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2008年2月 アーカイブ

2008年2月 3日

エル・マタドールの憂鬱

 グアムキャンプも2週間が過ぎ、その間韓国Kリーグの仁川ユナイテッド、昨季J1リーグ12位のFC東京とテストマッチを行い、両試合とも1-1というまずまずの成績を挙げています。得点者は仁川戦が岡本、東京戦が石井謙伍と若い選手が結果を残しておりますが、三浦監督にとっては攻守共にまだまだ課題は多いようで、注目のノナトもまだノーゴール。ただ監督はゴールよりも守備面でまだフィットしていないことのほうが気になる模様で、守備練習の際も主力組とサブ組の両方で守備に加わることを命じられた、と報じられています。とはいえウェイトオーバー真っ盛りのノナトがリャンメンで持つはずもなく、当然のようにヘロヘロ。「今までいろいろなチームでやったが、ここまで守備を求められたことはない」とぼやいたそうです。確かに普通FWというのは得点を求められる代わりに守備をすることは免除される場合が多いわけで、ましてやオノレの体力も技術も全てゴールに使うストライカーとして何チームも渡り歩いてきたノナトにとってはアイスクリームに醤油をかけて食べるくらいあり得ないことに思ったかも知れません。
 しかしながら、札幌においては守備もFWの重要なタスク。三浦サッカーがそうだからというよりは、飛び抜けた能力を持つ選手のいない札幌にとって相手を個人の力でねじ伏せるような守備にはあまり期待できませんから、なるべくゴールより遠い位置でボールを奪うことが重要。高い位置でボールを奪うということは相手のゴールにより近い位置で奪うということですから、攻撃面でもメリットはあります。とはいえFWの地点でボールを奪えるようなことは滅多にないので、結局FWの守備に必要なのは、相手に余裕を与えずにパスコースを限定させること。要するにあっさりボランチにパスを通されてそこから展開されるとつらいので、横パスさせてサイドに追い込むか、長いボールを蹴らせてソダンに迎撃させるのが理想的です。だからこそFWの守備は後ろの選手と連動した動きが必要で、いくら守備が重要だからといって闇雲にチェイシングするだけだと後ろの選手は却ってフォローに困りますし、本人も無駄に体力を消耗するだけといいことは何もないわけです。
 まぁそのあたりの「連動した守備」については何もFWに限った話ではなく、通常どんな戦術を採ったとしても守備をする人たちは常にそれを意識しなければならず、三浦サッカーの場合はそのスキームにFWも含まれているというだけの話であり、その辺りが三浦サッカーがシステマチックだといわれるひとつの理由でもあるんですが、この辺はノナトに限らず、本来個人主体のサッカーが好まれる傾向にあるブラジル人にとってはなかなか理解しがたいものなのかも知れません。「インテリジェンスのあるビジュ」というすごいのかすごくないのかよくわからない評価をされ、大学へ通ったりもして語学力も堪能だったカウエも「守備のタスクがあまり理解できていない」とシーズン終盤はスタメンから外れることも多くなり、結果退団となってしまいましたし、17ゴールを挙げて完全移籍を果たしたダヴィにしても、守備面に限ってはまだまだ三浦監督も合格点は与えていないようですからね。そんな感じなので、三浦監督も厳しいことは言いつつも割と長い目で見ていると思います。いずれにしてもノナトの出来が今季の札幌の命運を握っているといっても過言ではないのですけど、札幌史上最高のストライカーと個人的に認定している俺王様ことウィルも、最初に合流したときは体重オーバー、キャンプでも当時の岡田監督にいろいろダメ出しされてましたからね。ノナトは俺王様ほど俺様ではないようですが、ダイエットも守備も頑張ると言っているようですから、まぁ大丈夫じゃないでしょうか。個人的には、そこで「デブでヒゲはダメなのかよ」と言ってもらえればもっと面白かったのですけど。

2008年2月 7日

アルセウ故郷に帰る

 気がつけば折り返し地点も過ぎて終盤に入ったグアムキャンプは、2月6日に大宮アルディージャとのテストマッチを行い、0-2で負けました。大宮は三浦監督の古巣でもありますが、報道などによればMFアルセウが相手にツバを吐きかけたりして1本目にいきなり退場、その後もろくすっぽチャンスも作れずにスコア以上の完敗だったようです。仁川戦でも東京戦でも中盤でいいだけボールを持たれていたという話だけに、三浦監督も「相手はメンバーが(昨季と)変わらず共通意識を持ってプレーしていたが、うちはバラバラ。今のままなら降格は確実(北海道新聞)」とすっかりおかんむり。で、この試合で退場したアルセウとの契約が解除となったという発表が本日ありました。公式サイトのリリースによれば、「本人のプレーに関する考えとチームが望むものとにある溝を埋められないと判断した」との理由で双方合意の上契約解除となったそうですけど、まぁ表向きの理由だというのは明らかでしょうね。柏時代もチームメイトを殴ったりするなど素行的に問題はあったのですけど、その程度であればかつて問題児の見本市だった札幌にとっては別段問題にはなりませんし、そもそもきっかけとして大宮戦での退場が理由でチームから契約解除を申し渡したということでもなく、退団の申し入れもアルセウ側だそうですし。まぁ真相は自分も知る由はないのですけど、いずれにしてもアルセウが退団したという事実は変わりません。というか、今までもレフェリーに「バカ」を連発してそのまま退団したり、「俺はロナウドより上」と言いはなって1試合しか出ないでいなくなったり、ススキノで暴れてひっそりと人が入れ替わったり、「ホームシックなので帰るね」と空港から電話してきてそのまま帰ったり、朝起きたら肩が反対になったのでブラジルに帰ったりと、こうして並べると笑っちゃうほどいろんな理由で退団していった助っ人がいましたけど、いずれもシーズン途中での退団。今回のアルセウはまだシーズンも始まってすらいないどころか、書類上は契約期間が2/1からなので、わずか一週間も持たずに退団という史上最速記録となりました。加えて、ビザの関係で来日が遅れてキックオフイベントにも出席できず、札幌入りして翌日にはグアムに向かったためほとんどのサポーターはまだその姿すら見ていないという、もはや都市伝説レベルです。三上強化部長によれば、「チームの一体感を求める上で、彼のこれ以上の慰留がプラスになるとは思わなかった(日刊スポォツ)」とのことですが、確かに「アルセウなんて選手は最初からいなかった」と思ったほうが何かと楽かもしれませんね。
 とはいえ、J1での実績を持っているのはアルセウだけだったんでちょっともったいないような気もしますが、報道がストライカーのノナトに偏ってたこともありますし、「めんこい」と「おでぶ」というキャラの立った他の2人比べれば、いまいち影が薄かったのも事実。数少ない報道を総合すると「足つって暴れて帰った人」という印象しかないですね。アルセウ退団を受けて新しい選手を早いところ連れてくるのか、それともこのまま焦って補強をせずシーズンに突入してから足りないところを補強するのかはわかりませんが、どのみち外国籍枠を使わずに残留を果たせるほど選手層の厚いチームではないですから、誰か来ることは間違いないでしょうね。この際ククト星人でもフレイムヘイズでも対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースでもいいのであっと驚くような補強を期待したいところですね。

2008年2月13日

グアムキャンプ終了

 3週間のグアムキャンプも2月12日にて終了しました。つつがなく…といいたいところですが、グアムキャンプ中に行われたテストマッチの成績は、5試合で4分1敗と未だ勝利なし。まぁ4引き分けというのは微妙と言えば微妙ではあるものの、この時期のテストマッチは結果が全てではないですからいいとしても、ダヴィとノナトのブラジル人2トップのゴールはなしというのが気がかりです。このままでは単なるノッポさんとゴン太くんになってしまいます(体型的に)ので、そろそろ覚醒してもらいたいところなんですけどね。
 しかしそれ以上に監督にとって誤算だったのは怪我人の続出でしょうか。昨年膝の靱帯を断裂してリハビリ中の大塚はともかくとしても、期待の新人FW宮澤も盲腸でグアムキャンプに不参加。病気はなるときはなりますから、彼が復帰して活躍しても「猛超戦士」なんて呼んじゃダメですよ。腰の手術をした高木も開幕は絶望とただでさえ3人少ない中、アルセウが電光石火の退団してまた1人消え、その他の選手もスポォツ報知によると計21人が別メニュー調整となり、最後まで残ったのはわずか9人。悪魔超人編の正義超人みたいな減りようです。
 チームは14日のオフを挟んで15日から熊本に移動し第二次キャンプとなります。このキャンプでは韓国の水原三星、中国の上海申花、J2ロアッソ熊本、J2サガン鳥栖などとのテストマッチが予定されており、開幕まで3週間あまりという中で仕上げの意味合いの強いキャンプとなると思われます。どれだけ怪我人が復帰してどれだけいい準備が出来るかどうかといったところでしょうか。
 あとは並行してアルセウの代わりとなる助っ人選手が来るかどうか。アルセウみたいに実力は折り紙付きでも気性難、という選手は規律を重んじる三浦監督には合わないということでしょうし、かといって人格者であれば実力は不問というのであればカウエを国に帰す必要もなかったわけで、実力も一流で人間的にも一流な選手なんてよっぽどの変態紳士じゃなければ札幌に来てくれるはずもなく、要するにそう簡単には見つからないに違いないでしょうから、そちらの期待はあまりしないことにしましょう。獲得を急ぐあまりに自称ロナウドよりうまい人みたいなのが来ても困りますしね。とりあえず、16日から熊本に行ってきます。この目で見てからあれこれと。

2008年2月16日

くまもと

 熊本出身の声優といえば釘宮理恵ですが、くまいもとこは東京都出身です。

 というわけで性懲りもなく今年もやってきました熊本県。今年J1を戦うコンサドーレ、グアムでは怪我人が多くあまり思うようなトレーニングが出来なかったという話ですが、果たしてその調子はどうなのか、そして今季加入した新戦力はどんな感じか、いやらしい目で見つめるために羽田から空路で阿蘇くまもと空港へ。強風のため飛行機が遅れて着いたときにはもう11時半を過ぎており、間に合えば行こうと思っていた午前練習の見学はあきらめとりあえず市内へと向かい、荷物だけホテルに置いて昼食を取り、バスまでの時間つぶしとカプチーノをすすりつつ喫茶店でまったりしていると、本日到着した九州在住のゴール裏メイトご一家から連絡が入り、KKウィングまで送ってくれるとのことでご厚意に甘えることに。

 練習場所であるKKウィングのサブグラウンドに到着するとちょうど選手たちも到着したあたりで、自分たちの他にもサポーターたちの姿もちらほらと見かけます。まったく物好きな人もいるものですね(お前が言うな)。
 そして続々と集まってきた選手は、体質改善どころか人種改善までしてしまったのかと思うほど黒い石井謙伍を筆頭に、やはり皆一様に日焼けしています。その中でただ1人だけ雪のように白い選手が。そう、虫垂炎でグアムキャンプには参加していなかった宮澤裕樹です。もともと色白なんでしょうけど、周りがみんな黒いので、まるで病人のように白く見えます。いや、実際病人だったわけですけど。その宮澤はさすがに病後だけあって、画伯と共に別メニュー。軽いウォーキングのみでしたので、少なくとも明日の水原戦の出番はないでしょうね。
 その2人と腰のリハビリ中の高木以外はみな全体練習に復帰したようで、練習はフィールドプレイヤー攻撃組・守備組(からくりサーカスで言えばぶっ殺し組と誘拐組)12人ずつコートの半分半分に別れてボール回しなどの練習から始まりました。12人×12人で24人、ぎーさん含むGK4人を足して28人、別メニュー2人を足して30人、札幌でリハビリ中の大塚塾長を入れれば31人…あれ? 今年32人のはずじゃ? と一瞬思いかけましたが、いや、今年は最初から31人でしたね。ええ。
 で、さすがに両方の組を同時には見切れないので、攻撃組のほうを中心に見てたのですが、その中でも注目のノナトは、最初のほうではさらに4人ずつに別れてのボール回しでダヴィ、岡本ヤス、上里カズゥという組におりました。そのボール回しの練習の中で、ヘディングだけでボールを繋ぐということをしていたのですが、練習開始が16:00と夕方で西日も強かったため、ちょうどモロに太陽が目に入る位置にいたダヴィがヘディングをしようと上を向いた瞬間、

 「まぶしい!」

 …来日2年目でナチュラルに日本語が出るようになったようです。

 まぁそんなめんこいダヴィになごみつつ、ノナトを見ていたのですが、やっぱりうまいです。ボールを蹴る音と蹴ったボールの質が違う。ただ、まだフィットはしてないのかフォーメーション練習などではあまり見せ場はなかったので、まだもう少しかかるかも知れません。というよりは、いかにノナトの得意な形にお膳立てしてやるかが鍵となりそうな気がします。それ以上に乗っていたのは2年目の岡本でしょうかね。周囲のメンバーとの兼ね合いもあるでしょうけど、もしかしたら開幕スタメンも妄想じゃないかもしれません。あとはグアムでは別メニューが続いていたらしい西もまずまずでしたし、ケガ以降苦しんでいたカズゥも、セットプレイの練習ではいいボールをずばずば入れてましたので、こちらもスタメン~ベンチ枠争いに入ってきそうな感じです。
 守備陣は新加入が多くてまだ顔を知らない選手が多く、誰が誰だかまったくわからない感じだったのであまりよく見てません。曽田さんが蹴ったボールが(たぶん)坪内の顔面にモロにヒットするという「ネ申の裁き」を目撃してしまったくらいですね。明日のテストマッチでは背番号がつくので、いろいろいやらしい目で見ようと思います。

 あ、あと練習終了後、選手たちが滞在しているホテルのバスで引き上げていく中、スタッフたちの後片付けも終わったというのにひたすらランニングをしていた三浦監督は、結局バスにもトラックにも乗らずに走ってホテルまで帰っていきました

2008年2月17日

敵は水前寺にあり

 熊本2日目は予定通り水前寺公園競技場にて行われる、韓国Kリーグの強豪水原三星とのテストマッチを見に行きました。水前寺公園は熊本市内からはバスでKKウィングに行くよりも時間がかからず、停留所からは若干歩くものの市電でも行けるみたいです。市電のほうが本数も多いですし、札幌生まれとしては何となく懐かしくなったので、市電で行くことにしました。

 つい東京でのクセで後払いの料金を先に払ってしまうという一見さん丸出しの行動をしてしまいつつ市民体育館前で下車。方向音痴な自分はとりあえず迷う前に地図を確認しようと立ち止まっていたら…なぜか、朝っぱらから絡まれてしまいました。こっちは何もしていませんから絡まれる理由は全くありません。こっちが立ち去ろうとしてもすぐに行く手を阻んで来ます。まだ時間的に余裕はあるとはいえ、ちょっと…というか本気で競技場に行けなくなりそうで困ったので、本意ではありませんしとても卑怯ですが、こっそり撮ったそいつの写真をここで晒します。

nuko.jpg

 足もとにからみつくねこの誘惑を心を鬼にして断ち切り、競技場に着いたのはだいたいキックオフの20分くらい前の9:40。もう既に札幌の選手も水原のメンバーもウォーミングアップをしています。メンバーを見てみると、ブラジル人もおらず若手ばかりなのでどうやら1本目は控えメンバーで行くようです。札幌のメンバーはGK 原、DFに左から岩沼、平岡、柴田、池内、MFが同じく左から大伍、上里、智樹、征也という魅惑の中盤、2トップに謙伍と元気。水原も40番台とかやたら大きい背番号の選手が多かったので、向こうもサブ組中心の模様です。
 最初にチャンスを掴んだのは札幌。カウンターから左サイドに展開し、ポストになった謙伍を追い越した智樹に、謙伍からドンピシャのスルーパスが出て見事にGKと1対1となったのですが、智樹がループシュートを狙って上に外してしまいゴールならず。まずまず幸先のいい感じでチャンスを作りましたが、そのしばらくあとに競り合いで相手にヘディングを喰らってしまった智樹が大事をとって交代。魅惑の中盤はわずか10分ほどで終了。代わりに入ってきたのが横野で、大伍がボランチにシフトとこれはこれで魅惑ではあるのですが、右利きでそもそもFWの横野が左サイドでまごまごしてるような感じで、そうこうしているうちにサイドから崩されグラウンダーのミドルシュートが決まり0-1。その後、ようやく右サイドの征也を使えるようになってきて攻撃できるようになってきましたが、元気がGKとの1対1を見事にGKに当てて決められず。1本目終了間際にラフプレイで相手DFが1人退場となったものの、数的優位を生かせず0-1のまま1本目終了となります。
 2本目も多少のメンバー交代があったものの引き続きサブメンバー。おそらくはレギュラー組とのリャンメンで出るであろう征也がoutして西谷が左サイドに入り、左に入っていた横野が右にシフト。DFも平岡が下がってほっちゃんこと堀田が入りますが、これでちょっと守備陣が落ち着かなくなります。11人に戻った相手に攻め込まれるシーンが増え、ペナルティエリア近くの危ない位置でファウルをしてFKを与えると、そのFKは防いだもののそこからのプレイで中途半端なクリアしか出来ず、相手に拾われてうまく抜け出したFWに決められ0-2。札幌は相手との競り合いで岩沼が負傷退場し、池内が左に回って堀田が右、再び平岡と柴田のCBとなりますが、守備ラインはバタバタしたまま。攻撃もたまにいい展開を見せることがあるものの単発で終わり、1点も取れずに0-2で2本目が終了しました。
 サブ組の全体的な印象としては、このメンツの中では池内がいろんな意味で存在感があり、守備もそうですが、なかなか思うように攻められないチームに活を入れるかのように、攻めているときで、なぜかペナルティエリア近くでドリブル突破を試みてファウルをもらったりと、気がつけばそこに池内という感じでしたけど、その池内と西谷を除く若手レギュラー組を脅かしそうな存在は、現時点ではいない感じ。ルーキーたちも本職ではないポジションでの起用だった横野と、緊急で右サイドバックに入った堀田は評価を保留するにしても、ちょっとアッピールポイントは少なかったかなという気がします。大卒ルーキーの柴田は90分通しで出ましたが、左足が苦手のようで右足にいちいち持ち替えて蹴るのはDFとしてはちょっとよろしくないのではないかと思いました。

 レギュラー組の出場した3本目からはまた改めて書きます。

2008年2月19日

敵は水前寺にあり・その2

 前回の続き、レギュラー組が登場した3本目と4本目についてです。

 3本目のメンバーはGK優也、DF左からつぼちん、ソダン、ミツ、容臺、MF左から西谷、芳賀、マーカス、スナマコ、2トップがダヴィとノナトというメンツ。J1でも戦力は最低クラスとは言え、それでもさすがにサブ組とは迫力が違います。水原は3バックのようですが、割と高めのラインの裏を突こうという意志は見えるものの、ノナトがオフサイドに引っかかることが多く、逆に開始早々に相手CKからのクリアミスを決められいきなり1点のビハインドとなります。とはいえソダンとミツのCBについては、ソダンの空中戦は昨季Kリーグ2位の水原のレギュラークラスを相手にしても決して見劣りはしませんし、ミツもさすがに(札幌にしては)大枚をはたいて買っただけあって対人にしろカバーリングにしろ空中戦にしろさほどの欠点は見られず、おそらくはこの2人が中心となるだろうという感じで、少なくともブルーノが抜けた穴を感じることはありませんでした。まぁところどころスペクタクルが出るのはお約束ですけど。なんだかんだでブルーノもけっこうスペクタクルでしたし。とはいえ、サブ組もそうでしたがグアムキャンプでDF陣の別メニューが多かったこともあるのか、連携面ではまだ多少の不安が残ります。
 試合は全体として荒れ気味で、ノナトが相手を押したのをきっかけに乱闘になりかけたり、ダヴィもかなりいれこんでイライラしている感じで、なかなか思うように行っていないことを伺わせます。そのダヴィとノナトの2トップは、のっぽとふとっちょという対照的な外見とは裏腹に、プレイスタイルはあまり変わらないのか、ノナトもダヴィ同様自分からボールを持って仕掛ける「アタッカー」というよりは、周りのお膳立てをゴールにねじ込む「フィニッシャー」というような感じで、球離れはいい反面強引さはあまりなく、オールラウンダーで俺様だった俺王様とは体型以外の共通点はなさそうです。まぁあまりボールが回ってこず気の毒な面もありましたが、気になったのがボールに対して同じ動きをしてしまう、要するに「かぶる」ことが多かったこと。攻撃でまったく同じ動きを求められるのは第7使徒を倒す時くらいだと思うのですが、これじゃ相手は崩せません。その後も何度か攻め込む機会はあるものの、フィニッシュまで持っていくことが出来ずに決められない中、逆に3本目終了間際に左サイドからのクロスを決められて0-2となり3本目を終了しました。
 ここまで0-4といいところなしの試合となれば、あとはもうここまでのテストマッチで2得点を挙げている岡本賢明に期待するしかないわけで、地元熊本出身とあってご家族やルーテル学院サッカー部の後輩たちも見に来ていましたが、4本目の頭から出てくるかと思いきや、交代出場したのは吉弘に替わって入った西嶋と西谷に替わって入った征也の2人のみ。坪内がCBに入り西嶋が左サイドバック、スナマコが左サイドに回って征也が右サイドというフォーメーションで、サブ組でも出場した征也を再び使うということは、岡本の出番はなさそう。前日の練習でもフルメニューをこなしていましたし、控え選手のアップも普通にしてましたので怪我や病気などではなさそうでしたが…(後日談として、脚に張りを訴えて大事を取ったとのこと)。いずれにしても熊本キャンプ最大の注目点を見ることが出来ずしょんぼりなオレ。
 で、試合のほうは3本目とあまり変わらず。失点こそなかったものの、多分に相手のシュートミスなどに助けられている感があり、横パスをカットされたりなどの危ないパスミスが随所に見られたり、相手の9番(ブラジル人)に翻弄されて崩されたりと、むしろピンチは3本目よりも多かったと思います。
 そのぶん(と言っていいかどうかはわかりませんが)決定的なチャンスがないわけでもなかったのですが、4本目終了間際のダヴィのシュートが相手GKにはじかれたところを詰めてきたマーカスが放ったシュートがゴールライン上で相手DFにクリアされるなど、「なんでこれが入らないのかなぁ」というシーンもあり、ツイてない日でもあったんでしょうね。その流れを作ったのはおそらく1本目開始早々の決定的チャンスでに盛大にぶっぱずした智樹ではないかと思いますが。まぁ、相手のGKもうまかったのですけどね。多分あれが韓国代表(を招集停止されている)GK李雲在なんでしょうね。試合中ウィンドブレーカー着てたので背番号がわからなかったのですけど。
 で、トータルして「去年とどこが変わったか?」といわれれば、良くも悪くも去年とあまり変わっていないですね。去年も勝っていたとはいえ内容的に相手を上回った試合はさほど多くはありませんでしたし、そう考えると劣化はしていないものの現状で大きな進化も見られない、という感じでしょうか。ただ、いろいろ去年と違うことをやろうというのは何となく見えたような気がします。具体的にはサイドチェンジの多用、高いラインの維持、ボランチの飛び出しなどですが、いかんせん今のところはそれが裏目に出ることも多く、連携の熟成も含めてまだ少し時間はかかりそうな印象です。個人技で点を取れる選手がいないこともあって、やっぱり今年もセットプレイが鍵を握りそうですね。後ろ向きの意味で。

 とはいえ、翌日の練習も終始和やかな雰囲気で行われており、チームの雰囲気自体は悪くありませんでしたから、その当たりは救いでしょうか。熊本キャンプも始まったばかりで、開幕までトレーニングとテストマッチを繰り返す中で戦術の熟成を指定ってもらえればいいと思います。水原戦に欠場した岡本もフルメニューをこなして終了後も松井さんとマンツーマンで基礎トレーニングを長い時間行っていたところを見ると、大した怪我ではない模様です。もっとも、終了後の「松井さんプレス」による別な怪我をしていなければの話ですが。
 あと、その自主練習でのフリーキック練習を見ている限りでは、今年の直接フリーキックは征也に蹴らせてみたら面白いのではないかと思いました。

2008年2月25日

押してダメなら引いてみな

 熊本キャンプで水原三星とのテストマッチを行ってからその後、チームはA3チャンピオン上海申花(中国)、サガン鳥栖(J2)とのテストマッチを行っています。それぞれサブ組、レギュラー組で45本2本ずつ(要するに2試合ぶん)を行い、このうち上海申花とはサブ組が2-2でレギュラー組0-0、サガン鳥栖戦ではサブ組、レギュラー組とも0-1という結果になっています。
 これでここまで行ってきたテストマッチの結果は、8試合で5分3敗と未だに勝利なし。期待のノナト・ダヴィのブラジル人2トップも未だノーゴールとあまりうまく行っていないことが伺えます。2006年、フッキや大塚らを補強し、国内外の強豪相手を含む相手とのテストマッチでもいい結果を挙げるなど、万端の準備でレギュラーシーズンに臨んだはずの札幌が6位に沈み、優勝したのは開幕前は散々だった横浜FCだった(監督は変わりましたが)ことからも、開幕前のテストマッチの結果はあまりあてにはならないものではありますし、フッキもポテンシャルはものすごいことはわかりましたが欠点も多い、いわば能力限定された状態ながらもシーズンが終わってみれば得点ランキング2位で、ダヴィも以前も書きましたがシーズン前に見た時は「こりゃダメかも」という感じだったのに終わってみれば17ゴール。まぁシーズン前にはダメだったけどふたを開けてみたらやっぱりダメでしたという選手も枚挙にいとまがないのすけど、この時期のブラジル人選手の出来もあまり当てにならないのも事実。フッキほどの化け物臭はしないものの、ノナトも基本的な技術(ボールを止める、蹴る)はチームで一番うまいと思います。サッカーバレーなんかでもほとんどミスしてないですしね。
 しかしそうは言っても、もうそろそろ目に見える結果が欲しいと思うのもまたサポーター心理。点が取れないのはもちろんFWだけの責任ではありませんし、ただでさえ最有力降格候補の札幌がKリーグ2位やA3王者などを向こうに連戦連勝だったらそれはそれで不安になると思うのですけど、さすがにここまで勝てないと心配も募ります。おそらく監督や選手たちも少なからぬ焦りはあるのでしょうが、曲がりなりにも昨季低い下馬評を覆して優勝を勝ち取ったことを忘れて欲しくはないと思います。我々サポーターはもちろんのこと、選手たちにとっても、48試合という長丁場を戦い抜く中で得てきたものは決して小さくも軽くもないはず。焦りは禁物、こういう時こそ笑いながらハミングですよ。サミングはまずいですけどね。目とかが。

 で、そんな重苦しい空気を吹き飛ばそうというのか、日刊スポォツに書いてあったのが「熊本合宿中のコンサドーレ札幌の宿舎に、アントキの猪木、なかやまきんに君らタレントを招き、選手らの前で"電撃ライブ"を行う構想」だそうです。なんでも、「選手に笑いの中からファイティングスピリットを高めてもらう」目的で、先に挙げた2人のほか、「ふんどし姿で有名なたむらけんじ、水着一丁の小島よしおら、生身を前面に押し出し"闘う"芸人の中から絞り込んでいく」とのこと。本気かどうかはわからない…というかまぁ高い確率で単なるネタだと思いますが、選手や監督以下スタッフたちも1月の下旬からもう1ヶ月以上札幌を離れ、家族や親しい友人とも思うように会えない状況で、練習場と宿舎を往復するだけの毎日、それが仕事とはいえいい加減気が滅入ってくるでしょう。何か気晴らしみたいなのが欲しいのもまた事実だと思いますので、芸人を呼んでなんかやってもらうというのもありといえばありでしょう。
 つーか、そんなアントキやらきんに君やらたむけんやらオッパッピーみたいな中途半端な芸人なんて呼ばずとも、熊本出身で有名なタレントなんていくらでもいるじゃないですか。というよりか、熊本で肉体派でどうしてエスパー伊東の名前が出ないのか、発案したというチーム関係者も日刊の記者もまったくもって勉強不足と言わざるを得ません。
 あとはそうですね。熊本関係で思いつくウンナンのウッチャンとか元海砂利水魚あたりは大物過ぎるので無理としても、たとえばコロッケを呼ぶと見せかけて姉のケロッケを呼んでみるとか、井出らっきょを呼んで観客も全員全裸になってみるとか、あるいはせっかくだからヒロシを呼んで、

 「コンサです。助っ人が1週間で帰ったとです」

 とか、

 「コンサです。残った助っ人あまりも助けてくれません」

 などと徹底的に自虐してもらうとかはいかがでしょうか。まぁほとんどの芸人さんの住まいはもう熊本ではないと思いますけど、里帰りを兼ねて呼んでみたら面白いかも知れませんよ。

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