チームの状態は一向に上がらないまま迎えた王者・鹿島アントラーズとの函館での一戦。この試合で哲二監督は、ユースからの昇格選手である"King of Sapporo"新居辰基をベンチメンバーに入れてきました。「早く新居を出せ」とキックオフ直後から言い続けたオレが待ち望んでいた新居のJ1デビューは後半25分。ケガで退場した板長との交代で訪れました。
初めてプロのピッチに飛び込んでいった新居ですが、ユース時代からブイブイいわせていた彼は、「まずはJ1の雰囲気に慣れる」なんて殊勝なことは微塵も思ってなかったようです。それからわずか12分後に初ゴールをゲットという仕事をやらかしてしまいました。
まぁ、確かに2点をリードした鹿島のDFがちょっと気を抜いていたというのもありましたが、何しろ「あの場所にいた」という事実、そしてピッチに入ってから訪れた最初のビッグチャンスに冷静にトラップし、キーパーの動きをよく見て冷静に流し込んだ一連のプレイは「天性のストライカー」とも言えるものです。言うなればニュータイプです。
現在背番号10を背負って、後半途中からキャプテンマークを巻いてプレイしていた「ミスターコンサドーレ」山瀬功治も、2000年5月4日の湘南ベルマーレ戦(厚別)でデビュー戦初ゴールを決めました。弱冠19歳ながらも、もはや札幌に欠かせない戦力となったユース代表今野泰幸も、2001年4月7日の東京ヴェルディ戦(室蘭)で初スタメンで初アシストを記録しています。確かに新居はミスもちょこちょこありましたが、それでも得点を決めました。彼も先輩たちのように、そういった星のもとに生まれついているのかもしれません。
しかし、新居の真骨頂はまだあんなものじゃありません。彼の魅力はなんと言っても、ボールを持つだけで爆笑できる俺様っぷりです。札幌サポーターはもちろん、他チームのサポーターの皆さんも、コンサドーレ札幌FW・"King of Sapporo"新居辰基の名を憶えておいてください。彼は日本サッカーを変える(予定の)男です。おわかりですね? 田嶋幸三監督。
また、曽田の成長にもオレは感心しました。うまくなってます。具体的には基本技術もそうなんですが、それよりも走るフォームが良くなりましたね。重心が低くなって、そう簡単に倒れなくなりました。そのお陰でポジション争いでも負けなくなり、それがヘディングでの強さにも繋がっています。新居のゴールをアシストしたヘディングは素晴らしいものでした。待ち望んだ道産子2トップ(正確には新居は2列目に入ってましたが)でもぎ取った得点に、オレはホントに泣きましたよ。たとえ成り行きとはいえ。
もちろん、健作のアーリークロスもドンピシャでした。ストッパーの時とのポジショニングの違いに戸惑っていた健作ですが、彼もまたうまくなっている選手の一人だと思います。
それともう一つ、ビジュの退場についてですが、同じくJ1デビュー戦となった吉瀬にとっては、いくら平瀬がわざわざペナルティエリアの中に入って倒れたとはいえ、PKを与えてしまったのは相当なショックだったはずです。あそこで他の選手が何も言わずに引き下がったら、「やっちまった」吉瀬は救われないでしょう。それは、茫然自失で顔色を失ったままその場から動けなかった吉瀬を見ればわかるはず。なので、オレはあのビジュの退場については「今回に限っては」おとがめナシとします。ビジュがそこまで考えていたとは思えませんが。
つうか、ああいう場面で吉瀬を使ったのは哲二監督なのですから、後のフォローはきっちりして貰いたいです。吉瀬にとってはトラウマになりかねないプレイですから。新居を使ってくれたのは評価しますが、それさえ出来ないのだとしたら監督の能力が云々とか以前に人の上に立つ資格はないです。
そんな感じで上記のような明るい材料はあったとはいえ、負けは負けです。再び順位表の1番下に躍り出てしまった札幌は、まさに愛しさと切なさと糸井重里。そんな鹿島戦観戦記をどうぞ。あとリンク1件追加してます。小梅さんのガンバレ!北海オホーツク!です。