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2011年12月 7日

ベストマッチ

2011年Jリーグディビジョン2第38節
コンサドーレ札幌 2-1 FC東京
得点者:札幌/内村 x 2
     東京/谷澤

 2011年のJ2リーグも第38節を迎え、この試合で全日程が終了します。東日本大震災によって開催が中断されたり、その代替開催で試合が間隔が詰まったりと、例年以上に厳しいリーグとなりましたが、コンサドーレ札幌はその最終戦を「単なる最終戦」以上の意味で迎えることができました。札幌はこの試合、そして同時刻に行われるファジアーノ岡山対徳島ヴォルティス戦の結果次第で、来期の舞台がJ1になるかJ2になるかが決まります。札幌がこの試合に引き分けまたは負けた場合、徳島が勝てば札幌は昇格できません。そして札幌が勝ったとしても、岡山×徳島戦のスコア次第で順位が逆転される可能性があります。これまで札幌は3度昇格を果たしていますが、こういったギリギリの状況で最終戦を迎えるというのは初めてのこと。2007年も一応昇格(と優勝)が確定したのは最終節でしたが、キックオフ時点で一応3位以内は確定していましたし(当時は入れ替え戦があった頃なので、「場合によっては昇格できない」可能性もあるにはあったのですけど)、それでも「勝てば昇格確定」という状況ではありました。今回の場合、先述の通り札幌が1-0で勝ったとしても、徳島が3-0で勝てば、チーム総得点の差で徳島が3位、札幌が4位となってしまいます。まさに命運を分ける最終節。
 もちろん「相手の結果次第」なのは徳島も一緒であり、札幌が多く点を獲って勝てばそれだけ向こうのハードルも上がるわけですが、最終節の札幌の相手は前節時点でリーグ最多得点・リーグ最少失点を誇るFC東京。CB今野泰幸、CB森重真人、DF権田修一といった代表クラスのメンツが並ぶ守備陣と、どっからでもまんべんなく点の取れる攻撃陣を向こうにして「5-0くらいで勝てばオッケー!」などと言おうものならちょっと残念な子に思われそうですよね。少なくとも、「普通にやれば勝てる」とは言えない相手であり、頑張ったところで勝てないかも知れない、負けても昇格できるかも知れないし、勝ったとしても昇格できないかも知れない、そんな胸の奥が焼け付くような感覚。まさにこの風、この肌触りこそが戦場よ、というラル大尉の言葉そのままの雰囲気です。

 そして、選手たちもほどよい緊張感で試合には入れたようで、開始からしばらくは相手の攻撃に対応が遅れるシーンもあったものの、砂さんがいいボールカットからシュートを放つとチームも落ち着きを取り戻します。さすがに互角の勝負とまでは行かないものの、試合前に予測されていたほどの劣勢でもありません。集中できてさえいれば札幌の守備陣はそうそう大崩れしません。サイドの突破も岩沼や純平が身体を張って阻止、東京といえども単純な放り込みはうちのセンターバックにはそうそう通用せず、遠目からのシュートならホスンが防いでくれます。そう、相手は確かにリーグ2位の攻撃力を持つチーム(以前のエントリでTC東京がリーグトップと書きましたけど、37節終了時点でのチーム総得点1位は67点の東京ヴェルディでした。すみません)ですが、こちらの守備陣もリーグ2位なんですよ。去年まで大学生やってたり、今でも高校生やってる選手がいたりしますが、リーグ2位です。
 しかし当たり前の話ですが守るだけでは勝てないわけですから、どうにかして失点数リーグトップの守備陣を突破しなければいけませんし、逆に、代表クラスがずらりと並ぶFC東京から点を獲れば、J1でもやっていける自信をつけることができます。リーグ戦において、チームにおいて、そして何よりこの試合において、様々な意味で喉から手が出るほど欲しかった先制点を決めたのは、やはりあの男でした。終盤になって俄然好調のFW内村圭宏です。前半40分、同じくここにきてようやく調子を取り戻してきた古田が左サイドを突破したグラウンダーのクロスに、相手とセリながらもうまく押し込んでゴールします。ちなみに「喉から手が出る」で思い出しましたが「ケツの穴から手突っ込んで奥歯ガタガタいわしたる」って一番最初に言い出したの誰なんでしょうね。オレはこの間ケツの穴からカメラを突っ込まれて別の世界に誘われる勢いでした。とても、辛い体験でした。関係ないですね。はい。

 待望の先制点をゲットした札幌は、満員の札幌ドームのテンションも一気に上がったこともあり完全にイケイケムード。いわゆる「もう何も怖くない」状態です。まぁマミさんの場合はその直後にマミられてしまいますが、この場合は札幌ドームが魔女の結界みたいなもんなので、マミられるのはアウェイのFC東京。そんでもって前半のアディショナルタイムには、愛娘の見守るホームゲームではめっぽう強い近藤が「昼間のパパ~は~男だぜ~♪」と歌いながら突破し出したパスに反応した内村がU-22代表GK権田のニアを抜く見事なシュートを決めて追加点をゲットします。2-0という申し分のないスコアで、札幌がリードして前半を折り返しました。

 既に昇格も優勝も決めているFC東京ですが、さすがに前半だけで2点取られることは想定していなかったのか、後半は頭からチームトップの10得点を挙げているロベルトセザーと石川直宏を投入。早い段階で勝負をかけてきました。ロベルトセザーが入り、前線でキープできる選手が増え、ドリブルで仕掛けられる石川が入って攻撃の起点が増えたことで札幌もそのケアに追われるようになり、再び押し込まれる時間が長くなってきます。そんな中でもカウンターからいくつかチャンスを作りますが、決めきることができません。前半飛ばしてきた疲れも出てきたのか、次第にプレスのスピードも遅くなり、シュートを打たれる数も増えてきました。
 点を獲るのも時間の問題かと思われた後半25分、オラオララッシュを続けるFC東京・大熊監督が切った最後の交代カードは、MF上里一将。

 神様ありがとう

 いや、この流れで鈴木達也を入れられてたらマジでやばかったと思います。この試合が勝負のかかる試合だったら大熊監督ももしかしたらそうしてたのかも知れませんけど、おそらくこの時点で勝利を確信した札幌サポーターも多かったんじゃないでしょうか。
 もっとも、その直後にノブリンも内村に代えて岡本ヤス投入と、若干守りに入る時間が早かったことで受け身になってしまったためか、後半35分にはロベルトセザーのシュートをホスンがブロックしたこぼれ球を谷澤に蹴り込まれ1点を返されますが、その直後に芳賀を投入して守りきる腹を決めた札幌はその後の得点を許さず、2-1での逃げ切りに成功しました。
 同時に行われていた岡山対徳島はアディショナルタイムの久木田のゴールで岡山が1-0で徳島を下したため、札幌ドームの試合のタイムアップの直前には札幌の昇格が確定していたのですが、ピッチの選手たちはもちろん、岡山を除くベンチのサブメンバーもスタッフも徳島の試合結果は知らなかったそうです。岡山の試合結果を岡山だけが知っていた! なんてどや顔で言うことでもないですけど、中継にもホイッスルが吹かれた瞬間に真っ先にピッチに駆け込んで河合主将に報告しに行く岡山の姿がはっきりと映っています。

 そんなわけで満員のサポーターの前で見事な勝利で昇格を勝ち取った札幌。順位こそ3位だったものの、FC東京の23勝に次いで2番目に多い21勝という堂々の成績でした。まぁ負けた試合は徳島より多かったんですけどね。

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