テセにびっくり
2008年Jリーグディビジョン1第4節
コンサドーレ札幌 0-2 川崎フロンターレ
得点者:札幌/おりません
川崎/チョンテセ×2
前節柏レイソルを相手にアウェイで今季リーグ戦初勝利を果たした札幌は、今節は中2日で川崎フロンターレを迎えてのホームゲーム。昨季J1得点王ジュニーニョと東アジア選手権得点王のチョンテセ(北朝鮮代表)に加え、昨季J2得点王フッキが加わった前線の破壊力はリーグでもトップクラスと言われ、今季の優勝候補のダークホースにも挙げられていましたが、フタを開けてみると自慢の3トップが全く機能せず、強いといってもただアクが強いだけとなってしまい開幕から低迷。関塚監督とフッキの間に不協和音も聞こえ早くも崩壊の危険性も出てきてしまっていました。
かつては自分勝手なプレイを繰り返していた前年のJ2得点王エメルソンをわずか半年で浦和に売却したり、起用方針などをめぐってごねたマルクスとの契約を即行で解除したように、チームに不利益をもたらすと判断すればどんなに能力が高くてもあっさり手放すのが川崎というチーム(その一方で見込みがあれば我慢強く選手を育てるチームでもあります)。今回もとっととフッキを昨季期限付きで所属していた東京ヴェルディに売却。フッキの代理人側からは一昨年やはり期限付きで所属していた札幌にも獲得の打診があったらしいですが、そもそも外国籍枠は既に埋まってますし、まぁ枠が空いてたとしても4億とも5億ともいわれる移籍金を札幌が出せるはずもないですし、よしんば出せたとしてもダヴィとフッキじゃ右足の残念な2トップが出来上がるだけですので、どっちにしてもあり得ないですね。俺王様なら別ですけど。
それはともかく、川崎とはついこの間ナビスコカップで対戦をしたばかりで、その時は容臺と西嶋のゴールで2-1の逆転勝利を飾っておりますが、この試合のエントリでも書いたように川崎は中村憲剛や山岸智といった代表組が出場していませんでした。この試合では彼らが満を持して出場。フッキがいなくなったことで団結力も高まった、というよりは川崎の選手たちにとって「フッキがいなくなって弱くなった」とは絶対に言われたくないというほうが正確かも知れませんけど、前節はフッキ抜きでジェフユナイテッド市原千葉に快勝してますから、中2日のアウェイ戦とはいえここで勝って波に乗りたいところでしょう。怪我が伝えられていたジュニーニョもスタメン出場で、チョンテセとの2トップを組みます。一応ナビスコカップでは抑えていたとはいえ、J2時代に散々いじめられたジュニーニョに加え、相方のチョンテセはうまさはないですがダヴィとは違った意味で何をしてくるのかわからない怖さがあります。もっとも、川崎で一番何をしてくるのかわからないのはクラブのフロントだったりするわけですが。
札幌もナビスコカップから数えれば2連勝中で、だいぶ自信にはなったと思いますが、前節柏戦で足を痛めたらしいダヴィが欠場。その代役としてスタメンに名を連ねた石井謙伍がと、柏戦であまり見せ場のなかった岡本賢明をサブに回して砂川誠がスタメンに入った以外は前節柏戦と同じメンバー。そこそこはやれることがわかっているメンバーではありましたが、結果としてやっぱりダヴィの不在は思いのほか大きかったですね。まぁダヴィがいたところでどっちみちチャンスになってもシュートをGKに当てておしまい、というパターンばっかりだったとは思いますけど、それでもダヴィは勝負する意識が高いですし、体躯も強いダヴィに対して相手はファウルで止めざるを得ない場合が多いですから、彼がいるとセットプレイのチャンスは増えます。相手のゴール近くでセットプレイが獲れれば柏戦みたいにゴールの可能性もアップします。というか、現状札幌が力で上回る相手なんてほとんどいないんですから、どの試合でも流れの中での決定的なチャンスにまで持って行くなんてそうそうあるはずもありません。その数少ないチャンスを確実に決めるストライカーがいれば話は別ですけどね。その役割を期待して獲得したのがノナトなんでしょうけど、本人が試合に出られるチャンスが数少ない状態ですから、そうなるとあとはいかにセットプレイのチャンスを増やすかということになるかと思うんですが、この日の2トップはまるでそういう気配がありません。確かに札幌の戦術上、FWの役割は守備とポストの占める割合が大きいですし、チャンスが少ないからこそ大事にいきたいというのもわかるんですけど、そうは言ってもたとえ切れ味バツグンの刀でも鞘に収めたままでは何も斬れないのと同じように、前を向いて勝負することを最初から放棄しているようでは、相手DFとしては守りやすいことこの上ないと思うのです。元気や謙伍が切れ味バツグンかどうかは別として。
そういった意味では、チョンテセなんてたとえれば抜き身のまま力任せに斬りかかってくる印象ですからね。もっとも、彼の場合は刀と言うよりはギガンテスの棍棒みたいな感じですけどね。切られるのではなく叩きつぶされる感じで、特に1失点目のシュートはトゥキック…だと思いますが、なんにせよあの振り抜きであのスピードのシュートが飛んで来たらいくらぎーさんでも止められません。というか、あれ止められるキーパーは少なくとも日本にはいないでしょうね。2点目も高木の股をこれもトゥキックで抜いて決めたものですが、前半3度あったジュニーニョとの1対1を3度とも止め、うち1回はジュニーニョが狙っていた股抜きを読み切っていたぎーさんもさすがにトゥキックは止めにくいようです。
この得点のあと、川崎は試合間隔が短いことを考慮してか省エネモードに突入、怪我明けのジュニーニョもかなり力をセーブしてプレイしていたようで、そのためか札幌もそれなりに攻めることができるようになりましたが、いかんせんボールを運べるのがクライトンくらいしかおらず、前線での迫力不足は相変わらず。しびれを切らしたか三浦監督も後半途中からクライトンを前線に上げましたが、今度はそうなるとクライトンまでボールがいかない状態となります。交代出場した岡本もまずまず生きの良さを見せましたが、川崎GK・川島を慌てさせるような場面はほとんど作ることができず、アディショナルタイム直前に高木がペナルティエリアの外でチョンテセを止めて一発レッドをくらい、「GK曽田」というマニア垂涎のシーンが見られた以外は特にこれといった見所もありませんでした。
結局試合は0-2のまま終了。鹿島アントラーズ戦のような「手も足も出ませんでした」というほどの力の差は感じなかっただけに、もう少しうまく守れていれば勝点1くらいは取れたかも知れないと思わないでもありませんが、まぁ足られ馬の話をしても仕方がありませんし、泣いたってしょうこお姉さんとゆうぞうお兄さんは帰ってきまませんからから、早めに切り替えてセットプレイから失点しなかったことをよしとするしかありませんね。