2013年J2第3節
ヴィッセル神戸 1-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/なし
神戸/マジーニョ
ホーム開幕戦で手痛い敗戦を喫した札幌は、今節はアウェイで開幕2連勝のヴィッセル神戸と対戦します。ともに昨季J1から降格したチーム同士ではありますが、かたや最終節までもつれ込んだ神戸に対し、圧倒的な弱さで史上最速降格を華麗に決めた札幌とでは、「降格組対決」と言われてもいまいちピンとこないというか、少し気を抜くと昨季札幌がJ1にいたことすら忘れているくらいなので、違和感がありますよね。
神戸も降格によりFW大久保嘉人やMF野沢拓也、DF伊野波雅彦などの主力が移籍しましたが、Kリーグ蔚山でACL制覇に貢献したコロンビア代表エステバン、ブラジルの名門パルメイラスからFWマジーニョを獲得。また2010年から2シーズン神戸で活躍し、昨季は浦和レッズでプレイしていたポポが復帰し、J1クラスの助っ人を揃えました。神戸もJ1では予算の少ないほうですが、J2なら間違いなくトップクラス。当然、自動昇格の有力候補です。J2に降格して、そもそもJ1で桁違いに低い予算がさらに減ってJ2でも低いほうになり、それによりJ1で他のチームにつけいる隙すら与えなかった戦力がさらにダウン。どこからどう見ても立派なJ2チームである札幌とはわけが違いますね。ひとくちに降格チームと言っても、世の中には「J2に落ちた」チームと「J2に戻ってきた」チームの2つがあることをわかっていただきたい(力説)。
というわけで神戸は前者であり、札幌はむろん後者なわけですが、それでもやりようによっては勝負にはなるはずですし、実際に開幕戦では昇格候補の千葉と充分戦えていました。神戸相手のアウェイ戦、かつテレと内村の両方を欠く中でも、ここまでの試合と同じように戦えれば、決してやれないことはないとは思っていたんですが…。結果的にはそれは半分ほど当たりでしたし、半分ほどハズレでした。
いやね、集中してないわけではなかったですし、むしろ守備はほぼ集中して守れてたと思うんですよ。ただ、全体的にいまいち動きが鈍い感じは否めなかったですね。たとえて言うなら、お湯入れた後に時間計るのすっかり忘れてて10分くらい経ってしまった時の焼きそば弁当みたいな感じ。確かに焼きそば弁当の味はする。しかしこれは焼きそば弁当ではない、的な。そしてペヤングは焼きそば弁当の代わりになったりはしない。
確かにポポやマジーニョを中心とした神戸の攻撃陣は強力でしたから、ある程度はボールを持たれるのは仕方ないですし、押し込まれるのもしょうがいないと思いますが、両サイドも低い位置でまで戻って来ざるを得ず、前線との距離も間延びしてしまうことが多かったのがキツかったですね。本来もう少し高い位置で仕掛けてなんぼの選手たちですから、自陣でボールを持ってもなかなか打開は難しいわけで、しかも古田も神田も本来のキレには程遠く、おまけにボールを持てば神戸のエステバンとかエステバン、あとエステバンが飛んでくるという。一説によれば「古田の中に『吉田』という謎の選手が入っていた」という情報もあり、それじゃ仕方ないね。ってか選手名くらいちゃんと調べて欲しいものです。「上里」を「土星」と見間違うくらいはずかしいですよね。
その上里も守備に忙殺されることが多く、ボールを落ち着かせるまで余裕がありませんでした。とはいえ上里がいなければもっとやられていたかもしれず、ここ3戦でのサポーターの評価は「さん」付けを義務づけられるくらいのレベル。この試合では河合主将もらしくないミスを見せる中で、札幌の中ではもっとも安定したパフォーマンスを発揮していると言っても過言ではないのではないでしょうか。シーズン通してこれくらいできたら、「上里さん」が「上里様」になり、「上里大明神」を経て「上里大権現」に進化、最終的には「アルティメット上里」あたりに進化すること請け合いですね。
反面、攻撃陣はちょっと残念でしたね。ここまでの2試合ではテレと内村がスタメンを張ってきましたが、テレが右肩痛(肩が反対になったわけではない模様)、内村も体調不良で欠場。代わりに宮澤と榊がスタメンとなったわけですが、この試合展開だと宮澤はともかく榊にはほとんどボールが入らなかったので、本犬にとっては不完全燃焼だとは思いますが…。宮澤も、前を向いてボールをもらえるポジションのほうがいいと思いますので、トップ下で使うのであればトップはテレみたいなタイプのほうがいいのでしょうね。いずれにしても、押し込まれたときにどう打開していくか、というのは今後の課題ではあると思います。点を獲れないと勝てないのですからね。
失点シーンは、まぁしょうがないでしょう。杉山のポジショニングが若干怪しかった気もしますが、DFでブラインドになってたでしょうし、あの振り抜きであのシュートがあのコース飛んでこられたら厳しいかもしれません。まさに「マジーニョ、ヤベーニョ」という感じで、ノエビアスタジアムにふさわしい、コスメティック・ルネッサンスなシュートでした。
そんなわけで、全体的にはいい試合だったとは言えませんけど、その状態でも神戸を相手にそんなにはやられなかったことは前向きに捉えてもいいんじゃないかと思います。ここまで3試合を終えて札幌の成績は1勝2敗。栃木戦がもったいない結果だったので2勝1敗にはできた気もしますが、まぁそれは結果論ですね。3月の6試合は相手が強いところばかりでしたから、シーズンに入る前は3月が終わった段階で五分の成績で終われれば上出来かなぁとは思っていましたし。そういう意味では3試合で勝点3というのは、決して悪くはない数字ではないかと思います。反省するところは反省して、少しでもレベルアップして欲しいと思います。