2011年Jリーグディビジョン2第6節
京都サンガFC 4-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いません
京都/工藤、中村x2、久保
2位・3位の直接対決となった第31節のサガン鳥栖ですっきりしない敗戦を喫し、3位に落ちた札幌。そこから中2日で今節は第6節、西京極運動公園競技場にて京都サンガFC戦を迎えます。東日本大震災による中止期間の代替日程ですので、別に時空がねじ曲がったわけでも円環の理に導かれたりしたわけではありません。飛び飛びで行われてきた代替日程もこの月末で帳尻合わせの様相を呈しており、札幌はこの試合の後は再び中2日で鳥取県鳥取銀行鳥競技場(直訳)にてガイナーレ鳥取戦があり、そしてさらに間髪おかずに水曜日に徳島の大塚製薬スタジアムにて徳島ヴォルティス戦が待ち受け、札幌に戻る暇もない過酷なアウェイ3連戦となります。
その3連戦最初の相手、京都サンガFCは前節終了時点で勝点34の14位と、数字上はまだ昇格の可能性が残されているものの、現実的には脱落と言っていい状況。ここ2戦も連敗しているのですが、ジェフユナイテッド市原・千葉には今季2戦2勝とハマれば強いチームですし、前回対戦でも札幌が勝ったものの、若者3トップに翻弄され先制を許すなど苦しい試合でした。
そして札幌はジオゴさんが前節の退場で出場停止、河合主将も累積警告で出場停止と、攻守の要を欠く苦しい状況、加えてここ西京極にはめっぽう相性が悪く、リーグ戦ではここまで過去8試合で1勝7敗という大苦戦。リーグ戦唯一の勝利は2007年、前回昇格した年で、この時は五山送りの関係で夜間に試合が出来ないため、真夏だってのにまだ日の落ちきらない17:20というキックオフ時間で、当然前半は西日が酷くて、右サイドバックやってた西澤画伯がメインスタンドの日陰から出てこようとしなかった試合ですね。あの時は西なんとか選手のゴールで先制して、その後逆転されたけどダヴィと石井謙伍の連続ゴールで逆転したんでしたっけ。いい思い出です。
まぁそんな苦しい状況で迎えた試合は、立ち上がりから完全な札幌ペース。高い位置からプレスをかけてボールを強引にふんだくり、サイドバックやボランチといった後ろの選手もガンガン前に出てパスを繋げて攻め込むという、「アクションサッカー」という言葉を数年ぶりに思い出すほどの連動性で、次々に京都ゴールに襲いかかります。「札幌ってこんなに強かったっけ?」と思ってしまうほどの圧倒的な試合展開でしたが、しかし肝心のゴールが割れません。いつもなら決まっているはずのシュートも枠を外れたり、シュートまで持って行ける流れでもボールが流れてシュートを打てなかったりしてしまいます。最初は「そのうち決まるだろう」と気楽に構えていましたが、ゴールライン上の混戦を押し込めなかったあたりから暗雲が立ちこめ、コーナーキックからのチャンスを連続で京都GK水谷とクロス・バー選手に防がれて得点できなかったときには、かなりイヤな予感がしていました。その後も攻撃は機能していたので杞憂に終わればいいなぁと思っていたんですが…。30分を過ぎたあたりから徐々に京都が盛り返してくるようになり、38分には宮吉のクロスを工藤が丁寧に合わせて先制ゴールを許すと、前半アディショナルタイムにはアタッキングエリアでボールを持った中村に誰もプレスに行かず、そのままドリブルで中に切り込まれてゴール隅に決められ2失点目を喫してしまいます。
後半も立ち上がりこそ札幌が攻め込む気配を見せるものの、早く追いつきたいと気ばっかりが焦ったようで、単調な攻撃に終始し、余裕を持った京都を崩せず。逆に20分にはコーナーキックからのこぼれ球を久保に押し込まれ3失点目。今季ここまでの試合で札幌は1試合で3点以上取られたことはなく、また確かコーナーキックからも失点を許していなかったはずですけど、それが両方とも崩れ去ったことが選手たちにとって相当なショックだったのでしょうか。ここからの札幌は、攻撃も守備も前半の好調が嘘だったかのようにてんでばらばら。この噛み合わなさっぷりはアレだ、政治家の答弁みたいだな、などという風刺で社会派を気取っている間もなくその6分後には久保に翻弄された挙げ句に中村に再び決められ4失点目を喫し、今季最多失点で敗戦。
というわけで、西京極の鬼門っぷりを改めて確認する試合となってしまいましたが、実は過去の敗戦の内、4失点した試合が3つもあるんですよね。この試合で4つ目の4失点試合。通算成績1勝8敗、7得点24失点というのは鬼門どころの話じゃないですよね。何しろ古都・京都ですからね。鬼くらいいてもおかしくないですし、鬼門じゃ物足りない気がします。鬼より強い、鬼より怖いと言ったらなんでしょうね。やっぱカーチャンでしょうか。門といえば玄関。玄関に怒りの形相のカーチャンが立ってたら何より怖いですからね。「母門」と呼ぶのがふさわしいかもしれません。そろそろ「門」がゲシュタルト崩壊してきました。
それはそれとして、改めて河合主将の存在の大きさが浮き彫りになった試合でしたね。センターバックやってた頃はともかく、ボランチになってからは普段はあんまり効いてるようには見えなかったばかりか狙い澄ましたようなキラーミスパスを繰り出したりって感じだったんですが、やっぱ札幌にとって絶対に欠かせない人だったんですね。いなくなって初めてその偉大さがわかるというのもどうかと思いますけど、勝てたかどうかはともかくとして彼がいれば少なくとも2失点目や4失点目みたいなことはなかったんじゃないかと思います。まぁ「今まで3点以上取られなかった」といっても、フクアリでの千葉戦みたいに「結果的に2失点で済んだ」ってだけな試合もけっこうあったんで、こういう試合もあるでしょう。前回昇格した2007年の時だって、ダヴィというオモシロ人…いや点取り屋もいましたが、どちらかといえば武器は守備力であり、実際J2で一番少ない失点数で優勝したんですが、それでも終盤には息切れして、最後のクールに入ったあたりから調子を落とし、ヴェルディに5失点食らったり、連敗を繰り返したりしてたんですよね。
終盤になっていろいろきつくなってくるのはどのチームも同じですから、必ずしも実力(もしくは順位の差)通りの結果になるとは限りません。そんな中で4位の徳島ヴォルティス、5位の千葉が共にアウェイで敗れたのは偶然ではないと思いますが、ともかくかろうじて札幌は3位の座はキープ。ただ、札幌にとってラッキーに見えて、徳島や千葉にとっても、自分たちが負けたのに札幌との差が変わらなかったわけですから、果たしてラッキーと言えるのかどうか。
それ以上に1点も取れなかったのは痛かったですね。このまま混戦が続けば最終的に得失点差が明暗を分ける可能性も充分に考えられます。もともとそんなに攻撃力が高いわけでもないチームが、一時期は-4だった得失点差をこつこつと積み重ねてようやっと+14まで持ってきたのに、それを一気に4もマイナスされてしまったのはけっこう痛いです。あれですよね。せっかく楽しみに取っておいたプリンを誰かに食べられた気分。せめて1点でも取れていればよかったんですけどね。珍しく16本もシュート打ったりするから点が取れなかったんだな、きっと。ふん。