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2011年8月22日

ヘルベチカスタンダード

2011年Jリーグディビジョン2第3節
コンサドーレ札幌 4-0 ジェフユナイテッド市原・千葉
得点者:札幌/高木、内村x2、古田
     千葉/なぜかいない

 つけたタイトルに深い意味はありません。とりあえず京都戦も終わりましたけど、先にジェフユナイテッド市原・千葉戦から。

 ジェフとは先日対戦したばかりですが、東日本大震災の影響で延期となっていた第3節の代替日程がここに組まれ、さほど間を置かずに再び相まみえることになった両チーム。その前回対戦で千葉にこてんぱんにやられて差を広げられてしまった札幌ですが、その後2試合では内容的にはアレながらも連勝。この試合では負傷で戦列を離れていたボランチ芳賀博信がスタメンに復帰。ボランチの人数不足で緊急回避的に採用してきた4-1-4-1ではなく、芳賀と宮澤裕樹の2枚ボランチを採用。1トップにオモシロ顔のジオゴさん、出場停止明けの内村圭宏をちょっと下がり目に置き、左右は近藤祐介と砂川誠。4バックは右から高木純平、山下達也、河合竜二、岩沼俊介と並ぶ4-2-3-1の布陣で臨みます。芳賀がいることで宮澤も前に出て行きやすくなり、ポストプレイの得意なジオゴさんの後ろに置くことでうっちーが前を向いてプレイする機会も多くなるはず。ようやくベストといっていい布陣を組むことができるようになり、状況的には申し分のない形で強敵を迎え撃ちます。
 一方、千葉は札幌戦の直後の横浜FC戦で攻撃の要であるオーロイが負傷で離脱。オーロイがいなくとも高い能力を持った選手が多い千葉ですから、それだけで全体的な戦力が大きくダウンするなんてことはないでしょうが、それでも「どんなに調子が悪くてもオーロイがちっちゃくなったりはしない」という意味では替えの効かない部分であり、確実に使えるカードを一つ失ったということですから、その部分についてはこれからの戦い方に影響が出るのは否めません。
 それ以上に、相手チームにとっては「オーロイを気にしなくていい」というのは大きいはずで、前回対戦のようにオーロイを封じきれずにそこから好きなようにやられてしまった札幌にとっては、千葉に勝つための戦いかた、つまり生存戦略に大きく影響してくるはず。この日行われたJ2の試合はこの札幌対千葉戦のみで、割とJ2ファンの注目を集めていたかも知れない試合がスタート。

 オーロイがおらずとも全体的な戦力に差があるのは確かで、ホームとはいえ札幌としては我慢の試合になるでしょうから、まず対応が後手に回らないことが重要かな、とかいっぱしの評論家気取りなことを思っていたら、開始早々にコーナーキック得た札幌。砂さんからのトリックプレイ気味のグラウンダークロスを、高木純平が右足で丁寧に合わせます。「ふかさないこと」だけ気をつけた感じの、さほど勢いがあるわけではないシュートでしたが、おそらくゴール前を固めるDFでブラインドになったのでしょう。GK岡本の脇の下を抜けてゴールイン。なんと札幌が早々と先制しました。去年のフクアリでの試合も前半の早い時間にコーナーキック崩れから古田のゴールで先制したんでしたっけね。
 札幌としては狙い通りのゴールで早い時間に先制したのはゲームプランとしてもかなり余裕を持って進められたようで、オモシロ顔のジオゴさんのポストプレイは千葉の守備陣相手にも十分通用するレベルで、ボールの収まりどころがなくなんぼもボールを持つことができなかった前回対戦とはうって変わって、戦力で上回る千葉を相手にほぼ互角のペースに持ち込みます。
 しかしいいことは長くは続かないもので、ケガから復帰したばかりの芳賀が相手選手との接触で古傷を悪化させたらしく、22分に交代を余儀なくされます。ノブリンは右サイドバックに日高を入れ、岩沼を中盤に上げて対処しますが、ちょっと中盤の守備に不安が残る芳賀の交代となります。千葉を相手に戦術的な交代枠をひとつ前半のうちに消費してしまったこともあり、札幌としてはいやな空気が流れます。もっとも、交代枠を自在に駆使できるほど選手交代のバリエーションがあるわけでもないんですけど。
 しかし、その何となく重苦しい空気を払ったのが内村でした。芳賀交代後の4分後の26分、砂さんからのクロスをDFと競り合いながら頭で合わせたボールがGK岡本の手をかすめゴールイン。大きな大きな追加点であると同時に、うっちーのヘディングゴールなんて滅多に見られないレアものです。ものまねタレントでいえば谷村仁司くらいのレア度。
 前半で2点のビハインドを負うというまさかの展開に、千葉のドワイト監督は38分に一気に2人の選手を交代させる荒療治に出ます。日本人のセオリーではケガでもなければ前半のうちに、しかも2枚も交代させることはほとんどあり得ないですけど、この辺はさすがに外国人監督といいますか。坂本から青木良太への交代は近藤対策、そして久保から林への交代はおそらく高さ勝負では山下に勝てないと踏んでのことだと思いますが…残念ながら山下はスピードもあるんですよね。前半は札幌のシュート6本に対して千葉は5本。前半だけで14本と笑っちゃうほど打たれまくった前回対戦から比べれば中野梓とブル中野くらいの差があります。

 ジェフ相手に2点のリードというのは、これがフクアリだったらそんなもんかで済んでいたかも知れませんが、札幌ドームでこのような展開になるとは思いませんでした。そんなサポーターをさらに驚かせたのが後半8分のセットプレイ。砂川のコーナーキックをうっちーがニアで頭で後ろに逸らしたボールがそのままゴールに入り、レア度の高いうっちーヘディング2連発でさらに点差を広げます。どちらかといえばセットプレイのあまり得意でない札幌でコーナーキックから2得点。どっちもわりかし舞の海の猫だまし的なプレイではありましたけど、正攻法で取れないならこういうのもありですね。
 さて、前回対戦ではあれだけ攻められても2点しか取られなかった札幌にとっては3点というのはほぼ安心できる点差です。もちろん油断は禁物ですが、考えなければいけないのは次の試合のこと。4日後にはすぐ函館での試合が控えていることもありますし、芳賀が負傷、宮澤が前半に警告を受けてツモったことを考えれば、状況を見ながら主力を休ませるのも手のひとつです。というわけで後半22分には内村を下げ古田を投入。ここから先はいよいよ尻に火の付いた千葉を抑え込む簡単ではないお仕事が始まりますが、とりあえず点差があることもあって心境的には比較的余裕な感じに見えます。それどころか、後半42分には昨季千葉戦で2得点を取っているジェフキラー古田が今季初ゴールとなるダメ押しの4点目を決め、4-0で試合終了。今季最多得点とはいえスコアほど楽な試合ではありませんでしたが、前回対戦のリベンジどころか「倍返し」で、去年に引き続き千葉にとって「すごくイヤなやつ」となったのでした。

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