悲しい色やね
2008年Jリーグディビジョン1第14節
ガンバ大阪 4-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/西嶋、柴田
名古屋/バレー×2、ルーカス、山口
J1再開となる第14節、コンサドーレ札幌はガンバ大阪とのアウェイ戦となります。Jリーグ開幕時からの仮名チーム、通称「オリジナル10」の一つであるガンバは、黎明期は下位に低迷することが多く、当時同じく激弱だった浦和レッズと共に「Jリーグのお荷物」などと呼ばれていました。しかしその浦和と同じように近年は力をつけ、2005年に初優勝(関西のクラブとしては初)を果たすと、昨季はリーグ戦こそ3位に留まったもののナビスコカップを制覇しています。前線に構えるルーカス、バレーという日本でも高い実績を持つブラジル人2トップに対し、中央からは二川孝広と遠藤保仁がパスを供給し、サイドからは安田理大、加地亮の新旧日本代表選手がクロスを供給、ディフェンスは橋本英郎と明神智和がどっしり構えるという布陣は、これといったスキが見当たりません。まさに強豪チームとも言えるもの。
そういえば今更ですがいつの間にやらガンバも助っ人補強をブラジル路線に変えたんですね。しかも最近はバレーやルーカス、マグノアウベスのように日本で活躍した選手を引っ張ってきていることもあってほとんど外れがありません。まぁお金があるからこそできる芸当なんでしょうけど、東欧路線だったころの、バブンスキーとかピオトルとかドロブニャクとかプロタソフとかツベイバとか微妙な活躍をする選手を連れてきてた頃が懐かしいですね。
で、そのガンバは今季も優勝候補の一角として挙げられ、この試合の前までの成績は6勝3敗4分、勝点22で5位につけています。首位の浦和レッズとの勝点差はわずかに4で、その浦和が前日の試合で柏レイソルに1-2で敗れておりますから、17位の札幌が相手のホームゲームは確実にものにしたいところ。
そして現在17位の札幌は、少ない予算でそれでも降格圏内から抜け出すため、中断期間にFWアンデルソンとDF箕輪義信を補強しましたが、松下マネーを背景に毎年派手な補強を見せるガンバに比べれば、カレーライスに肉が入っているだけでうれしいレベルの補強でしかありませんが、これが今の札幌の精一杯。それでも何が起こるかわからないのがサッカーです。つってもこのガンバ大阪対コンサドーレ札幌がJ1第14節最後の試合なんですが、16位のジュビロ磐田、15位の清水エスパルス、14位のアルビレックス新潟といった当面のライバルと目されるチームがいずれも勝利を収め、FC東京と対戦したジェフユナイテッド市原千葉も引き分けで勝点を9にし、勝点10の札幌のすぐ後ろにつけてきました。優勝候補が相手とはいえ、せめて引き分けに持ち込んでおくくらいはしないとかなりつらい状況となってしまいます。その目論見はわずか5分で脆くも崩れ去り、終わってみれば大量4失点という大笑いな結果に終わってしまいましたが。
まぁ敗戦という結果については、ガンバにアウェイで勝つことは難しいと思っていましたので仕方がない部分もないわけではないんですが、さりとて内容についてはどうだったかというと、これまたとても微妙な感じで評価に苦しみます。
まず注目はもちろんアンデルソン。「ポルトガルの強豪・ベンフィカリスボンにかつて所属していた」という触れ込みではあるものの、かといってベンフィカで活躍していたかと言えばそういうわけでもなし、ベンフィカでは試合にもほとんど出ていなかった模様ですから、逆に言えば「ベンフィカにいたこと」以外にはこれといった実績面でのアッピールポイントもないとも言えるわけで、黄金聖闘士でいえばアルデバランのポジションです。タイプ、スタイル、得意なプレイ、苦手なプレイ、好きな食べ物、嫌いな食べ物、らき☆すたでいえば誰に近いかなど何もかもがわからないという文字通り未知数な選手ですから、どれだけやれるのかが一つのポイントでした。
で、結論から言えば思った以上にはやれそうだという印象です。歴史的な理由もあってポルトガルリーグではブラジル人選手も多く活躍していることはあるにせよ、さすがにヨーロッパでも名の知れた名門クラブであるベンフィカが並の選手にオファーを出すはずもないということでしょうか。まだ実戦感覚が取り戻せていない上、ダヴィと組んでまだ日が浅いこともあって、コンビネーションはあまり合っていませんでしたが、視野も割と広そうですし、キープ力もそれなりにあるようです。何よりも、クロスに対して相手より先にボールに触ることができるという点で、得点の可能性はだいぶ上がってくるだろうと思いました。まぁダヴィからのグラウンダーの折り返しをフリーでふかしてしまったのは残念でしたが、これもピッチが滑りやすかったのと、戻りながらのシュートで見た目以上に難しい体勢だったせいもあるでしょうね。スーパーではないものの及第点以上の活躍はできそうな感じでした。
一方でディフェンス面に関しては、箕輪を補強し、さらに西嶋も復帰したにもかかわらず4失点というのは正直いただけません。もちろん箕輪もまだ合流して日が浅いですし、箕輪個人の力で失点を防いだに等しいシーンもあったにはあったのですけど、現時点で「箕輪効果」を実感するまでには至っていないと言わざるを得ません。まぁ3点目に関しては遠藤を褒めるしかないとは思うのですけど、4点目はほんとに情けない失点でしたし、それ以上にバレーの2得点はショックでした。1失点目はうまく入れ替わられたのを西嶋がスライディングでカバーしてたのに、そのクリアしたボールが再びバレーの前に転がってきたもの、2失点目も明らかに当たり損ねたのが幸いしてGK高木の意表を突いて逆サイドのゴールネットを揺らしたもの。いずれも札幌にしてみれば「不運」とも言える失点ですが、ミスキックだろうがたまたまだろうが、キレイな形じゃなくてもゴールに入ってしまえば1点は1点。ガンバは入ったのに同じようにチャンスがあっても入らなかった札幌、この先の戦いを考える上でこのあたりの一見小さな違いが最終的に大きな差になってくるように思います。要するに、もっとガンガンクロス上げてもっとガンガンシュート打てってことなんですがね。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるんですから。この日2得点を挙げたようにセットプレイはJ1の強豪相手でもある程度は通用するんですから、あとはいかに流れの中からの得点力を上げるかということだと思うのです。
この先は残留争いのライバルと目される下位チームとの対戦が続きます。ここからが正念場とも言えますから、しっかり勝ち点を挙げられるよう修正して欲しいと思います。この際ですからZガンダム的な「修正」もありだと思います。
ところで、この日ガンバのゴールマウスを守っていたのは、かつて札幌に所属していた藤ヶ谷陽介です。2005年に札幌からガンバへ移籍した藤ヶ谷とは、2006年の天皇杯準決勝、そう、西澤画伯をして「まぁ、宮本だし」と言わしめた疑惑の判定で札幌が敗れた試合では藤ヶ谷はベンチだったため、この試合が移籍後初対戦となります。その藤ヶ谷、俺たちの知ってるままの藤ヶ谷でした。ダヴィへのびっくりどっきりパスは、とても懐かしかったです。