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2008年11月 アーカイブ

2008年11月 3日

たまにはいろいろ考える

 コンサドーレの降格に際して、各界の著名人から続々とコメントが寄せられています。

○ユパ様
「またチームが一つ死んだ。行こう。ここもじき2部に沈む」

○クシャナ殿下
「我がチームのサポとなる者はさらにおぞましきものを見るだろう」

○リュシータ・トエル・ウル・ラピュタさん
「今はコンサがなぜ落ちたのか、私よくわかる。羊ヶ丘の歌にあるもの。2部に根をおろし、水戸ともに開幕しよう。鳥栖とともに夏を越え、仙台とともにシーズンを終えよう。どんなに有能な監督を呼んでも、どんなにたくさんの有望な選手を売り払っても、2部から離れては生きられないのよ!」

○バカボンのパパ
「昇格の昇格は降格なのだ」

 まぁそんなわけで、2日に行われた天皇杯も何の波乱もなく横浜F・マリノスに敗戦して終了。リーグ戦がとっとと今季終了してしまった手前、せめて天皇杯くらいでは意地を見せてもらいたかったのですけど、主力を落としたマリノスにミス絡みで失点して完封負けといういつもの通りの試合だったみたいですね。まぁ見ていないので何とも言えませんが、前に降格した年は当時まだJ2だった大分トリニータ(この年に昇格)を相手に、J1の意地を見せるどころかアンドラジーニャにハットトリック食らって0-5のボロ負けという素敵な結果に終わってることに比べれば、まだマシだったと言えるでしょうか。何の慰めにもなりゃしないけどな。

 さてさて、「KY」というと我々の世代(ハタチ)は朝日新聞の例のアレを思い出しますが、最近だとこれは「空気(K)が読めない(Y)」ことなんだそうです。「協調性がなく身勝手な振る舞いをする」というような意味でも用いられることもありますが、一般的には「場の雰囲気に合わせることができない」という意味で使われることが多いみたいですね。たとえば何人かで食事にいく時、「焼き肉でも行こうか」という流れで一人だけ「イタリアンがいい」と主張するとか、会議が長引いていい加減みんなもう飽きて早く終わらせたいと思っているところに延々と自らの主張を繰り返すなどです。それは別に悪いことではまったくないと思いますし、周囲の顔色をうかがって言うべきことも言えないようなことがいいことだとは思えないのですけど、「和を以て貴しとなす」ということを重んじる日本では、「周りの期待する行動を取れない」というのは往々にして煙たがられる要因となるようです。周囲の迷惑を顧みずに好き勝手やるとか、頼んでもないのに勝手に会いに来るさかなの子とかなら話は別ですけど、そうじゃないなら人間それぞれ意見も好みも異なるのは当たり前なのに、「空気読め」って言ったモン勝ちというか言われたモン負けというか、要するに「こっちに従え」ってことですよね。あまり好きな言葉ではないのですけど、そんな中、世間の予想をまったく裏切ることなくあっさり降格を果たした札幌はある意味空気を読んだということになるでしょうか。
 ただし、投了を宣言すればその場で終了する囲碁や将棋などとは違って、サッカーのリーグ戦の場合はギブアップしたって残りのリーグ戦を放棄することなんてできません。そして札幌の場合、降格後既に1つ試合を消化したにもかかわらずなんと! 4試合も! 今季のリーグ戦が残っちゃっていやがるわけですけど、サポーターの心理としては残りのシーズンの文字通りの消化試合の結果よりも、どうしても来年の話に敏感に反応してしまうもの。そのひとつとして、ここ最近取り沙汰されているのが「クラブのビジョン」についてです。ビジョンが示されていない、あるいは今示せないならいつ示すのかをはっきりして欲しいということで、ゴール裏の中心団体であるウルトラスサッポロがスタジアムでの応援活動の自粛をしているようです。

 そのこと自体の是非を論じるつもりはないですし、そもそも応援についてはゴール裏を引退して久しい自分が口を挟む権利はないのですが、その「ビジョン」について少し思ったのが、「そもそもビジョンって何だ?」ということです。「デスクリムゾン」という伝説のゲームに「ビゾン」というとってつけたような名前のゾンビキャラが出てきましたが、たぶんそれとは似ているようで全然違うと思います。
 いや言葉自体の意味を知りたいんじゃないんですけどね。ビジョンを示せとはいうけど、それを示すだけで果たしていいのかってことなんですよね。そりゃまぁ、J2に降格するとなれば予算も減るでしょうし、戦力だって少なくともいなくなる可能性が高いダヴィやクライトンの他に、どの程度の流出があるのかまったくわかりません。監督だってどういう人が来るのかわからない。そんな先行きの見えない状況でいったい何をどうしていくのか、はっきりさせて欲しいというのはよくわかります。しかしそうはいっても、そんな状態で出せるようなビジョンなんてたかが知れているんですよね。
 J1に上がれたことだって、もともとは「J2でも中位程度」と言われていた予算と戦力で、リスクマネジメントに徹した戦い方を貫いたのが大きな要因でした。そんな戦力を並み居るJ1チームと対等に渡り合えるような陣容にまで持っていくには、代表クラスの選手とか相当の補強をする必要があったわけですけど、当然のごとくそんな無茶をできる予算があるわけもなく。今年だってどちらかといえば無謀に見えた観客動員見込みで組んでなお今のメンバーを揃えるのが精一杯だったのですから、代表選手を何人も獲ろうと思ったら予算計画に「株が大当たりしてウン億円ゲット」とか人生ゲームみたいな記述をする必要があります。普通の会社なら「アホかお前は」で終わりですね。
 まぁ万が一そんなのが通ったとしても、J1のベンチ入りが7人に増えた現在は、2001年のように「チーム事情でベンチ外でも力はある」ような選手をとりあえずレンタルで借りてくることも難しくなってきています。箕輪なんてほんと特殊な例でしょう。そもそも、見た目からして明らかな泥船に好きこのんで乗りに来るような奇特な人もなかなかいないでしょうし。
 結果として戦力的には大幅な上積みもできず、加えてJ2ではなんとかなかってたリスクマネジメントも通用しないとなればそりゃどうしようもないわけで、言ってみれば多少のパワー不足をチューニングとセッティングで補ったF3000マシンでそのままF1に挑むようなもの。やりようによってはまた少し違った結果が生まれたかもしれませんけど、それも含めてもこういう結果に終わったということは、まだまだ札幌はJ1で戦っていけるだけの力を持ったクラブではなかったことを身を以て証明したということに他なりません。
 さらに言えば、1999年に2部制が施行されてからのこれまで、コンサドーレ札幌のJ2での成績は1999年10チーム中5位、2000年11チーム中1位、2003年12チーム中9位、2004年12チーム中12位、2005年12チーム中6位、2006年12チーム中6位、2007年13チーム中1位。J2にいた7シーズンのうち、優勝した2シーズンを除いてすべて中位以下でシーズンを終えています。要するに、サポーターがどう考えていようとも過去の結果からは「札幌のチーム力はJ2で中位程度」でしかないのです。オレ自身としても、応援するチームにはつねに強くあって欲しいですし、かつてはJ2でしのぎを削ったFC東京や大分トリニータがカップ戦王者に輝いたのを見て、ああなりたいと思う気持ちは当然あります。しかし過去のデータからは現実はあらゆる面においてJ1タイトルどころかJ2でもせいぜい連候補程度の力しか持っていないわけです。かつてクラブが「ビジョン」として打ち出した「五段階計画」にしても、計画創始者の佐々木元社長の退陣とその後の柳下監督の退任、そしてその後任としての三浦監督の就任で事実上消滅していたと判断せざるを得ませんから、そういった様々な状況を鑑みて、今の時点でクラブに出せるビジョンなんてたかが知れてる、具体的に言えばとりあえずJ2大将を目指しますくらいしかないですよね。それでもやり方次第ではJ1を味わえるということを多くのサポーターが知ってしまった今、それで果たしてどれだけの人が納得するでしょうか。

 もちろん、チームとしてつねに上を目指す必要はあると思いますし、現状でよしとする気はさらさらないですけど、クラブとそれを取り巻くすべてにJ1でやっていく資格が多少なりともあるならば、少なくともこんなざまで終わるような結果にはなっていなかった、ということを冷静になって考える必要があると思うのですよ。そういう意味では自分としてはJ2大将上等なんですが、J1に上がったことを無駄にしないためにも、今の自分たちに具体的に何が足りず、何ができていたか、それを突き詰めて足りないところを少しずつでも埋めていく、それが当面取るべき道なのではないかと思います。そして、クラブが月並みなものではなく自分たちの言葉で説明できるか、そしてサポーターがそれを納得することができるか、でしょうかね。とりあえず「だんまり」って状態は一番良くないとは思いますので、最低限何らかのレスポンスがあったほうがいいとは思いますけどね。スポンサーやら株主やら自治体やら、クラブにはサポーター以外にも向き合わなければいけないところがたくさんあると思いますので、減資を強行してしまった手前、今更「また五段階計画に戻りますね、てへっ」なんて言えないし、かといって風呂敷広げちゃったらあとからたたむのに苦労するのは見えていますから、大人の事情的に簡単にはいかないことだとは思います。ただどんな結論であれまずは真摯な態度だと思いますので、そのあたりはちゃんとやっておかないといけないですね。しっかりしていってね!

2008年11月 6日

永遠の嘘をついてくれ/中島みゆき

コンサドーレは今年も赤らしい
中東からのオファーはまた届くだろうか
片っぱしから選手を売りまくれば
けっして消せない額でもないだろう数億くらい
なのに永遠の嘘を聞きたくて 今年もまだこの街に頼っている
永遠の嘘を聞きたくて 今はまだ札幌は育成の途中だと
君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 何もかも貧乏ゆえのことだったといってくれ

このチームを見限ってやるのは俺のほうだと
追われながらほざいたヤツからの手紙には
フクアリのベンチに座っていると
見知らぬ誰かの下手な代筆文字
なのに永遠の嘘をつきたくて 戻しには来るなと結んでいる
永遠の嘘をつきたくて 今はまだ僕たちはみそぎの途中だと
君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 一度は夢を見せてくれた君じゃないか

傷ついたサポたちは最後の力で牙をむく
チームがあるだけでいいと最後の力で嘘をつく
嘘をつけ最速の降格のかわりに
やりきれない事実のかわりに
たとえくり返し何故と尋ねても 振り払え風のようにあざやかに
人はみな 望む答えだけを聞けるまで尋ね続けてしまうものだから
君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 昇格しなければよかったわけなどないと笑ってくれ

君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ 昇格しなければよかったわけなどないと笑ってくれ

2008年11月12日

さよならだけが人生だ

2008年Jリーグディビジョン1第31節
コンサドーレ札幌 1-2 浦和レッドダイヤモンズ
得点者:札幌/ダヴィ
     浦和/田中達、柴田優也

 ホッケは煮ても焼いてもうまいんですよ(挨拶)。

 つーか、くだらない揚げ足ばっかり取ってないで仕事して欲しいと思います。

 さて、仕事をして欲しいといえばそのホッケが名物の北の大地でサッカーやってた赤黒い皆さん。「先制したけどミス絡みで追いつかれて逆転されました」という、いつもの通りの自分たちのサッカーを貫いた浦和レッズ戦は今更もう語れるようなことは何一つありませんのでどうでもいいですけど、この試合後の記者会見で、三浦俊也監督が今季限りで退任することを自ら明らかにしました。メディアでは辞任辞任と書かれていますが、別に今すぐ辞めてさようならするわけでもなく、今季いっぱいは指揮を執るとのことですから要するに「契約満了に伴い退団」が適当なのであり、辞任というのはいささか大げさな気がします。まぁ三浦監督との契約期間は2009年の1月31日までありますけど、あくまで書類上の話とはいえそもそも既に天皇杯はとっとと敗退済み、入れ替え戦に回ることもないことが悪いほうの意味で決定しているコンサドーレにおいて、リーグ戦の終了する12月6日を過ぎた時点で三浦監督がチームに留まっている理由はあまりないですから、残務整理が終わった段階で札幌を離れることになると思いますので、そういう意味では「辞任」と言えなくもないかも知れませんが、センセーショナルに書きたがるのは新聞記者さんの性なんでしょうかね。ごめんね素直じゃなくて。

 とにかく、三浦監督が指揮を執るのもあと残り3試合というわけです。今季の成績は散々なものでしたが、それでもあのメンバーでJ1昇格を達成したのは三浦監督の功績も大きかったと言えます。何度も言われていることですが今季はキャンプからアルセウがすぐ帰ったりノナトが別の意味でレジェンダリーだったり怪我をするはずのなかった曽田さんをはじめ怪我人が続出たりで満足のいくメンバーが組めず、今から思えばボンバザルの80面みたいに最初から詰んでいたような気もしますんで、ベストな布陣で戦える試合が少しでも多ければ、もうちょっと違った結果になっていたかもしれないとは思いますが、それは今更言っても始まりませんね。

 ひとまずはお疲れ様でした。

2008年11月17日

未来のために

 だいぶ前の話になりますが、地元メディアにコンサドーレ札幌が女子チームを創設するプランを明らかにした、という話が載っておりました。その後はこれについて具体的な話はこれといって伝わってこなかったのですが、先日の日刊スポォツに矢萩社長が改めて前向きな姿勢を示したという記事が載っていました。
 女子のカテゴリについてはご存じの方も多いと思いますが、現在Jリーグのチームでもいくつか女子チームを持っているところもあり、浦和レッドダイヤモンズやジェフユナイテッド市原千葉、アルビレックス新潟、東京ヴェルディといったチームが女子チームを保有しなでしこリーグに参加しています。これらのチームと同じように、コンサドーレ札幌も女子チーム創設ということになれば、これまでの第一種から第四種のカテゴリに加え、新たに女子のカテゴリが加わることになります。ただし札幌の場合はいきなりなでしこリーグへの参加を行うわけではありません。その計画はこうです。まずは中学1年生の女子を募集してU-15チームを作ります。最初は1年生のみのチームとなりますが、彼女たち一期生が中学3年生になった頃、全学年が揃うことになります。そして一期生が中学を卒業し、高校生になるとまた彼女たちを中心にU-18チームが誕生します。これまた1年生のみのチームとなるでしょうが、一期生が高校3年生になることにはまた全学年が揃います。そこから先は他のチームと同じようになでしこリーグへの参加も視野に入れていくそうです。決して簡単ではないでしょうし、すんなりといったとしても最低で6年はかかる計算。6年といえば札幌がJ2に落ちて再びJ1に上がるのと同じくらいですから、壮大な計画と言えるでしょう。名付けて「逆光源氏計画」とでも言いましょうか。

 個人的にはいよいよ…というよりは「ようやく」といった感があるのですが、問題があるとすれば今の札幌に女子チームを運営していけるだけの体力はあるのか、ということでしょうか。来年は再びJ2に舞い戻ることが確定しており、スポンサー料の減額などで緊縮財政となることが予想されます。加えて、先だっての北京五輪で、サッカー日本女子代表チームがベスト4に進出するという快挙を達成したにも関わらず、西の強豪として知られた田崎ペルーレが休部を発表と日本の女子サッカー界を取り巻く環境は決して順調とは言えません。
 ただ、逆にそうであるからこそ、なおのことJリーグのクラブチームが女子チームを持つことの意義があるのではないでしょうか。田崎ペルーレはその名を関している親会社の田崎真珠の部活チームです。企業チームに所属している選手は社員としての身分が保障される反面、親会社の業績の影響を受けやすくもあります。ペルーレの休部もまさに田崎真珠の経営悪化による煽りをモロに受けた格好ですし、サッカーに限らず過去の業績悪化によって解散した企業チームは枚挙にいとまがありません。とはいえクラブチームには練習場所や運営費の問題など程度の差はあってもクラブチームなりの悩みがあります。そんな中で、「サッカーをする」という点においてはしっかりした環境の整っているJリーグのクラブが女子のチームを持てば、万事解決とは行かないまでも多くの問題をクリアすることができるでしょう。

 で、残る問題はといえばまぁそのJリーグチームの体力的な部分。トップチームへの人材供給というお題目があるユースチームとは違って、女子チームは直接的にトップチームの強化に通じる要素はほぼありません。そうでなくても貧乏暮らしなコンサドーレにおいて、そんなものが必要なのか、という議論は少なからずあると思います。ただ、Jクラブはチームの強化に繋がることだけをやっていればいいかというと決してそうではないと思うのですよね。ホームタウンを構える地域に対し、サッカーを通じてクラブやサッカーというスポーツそのものの価値を高めていく必要はあると思うわけです。その一環として、地域の「サッカーをやりたい」という女の子達に対し、コンサドーレの名前においてその場を提供する、そこで育っていった女の子達はやがていろんなところでサッカーを教えるようになる、そしてその子供達がまたコンサドーレの名前を背負っていく、そこまでうまく行くかどうかは別として、そんな流れもできるでしょう。既にユースにおいてはそうなりつつありますよね。育成部のU-12にいる相川GKコーチはユース出身です。
 そもそもユースにしても、チームの強化という面において、それをユースの強化に求めるのは実はあまり効率的ではありません。コンサドーレが1年にかけるユースチームの費用はだいたい1億5千万円程度。某執事の借金と同じくらいの金額です。極めて単純な計算をするなら、ユースチームの一世代が入団してから高校を卒業するまで、U-15から数えれば約9億円、U-12から数えると約12億円となります。しかし、それだけのお金をかけても、ユースからトップチームに昇格できるのは良くて1世代に1人か2人、年によってはゼロという場合も少なくありません。昇格した選手が最終的にレギュラーを勝ち取って活躍できる率はもっと下がるでしょう。収入が30億くらいあるチームなら1.5億なんてへのへのかっぱなんでしょうけど、去年の実績で12億ちょいの営業収入しかなかった札幌にとって、その1割以上に当たる1.5億という金額は決して小さい数字ではありません。1.5億もあればレンタルならそれなりの実績のある助っ人を少なくとも1人は引っ張ってこれるだけの金額ですから、単純にトップチームのこと「だけ」を考えれば、「投資」としてはかなり非効率であると言えるでしょう。
 しかしそうであっても、ユースで育った人材が北海道のサッカーの全体的なレベルアップに貢献できれば、またその中から優秀な人材が数多く出てくることになると思います。ものすごく長い目で見る必要はありますけど、「裾野を広げる」ことはとても大事なことですし、そうするだけの価値が北海道にはあると思うのですよ。2007年度の日本サッカー協会の登録選手数を都道府県別で見た場合、北海道が何番目かというと、実は第3位です。第1位は東京都で、80,183人となっています。第2位は58,107人の埼玉県。北海道は47,328人で、サッカーどころとして知られる静岡県(46,917人)より上なんですよ。ちなみに登録チーム数では全国2位(1位は東京都)。北海道でサッカーをやってる人は意外に多いということになりますが、ところがこれを人口に対する登録者の割合に直すと、1位はさすがの静岡県で1.24%、以下熊本県、佐賀県、島根県、大分県、沖縄県、鹿児島県、徳島県、山梨県、栃木県、長崎県、滋賀県と、割と九州地方が強く、北海道は0.84%で13位に留まっています。ざっくばらんなデータではありますが、乱暴にいえば登録者が多い割にはまだまだ一般的ではない、ということでしょうか。しかし同時にそれはまだまだ開拓の余地があるということも言えると思います。そしてそれが、市や道から金銭的な支援を受けているコンサドーレにとって義務とも言えるもの。逆に「自治体からの補助金でユースチームやレディースチームを運営する」と割り切っちゃっえば、堂々と補助金をもらえると思うんですけどね。要するに、「サッカーを通じた青少年育成事業を自治体から委託されてます」と考えれば、あら不思議、税金泥棒が一転して地域貢献の担い手に。ばんざーい。

 なんにせよ、「ただ単にプロチームがある」というだけで終わってはいけない、と思う今日この頃。それが私がここにいる理由、あなたがここにいる理由。

 ところで、フットサルの個人登録者数は24,875人は北海道が全国トップであります。2位の東京が6,913人ですから、その3倍以上というダントツの数字です。にもかかわらず、全日本フットサル選手権での北海道代表チームの成績は、2006年の第11回大会で道リーグのアルーサがベスト4まで進んだのが最高で、13回中半分近い6回もの優勝回数を占める東京に大きく水を空けられています。フットサルのプロ化が行われる以前は、「東京都大会決勝が事実上の全国大会決勝」と言われるほどのレベル格差が大きかった日本のフットサル界で、フットサル中心地として名を馳せていた府中市なんか、日本代表選手がフットサルの市民大会に出てたこともありましたからね。つーか、オレみたいな超がつくド素人が当時現役の日本代表だった相根澄(さがねきよし)とマッチアップして、何が起こったのかわからないほど一瞬で抜かれて大笑いしたのもいい思い出です。
 まぁそれはそれとして、フットサルが盛んなブラジルでは、フルコートのサッカー選手でも小さい頃にフットサルをやっていたという選手は多いです。北海道でのフットサル人口の多さは、冬の間は外でサッカーができないことも関係しているのでしょうが、狭いコートで行われるフットサルはテクニックや判断力を磨くのに有効ですし、スライディングタックルやショルダーチャージもフットサルでは禁止されているため、女子も比較的プレイしやすい競技でもありますので、その競技人口の多さをうまく北海道サッカー界全体の発展に繋げていければいいと思います。
 幸い、ナマーラ…じゃなかったエスポラーダ北海道がFリーグに加盟することになり、北海道にも待望のプロのフットサルクラブが誕生しました。フットサルで鍛えた子供たちがそのままフットサルのプロを目指すもよし、外のサッカーで技を生かすのもよし、いろいろな道筋ができることはいいことだと思います。

 もっとも、エスポラーダは奥大介が関わっている限りオレは絶対に応援しませんけど、だからといって活動そのものに文句をつける気はまったくありませんので、是非とも「フットサル王国」の名を冠するための活躍をしてほしいと思います。

2008年11月24日

去る者追わず、来るもの拒まず

2008年Jリーグディビジョン1第32節
東京ヴェルディ 1-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ダヴィ
     ヴェルディ/大黒

 先制してミス絡みで追いつかれるのはいつもの通り。まぁ「ミス絡み」といっても失点するにはどんなチームであってもたいていの場合多かれ少なかれミスが絡んでいるもんなんですが、札幌の場合は前節の浦和戦の2失点目もそうだったように、かなりアレな感じのミスといいますか、「そりゃないだろう」というような失点が多いというのが特徴で、この試合の失点もヴェルディのディフェンスラインからの何の工夫もないロングボールを平本に落とされて、画伯のクリアミスからのこぼれ球を大黒に決められたもの。DFのクリアミスよりもそもそも何であの時点で平本がノーマークだったのかと。ラインを上げるのは構わないのですが前線がDFラインにプレッシャーに行ってないのにラインを上げればああなるのは至極当然なわけですが、かといって相手がDFまでボールを戻してるのにラインを下げれば中盤のスペースを空けることになりますから、DFとしてはラインを上げたい場面ですよね。だとすればプレッシャーに行かないFWに原因があると思うのですけど、2トップに入ったクライトンが下がり目のポジションを取ってた関係で実質ダヴィの1トップであるなら、それもまた難しいところではあり、要するにチームとして失点したという感じです。たらればの話をするならばクライトンじゃなくて元気がFWだったら防げた失点だったかもしれないとは思うものの、たぶん三浦監督は怪我人が多かったからという背景はあるにせよ、あまりうまく行ったことがないクライトンをFWに持っていっても上里の先発をチョイスしたかったのでしょうし、その上里もまぁいいプレイと悪いプレイがはっきりしてはいましたが悪くはなかったと思います。
 で、そこからいつもの通りならばもう1回やらかした挙げ句に逆転されるのがパターンですけど、そこで逆転されなかったことについては判断が微妙なところで、踏ん張った、というよりはどっちかというとヴェルディのミスに助けられたといった感が強いような気がします。実際、後半平本のポストを叩いたシュートはその前のプレイで完全に失点を覚悟しましたしね。全体的な印象としては、J2時代を引きずってるのかヴェルディが勝手に札幌を警戒して自滅したという感じでした。
 まぁあとはダヴィがPKながらも先制点を決め、今季15ゴールを決めています。現在得点ランキングで単独2位につけており、残り試合から考えても得点ランキングトップのマルキーニョス(鹿島アントラーズ)の21得点とは少し離れており、残りの試合数を考えてもまぁ逆転する可能性はほぼないですが、ろくすっぽチャンスも作れない札幌においてこの数字は立派の一言。しかし試合では熱くなってアホみたいなこともやったりしますが基本的に性格は明るく、ブラジル人には珍しく前線からの守備もいとわない、日本語も日常会話レベルならほぼ問題なく、その上今季の基本年俸も得点ランキングに名を連ねている他の助っ人達に比べれば破格とも言える安さの彼には既に非公式な獲得の打診が複数届いていると言われており、ダヴィを引き留める財力を持たないどころか、むしろ積極的に売らないと財政がヤバいクラブ事情を鑑みても、来季も札幌のユニフォームを着てプレイする可能性はほぼないと思われます。そのような背景があるだけに、自分の中では彼がゴールを決めるたびに「ちゃりんちゃり~ん」という小銭の音が聞こえてくるわけですが、財政的な面はともかくとしても、戦力的な面では彼の穴を埋めなければいけません。そんな中、既に来季の新助っ人についての話が聞こえてきています。コンサドーレ札幌は来季の新戦力として、スウェーデンリーグでプレイするブラジル人選手を獲得することが確実となった、という記事がメディアに載っていました。

 オファーを出したというのは、スウェーデンリーグ1部のジュールガルデンIF(Djurgarden IF)というクラブに所属するブラジル国籍のチアゴ・キリーノ・ダ・シウバという選手。ストックホルムをホームタウンとし、1891年創立という長い歴史を誇るジュールガルデンは、2008年シーズンは16チーム中12位とあまり振るわなかったようですが、2005年シーズンを含む11度のリーグ優勝と2度のカップ優勝を経験しています。
 クラヲタ的には北欧諸国というのは優れた作曲家や演奏家を生み出している国なのですが、シベリウス(作曲家)やサロネン(指揮者)を生み出しているフィンランド、グリーグ(作曲家)やアントンセン(トランペット奏者)を生み出し、オスロフィルという素晴らしいハーモニーを持つオーケストラを持つノルウェー、ニールセン(作曲家)を生み出したデンマークに比べるとあまりなじみがない国がスウェーデンで、自分のCDライブラリを漁ってもスウェーデンの作曲家のCDはクット・アッテルベリというどマイナーな作曲家の1枚しかありませんでした。つーかなんでこんなものを買ったのかさっぱり憶えていないのですけど、聴いてるだけで大笑いできる素敵な曲でした。ちなみにこの人はプロの作曲家ではなく普通の公務員だったそうです。
 まぁそれはともかくとして、そんなスウェーデンを経由してやってくるブラジル人選手、日刊スポォツでは同選手の名は「カリーノ」となっていますが、「Thiago Quirino da Silva」という表記からは「キリーノ」のほうが正しいのかな。キリーノといえばアニヲタとしてはバンブーブレードの部長を思い出すわけですが、1985年1月4日生まれの23歳、183cm79kgと年齢的にも体格的にもほぼダヴィです。二匹目のドジョウを狙うにしてもわかりやすすぎですけど、ジュールガルデンの公式サイトでは既にキリーノとコンサドーレ札幌についてのニュースがリリースされています。スウェーデン語だったらお手上げだったのですが、幸い英語版もあるので読んでみたところ、まだクラブ間で詳細の詰めは残されているものの大筋では合意しており、コンサドーレへ12月1日に加入することになるだろう、と具体的な日程まで挙げておりますので、まぁよっぽどのことがない限り来るのは間違いなさそうです。
 そうなると気になるのが今度は彼がどのようなプレイヤーだったのかと言うことなんですが、英語版のWikipediaによれば、ジュールガルデンでの通算成績は2006年から2008年までの3シーズン、53試合に出場して11ゴール。期待されていたがあまり振るわず、多くの試合をサブとして過ごしていたらしいですね。まぁ183cmという身長もスウェーデンだと普通クラスじゃないかと思いますし、日本でどう変わるか楽しみではありますね。
 それはともかく、日刊スポォツではチーム名も「ユルゴールデン」という表記をしていますが、そっちのほうがスウェーデン語の発音に近いみたいですね。Wikipediaでは「ユールゴーデン」となっていて、直訳すると「動物園」だそうです。

quirino.jpg
キリーノ選手

 OK、納得した。

 ところでスウェーデンリーグについて少し調べてみたら、スウェーデン(というか北欧)も日本と同じく春秋制でシーズンが行われているんですね。「ヨーロッパでは秋春制」というのはまったくの嘘っぱちということですね。「北欧は欧州ではない」という暴論を振りかざすなら話は別ですけど。

2008年11月29日

ななコロンビアおき

 うむ、かなり苦しいタイトルだと思いました。

 今日は娘と「プリキュア5」の劇場版を見に行きました。もちろん娘の付き添いです。池袋あたりまで出ちゃうとかなり混んでそうだったので、それならばとプリキュアを制作している東映アニメーションスタジオのすぐ近くにある大泉学園の映画館へ。チケットを買った後まだ上映まで時間があったので、近くのレストランに入って昼食を食べることに。それほどおなかも減ってなかったのでスパゲティでいいやと思って娘のお子様ランチとともに注文をしようと店員さんを呼びました。その声に応じたかなり年の行った感じの男性店員さん、テーブルに来るなり、

 「はい、お子様ランチとハヤシオムライスですね?」

 いえ、まだ何もいってませんけど。

 このお店では注文は店員さんが決めてくれるのでしょうか。それとも長年の経験による鋭い勘で客の注文がわかってしまったりするのでしょうか。でも頼もうと思ってたのスパゲティだし。かなり面白かったのでそのままハヤシオムライスにしようかと思ったのですが、あまりおなかは空いてないので明太子スパゲティを頼みました。でもあまりおいしくはなかったので店員さんのいうとおりにすればよかったかもしれません。

 さて、J1リーグは明日の試合を含めてあと2試合残っていまして、明日が名古屋グランパス、最終戦の相手は鹿島アントラーズとコンサドーレ札幌が地味に優勝争いの鍵を握ったりしてますが、まぁおそらくはその優勝争いには何の影響を及ぼすこともないでしょうから、とりあえずは来季の体制についてのほうに興味のある方も多いことでしょう。前回のエントリで触れた通り、どうやらスウェーデンのユルガーデンに所属するチアゴ・キリーノというブラジル人選手の加入が確実と言われていますが、もう1人、コロンビア国籍のダニルソン・コルドバ選手の加入が濃厚という各メディアに記事が出ています。コルドバ選手は185cm80kgという大型守備的MF。同国代表選手として2キャップを記録しており、所属するインデペンディエンテ・メデリンではバリバリのレギュラー選手。YouTubeに同選手の動画がアップされているのですが、それを見る限りではフィジカルの強さを生かしたボール奪取能力に優れ、キープ力もあるプレイヤーのようです。
 コロンビアといえば懐かしいところで「金髪の獅子王」カルロス・バルデラマや「黒豹」ファウスティーノ・アスプリージャ、「世界最高のSOGK(スーパーオモシロゴールキーパー)」レネ・イギータらが有名で、ブラジルやアルゼンチンの他、ヨーロッパなどでも多くのコロンビア人選手が活躍していますが、なぜか日本にはあまり縁がなく、Jリーグ15年の歴史の中でプレイしたコロンビア人選手はこれまでたったの6人しかおりません。わずか1年で6人の選手がやってきて、そのうち1人は1週間で帰ったりするブラジル人選手とはえらい違いです。
 このコロンビア人選手のうちパラシオス、ガビリア(故人)、リカルド、ディナス、アングロの5人が湘南ベルマーレの所属で、残る1人はベガルタ仙台に在籍していたニクソン。このうちパラシオス、ガビリア、リカルド、ディナスの4人はみんなフル代表として20試合以上のキャップを持ち、パラシオスとリカルドはワールドカップにまで出場しているのですが、チーム名を見てわかるとおり所属したのはいずれもJ2のチーム。代表キャップを20以上持つブラジル人選手なんてJ2のチームはおろかJ1のチームですら獲得は難しいですけど、コロンビアなら代表クラスの選手でも割と獲得しやすいのかもしれません。まぁワールドカップで最多の出場回数と優勝回数を誇るブラジルと、ここ2大会は予選敗退、最高成績もベスト16というコロンビアとでは代表のレベルとしても比較にはならないかも知れませんけどね。実際この中で長くJリーグでプレイしたのってパラシオスだけですし。
 で、コルドバ選手は獲得が決まればJリーグ通算7人目、札幌では初めてのコロンビア人選手となります。まだ22歳と若く将来性に期待という感じだと思いますが、それにしてもキリーノもコルドバもいずれも180cmオーバーというのが気になります。いや別にデカいことに文句があるわけではないんですけど、これまで背の高い選手を集めていたのは三浦監督の好みなのかと思っていたので。ひょっとして三上さんの好みなんでしょうか。

 ちなみに、このコルドバ選手とポジション的にも入れ替わることになるだろうクライトンは、父親が急病で倒れたとのことでブラジルに帰国しました。このまま退団となる可能性が高く、慌ただしいお別れとなってしまいましたが、家族の病気なら仕方がないですね。父上が早く快復してまた日本で会えることを楽しみにしています。

 あと、肝心要の来季の監督については、どうやら「ノブリン」こと石崎信弘監督の就任が濃厚ということみたいで、自分としてもかなりうれしいニュースではあるのですけど、それについてはまた改めて。

2016年2月

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