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2013年3月11日

サッカーの法則

2013年J2第2節
コンサドーレ札幌 0-1 栃木SC
得点者:札幌/なし
     栃木/廣瀬

 開幕戦で昇格有力候補のジェフユナイテッド市原・千葉にアウェイで勝利を飾ったコンサドーレ札幌は、今節は札幌ドームに栃木SCを迎えてのホーム開幕戦となります。2009年にJリーグに参入して以来、今季で5シーズン目。2年目からの過去3シーズンは10位(19チーム中)→10位(同20チーム)→11位(同22チーム)と、だいたいJ2中位あたりのポジションをキープしています。相撲でいえば前頭の中位くらい…かと思いましたがそもそもここJ2だから十両というべきか。そういう意味では札幌は昨年ひさしぶりに再入幕を果たしたはいいものの、1勝14敗くらいで十両に帰ってきたって感じですかね。ごっつぁんです。
 栃木はJ2でもそんなに予算規模の大きいわけではない、少なくとも積極的に助っ人を補強できるほどの資金力があるわけでもないにもかかわらず、パウリーニョやリカルド・ロボなど「当たり助っ人」が多い印象で、今季から加入したクリスティアーノもテストマッチで活躍を見せています。去年まで札幌に在籍していた近藤祐介、三都主アレサンドロ、高木和正、菊岡拓朗ら技術の高い選手たちが揃っており、派手さはないながらもプレーオフ圏内は充分に狙える陣容。

 コンサドーレ札幌は長いキャンプを終えて札幌に戻ってきています。といっても札幌市内はまだ雪が残る…というよりかは冬真っ最中といった感じで、道東では暴風雪の影響で9人もの方が亡くなっています。このいたましい事件に、喪章をつけて臨んだこの試合当日も北海道地方は暴風雪。一時は開催すら危ぶまれましたが、ほどなくして正式に開催決定となりました。まぁ、結果的には開催しなくても良かったかもしれませんが。その札幌は、左サイドバックの松本怜大が前日に左足首を痛めたという情報もありましたが、大事には至らなかったようで前節アウェイで千葉に勝利したそのままのメンバーでキックオフを迎えました。

 試合はホームの大声援を受けた札幌のペース。千葉を完封した守備はこの試合でも機能します。栃木は前節も松本山雅に完封負けを喫しており、まだ攻撃の形というのが確立していないのかもしれませんが、ボールに激しくプレッシャーをかけて相手を自由にさせず、必要ならば2人で囲い込んで潰すというのは千葉戦でも徹底していたことですが、これにより栃木の攻撃の起点である菊岡やクリスティアーノ、サイドに流れた近藤を封じることに成功。パウリーニョの深い位置からのくさびのパスも、センターバックが身体を張って潰し、河合または上里が挟み込む形でこぼれ球を拾うという感じ。これが去年J1最多失点記録を更新したチームかと思うほどの安定っぷり。もっとも、やってる守備の形自体はノブリンの時代から継続してやってきてたことなんですよね。ただ、J1ではプレスかけてるのにぬるっと交わされたり、あるいはぶつかりに行っても当たり負けしたりで、最終的に結局センターバックが丸裸で守らざるを得ない、なんてシーンも多かったですからね。丸裸ってことは、つまり全裸ですよ。それじゃ失点するのも無理ないこと。せめてネクタイと靴下くらいは許して欲しいですよね。紳士として。その辺はJ1とJ2のレベルの違いということなんでしょうか。たぶん、J1とJ2の差って、JFLとJ2の差よりも大きいと思いますよ。マリオカートで言えば100ccと150ccの違いみたいな感じ。

 そして「いい攻撃はいい守備から」なのか、攻撃面も好調。栃木の中盤のプレスがゆるめだったこともありますが、札幌は次々とチャンスを作り出します。14分にはゴール前でテレがキープしたボールを神田が拾ってペナルティエリアに侵入し左足でシュートを放ちますがこれは枠外、26分にはソンジンからのクロスを内村がうまく合わせるもGKキャッチ、38分には古田の突破からのクロスをテレが押し込んだものの、その直前にクロスがゴールラインを割っておりノーゴール、直後に古田のミドルシュートはクロスバーに阻まれ、その跳ね返りもGKがファインセーブに遭いゴールならず。さらにその1分後にはCKからの流れでソンジンがドンピシャで頭に合わせますが、これもバーの上。前半、少なくとも4回のチャンスをものにできなかったことが、後に響くことになります。

 後半も引き続き札幌ペース。できれば前半のうちに先制しておきたかった流れで、それでも早い時間で点が入れば勝てる可能性が高くなると思っていた矢先の12分、内村のヘディングシュートがゴールポストに嫌われたところで、非常にイヤな予感が漂いました。「攻めていた側がチャンスを逃しているうちに、一瞬の隙を突かれて失点して負ける」というのは、サッカーではよくあることです。特に、伝説のディフェンダー、ゴール・ポスト選手やクロス・バー選手の活躍する試合ならなおさらです。前節の千葉がそうだったように。
 そして、そういうイヤな予感は得てして当たるもんでして。20分には中盤でボールを奪われてカウンターを受け、抜け出した廣瀬に左足で決められ失点してしまいます。

 試合は残り25分。アディショナルタイムを含めれば30分近く残されていたにもかかわらず、札幌はこの失点から目に見えて焦りが見え始めます。それまで攻撃の起点となっていた両サイドハーフが疲れで動きが落ちたことや、先制して栃木の固さが取れたこというのもあるでしょうけど、あれだけ繋がっていたボールがめっきり繋がらなくなり、チャンスの数もめっきり減ってしまいます。選手交代に活路を見いだす財前監督ですが、前節はドンピシャにハマった交代策が、今節は裏目に。監督の目論見としては、上原を入れることでサイドからのクロスボールに対するチャンスを増やそうということだったようですが、それを伝えきれずに3トップにしたことでピッチ上の選手たちが単純なパワープレイを選択してしまう事態に。結果、攻撃がちぐはぐになってしまいました。神田と岡本の交代はいいとしても、テレ→上原、古田→マエシュンという交代で、そのままのポジションでいれば、まだサイドからの攻撃に比重を置くことができたと思うのですが…。まぁ、結果論ですけどね。
 結果論ついでに言えば、マエシュンの使い方はちゃんとしないとダメです。真ん中より化はサイドでボールを持たせるべきですし、スペースに走らせちゃダメなんですよ。追いついた頃にはヒットポイント大方削られてるし。それ以前に追いつけてないし。いいですか。マエシュンはテトリスのぼっこなんですよ。それを努々お忘れなきよう。

 結局、ゴール前までは運べるものの決めることができずに試合終了。非常にもったいない試合ではありましたが、ただそうは言ってもこういうのはよくあることですし、というか札幌の場合、押してる試合ほどべろっと負けることが多いような気もしますけど、まぁそれでもシーズン前の予想よりはよっぽどよくやれているという印象ですね。千葉戦でもこの試合でも、守備面での意図ははっきりしており、多くの時間でそれが有効に機能していました。うれしい誤算と言いますか、みかしー五段と言いますか、失点シーンも若干集中が切れたのはありましたけど、崩されたというわけではなかったですからね。
 攻撃面でもいい形を何度も作れていましたし、まぁ決めなければ何にもならないというのはありますが、「どう攻めるか」というのは割と共通認識として持てていると思います。古田や神田は攻撃の起点にもフィニッシュにもなれますし、上里も守備はもちろん展開力についても既に欠かせない戦力になっています。38分のテレがゴールネットを揺らす前の古田の突破は正直何か漏れましたし、26分に上里がソンジンに出した絶妙なサイドチェンジもしびれました。ああいうの沖縄弁でなんて言うんでしたっけ。マジパネエでしたっけ。
 ただその上で注文をつけるのであれば、上里にはもう少しゴール前に顔を出して欲しいと思いますし、古田にはペナルティエリアの中で勝負をしてもらいたいですね。あと、開幕戦ではいい攻め上がりを見せていた松本くんが、この試合ではあまり上がってこなかったのも、わたし気になります。ケガの影響なのか、それともトイメンのクリスティアーノを気にしたのかもしれませんが、まぁなんというか個人的にはソンジンがオーバーラップして上げたクロスになぜか突っ込んでくるくらいの破天荒なサイドバックが好みなので、やっちまってほしいものです。気にするな、オレも自主卒業だから(関係ない)。

 というわけで勝てる試合だったと思うだけに残念ですが、シーズンはまだ始まったばかり。まずはこの敗戦を糧にして、難敵の続く3月の試合を乗り切って欲しいと思います。

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