2013年J2第8節
コンサドーレ札幌 2-1 徳島ヴォルティス
得点者:札幌/パウロン、上原
徳島/大崎
開幕から7試合が経過し、2勝5敗と若干負けが先行している感の強い札幌。順位は22チーム中19位と、今ではJ2でも下のほうになってしまったチーム強化費からすればまぁ妥当とも言える成績ではありますが、さりとて栃木SC戦や松本山雅FC戦、はたまた前節のファジアーノ岡山戦のような「最低でも勝点は取っておくべき内容の試合」も多く、もう少し出来るんじゃないかという気もしないでもない今日この頃。とりわけ、まだホームで1度も勝てていないのは気分的にもあんまりよくないので、そろそろホーム初勝利といきたいところ。相手は徳島ヴォルティスです。
2011年に札幌と最終節まで昇格を争った徳島は、2012年も積極的な補強でJ1昇格を目指したものの、最終順位は15位とまさかの低迷。今季も千代反田充、柴崎晃誠、高崎寛之といった実績のある選手たちを獲得しています。しかし開幕から3試合で2敗1分とスタートダッシュに失敗、その後3連勝で持ち直し、現在3勝3敗1分けの10位につけています。去年は上里とかジオゴさんとか西なんとかさんとか妙に札幌色の強いメンバーだったのですが、その3人とも昨シーズン限りで退団したため、いまではすっかりよそ様なチームとなりました。ちなみにジオゴさんは今、ブラジルのHorizonteというチームにいるようです。
札幌は前節岡山に3失点で手痛い敗戦を喫したことで、財前監督はDFのメンツを入れ替え。小山内、パウロンはそのままに、櫛引、上原を起用。さらにはここ4試合スタメンで出場していた深井一希を下げて、上里一将を本来のボランチで起用。この辺は、今の段階ではメンツを固定するよりかは、選手間の競争意識を煽るのと、それぞれに経験を積ませて個人のレベルアップを優先しているということなんでしょう。その中でもパウロンは多少我慢強く使っていく方針のようですが。高く売れそうですしね! そして空いたサイドには、ここまで途中出場で多くの得点の起点となっていた砂川誠を初スタメンで起用。逆側のサイドは宮澤裕樹、トップ下内村圭宏、ワントップにテレという布陣です。
さて試合。ホーム初勝利に向けた札幌が開始からすっ飛ばす…かと思いきや、すっ飛ばしたのはアウェイの徳島でした。津田・高崎・大崎のトライアングルに手を焼いて札幌のラインはずるずると下がり、だだっぴろいスペースを好きなように使われます。必然的にDFも後手後手に回ることが多く、19分には一か八かのディフェンスに行った河合主将が、ほぼ1点もののシーンを救ったかわりに左足を痛めてしまいます。そんな河合主将が見せた魂の守備の後のCKで、宮澤が相手を倒してしまいPKを献上するという、報われない主将の意地。しかし、このPKをGK杉山が完璧にストップ、跳ね返ったボールを再び狙われますが、これもはじいてピンチを救いました。結局河合主将はこのあと前半21分に早くも交代してしまいますが、チームで数少ない30代のベテランたちが気を吐く姿に、若手たちも一層の奮起をするかと思いきや、29分にはパウロンの中途半端なクリアからあっさり失点してしまいました。報われないベテランの意地。その後もチャンスの数としては徳島のほうが多く、なんとか1失点で済ませたという内容で前半終了。ひどいよね。ひどすぎるよね。許してなんて言えないよね。ダメ、鼻汁が出ちゃうとかそんな感じ。
後半、財前監督はテレに替えて岡本賢明を投入。テレはラインが下がって孤立してしまっていたので、まったく生きてなかっただけに仕方ないですね。で、実際ボールを引き出せる選手が砂さんの他にもう1人入ったことで、宮澤、上里らパスを出す側の選手が多い札幌の攻撃が活性化し始めます。なぜこれを前半からやらんのじゃいという感じの怒濤の攻めを見せます。そして11分に得たコーナーキック。上里からのボールをDFパウロンが頭ひとつ抜け出してヘディングでゴール隅に決め、同点に追いつきました。うれしい来日初ゴールを決めたパウロンは、すぐさま一目散にゴール裏に向けて走り出し、かつての某助っ人FWのように羽ばたいたり、かつての某助っ人ボランチのように怪しげな踊りを披露したり、はしませんでしたが、サポーターに自らの存在をアピールします。まぁアピールしなくてもオモロいのは知ってますので。
さて、同点に追いついて気をよくした札幌は、その後も攻撃の手を緩めません。深井くんからの小山内くん(ユースの先輩)への無慈悲なロングパスとか、ここのところ調子を上げてきたらしいヤスがゴール前に積極的に顔を出したりしますが、相手GK松井の好セーブに遭い得点に至らず。それでも後半29分、再びコーナーキックのチャンスを得ると、これまた上里からのボールを、今度はDF上原が頭で文字通りぶち込んで逆転に成功。上原も今季初ゴールとなります。それにしてもパウロンもたいがいですが上原もむちゃくちゃな身体能力ですよね。髪を赤くしてバスケやってたら花道くんって呼ばれてましたよね絶対。普通にダンクシュートできるんだろうなぁ。いやお笑いダンクシュートでなくて。
松本戦や岡山戦がそうだったように、逆転してから、あるいはリードを許してからの戦い方に課題を残しているわけですが、この試合でも直接失点にこそ結びつかなかったものの、危ないシーンはたくさんありました。決定的なピンチもGK杉山のファインセーブに救われ事なきを得ただけの話であり、PKストップも含めてこの試合は杉山さんのおかげで勝てたと言えると思います。
実際、相手だって点を取らないといけないわけですから、羽化する時期を間違えたセミの如く必死に攻めてくるのは当たり前の話なんで、その辺はもう少し危なげない試合運びができるようになって行ってもらいたいですね。慎重かつ大胆に。