2011年Jリーグディビジョン2第7節
徳島ヴォルティス 0-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/近藤、内村
徳島/いなかった
東日本大震災による延期の代替開催も、ようやくこの試合で最後となりました。札幌にとっても地獄のアウェイ3連戦、阪神風にいえば「死のロード」といった感じの長期遠征もこれで終了となりますが、3連敗という状況で迎えたその試合がこの相手、というのは何の因果なんでしょうかね。目下3位の徳島ヴォルティスとの試合です。鳥取戦での敗戦で4位に転落した札幌ですが、徳島との勝点差はわずかに2。つまりこの試合で勝てばまた再び3位に返り咲けるということでありますが、逆にこの試合に負ければ徳島との差は4にまで広がってしまいます。残り試合数を考えるとちょっと厳しいですし、4連敗という精神的なダメージも加味すると事実上今季終了フラグが立ってもおかしくありません。
3位と4位の間に存在する大きな壁のあっち側とこっち側をめぐって行われる、まさにのるかそるかの大一番。もっとも、その壁の向こうに待っているのは決して自由の新天地ではないどころか、むしろもっとつらい茨の道だったりするのですけど、勝つことによってのみ先が見えてくるというギリギリの状況において札幌が活路を見いだすには、「どこまで開き直れるか」というところ。そうでなくても3連敗中で、過去8戦して1勝2敗5分というあまり相性のよくないポカリスエットスタジアムでの試合。並大抵の開き直りではいかんともしがたいでしょう。「やっぱり小学生は最高だぜ!」と言いはなった長谷川昴さん(16)くらいの開き直りっぷりが求められます。
というわけで札幌がどんな感じで開き直ったかといえば、DF櫛引がU-18日本代表にドナドナされた穴埋めとして、U-18所属の奈良竜樹を大抜擢。高卒ルーキーの代役にさらに若い選手を入れたわけですが、そればかりか、MF荒野拓馬、MF前貴之というユース所属選手の2人もベンチ入り。「若けりゃ若いほどいいんじゃ」ということなんでしょうか。札幌は選手層が薄いとはいえ、いくらなんでも開き直りすぎのような気もしますが、昇格争いに加えて若者への期待と両方があるとくれば、サポーターも開き直って楽しむしかないですよね。
そんな感じで試合ですが、前半はどちらかと言わずとも徳島のペース。徳島のチーム総得点は前節終了時点でリーグ3位の45得点ですが、そのうち半分近い21得点を佐藤、津田、柿谷の3トップが挙げています。この試合もその3人を中心にそこへパスを供給する濱田がうまく絡み、札幌陣内に攻め込みますが、ここしばらくの「前半から勝負かけちゃう?ねぇかけちゃう?作戦」が結局ゴールに結びつかないことを学んだ札幌も、以前の「前半はとりあえずバッチ☆恋」作戦に戻すことにしたようです。京都に4点取られたことが大きく影響して失点数も3位タイに落ちてしまいましたが、それでも「守る」と決めたらそうそう簡単にゴールを割らせないのが今季の札幌です。頼んでもないのに失点してはお互いに「今のはこいつが悪い」という視線を交わしていた頃から比べると信じられないことですが、高い集中力で徳島の攻撃に対応。学徒動員となった奈良くんも、とても現役高校生とは思えない貫禄で強力3トップを封じ込めます。全国高校選手権で格の違いを見せつけていた櫛引ですら、デビュー戦では緊張してる様子が見えたものですが、なんか普通に何試合も出てきたような落ち着きがあります。柿谷とのマッチアップでもほぼ互角に渡り合い、180cmとセンターバックとしては決して大きいほうではないながらも、同じく身長の割にはジャンプ力のある西なんとか選手と競り合ってなおかつ勝っちゃうんですから、一部サポーターが彼を「さん」付けで呼ぶのもわかる気がします。
そんなわけで前半は若干危ないシーンはあったものの、0-0というのはおそらくノブリンにとっては予定通りスコアでしょう。ところが徳島のヒゲ監督にとっては予定外だったんでしょうかね。まだ日程は残されているとはいえ、徳島にとってみれば札幌に逆転されなければいいのですから、この試合は引き分けでも充分な状況です。もっとも、徳島はこの後ジェフユナイテッド市原・千葉やサガン鳥栖といったライバルとの対戦が残されていますから、ホームで札幌を確実に蹴落としておきたいという考えもあったのかもしれません。あるいはこの試合で勝てば鳥栖の結果次第では2位に上がりますから、あわよくば…というよりはたぶん「なるたけ上に行ってなるたけ早く安心したい」という思いが大きかったのかも知れません。そういう意味では、プレッシャーは勝たなければいけない札幌よりもむしろ徳島のほうが大きかったと言えると思います。前半攻めていながらゴールを奪えなかったことで、とにかく早く先制点が欲しいという焦りがあったのでしょうか。ホスンからのなんでもないロングフィードの処理をエリゼウが目測を誤り、こぼれ球を拾った内村からジオゴさん→近藤へとつなぎ、近藤がきっちりと左足で決めて先制します。劣勢でもワンチャンスをモノにしてしまう、いい時の札幌です。、あぁ試合が劣勢な時点でいいと言えるのかどうかは不明ですが。
とにかく大事な試合での大事な先制点を奪った近藤は、「なあ、これほとんどオレのゴールだべ?」というジオゴさんに羽ばたかせるヒマも与えずにサポーターの陣取るスタンドめがけて駆け出します。恒例の岡山ダッシュは当然として、自陣にいたはずの山下や奈良さんまでが駆けつけて喜びを爆発させます。
そして先制してたいした気分の良くなった札幌は俄然動きが良くなります。追いつこうと攻めてくる徳島に対してしっかりと守備ブロックを作り自由を許さず、逆に前がかりになった徳島にカウンターを見舞うシーンも増えてきます。ただどうもジオゴさんのプレイが雑でして、決まりかけたカウンターもやりきれなかったり(二重の意味で)で、どうしちゃったんでしょうね。近藤が羽ばたかせてくれなかったのがよっぽど頭に来たのでしょうか。
まぁそんなわけで1点リードのまま試合は進んでいきます。徳島も完全にリズムを崩してしまったようで、前半のような攻撃が見られなくなります。ヒゲの監督も選手交代で流れを変えようとするものの、素人目にも疑問符が付く交代を繰り返し、巻き返すまでには至らず。逆に後半35分、たぶん砂さんからの何でもないクリアボールにうっちーがそのスピードを生かして相手を振り切り、角度のないところからシュート。GK榎本はこれをはじきますが、そのはじいたボールがゴールイン。札幌が追加点をゲットします。
残り時間を考えればこのゴールは札幌にとってはダメ押しと言えるもの。余裕を持って守れるようになった札幌は残り時間をキッチリ守り抜きます。もう「3分あれば3点取られる」なんて言わせません。いや言うけど。一生ネタにするけど。
というわけで数少ないチャンスをきっちりものにし、そしてきっちりと逃げ切った札幌が3位の座を奪い返したというこの試合。特筆すべきことはこれだけのガチンコ試合だったにも関わらず、両チーム合わせてイエローカードが1枚も出ていないことでしょうね。これは素晴らしいと思いますよね…と鳥栖戦を振り返りながら言ってみる。
コメント (1)
ご掲載の記事にはなんら関係ないお話なのですが…
7月に厚別で開催された水戸戦の主審をされていた木村博之さんは、実はこてこての札幌市民で手稲育ち、札幌在住の方です。私の息子の少年団のコーチをしていただいている協会期待の若手審判なのですが、この度UEFA主催の国際審判育成プログラムに派遣される事になりました。もしかして審判員で道産子がW杯に出場できるかも??です。
コンササポの方々にも、是非全力サポートしていただけたらと思います。よろしくお願いします。
投稿者: ちちちゃん | 2011年11月 2日 09:18
日時: 2011年11月 2日 09:18