2011年Jリーグディビジョン2第28節
ギラヴァンツ北九州 0-3 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村x2、近藤
北九州/なし
順番がずれてしまったのですがどうせリーグの日程もずれてるのでいいことにします。
栃木SCとの上位対決を制した札幌は、今節は九州遠征。7位につけるギラヴァンツ北九州とのアウェイゲームとなります。Jリーグ参入2年目ながら、三浦泰年監督のもとここまで10勝7敗7分という好成績を挙げ、勝点37は3位徳島ヴォルティスの42と勝点差で5と、充分に昇格を狙える位置に付けています。札幌との差もわずかに6ですから、ここで勝てば大きくその差を詰めることができますが、逆に負けてしまった場合、得失点差がマイナスであることを考えると昇格という意味ではかなり厳しい立場に立たされることになるだけに、北九州にとっては重要な試合です。
そして札幌もこの試合に負けると、他のカードの結果次第では6位にまで順位を落とす可能性があります。こういうのは追うほうが強いものではありますが、この試合の後には8位ながらリーグトップの得点力を誇る東京ヴェルディ、3位徳島ヴォルティスの連戦が待ち構えているため、この試合を落としてしまったりしたら、きっと何者にもなれないお前たちで終わってしまう可能性が高くなりますから、アウェイとはいえども勝点3をゲットして札幌に帰りたいところ。
しかし札幌は攻撃の要であるFWジオゴさんが肉離れで欠場。ジオゴさんのポストプレイは他の選手で代わりが効くわけではありませんから、このオモシロ人間がいるかいないかでは戦い方を大きく変える必要があります。そんなわけで札幌は通常使用している1トップを捨てて近藤祐介と内村圭宏の2トップとし、中盤は攻撃的MFとして右に古田寛幸、左に砂川誠、ダブルボランチに河合竜二と宮澤裕樹、サイドバックは右から高木純平、山下達也、櫛引一紀、岩沼俊介。オーソドックスな4-4-2スタイルですね。ゴールキーパーはもちろん\イッホス~ン/です。アッカリーンと違ってこちらは存在感抜群の選手です。
というわけで試合なのですが、開始早々に北九州のFW池元にシュートを打たれるなど、北九州ペースで試合が進みます。9月に入って北海道は一気に寒くなってきたものの、九州地方は相変わらず厳しい残暑に見舞われており、この試合までの平均気温は札幌が約25.1度に対して福岡の平均は約31.4度と、実に6度以上の差があります。日によっては10度以上の下がる日も珍しくなく、その寒暖の差が影響したのでしょうか。それともジオゴがいないことでボールの落ち着きどころがないからなのでしょうか。まぁそうじゃなくてもいつもこんな感じだったような気もしますが、とにかく札幌は我慢のサッカーを強いられます。とはいえ単純な攻撃なら札幌の守備陣はそうそう破られません。札幌のゴールを破るにはぐうの音も出ないほどすっげえミドルシュートか、山下や櫛引も追いつけないほどのスピードによる突破か、それともパンチラなどのお色気作戦で集中を削ぐかくらいで、いずれにしても何でもない攻撃でも危ないところで狙い澄ましたようにチョンボして涼しい顔してピンチを招いていた昨季までとはえらい違いです。
そして、そういう流れでもぽこんと点を取ってしまうのが今の札幌。ホントに何があったんだと思うくらいぽこんと点を取ってしまうのです。この試合も前半26分、右サイドからの高木のクロスを相手DFがクリアしきれずにこぼれたボールをうっちーが素早い反応で蹴り込み先制。さらにその7分後の33分、やはり高木からのパスを砂さんがダイレクトに前線に出した浮き球のパスが相手DFラインの裏に抜け出したうっちーにドンピシャに合い、これをうっちーがニアに豪快に決めます。ウイイレでも滅多に出ないような見事な攻撃で追加点をゲットしました。そもそもうっちーはもともとこういうの得意でしたっけね。ジオゴさん経由で、または直接相手の守備の裏に出す得点パターンが確立できれば、向かうところ敵なしですよね。西岡チャンピオンズリーグも余裕で制覇できるレベルです。
連戦となる札幌にとって、2点のリードというのは望外にありがたいものだったでしょう。無理に攻め出て行く必要もなくなった札幌は、あとは余裕をもって北九州の攻撃を受け止め、隙あらばカウンターをお見舞いすればいいだけの話。そして注文通りに後半14分、相手のクリアミスを拾った古田のクロスを近藤がニアで合わせてトドメの一撃をお見舞い。角度のないところから押し込んだ近藤も見事でしたが、あらかじめ相手のヘディングが後ろに反れることを予知していたかのような古田も見事でした。それにしても相変わらず優也はニアに弱いですね。
今季の札幌はご存じの通り失点がとても少ないわけですが、さらにデータ上では「試合時間が深まれば深まるほど失点が少なくなっていく」傾向があり、つまりは残り30分の時点で3点リードは事実上勝利確定です。その上「こっちが攻めていたはずなのにいつのまにか点を取られている」わけですから、相手チームはやってらんないですよね。そしてその通り札幌は北九州の反撃を凌ぎ、3-0の快勝を飾りました。
相変わらずものすごい勢いでゴールを祝福しに来る岡山さんはともかく、ジオゴさんがいなかったため特筆するようなオモシロプレイとかオモシロサッカーとかはなかったんですけど、あれだけ点が取れないといわれていた札幌が、ジオゴさんがいなくても3点取れたのは大きいですね。とはいえ、まるで別チームのように攻められるようになったのではなく、少ないチャンスでも確実に決めることが増えたという感じなのですけどね。「そんな強く見えないのになぜか勝ってる」のは2007年もそうだったですけど、それでもあの年はダヴィという点取り屋がいましたし、セットプレイという唯一無二のストロングポイントがありましたからね。まぁ当時とはチーム数も違いますし、そもそも監督もやってるサッカーも違うので比較することにあまり大した意味はないのですけど、共通点と言えば「失点が少ない」ってことでしょうかね。で、さらに共通点として「失点は少ないけどシュートは多く打たれている」ことですね。2007年も失点はリーグで一番少なかったですが、被シュート数の多さはリーグで4番目の564本で、1試合平均にすると11.8本でした。そして今年は何度も書いてる気がしますが第29節徳島ヴォルティス戦終了時点でリーグ2番目の336本。1試合平均で12.4本のシュートを打たれています。リーグ最少失点のFC東京が被シュート数わずか213本、1試合平均だと7.9本しか打たれていないことを考えると、やっぱ不思議ですね。もっとも、東京の被シュート数が少ない一番の理由は「ボールポセッションが高くて結果的に攻められることが少ない」がゆえでもあるんですけど。攻撃は最大の防御とは良く言ったものです。
2007年と今年の違いと言えば、ファウルの数でしょうかね。お気づきの方も多いと思いますけど、今年はファウルが少ないんですよ。392はカターレ富山と並んでリーグ3位タイの少なさ。そして警告数は40でリーグで5番目に少ないです。2007年はファウル数910でリーグで2番目に多く、警告数109は堂々のリーグトップの多さでした。まぁ警告については1人で何枚も稼ぐ気性難の選手がいたりするのが原因だったりもするのですが、こういったデータを総合すると、今季の札幌は「シュートまで持って行かれちゃっても当たらなければどうということはないのであえてファウルで止めたりしないよ作戦」ってことなんでしょうか。見ててやっぱりハラハラするんですけど、まぁ守備についてはけっこうみんな自信を持ってきたみたいですし、それがいい方向に向かっているみたいなんで、このまま行って欲しいものですね。