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2013年4月 アーカイブ

2013年4月 1日

力負けでも

2013年J2第5節
コンサドーレ札幌 1-3 ガンバ大阪
得点者:札幌/宮澤
     ガンバ/レアンドロ、家長、岩下

 前節アウェイでアビスパ福岡を下し、ようやく連敗街道を脱出した札幌。開幕戦以来の今季2勝目を挙げたものの、まだホームでは勝ちがありません。ホーム初勝利を賭けて迎えるのは、優勝候補の筆頭、ガンバ大阪。昨季、通算67得点というリーグトップの得点を叩き出しながらも、まさかの17位に沈み降格。チーム総得点1位のチームが降格するのは前段未聞の珍事で、総得点2位のチームが優勝したサンフレッチェ広島だった(63点)ということからも、どれだけすごいかがおわかりいただけると思います。これだけの得点を挙げておきながら降格したのは、やはりリーグワースト2位の失点数(65点)が大きな原因でしょうか。いくら得点をしても同じだけ取られるために勝ち星を伸ばせず、シーズンわずか9勝という結果に終わっています。ちなみにこのガンバの65失点というのは、リーグワースト3位のセレッソ大阪(14位)とジュビロ磐田(12位)の53点よりも12点も多い数字です。そう考えると、失点数ワースト1位のコンサドーレ札幌の88失点というのがどれほどすごい数字かがおわかりいただけると思います。
 現役日本代表のレギュラー2人をはじめ、元日本代表選手を多数抱える、どうやっても落ちるはずのないチームが落ちたため、「磐田の前田遼一がリーグ戦で最初にゴールを挙げたチームが降格する」、いわゆる「前田の呪い」の存在が改めて取り沙汰される原因となった(2007年以降5年連続で前田初ゴールの相手が降格しており、2013年のリーグ戦初ゴールの相手はガンバだった)わけですが、それ以外にも「デスブログ」として有名なタレントの東原亜希さんのブログで「1年に1回は大阪やら神戸やら関西に行けるようにこれからもがんばります!!!!!」と書かれていたことも注目を集めました(ガンバとともにヴィッセル神戸も降格)。ちなみに、コンサドーレ札幌は他の誰の力も借りずに自力で降格したと思われがちですが、降格が決まったのは東原さんが「特命バイヤー」として任命されていた「イトーヨーカドー北海道収穫祭」の開催期間中でした(Jリーグ史上初の9月降格決定)。
 降格したとはいえ、代表主力の遠藤保仁や今野泰幸らが残留、ほとんど戦力を落とすことなくJ2では反則とも言える陣容で臨んだガンバですが、不安定な戦いぶりはあまり変わらず、ここまで黒星こそないもの白星も1つだけ、1勝4分という当初の予想とは程遠い成績となっています。

 そして前節苦しみながらも福岡に競り勝った札幌ですが、試合中に足を痛めて交代したチョソンジンが全治1ヶ月という重症であることが判明、さらにはイエローカード2枚で退場したDF奈良竜樹が出場停止と、厳しい状況が予想されましたが、ちょうどタイミング良くケガで開幕前から戦線を離脱していたDFパウロンらが戦列に復帰。あれですね、男塾でピンチになると仲間が現れるパターンですね。冨樫とか虎丸とか。あと松尾とか田沢とか。まだ本調子ではないようですが、札幌のひみつ兵器がいよいよベールを脱ぐことになります。ひみつ兵器で思い出しましたけどかつて札幌でひみつ兵器のままで終わったレモスさんは、現所属先の岐阜でも相変わらずひみつ兵器のままみたいです。
 札幌のスターティングメンバーはGK杉山、DFは右から上原、パウロン、櫛引、松本、中盤は河合、深井、上里、宮澤の例のクワトロ・ボランチシステム、トップ下に内村、ワントップにマエシュンという布陣。ベンチには小山内貴哉、堀米悠斗の2人が今季初めて名を連ねています。

 ガンバは3月26日に行われたワールドカップ最終予選・アウェイでのヨルダン戦に日本代表として出場した遠藤、今野の2人も元気に出場。加地亮、家長昭博、岩下敬輔、二川孝広らの元日本代表もずらりと顔を並べ、倉田秋にレアンドロなどまぁ豪華なメンツ。というか容赦のないメンバー。これはアレですね。小学生のケンカに高校生を出してくるみたいなアレ。大阪では普通のことなんでしょうかね。怖いですね。

 そんなわけで劣勢の予想される試合でしたが、札幌は意外な健闘を見せます。「高い位置で奪ってショートカウンター」はノブリン時代からのお家芸ではあるのですが、開始早々に内村がシュートを放つと、5分にはシュートには結びつかなかったものの深井くんのいろいろおかしいパスが上原に渡り、24分には上里のアホみたいな弾道のシュートがクロスバーを叩くなど、惜しいシーンを何度も見せます。まぁクロスバーを叩くのが惜しいか惜しくないかと言われれば、どっちかというと惜しくないんですけど。つーか今年は1試合に1回は当ててませんかね。たまにはクロスバーに当たって跳ね返ったボールがGKの背中に当たってゴールインとかなればいいのに。藤ヶ谷なんてまさしくそれにふさわしいGKだと思うんですけど。
 狙い通りに試合を運べていた札幌に暗雲が立ちこめたのは、前半25分過ぎのことでした。ピッチ中央付近で相手選手と競り合った松本くんが足首を痛めてプレイ続行が不可能となってしまいます。松本くんは28分に交代。前節に引き続き、またしても前半のうちにサイドバックをケガで失ってしまう事態になりました。
 交代で入ってきたのはこれが初出場となる堀米くん。「ゴメス」の愛称で親しまれ、ルーキーながら副主将にも抜擢されたハートの強い選手。別の言い方をすれば心臓に毛が生えている選手。いきなりの出番にも物怖じせずピッチに入ります…が、さすがにガンバを相手というのは厳しかったようで、前半終了間際、その彼の左サイドを崩されて倉田の突破を許し、上げられたクロスをレアンドロにうまく頭で合わせられ失点を許してしまいました。あそこでゴメスが間に合わずにくっしーが対応に出なければならなかった時点で詰んでたのでしょう。もっとも、相手のスピードも速かったですし、クロスにしてもシュートにしてもさすがに相手がうまかったんですけどね。

 いやな時間にビハインドを負ってしまった札幌は、後半立ち上がりからいまいちピリッときません。何か気が抜けたように易々と相手の突破を許し、易々とシュートを許してしまいます。こういう時間帯がたまにあるのはいただけないですね。12分にはまだ万全ではないのか上里に替えて古田を投入。反撃ムードが高まったと思ったら、その直後にあっさりとDFの裏を取られて家長に決められてしまいます。むーん。さらに悪いことに、交代で入ってきた古田がレアンドロのシュートをブロックした際に足を痛め、無念の負傷退場。またしてもケガで選手を失ってしまうことになりました。
 古田と交代で入ってきた砂さんを中心に少しは持ち直しますが、実質的にケガで交代枠を使い切ってしまったわけで、劣勢を跳ね返すほどの展開には持ち込めず。36分には相手FKからのクリアミスを岩下に決められ3点目を献上してしまいます。ふんぎゃー。
 ちなみにこの時のプレイ、木村博之主審がオフサイドの判定を覆してゴールを認めたように見えましたけど、実際はボールがゴールネットを揺らした時点ではゴールの判定はしておらず、(ルール上はオンサイドにもかかわらず)旗を揚げた副審に確認しに行っただけのようですので、極めて正当なジャッジだったようです。アンジャッシュ児嶋とか言ってごめんなさい。だって似てるんだもん。

 そんなわけで事実上敗戦を決定づける3点リード。いくらガンバの守備が弱いと言っても、残り10分で3点取れる攻撃力は札幌にはないわけで、テレあたりを投入してゴリゴリやろうにも交代枠はとっくに使い切っている状況では上原を上げるしかなくて、実際そうしてたのですけど、そもそも相手がガンバに限らず単純な放り込みがそうそう通用するもんではないですし。ただ、それでも最後の最後に1点取ったのは大きいんじゃないかと思います。同じ負けでも完封負けとはだいぶ変わりますから。試合の負けはほぼ決定という中で、バンザイ特攻ができる状況ではあったとは言え、ペナルティエリアにあれだけの人数が殺到していたのは、何が何でも1点を返そうという意地の現れだったと思います。ああいう姿勢は重要ですよね。あとゴール決まった後にボールを取りに言った宮澤に藤ヶ谷がさくっと札幌にボールを返してくれたのは、藤ヶ谷さんなりの恩返しなんでしょうか。

 それと、この試合がデビュー戦となったパウロンですが、キャンプはほぼリハビリに費やして実践でのトレーニングもほとんどできず、連携面での不安を抱える中、J2最強のガンバを相手ということを考えれば、及第点以上の働きは出来ていたんではないでしょうか。「デカいのに速い」のは深井くんとは違う意味でおかしいですし、相手からのロングボールをヘディングでクリアした際、ペナルティエリア手前あたりではじき返したボールがハーフウェーラインを越えて行ったのを見たときは、笑い死ぬかと思いました。あとはオモシロ人間であれば完璧なんですが。ただこの試合の解説を務めていたゴン中山氏によれば、「テーピングがすごいことになってる」らしく、足の状態はまだ万全ではないみたいです。奈良くんの出場停止がなければ財前監督もまだ使うつもりはなかったのではないかと思いますが、とりあえず何事もなくて良かったです。違う意味での巨神兵状態になっていたかもしれませんからね。

2013年4月 8日

新たなる病気

2013年J2第7節
ファジアーノ岡山 3-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村 x 2
     岡山/荒田、田中、竹田

 なんでなのみかしー(挨拶)

 というわけでファジアーノ岡山戦でございます。前節はガンバ大阪に力負け、3月の通算成績は2勝4敗、野球風に言うなら借金2で18位という結果に終わったコンサドーレ札幌は、4月の巻き返しを狙いたいところですが、ここにきてケガ人が続出。ガンバ戦でケガをした松本怜大が全治2~3週間、古田寛幸に至っては全治半年、戻ってこられるのは秋頃という重傷で、ただでさえ薄い選手層がますます薄くなってしまっています。そのぶん今までケガしていた選手が戻ってきてはいて、サイドバックのできる前貴之が戦列に復帰。ただ彼もキャンプの終盤からケガをしていたため、パウロンがそうだったように連携面の不安は残りますから、本来ならもう少し戦術面でのトレーニングを重ねた上で使いたいところでしょうが、そうも言ってられないってことなんでしょうね。また、右のサイドバックには2年目の小山内貴哉がリーグ戦初出場となりました。センターバックには前節出場停止だった奈良竜樹が復帰。4人中3人が未成年という最終ラインとなりました。ある意味法に触れるかも知れません。
 対して、相手の岡山は今季好調です。昨季日本人得点王となったFW川又堅碁が所属元のアルビレックス新潟に戻ったものの、ジュビロ磐田から荒田智之を完全移籍で獲得。その荒田の活躍もあり、3月は2勝4分と負けなしで乗り切って現在4位につけています。それにしても岡山、なんでこんなに名前に「田」がつく選手が多いんでしょうかね。スタメンのフィールドプレイヤーの半分が田のつく選手ですよ。まぁだから何だと言われても困るんですけど。

 さて、「爆発低気圧」の影響でいろんなものが飛んでいきそうなほどの強風の中で行われた試合は、前半は風上に立った岡山に一方的に攻め込まれる展開が続きます。というか札幌がひどい。ひどさレベルでいえば「まんがーる!」のOPくらいひどい。開始早々に深井くんがボールを奪われて荒田に一気にシュートまで持って行かれたのを皮切りに、ほぼ一方的な岡山ペース。特に札幌の左サイドは岡山の田中奏一(イケメン)をまったく止めることが出来ず、徹底的にそこを狙われ続ける有様です。
 守備はいい形でボールを奪えないため、ギリギリのところで跳ね返すのが精一杯、セカンドボールもまったくといっていいほど拾えない状態で、そんなんじゃ先制点を与えるのも当たり前の話で、17分、相手にゴリゴリがぶり寄られてクリアしきれずにこぼれたボールを、荒田になまらゴラッソに決められて失点。ぐうの音も出ねぇ。

 失点後も札幌は岡山のプレスの前にボールの落ち着きどころがなく、攻撃の糸口すら掴めません。5試合ぶりにスタメン復帰したテレもあまりボールをキープできず、というかそもそもともとテレはポストの出来るタイプではない上に、高さで勝負しようにも風でどこにボールが飛んでいくかわからない、グラウンダーのボールもあまり精度が良くないのでキープしてどうという以前の問題。「奪って1本目のパスが悪い」のは今に始まったことではないですけど、この日の札幌は特に全体的にそれが顕著で、誰も彼もが揃いも揃って狙い澄ましたようにミスをする、ミスの大盤振る舞い。結局、前半は札幌のシュートはおそらく上里のフリーキック(ホムーラン)のみという残念極まりない内容で0-1で終了。

 後半、財前監督は前半蹂躙され続けた前くんと、今日はあまりおかしくなかった深井くんの2人を交代させます。まぁ確かに2人とも良くなかったですけど、まだ1年目や2年目の選手ですからね。これを糧にまた成長して欲しいと思います。代わりに入ってきたのは、砂川誠と上原慎也。上原は左サイドバックに入り、上里がボランチに移動し、砂さんがサイドに入る形です。
 相変わらず奪ってから1本目のパスの精度が悪く、受け手がコントロールに手間取る間に相手に詰められ、結局は戻すか奪われるしかなくなる状態は変わらないものの、砂さんが入ったことでひとまずボールの落ち着きどころが出来たこと、岡山もさすがに疲れてきたのか前半に比べて運動量が落ちてきたこと、風上に立ったことで札幌もようやくペースを掴めるようになります。
 それでもさすがにJ2最少失点を誇る岡山の守備陣は固く、そう簡単に得点を許してくれそうもなかったのですが、突破口を開いたのはやはり砂さんでした。後半29分、右サイドから素早く上げたクロスに3人が飛び込みます。最初のテレは潰れたものの、その裏にいた内村(黒い三連星でいえばマッシュポジション)が背中側に飛んでいったボールをえびぞりで合わせ(ゲームセンターあらしでいえば水魚のポーズ)てゴール。ついに札幌が追いつきました。さらに5分後、自陣でボールを奪った上里が、前線で走る内村へドンピシャのパス。そのまま思い切り蹴り込んだシュートが岡山ゴールに突き刺さり、あっという間に札幌が逆転しました。
 しかし札幌がよかったのはここまで。この直後に再びバタバタとした展開から田中奏一にゴールを許し同点に追いつかれると、その4分後にはコーナーキックからこぼれ球を竹田に押し込まれあっという間に逆転を許してしまいます。それまで岡山はほとんど攻撃が出来ていなかったことからも、非常にもったいなかったですし、特に3点目は集中が切れていたとしか思えない余計な失点でした。なんつーか、昔は「ロスタイム病」ってのがありましたけど、「得点したと思ったらすぐ失点する病気」はなんて言えばいいんですかね。賢者病?

 その後、パウロンがクリアボールを相手に渡してはかっさらい、そのクリアボールをまた相手に渡してまたかっさらうというオモシロ人間ショーを繰り広げたりしたものの、札幌も必死の攻撃も実らず、最後のコーナーキックからの内村のシュートも岡山GK中林のファインセーブに遭いゴールならず。再び連敗となってしまいました。

2013年4月18日

ホーム初勝利

2013年J2第8節
コンサドーレ札幌 2-1 徳島ヴォルティス
得点者:札幌/パウロン、上原
     徳島/大崎

 開幕から7試合が経過し、2勝5敗と若干負けが先行している感の強い札幌。順位は22チーム中19位と、今ではJ2でも下のほうになってしまったチーム強化費からすればまぁ妥当とも言える成績ではありますが、さりとて栃木SC戦や松本山雅FC戦、はたまた前節のファジアーノ岡山戦のような「最低でも勝点は取っておくべき内容の試合」も多く、もう少し出来るんじゃないかという気もしないでもない今日この頃。とりわけ、まだホームで1度も勝てていないのは気分的にもあんまりよくないので、そろそろホーム初勝利といきたいところ。相手は徳島ヴォルティスです。
 2011年に札幌と最終節まで昇格を争った徳島は、2012年も積極的な補強でJ1昇格を目指したものの、最終順位は15位とまさかの低迷。今季も千代反田充、柴崎晃誠、高崎寛之といった実績のある選手たちを獲得しています。しかし開幕から3試合で2敗1分とスタートダッシュに失敗、その後3連勝で持ち直し、現在3勝3敗1分けの10位につけています。去年は上里とかジオゴさんとか西なんとかさんとか妙に札幌色の強いメンバーだったのですが、その3人とも昨シーズン限りで退団したため、いまではすっかりよそ様なチームとなりました。ちなみにジオゴさんは今、ブラジルのHorizonteというチームにいるようです。
 札幌は前節岡山に3失点で手痛い敗戦を喫したことで、財前監督はDFのメンツを入れ替え。小山内、パウロンはそのままに、櫛引、上原を起用。さらにはここ4試合スタメンで出場していた深井一希を下げて、上里一将を本来のボランチで起用。この辺は、今の段階ではメンツを固定するよりかは、選手間の競争意識を煽るのと、それぞれに経験を積ませて個人のレベルアップを優先しているということなんでしょう。その中でもパウロンは多少我慢強く使っていく方針のようですが。高く売れそうですしね! そして空いたサイドには、ここまで途中出場で多くの得点の起点となっていた砂川誠を初スタメンで起用。逆側のサイドは宮澤裕樹、トップ下内村圭宏、ワントップにテレという布陣です。

 さて試合。ホーム初勝利に向けた札幌が開始からすっ飛ばす…かと思いきや、すっ飛ばしたのはアウェイの徳島でした。津田・高崎・大崎のトライアングルに手を焼いて札幌のラインはずるずると下がり、だだっぴろいスペースを好きなように使われます。必然的にDFも後手後手に回ることが多く、19分には一か八かのディフェンスに行った河合主将が、ほぼ1点もののシーンを救ったかわりに左足を痛めてしまいます。そんな河合主将が見せた魂の守備の後のCKで、宮澤が相手を倒してしまいPKを献上するという、報われない主将の意地。しかし、このPKをGK杉山が完璧にストップ、跳ね返ったボールを再び狙われますが、これもはじいてピンチを救いました。結局河合主将はこのあと前半21分に早くも交代してしまいますが、チームで数少ない30代のベテランたちが気を吐く姿に、若手たちも一層の奮起をするかと思いきや、29分にはパウロンの中途半端なクリアからあっさり失点してしまいました。報われないベテランの意地。その後もチャンスの数としては徳島のほうが多く、なんとか1失点で済ませたという内容で前半終了。ひどいよね。ひどすぎるよね。許してなんて言えないよね。ダメ、鼻汁が出ちゃうとかそんな感じ。

 後半、財前監督はテレに替えて岡本賢明を投入。テレはラインが下がって孤立してしまっていたので、まったく生きてなかっただけに仕方ないですね。で、実際ボールを引き出せる選手が砂さんの他にもう1人入ったことで、宮澤、上里らパスを出す側の選手が多い札幌の攻撃が活性化し始めます。なぜこれを前半からやらんのじゃいという感じの怒濤の攻めを見せます。そして11分に得たコーナーキック。上里からのボールをDFパウロンが頭ひとつ抜け出してヘディングでゴール隅に決め、同点に追いつきました。うれしい来日初ゴールを決めたパウロンは、すぐさま一目散にゴール裏に向けて走り出し、かつての某助っ人FWのように羽ばたいたり、かつての某助っ人ボランチのように怪しげな踊りを披露したり、はしませんでしたが、サポーターに自らの存在をアピールします。まぁアピールしなくてもオモロいのは知ってますので。
 さて、同点に追いついて気をよくした札幌は、その後も攻撃の手を緩めません。深井くんからの小山内くん(ユースの先輩)への無慈悲なロングパスとか、ここのところ調子を上げてきたらしいヤスがゴール前に積極的に顔を出したりしますが、相手GK松井の好セーブに遭い得点に至らず。それでも後半29分、再びコーナーキックのチャンスを得ると、これまた上里からのボールを、今度はDF上原が頭で文字通りぶち込んで逆転に成功。上原も今季初ゴールとなります。それにしてもパウロンもたいがいですが上原もむちゃくちゃな身体能力ですよね。髪を赤くしてバスケやってたら花道くんって呼ばれてましたよね絶対。普通にダンクシュートできるんだろうなぁ。いやお笑いダンクシュートでなくて。

 松本戦や岡山戦がそうだったように、逆転してから、あるいはリードを許してからの戦い方に課題を残しているわけですが、この試合でも直接失点にこそ結びつかなかったものの、危ないシーンはたくさんありました。決定的なピンチもGK杉山のファインセーブに救われ事なきを得ただけの話であり、PKストップも含めてこの試合は杉山さんのおかげで勝てたと言えると思います。
 実際、相手だって点を取らないといけないわけですから、羽化する時期を間違えたセミの如く必死に攻めてくるのは当たり前の話なんで、その辺はもう少し危なげない試合運びができるようになって行ってもらいたいですね。慎重かつ大胆に。

2013年4月22日

連勝ゲットだよ

2013年J2第9節
ガイナーレ鳥取 0-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/砂川、岡本
     鳥取/なし

 今季初めての平日ナイトゲームは、ガイナーレ鳥取とのアウェイ戦です。前節から中2日でのアウェイゲームとなると移動負担が大変ですが、クラブにとってはお客さんが入りにくい平日ナイトゲームは、アウェイでやってもらったほうが営業的には楽というのが正直なところかもしれません。ちなみに今季3試合ある平日ナイトゲームのうち、コンサドーレ札幌はこの鳥取戦を含めた2試合がアウェイゲームです。
 鳥取との対戦はここまでのところ2011年の1シーズンのみで1勝1敗ですが、シーズン後半になって快進撃を続けていた札幌がまさかの3連敗となり、途端に昇格の行方が怪しくなったのがこのバードスタジアムでの鳥取戦でした(ハメドのゴールで0-1)。ご存じの通り最終的に札幌は最終戦で劇的な昇格を果たしたので、今となってはたまの失敗はスパイス的なエピソードのひとつでしかありませんし、まぁ翌年の惨劇に比べればこの鳥取戦での敗北のガッカリ感なんて屁でもなかったのですが、いずれにしてもあまりいい印象のない場所です。なんだよバードスタジアムって。鳥取だから鳥か。鳥ならいいってもんじゃないだろうというわけのわからない絡み方をするくらいにはいい印象がありません。鳥は好きです。

 2011年からJリーグに参入した鳥取は、初年度19位(20チーム中)、昨季は20位(同22チーム)とJリーグの壁に当たっている状況ですが、今季はここまで2勝2敗4分と好調。栃木SCやジェフユナイテッド市原・千葉といった格上のチームと引き分けており、力をつけているのは間違いなさそうです。ただ補強をレンタルに頼らざるを得ない(昔の某チームのような)強化方針を採らざるを得ないのがつらいところでしょうけどね。
 前節徳島ヴォルティス戦で連敗脱出した札幌は、今季初めての連勝を狙いますが、アビスパ福岡戦で負傷交代したチョソンジンがようやく復帰してベンチ入りしたものの、前節太ももを痛めて負傷交代した河合主将が診断の結果肉離れで全治約2ヶ月の重傷であることが判明。長期離脱を余儀なくされました。その他はなかなか噛み合ってこないテレがベンチに下がり、代わりに岡本賢明がスタメン入り。要するに徳島戦の後半と同じメンバーですね。そして控えにはルーキー神田夢実と中原彰吾の2人が入りました。中原くんは初のベンチ入りです。

 試合はどちらかといえば札幌のペースで進みます。ここ数試合に比べれば割とボールが回るようになっています。もちろんこういうのは相手との力関係もあるので、単純に比較が出来るわけではありませんし、そこまでシュートチャンスが多いわけではなかったのですけど、少なくとも「試合でこのくらいはできる」というのがわかるのは大きな自信にもなりますし、あとはその精度をどれだけ高めていくかということを考えればいいのですからね。ただし、ボールを回せば勝てるというわけではないのがサッカーですから、問題はこれまでもそうだったように、いい流れの時にきっちりと点を取れるようにできるかどうか。そんな心配を払拭したのは、ベテランの右足でした。前半20分、左サイドの相手ペナルティエリア手前で得た直接フリーキックを、砂さんがなんと直接決めてゴール。普段砂さんのフリーキックは壁当て(伝統芸能)か、そうじゃなければ惜しい弾道で上に外れてえびぞり(無形文化財)かどっちかのため、一番驚いたのはサポーターではないかと思います。ちなみに、コンサドーレの選手が直接フリーキック決めたのって、2010年の最終節の砂さん自身のゴール以来ですかね?
 そして、そのびっくりゴールの興奮もまださめやらぬ24分には、右サイドから砂さんが上げたクロスボールを宮澤裕樹が完璧なボールコントロールを見せます。いやほんとにびっくりするほど完璧なトラップだったのですが、肝心のシュートをミスって相手DFに当ててしまいます。ただ、相手守備陣もそこまでできてなんで肝心のシュートがショボいのかとびっくりしたんでしょうね。怒った状況を理解できずに凍り付く鳥取DFを後目にそのボールに鋭く反応したヤスが蹴り込んで追加点をゲットします。わずか5分で2点のリードを得て、前半はこのまま終了。

 余裕を持って試合を進めることが出来るようになった札幌は、後半頭から宮澤に代えてマエシュンを投入。戦術的な理由で宮澤を交代させるメリットはないと思いますので、ケガでなければ連戦の疲労を考慮した上での交代でしょうかね。
 そういった連戦のことを考えれば、後半早い時間で1点を取ってダメ押しができれば、もう少し余裕を持って試合が進められたと思うんですけどね。精神的な余裕があるのとないのとでは体力的な部分も変わってくると思うので。今のところはまだそういうところまでには至っていないという感じでしょうか。
 そんなわけで後半は全体的には余り見るところがなく、見所と言えば深井くんのおかしさくらいだったんですが、この日の深井くんはプレイよりも髪の毛がおかしかったです。だってね、普通、髪の毛って濡れたらしなるじゃないですか。ペタってなるじゃないですか。この日の鳥取地方は雨模様で、割とみんな濡れてたんですが、杉山さんもマエシュンもヤスもみんなペタってたのに、なぜか深井くんだけむしろ尖ってましてね。なんかムラサキウニみたいになってましたね。これヘディング争ったら相手流血ですよね。凶器認定されかねない有様でした。
 そしてもう一つ見所は後半32分に砂さんとの交代で投入されたプロ初出場の中原くん。財前監督としては既にリーグ戦で試合出場している神田くんよりも中原くんの経験を積ませるほうを優先したのでしょう。札幌の選手もだいぶ疲れていたため、あまり彼にボールが回ってくる機会は多くなかったのですが、それでも後半38分にはドリブルで持ち上がり、鳥取DFが誰もクリアに行こうとしない不思議なスルーパスを出すなど見せ場は作りました。パスを受けた上原がきっちり決めていればもっとよかったんですけどね。上原も頭で打てば良かったのに。

 その後はちょっと怪しいシーンこそあったものの、2点のリードを守り切った札幌が勝利。週中のアウェイゲームということを考えれば上々の試合で今季初の連勝をものにしました。

2013年4月25日

初引き分け

2013年J2第10節
V・ファーレン長崎 0-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/なし
     長崎/なし

 4月の3連戦最終日となる第10節、コンサドーレ札幌はV・ファーレン長崎との対戦です。昨季JFLで優勝を果たし今季からJリーグに参入した長崎は、2005年に誕生した比較的新しいチームですが、当初から長崎出身の高木琢也氏をテクニカルアドバイザーとして迎え、また地元長崎の強豪校である国見高校で長く監督を務めた名古…いや小嶺忠敏氏が運営に関わるなど、地元色の強いチーム作りをしています。長崎出身の選手は今のところ少ないですけど。
 高木琢也氏を監督に迎え、Jリーグ初挑戦となる今季、初年度のチームはだいたいJ2の壁に阻まれることが多いものでして、長崎も開幕3戦で1分2敗と、ご多分に漏れず苦しいシーズンになると思われましたが、その後は前節まで6試合でなんと5勝1分という快進撃を見せ、順位を一気に3位にまで上げています。なんでしょうかね。おどおどしてた地味なメガネ女子に突然神さまが憑依してうんたらみたいな展開です。CVは早見沙織で。
 アウェイ連戦となる札幌は、前節鳥取戦の後は札幌に戻らず、大阪でミニキャンプを張ってこの試合に臨んでいます。今季初の連勝を果たして勝点6を上積みしましたが、順位はまだ14位。とはいえ今のところJ2はだんご状態が続いており、4位のファジアーノ岡山とは勝点3しか離れていませんから、現時点で順位を気にする必要はさほどなさそうです。つっても、栃木SC戦とか松本山雅戦とかファジアーノ岡山戦とか、内容的に勝点を取っていればいけない試合を落としているのがもったいないですよね。3試合とも引き分けだったとしても、札幌が4位にいれたはずなんですから。もっとも、その際はこの試合が「長崎対札幌の上位対決!」なんて言われてたかもしれず、それはそれでコレジャナイ感が半端ないわけですけど。

 札幌のメンバーは、サイドバックの上原がチョソンジンに変わった以外は前節と同じ。ソンジンとの入れ替えが右の小山内ではなく左の上原だったというのはちょっと意外ですね。まぁ実際小山内くんは試合に出ながら成長して行っているのがわかるので、今はそれに水を差したくないというのがあるのかもしれません。ONE PIECEマニアの日高がようやく戦列に復帰出来たとはいえ、サイドバックの人材が多いに越したことはないですしね。個人的には和波さん的無謀さを秘めた上原のサイドバックも好きなのですけど。

 さて試合。開始からJの先輩として格の違いを見せつけるべく、長崎に激しいプレスをかける札幌。しかし連戦の疲れかそれももったのはほんの数分くらいで、10分を過ぎた頃には早くも相手に主導権を握られ始めます。ヤンキー漫画なら「センパイ、思ったより大したことないッスね。もっと『厳しさ』ってのを俺に教えてくださいよ」みたいに言われているような展開。相手の攻撃のスピードも遅いことが多かったこともあって守備自体はそんなに危ないと思われるシーンは多くなかったのですが、攻撃のほうは25分に小山内が深くえぐって上げたクロスから宮澤がニアサイドで合わせたシーンが惜しかったくらいで(あれを決められる選手なら今頃札幌にはいない)、あんまり得点の予感はしませんでした。まぁ、やっぱりお疲れなんでしょうね。

 そして後半、あまり内容の良くない中追い打ちをかけるように、プレイ中に膝を痛めてしまったらしいパウロンが交代を余儀なくされます。相も変わらず変態的な身体能力で相手の攻撃を文字通り跳ね返し、ファンタジックなプレイで一部観客を魅了していたセンターバックの負傷という事態に、財前監督はベンチ入りしていたセンターバックの奈良竜樹ではなく、サイドバックの上原慎也を投入。左サイドバックに入っていたチョソンジンをセンターバックにスライドさせました。確かにソンジンはもともとセンターバックの選手だとはいえ、ここまで実戦でセンターバックに入ったことのない選手をいきなり試合で試すのはリスクが大きいんじゃないかとは思いましたけど、ソンジン自身も不慣れな左に入っていたこともあってあまり目立ってはいませんから、パウロンの負傷への対応とサイドバックのテコ入れを同時にやったということなんでしょうね。全体的にどの選手も疲労で動きが重かったですから、交代の選択肢は多いに越したことはありませんし。
 J2はだいたい「終盤になるにつれ両チームとも疲れてきてノーガードの殴り合いになる」のがおおよそのパターンですが、さすがに8日間で3試合めとあって、後半から早くも殴り合いの様相を見せてきます。ただ殴り合いといえば通常はお互いボコボコになるイメージですけど、この場合は攻撃側も疲れているので、シュートに行くまでにミスでチャンスを潰すか、シュートにいっても枠を捉えられなかったりで、どっちかといえば空振りとか手打ちパンチとかでお互いダメージを与えられないといったところです。さらに試合も終盤になってくるとますますその傾向がはっきりしてきて、既に足を止めての打ち合いみたいな感じ。キャットファイトというよりかは、小学生が泣きながらぐるんぐるん腕を振り回してケンカしてる感じ。
 こうなると戦術とかへったくれもなくて、勝ったモン勝ちというか負けたモン負けというか、とにかく相手よりも多くゴールを入れたほうが勝ち、みたいなある意味サッカーの原理みたいなものすら見えてくる気もしますが、そのゴールにボールを入れるってことすら難しい(要するにゴールが入らない)のは原理ではないような気もするので、難しいところですね。そんな感じでお互いに攻め込むシーンこそ多いもののあんまり惜しいシーンというのは決して多くなくて、札幌で惜しかったのってマエシュンのシュートくらいでしたね。これも相手GK金山にうまくセーブされちゃいましたけど。

 そんなわけで試合はそのままスコアレスドローで決着したのですが、アウェイ連戦を含めた3連戦を2勝1分というのは決して悪くはない成績だと思います…というか、この試合ひとつ見てもどっちかといえば押されていた内容だったので、悪いなりにも勝点を得ることが出来た(10試合目にして初引き分け)わけですから、勝点1は上出来とも言える結果ですね。

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