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2009年9月 アーカイブ

2009年9月 1日

雨の西大伍

2009年Jリーグディビジョン2第36節
ザスパ草津 2-5 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/西(おとめ座)x2、紀梨乃(やぎ座)、藤田(ふたご座)、宮澤(かに座)
     草津/小池(おうし座)、佐田(うお座)

 後半終了間際に「お約束」が発動し、あと少しのところで4連勝を逃した札幌。先制しておきながらも自らのミスに近い形で逆転を許し、いつもならそのままずるずる勢いがしぼむか、無謀な攻めをしてカウンターを喰らうかどっちかのパターンだったのを一度は再逆転したことは評価できますが、その勢いを勝利に結びつけることができないのが今季の、というよりは昔からの札幌の弱点なわけであり、それがJ2でも中位クラスに留まってしまうことが多いひとつの要因でもあるのですが、それがモロに出てしまった感じの試合だっただけに、このアウェイでの草津戦はすっきりと勝ちたいところ。
 所用でキックオフ直後から放送を見たのですが、札幌のゴールマウスを守ってる選手が、いつものスキンヘッドの人ではありません。金髪のプロレスラーでもないし、あの必要以上に地味な感じの選手は…高原? 荒谷僧正が怪我をしたという情報も見ていないですし、ひょっとしたらこのご時世だけに現地入りしてからインフルエンザの症状でも出てしまったのか、それとも夢枕に後白河法皇が出てきたので本当に出家してしまったのかと思ってメンバーを見てみると、ベンチには入っています。後からノブリンが会見で言っていた「(高原の起用は)勘です」というのはおそらく本心ではないでしょうが、相変わらずピリッとしない守備陣に「お前たちが抜かれたら後はないものと思え」というメッセージなんでしょうか。まぁ僧正も決して五体満足で試合に出ているわけでもニアでしょうから、上位陣との対戦が待ち受ける9月以降に向けてここいらで少し休ませ、ベンチから解説役として砂さんあたりに「知っているのか雷電?」などと言わせたかったのかも知れませんね。

 さて試合、台風11号の接近の影響で関東全域が雨模様となったこの日、試合会場の正田醤油スタジアム、略して「しょうしょうス」と口に出して発音すると「しょうしょうしゅ」となってしまう草津のホームスタジアムも雨が降りしきるあいにくのコンディションでしたが、ここ数試合採用している4-1-4-1システムがだいぶ回るようになってきたのか、札幌は出だしから快調に攻め立てます。前半17分、ダニルソンが左サイドに振ったボールを受けた宮澤がクロスを送ると、ファーサイドの大伍が頭で決めて先制。その10分後にはまたダニルソンがゴール前で盛大にクリアしたボールをDFと競り合いながらもマイボールにした紀梨乃が難なく決めて2-0とすると、前半のアディショナルタイムには紀梨乃のパスを再び大伍が右足で決め、文句のつけようがない試合運びで前半だけで3点のリードを奪ってしまいます。なんか入る時ってこんなもんなんですね。
 後半も札幌の勢いは衰えず、立ち上がり5分に紀梨乃が倒されて得た相手ペナルティエリアすぐ外からのフリーキックを藤田征也が直接決めてゴールと、その差を4点に広げます。まだ試合時間はたっぷり残されているとはいえ、この時点で試合の趨勢はほぼ決まる点差です。サッカーにおいて4点差をひっくり返すのは至難の業ですからね。もっとも、その至難の業をあっさり相手にやられてしまうのが札幌というチームではあるのですが、案の定交代出場の小池純輝にゴール隅に決められて1点を返されます。この失点については、その前から小池とマッチアップしていた小ヒロのところで何度もやられていたので、ああやっぱりな、という感じだったのですが、それについてはたぶんノブリンもわかっていたでしょう。その時点で小ヒロを引っ込めて守りを優先する選択肢もあったとは思いますが、、大量リードを得て多少の余裕はありましたから、小ヒロ本人の「修行」のためにあえて残したのかもしれません。無失点で凌ぐのも大事と言えば大事なんですが、あのあたりのエリアでの守りの重要さを体で覚えさせようとした、というのはひいき目に過ぎるでしょうか。
 ただそうだとしても誤算だったのは、1点取られたとはいえあと3点のリードがあるのに、途端にバタバタし始めてしまったことでしょうか。それは1点を返された直後にコーナーキックからのこぼれ球を宮澤が叩き込んで5点目を奪っても変わらず、後半終了間際に相手のコーナーキックをクリアしたボールを佐田に約35メートルのミドルシュートを決められ失点。ゴール前がごちゃごちゃしてたのでゴールキーパーにとっては人の間から急にボールが出てきたように見えたんでしょうが…。なんかとても高原らしい失点の仕方ですね。

 まぁそんなわけで大量得点の陰でいつもの通りの後半残り30分からの失点と、会心の勝利とは行かなかったわけですが、それでも5点のうち4点が道産子、大伍と征也の高円宮杯準優勝コンビのプロ入り初のアベックゴールといろいろと隠れた「記録」がありました。その中でも特筆すべきは今季初ゴールを決めた征也の直接フリーキックでしょうか。もともと札幌はセットプレイのキッカーはだいたい助っ人選手が務めることが多く、そもそも日本人選手がフリーキックを蹴ることもそう多くはなかったのですが、助っ人選手がいなかった時代に主にキッカーを務めていた砂さんは壁当てが伝統芸でしたし、現在「日本一フリーキックのうまい豆腐屋さん」として公道最速を目指している三原廣樹も、サテライトでは決めたことはあっても怪我もあってトップチームでのフリーキックはついにネットを揺らせずじまい、セレッソ時代はけっこう決めてた西谷正也も、札幌では直接を狙うことはあまり多くありませんでした。
 そんなわけで札幌の日本人選手がJリーグで直接ゴールを決めたことは、これまでの歴史上ただ1人だけ。その1人とは池内友彦で、2005年7月30日の徳島ヴォルティス戦で決めたものなんですが、ゴール前まで上がっていくように見せかけて相手が壁を作る前に蹴ったら入ってそれが認められたという、ものすごくインチキくさいやつでした。インチキくさかろうがどうだろうが直接入れたのは変わりないですし、どんな形であれ1点は1点なんですけど、一般的に「直接フリーキックをぶち込んだ」という言葉から連想されるプレイからすれば「参考記録」みたいな感じですから、征也が実質「日本人選手初」と言ってもいいかもしれません。札幌がJリーグに加盟してから12年目の夏の終わりのことでした。

2009年9月 6日

水戸の花嫁

2009年Jリーグディビジョン2第37節
コンサドーレ札幌 1-1 水戸ホーリーホック
得点者:札幌/DAIGO
     水戸/KOHTA

 アウェイで大量5得点の勝利を収めた札幌は、水戸ホーリーホックをホーム厚別に迎え撃ちます。水戸ホーリーホックといえば、かつては例え負けていても自陣からほとんど出てこないほどの極端な守備的サッカーで知られていました。他チームとの戦力的な差を埋めるために採った極めて現実的な戦術ですが、そのあまりの徹底っぷりにイタリア代表の守備的サッカーを表す「カテナチオ」とかけて「ミトナチオ」という言葉まで生まれたほど。水戸の名産である「水戸納豆」もかかっているとしたらハイブロウすぎて屁のつっぱりもいりませんけど、詳細は不明です。もちろん戦力の差を戦術で埋めることには限界がありますから、いつもそれで勝負になるというわけではありませんが、ポゼッションを志向しているチームに対しては割と有効で、ひとたびハマれば上位チームをも葬り去ってしまうことも少なくなく、札幌も苦汁をなめさせられたことは1度や2度ではありません。
 そんな水戸も「カウンター一辺倒からの脱却」を目指しチーム改造に着手。木山監督2年目の今季は大方の予想を覆す躍進を見せ、ここまで19勝9敗8分、勝点65の5位という見事な成績を上げています。その躍進の大きな要因が大黒(ヴェルディ)・香川(セレッソ)に次ぐリーグ3位の得点を挙げているFW高崎寛之と、同じく9位の11ゴールを挙げている荒田智之の2トップ。骨折による長期離脱がなければ荒田ももっと得点を重ねていたはずですから、この2人はリーグでも屈指の2トップと言っても過言ではないでしょう。
 最終クールに入ってなおこの順位をキープできているのはフロックでもなんでもなく、現在7位の札幌にとっては当然水戸は格上の相手となります。水戸との勝点差は11とだいぶ離されてはいますが、この試合に勝てば勝点4差で6位につける鳥栖とは差を1にまで縮めることができるかもしれないですから、ここは是非勝っておきたいところ。

 だったんですけど!

 結果は後半開始早々に西大伍の2試合連続ゴールで先制したものの、交代出場の吉原宏太にゴールを決められて追いつかれると、その後はチャンス自体はそこそこあったものの、紀梨乃が相手GK本間にペナルティエリアの中で引っ張られたのがファウルにならなかっりと不運もあり、ゴールを奪うことができず1-1の引き分けに終わりました。
 ただ、PKの判定については別に文句をつける気はありません。いや確かにPKでもおかしくないシーンでしたけど、あれくらいのプレイは札幌もコーナーキックの時に結構やってましたから、あれでPKを取るレフェリーだったらたぶん札幌も少なくとも1度はPKを取られていると思います。それよりも、交代出場した吉原宏太をどフリーにして決められたことが問題でしょう。2トップはそのままにしてもう1枚FW入れたんだから、相手のフォーメーションを見てマークの確認くらいベンチの指示に頼らずにピッチ上で行うべきです。完全に崩されたのならまだしも、宏太の外に上里が余ってたんですから完全にマークミスでしょう。
 とはいえ、あの流れであれば紀梨乃がPK取ってもらえたとしても、あるいは宏太に決められなかったとしても、引き分けという結果は変わらなかったように思います。それくらい、水戸はいいチームになったと思いました。そうですね、例えるならジェロニモが人間から晴れて超人になったという感じでしょうか。あんま褒めてないですね。訂正してお詫びします。
 まぁそれはともかく、かつては2億円程度と言われた年間予算が現在どこまで増えたかはわかりませんが、ともあれJリーグ全体で36クラブとなった今季の段階においても、水戸の予算規模は「Jリーグで最も低い」のだそうです(水戸ホーリーホック・沼田邦郎社長のブログより)。吉原宏太が水戸に加入した際に、推定500万円という年俸に対しての「水戸にとって1億円の評価をしてもらった」というコメントも、極端な話ではないのでしょう。そんなチームが現在上位につけているのは、「全員がサボらない」という1点に尽きると思います。全員がやるべきことをしっかりやる、簡単なようで難しいことなんでしょうけど、最後の最後で明暗を分けるのはそういうところだと思うのですよ。
 もちろん、札幌だって手を抜いてやっているとは思っていません。むしろ少し前までの札幌であれば、追いつかれた段階で堪えきれずに逆転を許していた展開だったと思いますから、それを考えれば決して悲観するような結果ではないと思います。とはいえ、シーズンのことを考えれば非常に痛い引き分けだったのもまた事実。「何が何でも勝つんだ」という強い気持ちは常に持ち続けないと行けないと思います。なんだか前にも同じようなことを書いたような気もしますが、まぁ毎年同じようなことを繰り返しているチームだから仕方がありませんよね。いい加減9年もサイト続けてると昔何書いたかすっかり忘れててうっかり同じネタかましてたりもするわけですけどね。あんまり人のこと言えないですね。最近はゲームも「何が何でもクリアするんだ」という強い気持ちがないので、積んでしまうことも多いので。

2009年9月10日

伊予の花嫁

2009年Jリーグディビジョン2第38節
コンサドーレ札幌 3-2 愛媛FC
得点者:札幌/助っ人1号、助っ人3号、助っ人2号
     愛媛/赤井、大山

 試合内容から見れば前節水戸ホーリーホックと引き分けたのは、まぁまぁ妥当だったと言えるものですが、勝てていれば上位進出に少しの光明が見えてくる試合に引き分け、逆に立場が苦しくなった札幌。ノッてる時はイケイケだけどいったん落ち込むととことん落ち込んでしまうのは、コンサドーレが若いチームだからなのかそれとも古来からの伝統なのか、とにかく躁鬱が激しいのが札幌の特徴のようです。前々節の大量5得点という躁状態から再び鬱状態に突入したのか、14位の愛媛FCを相手にしたこの日はまったくひどい出来でした。前節と同じメンバーで臨んだ札幌は開始からまったく動きの量がありません。
 一口に「動きの量」と言いますが、だからといってただ動けばいいというわけではありません。選手全員がその場で延々反復横跳びをやったりしても確かに動きはものすごくあるでしょうが、たぶん何の意味もないと思います。サッカーにおいて「動く」のは多くの場合「パスコースを作るため」か「スペースを作るため」に他なりません。パスを受ける相手がまったく動かなければ、当然パスのコースもそのボールが行き着く先もわかってしまうわけですから、守る側にとってはやりやすいことこの上ないでしょう。積極的にプレスをかけてくる愛媛の格好の餌食となるのは当然で、その鋭いプレスに札幌はまったく攻撃の形を作ることができません。愛媛も愛媛で攻撃の際にミスが多く、さほど札幌が不利という感じでもなかったのですが、それでもろくすっぽボールもキープできない上、プレスを交わすことを意識する余りにイージーなパスミスで相手にボールをプレゼントしてばかりいれば、そりゃ失点するのも当たり前。前半30分、中途半端なマークでフリーで上げられたクロスを赤井秀一に決められ先制を許します。先制されても札幌の動きは相変わらず良くなく、たまに上里の左からのクロスが多少の可能性を感じさせるくらいで、さりとてそれが続くわけでもなく、得点の匂いがまったくしないまま、前半の札幌のシュートはわずか2本。たった2本で1点取られるのはせいぜいコンサドーレ札幌くらいです。

 そんな感じで全体的にダメだったのですが、その中でもよりいっそうダメだった宮澤に代えて後半頭から砂川を投入。こういう時に流れを変えるのがベテランの役目で、これまでもその期待通り流れを変えてくれたことも多々あるのですが、これだけひどいといかに砂さんといえどもたった1人ではいかんともしがたいところ。後半2分にセットプレイのチャンスから大ヒロが折り返したボールをほぼフリーで紀梨乃がぶっぱずし、逆に7分に大山にラインの裏を突かれループシュートを決められ、リードが2点に広がった時点でゲームはほぼ決まったかと思われました。
 しかしその4分後、再びセットプレイの素早いリスタートから大ヒロが頭でゴール前に送ったボールを紀梨乃がつま先でコースを変えたボールがゴールネットを揺らし1点を返すと、流れはがらっと変わります。前半の出来にすっかりおかんむりだったノブリンが中山元気とハファエルを一気に投入、残り30分以上を残した段階で交代枠を使い切るやけっぱち采配に出ます。
 この交代が功を奏し、あまりポストプレイが得意じゃない紀梨乃に代わってポストになることによって前線での収まりどころができ、結果全体の押し上げができてセカンドボールも拾えるようになってきます。まぁ元気ももともと得意だったわけではないですし、俺王様みたいにどんな愛のないボールでも優しく包み込めるような技術があるわけでもないのですが、それでも彼の場合は「そのでかい体はそのためにあるんだ!」とばかりに相手に身体を預けながらなんとかマイボールにしようと体を張れるので、簡単にボールを失うことが少なくなりました。紀梨乃もそういうプレイをすればもう少しポストもできると思うんですけど、背後からDFに当たられるとバランスを崩して奪われるか、その前にボールをさばこうとして確実な落としができないことが多いんですよね。この試合でのゴールを含めて目下のところ15得点と、J2の外国籍選手ではトップの得点数を上げているとおり(全体では6位タイ)、得点能力は及第点以上のものを持っているのですから(イージーなシュートを外すことも多いですが)、そのあたりの一次的接触を極端に避けるのが改善されれば、3億くらいで売れ…いや絶対的エースとして君臨できると思うんですけどね。怖いのかい? 人と触れ合うのが。
 1点を返して息を吹き返した札幌は、後半25分に紀梨乃がスピードで振り切って折り返したボールに走り込んできたハファエルが右足で決めて同点に追いつきます。こうなると前半から飛ばしてきた愛媛の運動量がすっかり落ちたこともあり、勢いは完全に札幌となります。その要因は間違いなく元気のプレイだったでしょう。それだけに後半15分に彼が放った、いったんトラップして浮かせたボールを振り向きざまに叩いたボレーシュートは、決まっていればソロモンを突破した連邦軍に匹敵する勢いをもたらしたかもしれないだけに、決めさせてあげたかったですね。止められたのは相手GKを褒めるしかないファインセーブだったとはいえ、どうにも元気って意外と…と言ったら失礼ですがけっこうすごいシュートを打つことが多いのに、そういうシュートは決まって入らないですよね。少佐なら「当たらなければどうということはない」という感じなんでしょうけど、ああいうゴールをいつも決められるような選手だったら…そもそも札幌には来てないか。
 それだけに、後半28分のダニルソンの逆転ゴールは、決まった瞬間爆笑してしまったくらいすごいシュートでしたね。あのスピードであのコースに飛んで来たら、止められるゴールキーパーは世界中探しても若林源三くんくらいでしょう。ああいうゴールをいつも決められるような選手だったら…そもそも札幌には来てないか。加えて、前半のダメっぷりも前半限りで交代させられた宮澤に劣らずダメだったのですけど、4-1-4-1のシステムは彼あってこそですし、その前提であるアホみたいに広い守備範囲とボール奪取能力を発揮した上でなお、試合が終わっても平気な顔をしているというのは、かつて1ボランチを務めたら目に見えてやつれていったタバタンと比べるとやっぱり日本人とは違うんだな、と思う次第です。あとはせっかく奪ったボールを惜しげもなく相手にパスするのが減れば、もっとすごい選手になれると思います。
 その後もチャンスこそあったものの、紀梨乃のヘディングシュートやボレーシュートが相手GKのファインセーブにあったり、カウンターから抜け出したハファエルが、あとは決めるだけという場面でボッテボテのシュートを放ち、左足ならばクライトンのレベルに達していることを証明したりで追加点は奪えず。決めるべき時に決めないと今度はサガン鳥栖戦の悪夢がよみがえってくるわけですが、愛媛のシュートミスにも助けられなんとか逃げ切り、結果オーライの勝点3をゲットしました。

2009年9月17日

小瀬の花嫁

2009年Jリーグディビジョン2第39節
ヴァンフォーレ甲府 2-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/藤田
     甲府/まらにょんx2

 更新が遅いのは何も寧々さんとちゅっちゅしたりピュアな人しか入れないクラブに通ったりで忙しいわけではありませんよ。ええ、ありませんとも。

 さて、愛媛戦で2点差をひっくり返して勝点3を手にした札幌は、いよいよ4強の一角ヴァンフォーレ甲府とアウェイで対戦します。昇格へわずかな可能性にかけるには、まずここで甲府を倒さなければ始まりません。今季の対甲府戦は1敗1分とさっぱり勝てていない札幌ですが、32節以降負けなし、7試合で19得点という勢いに乗って甲府を倒したいところ。
 しかし結果だけを見れば確かに好調に見えるのですが、相変わらず失点は少なくないですし、前節も逆転勝ちというのは確かに盛り上がりとしては最高潮だったとはいえ、前半の出来は惨憺たるものでした。もちろんいつも90分同じペースで相手を圧倒し続けるなんてよっぽど力の差がなければ無理ですから、勝負事には流れというものが確かに存在するものなのですが、それにしても前半はひどすぎる内容で、ナディアでいえば南の島編くらいのまったく無駄な時間を過ごしていたことにノブリンもおかんむりだったのか、「勝ってるチームは変えるな」というサッカーの原則を曲げてスタメンとシステムをいじってきました。紀梨乃のワントップは変わらないですが、ハファエルを初めてトップ下として起用、ボランチをダニルソンと宮澤の2枚にし、センターバックには出場停止の石川のところに吉弘を入れてきました。
 クライトン退団以降、試行錯誤の末に編み出したワンボランチではなく、クライトンがいた頃の4-2-3-1システムにしたのは、おそらくハファエルの守備に不安があることと、愛媛以上にプレスのきつい甲府は当然ダニルソンのところをいの一番に狙ってくるでしょうから、その対策だったのかもしれません。結果として、その試みはうまくいかなかったのですが。
 昇格枠3つを4チームで争う、文字通りの椅子取りゲームを繰り広げている甲府は、前節終了時点で3位の湘南ベルマーレと勝点、得失点差とも同じながらも勝利数の差で4位。各チームの勝点差はほとんどないとはいえ、上位陣はさすがになかなか負けてくれないだけに、ここに来ての取りこぼしは致命傷にもなりかねません。ですから甲府が本気と書いてマジと読むくらい本気で潰しに来るであろうことは想像に難くなかったわけですが、前節の反省から「試合の入り方」に逆に慎重になりすぎてしまったのか、そうでなくてもハードワークに関してはJ2でもトップクラスの甲府の厳しいプレスにほぼ一方的に押し込まれる展開に。前半9分にはセットプレイからマラニョンにピンポイントであわされて早速失点。マラニョンの身体能力の高さにしてやられたという感じですが、彼が触る前にGK出れませんでしたかね。高原が体型がエヴァンゲリオンなのにATフィールドが小さいのはわかっていましたけど、そういえば第1クールの試合での最初の失点は優也のポジショニングを前に取りすぎてボールに触れなかったんでしたっけ。もしゴールマウスを守っていたのが荒谷僧正だったらどうだったでしょうか。きっと飛び出したはいいけど触れなくて失点だったかもしれません。どうも失点以外の道は残されていないようです。
 まだ時間的には充分残されていることが救いと言えば救いでしたが、その後も甲府のペースは変わらず、札幌は前節と同じようにろくすっぽ攻撃の形も作れないまま時間だけが過ぎていきます。前節は後半見違える動きになったので、その二匹目のドジョウを期待してひとまず早いところ前半終わってくれんかな、などと負けている側とは思えないことを考えていたのが悪いのか、前半終了間際に上里のパスミスをきっかけに、再びマラニョンに決められ2点差に。カズゥまで「キャプテンの呪い」にかかってしまっているんでしょうか。

 後半、やはり前半の動きに業を煮やしたかノブリンは後半頭から一気に2枚をチェンジ。小ヒロを砂川に、ダニルソンを大伍にチェンジし、上里をボランチに入れサイドバックに大伍を入れ、砂さんが左、征也が右サイドハーフに変更します。ダニルソンを変えてくるとは思いませんでしたが、前半足を痛めたことも関係しているかもしれません。この交代が奏功してか、後半4分に紀梨乃のパスから征也が絶妙のコントロールでゴール隅に決め1点差に詰め寄ります。
 残り時間はまだたっぷり残されている状況で1点を返したことで息を吹き返した札幌は、ここから互角の勝負を見せます。選手の動きも見違えるほどよくなり、こうなれば札幌としては一気に攻勢をかけて同点、そして逆転を狙いたいところです。とはいえ、リーグ2番目に失点が少ない甲府の守備力は伊達ではなく、ダニエルを中心とする甲府の守備ラインをサイド攻撃だけで破れるほど札幌も攻撃力も突出しているわけではありません。であればなるべく攻撃のバリエーションを増やすして、揺さぶりをかけるしかありません。ただ中央突破にしろロングボールでの放り込みにしろ、前線の紀梨乃もハファエルもそれほどキープ力があるほうではないですし、前線に上がった宮澤も含めても高さはあってもさほど空中戦に強いほうではありません。攻撃パターンの幅は増やしたくても、不得手なプレイをさせては効果が上がるはずもなく。よろしい、ならば中山元気だ。
 と思ったら最後のカードとしてピッチに入ってきたのは背番号13番じゃなく26番。あれ? 元気は? と思って今更のようにベンチのメンバー表を見てみると、確かに中山元気の名前がありません。怪我でもなければメンバーを外れる理由は思いつきませんからおそらく何かあったのだと思いましたが(実際はインフルエンザだったようですね)、いずれにしても裏に抜けるのが得意なスピードタイプの上原に元気と同じ役割を期待するのは酷というもので、さりとてリードしている甲府が彼の使いたいスペースを与えてくれるはずもなく、逆に落ち着いた甲府のカウンターの餌食になるシーンも。相手のシュートミスで失点こそ免れ、むしろ札幌がいつもやらかしている「決定的チャンスを逃しているうちにミス絡みで失点」というパターンも少し期待したのですが、残念ながらこのコンボの発動条件って札幌限定みたいです。
 結局惜しいチャンスもなくはなかったものの、決めることができず1-2のまま敗戦。札幌は8位に後退しました。

2009年9月28日

蝦夷の花嫁

2009年Jリーグディビジョン2第40節
コンサドーレ札幌 1-0 アビスパ福岡
得点者:札幌/上里
     福岡/なし

 コンサドーレ札幌が誕生した当時はスポォツ新聞などで結果を気にしたりしていた程度で、スタジアムに通ったりなどサポーター的活動を本格的に行うするようになったのは1999年のことでした。ただ、チームができた時には既に道外で暮らしており、なかなかホームゲームに足を運べる状況ではなかったこともあって、それから10年が経ってハタチになっても、室蘭にはこれまで行ったことがありませんでした。ちなみにサポーター活動を開始した頃もハタチでした。ふしぎ!
 で、今回はうまくシルバーウィークでの帰省に当たりましたので、せっかくなので室蘭まで行ってみることに。とはいえ、西岡と室蘭の間の距離は、関東でいえば練馬から水戸へ行くのとほぼ同じくらいの距離ですが、首都圏と比べれば北海道はそれほど公共交通網が発達しているわけではありませんから、まずは札幌から室蘭までの移動手段を確保しなければいけません。しかし、免許を取ってから17年間もの間、無事故・無違反・無運転を貫いてきたスーパーエコロジードライバー(俗世な言葉でいえばペーパードライバー)のオレが約125kmもの距離を運転するなんて世界平和を乱す行為です。つーかそもそも車がないですし。正確にいえば実家に車はあるんですけど、スーパーエコロジードライバー(俗世な言葉でいえばペーパドライバー)に車を貸すというテロ行為に荷担する家族はうちにはいませんから、そうなると必然的に列車を使うしかなく、ならばせっかくですから試合に会わせて運行される「臨時特急コンサドーレ号」にでも乗ってみることに。ただこの車両は全席自由。小さい子供連れだとあまり早くに行って並べないので、団体指定のチケット付きツアーに家族ともども申し込むことに。ツアーそのものはゆったりしていってね! とばかりにけっこう余裕がありましたので、楽ちんに行くことができました。

 さて、この試合の相手はアビスパ福岡。室蘭での福岡戦といえば、真っ先に思い出されるのが1998年12月5日の試合、そう、コンサドーレがJリーグ史上初めての降格チームとなったあの試合です。当時を知るものとしては因縁の地で因縁の相手ということになるわけですが、さすがにあれから10年以上も経つとその試合を知らないサポーターも増えてきているようです。まぁかくいう自分も当時はまだサポーターと言えるほどのものでもなかったので、件の試合は「結果そのものは知っている」程度のもので、室蘭での福岡戦で思い出されるのは、どちらかといえば2003年の俺王様再降臨祭のほうなんですけどね。もっとも、そのシーズンで俺王様が北海道に君臨したのはそれが最初で最後だったわけですが。
 まぁそんなわけでこの試合、上里の直接フリーキックで先制した札幌が、危ないシーンはありつつもGK高原のファインセーブと、神出鬼没の奇跡のディフェンダー「クロス・バー選手」の奮闘などで守りきって勝利したのですが、シルバーウィークの最中で天気にも恵まれたこともあって、5,824人とここ数年で最高の入りだったサポーターの雰囲気もそこまで殺伐としたものではなく、どちらかと言えばのんびりとした空気が影響したのか、試合自体も何となくふんわりした感じであまり特筆すべきプレイもなかったのですが、上里のフリーキックには触れておかなければいけないでしょう。
 ご存じの通り、そのフリーキックの威力には定評がありながらも、プロ入りしてからのリーグ戦ではこれまで、直接フリーキックは惜しいのもありましたし、惜しくもないのはもっとあったんですけど、まだ決めたことはありませんでした。フリーキックの師匠である三原さんとは違って変化よりもスピード重視のキックが持ち味のカズゥにとっては、あまり近くの距離は落ちきらないし、かといって遠いと決めるにはよほどのコントロールとパワーがなければ難しいのでしょう。しかしこのフリーキックのシーンでは、福岡GK六反の守る札幌ホーム側のゴールからアウェイ側に向かって強い向かい風が吹いており、上里のキックであれば向かい風にも負けない上に、よりボールが変化しやすい絶好の条件。前にも書きましたが千葉マリンでの小宮山コンディションでしたから、何となく入る予感はしてたんですよね。逆に終了間際の紀梨乃のPKは何となく外す気がしましたが。といっても、PKってほんと心理戦ですからね。絶対外す気しなかった選手なんて俺王様くらいでしたし。

 さて、発車時刻までしばらく時間があったため、誰もいなくなった芝生席でしばらく娘を遊ばせた後に室蘭駅に戻り再び臨時特急へ。参加したツアーにはプレゼント企画がついておりまして、トレーニングウェアや選手サイン色紙が当たる抽選会がありました。家族3人がクジを引き(娘は3歳なので座席を使わなければ料金はかからないのですが、うちのは3歳にしてはでかくて2人シートを3人で座ると狭いので子供料金払っていた)、ツアー参加者全員に行き渡ったところで一気に開封。

カミさん:サイン色紙当選
娘:サイン色紙当選
オレ:ハズレ

 まいがー!

 1名様のトレーニングウェアはともかくとして、サイン色紙は確か合計12名様に当選。ツアーの参加者数から考えればそれなりの当選確率だったとは思うのですが、この展開はお約束過ぎる。まぁ、今年は「P.S.すりーさん」のドラマCD発売記念の「全声優サイン入り本プレゼント」(水橋かおり、沢城みゆき、堀江由衣、広橋涼、雪野五月、下田麻美、加藤英美里、たかはし智秋、椎名へきる、後藤邑子、金田朋子、かないみか、藤村歩、羽多野渉、麦人etc)にうっかり当選したことで、今年どころか向こう数年分の運を全て使い切ったということなのでしょう。普段チームに「運も実力のうち」なんてえらそうなことを言っておきながら、その本人はご覧の有様だよ!

 というわけで観戦記ではなく室蘭紀行になってしまった福岡戦はこれでおしまい。紀行文にすらなってない駄文ですが。だっぶんだ。ちなみにカミさんと娘が誰のサインを選んだかというと、カミさんは躊躇なく「大伍ちゃん」、クライトンが退団した今、ダニルソンしか憶えていない娘はダニルソンを選ぶかと思いましたが、「ドーレくん」と。「ドーレくんは手がないからサイン書けないんじゃないか?」と言うと、本日憶えたばかりの「上里くん」を選びました。

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