうがサポーターとしては主に精神的な部分で助かります。この試合の3日後にはつい先日こてんぱんにされたジェフユナイテッド市原・千葉とのホームゲームが控えていますから、できるだけ万全な状態でジェフ戦に臨むためにも、19位の富山相手には勝点3はもちろん、できるだけアレじゃない内容で勝つことが求められます。
そんな札幌は、加入したばかりのFWジオゴをスタメンで起用。そして怪我で離脱していた「中盤の掃除屋」芳賀がようやく復帰してベンチ入り。だからというわけではないでしょうが、岐阜戦ではちょっとアレだった「河合ボランチ」をあきらめ、河合主将はもとのセンターバックへ。となれば当然ボランチは宮澤1枚。名付けて「10番ってのはな、誰もがつけられる番号じゃないんだ。チーム・サポーターからエースだと認められた中心選手じゃなきゃつけることを許されないんだぞ」システム、早い話が「だから四の五の言わずに逝ってこい」なシステムに落ち着きました。
そんなわけで試合ですが、練習試合などでは点を取ったりでわりかし存在感を発揮してきたものの、連携面やJ2への順応性はまったく未知数状態だった面白い顔のジオゴ、これが案外…といっては失礼かも知れませんが、面白い顔の割には非常に懐が深く、コンサドーレの得意とする多少雑なパスでも、相手を背負いながら長い足で収めてしまえる選手。うっちーが出場停止で横野も病み上がりという背景はあったにせよ、新加入の選手をおきなりスタメンで使うことの少ないノブリンでも、これなら頭から使えると判断したのでしょうね。
ただ、その反面珍しくどうもピリッとしなかったのが守備陣。集中していないというわけでもないのですけど、どうもとっさの判断がバッドエンド方面の選択肢を選んでしまうような感じ。前半10分、いくらでもクリアのチャンスはあったのにそれをさばききることができず、ゴール前の混戦から黒部にゴールを決められ先制を許してしまいました。今更感丸出しですごいどうでもいいですけど、富山の黒部といえばダムですよね。ダムと言えばダムダム人ですね。つまり黒部がダムダム人。ダムダム人にやられたんじゃしょうがないですよね。おおダムダム人、ダムダム人よ。
先制された後もどうもちぐはぐ感は抜けず。前回対戦(0-0)でも前半はけっこうやられるシーンが多かったですし、後半も攻め込みながらも得点が奪えなかったわけですから、札幌の1ボランチは富山の3-3-3-1にはあまり相性が良くないのかもしれません。こういうこと書くと某数霊術師みたいでとてもイヤですね。と思ったらなんかいつの間にか3-3-3-1じゃなくなってるし。
それでも前回対戦と違うのは、札幌には面白い顔のジオゴさんがいること。前にキープできる選手がいればそれだけ押し上げが効くと言うことですから、攻撃の幅が一気に広がります。まぁ逆に言えば今まではキープできてなかったんで攻撃に人数をかけられず、シュートまで持っていけなかったってことになるんですけどね。
とはいえ、面白い顔のジオゴ自身はどうやら前線で起点となって回りを生かすことに特化したタイプで、自分でゴリゴリ仕掛けたり積極的にシュートを打っていくタイプではないようで、そのあたりの役割はこれまた新加入のレモスの担当なのかもしれませんけど、とりあえず今の段階ではフィニッシュは周囲の日本人がやらないといけない、でもその辺は実は前と変わってない、ってことでいつもの通りシュートについては打てない打たない入らないのないないづくし。むしろ形が作れてるだけ見てるほうにはなんとももどかしい展開が続きます。得点の匂いがしないわけではないのですけど、札幌の場合は匂いだけで終わってしまうことも多々あるので、これは我慢の試合になるかもなぁと思っていた矢先のことでした。「うちの選手がゴールできないなら相手選手にゴールをしてもらえばいいじゃない」と思ったのか、降臨したのは魅惑の助っ人オウン・ゴール選手。前半19分、面白い顔のジオゴさんのポストプレイから左サイドをえぐった岩沼が上げたクロスに富山選手…木本ですかね。木之本だと桜ですけどね。まぁとにかく札幌じゃない誰かがドンピシャで合わせてゴール。同点に追いつきました。
しかし試合が振り出しに戻ってもペースまでは振り出しには戻らず、試合は相変わらず富山ペース。まぁプラスに考えればこういう流れの悪いときでも我慢できるようになったのが今の札幌の強みでもあるのですけどね。去年までだったらこういう流れの時は我慢しきれずに失点、それどころかペースを握ってたはずなのにカウンター一発であっさり失点とか、五分五分の緊迫した勝負だけどこっちだけやっぱり失点とか、今更失うものなど何もないぜーみたいなノリで点を失いまくってたものですが、変われば変わるものです。河合も山下も1対1ではまず負けないですし、河合は経験に裏付けされた読みなんでしょうか、カバーリングもうまく、山下はスピードがあって守備範囲が異常に広く、空中戦も強い。よくセレッソが出したもんだと思いますよ。シュートを打たれても無難に正面でキャッチすることが多いのは、イホスンのポジショニングもいいんでしょうね。まぁ、全員去年までいなかった選手ですけどね!
後半になってもあまり状況は変わらず、札幌はセカンドボールを抑えられ押し込まれる状態に。とはいえ、札幌の守備陣が踏ん張っているのは確かですがそれ以上に富山の拙攻も目立ちます。前回対戦の時も書いたとおり、メンバー的にはもっと上の順位にいてもおかしくない富山(まぁジェフや東京など一部のチームを除けばJ2の上位と下位でメンバー的な差がさほど大きいわけでもないですけど)が下位に甘んじているのも、こういう自分たちがペースを握っている時に決めきれないところによるんでしょうね。まぁ札幌も似たようなもんで、ついこの間まで下のほうをうろうろしてましたしね。そんなでも今では6位なんですからね。実際攻められてるのはその札幌なんですけど。
ソヨンドク、苔口卓也と攻撃力の高い選手を次々に投入し攻勢をかける富山に対し、札幌も選手交代で巻き返しを図ろうとするも、面白い顔のジオゴさんに当てるのまではいいけどその後の展開のアイディア不足で前半同様シュートまで持っていけない状況が続きます。シュートと言っても某小学生バスケアニメの主題歌ではもちろんなく、最後の交代は前節決勝ゴールを決めた上原を投入してくるかと思いましたが、ノブリンの打った手は芳賀の投入。もちろんこれは引き分けでよしという意図ではなく、宮澤を前に持って行って攻撃の手を増やすためでしょう。結果としてこの采配がぴたっとはまったわけです。引き分けのまま終了かと思われた後半終了間際、面白い顔のジオゴさんがボールをキープし、相手を引きつけてのスルーパス。日高が折り返したクロスにその宮澤が某日常アニメの人間魚雷の如く身体を投げ出しダイビングヘッド。競り合った際に鼻骨を折りながらも血の代償としても値千金の決勝ゴールをゲットしました。
こうなればもう札幌は守りきるだけ。倍以上となる15本ものシュートを浴びながらも最少失点に抑えた札幌が数少ないチャンスをものにして2連勝。試合前の思いとは裏腹に内容的にはやっぱりアレな感じで、とりあえず勝ててホッとした感じですけど、ひとまず面白い顔のジオゴさんが思った以上にいい選手なのは収穫でしたね。これでなんかアレな感じだったら、「ジオゴ、動け! ジオゴ、なぜ動かん!」とパプテマス様のように叫ぶつもりだったんですけど、残念杞憂に終わりました。周囲の選手がジオゴさんを信頼して彼の胸に自ら飛び込んでいくようになれば、けっこう昇格争いに食い込めるんじゃないでしょうか。