2012年Jリーグディビジョン1第32節
コンサドーレ札幌 2-3 サガン鳥栖
得点者:札幌/内村、奈良
鳥栖/○田、○田、○田
前節サンフレッチェ広島に順当な敗戦を喫したことで、年間の敗戦試合数が25となり、さらに年間総失点数が79点となった札幌。2007年に横浜FCが樹立したJ1最多敗戦記録が26試合、そして2010年に湘南ベルマーレが記録した年間最多失点が82点となっているわけですが、その記録にあと1試合、あと3失点というところまで肉薄しています。今期はあと3試合を残しており、今のペースで行けばシーズン中の記録の更新は各日と思われていましたが、サガン鳥栖をホームに迎えたこの試合、不名誉な記録の更新に歯止めをかけるべく、我らがコンサドーレ札幌はJ1初シーズンながらも3位の浦和レッズに勝点でわずか2差の7位につけているサガン鳥栖に対して先制点を奪い、ここからギリギリの踏みとどまりを見せるかと思いきや、そこから3失点を喰らって逆転負け。まぁねぇ、記録に並ぶのは時間の問題だとは思っていましたけどねぇ。あっさり1試合で両方の記録に並ぶとは思いませんでしたねぇ。本当に予想を裏切る一方で、ある意味期待を裏切らないチームだと思います。
去年まで同じJ2でやっており、1999年の2部制スタート時にJ2だった10チーム、いわゆる「J2オリジナル10」の中で唯一J1経験がなかったサガン鳥栖。昨季J2で2位となり、悲願のJ1昇格を勝ち取ったわけですが、J1に上がったとはいえ予算的にはそれほど大きな上積みができたわけでもないはずで、おそらく規模としては札幌とは大して変わるわけではないでしょう。にもかかわらず、方や圧倒的な弱さで史上最速降格記録を奪還し、あらゆる最弱記録を更新する勢いの札幌と、方やACLすら狙える位置につけている鳥栖、なぜここまで差がついたのかというのは…はっきり言ってこの試合を見れば一目瞭然ですよね。ストライカーの差、じゃないですよ。確かに豊田は優秀なストライカーではありますけど、そんなFWが1人いれば残留できるほどJ1は甘いリーグじゃありませんよね。だったら札幌だってダヴィがいた2008年に残留してるはずですからね。鳥栖にあって札幌にないもの、それは「球際の強さ」なんじゃないかと思うわけですよ。
まぁ鳥栖のサッカーについてはいろいろと言われてはいますけどね。それでも競り合いで絶対に負けない、というのは今の鳥栖を支えているものだと思うんですよね。札幌を見てると競り合いでわりかし簡単にボールを取られる(はじき飛ばされる)のが多いのですけど、鳥栖はあんまりそういうことがないんですよね。ただここのところでけっこう無茶をしているので、鳥栖のサッカーってえてして「荒っぽい」という評価をされてしまっているわけですけど、そういった非難のそしりを受けてまで「勝つ」ためにはどうするか、ということを突き詰めているからこそだと思うのですよ。まぁ、突き詰めているという意味では札幌の弱さもとことんまで突き詰めていると思いますが。やっぱりなんでもね、どんなことでも突き詰めるのが重要ですよね。中途半端が一番よくありません。弱さだって個性だって認めて欲しい。
だが断る
ってなわけでまぁ、なんというか「守備の人数が揃ってるのに失点する」のはいい加減何とかならないかなぁと思う次第で、こればっかりはもう監督がどうこうという問題ではないと思うのですよ。それこそさっき言いましたけど、球際の強さと言いますか、ボールへの執着心というのか、その辺の差が出ているように思います。ペナルティエリア内だとファウルが怖いのはわかりますけど、身体をしっかり寄せて相手を自由にさせないディフェンスが出来ないものなんでしょうかね。どっちかというと、寄せると言うよりはむしろ相手を離しちゃってますからね。「マークについていってなぜか離れていくディフェンス」の第一人者である曽田雄志現人神の伝統を受け継いでいるとも言えますが。