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2007年10月 アーカイブ

2007年10月 4日

たまには勝てます

2007年Jリーグディビジョン2第42節
コンサドーレ札幌 3-0 モンテディオ山形
得点者:札幌/ダヴィ2、征也
     山形/いません

 絶望した!

 イヤ、勝ったんだっけ。

 そんなわけでここ5試合で得た勝点はわずかに1というどん底の札幌は、ホーム厚別公園競技場でモンテディオ山形を相手に3点を奪い6試合ぶりの勝利を挙げました。前回勝ったのも山形でした。2004年から2005年にかけては、対山形戦の成績は8試合で1勝7敗という大変見事な負けっぷりを見せていましたが、2006年は1勝3分となかなか勝てないながらも負けはなくなり、今季は4試合で3勝1分とすっかりお得意様状態。時代は変わるものというか、あれだけツンだった山形がこんなにデレになるとは思わなかったですね。
 まぁその理由としては、やはり山形の戦力が年によって大きく変わるというのが一番大きいかも知れません。活躍すると引き抜かれ、というのはJ2チームにはつきものですが(J1も代表のレギュラーに名を連ねるになるとだいたい海外に移籍したがるようになる「スラムダンクの谷沢くん現象」が見られるようになりますけど)、山形の場合は特にそれが顕著で、毎年主力が抜けチームが大きく変わることが多いためでしょう。山形に滅法弱かった2シーズンに山形に在籍していた大塚真司が札幌に移籍してきたのが2006年。大塚が山形にいた頃に唯一勝った試合は、当の大塚は出場停止だったという非常にわかりやすい理由もあります。まぁ大塚いなくても負けたことはありますんで、それだけが理由というわけでもないんですけどね。
 しかし、この試合大塚はスタメン落ち。もともと豊富な運動量と対人守備の強さが売りの選手ですが、ここにきてさすがに疲れもたまってきたのかプレイの精度を欠いているのも事実。札幌の攻略法としてザスパ草津の植木監督が編み出した(?)「ラインとラインの間に人を入れる」という戦略への対抗策としてスタメンに名を連ね、そしてしっかり答えを出してましたし、この試合は横浜FCから期限付きで加入したMF鄭容臺が大塚の代わりにスタメン出場し、そして及第点以上のパフォーマンスを見せて勝利に貢献していましたが、この容臺もタイプとしては大塚とほぼ同じ特徴を持つプレイヤーですから、大塚が万全であれば3連敗することもなかったとは思うんですけどね。まぁ、「敵だったときは手強かったのに味方になるとさほどでもなくなる」と考えると、古き良き週刊少年ジャンプの王道っぽくてそれはそれでいい感じなんですが。
 札幌が勝てなかった頃の山形というのはとにかく鬼のようなプレスで2~3人があっという間にボールホルダーを取り囲み、奪ったらそのまま怒濤のように選手が飛び込んできて、なんにもさせてもらえないうちにゴールされてたという感じのサッカーだったんですが、ここの所の山形は戦い方自体はそれほど変わっていないものの、ゲンナリするような守備は影を潜め、特にこの試合は中2日でのアウェイゲームということもあり全体的に山形選手の動きは鈍く、結果として札幌がやりたい放題に近い試合ができました。

 それでもなかなか点が奪えないあたり、札幌もやはり完全復活とまでは行かないようで、あまたのチャンスを作り出しながらも点は奪えません。うまく行ってないチームというのは、こういう時に早く点を取りたいと思うあまりに焦って攻め込んでしまい、景気よくカウンターを喰らったりセットプレイで守備の集中を欠いてぼかーんとやられたりするものですからね。特に連続得点試合が途切れてからは3試合得点がなかった札幌にとっては、いいときの心理状態は望めないわけですし。
 そういう意味では、前半44分のダヴィのゴールはチームを救ったと言えるでしょう。得点の取り方もよかったですしね。DFラインとGKの間に速いクロスを送り、元気がニアサイドに飛び込んで相手の注意を引きつけてファーのダヴィが決めるという理想的なパターンでした。相手のミスに乗じてのものではなく、攻撃が機能したという点では自信を取り戻せる得点だったと思います。
 そして後半開始早々にCKからダヴィが奪った追加点も同様に、札幌の命綱だったセットプレイからの得点ということでやはり大きな意味のある得点でしょう。同時にダヴィにとっては久しぶりの1試合2ゴール。通算ゴールを14に伸ばしました。しっかりイエローカードもゲットし、カードの枚数も14に伸ばしています。この試合終了時点でセレッソのアレーと並んで最多タイ(2位はフッキ)。話はちょっとずれますがざっと各選手ごとの警告数を調べてみたら、ブラジル人選手の警告数が飛び抜けて多いんですよね。10回以上の警告を受けている選手の中で、各チーム3人ずつ以下しか出られない外国籍であるブラジル人選手が半分以上を占めています。それだけブラジル人は気性難な人が多いのかとも思いますが、今までの札幌のカードゲッター(エメとかフッキとか中尾とか)の例と照らし合わせても、取り立てて問題児にも麒麟児にも浮浪児にも見えないダヴィが多くの警告を受けているのは、やはりあのめんこさにダマされているのでしょうか。
 まぁそれはともかくとして2点のリードを得た札幌。しかしよく言われることですが、サッカーにおいて2-0というのは一番危険な点差です。特に不調に陥っているチームにとっては、もし1点を返された場合、「まだ1点勝っている」という心理ではなく「もう1点しか勝っていない」という心理状態に陥ってしまい、同点あるいは逆転までされてしまうことが多いもの。それなりに長くサッカーを見てきた中で、そういう試合を何度も目にしてきました。締切なんかでも「あと2日ある」ではなく「あと2日しかない」と思うと、焦ってしまってはかどらないとかよくありますよね。従いまして「次の1点」をどちらが取るかが勝負の分かれ目となるわけですが、その辺りがわかってるのか、それとも今までの鬱憤をピリッとしない山形にまとめて晴らそうという外道なことを考えていたのか、とにかく2点で守りに入ろうという意志はさらさらないようで、攻撃の手を緩めません。
 そしてダメ押しの追加点が生まれたのは後半38分。ちょっと目を離すととんでもないところにいたりする池内が左サイドのオープンスペースに出したパスに砂川が追いつきクロス。この時ペナルティエリア内には、普段は2人くらいしかいないくせに、この時ばかりはネジが一本外れたかのように4人くらいが殺到していたんですが、砂川の体勢が充分ではなかったため、ふわりと浮いたボールは珍しくたくさんいた札幌の選手たちをあざ笑うかのようにことごとく無視して逆サイドに流れていきハイそれまでよ、と思いきや、走り込んでいた征也がダイレクトで合わせて蹴り込み3点目をゲット。2つのアシストを決めた後にゲットしたゴールのご褒美は、芳賀主将のチョップでした。
 その後は危なげなく無失点で凌いだ札幌が3-0で勝利。久しぶりに札幌の首位らしい試合を見たわけですが、逆に山形はほとんどいいところなし。唯一ハッとしたのは、後半頭から投入された山形の根本亮助の岳也っぷりくらいでした。

2007年10月 7日

私はピアノ/サザンオールスターズ

人も恨やむよな守備が いつも自慢のチームだった
俊也となら国立に ゆけるつもりでいたのに
突然の嵐みたいに 音を立てて崩れてく
涙が出ないのはなぜ 教えて欲しいだけさ

プロとして超情けない みんなして打つわ変なシュート
当たり前のように外れ いつしか守備もグダグダに
思い出に酔うひまもなく 心から強いと言えた
あの頃がなつかしくて 何もかも

主力がいなければ 1から10までサテライト
見せ場もないままに負けてる 勝ち残ったのはアマ・TDK

思いきり感じたままに 魅せる優也危なくて
内容じゃなくて結果で 解り合えてもいたのに
2部のチームなら誰でも J1を目指せばわかる
お金がないようなチームにゃ それでいいのよすべて

コンサを嫌いになったとちゃう そんなことないわいな
あっそう! この先どないせというのダヴィ そんなこと知るかいな

辛いけど涙みせない アマに負ける日にはヴェルディ
情けないチームになって しまいそうな時にはサンガ
ためいきが出ちゃうよな試合 静かにPK決められて
負けた試合が今でも 恥ずかしい

ひとしきり泣いたら 馬鹿げたことねと思う
俊也に問いかけて みたけど
俊也に問いかけて みたけど
くりかえすのはただ ハードワーク ハードワーク

2007年10月11日

くるくるピー

2007年Jリーグディビジョン2第44節
セレッソ大阪 1-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いなかった
     セレッソ/古橋

 前節東京ヴェルディに1-5という大敗をくらい、加えて天皇杯第3回戦では控え中心のメンバーだったとはいえJFL中位のTDKにPKで敗戦と、ここのところ抜け殻のように負けまくっているコンサドーレは、水曜日に行われた第44節でセレッソ大阪とのアウェイ戦を行い、前半35分に古橋のゴールで奪われた1点を最後まで返すことができずに敗戦。またしても連敗となってしまいました。
 しかしこれだけ景気よく負けてもなぜか順位はまだ首位のまま。他のチームもなんだかんだで肝心なところでけつまずいたりしてるので、前半の貯金が今頃になって生きてきているのではないでしょうか。まだまだ札幌は見放されたわけではありません。つっても、どっちかというと今の状態って、後先考えず全力ですっ飛ばしてきて第4コーナーを過ぎて馬群に飲み込まれるという単なる「テレビ馬」というほうが近いような気もしますけど。
 しかしいずれにしても確実に言えることは、今サポーターも含めたコンサドーレというチームはかつてない状況にいるということです。これまでコンサドーレがJ1に昇格したのは1997年と2000年と2度あります(正確に言えば1997年はまだ現在のような2部制ではなく、当時の札幌は旧JFL所属だったため、「昇格」ではなくJリーグへの「参入」と言うべきなのですが、めんどいのでここは「昇格」で統一)。いずれの時もコンサドーレの成績はともに優勝。それも最終的に2位とはそれぞれ勝点8、勝点12の差をつけての余裕のシーズンでした。逆にチーム創設の1996年を含め下部リーグにいた都合6シーズンは、だいたいの場合昇格争いに加わることができませんでした。2005年に昇格争いに絡んだと言えなくもない感じの時期がちょっとありましたけど、それすら伝説のロスタイム3失点で霧散してます。つまり、札幌はこれまで「苦労の上に昇格」という経験はありません。まぁ過程はどうあれ昇格できれば別になんだっていいっちゃあいいんですし、わざわざくろうみそを進んでなめることもないだろうとも思ったりもするわけですが、「若いときの苦労は買ってでもしろ」と言いますし、苦労すればするほどその感激もひとしおに違いありませんから、たまにはこういうのもいいかもしれません。

 ちなみに、2部制がスタートした1999年から現在まで、入れ替え戦の導入などのレギュレーションの変更はありましたが、自動昇格枠はJ2の2位までというルールは変わっておりません。で、その歴史においてこれまで自動昇格した18チームのうち、順位がすぐ下のチームに勝点9以上の差をつけて昇格を決めたチームは7つ。このうち5チームが昇格後2年以内に降格しています。残りの2チームのうち1つは勝点18もの差でぶっちぎり優勝した2004年の川崎フロンターレと、現在やばい位置にはいますがとりあえず3シーズンJ1に居続けている大宮アルディージャ。逆に最終盤までもつれた末に昇格を決めたのは7チームのうち、4チームがその後降格を経験しておらず、昨年昇格した柏レイソルも現在のところJ1で5位と健闘、残りの2チームは2年後に降格していますが、そのうち京都パープルサンガ(現京都サンガFC)は翌年のJ1で年間順位5位となり、天皇杯にも優勝しています。まぁ毎度オレもこんなことやってますけど、いままでこの手のデータがアテになった試しがない井崎脩五郎先生のデータ予想みたいなもんですし、昇格後のチーム作りとか複合要素の上での結果ではあるんですけど、けっこう差が出てるように思います。だからといって別に余裕で昇格したからって別に苦労してないと言ってるわけじゃないですが、こういう苦労の末に勝ち取った昇格がもたらすものは、結構大きいのかも知れないです。
 そういう意味では、このしびれるような昇格争いはむしろ望むところだぜなんて思ったりもしてるのですけど、正直なことを言えばそれよりもまず試合でしびれたいというのも本音なわけで。いやね、前半に西嶋のクロスから元気が打ったシュートフォームがもう少しで水魚のポーズだったのにとか、久しぶりに「ずっきゅーん」という効果音つきのソダンのヘディングが見られたりとか数少ないながらもずれた見所はありましたし、守備もここのところのだっふんだディフェンスからは脱したようにも見えるんですけど、いかんせん攻撃がもの悲しいままではあまり巧妙が見えてこないのも事実。まぁもともと組み立てという面においては、勝ってた頃だって「当たればホームランですが当たりません」みたいなトマソンオフェンスではあったのですけど、そんな中でもやはりセットプレイという得点源に期待できなくなっているのが痛いですね。もっとも、セットプレイだって百発百中というわけにはいきません。よっぽどの実力差があるなら別ですけど、1度や2度のフリーキックやコーナーキックで1点取ろうなんて、10発くらいのパチンコ玉で大当たり狙うようなものです。なので、得点の確率を上げるためにはまずいい位置でのセットプレイを増やさなければいけないわけで、そしていい位置でセットプレイをもらおうと思うならそれだけアタッキングエリアにボールを運ばなければいけませんし、結局のところそこまで至ってないってことなんでしょうね。この試合のコーナーキックなんて1本しかないし。
 ただ、それでも前半の古橋のシュートなんて、以前の流れであればポストに当たってたりしてたかもしれないんですけどね。なんかよっぽど女神様にそっぽを向かれてしまったか、あるいは「わるいもの」が取り憑いてしまったのか、どっちにしても第4クールになって勝点3しか取れてないのは異常事態。気づかないうちに設定改悪された上にオリジナルキャラが幅をきかすレベルの状態になってしまったのでしょうか。

 まぁオレ自身はもう腹はとっくにくくってますから、この先どうなろうともここまでやってきたことを信じて行くしかないのですけどね。実力的にはJ2でも決して特別な存在ではないのはシーズンの始めからわかっていたことですけど、あとはそんな中でも最後まで意地を見せてくれれば、最後にはきっと結果はついてくるはずです。迷わずいけよいけば(ry

2007年10月16日

渡しませんよ

2007年Jリーグディビジョン2第45節
コンサドーレ札幌 2-1 ザスパ草津
得点者:札幌/サザエさん、ジャッキーさん
     草津/陳念さん

 あれだけあったリードが気がつけば東京ヴェルディにすぐ後ろまで迫られ、まさに尻に火がついた状態のコンサドーレ。まぁJ1へはとにかく2位以内に入りさえすれば昇格の権利を手に入れることができますし、もっといえば最悪3位でもJ1への道は残されているわけですけど、いかんせん追ってきてるのがヴェルディや京都サンガ、ベガルタ仙台といった地力上位のチームだけに、毎度馬にたとえて申し訳ないですが逃げ専門場みたいな札幌にとっては、1度でも抜かれたら最後馬群に沈んでいきそうな気もしますんで、最後まで粘れるだけ粘ることが大事。それだけにこの草津戦は、下位とのホームゲームという意味でも非常に重要な試合でした。重要度で言えばミラーマンにおける鏡くらいのレベルです。
 前節セレッソ大阪戦で、敗れはしたもののある程度守備のやり方を思い出したのか、それともいい加減開き直ることができたのか、とにかく手応えを掴んだらしい札幌は、開始からアグレッシブなディフェンスを見せます。あとは攻撃面をどうするかなんですけど、前回のエントリでも書いたとおりもともとパスを繋いで攻撃を組み立てていくなんて芸当は最初っから持ち合わせてはいないわけで、そんなことができるチームなのであれば去年だって昇格はできないまでももう少しいい勝負はできてたはずで、だったら勝ってた頃はどうしてたかといえば前線からプレスをかけて高い位置で奪ってそのままゴール前まで持っていくか、あるいはうまくフリーキックをもらってセットプレイで決めていたかだいたいどっちかのパターンでした。ロングボールによる攻撃、いわゆる「縦ポン」にしても、やり方そのものの是非はともかくロングボールは「通ればラッキー」程度で、長いボールを前線に送ってその間にラインを上げて、相手に渡っても前からプレスをかけて高い位置で奪ってしまおうという、積極的なんだか受け身なんだかあんまりよくわからない「誘い受け」な攻撃方法だったのかも知れません。そこでうまく奪えれば攻撃チャンスが広がるし、守備が機能してなければまたすぐ最終ラインまでボールが戻ってきて、やっとこさっとこ奪って前線に送ったけどやっぱりすぐ戻ってきての繰り返し、そのうち集中が切れてあっさりやられる、というのがここ最近の失点パターンだったように思います。
 まぁそれが改善されてきて、開始から積極的にプレスをかける札幌がペースを掴みます。前半5分、ゴール前まで攻め込んでダヴィがペナルティエリアに突進していき、このボールはいったんはクリアされたものの、そのボールを西嶋が拾います。西嶋がボールを持った位置はエンドこそ違うものの、前節セレッソ戦で元気に合わせたクロスを上げたのとだいたい同じ。元気の水魚のクリアで得点には至らなかったものの、絶妙なピンポイントのクロスでした。この位置からなら、西嶋の持つ最大最強の「ダイナミック・ヒロユキ・クロス」が生きてきます。ちなみに西嶋の唯一の技でもあります。で、その西嶋が放ったダイナミック(略)、いつものコンサドーレであれば「中に誰もいませんよ」となるはずですが、この時はドンピシャの位置でダヴィがなぜかどフリー。けっこう難しいボールだったと思いますが、うまく頭で合わせて先制点をゲットしました。
 開始早々のゴールでずいぶんと楽になった札幌は、その後も快調に攻め立てます。狙うは当然追加点。足を痛めた西谷に変わって左ハーフで先発出場した砂川を中心に次々とチャンスを作り出します。そして前半18分、左サイドの相手陣内深くでボールをキープした砂川が戻したボールを受けた芳賀が、すぐさま再び前線にスルーパス。このボールに走り込んでいたのが砂川でした。フリーでボールを受けた砂川はGKとの1対1を落ち着いて左足で決め、2点目をゲットします。早い時間での追加点で、札幌が試合を優位に進めます。
 しかし、この得点以降札幌の攻撃は停滞します。守備自体は機能しているので得点を取られる心配はあまりないものの、若干受け身になったのか攻撃もややペースダウン。まぁ2-0ですから前半でそんなに無理をすることはないのですけど、あまりシュートシーンも見られなくなりました。前半はそのまま2-0で終了します。

 後半に入ってもあまり状況は変わらず。草津が前がかりになってきたためカウンターのチャンスが増え、ゴール前までボールを運ぶシーン自体は増えましたけど、それでも最後の詰めが甘く得点には至りません。後半1点でも決めて3-0にしておけば草津も戦意を喪失したでしょうし、そうなれば大量点も望めたかも知れませんけど、そこで思惑通りにならないのがこれまた札幌というチームなわけで、点を取ろうという意志は見えるもののそれが結果に結びつかず、やきもきしたまま45分が過ぎてしまいました。そして、後半アディショナルタイム。「最後のチャンス」とばかりに得たコーナーキックからのカウンターで失点してしまい、結局そのまま2-1で試合終了。完封勝利を逃したのはもったいなかったですけど、あれはまぁ、個人的にはあまり監督や選手を責める気にはならないんですよね。確かにあの場面は、ショートコーナーにしてコーナーフラッグ付近でキープして時間を潰すのがセオリー。加えて、草津は点を取るためにコーナーキックでの守備を捨てて前線に5人もの選手を配していました。守りきろうとするのであれば、札幌も前線には上がらずにカウンターに備えて少なくとも同数の選手をマークにつけていたでしょう。もし1点差の状況で同じことをしたのであればオレも怒り狂いますけど、この時点で2点差。まぁ札幌の場合、アディショナルタイム突入の時点での2点差はリードのうちに入らない前科があるんですけど、それはともかくとしてたとえ1点取られてもまだ札幌が勝っています。1点差にされるリスクを充分承知の上で、3点目を取りに行った姿勢そのものは悪いことではありません。得失点差を考えて安全策を採るべきだったという意見も正しいのですけど、逆に言えば得点差を考えたがゆえに3-0にしておきたかったという見方もありますし、後半3点目を取るチャンスが何度もありながら外し続けたこともあって、「どうしても3点目が欲しかった」のだと思います。ギャンブルだったことは否めませんし、そもそもいくつかあったチャンスで3点目を決めていればギャンブルに出る必要もなかったんですけど、決して分の悪い賭けではなかったと思います。もっとも、そこそこ分のいい賭けにあっさりと負けるのも札幌らしさではありますが。
 三浦監督はあの場面で「時間をかけろと指示しなかった」ことを悔やんだそうですが、そういう選手の気持ちを感じ取って、指示しなかったのではなくできなかったんじゃないかと思います。その上で、選手に責任の矛先が向かわないようにそういう発言に至ったんじゃないでしょうか。ソダンのミスはしょうがないですね。、あまり膝の状態はよくないのかも知れません。

 とにかく、かろうじて首位を守ったコンサドーレ。まだまだ気の抜けない状況は続きますが、もうここまで来たら後先考えずに目の前の試合に全力投球を続けていくしかないと思います。

2007年10月25日

帰ってきたウルトラ警備隊

2007年Jリーグディビジョン2第46節
アビスパ福岡 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ルーテルおかもっちゃん
     福岡/いません

 前節草津戦でようやく連敗地獄から達した札幌は、今節はアビスパ福岡とのアウェイ戦です。敗れはしたもののセレッソ戦で守備のやり方を思い出し、草津戦で自信を取り戻した札幌にとって、博多の森との福岡戦を制することができれば、その自信が確信に変わると言えるかも知れません。かつては鬼門と言われた博多の森も、ここ数年の成績は(最下位に沈んだ2004年ですら)2勝2敗と悪くないですし、今季もアディショナルタイム男・石井謙伍のゴールで劇的な逆転勝ちを収めた第2クールの試合を含めて福岡にまだ負けていません。とはいえ、同じく負けていなかったセレッソにもさっくり負けましたから過去の対戦成績はあまりアテになるものでもありません。しかも現在7位でもうJ1昇格に後のない福岡はこの札幌戦はどうしても落とせない試合。札幌にとっても、東京ヴェルディ1969が勝点1差とすぐ背後に迫ってきている上、3位のベガルタ仙台が勝点5差、1試合少ない4位京都サンガFCが勝点6差と、こっちが連敗して下のチームが連勝したら途端に昇格圏内からも脱落してしまうという、後ろからのプレッシャー度合いでは券売機の前で財布が見つからない時レベルのせっぱ詰まった状況だけに、落とすわけには行かない試合です。
 しかしながら、前節草津戦で再びポイントMAXとなったトップスコアラーのダヴィが出場停止中。さらには攻撃の起点である西谷が足のケガで欠場。フルシーズン戦ってきた選手だけに、どの選手も程度の差はあれみんなどっかしら痛いところを抱えているものですが、それにしても苦しい布陣です。ちなみにオレはいろいろと趣味的に後ろ暗いところを抱えていますがまったく関係ありません。ダヴィの代わりに石井謙伍が、西谷のポジションには砂川が入り、そしてベンチには久しぶりにルーキー岡本と、これまた久しぶりのイタカレが入りました。

 お互い落とすわけにはいかない試合だけあって、開始からお互いに激しいプレッシャーを掛け合う展開となります。その中で先にペースを掴んだのが札幌。前半7分、自陣深くからのスローインからのクリアボールを拾った征也が、併走するチェッコリをぶっちぎってカウンターを仕掛けクロスを上げるチャンスを演出します。クロスは惜しくも謙伍には合いませんでしたが、いくら相手が足の遅いチェッコリだったとはいえ、さすがに一時期は陸上の選手を目指すことも考えたと言われる俊足の持ち主。これでチェッコリも征也を警戒して容易には上がれなくなる…と思いきや、このプレイでどうやら征也は足の筋肉を痛めてしまった模様。「全力を出すと肉体が耐えきれない」なんて裏設定があるなんて知りませんでしたが、筋肉系のケガだけに無理をさせるわけにも行かず、征也は前半13分に無念の交代。代わりに入ったのはルーキー岡本でした。開幕前のキャンプを見て、いいものを持っているのは感じていましたが、急遽巡ってきたチャンスをキッチリものにするのですから、かつて入団1年目からひょんなことで巡ってきたチャンスで結果を出しチームの中心選手になっていった山瀬や今野らの先輩たちと同じようなものをやはり持っているのかも知れません。岡本が交代で入ってから7分後の前半19分、いきなり任された右サイドからのCKでソダンのドンピシャのヘディングシュートを演出。惜しくもクロスバーに阻まれゴールはなりませんでしたが、その後も独特のリズムのドリブルでするすると突破しシュートを放つなど、ぶいぶい言わせる19歳。そんな19歳に触発されるように快調に攻める札幌は前半23分、ソダンがインターセプトしたボールを岡本が大きく左サイドのスペースに展開、追いついた謙伍が砂川に戻し、砂川が上げたクロスに走り込んでいた岡本が頭で押し込み先制ゴールをゲット。大仕事をやってのけたルーキーを待ち受けていたものは、当然芳賀ラッシュでした。いや、みんなして叩いてましたけどね。ひどい。

 とまぁそんなわけでボールを奪ってからの展開としては素晴らしい形で先制点を奪い、理想的な流れに持っていくことができた札幌は、あとはしっかりと守りながら追加点のチャンスを狙っていけばOK…なんですけど、そこですんなりとはいかないのがここ最近の札幌のようです。2トップの一角に入った謙伍が前半32分と35分と立て続けにイエローカードをもらってしまい、あっという間に退場。札幌は残り55分以上を10人で戦わなければならなくなりました。札幌の守備は前線からのプレスでパスコースを限定させるところから始まるので、その前線が1枚足りなくなった上、アウェイで攻撃力に秀でた福岡を相手に10人で守りきるのはそう簡単なことではありません。
 ただ、とりあえず謙伍がいなくなった時点で1点をリードしているのは幸いでした。これが0-0だったりしたら、たとえ10人でも点を取りにいく必要がありましたけど、「攻めなくていいからとにかく守れ」でいいのであれば、10人でもオノレを取り戻しつつある札幌にとっては何とかならないレベルの注文ではなかったようで、連敗当時はほとんど見られなかった三浦サッカーのミソである「3ライン」がキレイに形成されており、いいパスを出させないことに成功しています。もっとも、最前線は元気1人しかいないので、正確に言えば3ラインではなく「2ライン + 1ドット」って感じなんですけどね。

 後半に突入すると、1人多い福岡は宮本に代え久藤を投入、攻めの駒を増やした福岡の攻撃がますます厳しくなります。福岡にしても負けるわけには行きませんから、戦法の定石として相手のウィークポイントをストロングポイントで攻めるのは当然の理。ずうとるびでいえば江藤くんが狙われるのと同じで、となると守備力という意味ではまだ難のある岡本のいる右サイドを執拗に狙ってくるのは明らかで、実際右サイドを蹂躙されるシーンが多くなります。福岡がそう来るであろうことは当然三浦監督もわかっていたはずですが、本来であれば後半開始時点で専守防衛の策を採ってきたはずが、征也の負傷で前半のうちに既に1つ交代枠を使っていますから、可能な限りは引っ張りたいところだったでしょう。容臺の獅子奮迅のカバーにも助けられ、結局後半15分に岡本は池内と交代。お役ご免となりました。
 で、交代出場の池内が右のサイドバックに入り、右サイドバックだった容臺が1列上がって右のサイドハーフへ。攻撃の駒と言えばもうスナマコしか残っていないわけで、これはもうはっきり「守り切れ」というメッセージ。まぁ池内さんの場合はほっとくと攻撃に行ってしまうのですけど、さすがにここはオーバーラップも自重。池内、ブルーノ、ソダン、西嶋の最終ライン、容臺、大塚、芳賀の中盤を崩そうと思ってもなかなか崩せるものではないでしょう。さらに後半33分には、前線で謙伍の分も駆けずり回った元気に替えてカウエを投入。砂川をトップの位置に上げてさらに逃げ切り体制を整えた札幌は、注文通りに虎の子の1点を守りきりました。

 というわけで、まぁ勝ったからいいんですけど、やっぱり謙伍の退場には思うところはありますね。確かに1枚目の相手にヒジを入れてしまいましたし、2枚目も相手GKアホーガン…じゃなかった神山がキャッチ体勢に入っていたところに突っ込んでいってましたから、「故意かどうかは問わず結果として危ないプレイはカード」という基準だったのであれば、厳しいとは思いますがわからなくもないです。でも、真後ろから足引っかけたり、同じようにヒジの入ったプレイなんて福岡側にもいくらでもあったのに、その全てにお咎めなしというのはやっぱり解せません。もちろん、そんなプレイ全てにカードを出していったら間違いなくノーゲームになるでしょうから、要するにそんなアホな基準は論外ということですし、何より一番頭に来るのは、相変わらず試合後の監督コメントで審判のレフェリングに対する不満・批判があるとJ's GOALだとばっさり検閲されてしまうこと。中立視点ではない監督の立場での審判に対する不満は意味はないのかも知れませんし、別にJリーグやJFAが審判を野放しにしてるわけじゃないのは知ってますが、結果として身内の不祥事を隠蔽するように取れることをやってるようじゃ、選手もサポーターも不信感しか抱かないと思うんですけどね。こういうのはお互いの信頼感で成り立つものなのに、トンチンカン高めてどうするんだって感じですよまったく。

2007年10月31日

また一歩

2007年Jリーグディビジョン2第47節
コンサドーレ札幌 1-0 徳島ヴォルティス
得点者:札幌/元気
     徳島/なし

 10人でのアウェイ戦をルーキー岡本のゴールで辛くもものにした札幌は、今節は中3日で徳島ヴォルティスを迎えてのホームゲームです。試合会場が当初の厚別公園競技場から札幌ドームに変更となったこの一戦に集まったサポーターは10,733人。平日夜の試合だったとはいえ、全天候型で市内中心部からのアクセスも良いドームでかろうじて1万人越えというのは、昇格争いまっただ中にいることを考えるとちょっと寂しい気もしますね。かつてとはチームを取り巻く状況そのものが違うのもわかりますが、これが今のコンサドーレの現状だと認識するほかないですね。おニャン子クラブ最初のソロデビューメンバーとして一世を風靡しながら、晩年は札幌ペニーレーンでライブをしていた河合その子を思い出します。でも哀愁のカルナバルは名曲だと思います。
 さて、ザスパ草津、アビスパ福岡を下してようやく不調から脱したと言っていい札幌だけに、前節終了時点で13チーム中12位とブービーに沈む徳島を相手のこの試合は、ホームゲームだけに負けるわけには断固としていきません。しかし、西谷が相変わらず足首のケガで戦線離脱中で、福岡戦に引き続きダヴィも出場停止の上、福岡戦でイエロー2枚で退場となった石井謙伍も出場停止、さらには同じ福岡戦で太ももを痛めて負傷交代した征也も欠場と、トップスコアラーと控えの切り札、そして両翼までを欠くという輪をかけて苦しい状態。もともとFWが少ない上に相川をFC岐阜に貸しており、さらにサテライトでFWをやることも多い西大伍もブラジルに短期留学中(後日談では、こんな状況なので急遽呼び戻されてこの日はスタンドで試合を観戦してたそうです)で、出撃可能なFWの選手は中山元気と「量産型ウィル」のイタカレしかいません。ここまで来て1トップにシステム変更なんてマネを三浦監督がするはずもなく、というわけで自動的に2トップはこの2人。西谷の代わりにはこれまでと同じく砂川が入り、征也の代わりには福岡戦でプロ初ゴールを挙げたルーキー岡本が入りました。当然ベンチにFWはなし。岡本が90分持たないであろうことを考慮したのか上里、関がベンチメンバー入りしています。

 そんなわけで、試合を有利に進めるために主導権を先に握りたい札幌なのですが、どうにもイタカレと元気の連携が悪く、どうフィニッシュまで持っていけばいいのかという感じ。岡本とイタカレならサテライトで一緒にプレイすることが多いので連携面はまだいいように思いますが、その肝心の岡本が緊張からなのかあんまり足が地に着いていない感じで、いい突破を見せることがあってもクロスボールが全部あさっての方向に行ってしまい、イタカレどころか誰にも合いません。そうなると頼りになるのは砂川だけなんですが、徳島もそれは充分承知のようで、なかなかフリーにはしてくれません。イタカレも仙台戦以来の出場ですが、散々な出来で45分で替えられてしまった仙台戦からあまり良くなったという感じもせず、ボールを持ったところで「羊たちの沈黙」のレクター博士のような見た目ほどの怖さはあるわけでもなく、何となく「レオナルド根岸」という言葉が頭をよぎる今日この頃。徳島も札幌のラインの裏を徹底して狙う展開で、地元の試合で燃える石田を中心にサイドからの突破を試みますが、自信を取り戻した札幌の守備陣を崩すには至らず。お互いゴール前までは行くもののそこから先のフィニッシュまでは持って行けないもどかしい展開が続きます。
 そんな感じで前半スコアレスで終わるかと思われた43分、右足アウトでちょこんと出した浮き球パスに抜け出したイタカレが、ついているマークをものともせずゴール前までずんずんと突破。右足で放ったシュートはいったんはGKに阻まれますが、そのこぼれ球を詰めてきた元気が落ち着いて蹴り込みゴール。貴重な先制点をゲットしました。あまり効いているようには見えなかった岡本とイタカレのプレイから先制点が生まれるのですから面白いものです。

 1-0のリードで折り返した後半、札幌としてはやはり早いうちに追加点を奪い、試合を楽に進めたいところ。開始からようやく試合になれてきたらしい岡本が独特のリズムのドリブルでチャンスを演出しますが、徳島のディフェンスに阻まれ得点には至りません。方やイタカレといえば、全体的に札幌がゴール近くまでボールを運べるようになったため、前半よりはゴール近くでボールに触る機会が増えましたが、クロスに対しても有利なポジションを取れなかったり、ドリブルで攻め込んでも地球を蹴ってしまったり、フリーのヘディングで枠を外したり(オフサイド)とまだ攻撃に効果的に絡むことができず。まぁ冷静に考えればC契約の20歳の選手に過剰な期待をするのもどうかとは思いますけどね。北海道民にもスキーできない人は決して少なくないのに、道民はみんなスキーがうまいなんて思われてしまうのと同じように、ブラジル人だからみんなサッカーめっちゃうめーというわけではないのかもしれませんしね。まぁイタカレはサッカー選手なわけですけど。
 追いつきたい徳島もカウンターから得点機を見いだそうとしますが、10人で福岡を相手にアウェイで守りきった札幌はだいぶ自信を取り戻したようで、徳島の攻撃を単発程度に抑えます。いやぁ、キレイに揃ったラインは美しいものです。といっても、この3ラインシステムがいったいどんな強さを持つのか、未だによくわかってないんですけどね実は。結局、マンマークだろうがゾーンだろうが連敗時と何が変わったかと言えば、フォローの意識が強くなったことと、そのためか次のプレイの予測ができてこぼれ球を拾えるようになったことだと思います。結局追加点は奪えなかったものの、しっかり守りきった札幌が逃げ切って3連勝。昇格へまた一歩大きく近づきました。
 欲を言えば、後半の流れで1点も取って欲しかったですけどね。結局一番惜しかったのは、単独突破でGKとの1対1のチャンスを作り出した守備固めで投入されたはずの池内のシュートくらいだったというのも、いろんな意味でどうかと思いました。

2016年2月

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