第二のホームも敵だった
2009年Jリーグディビジョン2第6節
ロアッソ熊本 4-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/荒谷(※-1点)
熊本/木島、山本、中山
前節、Jリーグ新加盟のファジアーノ岡山を相手に負けに近いドローに終わったコンサドーレ札幌は、今節は再びアウェイで加盟2年目となるロアッソ熊本との対戦となりました。ここまで1勝1分3敗、首位のセレッソ大阪とは勝点差11の14位と、J1昇格というお題目がもはやプロパガンダにすらなりそうもない成績に甘んじている札幌。シーズンはまだ始まったばかりとはいえ、これまでのJ2の傾向からはシーズン序盤でつまずいたチームが昇格を果たしたケースはほとんどありません。これ以上置いて行かれると勝点的にはもちろん、チームの精神状態も相当に厳しいものになるはずですから、ここはどうやっても勝っておくべき試合…だったはずなんですが、結果は0-4の惨敗。岡山にホーム初得点を献上したのに続き、熊本にも今季ホーム初勝利をプレゼント。あれですね。後輩にいいところを見せようとしてそんな余裕もないくせについつい飲み代をおごってしまうような気前の良さですね。太っ腹なのは松井さんだけでいいのに。もういないけど。お元気ですか松井さん。
まぁそんなわけで札幌のメンバーですが、頭を切って縫って岡山戦を欠場したFW紀梨乃は今節は遠征メンバー入りしたものの、切って縫った頭の状態はまだ万全ではないようで、切って縫った頭を保護するため幽遊白書の飛影みたいな出で立ちでベンチスタート。GKも安定感を欠いていた優也に変えて荒谷僧正が今季初スタメンとなりました。
試合会場となるロアッソ熊本のホームスタジアム・KKウィングは、約32,000人収容とJ1規格を余裕で満たしているだけで、先日は日本代表の試合も行われたほどの立派なスタジアムながら、天皇杯や熊本が参入するまでは隣県の大分トリニータがリーグ戦で何度か使用していた程度で、昨季熊本がJリーグに参入するまではここをホームスタジアムにするJリーグクラブがなかったため、どこのチームも試合をする機会そのものが少ない場所でした。札幌も熊本がJリーグに参入した昨季は札幌はJ1にいたため対戦がなく、熊本とはこの試合が初の対戦となりますが、札幌がここ数年熊本でキャンプを行っている関係上、KKウィングスタジアムはトイレにだって目をつぶっていけるほど勝手知ったるスタジアムでしょうし、ロッソ時代の熊本ともテストマッチやプレシーズンマッチで何度も対戦しております。また2004年の天皇杯で大分トリニータに競り勝った思い出深いスタジアムでもあり、札幌にとっては比較的ゲンのいいスタジアムでした。しかし日刊スポォツによればノブリンは過去3度ここで試合をして3度とも負けているようで、データのサンプル自体少ないながらもあまりゲンがいいとは言えないスタジアムだそうです。要するにどっちのフォースが勝つか、ということだったのですが、勝ったのは暗黒面のほう。
そしてこの両チームはどっちの所属選手にも西がいて藤田がいて中山がいて石井がいるという実況泣かせの対戦でした。うっかり画面から目を離して実況だけを聞こうものなら、どっちが攻めてどっちが守ってるのか何がなんだかさっぱりわからない状況に。昔札幌で佐藤洋平(現ベガルタ仙台GKコーチ)と佐藤尽(現コンサドーレ旭川ユースU-15監督)がプレイしていた頃、佐藤由紀彦(現Vファーレン長崎)や佐藤寿人(現サンフレッチェ広島)・勇人兄弟(現京都サンガFC)らを集めて「ドキッ!佐藤だらけのサッカー日本代表」を作ったらわけわかんなくて面白いだろうなぁ、でも今ならきっとGKは佐藤優也で「ポロリもあるよ」で決まりだろうなぁなどと妄想したことのある人はたぶんオレだけではないと思いますけど、それ自体はあまり関係なく見ているほうはもうわけがわかりません。つうか見てる人だけならいいですけど、コンサドーレ札幌の選手たちまで右往左往の大混乱。しかも西・藤田・中山と来れば「どっちがより全盛期のジュビロか」という対戦だったわけですが、だったら高原がいる札幌の勝ちだろ、と思いきやその高原と中山が試合メンバーに入っていなかった上、よく考えたら向こうの藤田は本物だったのでここでも札幌の負けだったわけですね。
ひとまずこの試合のポイントは3つほどあったと思います。ひとつめは、前半10分にクライトンのクロスをファーサイドでフリーで受けた宮澤が、シュートコースは空いてはずなのにわざわざ中央に折り返してあっさりクリアされたシーン。俺様な選手だったらためらいなくシュートを打っていたであろうシーンで、何を思ったか相手のDFがごちゃっと固まってるところへのパスを選択するのははっきりいってがっかりですし、ああいうプレイはほんと流れを悪くするんだよなーと思っていたら悪い予感は当たるもので、その3分後に札幌はカウンターからあっさりと先制点を献上。いくつか失点回避できただろうシーンで全て後手後手に回ったみったくない失点の仕方に何とも言えない気持ちでいると、テレビの画面には先制ゴールを決めて喜んでいるロアッソの10番の選手が大写しに。
前園さん? 前園さんじゃないですか!
木島選手でした。
そして2つめは3失点目のオウンゴール…ではなくて2失点目でしょうね。3失点目については確かに致命的ではありましたし、僧正、そして晟桓のミスであることは否定できないのですけど、さりとてあの時点で2点のビハインドを負っていなければ、両者ともあそこまで余裕のないプレイをすることもなかったと思うのですよ。たとえまだ試合が半分以上残っているとはいえ、今の札幌の得点力では1点ならまだかろうじてなんとかひっくり返せるような気がしないでもないかもしれませんが、2点ともなるとせいぜい追いつけるかどうか、という感じでしょう。とにもかくにも前半のうちに1点でも返しておかないとまずいことになる、という焦りが遠因にあったんじゃないかと思います。いずれにしろあのミスを責める気にはなりませんね。未来永劫ネタにはしますけどね。もちろん。
最後の3つめはもちろん、クライトンの退場ですね。あのファウルに対するジャッジの妥当性についてはともかく、3点を追わなければいけない状況の中で数的不利に陥ったことだけでなく、よりによって大黒柱のクライトンを失うということは、それでもまだ食玩の「食」のほうくらいは残っていたかも知れない「逆転するんだ」という気持ちが完全に潰えてしまったであろうことは想像に難くありません。
それでもしばらくはこの大ピンチに交代で入ってきた紀梨乃をはじめとした攻撃陣が中の人が入れ替わったかのような鬼気迫るプレイを見せてくれるかも知れない、という目論見も多少はありましたし、実際10人でもそれなりには戦えてた部分もあるんですけどね。それも後半16分に中山悟志が4点目を決めるまでの話。それ以降はまぁ、前線で攻撃の起点になっていた木島の前園顔を堪能するほかなかったわけで、結局は1点を返すことすらできずに試合終了。
別にオレ自身は今年の昇格については「できればいいなー」くらいに考えている程度ですけど、だからといって順位表の下のほうでもぞもぞ動いてるだけでいい、などと言ってるわけではなくて、できうる限りは昇格レースに絡んだ上で、その結果51試合終わった後に3位以内に札幌が入ってなくても仕方がないというスタンスなだけです。要するに「やるだけやってダメならにっこり笑うしかねえけどよ」という感じでありますが、では現時点でやるだけやってるか、というとそうとも言い切れないというか、少なくとも自分にはやるだけやってるようには思えない、というのが正直なところ。
この試合の結果についても1試合単位で見れば0-4で負ける時もあれば6-0で勝つ試合もあるわけで、相手はともかく試合の結果そのものについてをどうこういうつもりもないですけど、とにかくやっぱりアレですね。宮澤のプレイはつくづくがっかりでした。ストライカーではないんだろうなとは思っていましたけど、さすがにあの位置ですらシュートを打たないというのはゴールから一番近い位置にいるポジションの選手としてはどうなのかなと。シュートは打たなきゃ入らないんですからね。打っても打っても入らないこともありますけど。
というわけで、宮澤選手には「今後一年公式の場では麻生総理大臣のものまねで出る刑」に処することにします。いやマジな話、量産型柳沢はもう間に合ってますので実際。