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2012年12月14日

スタッフも育成

 石崎信弘監督の今季限りでの退任が既に決まっており、後任監督が誰になるのかが注目されていたコンサドーレ札幌ですが、既に各メディアにて報道されていたとおり、財前恵一氏の就任がようやく正式に発表されました。

 財前氏は北海道室蘭生まれ。室蘭大谷高校から1987年にJSLの日産自動車(現在の横浜F・マリノス)に加入。その後柏レイソルなどを経て、1996年に誕生したばかりのコンサドーレ札幌でプレイ。「ザイー」のニックネームで親しまれ、ここで現役生活にピリオドを打ちました。引退後はコンサドーレ札幌のU-15のコーチを皮切りに、U-18のコーチや監督を歴任。2004年から2006年の間はトップチームのコーチも務めています。2010年からはアビスパ福岡のアカデミーで監督を務めていました。
 トップチームの監督は今回が初めて。先述の通り、トップチームのスタッフとしてはヤンツー時代のアシスタントコーチとしての経験はありますし、クラブとしてもいずれはトップチームの監督としてやってもらいたい人材として考えていたはずですけど、正直もう少しトップチームで経験を積んでからじゃないかと思っていたので、意外でもあり納得でもありといった感じですね。まぁ、過去類を見ないほどの緊縮財政のあおりを受けて、選手同様にコーチングスタッフも残念な予算しか用意できない中で、たぶん片っ端から断られたのでもうザイーにお願いするしかなかったんじゃないかという気もしないでもないですけどそれは大人のじ・じょ・う。
 いずれにしても「コンサドーレ札幌」としては初のOB監督、加えて初の北海道出身監督となります。先述の通りトップチームの監督としては未知数ではありますが、長年アカデミーの指導に携わってきました。コーチングスタッフの発表はまだですが、監督の片腕となるコーチの座には、同じく札幌で現役を引退し、以後はずっとアカデミーで指導に携わってきた名塚善寛氏の就任が濃厚となっています。つまり、来季はチームの約半数を占めることになるユース出身選手は大半がどちらかあるいは両方の指導を受けてきたということになります。つまり彼らはザイーや名塚さんに「ユース時代のはずかしい秘密を握られている」可能性が高く、しかもアカデミーの指導者をしていたということは「その気になれば親にまで手を回せる」ということでもあります。さらに室蘭大谷高校出身の宮澤裕樹や櫛引一紀に対しては、体育会系部活の伝統「大・先輩風」を吹かせることが出来るということですから、就任前から既にチームの過半数を掌握しているといっても過言ではないでしょう。

 とりあえず、経緯はどうあれかつてチームでプレイした選手が、アカデミーの指導者としてクラブで実績を積み、こうして監督・コーチとしてトップチームに戻って来る(育成部出身のOBコーチとしては既に赤池保幸GKコーチがいますが)、しかも指導するチームは多くが地元出身の選手であり、そして大半がクラブで育てた選手で占められています。これは自分がサポーターになりたてのころ、漠然と思い描いていた「クラブの理想像」の形ではあったんです。お金がないのはいろいろとアレではありますが、ある意味理想が実現したのはお金がないゆえだった、とも言えます。
 そんなわけですので、このチームはひとつ長い目で見ていっていただきたいなと思います。もちろん結果は求めますけど、それは単に「勝ち負け」のみを指すわけではないので、勝てないからと言って早々に切るようなマネはしないで欲しいと思います。もっとも、切れるお金もないでしょうけど。

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