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2011年10月 4日

国立(大)初勝利

2011年Jリーグディビジョン2第30節
横浜FC 1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村、上原
     横浜FC/野崎

 前節徳島ヴォルティスと引き分け首位からは滑り落ちたものの、連戦を2勝1分けでしのぎ2位をキープしている札幌は、横浜FCとのアウェイ戦を迎えます。2位とはいえ3位の徳島とは勝点差わずかに1、同じ勝点で並ぶ4位サガン鳥栖、5位ジェフユナイテッド市原とも3しかなく、少しつまづいただけでもあっという今に昇格圏外に転がり出てしまいますし、徳島とも鳥栖ともまだ直接対決が残っている状況だけに、前節(第5節)終了時点で8勝12敗7分の勝点31、20チーム中15位横浜FCが相手となれば、ここは確実に勝っておかなければいけない試合です。
 しかし、どうにも横浜FCには相性が良くないのが札幌。何度も書いているとおり今季の札幌が今の順位にいられている最大の要因はその失点の少なさによるところが大きく、全チームと1通り対戦したここまでの試合で3点以上取られたことは1度もなく、また2失点を喫した相手も4チームしかないのですが、その4チームのうち1チームがこの横浜FCです。やれ札幌の連勝は何日ぶりだとか、3連勝となると何年ぶりだとか、そんな今から考えればすごい話をしていたもんだと思いますが、調子が上がらない中でそれでもファジアーノ岡山、大分トリニータと連勝を重ねて臨んだ室蘭で0-2とあっさり負けた試合ですね。今までの通算対戦成績も5勝10敗7分と大きく負け越しています。加えて、試合会場である国立霞ヶ丘競技場では、コンサドーレ(のトップチーム)は未だ勝利がありません。
 その相性の悪さはよっぽどなのか、この試合も立ち上がりから圧倒的な横浜FCのペースですすみます。札幌は前節から多少試合間隔が空いたことで、徳島戦でベンチスタートだった主力選手も頭から使える状態になり、体調不良で欠場した岩沼も復帰と、宮澤や芳賀がいない中での現状ベストと言えるメンバーで臨むことができたのですが、そんなことは些細な問題とばかりに攻められまくる一方。なんでか知りませんけど横浜FCってその時の順位が何位であろうとなぜか札幌戦だけは別チームのようなパフォーマンスを見せるのは気のせいなんでしょうか。室蘭でもJ1でもあまり見られないようなすげえミドルシュートをカイオに決められましたし。このサッカーがいつもできてたらあんな順位にはいないと思うんですけどね。
 そんなわけで札幌は前半30分近くまでただの1本もシュートを打てない有様。まぁそれ自体はいつものことといえばいつものことなんで今更どうもこうもないにしても、守備面ではほんとよく失点しなかったなというのが正直なところ。選手と選手の間に入り込まれて、そこにボールが出て慌ててプレスに行くものの、今度はその選手が空けたスペースに入られ…というような、「いかにもダメな守備の典型」で、確かに岩沼はボランチだと割とポジショニングにルーズなところがあるし、そのためか河合も割とボールサイドに寄ってしまいがちな傾向があるので、実のところ今の札幌のウィークポイントではあるのですけど、そんなわけで打たれたシュートは5本とそれほど多くはないながらも、そのほとんどがフリーで打たれたシュートで、守護神ホスンや魅惑の助っ人クロス・バー選手の活躍がなければやられていたでしょう。前半終了間際のカウンターを仕掛けられるチャンスでもスピードアップをかけなかったので、もしかしたら前半は無理はしないというプランだったのかも知れませんが、それにしても心臓に悪い45分間でした。

 まぁそれでも家庭はともかく結果として前半を無失点で終えたことで、ある程度プラン通りに進めることが出来たのでしょう。後半になると途端に札幌の出足が早くなります。前半はポストに徹して前半ほとんど見せ場のなかったジオゴさんもディフェンスの裏を狙うようになり、徐々に流れを掴みます。前半飛ばした影響か横浜FCにも単純なミスが目立ち始め、札幌もいい形が作れるようになってきました。
 そして札幌はいつもの思い切りの良さがあまり出なかった近藤に代えて古田を投入。ヴェルディ戦でも見られた櫛引、山下、日高を3バックとする3-5-2にシフトします。すると13分、横浜FCのバックパスをカット…というよりも立ってるところに敵からパスが来たジオゴさんがそのままドリブルでずんずん進み、敵を引きつけて絶妙なスルーパス、そしてちょっと長いかと思われたボールを内村が左足アウトサイドで絶妙に浮かせてキーパーの上を通しゴール。札幌が先制します。
 シュート時にキーパーと交錯した際に倒れたまま、味方が折り重なってくるのを待つうっちーでしたが、そんな空気なんて読むはずもない俺たちのジオゴさんは、「おい、そんなとこで寝てるんでねえ、今すぐ俺と羽ばたこうぜ!」とばかりに寝ていたうっちーを引きずり起こしてゴール裏に向かい、そのままうっちーを引きずりながら羽ばたき始めます。「俺のパスのおかげだべ? むしろほぼ俺のゴールだべ?」とでも言いたげなジオゴさんのアピールにうっちーもおずおずと羽ばたきのおつきあい。そして多数詰めかけたスタンドのサポーターはもちろん、やっぱりこの日も国立競技場の陸上トラックをものすごいスピードで駆け抜けてきた岡山も加えてみんなで羽ばたいています。いい光景です。
 予定通りに先制した札幌、いつもであれば1点あれば余裕なのですが、やはり横浜FCには徹底して相性が良くないのでしょうか。守備面での不利にあえて目をつぶってまでフランサ、エデルを立て続けに投入した横浜FCに再び盛り返されるようになります。運動量はさすがにないもののさすがのキープ力を誇るフランサが前線に張ることでカイオも前線に顔を出すことができるようになり、その周りをエデルが引っかき回し、なおかつ完璧に横浜FC応援モードのスカパー!実況・解説も加えた完全アウェイの札幌は横浜FCの猛攻に晒され続け、後半33分ついに野崎にゴールを許し、追いつかれてしまいました。

 試合時間の残りはアディショナルタイムを含めても15分あるかないか。アウェイとはいえ昇格争いを考えれば、この試合での引き分けは負けも同然ですから、なんとしてもあと勝ち越し点を奪わなければいけないのですが、横浜FCに振り回された前半のツケはやはり大きかったようで、キャプテン河合が足を攣らせるなど状況は決してよくはありません。実際、同点に追いつかれた後も横浜FCに決定的な場面を作られ何度か肝を冷やしました。
 でもなんでしょうね。今の札幌って「それでも勝つんじゃねぇか」っていう気がするんですよね。根拠なんてまったくないんですよ。「それでもなんとかしてくれる」仙道さんみたいな選手がいるわけでもないですし、ケアルの使える白魔道師がいるわけでもありませんし、お鍋の中からインチキおじさんがでてくるわけでもありません。でもなんか、「最後には俺らが勝つし」みたいな雰囲気があるんですよね。
 で、それもあながち間違いじゃないってところが不思議と言いますか。試合時間も残り5分を切った85ふん、河合と交代で入ってきた岡本ヤスの突破からペナルティエリア近くで直接フリーキックを得ます。砂さんの蹴ったボールは横浜FCゴールキーパー関にセーブされゴールはなりませんでしたが、(珍しく)枠を捉えたことで砂さんも気をよくしたのかも知れません。その直後のコーナーキックで、砂さんの蹴ったボールは素晴らしい弾道を描き、途中出場の上原の人外的な高さのジャンプにドンピシャに合います。相手GKが一歩も動けない完璧なゴール。残り3分の段階で再び札幌が突き放しました。
 こうなればあとはもう守りきるだけ。横浜FCも必死に攻撃を繰り出しますが、守りに徹した札幌を崩しきることができずタイムアップ。相変わらず「土俵際の魔術師」と言えるような戦い方ですが、苦しい試合をものにして2位をキープしました。

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