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2007年7月 アーカイブ

2007年7月 1日

ジョイナジョイナー

2007年Jリーグディビジョン2第24節
コンサドーレ札幌 2-2 ザスパ草津
得点者:札幌/西谷、芳賀
     草津/氏原、高田

 3試合ぶりに勝利を挙げた前節ヴェルディ戦から中2日の今節は、札幌ドームでザスパ草津との対戦です。現在のところ首位を走る札幌ではありますが、これまでの戦いで唯一勝っていないのがこの草津。長いJ2リーグの折り返し地点を目前に控え、ホームのここは是非とも勝っておきたいところでしたが…。結果は2度リードしておきながら2度追いつかれドロー。草津からの今季初勝利は第3クール以降に持ち越しとなってしまいました。前節、ソダンが「前半0-0なら大概は勝てる」と言っていたと紹介しましたが、今季ここまで札幌が「前半終了時点で相手を無失点に抑えた」試合は23試合中16試合ありまして、その内訳は12勝4分無敗と無類の強さを発揮しているのに対し、前半のうちに失点した試合は7試合で3勝3敗1分。0-0じゃないと勝てないってことではないとは思いますが、守備が身上のチームだけに、前半のうちから失点するというのはチームのリズムがいまいちおかしいということなのかもしれません。この試合も高木とディフェンスラインとの連携は前半の早いうちからおかしかったですしね。高木が不安定だったために守備陣が影響されたのか、それとも逆に守備陣がおかしかったので高木のほうが影響されたのかはわかりませんし、あるいはその両方かもしれませんが、とにかく何となく晩年のチェッカーズみたいな微妙な空気でして、それが試合後の会見で草津の植木監督が語っていたディフェンスラインがあまり速くないというのは分かっていたし、ここのグラウンドはボールが止まってくれるので、ラインの裏にボールを入れていこうという話をした(J's GOALより)」という策にまんまとハマったという感じでしょうか。
 まぁうちの守備陣にスピードがないのは今に始まったことじゃないですし、昨年まで草津のゴールを守っていた高木の長所も短所もよく知っている植木監督ならではの作戦とも言えますが、さすがにこのあたりまで来ると相手もいろいろな対策を練ってきますね。札幌もさらにその上を行かなければ勝つのはより難しくなっていくでしょう。

 で、その「上をいく」具体策はやはり攻撃力でしょうか。三浦監督も会見で言っていましたが、「3点目を取れなかったこと」が勝てなかったことの大きな要因ではあると思います。3点目を取れなかった、というよりはこれまでよりも比較的多くのチャンスがありながらも決めきれなかったと言ったほうがいいかもしれません。チャンスを100%決めろとは言いませんし、そんなのはカニをにぎやかに食えと言うのと同じくらい無理な話だと思いますが、決めるべき時に決めないとこの試合みたいになる可能性は高くなりますし、決定的なチャンスを決められないのは失点と同じくらいの責任があると思うのです。まぁ本日の日刊スポォツによれば攻撃陣の補強を進めているとのことで、その辺りはもう既に手を打っているようですが、単純な補強のみならずまだまだ攻撃には改善の余地はまだまだあると思いますので、三浦監督にはその辺りも期待したいですね。サイドバック同時オーバーラップとかやぶれかぶれなのもまたいいかもしれません。

 それはさておき、この試合の最大の山場は芳賀主将の移籍後初ゴール(というかプロ初ゴール)でしょうか。相手のクリアボールを胸トラップで落として約30メートルのミドルシュート、レーザービームのようなすごいゴールでしたが、見せ場は実はそのあと。
 これまでゴールを決めた選手たちにすべからく「芳賀ラッシュ」の洗礼を浴びせてきた芳賀主将。すべからく、と言ってもその中に西谷はなぜか含まれませんし、人によってラッシュの密度も違ったり(これまでもっともラッシュ数が多かったのは謙伍)しますが、とにかく洗礼を浴びた選手たちは常日頃から「仕返し」を企んでいたでしょう。ある意味チームメイトがもっとも待ち望んでいたゴールが生まれたわけです。
 そしてその待望の瞬間が訪れると、ベンチに駆け出す芳賀を全速力で追いかけるチームメイトたち。最初に芳賀の「捕獲」を試みたダヴィは失敗に終わったものの、セカンドアタックでカウエが標的を引きずり倒すことに成功。ダヴィが上に覆い被さったのを合図に次々とその上に乗っかっていく選手たち。まさしくもみくちゃという表現が一番ふさわしい「仕返し」が終わったあとに、野郎どもの人山の下から這い出てきた芳賀主将は、ラッシュの満員電車から降りてきたサラリーマンのようなボロボロっぷり。芳賀の運動量が試合終盤目に見えて落ちたのは、ひょっとしたらこれが原因だったのかも知れません。
 素晴らしいシュートでのプロ初ゴールだっただけに、このまま勝てれば理想的な展開だったんですけどね。そううまくは行かないものです。でもたぶん、ダヴィ・カウエと共に最後まで芳賀の上に乗っていた、今季まだ芳賀ラッシュの洗礼を浴びていないはずの西嶋は、たぶん確実に芳賀の「殺すリスト」に載ったのではないかと思います。どうなるか楽しみなので西嶋さん早くゴール決めてください。

 最後に、秋葉はいつ見てもザ・サンシャインに似ていると思いました。

2007年7月11日

少しずつ

2007年Jリーグディビジョン2第26節
コンサドーレ札幌 1-1 モンテディオ山形
得点者:札幌/ダヴィ
     山形/宮沢

 「前半1-1は勝てないの法則!」とかしたり顔して書こうと思ってたら、今日勝っちゃいました。

 さてそんなわけでまたしてもみんなが忘れた頃の観戦記、第26節のモンテディオ山形戦です。第2クールは7連勝と快調にすっ飛ばしてきた札幌ですが、愛媛戦で強制ハンディキャップマッチを強いられての敗戦を喫して以降は1勝2分1敗といまいち調子を落としているだけに、第2クール最後、つまり前半戦ラストのこのホームゲームは勝って締めくくりたいところだったのですが、結果的にはまたしてもドロー。いまいちすっきりしない終わり方になってしまいましたね。
 まぁ7連勝した後に1勝3分1敗というのは確かに「失速」に見えなくもないですけど、とはいえもともと何連勝もその気になればお茶の子さいさいなチーム力ではないことはサポーターの誰もが知っているわけで、見方を変えれば第2クールの前半がむしろできすぎだったとも言えます。言ってみれば下道を走っていたら目的地途中まで1度も信号に引っかからずに来たけど、目的地間近で何度か引っかかりましたって感じだと思います。
 ただ連勝中の札幌は7試合でわずか2失点だったのに対し、連勝が途切れてからは5試合で6失点。あれだけあったウノゼロ試合もヴェルディ戦のみと、自慢の守備力に多少の陰りが出て来た感はあります。相手チームも札幌から点を獲るためにあの手この手で来ていることもありますし、サッカーの内容が多少攻撃的にシフトしてきているという理由もあると思います。ひとつの例としては、第1クールから第2クールの前半くらいまでにかけては、試合の前半はセンターラインから敵陣側は白石区外のホワイトストーンズみたいだったサイドバックが、最近は前半のうちから上がっていくシーンも多く見られるようになってきたことからも伺えます。そのぶんリスクは増すわけですから今までよりも失点の危険も増すのはまぁわかるんですけど、ここ最近の失点シーンを見るとミス絡みの失点もちらほら見受けられるのも気になるところです。この試合もまさにそんな感じで、失点シーンも芳賀がボールをかっさらわれてそのまま宮沢に持ち込まれて決められたもの。失点の少なさはリーグトップ、しかし得点数はリーグ6位という典型的な守備型チームだけに、特にミス絡みの失点は致命傷にもなりかねません。特にこの試合、前半は山形もさほど決定的なチャンスを作れていなかっただけに悔やまれる失点ではあります。まぁあまりチャンスがなかったのは札幌も同じなんで、前半終了間際に芳賀のなんでもないロングボールをうまく身体を入れて無理矢理ぶち込んだダヴィのゴールは札幌にとっては大きかったですし、山形にとってはイヤな感じの獲られ方だったとは思いますがね。ミス絡みの失点も尾を引いてしまうものですが、DFはしっかり身体を寄せていたのに、屈強な体躯と足の長さだけで1点獲られちゃったわけですからね。「そんなのアリかよ…」と思ったに違いありません。野球で言えば敬遠のボールをホムーランされてしまったみたいなもんでしょう。
 まぁ、全世界を笑いの渦に巻き込んだ徳島戦でのオモシロゴールなんかもそうですけど、ああいうゴールを決める割には、そこは決めてくれというゴールを決められないのもまたダヴィなんですけどね。実際、後半もカウエのクロスにヘッドで飛び込み上に外したシーンとか、狙い澄ましてポストにぶち当てたシーンとか、はえたたきトラップからDFの裏をとったシーンとか、その他ダヴィだけじゃなく砂川も惜しいシュートを何本か放っていたことを考えると、たらればの話をしてもしょうがないとはいえ、山形の攻撃も遠目からのシュートがほとんどで、チャンスの数自体は札幌のほうが多かっただけに、どれかひとつでも決めていれば勝てていたかと思うと残念感はありますね。それでも来日当初から比べれば格段に進歩してますし、ああいうフッキとは別の意味で破天荒な選手も札幌らしくていいかもしれません。カウエとともに契約延長も決まったようで何よりですね。

 あと特筆すべきはプロデビューを飾った岡本賢明でしょうか。熊本でのキャンプで見た時「デビューは早いかも」と書きましたが、石井謙伍が出場停止だったとはいえ、サテライトリーグや練習試合での活躍が認められ初のベンチ入りとなりました。その岡本は後半26分に元気との交代で初出場。さすがにあまりボールに触れる機会も多くはなかったですが、後半終了間際に走り込む砂川にダイレクトでスルーパスを通したのを始め、ワンタッチ・ツータッチでパスを出したりとその視野の広さと素材の片鱗は伺わせてくれました。でも、眉毛をいじりすぎだと思います。

 そんなわけで、終了間際にはどちらもチャンスを作りつつも引き分けに終わりました。札幌としてはまたもや勝ちきれなかったという感じの試合でしたが、それでも結果的に1クールで1敗しかしなかったわけですし、前半戦でわずか3敗は立派な成績。2004年なんて前半戦終了時点でわずか2勝でしたからね。確かに今はあまりいい状態ではないようですが、逆に良くないなら良くないなりにも勝点を拾っているとも言えるわけで、昇格を狙うためにはこういったしぶとさも大事だと思います。また、3分と1勝2敗は勝点こそ同じ3ですが、受ける印象は全然違うわけで、ライバルチームに「札幌なかなか負けてくれねぇなぁ」と思わせることもできるでしょう。昔、負けないこととか逃げ出さないこととか投げ出さないこととか信じ抜くことが一番大事なんて歌ってた人たちもいましたし。一発屋でしたけどね。

2007年7月14日

さてどっちか

2007年Jリーグディビジョン2第28節
徳島ヴォルティス 中止 コンサドーレ札幌

 7月14日に予定されていたJリーグディビジョン2第28節、徳島ヴォルティス対コンサドーレ札幌の試合は、台風4号による天候不良のため中止、順延となりました。基本的には雨天決行のJリーグではありますが、さすがに台風直撃の中で開催を強行するわけにもいかなかったようです。まぁこれで試合を強行していたら「ゴールキックがそのまま自分のゴールに突き刺さった」とか、「ソダンがロングボールをヘディングでクリアしたらそのまま相手ゴールに入った」みたいな超人サッカーになってしまいかねませんし、何より試合終了後まで選手やお客さんが無事でいられるかの保証が全くできませんから、中止となるのも仕方がありませんね。

 ということでこの試合の代替開催の日程は現時点ではまだ決まっていないようですが、自然災害による試合順延は2000年4月に室蘭で行われる予定だったJ2浦和レッズ戦及びナビスコカップのガンバ大阪戦が有珠山噴火によって延期、2005年8月にモンテディオ山形とのアウェイ戦が雷雨のため延期となったのに続いて4回目となりました。まぁ泣く子と自然には勝てないということですが、問題はこの試合延期がどの程度の影響を及ぼすかでしょうか。まだ代替の日程が決まっていないのでなんとも言えませんが、過去の例では2000年の浦和戦の延期は、当時の岡田武史監督が後に「(噴火の)被災者には申し訳ないが、延びてくれて助かった。まだチームが出来上がっていない時に浦和とやっていたら、おそらく負けていただろう」と回顧したとおりチームにとっては結果的にプラスに作用しました(代替開催となった7月の試合では引き分け)。しかし2005年の山形戦では、試合が順延となったため試合勘を鈍らせないために主力組が出場した札幌大学との練習試合で、急成長を見せていた上里が十字靱帯を断裂してシーズンを棒に振っただけでなく、代替試合で西澤画伯も十字靱帯を断裂して同じくシーズンを棒に振ることになり、試合にも負けた上に結局この2人の離脱が響いて事実上昇格争いからは脱落となってしまったという踏んだり蹴ったりなことになってしまいました。鬼門・四国での試合をやらずに済んだと思いきや、よく考えれば別に試合が延びただけでなくなったわけではないでしょうし、この先もっと日程はキツくなってくるでしょうしねぇ。チーム状態も今はちょっと微妙な状態ですから、今日試合がなかったのはプラスにもマイナスにも取れますしね。とりあえずは続報待ちといったところでしょうか。

 選手はいったん徳島入りしたあと、某所での情報によると札幌に戻ってきているそうです。結果としては元祖西遊記スーパーモンキー大冒険みたいな何の成果のない旅で、おそらくチームの皆さんは試合をやるよりも疲れたんじゃないかと思います。とりあえずはゆっくり休んでもらいたいですね。

2007年7月17日

幸先よろし

2007年Jリーグディビジョン2第27節
コンサドーレ札幌 2-1 アビスパ福岡
得点者:札幌/ソダン、西谷
     福岡/田中

 時系列はハルヒみたいに前後しますが、第27節福岡戦です。

 後半戦のスタートとなる第27節は厚別公園競技場にアビスパ福岡を迎えてのホームゲーム。前節山形戦から中2日と日程的にはキツいですが、2戦連続のホームゲームということで移動がありません。逆に福岡は2試合連続でアウェイゲーム。前節は平塚まで移動して湘南ベルマーレを相手に0-2できっちり勝利を収めたものの、中2日で北海道というなんともご無体な日程だけにコンディション的には札幌のほうが有利に違いありません。
 しかしながら札幌はJリーグに参入した1998年以降、福岡とはカップ戦や天皇杯などを含めて23試合を戦って6勝14敗3分、22得点31失点とあまり相性が良くない上、特にホームでの成績は11試合でたったの2勝。とりわけ厚別では5試合を戦って未だ勝ったことがありません。いずれも負けるべくして負けたような試合が多かったのですが、2001年みたいに3-1とリードして楽勝ムードだったのに、ビアージョにゴールを決められて1点差に迫られた後、当時不治の病といわれていたロスタイム病が発病して同点に追いつかれて結局Vゴール負けを喰らったりしたこともありました。ここのところ調子のあまりよくない札幌だけにあまり強気にもなれない状況ですが、今季は鬼門四国で初勝利したり、いろんなジンクスを破ってきた札幌の生まれ変わった力に期待したいところです。

 というわけで試合ですが、やはりコンディションの差なのか開始から札幌が攻め込む展開に。福岡があまりくさびのボールにプレッシャーをかけに来なかったのもありますが、いつも以上に2トップにボールが収まるためラインの押し上げも効き、押し上げが効いてるのでセカンドボールも良く拾えます。そして早くも前半9分、先制点が生まれます。相手ペナルティエリア脇で得たフリーキックのチャンスで、西谷が蹴ったボールをソダンがドンピシャでヘディング。このシュートはGKにいったんは阻まれますが、こぼれたボールを再びソダンが押し込んでゴール。スローで見てみると先にボールに触っていたのは西嶋に見えるのですが、記録上はソダンのゴールとなりました。しかしどうでもいいけど相手GKの神山ってアホーガンみたいな風貌ですね。
 先制後もほぼ札幌のペース。福岡はボールの出しどころを探してバックラインでパスを回すのみで、結局しびれを切らして前線にロングボールを蹴り込むだけの攻撃しかできず、逆に札幌は「ずっと俺のターン!」とばかりにどんどんと攻め込みチャンスを作ります。

 それでも点が取れないのが札幌。

 決めるべき時に決めなければ流れを失うのはサッカーの摂理とも言えるもので、ずっと俺のターンだったのにうっかり出すカードを間違えてしまってあっさり立場が逆転するのと同様、劣勢だった福岡が徐々に盛り返し始めると、前半32分に久永のスルーパスから田中佑昌に裏に抜け出されてゴール左隅に決められ同点。しかしどうでもいいけどこの田中って髪型とか含めてなんとなく日テレ・ベレーザの澤穂希みたいですね。ちなみにアテネ五輪の時の澤は「女ヒデ」とか言われていましたが、その女ヒデの男版ということで中田の逆、つまりは田中ということなのですね。ええ、ごめんなさいいろいろと。そんなわけで前半は1-1で終了。

 戦術云々よりも、流れの悪い時になんだかんだ言ってきっちり修正できるのが三浦俊也という監督の強みだと思いますし、それを自分たちなりに体現できるのが今年のチームの強み。この試合でもずるずる行きそうな流れだったのを、後半開始早々に西谷のゴールに元気がうまく合わせていきなり惜しいチャンスを作り出します。ボールがちょっと難しかったので決め切るには至らなかった、というかアレを決められるFWならそもそも札幌には来ていないわけですけど、それでもリズムを掴むには充分。後半はほぼ一方的な札幌ペースとなります。

 しかしそれでも点が取れないのが札幌。

 いやもう惜しいチャンスはたくさんあったんですけどね。ことごとくアホーガンキーパー正面だったり、ダヴィがやっぱり1対1止められたりで、とにかくサポーターにとっては生殺し状態。まぁあそこまでチャンスを作れるのはそれはそれですごいのですけどね。そのうち1/3くらいでも決めてくれてればというのは言わない約束としても、やはり「テクニカル」という我々の抱くブラジル人のイメージとは異なる選手ではあります。
 しかしそんなダヴィではありますが、最大の長所であり武器であるのがその無尽蔵なスタミナなのかもしれません。何しろ試合終盤でも桜木花道ばりのまるで今試合が始まったかのような元気さを見せるのがダヴィ。しかも試合中適当にサボっているのならまだしも、取れる可能性の薄いボールであってもしつこく前線からプレスをかけ続けていながらなおあの動きができるのですから、とんでもないスタミナです。それがゆえにブラジル時代に「馬」と呼ばれていたのなら、それには納得せざるを得ません。そんなダヴィが、引き分けで終わりそうな予感も漂い始めた後半34分、味方のクリアボールを拾ったダヴィが自陣から追い切り…いやドリブルを開始。あっという間に相手DF2人を抜き去り、飛び出してきたアホーガン…いや神山まで交わそうとしたところで引っかけられてPKを獲得しました。このPKを(番長)西谷がキッチリ決めて突き放し、ようやく札幌が勝ち越しに成功します。
 その後はあとがなくなった福岡に攻め込まれますが、草津戦での反省を生かしたか今回は逃げ切りに成功。後半戦のスタートを勝利で飾りました。

2007年7月18日

パズルのピース

 現在のところ首位を走っているコンサドーレ札幌。前半戦終了時の成績は15勝6分3敗と申し分のない成績ではありますが、当初は足踏みしていた2位以下のチームもここ最近は調子を上げてきており、一時は2位と13もあった勝点差も、気がつけば28節終了時点でたったの3にまでなってしまいました。札幌が前節徳島戦が台風の影響で順延となり、消化試合数が1試合少ないとはいえ、2位京都サンガ、3位ベガルタ仙台、4位東京ヴェルディ1969といずれも地力のあるチームだけに、たとえ徳島戦の勝点を皮算用して6差としたとしても、その差はないと思っていいと思います。こうなるとチーム力の差云々は別としても、追われる立場というのはけっこうキツいもの。これまではある意味「ナメていた」部分もあっただろう相手がこの先は間違いなく首位札幌をマークしてくるでしょう。まぁ、実際先のことなんて誰にもわからないんですけどね。昔とある新聞でとある評論家がジャンプ、マガジン、サンデーの週刊少年漫画誌の行方について「今年はサンデーが強そう。来ますよ、サンデーは」と太鼓判を押したことがありました。それから十年以上経った現在でも未だにサンデーの時代は来ていないわけですが、プロの目ですら間違うことなんて多々あります。ましてや素人のオレの展望なんて大してアテになるものでもないのですけど、この先のシーズン、厳しくなりこそすれ楽になることはないと感じているのは皆さんも同じではないかと思います。

 というわけで、その厳しいシーズンを勝ち抜いていくためには、プラスアルファの要素が必要です。戦術的なプラスアルファについては既に三浦監督も手を付けているようですが、それに加えて戦力的なプラスアルファも必要となってくる頃合いです。つまりは補強ですね。
 その補強について三上部長によると、ダヴィとカウエの契約延長に絡んで「どちらかを代えるなら攻撃的ポジションの外国人1人と日本人1人。2人とも残すなら日本人のDFとMF、もしくはDFとFWというパターンになる(北海道新聞)」とのこと。ダヴィとカウエの契約延長が本日正式に発表されましたから、となるとパターンとしては後者、「日本人のDFとMF、またはDFとFW」ということになるでしょう。どちらにしてもDFを獲得すること自体は決定なわけですね。リーグ最少失点を誇る守備陣ではありますが、センターバックタイプを好んで使う三浦監督の戦術において、同タイプの控え選手が池内くらいしかいない現状は、以前もあったような「ソダンとブルーノが同時に欠ける」というケースに対応しきれないことも多いため、ここは単純に層を厚くするための補強でしょうね。それはいいとして、注目は残る1人がMFかFWなのかということ。守備的MFのできる選手が多くいる関係上、今更守備的MFを補強するなんてカレールーの代わりにおかゆをかけて「おかゆライス」にするみたいなものですから、MFを獲るとしても今のシステムを考えるとサイドアタッカーということになると思います。
 とはいえ、やはり現時点での最優先事項はもっとも層の薄いポジションであるFWの補強でしょうね。実際、日刊スポォツには大分トリニータのFW松橋章太の獲得に動いているという話が載っていました。その信憑性はともかく、強化部としてもFWを第一に考えていることは間違いなさそうです。ただでさえFW登録の選手が4人と少ない上、スタメン2トップである元気とダヴィも高さとポストが売りの選手ですし、あとの謙伍も相川も万能タイプ…というよりは謙伍は今のところ量産型柳沢の域を出ていませんし、相川も局地戦型城彰二といった感じで、スピードタイプのストライカーがいないのが現実。これまでの試合から三浦監督が選手交代を殊更に重要視していることは見て取れますが、相手が疲れてきた頃に引っかき回せるようなスピードのある選手が持ち駒にいないのは不利です。実現性はともかく、スピードスターとして鳴らす松橋の獲得話が出てくることからも、やはりスピードタイプのFWが欲しいと考えているのでしょう。

 わかりやすく言えば、「ただの人間には興味ありません。この中に快足FW、サイドアタッカー、センターバック、お金持ちのスポンサーがいたら、あたしのところに来なさい。以上」ということになるかと思います。J1昇格のためにも是非その力を貸してください。

2007年7月25日

ゴール前勝負

2007年Jリーグディビジョン2第29節
コンサドーレ札幌 2-2 東京ヴェルディ1969
得点者:札幌/ソダン、謙伍
     ヴェルディ/フッキ×2

 徳島戦が台風で順延となり、1試合飛ばしての第29節は、厚別公園競技場に難敵東京ヴェルディ1969を迎えてのホームゲームです。一時期は7連敗と泥沼の連敗地獄に陥り、昇格争いから脱落したかに思われたヴェルディですが、京都戦勝利しで連敗を脱出すると、あとは14試合で9勝2敗3分とハイペースで勝点を積み重ね、いつのまにやら4位にまで浮上してきました。死んだふり作戦…なんてことをラモス監督が好きこのんでやるとは思えないので、どちらかといえば「うっかり死にそうになった作戦」と言ったところだと思いますが、もともとJ2屈指の戦力を抱えるチームだけに、追われる側としては京都と並んで厄介なチームが追いすがってきたものです。
 3位のベガルタ仙台とは勝点差にしてわずかに4と射程圏内にとらえているヴェルディとしては当然この試合も勝ってこの日の夜キックオフ予定の仙台にプレッシャーをかけておきたいところでしょう。
 そして札幌はそのヴェルディ相手に連勝中。前回の味スタでも危ないシーンもありながらもソダンのセットプレイ1発で沈めており、相性自体は決して悪くありませんし、ここで再度蹴落としておけば昇格ライン確保が早まりますし、何よりこの試合は厚別でのJリーグ通算100試合目という節目の試合。100試合記念グッズも大々的に売り出す気合の入れようです。まぁその割にはあんまりデザインに気合いが入ってないような気がしないでもないのですが、とにかくこちらとしても負けられないところ。

 でまぁ、試合はその100試合目を飾るにふさわしいかどうかはともかく、ある意味忘れたくても忘れられないインパクトのある試合にはなりました。
 前半はいつもの通り静かな立ち上がり…というか、後半ラスト10分になるまではお互いチャンスは作りながらもあまり決定的なチャンス自体は多くなく、何事もなく終了する空気だったんですけどね。後半34分に札幌がソダンのゴールで先制したと思ったらそこからわずか4分間でフッキに2ゴール喰らって逆転を許し、もうダメかと思ったらロスタイムに謙伍が決めて追いつくという、なんだかネットオークションのラスト10分の攻防を見てるような試合でした。

 全体的な試合展開としては、ボールポゼッションとしては個人のスキルで勝るヴェルディが優勢ではありましたけど、反面組織としては全く機能していないのはいつもの通り。前回の対戦でスタメンだった選手のうち、この試合でもスタメンに名を連ねているのは富澤清太郎、服部年宏、ディエゴ、フッキのわずか4人だけで、まぁケガで出られなかったりした選手もいますけど、相変わらず有り余る戦力を持て余している感じのヴェルディ。まぁそれだけ多くの選択肢を持っているということにもなりますし、以前も書きましたがもともと読売伝統のサッカーは個人技でゴリゴリ押すサッカーではあります。その読売サッカーの代表格だったのが現在ヴェルディの指揮を執るラモス監督ですからそういうサッカーを志向してるんでしょうが、ともあれフッキとディエゴのラインがJ2レベルをはるかに超えていることは間違いないですし、今回はそれにゼルイスまで加わっているのですから、札幌としてはここをいかに抑えるかがカギとなってくるわけです。ただそうは言ってもフッキを抑えようと思って簡単に抑えられるような選手ではありません。なので1点くらいやられるのはもう仕方がないと割り切って対応するしかないでしょうし、実際監督も選手もそんな感じで考えてたと思います。
 そういう意味では、2点与えてしまったのはちょっとまずかったですね。1点目はちょっとリスタートからの流れで気を抜いていたかなぁという感じの失点の仕方でしたし、2点目も確かにフッキのシュートそのものはどんなキーパーでもセーブするのは無理だと思いますが、その前にあの位置でフッキにフリーでボールを持たせてはいけません。流れからすれば1-0で逃げ切っていなければいけない試合でしたから、もったいない思いは多少あるのですけどね。もったいなさで言えば、考え事をしながらカップ焼きそばのお湯を捨てていたらついうっかりめんまで全部出てしまったときの心境です。最近の焼きそば弁当はそんな哀しい思いをさせない構造になっていますけど、昔はよくシンクに広がった焼きそばめんを見て血の涙を流したものです。話がずれましたけど、ただちょっと見方を変えると、ああいった絶体絶命の状況でなんとかするのがエースだとするならば、そのエースとしての役割を充分に果たしたフッキは紛れもなくエースの働きだったと思いますし、絶体絶命のピンチで起死回生の同点ゴールを決めた謙伍も誉めてあげたいですね。

 でも一番すごいと思ったのはソダンの先制ゴールでしょうか。前回の対戦でも同じようにソダンがゴールを決めていて、そのゴールもちょっと届かないかな、というボールをキッチリ枠に飛ばした見事なものでしたが、今回のゴールはそれに輪をかけてさらにすごい。何がすごいって、今回のは相手もを競りに行っているボールを強引に決めたところです。競る前までのソダンはフリーでしたし、多少相手の身体の寄せは甘かったというのもありますが、相手と競るということはフリーの時に比べて身体の自由は制限されますから、その状態でボールを枠に飛ばすのは相当に難しい行為のはず。にもかかわらず、ソダンはそのマーカーがジャンプしたはるか上を行き、なおかつボールを叩きつけたのですから、とんでもないゴールです。さすがに「ネ申」と呼ばれるだけのことはあります。黄金聖闘士で一番強い乙女座のシャカが「もっとも神に近い男」と言われていますが、ソダンの場合はもう既にネ申なのですから、つまりは黄金聖闘士なんて目じゃないということです。
 強烈な個の前には組織的守備も時には無力と化すこともあります。わかりやすい例を挙げれば、連邦の白い悪魔のせいで12機のリックドムが3分持たずに全滅するようなもの。この試合で言えばフッキの2点目のシュートはまさしくそうだったと思いますが、ソダンの先制ゴールにもオナjことが言えるんじゃないでしょうか。正直、アレをやられたら相手チームもどうしようもないと思います。

 ということでこの試合、勝てなかったのは残念ではありますけど、99.9%負け決定みたいな状況を引き分けに持っていったことは、勝点1を得てヴェルディの勝点2を削ったと考えれば決して悪くはない結果だと思います。この先は3位以下との勝点差こそが重要なのですから。

2007年7月30日

データで見るコンサドーレ

 まだ仙台戦の観戦記すら書いていないのですが、ちょっと久しぶりにコラムっぽいコラムを書きたくなったので仙台戦及び鳥栖戦は後回しにして先にこっちを書こうと思います。まぁ月コンの連載も終わって観戦記以外の文章書くこともなくなりましたしね。で、なんでまたいきなり書きたくなったのかと言えば、スポーツナビの斉藤宏則さんのコラムを読んだからです。内容については三浦監督体制下でのコンサドーレの前半戦の戦い方と課題を宏則さんらしくわかりやすい文章で書かれています。で、ここまでの戦術はともかくとして、これからの課題として「今後、札幌でポイントになるのは得点力だろう。」としております。自分も以前似たようなことをここで書いたことですのでやはり守備にある程度のめどが立った以上、この先求められるのは攻撃力ということになると思います。実際上のコラムでも書かれているとおり、前半戦終了時点での札幌のチーム総得点33は、1位ベガルタ仙台(44点)、2位京都サンガFC(43点)、3位アビスパ福岡(40点)、4位東京ヴェルディ1969(39点)、5位湘南ベルマーレ(38点)についで6位。確かに物足りない数字です。上位3チームがいずれも40点を超えていることから、この先の争いを生き残っていくためには攻撃力アップが急務であることは紛れもない事実です。
 しかし、科学は疑うことから始まります。ピンクの象さんが見えていたらその存在を疑わなければいけないし、時には自分の部下も犯人と疑わなければいけないこともあるのです。まぁよく考えれば科学じゃないような気がしますけど、まぁ攻撃力を上げる必要があるのは事実としても、ここであえて「本当に札幌の攻撃力は貧弱なのか」と疑ってみたいと思います。具体的には、「アクションサッカー」を標榜し攻撃型サッカーを展開していた昨年と比べ、今季は言われるほど攻撃力が落ちているのかと思ってちょっと調べてみたのです。

 昨季(2006年シーズン)の前半戦終了時点でのコンサドーレ札幌のチーム総得点がどうだったかというと、39得点でした。今年が33得点ですから、その差は6点とまぁ確かに得点数自体は下がっているのですけど、この去年の39点というのは、ベガルタ仙台の41得点に次いで、柏レイソルと並ぶ2位タイの数字です。もちろん、去年とはリーグのチーム構成も違いますし、どのチームも選手が変わっているのですから単純比較はできません。ただし、前半戦終了時点でのJ2全体の得点数を見ると、2006年が393点、そして今年が389点と、リーグ全体での切った張ったについてはほとんど差がありません。そう考えると、40点超えが3チームもある今年のほうが異常という見方も出来なくもありません。
 で、去年と今年の戦力の一番の大きな違いとして、フッキがいるかいないかが挙げられるでしょう。事実、フッキがいた昨季の39得点の内訳はフッキ11点、砂川と西谷が5点、謙伍とアイカーが4点、池内が3点、カガケンが2点、ソダンと智樹で1点ずつ、魅惑の助っ人オウン・ゴール選手が3度降臨と、やはりフッキの得点が突出しています。そのフッキが抜けたのですから、多少の得点力ダウンは否めないでしょう。ちなみに今季の33得点の内訳は、ダヴィ8点、西谷6点、ソダン5点、征也4点、元気3点、謙伍とカウエが2点、ブルーノ、アイカー、芳賀主将が1点ずつ。フッキがいなくなったのと、途中出場の多くなった砂川の得点が減りましたが、そのぶん征也やソダンの得点が増えていますし、意外とダヴィが頑張っているのもわかります。加えて、攻撃的といわれた昨季でも、1試合で1点も取れなかった「無得点試合」が4試合あったのに対し、今季は3試合とむしろ減っています。
 前半の試合のうち1-0、いわゆるウノゼロの試合が24試合中8試合と3分の1を占めていることからも、爆発的な攻撃力があるわけではないのはわかりますが、それでも割とまんべんなく点が取れているということですし、強力なストライカーがいなくなったということを考えれば、イメージほど得点力ががた落ちしたというわけでもないのではないかと思います。
 まぁだからといってこの数字だけを見て「だから今年の札幌も得点力バツグンなんです!」と言えるほど平和な思考回路は持っていないのですけどね。シュートの数を比べてみると、昨季の350本に対して今季は244本と、まぁ100本以上の差があったりします。つってもそのうち101本はフッキ1人でぶっ放したシュートだったりするんですけど、やぶれかぶれシュートも少なくなかったとはいえ攻撃力という観点からはやはり昨季に比べれば今年は落ちると言えると思います。ただ、決定率については昨季が11.1%、今季は13.5%となっています。まぁ得点を取るのにリスクは多少覚悟でチャンスそのものの数を増やそうというのが去年のサッカーで、攻撃にあまりリスクをかけず、セットプレイなど数少ないチャンスを狙うのが今年のサッカーと、コンセプトそのものが違うので当たり前といえば当たり前なんですが、攻撃力という意味では落ちている反面、決定力は上がっています。ただそのトータルとしての得点力はさほど落ちているわけではない、要するにナムコスターズにしてはよく頑張ってるほうじゃないかと思うわけです。

 まぁそうは言っても攻撃力があるに越したことはないと思いますので、今後は相手をねじ伏せるような攻撃力もできれば身につけて欲しいとは思います。補強も含めてこれからの戦い方に期待したいですね。

2016年2月

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