日本対ベルギーの試合は稲本の逆転ゴールからしか見てないのでなんとも言えないんですが、試合終了後のインタビューで1点目を挙げた鈴木隆行の顔つきががらりと変わっていたのが印象に残りました。いつもは何となく眼に力がないような感じだったのが、引き締まったいい表情をしていました。彼はこの大会でブレイクするかも知れませんね。
また、我が敬愛するリバウド師匠(同い年で同じ左利きというだけで)がトルコ戦での演技で出場停止の可能性もあるそうです。FIFAもわかってないなぁ。ボールをぶつけられたのは足だったはずなのに顔を押さえてうめくなんざ、誰がどう見たって単なる達川のマネじゃないですか。
さてそれはさておき、先日ここで書いたとおり、ワールドカップ真っ盛りの現在、サッカー・スポーツ系の雑誌に限らずいろいろな雑誌がサッカーの話題を取り上げています。ただ、日本が初出場した98年のフランス大会の時もそうでしたが、そういう雑誌の記事って「これを読めばサッカー通」というようなかなり怪しげなタイトルの記事も多いですよね。今日会社に行くときの電車で、まさに「これを読めば即席サッカー通」というような「週刊朝日」の中吊り広告を見つけました。
「週刊朝日」はその名の通り、刊行しているのは新聞業界の左の大将・朝日新聞。ワールドカップのオフィシャルスポンサーでもあり、「33歳で初代表となった高校時代のチームメイトを新聞で見つけるサラリーマン」のテレビCMを流している会社です。日本リーグ時代ならともかくプロサッカーがある昨今、代表に選ばれるほどの選手を昔サッカーをやっていたような人が新聞に載るまで知らないわけがないと思うんですが。
ちょっと話が逸れましたが、その朝日新聞の雑誌は先日紹介した集英社の「週刊プレイボーイ」よりも高めの年齢層をターゲットにしています。もっとも、この「週刊朝日」はさすがに天下の朝日新聞社らしく、女性タレントの水着やヌードグラビアなどのエロ記事はなく、「おっさん雑誌」ではなく純粋な「おじさん雑誌」と言ったところです。何が純粋なのかはわかりませんが。
しかしそんな週刊朝日ですら世間の流れには逆らえないのか、ワールドカップの特集をトップに持ってきています。もちろん、世界的イベントであるワールドカップを見るのはサッカーファンだけではありませんし、そういった雑誌の主読者層には「サッカーファン以外の人」も含まれているわけですから、そんな人たちがワールドカップを見るに当たってある程度の「予備知識」が必要になってくるとは思うんですが、たった数ペイジの記事を読んでサッカー通になれるくらいなら、今頃哲二さんのクビは飛んでなかったと思うんですけどね。
とはいえ、見もせずにあれこれ言うわけにもいきませんし、そもそも自分自身もそれほどサッカーに詳しいわけではありません。ですから、そんなオレだってサッカー通になって、「フラットスリーがダブルボランチだからここはポストプレーをオフサイドしてコザックで決まりだね」とか訳知り顔して言ってみたいので、早速その雑誌を買って読んでみました。で、そのサッカー通養成講座、タイトルもズバリ「これであなたも即席サッカーおやじ」。伝授してくれるのは、あのカトリーヌあやこさんだ!
誰?
読む前からなんだか不安になってしまいますが、気になるその内容はいきなりフラット3の説明から始まり、「ライン」「オフサイド」「プレス」など専門用語の連発。「フラット3は4バックより攻撃的」と断言しているのはご愛敬として、どこがどう攻撃的なのかは説明ナシ。文字数の都合もあるでしょうけど、通になりたい初心者オヤジは最初から完全放置されます。その後は戸田の紹介で「過去にしつこい当たりでピクシー(ストイコビッチ)を完全にキレさせた実績のある男」と書いていますが、ピクシーが何者なのかの説明はやはりナシ。しかもそれってデビュー当時の稲本とごっちゃにしてるんではないかという気もしますし、そもそもピクシーがキレるのは珍しくもなんともないと思うんですが。
あとは鈴木隆行について「アフリカに強いのでチュニジア戦には期待できる」と書かれていたのはいいとして、ロシア戦でのキープレイヤーとして川口能活の名を挙げています。曰く、「『ヨシカツは8月15日生まれなんだ』といえばもう、サッカー通どころか、あなたは立派な日本代表おたくです」ということらしいです。
多少なりともサッカーを見ているオレにもなぜオタクなのかさっぱりわからないのですが、後に続くのは「つまり、ヨシカツこそ日露戦争には欠かせない男。」
8月15日は太平洋戦争だと思いますが。つうか終戦記念日だし。
もう、フォント操作だらけで見苦しいのが申し訳ないのですが、それくらいつっこみどころがありすぎです。日韓の歴史問題にこだわる朝日新聞社の方は誰も止めなかったのでしょうか。ちなみに余談になりますが、川口の所属しているポーツマスは日露戦争のポーツマス条約とは全然関係ありません(ポーツマス条約が調印されたのはアメリカのニューハンプシャー州にあるポーツマス)。
まぁ、「他人に自分を少しでもかっこよく見せたい」と思うのは人間の性ですが、どっちかというとこのコラムで得た知識を飲み屋などでお姉ちゃん相手に披露したら、子供へのクリスマスプレゼントにファミコンを頼まれてメガドライブを買ってきたときのようなことになると思いますので、週刊朝日の愛読者のおじさんは努々お気をつけ下さい。