2013年J2第4節
コンサドーレ札幌 1-2 松本山雅FC
得点者:札幌/岡本
松本/船山、楠瀬
アウェイでヴィッセル神戸に敗戦を喫し、栃木SC戦に続いて連敗を喫してしまったコンサドーレ札幌は、中2日で松本山雅FCとのホームゲームに臨みます。松本は2012年にJリーグに参入。昨年は札幌はついうっかりJ1に行ってしまっていたため、今回が初対戦となります。Jリーグは2年目ですが、クラブ自体の歴史は古く、前身の山雅サッカークラブの創立が1965年と、もうすぐ50周年を迎えます。そんな節目の年をJ1で迎えたいという思いがあるのか、新規参入組の中ではかなり本気でJ1昇格を見据えており、反町康治監督体制2年目の今期は、大幅にチームの陣容を刷新しています。その中の1人が、MF岩沼俊介。昨季まで札幌に所属し、今季から松本に移籍した選手です。今回が初めての移籍で、いわゆる「古巣との対戦」というのはこれが初めてとなる岩沼は、札幌戦に臨むに当たって「サポーターにも6年間応援してもらったので、『残ってほしかった』と思われるようなプレーを見せたい」というコメントを残しております(web版エルゴラッソより)。
やなこった。
つーか、残って欲しかったも何も、移籍を決めたのは最初から最後まで自分でしょうに。サポーターが移籍を望んだってのなら話は別ですけど、何をおっしゃっているんでしょうかねこのお方は。
まぁそれはともかく、3連敗だけは阻止したい札幌は、メンバーを大幅に変更。テレはベンチには復帰したものの、内村は引き続き発熱で欠場。前節榊が務めていたワンワントップ…いやワントップは、今季初スタメンとなる前田俊介が入り、神田夢実がベンチからも外れて同じく今季初スタメンとなる岡本賢明が入ります。古田寛幸がベンチとなりそこには上里一将が入り、ボランチの一角はプロ初スタメンとなる深井一希が入りました。宮澤裕樹と合わせて4ボランチという、サッカー界の常識を覆す斬新すぎるフォーメーションで試合に臨みます。すげえな、誰が走るのこれ。
試合が始まると、さすがに4ボランチということはなかったのですが、かといって4-4-2ということもなく、4-3-3というか、より細かく言えば4-3-2-1という感じ。ここで存在感を発揮していたのがルーキー深井くん。彼が「いろいろとおかしい」のは以前もお伝えしたとおりですが、公式戦になってもやはりおかしいのは変わりません。まずプロ初出場だというのに、ちっとも動じていない。普通は多少なりとも固さが見られるものなのですが、ここまで緊張も見せないルーキーは「あんにゃろ」こと新居辰基以来ではないでしょうか。その新居とて、デビュー戦は途中出場、しかもこう言っては語弊はありますが、攻撃の選手は比較的ミスの許容されるポジションであり、さらには2点ビハインドというある意味気楽にやれる状況だったのに対し、深井くんの場合はボランチという攻守の要となるポジションでのスタメン出場ですからね。
そして、普通ルーキーの初スタメンとなれば、いろいろと周りの選手は殊更にフォローをするものです。相方はプロ17年目の河合主将ですから、影に表にサポートすると思ってたんですよ。ああ素晴らしき師弟愛。
と思ったら師匠、サポートどころかえらい高いポジションとってるんですけど…。
上里があまり高いポジションを取ってなかったってのもあるでしょうけど、ミッドフィールドはすっかり深井くんにお任せな感じの河合さん。おかしいです。で、先制点はその高いポジションを取っていた河合さんからのクロスが宮澤に入り、落としたボールを走り込んできたヤスが蹴り込んだもの。
さらには時系列は前後しますが、前半にクロスバーを叩いたシュートもおかしかったです。「惜しかった」のではなく、「おかしかった」です。ワンステップであのボールを蹴られる選手は、札幌では俺王様以外に記憶にありません。あとは周りの見えっぷりもおかしいし、必ずパスのもらえるところにいるのもおかしいし、パスの出し方もおかしいし、要するにいろいろおかしいのはおわかりいただけたかと思います。
ただそれでもやっぱり(当たり前の話ですが)完璧ってわけではなくて、1失点目の起点にもなってしまったのは反省材料でしょうか。ユース時代も、「彼のところで奪われるとすると失点に繋がることが多かった」と、ビョーキ…いやユースマニアの方々が口を揃えて言っていました。彼がボールを持ったら周りが一斉に上がってしまうというのが原因のひとつにあるようですが、まぁでもそれもよくわかる気はします。もっとも、1点目の失点シーンは全体的な守備への切り替えの遅さが原因かと思いますが。栃木戦でも松本くんが変な取られかたをしたのが起点となってしまいましたけど、若いチームだからかその辺のリスクマネージメントがまだあまりできていないような感じですね。2失点目はいただけなかったですが、あの辺も気持ちの切り替えができてなかったように見えました。
そんなわけで全体的には深井くんは効いていたと思いますので、途中交代は残念ではありましたが、その辺は彼が長期のケガ明けであることなどを考慮してのことなんでしょうね。チームとしてもあまり無理はさせない方針なのではないかと思います。いくら能力が高くても、巨神兵みたいなことになっても困りますし。逆に言えば100%の状態ではないのにあそこまでやれれるというのは末恐ろしい限りです。
なんだか深井くんのことしか書いてませんけど、まぁそれくらいインパクトのある選手だな、と。ただ返す返すも前半のシュートは惜しかったなぁと。いや入らなければ入らないで、クロスバーじゃなくてわずか上とかのほうがよかったですよね。後半のソンジンのヘディングシュートがゴールポストを叩いたシーンも合わせて、最近思うんですよ。「溜息をつくと幸せが逃げていく」なんてのと同じように、サッカーにおいては「バーやポストに当てると幸せが逃げていく」のではないかと。開幕戦の千葉もよく当てた結果札幌に負けましたし、札幌は札幌でこの試合の他、栃木戦でも同じようにバー叩いて負けましたし。外すなら外すで、河合さんの反重力シュートくらいゴールから逃げていくほうがいいのかもしれません。あれなんだったんでしょうね。弾道的にはノナトのあれを思い出しました。
まぁそんなわけで3連敗。個人的に目安としていた「3月は五分」というのも、ちょっと達成が厳しくなってきた感じですが、まぁ嘆いたところで失った勝点は戻ってきません。目標はあくまで目標であり、たとえそれをクリアしたからと言って何があるわけでもないのです。我々は「デコルを全部集めても当初目的とされていたロイヤルクイーン様は復活しなかった」という事実は肝に銘じておくべきだと思います。そもそもチームの誰も「五分」なんて言ってなかったし。