2011年Jリーグディビジョン2第35節
コンサドーレ札幌 2-0 大分トリニータ
得点者:札幌/内村、古田
大分/おりません
11月も中旬となり、札幌ではいつ雪が降ってもおかしくない時期。今年は若干遅いようで初雪もまだのようですが、外でサッカーが出来るのもそろそろ終わりな今季厚別最終戦です。気がつけばJリーグ開幕から8ヶ月が経ちました。つまり、時を同じくして発生したあの未曽有の大震災からも8ヶ月が経ったということですね。震災とそれに伴う原発事故で大きなダメージを負った福島県にあるJヴィレッジは、今では原発事故対応の最前線基地となっています。試合を見に行ったこともありますし、実際に自分自身もあそこでサッカーをしたことがありますが、そのピッチも今では作業員のための宿泊施設が建てられているようです。原発事故の収束は長期化しそうで、再びサッカー施設としての利用ができるかどうかはわかりませんが、福島はうちの父親の出身地でもあります。一日でも早い復興を願ってやみません。
さて、アウェイで東京ヴェルディに手痛い敗戦を喫した札幌ですが、気を取り直して今節は大分トリニータとの対戦。徳島ヴォルティスに抜かれて順位は4位に転落したものの、愛媛FCとの四国ダービーでアディショナルタイムまで2点をリードしていた徳島が、そのアディショナルタイムの3分間で2点を取られて引き分けに終わっており、勝点は共に59で得失点差で徳島が3位、札幌が4位となっています。Jリーグでの勝点が同じだった場合の順位決定ルールは、得失点差→総得点数→当該チーム同士の対戦成績(勝点→得失点差→総得点数)→反則ポイント→抽選となっており、徳島とは得失点差で2、総得点数では6点の差があります。直接の対戦成績では札幌に分があり(1勝1分)、これはもうどうやってもひっくり返すことができないですから、最悪でもここにまで持ち込むことができれば札幌の勝ち。まぁ要するに「たくさん点取りゃいい」ってことなんですが、単に勝つだけでなくできるだけ点を取ることも求められるわけです。要するに目の前の敵と戦いながら目の前にはいない敵とも戦わなければいけない、そんな感じ。
とはいえ、札幌としてもそんな「点取れ」なんて急に言われてすぐ点が取れるようになるなら今頃は点取りすぎて困っちゃって、「J2・10年目。この間まで点無し君だったけど、羽ばたくオモシロ人間とひみつ兵器で5試合で30点取った。一度やってみなよ」みたいな感じになっているはずであり、そして現実はそういう風にはなっていないどころか、オモシロ人間は最近羽ばたけず、ひみつ兵器はひみつのままだったりします。世の中そんなうまい話は転がってませんよ。
それでもとにかく「徳島が勝ったとしてもそちらよりも多く点を取れば順位を奪い返せる」のですから、何が何でも点を取れというのは札幌のメンバーもわかっていたようで、開始早々の8分に、相手の対応のまずさをついて内村が先制ゴールを挙げて流れを掴むと、その後も滑りやすい厚別のピッチに戸惑う相手を攻め続けます。しかしなかなか最後の最後で呼吸が合わなかったり、コーナーキックのチャンスもなかなか生かせなかったりで追加点を奪えません。前半終了間際には相手のミスからジオゴさんがGKと1対1になる超ビッグチャンスを迎えましたが、「おいおい、取っちゃうよ? 俺ゴール取っちゃうよ? やべえ、どんな羽ばたきにしようかな? やっぱ久しぶりだからハチドリっぽく行くべきかな?」などと余計なこと考えてしまったらしく、GKを交わしたまでは良かったのですが、最後の最後でボールコントロールをミスってしまい、滑り込みながら打ったシュートは戻ってきたDFにはじかれゴールならず。前半アディショナルタイムにはサイドを突破したうっちーから走り込んできた砂川にボールが繋がり、GKと1対1になる完璧な崩しから砂さんが完璧なミートでシュートを放ちますが、残念ながら方向だけが完璧でなくゴールならず。既に先制していなければ間違いなく負けフラグが立つほどの外しっぷりです。少なくとも2-0にはできていた前半は、1-0のまま終了。
後半も引き続き札幌ペース。先制すれば15戦全勝、前半をリードして折り返せば9戦全勝と、データ的には負ける要素が見当たらない札幌にとっては、チェジョンハンのいない大分なら森島を抑えればなんとかなるということなのか、その森島とセレッソで同期だった山下がほぼ完璧に抑えみます。後半12分のヘディングシュートもホスンがファインセーブで防御。大分のチャンスらしいチャンスといえばこれくらいだったでしょうかね。
とはいえ、札幌も攻撃のほうは前半に引き続きあまり褒められたものではなく、3バックの大分のサイドのスペースをうまく突いていい形は作るんですけど、クロスが素晴らしくあさっての方向に飛んでいったりとか、シュートも既存の枠にはまらないスケールの大きさを見せつけたりで決められません。大分MF藤川が後半25分に退場となり、札幌が数的優位を得ても状況はあまり変わらず、時間だけが過ぎていきます。
同じ頃、栃木SCとのアウェイゲームを戦っている徳島は0-1でリードしていました。栃木対徳島がそのまま終わるとしても、札幌がこの試合で逆転するためには4-0というスコアが必要で、さすがにそこまでは望めないにしても、このまま終わってしまえば勝点も得失点差も詰められないまま残り試合だけが減るということになります。試合内容を考えても、1-0のまま終わるというのは一応勝ったからうれしいですけど、結果としては物足りないですよね。たとえて言うなら、「あんかけ風やきそば弁当はうまいんだけど、スープがついてなくて物足りない」といったところでしょうか。欲を言えばあと2点は欲しいですけど、最低限の結果としてはせめてあと1点は取らないといけません。
徳島の試合状況はプレイしている選手たちはもちろん知らないでしょうが、1点では足りないというのは感じていたのでしょう。試合終盤が近くなると、いつも割と綺麗に点を取ろうとする傾向のある札幌にしては珍しく、なりふりかまわない攻撃を見せます。そして40分、内村からのスルーパスにうまくDFの裏を突いた古田寛幸がうまくGKとの1対1を決めて追加点をゲットします。これで今季3得点目と、期待値からすると少し物足りない成績に甘んじていますが、なんだかんだ言ってGKとの1対1は彼がチームで一番決めてくれそうな気がしますよね。
その後も惜しいチャンスは作るんですが、微妙なオフサイド判定に泣いたりで2-0で試合終了。もう少し点が取れたんじゃないかという気はしますが、ひとまず徳島も追加点がなかったことで得失点差を1にまで縮める最低限の結果は手にしました。