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2012年5月 アーカイブ

2012年5月 1日

思い出の大宮

2012年Jリーグディビジョン1第8節
大宮アルディージャ 2-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/高木
     大宮/カルリーニョス、青木

 良い子のみんな! 選手がえっちぃ本を買っている姿を目撃してもTwitterとかに書かずにそっとしておいてあげような!

 いつ来るとも知れない初勝利を目指し、コンサドーレ札幌は大宮アルディージャの敵地・NACK5スタジアムに乗り込みました。世間はゴールデンウィーク初日、特にこれといってやることもないオレは、大宮まで6歳になる娘とサッカーを見に行くことに。私事ですが、1999年に新婚のカミさんと初めてコンサドーレ札幌の試合を観たのがここNACK5スタジアムです。当時はまだ「大宮公園サッカー場」という名称で、スタンドも簡素なもので、ゴール裏のチケット価格はなんと800円でした。あれから10年以上が経ち、娘と2人でサッカーを見に来るなんて当時からは想像も付かなかったのですが、娘はどうやらマエシュンと近藤がお気に入りのようです。見る目があるということにしておきましょう。
 そんな思い出のスタジアムであるNACK5ですが、実はここに来るのはかなり久しぶり。2005年に大宮アルディージャがJ1昇格をしてからは唯一の対戦機会だった2008年も行けず、その前も2004年の9月の試合はなぜだったかは憶えてませんが行けなかったらしく、3月の試合はさいたまスタジアム(大雪の中、トニーニョがもんじゃのマネをして雪でボール台作って怒られた試合)でしたからね。で、2003年も8月の試合はどうやら休日出勤してたらしく…とするとアレか、最後に来たのって俺王様が復帰後初ゴール決めたあの試合以来なのか。何もかもが懐かしいですね。

 ここまで間が空いたのはもちろん長いこと大宮と札幌のカテゴリが違ったからに他ならないのですけど、大宮は昇格以来昨季まで一度も1桁の順位でシーズンを終えたことがなく、天皇杯でのベスト4が最高成績という「キング・オブ・ジミー」なクラブですが、その代わりに一度も降格したこともありません。J1の勢力図なんて毎年のように変わるのに、どのチームが優勝してもほぼ毎年12位か13位で終えているというのは見事な安定感で、たいてい残留ラインのやや上になることから、「残留職人」とも呼ばれています。残留こそが目標の札幌から見ればなんともうらやましい限りですが、逆に言えば大宮並かそれより少しでも上に行ければ残留は堅いとも言えるわけで、そういう意味でもこの試合は大事な一戦となります。

 川崎戦で先手必勝とばかりに先手を打ったはいいものの、先走りすぎて必勝とはならなかった反省を生かしてか、あるいは4月にしてはかなり暑かったことで体力の消耗を抑えたかったのか、前節よりはおとなしめな立ち上がり。しかし、高い位置でボールを奪ってからのハーフカウンターがメイン…というよりかは現状それくらいしか攻撃の手段がないコンサドーレにとっては、運動量を減らせばそのままチャンスそのものが減るということです。パスを繋ぐ攻撃もやってはいるのですが、パスを繋ぐというのは要するに「ボールを回すことで有効なスペースを作り出し、そのスペースを使う」ためのもの。パスしても相手の選手が一緒についてくればスペースは生まれませんし、スペースが出来てもそこを使えなければ意味がないわけです。そういった「有効な攻撃」の成功率の差があった感じですね。前半10分の1失点目なんて、右サイド(札幌側から見れば左サイド)で攻撃を作られて、サイドチェンジから左サイドの下平にフリーでボールが渡った時点で「あ、これまずいな」と思いましたものね。案の定、フリーでクロスを上げられ、センターバックの間に入ってきたカルリーニョスに頭で決められてしまいました。
 その後、20分を過ぎたあたりから札幌も次第にチャンスを作れるようになってきます。27分には相手ペナルティエリア手前からの直接フリーキックのチャンスで、前くん(道産子)が絶妙なフリーキックを蹴りますが、GK北野(道産子)の好セーブに遭いゴールならず。その後も押し気味にチャンスを作り出しますが、最後の最後でミスが出てしまいます。それでも前半ロスタイム、左サイドでボールを受けたマエシュンがDF2人に囲まれながらもペナルティエリアでボールをキープし、出したパスを高木純平が丁寧に決めて同点に追いつきました。

 前半のうちにスコアを五分に持ち込んだのはよかったのですが、前半の流れから言えば2点は取れていてもおかしくなかったんですよね。後半も立ち上がりからよく札幌が攻め込み、逆転のチャンスは何度もあり、決定的なものもあったのですが、どうしても1点が奪えません。逆に後半26分、札幌ゴール前に入ったクリアしようとしたDFが交錯してこぼれたボールをMF青木に拾われ、ゴール隅に決められてしまいました。
 再び突き放されてしまった札幌は猛反撃を仕掛けます。しかしそれでもあと十数センチが届かない状態。チャンスは少なくともきっちり決める大宮、多くても決められない札幌、この辺がギリギリであってもJ1に居続けているチームとの差ということなんでしょうか。しかしあそこまで「シュートの飛んでった方向になぜかDFがいる」状態だと、オカルト的な何かを感じてしまいますよね。オカルト的なものといえば、「2点取ったら怪我するの法則」から、後半途中で純平が痛んだときはどうしようかと思ったのですが。大事に至らなかったようで何よりです。
 そんなわけで、結局攻め込みながらも同点に追いつくことは出来ず、これで7連敗。なんかもうここまで来たら、「今年最初に札幌に負けたチーム」がどれだけm9(^Д^)プギャーされるのかと思うとすごい楽しくなってきますね(ナビスコカップではマリノスが既に札幌に負けていますが)。もとより「この戦力でのJ1残留」という無謀とも言える挑戦をしているのですから、これくらいどってことないです。「もう少しで勝てそうな気がする」まま負けてますから、もどかしい思いはありますけど、現状で選手が精一杯やってるのは伝わってきますので、やるだけやってダメだったらしょうがないなと。去年昇格を勝ち取った段階で、こちらも何があろうとJ1を精一杯楽しむと決めてますからね。

2012年5月 9日

初勝利

2012年Jリーグディビジョン1第9節
コンサドーレ札幌 1-0 セレッソ大阪
得点者:札幌/近藤
     セレッソ/なし

 いつもニコニコあなたの隣に這いよる近藤!(挨拶)

 そんなわけでゴールデンウィーク恒例・厚別開幕を迎えました。人によっては「アッー!別開幕」とも解釈される「コンサドーレ2度目のホーム開幕」です。相手はセレッソ大阪。
 セレッソはこれまで天皇杯での準優勝が2回ある程度で、2度のJ2降格経験有りと、さして強豪というわけでもないのですが、若手選手の育成・発掘には非常に定評のあるチームです。押しも押されぬ日本代表の中心選手となった香川真司(ドルトムント)を始め、現在ドイツ2部リーグのボーフムでプレイする乾貴士や、ヴィッセル神戸の日本代表FW大久保嘉人もセレッソでその才能を開花させた選手です。セレッソの強みはそんな選手が移籍しても次から次へといい若手選手が出てくることであり、アテネ五輪の大久保、北京五輪の香川に続き、次のロンドン五輪にも扇原貴宏、山口螢、清武弘嗣らが有力候補となっています。 
 しかし札幌サポーターにとってセレッソといえば何と言っても山下達也の移籍先というか復帰先チームでしょう。複数年契約を結んでおきながら、これからと言うときにあっさり古巣からのオファーに応じたというのは、違約金も含めて契約上何の問題がないのは頭で理解していても、感情の部分ではどうしてもシャアに去られたハマーン様に近いわけです。そんな選手が再び札幌にやってくるとなれば、ありったけのファンネルを展開させたハマーン様のキュベレイの如くさぞかし盛大なブーイングで出迎えるだろうと思いきや、本人来ませんでした。
 まぁ彼の移籍の時に「4,000万円もかけて買い戻しておきながら使わないのがセレッソクオリティ」などと書きましたけど、ホントに使わないとはねぇ。深刻なセンターバック不足に悩むこちらとしては、使わないなら最初から買い戻してるんじゃねぇよといいたいところ。
 そして初勝利を目指すコンサドーレ札幌は、開幕戦からスタメンを張っていたDF奈良竜樹を外し、クッシーこと櫛引一紀をスタメン起用。奈良くんはメンタル的にもだいぶきつそうだったので、ノブリンもこの辺がリフレッシュの頃合いと判断したのでしょう。逆にクッシーにとっては代表合宿に行っている間に奈良さんに寝取られてしまったセンターバック奪回の大きなチャンス。ナビスコカップ鹿島アントラーズ戦での負傷退場した榊に皆の心配が集まる中、ひっそりと同じ怪我をしていた宮澤裕樹もスタメン復帰。さらには岡本賢明に代わり古田寛幸がスタメン入りとなりました。また、足裏の手術から復帰の芳賀が今季初めてベンチに入っています。
 ここまでリーグ戦では未だ勝利なし、どこで誰がその爆弾を爆発させるかというのがある意味注目の場所でしたが、結論から言えば厚別での開幕戦で、セレッソ大阪が爆発させました。
 
 雨もぱらついた上、厚別特有の強風でロングボールは戻されるか妙に伸びるコンディションの中で行われたこの試合は、立ち上がりこそセレッソがペースを握りましたが、徐々に札幌の前線からのプレスが効き始めます。特に、そんなに守備がうまいというイメージのない古田が何度もボール奪取に成功。セレッソの前線の動きが少なく、中盤でボールを持ちすぎていたということももちろんあるのですけど、後ろから気配を消してこっそり忍び寄り、さっくりボールをふんだくっていく様は、現役時代「忍者」と呼ばれた村田コーチの指導のたまものなんでしょうか。そういえば顔の系統もなんとなく似てるような。
 そんなこんなで前半25分、前線でボールを奪った日高からの折り返しをペナルティエリアの中で受けた近藤が、トラップ一発で茂庭の逆を突き、そのままシュート。ボールは韓国代表GKキムジンヒョンの手をかすめてゴールへ入りました。珍しく右足のシュートが枠に飛んだ近藤の今季初ゴールで札幌が先制します。
 その後も札幌の攻勢が続き、いくつかチャンスを作りますがゴールを割ることができず。決めたかったシーンもありましたが、まぁうっかり2点取っちゃったりしたらむしろ不安になりそうですからね! そんなわけで前半は1点リードのまま終了。

 後半も開始からだいたい互角のペースで進みます。マエシュンが前田カットからの前田ドリブルによる3人抜きで前田シュートを放ったり(オチとして枠外)、純平カウンターからの純平スルーパスでおしいシーンを作ります。15分にマエシュンが(いつもの)負傷交代をして前線の起点がなくなっても、交代で入った内村も前線から献身的に追い回し、カウンター狙いにシフト。
 しかし個の力に劣る札幌がJ1チームと真っ向から戦おうとすれば、必然的に相手よりも運動量を多くしなければ渡り合えないません。いわゆる「ハードワーク」ですね。略して言えばHWです。レイザーラモンはHGさんです。このハードワークについては札幌の選手は本当に誰1人サボらずにやっているんですが、それはつまりバテるのも早いわけです。体力が落ちてくるとプレスに行けなくなり、それによってラインが下がってしまい、ボールを奪っても全体的な押し上げもできないためせっかく奪ったボールをすぐ失ってしまい、結果として相手の攻撃時間が長くなってしまう…というのが実際「やれてはいるけど、やられている」理由です。
 まぁ、今更どや顔で分析するまでもなくそんなことはノブリンだってわかっているわけですが、わかったからすぐに対策できるようなことならとっくにやってるでしょう。体力が簡単に回復できるアイテムとかあれば話は別ですけど、現実には仙豆もエリクサーも存在しませんし、かといって体力を温存する余裕があるわけでもない。「いくら走ってもバテない(気がする)薬」とかはあってもダメゼッタイですしね。なので結局のところ「とにかく頑張る」という、極めて旧日本軍的な対応をせざるを得ないのです。
 札幌にとって幸いだったのが、セレッソがなんだかいまいちピリッとせず、これまでの試合に比べればあまり「走らされなかった」ことでしょうか。おかげで札幌はライン自体は下がり目でボールを持たれてはいたものの、ブロックを崩されるような攻撃が少なかったため、余裕を持って守れています。残り10分で近藤に代えて芳賀を投入、つづいて42分にはさらに高さ対策として純平に代えて奈良さんを投入。これはつまりな話「もう追加点は諦めて守り切れ」という明確なメッセージ。選手にも今までが今までだけに試合終盤で逆転される不安感もあったのではないかと思いますが、厚別魔空空間のおかげか割と選手もウヒャッホイ状態だったようで、果たしてその指示通り、さすがに尻に火が付いたセレッソのアディショナルタイムの猛攻を受けましたが、なんとか凌ぎきりました。
 そんなわけでリーグ戦としては今季初勝利。一つ勝ったからと言って定位置(順位表の一番下)は変わらないのですが、まずはホッとしたというところでしょうか。

2012年5月17日

連勝ならず

2012年Jリーグディビジョン1第10節
横浜F・マリノス2-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/古田
     マリノス/中村、谷口

 前節ようやくリーグ戦初勝利を挙げた札幌は、中2日で横浜F・マリノスとのアウェイ戦に臨みます。マリノスとは既にナビスコカップのグループリーグで既に対戦しており、アウェイの札幌が大島と榊のゴールで勝利を収めています。しかしこの時のマリノスは控え中心のメンバー。リーグ戦のこの試合は当たり前のようにベストメンバーです。もちろん札幌もカップ戦とはメンバーがガラッと変わっているんですけど…。札幌はね…J1の控えチームでリーグ戦ってるようなモンですからね…。
 ただそのマリノスも、抱えているメンツの豪華さの割には成績は低迷しており、J1初挑戦のサガン鳥栖にJ1初勝利をプレゼントしたのを始め、第7節まで勝利なし。ただし8節でヴィッセル神戸に勝って次の試合でも浦和レッズに競り勝ち、2連勝と遅ればせながら波に乗ってきています。
 札幌は初勝利を挙げた勢いで連勝し、さらなるウェーブにライドしたいコンサドーレ札幌ですが、本来ならばこの試合で復帰する予定だった山本如来が肉離れを再発させてしまいまた離脱。なかなかベストメンバーが揃いませんね…。ひとまずはベンチ含めて前節と同じメンバーでマリノスに挑みます。

 気温16度だったセレッソ戦から、中2日で気温27度という気温の差もあったのでしょうか。コンサドーレの出足は前節に比べてあまり良くなく、なかなかペースを握れません。ボール回しという意味では基本技術の高いマリノスの選手はさすがにうまいのですけど、選手の運動量という意味で言えばさほどでもない、ある意味マリノスらしいといえばマリノスらしいサッカー。本来ならば札幌にとっては守りやすいはずなんですが(あくまで比較の話ではありますが)、なかなかディフェンスのポイントを絞れない感じです。気がつけばゴール前に釘付けにされ、ディフェンスも余裕を持てず、クリアするのが精一杯…というかクリアどころかボールを相手にパスしてさらにピンチを招くんですから、クリアすらできてないってのが実情なんですけど。案の定、前半22分に、前線に入れた縦パスをそのまま相手に戻してしまい、守備ラインがまったく整ってないところを攻め込まれ、大黒に打たれたシュートをGKホスンがいったんはじいて、こぼれたボールを押さえに行ったところで齋藤がキック。手を蹴られたところでファウルかと思いきやまさかのプレーオン、流れたボールを中村俊輔に決められて先制されてしまいました。
 んー。たしかにキーパーチャージという反則は今はもうありませんけどね…。それにしたってボールを抑えようとした手を蹴りに行ったんですから、充分危険なプレイだったような…。この日の今村(義)主審はその後も中村俊輔のシュートが大黒に当たってラインを割ったのにコーナーキックを指示したりと、トンチンカンなジャッジを繰り返します。あんま文句は言いたくないですけどねー。そんなに何も見えない目ん玉なら、くりぬいて銀紙でも貼っとけって話ですよねー。
 とはいえ、失点のきっかけになったのはパスミスですからね。ちゃんとボールを収めておけばこういうこともなかったわけで、そんなミスを繰り返してればJ1じゃやられるってことですよ。別にわざとミスしてるわけでもないと思いますがね。

 さて、アウェイでビハインドを負ってしまった札幌ですが、ここでやっと目が覚めたのかいい形を作ります。失点から4分後の26分、右サイドから攻め込んで逆サイドに流れたボールをフリーの岩沼が拾い、再び中へ折り返しのクロス。ライナー性のボールはマリノスDFの間をうまく抜けていき、ただ1人反応していた古田がうまく合わせてゴール。限りなく「シュートを狙いましたけどずいぶん逸れました」って感じのキックのような気もしますが、あえてクロスということにしましょう。

 そんなわけで前半は同点で終了。ただ前半のうちに追いついたのはよかったとはいえ、チャンスといえばその得点シーンくらい。いっぱいいっぱいだった札幌と、まだ余力を残しているマリノス、その差をまざまざと見せつけられる後半となりました。具体的には、選手交代ですね。川崎フロンターレ戦でもそうでしたけど、ベンチメンバーにどれだけ「切り札」を残しておけるか、このあたりの差があまりにも大きすぎました。だって、マルキーニョスですよ? 谷口ですよ? それがチームの総合力と言ってしまえばそれまでなんですけど、反則じゃないですか。えぐいじゃないですか。へなまずるいじゃないですか。将棋で言えば、札幌は歩と桂馬と香車と銀くらいしかないのに、マリノスは全部の駒に加えて最初から持ち駒として飛車角があるみたいなもんですよ。普通逆じゃないですか。弱いほうにハンデがあるべきじゃないですか。ドゥトラなんて特にあのトシであの働きは反則ですし、何より前から思ってましたけど彼はビジュアル的にマリノスっぽくないじゃないですか。どっちかというとアビスパ福岡とかベガルタ仙台の方向性じゃないですか。なんとなく。とにかく1人か2人くらい貸してくださいよ。いいじゃないの減るもんじゃなし(減ります)。
 それでも、けっこう頑張ってはいたほうだと思うんですけどね。結局、後半33分にマークにつききれずフリーにした小野からのクロスを、その交代で入ってきた谷口に頭で決められ再びリードを許してしまいました。去年と比べてかなり身体も強くなっているのが傍目にもわかるクッシーがちゃんとマークについてたのに、その上から決められちゃったのですから、これは相手をほめるべきでしょうね。
 交代で入ってきた砂さんを中心に惜しいチャンスを何度か作ったのですが、決めることができずに、試合終了。連勝はなりませんでした。というかいつもに戻った。

2012年5月22日

怪我人FC

 まだ東京戦を書いている途中だったりします。

 ここまで勝てないと試合のレポートも進みませんねぇ。一応こういう状況はある程度覚悟はしていましたんで、負けるのはまぁいいんですよ。いや良くはないんですけど、しょうがないと折り合いをつけることはできるんです。ただ、いかんせん怪我人が多いことについてはどうしても残念極まりない気持ちが強くてですね。ナビスコカップ大宮戦で負傷したGKイ・ホスンは、アキレス腱断裂で今季絶望。攻撃の要であるFW前田俊介もリーグ鹿島戦で全治3ヶ月の肉離れと、予想以上の重傷。そうでなくても戦力的に不利な我がチームなのに、次々と、しかもメインキャラから怪我で倒れていくなんて、どこの富野由悠季が監督やってるアニメだって話ですよ。
 もちろんスポーツ選手である以上はみんな大なり小なり怪我や古傷を抱えているでしょうし、だましだまししながら試合に出ている選手も決して少なくないと思いますが、それにしても「野戦病院」という比喩がぴったりくる今の札幌の状況。とりあえず開幕前からここまで、誰がどんな大きな怪我をしたのかまとめてみました。チームからの発表があった以外の選手は記憶を頼りに書いてますので漏れたり間違ったりしてるかも知れませんが、おおむねこんな感じだと思います。

FW前田俊介(5月19日鹿島戦で負傷。左足腿裏肉離れ:全治3ヶ月)
GKイ・ホスン(5月16日ナビスコカップ大宮戦で負傷。左足アキレス腱断裂:全治8~10ヶ月)
MF岡本賢明(左腿裏の張りで別メニュー中)
MF宮澤裕樹(5月9日練習中に負傷。左腓腹筋肉離れ:全治4~6週間)
DF小山内貴哉(5月3日練習中に負傷。右大腿部肉離れ:全治4~6週間)
FW榊翔太(4月18日ナビスコカップ鹿島戦で負傷。左長母趾屈筋肉離れ:全治3週間)
FW大島秀夫(4月12日練習中に負傷。左足大腿二頭筋肉離れ:全治3~4週→5月復帰)
FW上原慎也(4月4日ナビスコカップ横浜F・マリノス戦で負傷。右第五中足骨骨折:全治2~3ヶ月)
MF山本真希(3月31日清水戦で負傷。右足大腿二頭筋肉離れ:全治4~5週間)
MF前貴之(3月20日ナビスコカップ新潟戦で負傷。右足首痛:全治3週間)
MF砂川誠(3月8日磐田戦で負傷。捻挫:5月復帰)
MF芳賀博信(3月に再手術。左足底腱膜部分断裂:全治2~3ヶ月→5月復帰)
MF古田寛幸(キャンプ中に負傷:4月復帰)
MF高柳一誠(キャンプ中に負傷し手術。左膝前十字靭帯部分断裂:全治9ヶ月)

 なんとまぁ、これだけで1チームできてしまうほどの続出っぷり。他にも去年からリハビリ中のFW中山雅史やGK高原寿康、GK曵地裕哉らがいますが、ひとまず今年に入ってからに限定してもこれだけの選手が大きな怪我をしています。パッと見、肉離れが多いですね。
 専門家ではないのであまり詳しくはないですが、肉離れというのはつまり筋肉の裂傷(断裂)です。ダッシュやジャンプなどの急激な収縮動作を行った際に、筋肉がその負荷に堪えきれずに切れてしまうということですね。一般人なら普段運動不足なくせに子供の運動会とか年甲斐もなくハッスルして、ろくすっぽウォーミングアップやストレッチもせずにいきなり走ってめでたく肉離れたりしますけど、サッカー選手は試合や練習前にフィジカルコーチの指導のもと入念なウォーミングアップをしていますし、普段からきちんとトレーニングしています。ただそれでも肉離れを起こしてしまうのは、筋肉の疲労と無関係ではないそうです。今季の札幌でとりわけ肉離れを起こす選手が多いのは、思った以上に走り回って、筋肉に疲労がたまっているんだと思います。
 かといってじゃあハードワークやめましょう、というわけにはいかないのが辛いところです。個々の力で劣る札幌は相手より走らないとサッカーになりませんからね。逆に今のところ勝てないまでも惜しい試合ができているのは、まさしくそのハードワークのおかげなわけで。とはいえ、その代償としてこれだけの怪我人というのはちょっと大きすぎる気もしますけど。しかも2点取った人、だいたい怪我してるし。奇跡の代償として魔法少女みたいですよね。

 まぁ前述の通り肉離れは筋肉の裂傷なので、慎重に経過を見ないと(如来のように)再発させる危険が高い怪我ですが、ただ回復の度合いは人それぞれですからね。榊のように全治3週間だったはずが2週間ちょいで治ったりすることもあるわけですし。もっとも、榊はワンコなので人間の全治はあてにならないのですけど。そういえばかつて札幌にいた地球外生命体であるビジュも、やたら怪我からの回復が早かったですよね。

 アキレス腱を切ってしまったホスンは韓国に帰って手術をするようです。無事成功するといいですね。

2012年5月23日

スミ1

2012年Jリーグディビジョン1第11節
コンサドーレ札幌 0-1 FC東京
得点者:札幌/ありません
     東京/梶山陽平(32)

 前の試合で厚別開幕を迎え、札幌も遅ればせながら本格的に春到来となりましたが、この週末は厚別公園競技場が高体連の大会で埋まっており、舞台は再び札幌ドームへ。相手は昨季ともにJ1へ昇格したFC東京です。昨年の最終戦、コンサドーレ史上2位となる39,243人もの観衆を集め、内村の2発のゴールによる勝利とJ1昇格の歓喜に包まれた時から約5ヶ月。同じカードとなったこの試合のお客さんは1万人ちょっとでした。2万9千人はどこへ行ってしまったのでしょうか。あれは神様がくれたたった1日の幻だったのでしょうか。あれだけお客さん入ったのにまだ債務超過ってんですからきっとその儲けも露に消え(ry

 そんなわけでFC東京。圧倒的な強さでJ2優勝を果たしてJ1に復帰した今季は、横浜F・マリノスの長谷川アーリアジャスールやジュビロ磐田の加賀健一など、ビジュアル的に東京っぽくない選手を獲得したものの、大黒柱だった日本代表DF今野がガンバ大阪へ移籍。全体的な戦力はダウンしたと思われますが、昇格組とはいえもともとJ2では反則的なメンバーを抱えていた東京のこと、前節までの成績は9試合で5勝4敗、10得点10失点とほぼ五分の成績で来ています。
 そして去年の最終戦の再現といきたい札幌は、如来の復帰が延びてしまった矢先に、今度は宮澤が肉離れで戦線離脱。芳賀さんはまだスタメンでは難しいようで、またしてもボランチの人員不足で前貴之がスタメン入り。もちろん彼自身力は持っているのですけど、なんとなく千尋の谷から突き落とすような感じですね。うん、それを考えれば頑張ってると思いますよ。

 とはいえ、頑張っているからといってそれが必ずしも結果に結びつくとは限らないのがサッカーの非情なところ。合コンで頑張って場を盛り上げても、後から来たイケメンに全部持ってかれるのと似ています。この試合もそんな感じでした。開始早々にぽんぽんとボールを繋がれ、いきなりCKを与えてしまいます。このCKはいったんはクリアするものの、セカンドボールを拾われ左サイドの石川直宏へ。ところがマッチアップした日高が芝に足を取られてこけてしまい、日高の四つん這いという一部のマニア向けのシチュエーションを後目にフリーとなった石川がクロスを入れると、ニアで待っていた梶山陽平(32)が右足でちょこんと合わせたボールは、ゆっくりとした軌道を描いて逆サイドのゴールネットを揺らしました。うーん、たぶん厚別だったらこけて四つん這いになったのは石川のほうだと思うんですけどね。
 1分も経たないうちにビハインドを負ってしまった札幌ですが、しかしここから東京を相手に互角以上の試合を見せます。積極的なプレスから何度もチャンスを作りますが、マエシュンがシュートを打っても河合主将がシュートを打っても、純平がシュートを打ってもことごとく枠の外なのはいつものことで、ただしそれでも最近コンディションの上がってきた古田寛幸を中心に徐々にゴールには近くなっていきます。29分には古田のパスから純平がシュートを放ちますがこれはGKの正面、その直後には今度は純平のスルーパスに抜け出した古田が至近距離からシュートを放ちますが、これはGK権田がファインセーブ。古田はコースを読まれないようにトゥキックでシュートを打ったんですけどね…。
 にしても最近の古田は身体がキレてますね。本人の性格的なものなのか、少し遠慮している部分も見受けられるのですけど、それがなくなれば札幌のメッシになれると思います。ハマのメッシこと齋藤学が愛媛FC時代はエヒメッシと呼ばれ、マリノスに復帰してからはカモメッシと呼ばれているのなら、古田はどう呼べばいいんでしょうね。テルメッシ…はちょっと施設的に縁起が悪いので別にメッシじゃなくてもいいや。
 その後も何度となく東京ゴールに迫りますが、最後の最後で精度が甘くて決めることができず、0-1で前半終了。

 後半、いつもであれば運動量が落ち始め、それによってスペースができてしまい相手にボールを支配される展開になってしまうのですが、この日の札幌はいつもと違って運動量が落ちません。10分には左サイドからの展開でペナルティエリアでボールを受けたマエシュンが相手を引きつけて流したボールに純平がどフリーでシュートを放ちますが、またしても権田に防がれゴールならず。18分にはマエシュンとのコンビで近藤がシュートを放ちますが、ここもやはり権田に防がれゴールならず。どうしたんだ権田。何があったんだ権田。今日の権田はきれいな権田なのか。
 その後も幾度となくチャンスを作りますが、そのたびに権田セーブにあい、まさしく分け入っても分け入っても青い権田、といった感じの超権田祭り。なぜだ。サッカーの神様はなぜ振り向いてくれない。ゾンビじゃないからか。ひどい。ちなみにオレはゾンビじゃないほうがいいです。ていうかゾンビ萌えって何。落語で幽霊女房の話がありますけどあれ別に幽霊が好きだから女房にしたってわけじゃないもんなぁ。

 そんなことはさておき、結局札幌は最後まで攻め込みながらもスーパーゴンダーと化した権田の牙城を崩すことができず、あえなく敗戦。かえすがえすもしょっぱなの失点が最後まで響いた感じです。もちろん決定的なチャンスを決めていれば問題なかったのですけどね。決めなければいけないところで決められず、やってはいけないところでミスが出る

 いや、権田さんはいいゴールキーパーですよ?

2012年5月30日

勝点1の代償

2012年ヤマザキナビスコカップ グループB第4節
大宮アルディージャ 1-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/マエシュン
     大宮/金英權

 ともすればうっかりその存在を忘れそうになってしまったり、ホームアンドアウェー2回戦で行うモンだと思ってたら7チーム1回戦単発ということをつい最近知って、レギュレーションすらよくわかってないほどナビスコカップという大会に縁遠いのは、間違いなくJ2暮らしが長かったせいだと思います。前の週まで試合があることを忘れていましたこの試合、大宮アルディージャ戦です。
 ACL出場チームの4チームを除いた14チームを7チームずつの2グループに分け、それぞれの上位2チームが決勝トーナメントに進めるルールらしいのですが、現在のところ暫定ながら1位は勝点9の鹿島アントラーズで、2位と3位に清水エスパルスとアルビレックス新潟が勝点6でつけています。コンサドーレ札幌は勝点3の4位。まだ望みのある順位です。大宮はその下の5位。勝点は1ですが、とはいえまだ消化試合が少なく2試合しかしていないため、ここで勝てばまだ望みはあります。「残留職人」と言われている大宮だけに、ナビスコカップにはあまり力を入れていないものと思われますが、それでも東慶悟をこの試合で入れてきたあたり、「イヤ決してナビスコカップも軽視なんてしてませんよ?」というメッセージと思われます。
 一方、この試合の3日後に鹿島とのリーグ戦(アウェイ)を控えている札幌は、それまで札幌に戻らず調整することになっています。そのため普段であれば遠征に参加するのはスターティングメンバー及びベンチメンバー、あとはあってもアクシデントのための予備メンバーくらいですが、今回の遠征ではメンバー全員が参加していますので、スタメン選びはよりどりみどり。といっても怪我人ばかりですんで、例の「ベストメンバーなんちゃら」も関係なく、「動ける人みんな連れてきても普通の遠征と変わりません」状態で、せいぜいベンチとスタメンが入れ変わる程度。GKはイ・ホスン、岩沼まで怪我してしまいいよいよもってやりくり以前の問題となったDFラインは、岩沼の穴埋めとして日高を左に持ってきて、センターバックのジェイドノースを右サイドバックに回す緊急事態。センターバックは奈良・櫛引コンビで、ボランチには前貴之と荒野拓馬のユースコンビ、ワントップは大島秀夫に、トップ下内村圭宏、左右に榊翔太と砂川誠というメンバー。二十歳以下とアラサーばっかだな。

 そんなわけで怪我をしている小山内貴哉以外、ユース昇格組を全員ぶち込んできた札幌に対し、大宮は前線はほぼ主力メンバー。当然試合の流れは大宮…になるかと思いきや、当初ペースを握ったのは札幌。ジェイドノースは代表ではサイドバックをやることもありますが、それにしてもどうしたんだというくらいのあがりっぱ。そういえばセンターバックでもたまにボール持って上がっていくこともありましたから、案外に攻撃好きなのか、右サイドからけっこういいクロスを上げます。おかげで荒野がカバーに追われっぱなしでしたけど。
 しかしまぁ勢いだけでガーッといけるのも最初のうちだけってのはこれまでもたくさん見てきたわけですが、案の定と言いますか、15分を過ぎたあたりから大宮に徐々に押し返されるようになります。リーグ戦の時もやられたカルリーニョスを捕まえきれず、ピンチを招きます。っていうかこの間のリーグ戦でも思いましたけど、カルリーニョスってマジでいい選手ですね。顔は痩せたダヴィのようにも見えますし、二日酔いのロナウジーニョのようにも見えますし、札幌のコールリーダーのようにも見えますが、プレイスタイルは「球離れのいいクライトン」といった感じでしょうか。とにかく細身の割に身体は強いし、キックはスピードも精度もあるし、運動量もあるし、二日酔いのロナウジーニョみたいにも見えます。
 札幌も急造ラインだけに連携部分で細かいミスが出たりしました、何とかゴールを許さず前半は0-0で終了。

 メンバー交代なしで臨んだ後半、しかし東京戦でもそうでしたが、どうにもここ最近は前後半の「入り方」に問題があるような感じです。後半8分、中途半端なプレイが続いて与えたコーナーキックから、金英權に頭で決められて先制を許してしまいました。
 さぁ今日も今日とて先制されてしまった札幌。少し前までは「先制したのに逆転負け」という感じでしたけど、気がつけば先手をとられることが当たり前になっちゃいましたよね。もちろん相手との力関係もありますし、どちらも勝つために試合やってるんですから展開次第の部分もあるとは思うのですけど、とりわけうまくいっていない人というのは、どれだけ仕切り直しをしようとも、うまくいかなくなったら途端に「ああ、やっぱ今日もダメか」なんてマイナス思考に入っちゃうことが多いものですからね。「今日こそは」なんて意気込んで合コンに参加したのに、気がつけば端っこのほうで1人で飲んでました、みたいなことが繰り返されると、「やっぱりオレはダメなんだ」とビールがなぜかしょっぱくなったりするものですからね。やめろ! やめてくれ!
 今の札幌もまぁ似たような状態ではあるのですが、それでも札幌にとってまだ幸いだったのは、普段のレギュラークラスがベンチにいたことでしょうか。まずは後半22分、中盤の運動量のテコ入れのため、疲れの見えた榊に変えて芳賀を投入。守備に追われていた荒野を前に持ってきます。25分には「ラッセル車」近藤を投入、さらに30分にマエシュンを投入してきました。相手が疲れてきたところでの投入は効果的で、ここから札幌は息を吹き返し始めます。
 しかしそれでもゴールネットを揺らすことができずに残り時間も徐々に減ってきて焦りが募り始めた後半終了間際の43分、クリアボールからなぜか逃げていった大宮選手を後目に近藤が頭で繋いだボールを砂さんがマエシュンにパス、ペナルティエリアの中でこのボールを巧みにコントロールしたマエシュンが右足で放ったシュートが大宮ゴールに突き刺さり、ついに札幌が同点に追いつきました。

 起死回生の同点ゴールを得た札幌は、気持ち的にもグッと前向きになったのでしょう。しかし、それが悲劇を生むことになるとはこの時はまだ思っていませんでした。4分のアディショナルタイムも最後のプレイになるだろう大宮のコーナーキックをキャッチしたホスンは、主審が笛を吹く前にすぐさま前線にパントしたのですが…。この時足首を負傷してしまいます。榊のように「アキレス腱かと思ったら肉離れでした」という不幸中の幸いを願っていたのですが…後日の診断結果は、無情にもアキレス腱断裂で全治8~10ヶ月という重傷でした。スポーツ選手に怪我はつきものですけど、カップ戦の勝点1と引換にするには大きすぎる怪我ですし、なんかこう、やりきれないですよね。

 もっとも、怪我の連鎖はこれだけにとどまらなかったわけですが…(続く)

2016年2月

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