2011年Jリーグディビジョン2第29節
コンサドーレ札幌 0-0 徳島ヴォルティス
得点者:札幌/いません
徳島/いません
前節ヴェルディとの打ち合いを制し、暫定ながらも首位に立った札幌は、中2日でホーム厚別に徳島ヴォルティスを迎えます。徳島とは本来であれば第7節のアウェイゲームで顔を合わせているはずだったのですが、東日本大震災の影響で延期となり、その代替日程がこの29節よりも後に組まれてしまったため、シーズンも終盤にさしかかった頃合いながら徳島とはこの試合が今季の初対戦となります。そして、これまでのシーズンとは多少趣が異なる試合となりました。
暫定1位の札幌に対して徳島は暫定3位。昇格争いを繰り広げるライバルとの直接対決、という意味でも今までの「札幌対徳島」ではあり得なかったシチュエーションではあるのですが、それより何より、徳島との試合を迎えるに当たってサポーターに特別な思いをさせているのは、今季札幌から徳島に移籍し、この試合もサイドバックとしてスタメンに名を連ねているDF西嶋弘之の存在。クラブ事情をよく知る札幌のサポーターは選手の移籍について寛容な人が多いのですけど、そんなサポーターですら彼についてはおおよそ「歓迎できない」という雰囲気。
もちろん、決して長いとは言えない選手人生でのプロとしての決断ですから、移籍そのものについては別に思うところはないんですけど、彼の場合今回の移籍に際して、「環境やサポーターに甘えてしまっていいのかと感じた」とか「J1昇格を睨んで」とか、別に言わんでもいいことをべらべらとしゃべっていったのでね。要するにそれって「コンサドーレ札幌ってぬるいし、ここにいても昇格狙えそうにないんだよね」と言っているようなモンですからね。まぁ実際のところつい2ヶ月ちょっと前までは昇格争いところか中位以下をちょろちょろしてたわけですし、その時に未来の自分から「これから札幌は破竹の連勝を果たして昇格争いするんだぜ」などと言われても、今日はエイプリルフールじゃねぇよと思うくらいでしょう。今までのシーズンも確かに「ホントにこの人たちやる気あるの?」などと思うことも少なくなかったですから、それ自体は否定できないというか、そんなチームで6年もやってきた選手が言うのだからそれはきっと事実なんでしょうけどね。とはいえサポーターとしてはいくら正しくてもそれを口に出すのが正しいことだとは限らないと思うわけで。アニヲタなんてキモいと自覚はしてますし、実際キモいわけですけど、だからといって他人から「お前キモイ」って言われたらやっぱりむかつくのと同じですよ。悪うござんしたねキモくてフン! とか思うじゃないですか。
まぁとにかくそんなわけなので、「オラ、どうしても試合に出てぇんだ」と言い残して出ていった優也に比べると、移籍先でも頑張って! などとは間違っても思わないというのが正直なところでして。仮に今時点で札幌が昇格争いをしていなかったとしても、徳島にだけは負けたくないなんて思ってたでしょう。ましてや昇格争いに加わってしまった今はなおさら。心情的な部分はともかくとして、消化試合数の差を考えても勝ちたい試合です。
そんな札幌はFWのジオゴさんが肉離れから復帰したものの、宮澤離脱の間ボランチを務めている岩沼が急な体調不良で欠場となります。さらに砂川、内村が連戦の疲労のためかベンチスタート。長期離脱を余儀なくされている芳賀も含めると、レギュラークラス5枚落ちという苦しいメンバー事情です。ひとまずもうできそうな人が高木純平しかいないのでボランチは河合主将と純平の2枚、必然的に今度はサイドバックが足りなくなるので、左サイドバックには上原を起用。ディフェンスラインに26番、25番、23番が並んでよくわかりません。登録上は1トップですがポジション的には近藤とジオゴさんの2トップの形で、左右に岡本と古田が並ぶという形。ところでレモスって秘密兵器のままなんでしたっけ。
そんなわけで試合ですが、連勝中で調子に乗っているらしい札幌が立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛けます。2試合連続ゴールを決めて調子に乗っているらしい近藤がオープニングシュートを放つし、久しぶりにスタメンの岡本や古田もよくボールに絡んで攻撃を作るし、ジオゴさんも徹底マークを受けながらもボールを持てばやはりいい仕事するし、河合主将もミスっててへぺろするし、途中徳島にペースを握られる時間もあり、柿谷の個人技に引っかき回されることはあったものの、山下は相変わらず強いし、櫛引も若いのにルーキーなんてすごいし、ホスンが珍しくあまり仕事をさせられてないというここ数試合では一番安心して見ていられる試合です。もっとも、それでも結局シュート数は徳島のほうが多かったあたり、いつものコンサドーレらしさは失っていなかったのですが、ここでいつものように点が取れていればだいぶ助かったと思うんですけどね。エリゼウ、三木隆司というレギュラーセンターバックを丸ごと欠いている徳島のゴールをこじ開けるには至らず、前半は0-0で終了。
後半も開始からしばらくは札幌が徳島陣内に攻め込むシーンが見られますが、15分を過ぎたあたりから徐々にラインをコンパクトに保てなくなり、中盤のスペースを徳島に使われるようになります。さすがに連戦の疲れも出てきたのでしょう。試合間隔が短いと肉体面の疲労ももちろんなんですが、やっぱりきついのは精神面での疲労ですよね。サッカーのように刻一刻と周囲の状況が変化するスポーツの場合、敵や味方、ボールの位置などさまざまな情報を集め、常に先を予測しながら最適と思われる判断を、可能な限り早くし続けなければいけません。そのために必要なのは集中力です。集中力が散漫だと相手がフリーになっていたのを見落としたり、判断が遅れてとっさの事態に対応できなかったり、できたところで間に合わなかったり、なんでもないところでミスをしたりしてしまいます。試合中に「あ~そろそろ空から美少女が落ちてこねぇかなぁ」などと考えてたら、さっくりと失点したり決定的なチャンスでトラップミスしたりしかねないですし、よしんば不思議なペンダントをつけたおさげでワンピースの女の子が落ちてきたとしても、それはそれで40秒で支度することを求められたり3分しか待ってもらえなかったりいろいろ不都合が出ますから、選手は90分間全力で集中することを求められるわけです。
でも、車の運転なんかもそうですけど、集中力を保ち続けるのってけっこう大変ですよね(えらそうに言ってますけどオレはペーパードライバー)。よく「身体は疲れてるだろうけど、そこは気力でカバーしよう!」なんて言う人がいますけど、実際身体が極限まで疲れてるときはたいてい心まで疲れているもんですよね。自分では集中しているつもりでもやっぱりいつもと違う、なんてこともあると思います。
それでも最後までギリギリの集中は保ち続け徳島にゴールを割らせず、逆に交代で入ってきた砂さんやうっちーを中心に反撃を試み、いくつかいいチャンスも作り出していたのですが、なんとなく岸谷五朗の若いときに似ているオスンフンの守るゴールを破ることができず、0-0のまま試合終了。試合前のサポーターの入れ込みとは裏腹に、実際の試合は割と何もないまま終わったという感じです。オープニングで「だ・い・じ・けん♪」と歌っておきながら本編では大した事件が起こっていないのと割と似ているのかもしれません。一番大きかったのはユース所属の前くんのデビューでしたね。
まぁ、札幌は試合終了時点でほとんどの選手がその場にへたり込んでしまうほどの激戦だったヴェルディ戦から中2日での試合。それを考えればよくやったと言えると思いますし、状況的には勝たなければいけなかったのは徳島のはずですから、そういう意味では引き分けというのはベストではないけど悪くないは結果だと思います。
コメント (1)
西嶋の移籍には、そんな意見もあったのですね。
知らなかった。
でも、西嶋のサイドバックを脅かすような選手はいなかったので、彼にとってはぬるま湯だったと思います。
今期、好調の原因がはっきりしない状態で、昇格争いを演じているコンサですが、去年までの石崎さんでは昇格できないと思ったのは少なくないはずです。
これは選手も感じていたと思う。
まあ、コンサを出て年俸が上がるのなら、いいと思いますが。
投稿者: マーボ | 2011年10月12日 10:17
日時: 2011年10月12日 10:17