2012年Jリーグディビジョン1第5節
コンサドーレ札幌 0-2 柏レイソル
得点者:札幌/ない
柏/工藤、近藤
水曜日の試合で今季初勝利を挙げた札幌は、昨季王者の柏レイソルを札幌ドームに迎えてのホームゲームを戦います。ようやく勝てたとはいえそれは空くまでカップ戦の話。同じように見えてもリーグ戦とは花粉症と金粉ショーくらいの違いがあります。残留のためにはリーグ戦で勝点をゲットしなければいけません。それが昨季Jリーグチャンピオンであればなおのこと。それが石崎監督が札幌の前に指揮を執っていた柏レイソルです。いくらJリーグ王者といっても、その前年は札幌と一緒にJ2の釜の飯を食ってた仲じゃないですか。それがなんですか。今じゃACLだかCWCだかOHPだかぶいぶい言わしてるじゃらしいじゃないですか。わが世の春らしいじゃないですか。欠けたることもなしと思えば状態らしいじゃないですか。うらやましい。
そんなわけで札幌は、前節清水エスパルス戦で負傷交代した山本真希はやはり大腿二頭筋、ハムストリングスの肉離れと診断され、全治1ヶ月の重傷。さらにナビスコカップ横浜F・マリノス戦でやはり負傷交代した上原慎也も右第五中足骨骨折という思った以上の重傷で全治2~3ヶ月。怪我はスポーツ選手の宿命とはいえ、ここまでリーグ戦2点(※全2得点中)を挙げている山本真希の離脱は痛いですし、いざとなればパワープレイ要員にもなる上原の離脱も痛いところ。少しでも早く治るよう、木工ボンドを贈りたいところです。その真希の代わりに、ナビスコカップでもスタメンで出場した宮澤裕樹がボランチに入りました。
試合は立ち上がりは札幌ペース。前線からのプレスから高い位置でボールを奪う、というと簡単ではありますが、実際のところ前の選手が追い込みつつ後ろの選手はパスコースを読んでパスカット、もしくはパスを受けた相手選手にいち早くプレッシャーをかけてミスを誘ったりボールが収まらないうちに奪うという連動性が必要になります。これをできるだけ前方の選手で出来れば相手ゴールへの距離は短くなりますし、相手の人数も少なくなります(もちろん状況にもよりますが)。出だしの札幌はこれが面白いように決まり、Jリーグ王者を相手に「じゃあなんでそんなに黄色いんだよ」とばかりに果敢に攻め込みます。7分には純平からのクロスを内村が右足で合わせ、16分にはコーナーキック崩れからのクロスを居残っていたジェイドノースがフリーで頭で合わせるなど、惜しいシーンも作り出します。
ところがさすがに経験豊富な柏レイソル、「うふ、坊やたち元気いいのね」とばかりに老獪に札幌をいなすと、30分過ぎから徐々にペースを握られます。そして33分、CBの奈良さんが相手のロングパスをクリアし損ねてボールを柏FW工藤に渡してしまい、これをそのまま豪快に決められてしまうと、うまくいっていたはずのチーム全体が途端にリズムを崩してしまいます。ワグネル・レアンドロのブラジル人コンビがうまいことスペースに入り込んで組み立てていたというのもありましたが、それにしてもあれだけ効いていたプレスも全く効かなくなり、奈良さんもらしくないミスを連発。ジェイドノースに至っては「俺の、俺の、俺の名を言ってみろ!」とばかりにいきなり自陣からドリブルで駆け上がってまごまごする始末で、守備が後手後手に回ってはチーム全体の押し上げも出来ず、劣勢のまま前半終了。
後半頭からヤスに変えてケガから復帰した古田を、14分にはナビスコカップで先制点を決めた大島を入れて打開を図りますが、流れとしてはあまり変わらず。守勢に回るのはいつものこととしても、攻めるための守備ではなく守るだけの守備となってしまい、そうなるとボールを奪ってもクリアが精一杯、たまにいい形で奪えても一発目のパスをミスる、あるいはフォローが薄くて相手の戻りを許してしまったりで、これといったチャンスには繋げられません。こういう時にセットプレイで点が取れればいいんですけどね。逆に後半18分、コーナーキックから柏のほうの近藤にうまいこと頭で決められちゃったりしてもうまいっちんぐ。こうなると1点取れればもうけもの程度の攻撃力しか持たない札幌にとってはかなり致命傷ではあったのですが、それはそれとして1点でも返すか返さないか、もっというと結果はともかくそれをしようとするかしないかがとても重要なわけで、そういう意味では結局点は取れなかったのですが、交代で前くんが入ってきて、それで宮澤が前線に上がってからは割といい感じで繋げてましたし、1点でも返そうという気持ちは見られたのでいいとします。今のところは。
まぁそんなわけで結局試合は0-2、実に23本ものシュートを浴びるというスコア以上の完敗だったわけなんですが、柏とはずいぶんと力の差を感じてしまった、というのが正直なところですね。1失点目にしても、あれはやっぱり奈良さんのミスはミスなんですが、J2だったらあの形になったとしても、たぶんシュートは枠の外に飛んでいくか、枠内だったとしてもぎーさんの止められるくらいのシュートしか飛んでこなかったと思うんですよね。まぁ現在日本代表のレギュラーセンターバックである今野泰幸だって、ルーキー時代は札幌ドームで5失点とかして泣いてたことがあるんですから、奈良さんもミスはミスとして次に繋げればいいのです。もちろんそれは奈良さんだけじゃなく全ての選手に言えることですけど、今出来ないなら出来るようになればいいし、もし出来なかったとしても別の出来ることを延ばしてカバーする方法もあります。それをやろうとする意志さえあれば、何らかの形で結果は出ると思います。オレのお腹は何にもしなくても出てきちゃってますけど。