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2013年3月 アーカイブ

2013年3月 5日

開幕勝利

2013年J2第1節
ジェフユナイテッド市原・千葉 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/内村
     千葉/なし

 J1に上がるたびに史上最速降格を更新し続けているコンサドーレ札幌は、2013年の今年も「やっぱりここがいいのだに」とばかりにJ2に帰ってきました。コンサドーレ札幌というチームができて18年目となるシーズン、クラブスローガンを「北海道とともに、世界へ」と、大胆というか割とおおざっぱなものにしましたが、コーチングスタッフや選手の多くが地元出身というクラブにとっては、「北海道」を全面に押し出したスローガンにしたかったのだと思います。
 チームが生まれた頃、「Jリーグに行って、そしていつかは優勝したいなぁ」なんて思い描いていたあの頃から17年が経ち、現実は優勝どころか後発チームに予算も負けているJ2常連ではありますが、それでも北海道のチームとして地域に根を下ろし、そこで育った選手やスタッフがチームに多く関わっているというのは、胸を張っていいと思うのです。たとえ胸がなくてもだ。

 そんなわけで、財前恵一新監督率いるコンサドーレ札幌の開幕戦の相手は、昨季5位、プレーオフで涙を呑んだジェフユナイテッド市原・千葉。5位とはいえ2位の湘南ベルマーレとの勝点差はわずか3、「引き分けでも昇格」だった大分トリニータとのプレーオフ決勝でも圧倒的に試合を支配しながらアディショナルタイムの1発に泣いています。2009年に降格して以来、毎年昇格の有力候補に挙げられながらも、毎年惜しいところでJ1昇格を逃し続け、気づけばJ2も4シーズン目。実際J1でも充分に戦える戦力を保持しているのに、先んじて昇格したアビスパ福岡やコンサドーレ札幌が圧倒的な弱さで1年でJ2帰ってくるのを見てもさぞ悔しい思いをしているのではないかと思いますがこっちだって落ちたくて落ちたわけじゃないし。
 ホームの千葉は、今年こそはのJ1昇格に向けて経験豊富な鈴木淳氏を招聘、昨季J2最少失点の守備陣はそのままに、攻撃陣を強化。韓国Kリーグで大暴れしたブラジル人MFジャイール(済州)や、セレッソ大阪で活躍したケンペスらを獲得。どう割り引いたってJ2トップクラスの陣容です。
 一方札幌は昨季J1で最多失点した守備陣から、補強するどころかむしろ人が減り、J1最少得点した攻撃陣から、補強するどころかむしろ人が減り、監督はトップチームの指導はこれが初めてという新米さん。世界3大カップのひとつに数えられるちばぎんカップで、天皇杯覇者の柏レイソルを3-0で一蹴する強さを見せた千葉を相手のアウェイ戦というのは、ちーとばかしハードルが高いです。
 とはいえ、コンサドーレの関東での開幕戦は2008年以来(対鹿島アントラーズ)。フクダ電子アリーナという素晴らしいスタジアムでの試合なのですから、これは見に行かない手はないと参戦。キックオフの1時間ほど前に蘇我駅に到着、買い物などを済ませてスタジアムに到着した頃、千葉の開幕セレモニーに被せてチャントを歌う札幌サポーターと、それにブーイングする千葉サポーターの声が聞こえてきました。ずいぶん元気がいいねぇ。何かいいことでもあったのかい?

 さて、札幌のスターティングメンバーは、テレの1トップに内村圭宏がシャドウストライカー、右のMFに古田寛幸、左のMFにはルーキー神田夢実(西岡出身)、ダブルボランチに上里一将とキャプテン河合竜二、DFは左から東洋大卒(自主)の松本怜大、センターバックに奈良竜樹と櫛引一紀、右のサイドバックはチョソンジン、GKに杉山哲というメンバー。雁ノ巣で見た福岡とのTMと同じメンバー、同じフォーメーションです。
 その福岡戦の時にも書いたとおり、その時は出来としてはあまりいいわけではなかったのですけど、攻撃はともかく守備に関しては全体的にできてたところは多かったので、千葉相手でもまぁそこそこは守れるだろうと思ってはいました。で、実際その通りに立ち上がりから積極的なプレスで千葉の攻撃陣を自由にさせず、また相手の個人技に対してはカバーを怠らず、こぼれ球にも集中して反応し、いい形を作らせません。攻撃面でも、前線の選手たちがどのくらいできるかが鍵を握るだろうと思っていたら、こちらも案外やれています。古田はまぁあれくらいは普通にやれるとして、内村もだいぶ復調してきているようですし、テレも不器用なのは仕様として「前線で身体を張る」というタスクを忠実にこなしてはいます。そして神田もルーキーとは思えない度胸でボールによく絡んでいます。連携ミスも目立つものの、それでも2回ほど決定的チャンスを作り、昇格候補相手としては上々の内容。

 後半はさすがに前半ほどプレスに行けなくなったためか、千葉に押し込まれる時間が長くなります。去年までなら中盤が踏ん張りきれずにDFが常に攻撃に晒され、そして失点するのがお決まりのパターンでしたが、ここで河合、上里の両ボランチが奮闘します。特に上里は非常に「効いて」おり、中盤どまんなかで相手のプレスを受けながらもボールをキープし、その上でさらに味方に繋ぐというとてもボランチらしいボランチの姿を披露。「あの上里は誰だ!」という声も飛ぶほどでした(嘘)。こちらのファウルでプレイが切れた際に、千葉の選手がセットしたボールが足もとに転がってきた時、このまま足に当てたらイエローカードを出されかねないと思ったか、「邪魔してないよ!邪魔してないよ!」とアピールしながらボールを蹴らないように不思議なステップを見せるなど、修行に出てた2年間は決して無駄ではなかったということでしょうか。いや福岡戦でもけっこう効いてたんですよ、上里。
 また、昨季はどこか自信なさげに守っていた若いセンターバックコンビも、だいぶ吹っ切れたのか本来の粘り強さを発揮。それでもさすがに何度かは危ないシーンを作られますが、相手のシュートミスにも助けられゴールを許しません。

 両チームともゴールを奪えないままスペースが空き始めた頃、財前監督は神田に代えて岡本を、テレに代わってマエシュンを投入。福岡戦でも同じ交代の仕方をしていましたのでこれが予定通りの交代策ではあるのでしょうが、多少守備のリスクを負ってでも点を取るための布陣です。さらに41分には最後のカードとしてベテラン砂川を投入。この采配がずばり当たります。4分のアディショナルタイムに突入し、試合は完全なるカウンター合戦に突入。自陣ペナルティエリアでボールを奪った千葉がそのままカウンターを仕掛けます。ボールを奪われたのはマエシュン。自らのミスを取り返すべく、ドリブルで突き進む兵藤を必死に追いかけるマエシュンですが、まるでついて行けず…というかあまりついていく気もなさそうにどんどん置いて行かれるばかり。そして右サイドのオープンスペースにいた米倉にパスが繋がりますが、ここの1対1で奈良がさっくりとストップ。このこぼれ球が、とぼとぼとそれでも自陣に帰ってきていたマエシュンに渡りました。120%(当社比)の全力で走ってきたマエシュンはすぐさま戻ってきていたヤスにボールを預けて楽をしようとしますが、それでも上がらないわけには行かずとぼとぼと上がっていったところで、ヤスはマエシュンの前方に広がるスペースに容赦のないパスを出すと、マエシュンはすぐさまダイレクトで右サイドの砂さんへ丸投げパス。自分で決める気はすでになかった模様です。
 その砂さんは、DFの裏に抜けた内村にドンピシャのパスを出すと、内村はこれをダイレクトで決めてゴール。そのままの勢いでゴール裏に陣取るサポーターの元へ駆け出します。歓喜の輪に包まれる札幌と対照的に、千葉の選手たちが崩れ落ちるピッチ上には、同じようにへたり込むマエシュンの姿がありました。

2013年3月11日

サッカーの法則

2013年J2第2節
コンサドーレ札幌 0-1 栃木SC
得点者:札幌/なし
     栃木/廣瀬

 開幕戦で昇格有力候補のジェフユナイテッド市原・千葉にアウェイで勝利を飾ったコンサドーレ札幌は、今節は札幌ドームに栃木SCを迎えてのホーム開幕戦となります。2009年にJリーグに参入して以来、今季で5シーズン目。2年目からの過去3シーズンは10位(19チーム中)→10位(同20チーム)→11位(同22チーム)と、だいたいJ2中位あたりのポジションをキープしています。相撲でいえば前頭の中位くらい…かと思いましたがそもそもここJ2だから十両というべきか。そういう意味では札幌は昨年ひさしぶりに再入幕を果たしたはいいものの、1勝14敗くらいで十両に帰ってきたって感じですかね。ごっつぁんです。
 栃木はJ2でもそんなに予算規模の大きいわけではない、少なくとも積極的に助っ人を補強できるほどの資金力があるわけでもないにもかかわらず、パウリーニョやリカルド・ロボなど「当たり助っ人」が多い印象で、今季から加入したクリスティアーノもテストマッチで活躍を見せています。去年まで札幌に在籍していた近藤祐介、三都主アレサンドロ、高木和正、菊岡拓朗ら技術の高い選手たちが揃っており、派手さはないながらもプレーオフ圏内は充分に狙える陣容。

 コンサドーレ札幌は長いキャンプを終えて札幌に戻ってきています。といっても札幌市内はまだ雪が残る…というよりかは冬真っ最中といった感じで、道東では暴風雪の影響で9人もの方が亡くなっています。このいたましい事件に、喪章をつけて臨んだこの試合当日も北海道地方は暴風雪。一時は開催すら危ぶまれましたが、ほどなくして正式に開催決定となりました。まぁ、結果的には開催しなくても良かったかもしれませんが。その札幌は、左サイドバックの松本怜大が前日に左足首を痛めたという情報もありましたが、大事には至らなかったようで前節アウェイで千葉に勝利したそのままのメンバーでキックオフを迎えました。

 試合はホームの大声援を受けた札幌のペース。千葉を完封した守備はこの試合でも機能します。栃木は前節も松本山雅に完封負けを喫しており、まだ攻撃の形というのが確立していないのかもしれませんが、ボールに激しくプレッシャーをかけて相手を自由にさせず、必要ならば2人で囲い込んで潰すというのは千葉戦でも徹底していたことですが、これにより栃木の攻撃の起点である菊岡やクリスティアーノ、サイドに流れた近藤を封じることに成功。パウリーニョの深い位置からのくさびのパスも、センターバックが身体を張って潰し、河合または上里が挟み込む形でこぼれ球を拾うという感じ。これが去年J1最多失点記録を更新したチームかと思うほどの安定っぷり。もっとも、やってる守備の形自体はノブリンの時代から継続してやってきてたことなんですよね。ただ、J1ではプレスかけてるのにぬるっと交わされたり、あるいはぶつかりに行っても当たり負けしたりで、最終的に結局センターバックが丸裸で守らざるを得ない、なんてシーンも多かったですからね。丸裸ってことは、つまり全裸ですよ。それじゃ失点するのも無理ないこと。せめてネクタイと靴下くらいは許して欲しいですよね。紳士として。その辺はJ1とJ2のレベルの違いということなんでしょうか。たぶん、J1とJ2の差って、JFLとJ2の差よりも大きいと思いますよ。マリオカートで言えば100ccと150ccの違いみたいな感じ。

 そして「いい攻撃はいい守備から」なのか、攻撃面も好調。栃木の中盤のプレスがゆるめだったこともありますが、札幌は次々とチャンスを作り出します。14分にはゴール前でテレがキープしたボールを神田が拾ってペナルティエリアに侵入し左足でシュートを放ちますがこれは枠外、26分にはソンジンからのクロスを内村がうまく合わせるもGKキャッチ、38分には古田の突破からのクロスをテレが押し込んだものの、その直前にクロスがゴールラインを割っておりノーゴール、直後に古田のミドルシュートはクロスバーに阻まれ、その跳ね返りもGKがファインセーブに遭いゴールならず。さらにその1分後にはCKからの流れでソンジンがドンピシャで頭に合わせますが、これもバーの上。前半、少なくとも4回のチャンスをものにできなかったことが、後に響くことになります。

 後半も引き続き札幌ペース。できれば前半のうちに先制しておきたかった流れで、それでも早い時間で点が入れば勝てる可能性が高くなると思っていた矢先の12分、内村のヘディングシュートがゴールポストに嫌われたところで、非常にイヤな予感が漂いました。「攻めていた側がチャンスを逃しているうちに、一瞬の隙を突かれて失点して負ける」というのは、サッカーではよくあることです。特に、伝説のディフェンダー、ゴール・ポスト選手やクロス・バー選手の活躍する試合ならなおさらです。前節の千葉がそうだったように。
 そして、そういうイヤな予感は得てして当たるもんでして。20分には中盤でボールを奪われてカウンターを受け、抜け出した廣瀬に左足で決められ失点してしまいます。

 試合は残り25分。アディショナルタイムを含めれば30分近く残されていたにもかかわらず、札幌はこの失点から目に見えて焦りが見え始めます。それまで攻撃の起点となっていた両サイドハーフが疲れで動きが落ちたことや、先制して栃木の固さが取れたこというのもあるでしょうけど、あれだけ繋がっていたボールがめっきり繋がらなくなり、チャンスの数もめっきり減ってしまいます。選手交代に活路を見いだす財前監督ですが、前節はドンピシャにハマった交代策が、今節は裏目に。監督の目論見としては、上原を入れることでサイドからのクロスボールに対するチャンスを増やそうということだったようですが、それを伝えきれずに3トップにしたことでピッチ上の選手たちが単純なパワープレイを選択してしまう事態に。結果、攻撃がちぐはぐになってしまいました。神田と岡本の交代はいいとしても、テレ→上原、古田→マエシュンという交代で、そのままのポジションでいれば、まだサイドからの攻撃に比重を置くことができたと思うのですが…。まぁ、結果論ですけどね。
 結果論ついでに言えば、マエシュンの使い方はちゃんとしないとダメです。真ん中より化はサイドでボールを持たせるべきですし、スペースに走らせちゃダメなんですよ。追いついた頃にはヒットポイント大方削られてるし。それ以前に追いつけてないし。いいですか。マエシュンはテトリスのぼっこなんですよ。それを努々お忘れなきよう。

 結局、ゴール前までは運べるものの決めることができずに試合終了。非常にもったいない試合ではありましたが、ただそうは言ってもこういうのはよくあることですし、というか札幌の場合、押してる試合ほどべろっと負けることが多いような気もしますけど、まぁそれでもシーズン前の予想よりはよっぽどよくやれているという印象ですね。千葉戦でもこの試合でも、守備面での意図ははっきりしており、多くの時間でそれが有効に機能していました。うれしい誤算と言いますか、みかしー五段と言いますか、失点シーンも若干集中が切れたのはありましたけど、崩されたというわけではなかったですからね。
 攻撃面でもいい形を何度も作れていましたし、まぁ決めなければ何にもならないというのはありますが、「どう攻めるか」というのは割と共通認識として持てていると思います。古田や神田は攻撃の起点にもフィニッシュにもなれますし、上里も守備はもちろん展開力についても既に欠かせない戦力になっています。38分のテレがゴールネットを揺らす前の古田の突破は正直何か漏れましたし、26分に上里がソンジンに出した絶妙なサイドチェンジもしびれました。ああいうの沖縄弁でなんて言うんでしたっけ。マジパネエでしたっけ。
 ただその上で注文をつけるのであれば、上里にはもう少しゴール前に顔を出して欲しいと思いますし、古田にはペナルティエリアの中で勝負をしてもらいたいですね。あと、開幕戦ではいい攻め上がりを見せていた松本くんが、この試合ではあまり上がってこなかったのも、わたし気になります。ケガの影響なのか、それともトイメンのクリスティアーノを気にしたのかもしれませんが、まぁなんというか個人的にはソンジンがオーバーラップして上げたクロスになぜか突っ込んでくるくらいの破天荒なサイドバックが好みなので、やっちまってほしいものです。気にするな、オレも自主卒業だから(関係ない)。

 というわけで勝てる試合だったと思うだけに残念ですが、シーズンはまだ始まったばかり。まずはこの敗戦を糧にして、難敵の続く3月の試合を乗り切って欲しいと思います。

2013年3月19日

点が欲しい

2013年J2第3節
ヴィッセル神戸 1-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/なし
     神戸/マジーニョ

 ホーム開幕戦で手痛い敗戦を喫した札幌は、今節はアウェイで開幕2連勝のヴィッセル神戸と対戦します。ともに昨季J1から降格したチーム同士ではありますが、かたや最終節までもつれ込んだ神戸に対し、圧倒的な弱さで史上最速降格を華麗に決めた札幌とでは、「降格組対決」と言われてもいまいちピンとこないというか、少し気を抜くと昨季札幌がJ1にいたことすら忘れているくらいなので、違和感がありますよね。

 神戸も降格によりFW大久保嘉人やMF野沢拓也、DF伊野波雅彦などの主力が移籍しましたが、Kリーグ蔚山でACL制覇に貢献したコロンビア代表エステバン、ブラジルの名門パルメイラスからFWマジーニョを獲得。また2010年から2シーズン神戸で活躍し、昨季は浦和レッズでプレイしていたポポが復帰し、J1クラスの助っ人を揃えました。神戸もJ1では予算の少ないほうですが、J2なら間違いなくトップクラス。当然、自動昇格の有力候補です。J2に降格して、そもそもJ1で桁違いに低い予算がさらに減ってJ2でも低いほうになり、それによりJ1で他のチームにつけいる隙すら与えなかった戦力がさらにダウン。どこからどう見ても立派なJ2チームである札幌とはわけが違いますね。ひとくちに降格チームと言っても、世の中には「J2に落ちた」チームと「J2に戻ってきた」チームの2つがあることをわかっていただきたい(力説)。
 というわけで神戸は前者であり、札幌はむろん後者なわけですが、それでもやりようによっては勝負にはなるはずですし、実際に開幕戦では昇格候補の千葉と充分戦えていました。神戸相手のアウェイ戦、かつテレと内村の両方を欠く中でも、ここまでの試合と同じように戦えれば、決してやれないことはないとは思っていたんですが…。結果的にはそれは半分ほど当たりでしたし、半分ほどハズレでした。

 いやね、集中してないわけではなかったですし、むしろ守備はほぼ集中して守れてたと思うんですよ。ただ、全体的にいまいち動きが鈍い感じは否めなかったですね。たとえて言うなら、お湯入れた後に時間計るのすっかり忘れてて10分くらい経ってしまった時の焼きそば弁当みたいな感じ。確かに焼きそば弁当の味はする。しかしこれは焼きそば弁当ではない、的な。そしてペヤングは焼きそば弁当の代わりになったりはしない。
 確かにポポやマジーニョを中心とした神戸の攻撃陣は強力でしたから、ある程度はボールを持たれるのは仕方ないですし、押し込まれるのもしょうがいないと思いますが、両サイドも低い位置でまで戻って来ざるを得ず、前線との距離も間延びしてしまうことが多かったのがキツかったですね。本来もう少し高い位置で仕掛けてなんぼの選手たちですから、自陣でボールを持ってもなかなか打開は難しいわけで、しかも古田も神田も本来のキレには程遠く、おまけにボールを持てば神戸のエステバンとかエステバン、あとエステバンが飛んでくるという。一説によれば「古田の中に『吉田』という謎の選手が入っていた」という情報もあり、それじゃ仕方ないね。ってか選手名くらいちゃんと調べて欲しいものです。「上里」を「土星」と見間違うくらいはずかしいですよね。

 その上里も守備に忙殺されることが多く、ボールを落ち着かせるまで余裕がありませんでした。とはいえ上里がいなければもっとやられていたかもしれず、ここ3戦でのサポーターの評価は「さん」付けを義務づけられるくらいのレベル。この試合では河合主将もらしくないミスを見せる中で、札幌の中ではもっとも安定したパフォーマンスを発揮していると言っても過言ではないのではないでしょうか。シーズン通してこれくらいできたら、「上里さん」が「上里様」になり、「上里大明神」を経て「上里大権現」に進化、最終的には「アルティメット上里」あたりに進化すること請け合いですね。
 反面、攻撃陣はちょっと残念でしたね。ここまでの2試合ではテレと内村がスタメンを張ってきましたが、テレが右肩痛(肩が反対になったわけではない模様)、内村も体調不良で欠場。代わりに宮澤と榊がスタメンとなったわけですが、この試合展開だと宮澤はともかく榊にはほとんどボールが入らなかったので、本犬にとっては不完全燃焼だとは思いますが…。宮澤も、前を向いてボールをもらえるポジションのほうがいいと思いますので、トップ下で使うのであればトップはテレみたいなタイプのほうがいいのでしょうね。いずれにしても、押し込まれたときにどう打開していくか、というのは今後の課題ではあると思います。点を獲れないと勝てないのですからね。

 失点シーンは、まぁしょうがないでしょう。杉山のポジショニングが若干怪しかった気もしますが、DFでブラインドになってたでしょうし、あの振り抜きであのシュートがあのコース飛んでこられたら厳しいかもしれません。まさに「マジーニョ、ヤベーニョ」という感じで、ノエビアスタジアムにふさわしい、コスメティック・ルネッサンスなシュートでした。

 そんなわけで、全体的にはいい試合だったとは言えませんけど、その状態でも神戸を相手にそんなにはやられなかったことは前向きに捉えてもいいんじゃないかと思います。ここまで3試合を終えて札幌の成績は1勝2敗。栃木戦がもったいない結果だったので2勝1敗にはできた気もしますが、まぁそれは結果論ですね。3月の6試合は相手が強いところばかりでしたから、シーズンに入る前は3月が終わった段階で五分の成績で終われれば上出来かなぁとは思っていましたし。そういう意味では3試合で勝点3というのは、決して悪くはない数字ではないかと思います。反省するところは反省して、少しでもレベルアップして欲しいと思います。

2013年3月21日

3連敗だけど

2013年J2第4節
コンサドーレ札幌 1-2 松本山雅FC
得点者:札幌/岡本
     松本/船山、楠瀬

 アウェイでヴィッセル神戸に敗戦を喫し、栃木SC戦に続いて連敗を喫してしまったコンサドーレ札幌は、中2日で松本山雅FCとのホームゲームに臨みます。松本は2012年にJリーグに参入。昨年は札幌はついうっかりJ1に行ってしまっていたため、今回が初対戦となります。Jリーグは2年目ですが、クラブ自体の歴史は古く、前身の山雅サッカークラブの創立が1965年と、もうすぐ50周年を迎えます。そんな節目の年をJ1で迎えたいという思いがあるのか、新規参入組の中ではかなり本気でJ1昇格を見据えており、反町康治監督体制2年目の今期は、大幅にチームの陣容を刷新しています。その中の1人が、MF岩沼俊介。昨季まで札幌に所属し、今季から松本に移籍した選手です。今回が初めての移籍で、いわゆる「古巣との対戦」というのはこれが初めてとなる岩沼は、札幌戦に臨むに当たって「サポーターにも6年間応援してもらったので、『残ってほしかった』と思われるようなプレーを見せたい」というコメントを残しております(web版エルゴラッソより)。

 やなこった。

 つーか、残って欲しかったも何も、移籍を決めたのは最初から最後まで自分でしょうに。サポーターが移籍を望んだってのなら話は別ですけど、何をおっしゃっているんでしょうかねこのお方は。

 まぁそれはともかく、3連敗だけは阻止したい札幌は、メンバーを大幅に変更。テレはベンチには復帰したものの、内村は引き続き発熱で欠場。前節榊が務めていたワンワントップ…いやワントップは、今季初スタメンとなる前田俊介が入り、神田夢実がベンチからも外れて同じく今季初スタメンとなる岡本賢明が入ります。古田寛幸がベンチとなりそこには上里一将が入り、ボランチの一角はプロ初スタメンとなる深井一希が入りました。宮澤裕樹と合わせて4ボランチという、サッカー界の常識を覆す斬新すぎるフォーメーションで試合に臨みます。すげえな、誰が走るのこれ。

 試合が始まると、さすがに4ボランチということはなかったのですが、かといって4-4-2ということもなく、4-3-3というか、より細かく言えば4-3-2-1という感じ。ここで存在感を発揮していたのがルーキー深井くん。彼が「いろいろとおかしい」のは以前もお伝えしたとおりですが、公式戦になってもやはりおかしいのは変わりません。まずプロ初出場だというのに、ちっとも動じていない。普通は多少なりとも固さが見られるものなのですが、ここまで緊張も見せないルーキーは「あんにゃろ」こと新居辰基以来ではないでしょうか。その新居とて、デビュー戦は途中出場、しかもこう言っては語弊はありますが、攻撃の選手は比較的ミスの許容されるポジションであり、さらには2点ビハインドというある意味気楽にやれる状況だったのに対し、深井くんの場合はボランチという攻守の要となるポジションでのスタメン出場ですからね。
 そして、普通ルーキーの初スタメンとなれば、いろいろと周りの選手は殊更にフォローをするものです。相方はプロ17年目の河合主将ですから、影に表にサポートすると思ってたんですよ。ああ素晴らしき師弟愛。

 と思ったら師匠、サポートどころかえらい高いポジションとってるんですけど…。

 上里があまり高いポジションを取ってなかったってのもあるでしょうけど、ミッドフィールドはすっかり深井くんにお任せな感じの河合さん。おかしいです。で、先制点はその高いポジションを取っていた河合さんからのクロスが宮澤に入り、落としたボールを走り込んできたヤスが蹴り込んだもの。

 さらには時系列は前後しますが、前半にクロスバーを叩いたシュートもおかしかったです。「惜しかった」のではなく、「おかしかった」です。ワンステップであのボールを蹴られる選手は、札幌では俺王様以外に記憶にありません。あとは周りの見えっぷりもおかしいし、必ずパスのもらえるところにいるのもおかしいし、パスの出し方もおかしいし、要するにいろいろおかしいのはおわかりいただけたかと思います。
 ただそれでもやっぱり(当たり前の話ですが)完璧ってわけではなくて、1失点目の起点にもなってしまったのは反省材料でしょうか。ユース時代も、「彼のところで奪われるとすると失点に繋がることが多かった」と、ビョーキ…いやユースマニアの方々が口を揃えて言っていました。彼がボールを持ったら周りが一斉に上がってしまうというのが原因のひとつにあるようですが、まぁでもそれもよくわかる気はします。もっとも、1点目の失点シーンは全体的な守備への切り替えの遅さが原因かと思いますが。栃木戦でも松本くんが変な取られかたをしたのが起点となってしまいましたけど、若いチームだからかその辺のリスクマネージメントがまだあまりできていないような感じですね。2失点目はいただけなかったですが、あの辺も気持ちの切り替えができてなかったように見えました。
 そんなわけで全体的には深井くんは効いていたと思いますので、途中交代は残念ではありましたが、その辺は彼が長期のケガ明けであることなどを考慮してのことなんでしょうね。チームとしてもあまり無理はさせない方針なのではないかと思います。いくら能力が高くても、巨神兵みたいなことになっても困りますし。逆に言えば100%の状態ではないのにあそこまでやれれるというのは末恐ろしい限りです。

 なんだか深井くんのことしか書いてませんけど、まぁそれくらいインパクトのある選手だな、と。ただ返す返すも前半のシュートは惜しかったなぁと。いや入らなければ入らないで、クロスバーじゃなくてわずか上とかのほうがよかったですよね。後半のソンジンのヘディングシュートがゴールポストを叩いたシーンも合わせて、最近思うんですよ。「溜息をつくと幸せが逃げていく」なんてのと同じように、サッカーにおいては「バーやポストに当てると幸せが逃げていく」のではないかと。開幕戦の千葉もよく当てた結果札幌に負けましたし、札幌は札幌でこの試合の他、栃木戦でも同じようにバー叩いて負けましたし。外すなら外すで、河合さんの反重力シュートくらいゴールから逃げていくほうがいいのかもしれません。あれなんだったんでしょうね。弾道的にはノナトのあれを思い出しました。 

 まぁそんなわけで3連敗。個人的に目安としていた「3月は五分」というのも、ちょっと達成が厳しくなってきた感じですが、まぁ嘆いたところで失った勝点は戻ってきません。目標はあくまで目標であり、たとえそれをクリアしたからと言って何があるわけでもないのです。我々は「デコルを全部集めても当初目的とされていたロイヤルクイーン様は復活しなかった」という事実は肝に銘じておくべきだと思います。そもそもチームの誰も「五分」なんて言ってなかったし。

2013年3月27日

連敗ストップ

2013年J2第5節
アビスパ福岡 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/宮澤
     福岡/なし

 松本山雅FCにホームで手痛い逆転負けをくらった札幌は、アビスパ福岡とのアウェイゲームを迎えます。福岡とは2年ほど入れ違いのシーズンが続いたため、3シーズンぶりの対決。とはいえ、開幕前の2月24日にはテストマッチで対決しており、この時はテレ、マエシュンのPKで札幌が2対1で競り勝っています。

 以前も書いたかもしれませんが、福岡は札幌と非常に似たもの同士のチームです。というか札幌が福岡の後追いをしている、というのは良く言われることで、福岡(当時は福岡ブルックス)誕生の翌年に札幌が誕生して以来、福岡が昇格した翌年に札幌が昇格したり、福岡が最速で降格した翌年に札幌がそれを上回る速さで降格したり、福岡が「オール九州」を打ち出した翌年に札幌が北海道路線を打ち出したりと、別に意識してるわけではないでしょうけど似たようなことをしています。チームを取り巻く環境なんかも似たような感じですね。財政的に苦しいところとか、地元のタクシーの運ちゃんは野球の話しかしないところとか。ちなみに、昨季の順位は2チームとも仲良く18位でした。
 予算がない中でスロベニア人のマリヤン・プシュニク監督を新しく迎え、ピンポイントで補強を行った福岡は、開幕2連勝と好スタートを切ったものの、その後2連敗。この試合に負けると3連敗で黒星が先行してしまいます。既に3連敗を喫してしまい、これ以上連敗したくない札幌と、「どっちが黒くて丸いのを並べられるかデスマッチ」となりました。

 札幌のスターティングメンバーは、GK杉山、DFは右からソンジン、櫛引、奈良、松本、ダブルボランチに河合と深井、両サイドに岡本と古田、トップ下に宮澤、ワントップに前田という布陣です。前節から上里が外れて古田が入っていますが、今の上里を外す理由が見当たらないので、ケガか何かでしょうかね。

 試合はどちらかといえば福岡のペース。開始早々に左からクロスを上げられ、城後のヘディングシュートがクロスバーを叩くというピンチを迎えます。とはいえ、ここ最近は「相手のシュートがクロスバーは吉兆」という説を提唱している自分としては、むしろ幸先のいいスタートとも言えます。なお、自分のチームのクロスバーは凶兆であることはいうまでもない。
 札幌は9分にカウンターからマエシュンのミドルシュートのこぼれ球をヤスが叩き込みましたが、これはオフサイドの判定でノーゴール。それ以外ではどうにもピリッとしません。上里の不在が影響したこともあるでしょうが、中盤でのボールの収まりどころがないために全体的な押し上げが遅く、なかなかゴール前までボールを運べません。
 守備でも中盤が間延びしている影響か今までの試合よりはあまり機能しているとは言いがたく、さらに悪いことに前半15分過ぎに右サイドバックのチョソンジンが左足を痛めてしまい、18分に上原と交代。ここができるのは上原しかいないのでこの交代は妥当だと思いますが、いずれにしてもこの時間で交代カードを1枚使わなければいけないのは痛手です。ただ上原が絡むようになったぶん攻撃については右サイドからそこそこ見せ場を作るようにはなりましたが、シュートまで持って行けることはほとんどなく、前半に打ったシュートはわずか1本だけ。かといって福岡のほうもいまいちな感じで、福岡のシュートも4本、そのうち少なくとも3本は枠外という低調な内容。最大の見所と言えば、ボールを奪われたマエシュンが何を思ったか猛然と後ろから追いかけ、見事なスライディングタックルで相手からボールを奪い取ったシーンくらいです。

 札幌はどうにも靴下が左右で違うようなちぐはぐさでしたので、いつもであれば後半頭から1人変えてもおかしくないくらいですが、既に前半で1人交代させているので、後半も前半と同じメンバーでスタート。ただハーフタイムである程度意識を合わせることができたのか、後半は割と札幌ペースで試合が進みます。開始直後に宮澤のパスに抜け出した古田が左足でシュートを放ちますが、これは枠外。その後も立て続けにチャンスを作りますが、得点ならず。既にマエシュンは疲れてきています。
 10分を過ぎて立て続けに交代カードを切ってきた福岡に押され始めます。財前監督も20分に福岡が速くも最後の交代を行ったと同時に2枚目のカードを切り、ヤスに替えて内村を投入。ヤスがちょっと持ちすぎなところがあったので、もっとシンプルに裏を狙おうという意図なのかも知れません。なお、この時点でマエシュンはだいぶ魂が抜けかけていました。
 さらに27分にはいまいち調子の良くない古田に代えて砂川を投入。この采配がぴたりと当たりました。28分、入ったばかりの砂さんが左サイドでボールを受けると、得意の切り返しで相手を翻弄し、右足でクロスを上げると、ゴール前に走り込んでいた「右サイドバックの」上原がドンピシャでボレー。このシュートはいったんGK神山にセーブされますが、こぼれ球を拾った宮澤が落ち着いて叩き込み、札幌が先制しました。ちなみにこのゴールが札幌のリーグ戦通算900点目だったそうです。

 松本戦では先制してから意思の統一をしきれず、集中を欠いてわずか2分間で逆転されてしまいましたが、さすがに2試合続けて同じ失敗は繰り返してはいけません。まずは守備の意識をはっきりとして、隙あらばカウンターというのが定石でしょう。幸い、前線には元気はうっちーがいます。マエシュンは疲れてますけど。と思ったら、その5分後にDF奈良が、ファウルの際に相手がセットしたボールを蹴ってしまい、イエローカードを受けてしまいます。既に1枚もらっていた奈良はこれで退場。これはちょっと擁護できませんね。「イエロー覚悟でファウルしてでも止めなければ相手にビッグチャンスを与える」ような状況ならまだしも、本当にいらないカードでしたから。そうでなくても既に交代枠を使い切っていて、リードはわずか1点、しかもマエシュン疲れ切っているのに。
 それでも札幌は複数ポジションをこなせる選手が多いのが強み。センターバックに河合主将が下がり、宮澤がボランチに下がることで数的不利に対応。福岡のシュートミスにも助けられ増したが、マエシュンも頑張って虎の子の1点を守りきることに成功。連敗を3でストップさせました。

 あと深井くんはやっぱりいろいろおかしかったです。

2016年2月

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