コンサドーレ一覧

価値ある引き分け

2018年明治安田生命J1リーグ 第5節
鹿島アントラーズ 0-0 北海道コンサドーレ札幌
得点者:なし

人間生きてりゃイヤな思い出のひとつやふたつやみっつやよっつあるもんでして、古くからの札幌サポーターにとっては、その中のななつくらいを占めているのが「アウェイ鹿島戦」だと思います。

何しろ札幌が初めてカシマスタジアムで試合を行った1997年のJリーグカップ(当時の札幌は旧JFL所属)で0-7の大敗を喫して以来、21年もの間勝ったことがありません。21年って我々いい歳したおっさんにしてみれば漠然と「ずいぶん昔だなぁ」くらいのイメージですけど、あの試合が行われた1997年10月18日って、三好康児が生後7ヶ月くらい、ガースーに至ってはまだ産まれてないですからね。具体的な例を出されるとマジで悲しい。

もっとも、Jリーグ開始以来一度もJ2に落ちたことがない鹿島と、J2にいる期間のほうが長かった札幌とでは、そもそも対戦する機会自体が少なかったのですけど、その少ない機会を確実にイヤな思い出に結びつけるこのしたたかさ。

2002年は点差こそ1点だけですけど、Vゴールで降格が決まった試合ですし、2008年は佐藤優也がPKを止めた上での0-4、2012年は悪夢の炭鉱スコア再び。去年も開始2分でさっくり崩されてゴールを決められ、そこから前半30分で0-3にされる有様で、後半鹿島が流してなければ普通に夢スコもありえたくらいの子供扱い。札幌の戦力も過去に比べればだいぶマシにはなってましたから、そこそこはやれるんじゃないかと思っていただけに、普通にショックでしたもんね。何よりもショックだったのは、「0-3で済んで良かった」と思ってしまった自分がいたこと。

去年のぼく

なんというかですね、鹿島アントラーズの強さって、監督とか選手とか戦術とかフォーメーションとかを超越した「鹿島である」ところだと思うんですよ。いやもちろん監督や選手が替わる度に細かい部分は変わってるんですけど、根っこのところ、つまり勝つために「ガツンと跳ね返して、ダーッとパス繋いで、ウワーッと点取る」というところは不変であり、そういうところはどんな作戦も通用しにくいのです。幽☆遊☆白書でいえば戸愚呂弟相手にあれこれ策を弄したところで、結局ぷちっとやられるのが関の山だし、かといって同じやり方をすれば単純に強いほうが勝つわけで、実際そうだったのが今までの歴史だったわけです。

しかしながら、終わってみればカシマスタジアムでの史上初の勝点ゲット。しかも、耐えて耐え抜いてスコアレスドローに持ち込んだという戦い方ではなく、真っ向勝負で互角以上の内容を見せた上での0-0ですから、そりゃあ過去を知ってるサポーターにはエポックでありメイキングであります。勝ちはなくとも価値はあるってもんです。

もちろん点を取れるチャンスは何度もありましたから、欲をいえば勝ちたかったですけど、カシマスタジアムでそんな風に思える日が来るとは、ボロクソにやられた2008年の試合後、カシマスタジアムの外をトボトボと歩きながら、Suaraさんの「トモシビ」を聴いていた自分には想像もできなかったですね。あれから10年も。

ミシャがかつて言っていた「マインドを変えていく」というのはこういうことなのかなぁ。それを含めて野々村芳和社長がミシャを招聘したのだとしたら、大したもんだ。まったく大した詐欺師ですよ。

一方で冷静になってみると、順位的には降格圏ないギリギリの15位まで落としてしまったわけですし、下にガンバと浦和という力技を使えるチームがいるのが怖いといえば怖いですけど、こういう試合がコンスタントにできるのであれば、勝点は積み重ねていけるでしょうから、そんなに悲壮感はないですね。ああいう試合が「たまたま」できるほどホームの鹿島は甘い相手じゃないはずなので。

この試合はどの選手も及第点以上の働きを見せておりましたが、中でも宮澤と深井のボランチコンビは安定感がありましたね。宮澤はこれまでなら失点してたような状況で、一番危ないところに顔を出してクリアしたシーンは何度もありましたし、鹿島相手であっても無双状態だった深井も、本当に1年コンスタントにプレイできれば代表だって狙えるはずなので、どうかケガなく。

あと随所に見せる攻撃参加などで評価を上げつつある一方で、終了間際にヘディングクリアを被ってきっちり1進藤を記録し、存在感を発揮した進藤さんマジ進藤さん。駒井がいなければ即死だった。