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2009年4月 アーカイブ

2009年4月 6日

第二のホームも敵だった

2009年Jリーグディビジョン2第6節
ロアッソ熊本 4-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/荒谷(※-1点)
     熊本/木島、山本、中山

 前節、Jリーグ新加盟のファジアーノ岡山を相手に負けに近いドローに終わったコンサドーレ札幌は、今節は再びアウェイで加盟2年目となるロアッソ熊本との対戦となりました。ここまで1勝1分3敗、首位のセレッソ大阪とは勝点差11の14位と、J1昇格というお題目がもはやプロパガンダにすらなりそうもない成績に甘んじている札幌。シーズンはまだ始まったばかりとはいえ、これまでのJ2の傾向からはシーズン序盤でつまずいたチームが昇格を果たしたケースはほとんどありません。これ以上置いて行かれると勝点的にはもちろん、チームの精神状態も相当に厳しいものになるはずですから、ここはどうやっても勝っておくべき試合…だったはずなんですが、結果は0-4の惨敗。岡山にホーム初得点を献上したのに続き、熊本にも今季ホーム初勝利をプレゼント。あれですね。後輩にいいところを見せようとしてそんな余裕もないくせについつい飲み代をおごってしまうような気前の良さですね。太っ腹なのは松井さんだけでいいのに。もういないけど。お元気ですか松井さん。
 まぁそんなわけで札幌のメンバーですが、頭を切って縫って岡山戦を欠場したFW紀梨乃は今節は遠征メンバー入りしたものの、切って縫った頭の状態はまだ万全ではないようで、切って縫った頭を保護するため幽遊白書の飛影みたいな出で立ちでベンチスタート。GKも安定感を欠いていた優也に変えて荒谷僧正が今季初スタメンとなりました。

 試合会場となるロアッソ熊本のホームスタジアム・KKウィングは、約32,000人収容とJ1規格を余裕で満たしているだけで、先日は日本代表の試合も行われたほどの立派なスタジアムながら、天皇杯や熊本が参入するまでは隣県の大分トリニータがリーグ戦で何度か使用していた程度で、昨季熊本がJリーグに参入するまではここをホームスタジアムにするJリーグクラブがなかったため、どこのチームも試合をする機会そのものが少ない場所でした。札幌も熊本がJリーグに参入した昨季は札幌はJ1にいたため対戦がなく、熊本とはこの試合が初の対戦となりますが、札幌がここ数年熊本でキャンプを行っている関係上、KKウィングスタジアムはトイレにだって目をつぶっていけるほど勝手知ったるスタジアムでしょうし、ロッソ時代の熊本ともテストマッチやプレシーズンマッチで何度も対戦しております。また2004年の天皇杯で大分トリニータに競り勝った思い出深いスタジアムでもあり、札幌にとっては比較的ゲンのいいスタジアムでした。しかし日刊スポォツによればノブリンは過去3度ここで試合をして3度とも負けているようで、データのサンプル自体少ないながらもあまりゲンがいいとは言えないスタジアムだそうです。要するにどっちのフォースが勝つか、ということだったのですが、勝ったのは暗黒面のほう。
 そしてこの両チームはどっちの所属選手にも西がいて藤田がいて中山がいて石井がいるという実況泣かせの対戦でした。うっかり画面から目を離して実況だけを聞こうものなら、どっちが攻めてどっちが守ってるのか何がなんだかさっぱりわからない状況に。昔札幌で佐藤洋平(現ベガルタ仙台GKコーチ)と佐藤尽(現コンサドーレ旭川ユースU-15監督)がプレイしていた頃、佐藤由紀彦(現Vファーレン長崎)や佐藤寿人(現サンフレッチェ広島)・勇人兄弟(現京都サンガFC)らを集めて「ドキッ!佐藤だらけのサッカー日本代表」を作ったらわけわかんなくて面白いだろうなぁ、でも今ならきっとGKは佐藤優也で「ポロリもあるよ」で決まりだろうなぁなどと妄想したことのある人はたぶんオレだけではないと思いますけど、それ自体はあまり関係なく見ているほうはもうわけがわかりません。つうか見てる人だけならいいですけど、コンサドーレ札幌の選手たちまで右往左往の大混乱。しかも西・藤田・中山と来れば「どっちがより全盛期のジュビロか」という対戦だったわけですが、だったら高原がいる札幌の勝ちだろ、と思いきやその高原と中山が試合メンバーに入っていなかった上、よく考えたら向こうの藤田は本物だったのでここでも札幌の負けだったわけですね。

 ひとまずこの試合のポイントは3つほどあったと思います。ひとつめは、前半10分にクライトンのクロスをファーサイドでフリーで受けた宮澤が、シュートコースは空いてはずなのにわざわざ中央に折り返してあっさりクリアされたシーン。俺様な選手だったらためらいなくシュートを打っていたであろうシーンで、何を思ったか相手のDFがごちゃっと固まってるところへのパスを選択するのははっきりいってがっかりですし、ああいうプレイはほんと流れを悪くするんだよなーと思っていたら悪い予感は当たるもので、その3分後に札幌はカウンターからあっさりと先制点を献上。いくつか失点回避できただろうシーンで全て後手後手に回ったみったくない失点の仕方に何とも言えない気持ちでいると、テレビの画面には先制ゴールを決めて喜んでいるロアッソの10番の選手が大写しに。
 前園さん? 前園さんじゃないですか!

 木島選手でした。

 そして2つめは3失点目のオウンゴール…ではなくて2失点目でしょうね。3失点目については確かに致命的ではありましたし、僧正、そして晟桓のミスであることは否定できないのですけど、さりとてあの時点で2点のビハインドを負っていなければ、両者ともあそこまで余裕のないプレイをすることもなかったと思うのですよ。たとえまだ試合が半分以上残っているとはいえ、今の札幌の得点力では1点ならまだかろうじてなんとかひっくり返せるような気がしないでもないかもしれませんが、2点ともなるとせいぜい追いつけるかどうか、という感じでしょう。とにもかくにも前半のうちに1点でも返しておかないとまずいことになる、という焦りが遠因にあったんじゃないかと思います。いずれにしろあのミスを責める気にはなりませんね。未来永劫ネタにはしますけどね。もちろん。

 最後の3つめはもちろん、クライトンの退場ですね。あのファウルに対するジャッジの妥当性についてはともかく、3点を追わなければいけない状況の中で数的不利に陥ったことだけでなく、よりによって大黒柱のクライトンを失うということは、それでもまだ食玩の「食」のほうくらいは残っていたかも知れない「逆転するんだ」という気持ちが完全に潰えてしまったであろうことは想像に難くありません。
 それでもしばらくはこの大ピンチに交代で入ってきた紀梨乃をはじめとした攻撃陣が中の人が入れ替わったかのような鬼気迫るプレイを見せてくれるかも知れない、という目論見も多少はありましたし、実際10人でもそれなりには戦えてた部分もあるんですけどね。それも後半16分に中山悟志が4点目を決めるまでの話。それ以降はまぁ、前線で攻撃の起点になっていた木島の前園顔を堪能するほかなかったわけで、結局は1点を返すことすらできずに試合終了。

 別にオレ自身は今年の昇格については「できればいいなー」くらいに考えている程度ですけど、だからといって順位表の下のほうでもぞもぞ動いてるだけでいい、などと言ってるわけではなくて、できうる限りは昇格レースに絡んだ上で、その結果51試合終わった後に3位以内に札幌が入ってなくても仕方がないというスタンスなだけです。要するに「やるだけやってダメならにっこり笑うしかねえけどよ」という感じでありますが、では現時点でやるだけやってるか、というとそうとも言い切れないというか、少なくとも自分にはやるだけやってるようには思えない、というのが正直なところ。
 この試合の結果についても1試合単位で見れば0-4で負ける時もあれば6-0で勝つ試合もあるわけで、相手はともかく試合の結果そのものについてをどうこういうつもりもないですけど、とにかくやっぱりアレですね。宮澤のプレイはつくづくがっかりでした。ストライカーではないんだろうなとは思っていましたけど、さすがにあの位置ですらシュートを打たないというのはゴールから一番近い位置にいるポジションの選手としてはどうなのかなと。シュートは打たなきゃ入らないんですからね。打っても打っても入らないこともありますけど。
 というわけで、宮澤選手には「今後一年公式の場では麻生総理大臣のものまねで出る刑」に処することにします。いやマジな話、量産型柳沢はもう間に合ってますので実際。

2009年4月14日

時は金なり

2009年Jリーグディビジョン2第7節
コンサドーレ札幌 1-1 カターレ富山
得点者:札幌/紀梨乃
     富山/金

dora.jpg

 Jリーグ加盟2年目のロアッソ熊本にJの先輩としての貫禄を見せつけようと思ったらしっかり返り討ちにあったコンサドーレ札幌は、「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ」と颯爽と熊本を後にして、今節は札幌に戻ってカターレ富山を迎えてのホームゲーム。北陸初のJリーグチームとなるこのカターレ富山もファジアーノ岡山、栃木SCと共に今季Jリーグに加盟した「新入生」ですが、この3チームの中でもチームの歴史はもっとも浅く、その誕生は2007年。今年でまだ3年目という非常に若いチームで、もちろんコンサドーレ札幌とは初対戦となります。
 もともとは富山県を拠点として活動していたYKK APサッカー部とアローズ北陸という2つのチームが合併して誕生したのがこのカターレ富山なのですが、YKK APもアローズも共に長くJFLで活躍してきた実力のあるチームです。さらにその2つのチームの母体であり、現在カターレの胸スポンサーと背中スポンサーに名を連ねているのが、かたや売上高3,432億円というYKK AP株式会社、かたや売上高4,660億円という北陸電力という大企業。もちろんだからといって「うちビッグなカンパニーなんでお金なんてなんぼでも出しますよ」なんていううまい話が転がってるはずもないでしょうし、実際富山の今季の年間予算は推定5億円程度(北日本新聞の記事より)とJ2でも決して多いほうではありませんが、コンサドーレの胸スポンサーであるニトリが2,139億円、背中スポンサーの石屋製菓が59億円であることからも、少なくともスポンサー企業そのもののポテンシャルは単なる地方チームの枠を超えています。その気になれば富山出身の柳沢敦を獲るくらいのことはできるんじゃないでしょうかね。ちなみに北海道にも売上高5,433億円という大企業が一応存在するんですけど、チーム誕生時にいろいろあったせいか今のところ表立ってスポンサーになるような動きはまったくなさそうです(※数値はいずれも2008年度の単体決算のもの)。
 まぁスポンサーの話はさておきここまでの富山の成績は前節終了時点で1勝2分3敗、14位と今のところは他と同様に「新規参入チーム」域を出るものではありませんが、その富山より順位が2つも下で、ここまで無失点の試合が3試合ある富山に対し、未だに無失点に抑えた試合がない上、富山と同じJリーグ1年生の岡山に引き分け、2年生の熊本に4点取られたわれらがコンサドーレ札幌が「でも富山にだったら勝てるよね♪」などとお気楽に言える理由はどこにも存在しないのであり、加えてMFクライトンが前節の一発退場によりこの試合出場停止、ダニルソンも累積警告で出場停止と、そんな札幌でも多少なりとも強気を保てる数少ない要素もまとめてあの夏の思い出と消え、残るは「俺たちJリーグ加盟11年目、J1経験もあるんだぜ」といった実績面くらいですが、人間過去の栄光にすがるようになったらおしまいだと思います。「父ちゃんはこう見えて昔はなぁ、そりゃあモテてモテて小松政夫だったんだぞ」などと言うのと同じくらいアレな気がします。

 そんなわけで試合ですが、広島工業高校でノブリンの先輩にあたる楚輪博監督率いるカターレ富山は、近年の日本サッカーの潮流に違わず前線からのチェックで始まるプレッシングサッカーが基本。高校時代はその楚輪さんに同期の金田喜稔さんや木村和司さんと共にジュースやらエッチな本やらを買いに行かされたであろうノブリン率いる札幌もスタイルとしては札幌も似たような感じですが、前述したとおり札幌は中心的存在であるクライトンがいません。しかし圧倒的なキープ力を誇る反面、ややもすれば持ちすぎの批判を受けることもあるクライトンの不在は、プラスに考えれば攻めのスピードアップが期待できますし、逆にクライトン不在でどういうサッカーを見せてくれるのか、試される試合となりました。札幌のスタメンは前の試合で大チョンボをやらかしてしまった荒谷僧正が汚名挽回返上というわけでもないのでしょうが引き続きゴールマウスを任され、DFはおなじみの4人、ダニルソンが出場停止のボランチには西大伍が入り、キャプテンマークを巻く上里とコンビを組みます。サイドハーフは右に藤田征也、左に岡本ヤス、クライトンの代わりのトップ下は置かずに、紀梨乃と宮澤の2トップという布陣で、中盤より前の選手は最年長が24歳の紀梨乃という極端すぎるメンバー構成に。といってもダニルソンもまだ22歳なんで、クライトンが1人だけ年齢面でもずば抜けているだけの話なんですけど、こうして改めて見るとほんとに若いチームですね。新しい時代を作るのは老人ではない、と言っていたのは27歳のクワトロ大尉でしたが、とはいえこれだけ若い選手が多い、というか若いのばっかりなメンツじゃ、試合運びが拙かったりするのもある意味致し方ないのかな、などと思ったりもしないでもありなせん。ただそうかといってあんまりほとばしる若さというのも感じられないようにも思います。もっとこう、無断でマークIIで出撃したりオープニングラップで追突してセナを激怒させたり若さゆえのあれがあってもいいような気もするんですけどね。
 まぁそれはさておき、ひとまず自動的に前線までボールを運んでくれるクライトンがいないことがどういうふうに作用したかと言えば、われらが赤黒の若武者たちは「ええと、どうやって攻めるんだっけ?」とばかりに蜘蛛の子を散らしたような騒ぎに。守備の陣形を整えた相手をかいくぐってゴールを決めるのはクライトンがいてすら難しい状態だったのに、クライトンがいないのであればなおさらですから、とりあえず相手がゴール前を固める前に前線で数的優位を作ってしまいたい、という意識は垣間見えますし、クライトンがいるいないに関わらずそのためにボールを持った選手を後ろから追い越すという動きはこれまでやってきた形のひとつではあるんで、そのこと自体はだいぶ徹底されているな、というのは感じるんですけど、惜しむらくは自分に出たパスまで追い越してってどうするということですね。まぁこれは多分にパスの出し手の問題でもあるんですが、走る味方とパスのスピードが合えばいい形ができるのに、受け手が自陣側に戻らざるを得ないようなパスが多く、どうにも攻めにスピード感が出てきません。

 それでもいつもと違ったのは、クライトンがいないゆえなのか、それとも宮澤との2トップになったからなのか、はたまた攻撃陣で最年長の自覚が芽生えたからなのか(ただし24歳)、FW紀梨乃が珍しく裏への飛び出しが多くなっていたこと。そして先制点はその形から生まれました。前半30分、上里からの浮き球パスにうまく抜け出した紀梨乃が、飛び出してきたGKをしなやかに交わす技ありのゴールを決めました。久しぶりのホーム勝利に向けて是が非でも欲しかった先制点をゲットしました。
 いつものことながらこうなると現金なもので、ここからはノリノリの札幌の時間帯が続きます。先制の直後には上里のミドルシュートのこぼれ球に詰めていたヤスがシュートを放ちますが相手GK中川にセーブされ得点ならず。1点リードして迎えた後半もしばらくは札幌のペース。しかしいつものことながらその自分たちの時間帯にしっかりと追加点をゲットできるようなチームであれば、今頃は新規参入組と仲良く順位表の下のほうでじゃれ合ってたりしてないわけで、確かに攻めてはいるんですが肝心なところで前半同様にパスの呼吸が合わなかったり、最後のクロスボールが雑だったりと、得点チャンス自体はさほど多くありません。早いうちに追加点を取っておかないとまた岡山戦みたいなことになるというのはおそらく多くの人が感じていたでしょうが、それをもっとも強く感じていただろうノブリンは後半24分にヤスに代えて砂川を投入します。しかし、攻撃に関してノブリンが選手交代で打てる手はこの俺たちの砂さんの投入で事実上終了であり、その砂さんの投入でもうまく行かないとき、それでも追加点が欲しいというような時間帯で投入する駒があとは石井謙伍しかない、というのが今のコンサドーレの泣き所なわけで。プレイヤーとしては純粋なストライカーではないのでしょうけど、それでも過去灼熱の西京極で見せた逆転ゴールや、昇格のかかった札幌ドームでの一時は勝ち越しとなるPKゲットなど、殺る気になれば殺れる男だと思ってはいるんですがねぇ。
 あと、なんだかこの試合はよく札幌の選手が滑ってこけてるシーンが目に付きましたね。交代出場した元札幌の川崎健太郎を除いて札幌ドームでプレイしたことのある選手はいないはず(MF上園は水戸時代に来たことはありますが出場なし)の富山が全然そんなことないのに、こんなんじゃどっちのホームかわかりゃしない。そんなに滑るんならいっそのこと道民男児あこがれの的・4WDのスノトレでも履いてやがれって感じですよ実際。実際やったら札幌ドームの芝の人が泣いて止めるでしょうけど。

 そんなこんなでどうにもこうにも突き放せずにいるうちに、いつものごとく徐々に相手ペースとなっていき、そしていよいよ試合は札幌ドーム名物「終了間際のラッキータイム」に突入。もちろんラッキーの対象は相手チームに限るわけですけど、今日も今日と手いやな予感をはね飛ばしてくれることなくコーナーキックから富山DF金明輝に決められ引き分けで終了。まるで岡山戦の再現を見ているかのような試合運びの拙さを見せて今季ホーム初勝利もお預けとなってしまいました。

2009年4月19日

半覚醒

2009年Jリーグディビジョン2第8節
ザスパ草津 1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/紀梨乃x2
     草津/都倉

 負けなしのまま快調に首位を突っ走る姿をセレッソ大阪から約5勝ぶんとなる14もの勝点差の16位に沈み、浮上のきっかけすら掴めてないコンサドーレ札幌は、もはやお約束とも言えるロスタイムの失点によって追いつかれたカターレ富山戦から中2日でアウェイのザスパ草津戦に臨みます。ファジアーノ岡山、ロアッソ熊本、そして富山と、ここ3戦はせっかくJ2に帰ってきたというのに知らない顔ばかりとの対戦が続いて心細かったのですが、久しぶりに慣れ親しんだ昔懐かしい相手との対戦…と思ったらそんな草津もいつの間にやら鳥居塚は引退してコーチになってるし熊林親吾はいるわ都倉賢はいるわ廣山望はいるわ玉乃淳はいるわ。怪我でこの試合は欠場していますが崔成勇もいるんですね。わずか1年しか離れていなかったのにすっかり様変わりしていました。

 「何もかも、変わらずにはいられないです。それでもあなたはこの場所が好きでいられますか?」

 いやまぁ、別に好きでJ2にいるわけじゃないんですけどね。かといって嫌いでもないですけど。

 ところで草津も今季のトップチーム登録メンバーは26人と、札幌とほとんど変わらない少人数でやりくりしていますが、GK常澤聡、DF佐田聡太郎、DF三澤慶一、MF佐藤穣、MF松下裕樹、FW後藤涼と、その26人が前橋育英高校出身という前育OBチームの様相を呈してきていますが、そのうち3人がスタメン出場、GK常澤も後半から出場しているのですから大したもの。ところで「後藤涼」って名前は声優ヲタ的にはちょっと萌える名前ですね。どうでもいい話ですが。
 そして札幌は前節出場停止だったクライトンとダニルソンが復帰。紀梨乃、趙晟桓と合わせて助っ人が全員揃いました。前節ボランチに入っていた大伍は右サイドバックに回り、宮澤との2トップだったFWも紀梨乃のワントップに戻ってフォーメーションは4-2-3-1。怪我人を除けばほぼベストと言っていい布陣…だったはずなのですが、開始からどうにも札幌の動きがよくありません。さすがに中2日のアウェイ戦、しかも羽田空港から150kmくらい離れている前橋までの移動はしんどくないはずもないでしょうから致し方ないのかも知れませんが、前節休みだったはずのクライトンやダニルソンまでイマイチな感じ。まぁダニルソンはいつもあんな調子かも知れませんが、全体的に選手の出足も鈍い上に距離も良くないのでセカンドボールが拾えず、今まではなんだかんだで相手ゴール近くまではボールを運べていたのにそんなチャンスすらろくすっぽ作れない状態です。
 しかしじゃあ草津に一方的に押し込まれていたかというとそんなこともなくて、もちろんペースは草津に握られていたのですけど、肝を冷やすようなシーンはあまりなくて攻撃の精度についてはどっちもどっちといった感じ。草津は前節終了時点で順位は9位ながらも、チームの総得点は10得点と、12得点で並ぶセレッソ、湘南ベルマーレ、水戸ホーリーホック(!)に次ぐ攻撃力を持っているのですが、その原動力である4得点の都倉はさすがという動きを見せるものの、相手がリーグワースト2位の11失点という札幌ということを考えれば草津もコンディション的にはあまりいいほうではなかったのかも知れません。
 そんなわけでサッカーとしてはあまり盛り上がらない「ザ・J2」といった感じの時間が続く中、主役に躍り出たのはリーグ得点王都倉でもキングオブコンサドーレ・クライトンでもなく、本日の主審ジョージ柏原先生。前半32分、吉弘がペナルティエリアの中で都倉を倒したのをファウルと判断しPKを宣告します。ミツは都倉を引っ張っていたのでファウルかファウルじゃないかと言えばまぁ、ファウルだとは思いますし、それがペナルティエリアの中である以上はPKなのでしょうけど、逆に都倉もミツを思いっきり引っ張っていましたからね。DFとしてはあそこは踏ん張らないといけないでしょうし、正直お互い様といえばお互い様のような気もしますが、ともかくこのPKを都倉自身が決め先制は草津。
 ほとんどシュートらしいシュートも打てていなかった札幌にとってはかなり重くのしかかる先制点。しかし同時に、あれをPKをしちゃった以上、たぶんバランス取りに来るだろうなぁとも思っていたら、案の定その7分後にペナルティエリアの中で上里が倒されたプレイが札幌のPKとなり、このPKを紀梨乃が決めて同点に追いつきました。追いついたことは素直にうれしいですし、それまでは「あれ、今日は上里欠場してたっけ?」と素で思ってしまうくらいまるっきり存在感のなかった上里がようやく見つかったこともうれしかったのですけど、こういう試合主審のさじ加減が大きく関わる内容の試合は好きじゃないですね。もちろんレフェリーがいなければ試合は成り立ちませんから、常に敬意は持たなければいけないのはわかってるんですけど。

 とにかくなんとか同点で折り返した後半、追いついたのはよしとしてもそれ以外はあまり褒められたものでもない内容に、ノブリンは開始からメンバーをいじってきました。ヤスに代えて宮澤を投入し紀梨乃との2トップに。ついでに右サイドバックの大伍を上げて3バック気味にして臨みます。ヤスのプレイはそれほど悪くはなかったですし、ドリブルで勝負を仕掛けられるヤスを外すのはちょっともったいない気もしましたが、いざとなれば砂さんがいますからこれは戦術的な交代でしょうね。で、この采配がずばり的中。後半12分、大伍のクロスのこぼれ球をペナルティエリアの中にいた宮澤が拾い、近くにいたクライトンにパス。クライトンはこのパスにダイレクトでシュートを放ちますが、この負傷した本田に代わり後半から出場したGK常澤が、その至近距離からのシュートをあり得ない反応でセーブ。

 またこのパターンか!

 これまでの試合でも「これ普通入るだろ!」というような完璧な形のシュートが相手GKのびっくりセーブで防がれることが多かった札幌、そのくせこっちのGKは別の意味でびっくりセーブだったりするのは置いとくとして、よっぽど運が悪いのかそれとも日頃の行いが悪いのかはわかりませんが、とにかく完璧な手応えだったのに仕留めきれなかったこちらは相当のガッカリ感があるでしょうし、九死に一生を得た相手は逆に勢いづきますから、こういうのは相手に流れを引き渡してしまう要因にもなり得ますし、これまでも実際そうでしたから、今日もそんな悪寒したのですが、それも一瞬の話でした。そのはじいたボールにいち早く反応したのがFW紀梨乃でした。見事なジャンピングボレーでこのこぼれ球を押し込んでついに札幌が逆転に成功しました。
 これまで何度か書いてきたように、紀梨乃自身は過去札幌に在籍してリーグ得点王やそれに準ずる結果を残してきた助っ人ストライカーたちのような俺様タイプではないですが、それでもあのシュートは自分のところにこぼれて来ることまで予測していなければうまく枠に入れることは難しかったでしょう。自分でゴリゴリ行くタイプではなくても本質的にはストライカーなんでしょうね。極端な例だと「敵のクリアはもちろん、味方のシュートも全部こぼれて俺のところにこい」などと常日頃から念じているストライカーもいるそうですから。そこまではいかなくても、去年の西京極で同じくペナルティエリアの中での宮澤のヒールパスにびっくりして空振りした石井謙伍くんはもう少し傲慢になってもいいと思います。
 そういう意味ではその前のプレイ、相手のクリアボールを予測していたかのようにあの位置にポジションを移していた宮澤と、その宮澤のパスに窮屈な体勢でも最低限の振り抜きで確実にミートしたクライトンも大したものだと思います。

 ところが逆転には成功したはいいんですが、いつもなら点が入れば調子に乗って動きが良くなるはずの札幌なのに、この日はいまいち。やはりコンディション的にしんどいのか、それともうまく行ってないチームの性なのか、あるいはその両方かも知れませんが、とにかくここからなんとなく腰が引けた状態に。前半からどうもうまくいかないな、というのは選手たち自身も感じていたでしょうから、ここでまた失点して追いつかれてしまえば再び突き放すには相当の無理をしなければいけなくなります。日曜日に首位のセレッソとの試合があることも意識の中にはあったでしょうから、「勝ちたい」というよりも「負けたくない」という感じでリスクを冒す勇気があまり持てなかったのも心情的には理解できます。フラレるのが怖いから告白しない、みたいな。踏ん切りつけるために100%勝算がないのにぶつかっていって玉砕、というパターンもありますけどわかっちゃいてもダメージでかいですからね。オレはそんなのばかりでした。キモヲタだから。
 まぁそんなことはどうでもいいとして、逆転した時点で試合時間はまだ30分以上残されており、守り切るにも少し長すぎる時間帯。判断が難しいところだったのは確かで、ノブリンもその後ダニルソンを外して砂さんを投入し、「守りに入るな」というメッセージを選手交代に込めました。しかし劣勢は変わらず、何度かチャンスは作つものの単発で終わり、相手を押し込むまでには至らず。ただそれでも最終ラインの踏ん張りと草津のフィニッシュの精度の悪さに助けられ得点を許さず、最後のほうは紀梨乃を下げて芳賀を右サイドバックに入れて宮澤の1トップに戻し、明確な守り切りを指示したノブリンの意志に応えた札幌がなんとか逃げ切って、第2節サガン鳥栖戦以来の勝点3をゲットだよ。

2009年4月22日

がんばりました

2009年Jリーグディビジョン2第9節
コンサドーレ札幌 4-1 セレッソ大阪
得点者:札幌/ヤス、紀梨乃、大ヒロ、プレデター
     セレッソ/讃岐

 水曜日にザスパ草津にアウェイで勝利を収めた札幌は、第1クール(という呼び方は今でもあるのでしょうか)の最大の山場とも言える首位・セレッソ大阪との一戦を迎えました。日本代表MF香川真司や乾貴士ら強力な攻撃陣を擁し、2008年はぶっちぎりで優勝を果たしたサンフレッチェ広島の99得点に次ぐ81得点を叩き出しながら、失点は15チーム中7番目に多い60という守備力がネックとなり、3位のベガルタ仙台と勝点1差の4位に留まり昇格を逃しています。爆発的な攻撃力を持つ反面、守備力に難があるのはセレッソの伝統とも言えるのですが、「守備のリーグ」と呼ばれるJ2どうも相性が悪いのかもしれません。
 セレッソ大阪の指揮を執るレビル・クルピ監督は、2007年途中からジャブローブラジルからやってきて、今季で3シーズン目となりますが、もともとは1997年にセレッソで指揮を執っており、その当時に攻撃サッカーの礎を築いた人物でもあります。しかし前年までの反省を生かしてか、今季は守備力も向上を図っているようで、前節までの失点は5と2位タイの少なさとなっており、チーム総得点16はもちろんリーグトップ。無敗の首位をキープしている上、引き分けもスコアレスドローだった第6節ヴァンフォーレ甲府戦のみと、前評判以上の強さを見せています。
 そんなセレッソをホーム・札幌ドームで迎え撃つ札幌は、前節久しぶりの勝ちの勢いに乗って首位撃破…と行きたいところですが、勝ったとはいえ草津戦は文字通りの辛勝であり、内容的には決して手放しで喜べるものではなかっただけに、果たして強豪チームを相手にした時どうなのかという不安も募ります。相変わらず札幌ドームは魔物の存在を本気で信じそうになるくらいホームチームにつらく当たってくれていますし、何よりもここまでで無失点の試合が1つもないというチームは前節対戦した草津とコンサドーレ札幌だけ。毎試合何らかの形で失点をしている豆腐みたいな守備陣がセレッソの攻撃陣を相手にしてどこまで堪えきれるか。豆腐は針供養にも使われるんだぜ、なんて何の慰めにもならないですしね。豆腐と言えば、お元気ですか三原さん。

 いずれにしても厳しい試合になるだろうというのが大方の予想だったかと思いますが、こちらの予想を良くも悪くも裏切ってくれるのがコンサドーレ札幌というチーム。開始からなんかが2~3本くらいネジが飛んだかのような怒濤の攻撃を見せます。セレッソも決して札幌を侮っていたわけではないでしょうが、さすがにこんなぶち切れモードは予想はしてなかったようで、対応しきれずにアタフタしているすきに、左サイドをいつものように無理矢理突破したクライトンがいつものように無理矢理右脚でクロスを上げます。このボールはGKがはじきますが、そのこぼれ球に走り込んで来たのがダニルソン。得意の左足を一閃すると、まさしくレーザービームのようなどえらいシュートがセレッソゴールに襲いかかりました。入っていれば今後も歴代ゴールベスト10にノミネートされるであろうスーパーシュートでしたが、どっこいこういうシュートを常にぶち込めるような選手であればそもそも札幌には来てないわけで、ボールはゴールポストを叩き残念ながらゴールならず。いや惜しかったですけどね。少なくともビジュのそれよりは。
 しかしこのシュートがそうでなくても腰の引け気味だったセレッソの度肝を抜いたのは確かなようです。型破りを通り越して常識外れなあんなのを見せられたら、アウェイの戦い方の王道である「ある程度引いて守る」なんて逆にダニルソンにシュート打つスペースを与えてしまうようなもの。もともとセレッソはそんな戦法を美としない爽快なチームではありますが、この開始早々のプレイが結果的にリング中央での殴り合いに持ち込んだ、と言えるかも知れません。前半6分、ミッドフィールドのスペースを消すために上げたラインの裏を突いた岡本ヤスへ最終ラインの趙晟桓からピンポイントのロングパスが出ると、そのボールをヤスがうまく拾ってドリブルで切れ込み右脚でシュート。これがゴール左隅に決まって札幌が先制します。
 先制した後も札幌はイケイケムードとなりましたが、その直後にヤスから出たパスをペナルティエリアの中でフリーで受けた上里のシュートはぼてぼての枠外。があまりにもフリーすぎて逆にびっくりしたのかもしれませんが、これは決めておかなければいけないプレイだったと思います。そうでなくてもドラクエ2でいえばサーベルタイガーくらい攻撃力の高いセレッソを無失点で凌ぐのは難しそうですから、取れる時に点を取っておかないと苦しいことになる…と思ったら案の定、香川と乾の変幻自在のプレイに何度も惑わされ、ついに前半18分、香川に3人抜きゴールを決められ同点に追いつかれてしまいました。
 ところが、普段の札幌であればがっくりとテンションが落ちてしまうような状況なのに、札幌のテンションはいっこうに落ちることがありませんでした。香川のゴールがすごすぎたために、逆にありゃしょうがねぇ、と気持ちの切り替え自体は楽だったのかも知れません。その後も何度もセレッソゴールに襲いかかります。警戒するべきセレッソのカウンターも、ミッドフィールドに構えるダニルソンが肉食獣のような食らいつきで未然に防ぎ、相手にペースを握らせません。
 そして前半41分、ロングボールのトラップが大きくなったところをすかさず奪い返した紀梨乃がそのままGKと1対1となり、これを冷静にゲット。おでこを切った時についでに気持ちも吹っ切れたらしい紀梨乃の3試合連続ゴールで突き放しに成功し、前半を2-1で折り返しました。

 後半はもちろん狙うは追加点。というか、セレッソ相手に1点差はどう楽観的に見てもセーフティーリードとは言えないわけですから、勝つためには少なくともあと1点は欲しいところですが、そんな札幌は後半4分にこの試合9本目のコーナーキックを取ります。これだけコーナーキックを取っているのだからそろそろ決めないとまずいなぁと思っていた矢先、上里のキックをフリーの西嶋がダイレクトで右脚で叩き込み、待望の追加点を奪いました。
 リードを広げた後も札幌は手を緩めません。これまで打たれてきたのがやっとリミットブレイクしたかのような感じで攻め続けますが、リミットブレイクには時間制限があるように、初っぱなから飛ばしていた札幌も次第に運動量が落ちてきます。そうなるとセレッソの攻撃陣にも余裕が生まれ、少しずつ危険なエリアまで侵入されることが多くなってきました。そして後半28分、もっとも警戒すべき香川と乾のコンビに崩され決定的なシュートを打たれますが、乾のシュートをGK荒谷が好セーブで防ぐと、すぐさま札幌はカウンター。紀梨乃からのパスをセンターサークル付近で受けたクライトンが得意の重戦車ドリブルで相手ゴールまで一直線。GKとの1対1になるとかえって不安になるのは「コンサドーレシンドローム」という病気と言われていますが、入ればほぼ試合の趨勢が決まり、外せばセレッソが息を吹き返す重要なシーンで、クライトンの右脚シュートは見事にGKに当たりますが、そのこぼれ球を再度クライトンが左足で押し込み4点目をゲット。足をつっている選手もだいぶ多かった札幌にとって大きなゴールでした。まぁ3点リードしていても「もしかしたらロスタイムに3点取られてしまうかも知れない」と不安になるのは「コンサドーレシンドローム」という病気と言われていますが、今日はさすがにドームの魔物も顔を出すことなく、終わってみればシュート21本を浴びせる怒濤の攻撃で圧勝。昨季のジュビロ磐田戦以来、1年以上ぶりのホームでの勝利を飾りました。

 さて大勝の一方で、ノブリン自身認めているように課題がなかったわけでもありません。連続失点試合を更新してしまったことについては、相手がセレッソということを考えればむしろ1点で済んだと思うべきかもしれませんが、大量4得点という結果で札幌の攻撃力が開花したとは言い切れないわけで、二桁安打・二桁得点で爆勝した翌日に散発3安打完封を食らっていた近鉄に限らず、攻撃は水物と言われますし、ゴールラッシュが生まれたのはセレッソが真っ向勝負につきあってくれたから、というのも要因としてあるでしょう。引いて守ってくる相手をどう崩すか、そういった時にダニルソンや上里のミドルシュートをどう生かしていくかなどは今後の宿題だと思いますし、首位に初黒星をつけたとは言っても相手が首位だろうが最下位だろうが、勝って得られる勝点は同じ3なわけで、札幌は未だ順位表の半分より下にいて、得失点差もマイナスの域を脱していません。
 とはいえ、ノブリンの目指すサッカーをやりきって首位を倒したことはこの先ひとつのきっかけとはなるだろうとは思いますので、遅ればせながらようやくスタートラインに立てたかな、というのが正直なところでしょうか。FF7でいえば、ミッドガルを脱出したあたり。

2009年4月28日

さらにがんばりました

2009年Jリーグディビジョン2第10節
横浜FC 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/クライトン
     横浜FC/いなかった

 負けなしだった首位セレッソをホームで撃破し勢いに乗りたい札幌は、今節はアウェイで横浜FCとの対戦です。2006年に1試合平均失点0.67という堅い守備でJ2優勝を飾りJ1に昇格した横浜FCでしたが、J1では選手の大量入れ替えの影響などでその守備力もまったくといっていいほど通用せず、それまでコンサドーレ札幌が5年間保持していた史上最速降格記録を塗り替えてJ2に降格。J1で相当無理をした影響か、FW久保竜彦やMF奥大介らJ1のために獲得した選手たちだけでなく、GK菅野孝憲やMF内田智也といったJ2時代からチームを支え続けてきた選手たちも移籍してしまい、翌年のJ2でも序盤こそ上位をキープしていたものの、徐々に順位を下げていき終わってみれば10位と低迷。エリゼウやアンデルソンが抜けた一方でこれといった補強ができなかった今季はさらに状況は悪化し、第8節水戸ホーリーホック戦で勝利(1-0)を挙げるまで1勝もすることが出来ない状態でした。
 ちなみに皆さんもご存じの通り、その横浜FCが破った史上最速降格記録は、その翌年に横浜FCと同じようなやり方でJ1に上がった
コンサドーレ札幌が、そのプライドに賭けてタイ記録で降格したのですが、「異次元の弱さ」の第一人者を別に自称はしていないけどけっこう他称されがちな札幌が持つ「J1経験チームでJ2で最下位になった唯一のチーム」という記録も脅かされつつあるのが今の横浜FCの状況です。そんな横浜FCとは過去2シーズンカテゴリが入れ替わっていたため3シーズンぶりの対戦となりますが、直接の対戦成績は実はあまり分が良くなく、過去の対戦成績は16試合で3勝7敗6分と、大きく負け越しています。
 札幌は3試合連続ゴールで一気に得点ランキング2位に躍り出た紀梨乃が前節4枚目の警告を受けてしまい、この試合出場停止ということで、ノブリンはワントップにU-20日本代表候補の合宿から帰ってきたばかりの宮澤を起用。謙伍はワントップのタイプではないですし、かといって上原にしろ横野にしろスタメンを任せるレベルには至っていない、ということで要するに自動的に宮澤しかいないわけですけど、ワントップの役割は点を取ることだけではないですが、ここまで出場時間数の割に得点はもちろんシュートの数もFWとしては物足りないのも事実。昨年の名古屋グランパス戦での先制ミドルが示すとおりシュートのうまさはチームでもトップクラスなのですから、このあたりで奮起を期待したいところ。

 さて、昨年にここニッパツ三ツ沢競技場で行われた横浜F・マリノス戦には諸事情で見に行けなかったため、サッカーの試合などでもない限り横浜にまで行くような用事がない自分がここに来るのは2006年10月18日のJ2第45節以来。約2年半ぶりに訪れた横浜駅は記憶の中のそれとはまったく様変わりしており、ただでさえ方向音痴な自分は改札を出た途端に自分の現在地を見失う有様。案内板を頼りにバスターミナルを探していたら、三ツ沢方面のバスが出ているのとは逆方向の側のバスターミナルについてしまい、涙目になりながら戻る羽目になるというアウェイの洗礼(※主に自分が悪い)を浴びつつ三ツ沢競技場に着いてみれば、ここは厚別ですかと思わせるほどのかなりの強風。今日はかなりセンシティブな試合になりそうだ、などとゴール裏メイトと話していたりしたのですが、もちろんそれが違う方面で現実になるとは、その時はつゆほども思っていなかったわけで…。

 案の定ロングボールの行く先が全然読めないコンディションの中、開始からしばらくはお互いひとまず様子見的な展開が続いていましたが、そんなダレ気味な展開にカツを入れるように訪れた山場は前半の19分でした。突破してきたDF田中輝和を倒した西嶋がこの日2枚目のイエローカードで退場してしまいます。
 この日の主審は家本政明審判員。件のゼロックス・スーパーカップに端を発する「無期限活動停止」から復帰して以来、最近では「以前に比べればマシになった」とは言われていますが、そのデビュー戦となった2003年4月9日のJ2リーグ第5節・大宮アルディージャ対コンサドーレ札幌(大宮公園サッカー場)で、前半36分に今野泰幸を一発退場させて以来日本各地で数々の「伝説」を作り上げ、各クラブのサポーターはもちろん選手や監督・スタッフまでもが不信感をあらわにしている人物。普通あれだけ批判を受ければ多少は自重しそうなものなのに、それでも未だに微塵も躊躇もせず「1、2、さぁ~ん」でカードを出すのは、たぶん「カードを出すのはカードに値するようなプレイをする選手が悪い」という考えなんだろうと思います。まぁそれは基本的には間違いではないのですが、だからといって悪即斬では世の中うまく回らないですし、そもそもイエローカードやレッドカードは、ラフプレイやルール違反を「抑止」するためのものであって、罰を与えることそのものを目的として存在するものではないはず。加えて家本主審の場合「疑わしきは罰せず」ではなく「疑わしきは罰する」タイプなのでいつまでもカードが減らないんでしょうが、実際問題この人はもうそういう人だとあきらめるほかないと思うので、田中の倒れ方がもう1枚出させて退場させようというこすいプレイに見えたような気がするのは気のせいだと思うにしても、西嶋自身脇が甘かったのかもしれません。まぁどうせ抗議したところで屍が増えるだけなので、あまり執拗な抗議をしなかったのは正解だと思いますが、とにかく残りの70分以上を10人で戦わなければいけなくなりました。
 さて、単純に数的不利というのも痛いのですが、退場したのがよりによって西嶋であったことは相当痛かったのは間違いありません。こういう早い時間帯でDFが1人足りなくなった場合、普通は守備のバランスを取るためにFWを1枚外してDFを1枚入れるというのがセオリーなんですが、札幌に来てからのノブリンは開幕以来一貫してDF登録の選手をベンチに入れていません。その理由のひとつが守備的なポジションならどこでも出来る西嶋の存在があることは想像に難くないですし、加えて、西嶋はDFながらFWの宮澤よりもずっと多くのシュートを打っているセットプレイのターゲットマンでもあります。攻守両面で重要な選手なのがこの西嶋なのです。
 ただ長いシーズンこういうこともあると思いますから、こういった緊急事態にノブリンがどういう手を打ってくるのか、宮澤を外して芳賀を入れ、大伍を左に回すのが無難な線かな、などと思っていたんですが、どっこいノブリンが採った策はその斜め上を行くものでした。システムはいじらず3バック…はいいんですが、ミツと晟桓の間にいるのは、西大伍じゃないですか。確かに大伍はFWからサイドバックまでどこでもできる、ある意味西嶋以上のユーティリティプレイヤーではありますが、さすがにその発想はなかった。そしてこういう時に重要なのが浮き足立たないことなんですが、ノブリンはすぐさま岡本に代えてベテラン砂川を投入。数的不利、加えて風下ということもあり、前半はただの1本すらシュートを打てないグダグダな内容だったものの、横浜FCも急造3バックの札幌を揺さぶろうという意図が見えなかったこともあって、ひとまずは無失点で前半を終えます。

 前半と後半の間の15分のインターバルは、肉体的なリフレッシュを図ると同時に前半での問題点を再確認し、修正するための重要な時間です。前半うまく行かなかった時、監督は選手にアドバイスを与え、必要であれば選手の交代で局面の打開を図りますが、どういう施策をしたところで札幌が1人足りないのは変わらないわけで、折しも前半はアウェイ側ゴール裏からホーム側ゴール裏に向かって吹いていた風もメインスタンド側からバックスタンド側に流れるようになり、風上というアドバンテージもあまり期待できない感じでしたので、後半も前半と似たような展開が続くんだろうなぁと思っていました。しかしそんな中でも静かに闘志を燃やしていた男がいました。そう、「プレデター」クライトンです。前半、ダニルソンが倒されながらクライトンに繋いだ時にアドバンテージを取らずにプレイを止めるというひどいジャッジをされたのがよっぽどおかんむりだったのか、後半開始からエンジン全開で横浜FCに襲いかかります。そして前半3分、砂さんからのスローインを受けたクライトンがおもむろにゴール方向へ突進すると、そのままドリブルで持ち込んでシュートを決め、10人の札幌が先制しました。マークに来た横浜FCのDFをものともしない、というか引きずりながら突き進んでいくという、いろんな意味で反則的なクライトンのプレイに大爆笑。そうですね、初めてエメルソンを見た時のバカっ早ぷりと同じような感じです。
 しかしその一方でワントップの宮澤は、この日も後半19分交代するまでやはりシュートはなし。まだハタチにもなっていない選手に多くの期待をしすぎるのも酷な話ですが、ここでキープしてくれればずいぶん後ろは楽になるというような場面でボールを抑えられるようにはなって欲しいと思いました。まぁ1人足りない中で時には最終ライン近くまで追っかけていったりとものすごく守備を頑張っている姿を見て、確かに量産型柳沢はもう間に合っているとは言いましたけど、だからといって中山元気マークIIになれとも言ってないと思いました。
 さて、先制した後も札幌は基本守りに比重を置きながらも、虎視眈々とカウンターの機会をうかがいます。その中心となるのはもちろんあの男。もはや手がつけられないクライトンはその後も自陣でクリアボールを拾ったと思ったらそのまま相手選手を引き連れたまま60メートルあまりを独走して1人でシュートまで持っていったり、2人がかりで止めに来た横浜FCの選手(うち1人は容臺)を平気な顔で2人まとめて吹っ飛ばしたりとやりたい放題。いろんな意味での横綱プレイにサッカー見てて久しぶりに心底笑ったような気がします。
 そして去年までの、いやつい最近までの札幌は、クライトンが上がっていってできたスペースを使われてピンチを招くことが多かったのですが、今の札幌にはダニルソンがいます。後半はノブリンが宮澤を外して芳賀を投入してサイドの強化を図ったことでクライトンが1人で前線に張ることが多かったのですが、その1人足りないぶんのスペースも含めてうまく埋めているだけでなく、オノレの縄張りに入って来ようものならあっという間に忍び寄ってがぶりと噛みついてきます。おまけにその縄張りも無闇に広いと来れば、横浜FCの選手がダニルソンを怖れてミッドフィールドを使わなくなるのもむべなるかな。だいぶ日本のサッカー(というかJ2)に慣れてきたようですし、今後も期待できるプレイヤーの1人ですね。もっとも、まだまだ雑なプレイも多いですから、現時点でも「高機動型ビジュ」のレベルではありますが、高機動なビジュってだけでも既に人類の範囲を超えているような気がしないでもありません。これからどうなるのかしら~(CV:水橋かおり)。
 しかしさすがに後半も半分を過ぎたあたりから札幌の選手の運動量も目に見えて落ちていきます。カウンターを仕掛けられる体力もほとんどなくなり、仕掛けたとしてもシュートを打てる体力はとっくになく、クライトンのキープ力だけが頼りといった状況です。若い選手が多い札幌ですが、それでもこれだけの時間を10人でプレイするのはさすがに厳しかった模様。その割には、アディショナルタイムにドリブルでカウンターを仕掛けてシュートまで持っていったのがクライトンさん(31歳)と砂川誠さん(31歳)だったりしますけど。
 それでも疲れた身体にムチを打ってゴールを守り続ける札幌イレブン…いやテン。横浜FCの樋口監督が札幌にとって最もいやな存在だったアツを外して御給を投入してパワープレイを仕掛けてくれたことが却って幸いし、ロングボールも晟桓やミツ、大伍らの身体を張ったプレイや荒谷僧正の落ち着いたプレイでゴールを許さず。昨年から続いていた連続失点試合を10人で止め、3連勝を飾ったのでした。久しぶりに「泣くと強いんだゾ」チームの本領発揮といったところでしょうか。ロアッソ熊本戦は泣くヒマもなかったですからね。

2009年4月30日

4連勝

2009年Jリーグディビジョン2第11節
コンサドーレ札幌 3-2 愛媛FC
得点者:札幌/宮澤、岡本、ダニルソン
     愛媛FC/柴小屋、ジョジマール

 結論から言うとこの試合で一番素晴らしかったのは、今村亮一主審だったと思います。ファウルの基準もほぼ一定していた上にカードも出すべき時に出し、それ以外は出さないという見事な仕切りでした。

 ゴールデンウィーク連戦のスタートとなるこの試合。普段から過密日程のJ2にはあまり関係ないような気もしますが、コンサドーレ札幌は愛媛FCをホームに迎えました。2006年のJリーグ参入から今年で4シーズン目となる愛媛は、過去3シーズンの戦績自体はお世辞にもいい結果だったとは言えないものの、それでも目先の結果よりもJFL時代から指揮を執り続けている望月一仁監督のもと、少ない予算の中で地道に「愛媛スタイル」を築くことを優先しています。今季は開幕から3連勝とそれが実を結びつつあるかと思われましたが、その後は勝利がなくここ最近は3連敗中。連勝時は3試合で8得点を挙げていた攻撃陣が、その後の7試合ではわずか2点しか取れていないという深刻な得点力不足に悩まされています。

 そんな愛媛とは対照的に、シーズン開幕時はもがいていたのがここに来てようやくエンジンが掛かり始めた札幌。前節は前半で西嶋弘之が退場する苦しい展開の中、クライトンの挙げた虎の子の1点を守りきって勝点3をゲットし連勝を3に伸ばしていますが、その代償は意外と大きく、退場した西嶋に加えて累積4枚目となるイエローカードを受けた上里一将の2人が出場停止。欠場が西嶋だけであれば西大伍を左サイドバックに入れて芳賀博信を右サイドバックにすれば特に問題はなかったと思いますし、上里だけなら大伍をボランチに持ってきて右サイドバックに芳賀を入れればよかったのですけど、2人同時となるとどこかに必ず穴が空きますから、ノブリンにとっても頭の痛い問題だったでしょう。そんな難しい状況でノブリンが打った手は、自身「苦肉の策」というFW宮澤裕樹のボランチ起用。キャンプでの練習では何度かボランチでプレイしていたことはありますが、試合ではもちろん初めて。ただワントップだとどうしてもポストにならざるを得ないですが、ボランチであれば逆に前を向いてボールを持つ機会が増えますし、視野の広さやボールを持った時の落ち着きはありますから、確かにありかなしかで言えばありかもしれません。問題があるとすれば守備面でどれだけやれるかで、ダニルソンの肉食獣的な守備に目が行きがちですが、上里も守備面での成長著しく、貢献も高かっただけにどこまで守備でがんばれるか、というのがひとつのポイントとなりました。

 そんなわけで試合は、現在の両チームの状態を示すかのような感じで進みます。連敗を止めたい愛媛も高い位置からプレスを仕掛けてなんとか主導権を握ろうとするのですが、もともとノブリンサッカーの基本であるプレスの勝負なら札幌も望むところですし、多少のマークなんて蚊に刺されたほども感じない横綱がいるぶんサッポロが有利です。そんなわけで部分的横綱サッカーを繰り広げる札幌は開始早々、右サイドからの攻撃で空いたスペースに攻め上がってきた宮澤がシュート。迷いなく振り抜いた右脚のシュートはわずかにゴール右に外れましたが、早速宮澤をボランチに入れた効果が出ます。その後もほぼ一方的に札幌が攻め続け、点の取れそうな予感がぷんぷんする中で生まれたゴールは前半27分。この日取った最初のコーナーキックにニアの宮澤が頭で合わせてゴール。これまでFWで結果のでなかった宮澤が、ボランチに入った試合でいきなり今季初ゴール。でもゴールしたのはあんまりポジション関係ないセットプレイだったりもするのですが、まぁ西嶋がいればターゲットは宮澤ではなく西嶋になっていたでしょうし、上里がいれば宮澤はそもそもベンチにいたでしょうから、その2人がいなかったことによってこのゴールが生まれた、と考えれば間接的にはボランチに入ったおかげ、とも言えなくもないような気がしないでもないかもしれません。いずれにしても、後ろに下がりながらの難しい体勢でしっかり枠に飛ばすあたり、やはり非凡なセンスの持ち主だと思います。
 先制した後は若干落ち着いた展開になりましたが、それでも攻守の切り替えの早い札幌は愛媛に攻撃らしい攻撃をさせず、内村の個人突破からシュートを2本許した以外はまったく危なげなく前半は1点リードで終了します。

 札幌にしては珍しく安心して見ていられる内容の前半でしたが、さりとてあまり堅守とは言えない札幌にとって1点のリードというのはどこが相手でも心許ないのは事実。先制しながら追加点が奪えず追いつかれて終了、というのはこれまで何度もありましたから、次の1点を早めに奪うことが何よりも求められます。そんなわけで後半10分、宮澤がヘディングで前に送ったボールをクライトンが相手DFを背負いながら紀梨乃へ落とすと、紀梨乃が左サイドのオープンスペースにパス。そこへ走り込んできた岡本賢明がダイレクトでキーパーの股間を抜くシュートを決めて追加点をゲットしました。ヤスがシュートしやすい丁寧なパスを出した紀梨乃、そのボールをきっちりと決めたヤスも見事だったのですが、やっぱりここでも目立ったのがクライトン。何しろ自由にさせまいと必死に身体を寄せる相手DFを自慢の尻で完璧に封じ込めていたのですから。存在自体が反則です。素敵すぎます。
 とにかくこの時間帯に追加点を取れるようになったのは成長の証。こうなると札幌はもう完全にガンガン行こうぜモード。「どこからでも点取りますよ?」とばかりに次から次へといろんな選手が愛媛ゴール前に顔を出していきます。宮澤もゴールを決めてだいぶ吹っ切れたようで、1人で持ち込んでシュートを打つなどだいぶ積極性が出てきた感じ。どうでもいいですけど宮澤がシュート打つと、カレイドスターでロゼッタが笑った時と同じ気分になりますね。わかる人少ないでしょうけど。
 そして後半23分、自らがクリアしたボールをクライトンが拾ったのを確認したダニルソンが猛然と前線にダッシュ。それを見ていた紀梨乃もゴールへ向かってランニングを開始します。得意の横綱ドリブルで突き進むクライトンを中心に左右に開いた紀梨乃とダニルソンという、札幌の「黒い三連星」によるジェットストリームアタックが繰り出されました。正直、オレが愛媛のDFだったらたぶん泣いて謝っていたと思いますが、クライトンから出たパスにダニルソンが追いつきシュートすると、GK山本がのニアを抜いてゴールに突き刺さりました。まぁ山本のミスといえばミスなんでしょうけど、あの位置からあの足の振り抜きであのスピードのシュートが来るとは思わなかったでしょうしねぇ。
 試合時間も残り20分あまりという段階で3点リードというのは、サッカーにおいてはほぼセーフティーリードと言っても過言ではありません。まぁ中にはロスタイムの3分間で3点取られる希有なチームも存在しますが、それでもこの日の試合内容からすれば、もうすっかり楽勝ムードといっても過言ではなかったと思います。それが楽勝どころかあわや同点にまでされそうになるとは思ってもいませんでした。試合の趨勢が決したことで札幌の選手が微妙に集中力を欠いたというよりは、こんな状況に慣れていないゆえたぶんどうしていいかわからなくなったんじゃないでしょうかね。セレッソ大阪戦でも3点差で勝利していますが、あの試合ではJ2最強の攻撃力を持つセレッソをいかに抑えるかという意識が統一されていたと思います。しかしこの試合では3点目が入った時点で、このまま逃げ切るべきか、それともさらなる追加点を狙うべきか、そのあたりの意識が統一されていなかったように思います。セオリーからいえば、セーフティーリードを得た時点で「追加点」よりも「無失点」を優先させるべきですし、選手たちもそう考えていたと思います。2試合続けて無失点に抑えれば、チームとしての自信にも繋がりますしね。
 しかし、ノブリンが打った手は岡本に代えて上原慎也の投入。「若い選手に経験を積ませるつもりだった」ことと「怪我をしている砂川にあまり無理をさせたくなかった」とのことですが、MFに代えてFWを投入するということは紛れもなく「もう1点取ってこい」というメッセージに他ならず、会場の雰囲気もまたそうだったと思います。まぁ砂さんが万全だったとしても、どっちみちベンチにいる守備型の選手は岩沼俊介しかいなかったんで、経験を積ませるのであればまだ試合出場のない岩沼を入れてもよかったかも知れませんが、さすがにそこまでのリスクは犯したくなかったのかも知れません。もちろん上原が追加点を決めていればドンピシャの采配となっていたでしょうし、それが現実になるチャンスは何度かあったのですから、あくまで結果論に過ぎないわけですが、上原投入の直後になんでもないロングボールの処理を誤り柴小屋にゴールを許すと、後半35分にDF三上が退場して数的有利になったあとは、逆に開き直った愛媛にメダパニでも食らったようにさらに混乱。疲れもあったのでしょうがどこからプレスに行くのかもはっきりせず、またしてもロングボールからジョジマールにうまくシュートを決められてついに1点差にまで詰め寄られてしまいました。完全に流れが愛媛に行ってしまった中でそれでもなんとか踏み止まったあたりもまぁ成長したと言えるかもしれませんが、楽勝ムードのはずがなんともすっきりしない4連勝目となってしまいました。
 そんな感じで課題はいろいろあったとは思いますが、そのあたりはノブリンがまたしっかりネジを巻き直すはずなのでいいとして、ひとまずようやく試合が終わった後に順位表が気になるようになってきましたね。札幌はこれで順位を1つ上げて7位に浮上。3位のヴァンフォーレ甲府との勝点差は7のまま変わりませんが、得失点差もようやくプラマイゼロとしました。

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