2011年Jリーグディビジョン2第25節
コンサドーレ札幌 2-1 京都サンガFC
得点者:札幌/ジオゴ、近藤
京都/中山
あっと驚く2日連続更新ですよ。びっくりしたよね! 主にオレが!
ジェフユナイテッド市原・千葉との決戦を制し、3連勝で5位にまで順位を上げて昇格レースに加わる勢いを見せている札幌は、今節は4連勝をかけて京都サンガFCとの対戦となります。J屈指のエレベーターチームとして知られている京都は、2007年に3度目の昇格を果たした後、ともに昇格しながらわずか1年であえなく陥落したコンサドーレ札幌を後目にしばらく頑張っていたのですが、昨年リーグで17位に終わって力尽き、Jリーグ全クラブで単独トップとなる4回目の降格を達成しました。札幌も負けてはいられませんね!
J1だと決して多いほうではないものの、J2ではかなり恵まれていると言える資金力を背景に、例年降格のたびに大型補強をして昇格争いに加わっていましたが、今季は助っ人選手を含めて地味な補強に終始。代わりにユースからの昇格や二種登録を含む生え抜きの若手選手中心の編成に移行しています。そのためかなかなか勝てない試合が続き、ここまで6勝9敗5分の14位という成績に甘んじています。この試合でも17歳のFW久保裕也を含め、FW宮吉拓実、FW伊藤優汰、DF駒井善成とスタメンに10代の選手が4人、ベンチメンバーを入れてもフィールドプレイヤーに30代の選手が1人もいないフレッシュな顔ぶれです。これはいわゆる「五段階計画」という名のリセットボタンか? といった感じで、だったら天皇杯まで獲ったチームがJ2のこの順位に甘んじているのも無理はないと思いますが、逆に言えばそんなメンバーでもこの順位にいるあたり、ユースも含めて力があるということなんでしょうね。札幌がこれやったときは異次元の弱さで最下位でしたからね。
そんなわけで、京都だけになんだかアニヲタ的にとっても期待感の募る新生京都を迎え撃つ札幌は、前節千葉戦で負傷交代した芳賀が全治2ヶ月の重傷と判明。宮澤が通算4枚目となる警告をもらったためこの試合出場停止で、ついにボランチの選手が誰1人としていなくなる緊急事態に、DFの岩沼と河合を1つ前に上げて対処。空いた左サイドバックには右サイドバックの日高をスライド、センターバックには櫛引を入れてきました。開いた右サイドバックには、本来ならば高木純平が入るはずだったのでしょうが、怪我で欠場となり代わりに上原が入りました。
さて試合ですが、将来楽しみな選手が多いとはいえ下位のチームを相手のホームゲームであれば無難に勝っておきたいところなのに、どっちかといわなくても明らかに京都のペースで試合が進みます。17日に試合をしたのは札幌と千葉のみ。ホームといえども札幌から300km離れた函館は、関東でいうとこれは東京から福島県の第一原発を通り越して相馬市あたりまでの距離、といえばだいたいわかっていただけるでしょうか。かたや千葉との死闘を繰り広げてから中3日で移動、かたや休息充分の京都。その辺の差が出たのか、それともほかに理由があるのかはわかりませんが、鋭い出足で高い位置からプレスをかけ、奪ってからも選手同士の距離がよくパスも良く繋がる京都に対し、どうも動きの重い札幌はセカンドボールもほぼ制圧される劣勢に立たされます。押し返そうにもボールを奪ったところで狙い澄ましたかのように敵にパスしたり、選手にだけ見ることができる透明な味方にパスしたりとオモシロ顔のジオゴさんにまともにボールを当てることすらできない状況で、これでは先制点を取られるのも当然といった感じの内容。前半13分も何でもないパスミスからボールを失い、左サイドを破られて宮吉のクロスを伊藤が櫛引と競り合いながら頭で合わせてシュート。このボールはイホスンがいったんははじきますが、こぼれたボールを中山にボレーに決められてしまいました。
この後もペースは変わらず…というよりかはなお一層の京都ペース。河合・岩沼のボランチコンビは、スポォツ報知によれば「裸のつきアーッ!い」をする仲だそうですが、その割には連携という意味ではいまいち。ノブリンが前半途中から近藤をトップに上げ河合のワンボランチとする4-4-2にシフトチェンジをしてから多少はマシになったものの、中盤で食い止められなければシュートも打たれるのも当たり前の話で、前半45分の両チームのシュート数は、札幌の2本に対して京都は10本。札幌のシュートの少なさはいつものこととしても、枠外のも多かったとはいえ10本はちょっと打たれすぎですね。ただ、ここで守備陣が追加点を奪われずに踏ん張ったのが大きかった、といっておきましょうかね。
そして後半。前半はまったくと言っていいほどボールが来ずに孤立していたオモシロ顔のジオゴさんにようやくボールが入るようになります。そして後半開始早々、オモシロ顔のジオゴさんがうっちーとのワンツーで突破。最初は右足アウトサイドでDFの裏にパスを出したようですが、それは相手にあたって通らず。しかしちょうど自分のところに戻ってきたので、今度は自分で打つことにしたらしく長い左足を振り抜くと、ボールはあざやかな弾道でゴール左隅に決まり、貴重な同点弾をゲット。出場3試合目にして来日初ゴールを決め、ゴール裏に向かって駆け出すジオゴさん。
飛んでいます。
羽ばたいています。
なんぞこれ。
あの…初ゴールですよ? しかも劣勢の中での貴重な同点ゴールですよ? すごい綺麗なミドルシュートですよ? 普通なら「どうだ! 俺のかっけえゴール、なまらかっけえべ!?」とばかりに、超かっけえパフォーマンスしようとか思うじゃないですか。マジかっけえ俺の姿を道民どもの目にやきつけてやんよ、なんて思ったって不思議じゃないじゃないですか。
それなのに、飛び出したのはあのとても怪しい踊りですよ? どうやら「聖書に出てくる神の遣いであるカラスを表現」したらしいのですが、ひいき目に見ても神の遣いどころセクシーコマンドーです。いや、もしやジオゴさんの中ではあれがピカイチにかっけえパフォーマンスなのかも知れません。こんな変な踊りはビジュ以来ではないでしょうか。やだ、この人ホントにオモシロい。
そんなオモシロ人間・ジオゴさんの同点ゴールと奇妙な動きで息を吹き返した札幌は、ようやくここからエンジンが掛かり始めます。前半飛ばしていた京都の運動量が多少落ちてきたこともあり、前半に比べれば割と攻撃の形を作れるようになってきています。これなら逆転も可能かも、という空気が流れ始めた後半20分過ぎ、「その時」はやってきました。
京都が左サイドのライン際で持ったボールに上原が守備に行き、こぼれたボールを砂さんが奪い一直線にドリブルでカウンターを仕掛けます。相手に抑えられながらも前線に出したボールに近藤が必死に抜け出すと、GKとの1対1を落ち着いて決めてゴール。シュートを放つまでずいぶん長い距離を走っていたはずですが、逆転ゴールを決めた近藤さんもそのままゴール裏スタンド前まで走ってサポーターにアピール。喜ぶサポーターやゴールを決められてしまった京都GK水谷が映った後、カメラが喜ぶ近藤さんを抜きます。ゴールを決めた選手をチームメイトが祝福する光景は、いつ見てもいいものですね…って、なんか近藤さんと抱き合ってる選手の1人がビブスをつけています。ほどなくアップになってそれが岡山であることは確認できましたが…。えーと。近藤が札幌ベンチに向かって走って行ったのならともかく、走って行ったのはゴール裏です。確かに後半に入れば控え選手は全員ウォーミングアップに入るのが普通ですけど、だいたいアップの場所はベンチの裏、メインスタンドの前あたり。ということはつまり、岡山さんは近藤のゴールを見た後、ベンチ裏から函館千代台競技場の広い陸上トラックをすごいスピードで駆け抜けてきたってことですよね。そしてその岡山と近藤を奪い合うかの如くがっつり密着していたのがジオゴさん。やだ、この人たちホントにオモシロい。
逆転された京都も再び追いつくべく猛攻を仕掛けてきます。札幌も少し足が止まって押し上げが効かなくなってきていたためボールを回せることは回せるんですが、さすがに京都も疲れが隠せず、決定的な得点機も最後の最後でミスが出てしまい、札幌にとっては命拾いなシーンが続きます。いやほんとに点が取られなかったのが不思議なくらいの感じ。浴びたシュートは17本。前半だけで10本浴びてるのでそれに比べれば後半のシュートは少ないですが、危ないシーンはむしろ後半のほうが多かった感じ。というか京都のあんちゃんたちは攻撃のアイディア豊富ですね。
札幌もこういう時間帯でリズムを取り戻すような働きができる選手がいればいいんですがね。交代で出てきた古田や三上も試合の雰囲気飲まれてしまったようで、なかなかリズムを変えられず。確かにあと1点取って2点差にすればかなり楽になるのはわかりますが、攻め急いでしまいすぐに相手ボールになってしまっては逆効果。まだ若い彼らにその辺を期待するのは酷かもしれませんが、こういう小さいプレイの積み重ねがロスタイム病の原因になったりするので、もう少し落ち着いてプレイしてくれたらと思います。
それでもチーム全員で身体を張って守り切って、タイムアップのホイッスルが鳴った瞬間、チームのほぼ全員がその場にへたり込むほど厳しい試合でしたが、見事な逆転勝利で4連勝。内容が悪いなかでも勝てているのはいいのか悪いのかはわかりませんが、ようやく昇格圏内が手の届くところまでやってきました。でもそんなことより、ジオゴさんはいろんな意味で貴重な人材なので、早いところ契約を延長するべきだと思います。
コメント (1)
なまら面白かったです。
投稿者: 匿名係長 | 2011年8月24日 03:40
日時: 2011年8月24日 03:40