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2008年3月 アーカイブ

2008年3月 3日

形の上では2連勝

 熊本でのキャンプも終盤にさしかかり、開幕まで10日あまりを残すところとなった27日には、福岡のレベルファイブスタジアムにてアビスパ福岡と福岡大学とのテストマッチを行いました。試合は45分を4本という形式で行われ、1本目から3本目まではアビスパ、4本目が福岡大との対戦となりました。結果は福岡との試合がそれぞれのセットの得点は1本目が0-1、2本目はノナトのゴールで1-0、3本目は大伍と上里のゴールで2-1と合計3-2、福岡大学との試合が45分で1-1(札幌の得点者は智樹)。ということで、テストマッチ9試合目にしてようやっと初勝利を挙げることが出来ました。
 ただし勝ったことは勝ったとはいえ、通常こういったテストマッチではレギュラー組対レギュラー組、サブ組対サブ組という組み合わせになるのが通例ですが、今回の試合では1~2本目では札幌のレギュラー組対福岡のサブ組、3本目が札幌のサブ組対福岡のレギュラー組という組み合わせでした。つまり、福岡のサブ組を相手にしたレギュラー組は1-1の引き分けで、ノナトもゴールもPKによるもの。それでいて福岡のレギュラー組を相手にしたサブ組は2-1で勝ったという微妙な結果です。現地まで見に行った人の話では、自分が水原三星戦で見た時とほぼ同じような感じだったようなので、問題点、たとえばノナトとダヴィがかぶりまくる、中盤でパスミスが多くボールを繋げない、ラインを高く設定したいのはわかるが裏への対処がおぼつかない、はぐれメタルが仲間にならない、FC版ポートピアの地下ダンジョンから出られない…などなどはあまり改善されてはいない模様。お互いにレギュラー組対サブ組という対戦方式にしたのは、おそらくは連携面や動きの確認のためや、もしかしたらある程度の実力差を考慮して自信をつけさせるという狙いがあったのかもしれませんが、もしそうなのであれば結果としては逆効果でしたね。オマケにノナトはケガをするし、踏んだり蹴ったりとはこのことです。

 福岡大との対戦もサブ組の対戦でしたが、札幌は10人で行ったようです。レベル差を考慮して大学生チームなどとテストマッチを行う場合にこれまでもよくやっているやり方ですが、福岡大は大学生とはいえ鹿島アントラーズの田代有三や浦和レッドダイヤモンズの坪井慶介、アビスパ福岡の黒部光昭ら多くの代表選手を輩出した強豪チーム。去年は余りパッとした成績を残していないようですが、少なくとも普段対戦している道都大や札大よりも実力は上でしょう。こちらは高校を卒業したばかりのルーキーを含む若手選手ばかりの10人ですから、こんなものでしょうか。まぁ「こんなもの」で済ませちゃあいけないんですけどね。

 で、3月2日に行われた開幕前最後の実戦となる、ロアッソ熊本とのPSMは2-1で勝利。今季から新しくJリーグに参入し、J2を戦う熊本に対してJ1の貫禄を見せつけた…と言いたいところですが、見せつけるどころかそのJリーグ初陣の熊本に景気よく先制を許す何ともな展開で、前半30分に砂川のゴールで追いついたあとは沈黙、後半ロスタイムの元気のゴールでようやっと逆転したという感じの試合だったようです。まぁ実際問題、ノナトが福岡戦での負傷のため欠場、ソダンも持病の腰痛が思わしくなく欠場となり、守護神高木もまだ試合に出られる状態ではなく、結局優也、平岡、ミツ、つぼちん、西嶋、スナマコ、芳賀、容臺、大伍、元気、ダヴィというスタメン。帰ったアルセウを含めて数人引いたら高純度なJ2メンバーのできあがりなわけですから、そりゃあJ2に苦戦もするだろってもんです。つーか、福岡にも苦戦して鳥栖にもさっくり負けてますからね。なんというか、今更ながらこのメンバーでJ1を戦わないといけないんですから、やっぱり大変なシーズンになりそうですね。折しも、ゼロックススーパーカップであんなことになってしまい、どうやら鹿島は大岩と岩政のCB2枚が開幕戦出場停止のようですけど、それでもなお戦力差にはずいぶんな開きがありますし、却って八つ当たりされそうな気がするわけですが、あーだこーだ言っても始まりませんし、このメンバーでやっていくしかないんですから(クライトンが来るような話も出てますけど)、こちらも腹をくくって応援していくしかありませんね。

2008年3月 5日

一筋の光明

 気がつけば開幕まであと3日。チームは現在北海道に戻り、開幕戦となる鹿島アントラーズとのアウェイゲームに向けて調整を続けています。当初の予定では3月8日の鹿島戦まで熊本で過ごし、鹿嶋へは熊本から直接乗り込む予定でしたが、「選手のストレスが限界にきている」という判断で急遽3月2日のロアッソ熊本戦を最後に熊本を脱出してきました。日本代表の岡田武史監督も、かつて札幌を率いていた頃の苦労話として長期キャンプを余儀なくされることを挙げていまして、曰く「長いこと同じメンバーで合宿をやっていると、だんだんおかしくなってきてわけの分からないことを言い出したりするのが出てくる」とのことですが、実際同じツラつきあわせて毎日毎日サッカーサッカーってのも、いくらそれが仕事とはいえ、というかむしろ仕事だからこそストレスも溜まるでしょうね。
 しかも札幌の宿舎はKKウィングから走って帰れるくらいの近い場所だったのですが、KKウィングそのものが熊本市街からかなり離れておりますゆえ、つまりは息抜きにちょっと街まで、ということもできません。まぁ毎日毎日「俺にだってつきあいはあるんだよぉ」なんて言いつつ夜の街に繰り出されても困るわけなんですが、オフの前日くらいしか外出もできず、そのオフも滅多にないと来れば、実質マグロ漁船に乗ってるようなもんですよね。自分だったら精神崩壊するかもしれません。アニメ見れなくて。熊本じゃハヤテもやってないし。
 というわけでチームは既に札幌に戻ってきているのですが、3月始めの札幌なんてまだ雪ばっかりです。融雪設備を持つ宮の沢のグラウンドですらどうにもならないほどですから、比較的雪の少ない苫小牧まで練習場所を求めて出張している状況です。札幌~苫小牧間の距離はKKウィングと熊本中心部よりもあると思いますが、それでも自分の家から通うのは全く違うんでしょうね。

 そんな感じで何かと裏目に出がちであんまり順調とは言えない我らがコンサドーレ札幌なわけですが、そもそもケチのつき始めは補強の目玉と目された助っ人ボランチがいきなりいなくなったことでしょう。「守備力を落とさずに攻撃力を上げる」という相反する命題を解決するために、「ガッツリ守れてつなぎもできるセントラルMF」はどうしても必要な人材でした。かといってそんなハイレベルな選手を出すようなチームがあるはずもなく、そうすると助っ人に頼るほかないのですが、かといってハイレベルな選手は助っ人だって高いわけで、結局「能力あるけどクセもあるのでお買い得」という選手くらいしか札幌は獲れないのです。で、今回は気性難には目をつぶって能力と日本での実績を持つ選手を獲ってみたはいいけど、まさか「おらこんなチームイヤだ」と言ってすぐ帰ってしまったのです。
 もともと替えの効かないポジションだっただけに、根本から戦い方を見直すことを余儀なくされ、それが少なからずテストマッチの不調に響いていたと思いますが、開幕直前になってようやくそこに当てはまるピースを手に入れることができました。アトレチコ・パラナエンセからクライトン選手の獲得が発表されています。
 クライトンは守備的なMFで、2004年途中から2005年の1シーズン半名古屋グランパスエイトでプレイし、リーグ戦44試合に出場して7ゴールと日本サッカーへの適性と実績は申し分ありません。キープ力・守備力に優れ長い距離のパスも得意とまさにうってつけの人材で、そうなるとこの貧乏クラブを長いこと応援してきたものとしては「なんか裏があるんじゃねぇか」と勘ぐったりもして、まぁやっぱり当然のようにネックだったのは金銭面だったらしいのですけど、クライトン自身が日本でのプレイを望んだことと、アルセウ側からふんだくった違約金も突っ込んだことで合意に至った模様です。
 ブラジルではその特徴的な風貌から「プレデター」と呼ばれていたようです。「マタドール」ノナト、「カバーロ」ダヴィにプレデターが加わることになりました。まぁ闘牛士と馬と人狩り異星人では何がなにやらという感じではありますが、そんなクライトンも合流したばかりで、いくら能力の高い選手とはいえ、川三番地と七三太朗くらいの熟成したコンビを築くにはそれなりの時間が必要なのも事実。ただ、とにもかくにも一番必要だったポジションに適した選手が加わることになったのは、不安材料ばかりのシーズンに向けて少なからぬ巧妙となったのもまた事実でしょう。コンサドーレの救世主となれるでしょうか。

2008年3月 9日

鹿島は強かった

2008年Jリーグディビジョン1第1節
鹿島アントラーズ 4-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いません
     鹿島/新井場×2、マルキーニョス、佐々木

 今日はこのくらいで勘弁してやる。

 6年ぶりにJ1の部隊に戻ってきたコンサドーレ札幌は、鹿島アントラーズとのアウェイゲームで開幕を迎えました。
相手はゼロックススーパーカップで大岩、岩政が退場し、この試合は2人とも出場停止。レギュラーCBを2枚が丸ごといないのはこちらにとっては有利…と思ってしまいがちですが、とはいえそれ以外は純然たるJ1王者仕様の鹿島とのアウェイ戦に臨むにあたり、札幌は新助っ人のノナトと天空の覇者・ソダン、左サイドでチャンスメイクのできる西谷、そして守護神高木が怪我で欠場、合流したばかりのクライトンもさすがにサブメンバーで、スタメンはGK優也、DFは西嶋、坪内、平岡、容臺、MF砂川、芳賀、マーカス、大伍、FWにダヴィと元気と、J2王者仕様にすら程遠い構成。鹿島でいえばマルキーニョスと岩政と曽ヶ端と本山がおらず、つい数日前に小笠原が帰ってきましたという状況でミランあたりと戦うようなもの、と考えていただければわかりやすいでしょうか。しかも件のゼロックススーパーカップでの判定が、その正誤はともかく鹿島に着けなくてもいい火を着けたであろうことは間違いなく、ホームでの開幕戦で手を抜いてくる可能性は万に一つもなくなってしまいました。いわば「母ちゃんに怒られたジャイアンが腹いせにのび太を殴る」図式そのまんまです。本物ののび太であればドラえもんが助けてくれたりもしますけど、残念なことに今の札幌にはドラえもんはいません。ドラえもんみたいな体型の選手ならいなくもないですけど、どっちにしろ怪我してますしね。
 そんなわけですから、結果の0-4というのもまぁ予想の範囲内ではありました。まぁロスタイムのセルフジャッジによる失点はいただけないですけど、実際問題、今季のコンサドーレの目標はJ1残留であり、つまりそれは15位になれば及第点なわけで、強豪チームから勝点を獲ることを求めているわけではありません。勝負に100%はない以上、どこが相手だってそりゃあ勝ちたいですし、勝点が獲れればそれに越したことはありませんが、それよりもこの試合は「自分たちの立ち位置を確認する」ことが目的だったと思います。J1王者相手にどこが通用してどこが通用しないか、結果よりも内容を冷静に判断する必要があると思います。

 で、結果から言えば、大敗の中にもそれなりの収穫はあったように思います。一つは、前半はキャンプから取り組んできた「ラインを上げる」守備がある程度通用したこと、そしてスカウティングの有効性でしょうか。最終的には地力の差で押しつぶされはしましたけど、曲がりなりにも前半を0-0で終えることができたのは、たとえ鹿島が様子見モードだったことが関係してるにせよ、どうしようもないほどつけいるスキもなかったわけでもない、と言えるのではないかと思います。課題だった「上げたラインの裏のケア」についても、少なくとも前半は大きな破綻は見られませんでした。最初の小笠原のPKを優也が止めたのもスカウティングのおかけだそうで。あと個人レベルで言えば、その優也もこれといったミスは見られなかったですし、既にJ1での実績のあるクライトンは別としても、ダヴィがJ1でもそこそこはやれそうということがわかったのは収穫でしょうか。鹿島の守備陣が「…何がなんだかわからない…」というような感じで対応していましたけど、上手いのか下手なのか、速いのか遅いのか、強いのか弱いのかなんて、1年間見てきたサポーターにすら「めんこい」以外はよくわからないのですから、初めてマッチアップした相手の選手にわかるはずもないでしょうね。もっとも、そんなダヴィも1点獲られたあとは気ばっかり焦ってあまり有効なプレイができていなかったのも事実ですが。なんとかしようというのはいいのですけど、ああいう入れ込んだダヴィは得てして結果を残せないですよね。ブリンカーでも着けるのがいいのでしょうか。
 もちろんそれ以上にキャンプから修正されていないままの課題も多かったのもまた事実なんですけどね。パスミスが多いこと、中盤でのタメがさっぱりくんなのはキャンプと変わってませんでした。中盤にクライトンが入ればある程度は何とかなるかも知れませんけど、西、征也、岡本といった若手がほとんど何もさせてもらえなかったことも含めて攻撃面での課題でしょうかね。まぁ彼らについてはあまり心配はしていませんけど、残念だったのが大伍の小悪魔スマイルが新井場には効かなかったあたり、新井場くんの趣味は一般の人とは違うのかも知れませんね。
 守備面でも、坪内も平岡もラインキープはともかく対人の弱さは相手が鹿島の攻撃陣ということを割り引いたとしても軽いプレイもけっこう目に付きましたし、マーカスも攻撃にはさっぱり期待はしてませんが守備ではもう少し身体を張れてたはずなんですけど。水原戦では名前同様にやたらと長い足でガツガツ止めてましたし…。キャンプでのテストマッチで少し自信を失ってるのかも知れません。

 いずれにしても札幌がこの先求められるのは、J1上位が予想されるチームにやられてしまうのはまぁ仕方がないとしても、残留争いのライバルと目されるチームとの対戦でいかに勝点を獲れるか、または勝点を与えないかということになるでしょう。そのために課題は課題としてしっかり修正させていってもらうとして、ただ単に「0-4でひねり潰されました」で終わらせるのではなく、鹿島にやれることは他のJ1チームにだってやれると言えますし、鹿島にやられたことを修正していけば少なくとも鹿島より力の劣るチーム相手にやられることは減るでしょう(まぁ鹿島クラスのチームもいっぱいあるわけですが)。あとはせっかく景気よく負けたんですから、他のチームに「やっぱり札幌は安牌だな!」などと思わせるべく「いじめてくん」的な雰囲気を醸し出して相手を爆発に巻き込むのがモアベターかと思います。

2008年3月18日

まぁいいや

2008年Jリーグディビジョン1第2節
コンサドーレ札幌 1-2 横浜F・マリノス
得点者:札幌/馬
     横浜M/大島×2

開幕戦で鹿島アントラーズにアウェイで大敗を喫したコンサドーレは、ホーム開幕戦を迎えました。6年ぶりのJ1の舞台となった札幌ドームで、ホームのサポーターに初勝利をプレゼントしたい札幌ですが、相手はこれまた強豪チームの横浜F・マリノス。かつて地元出身の中心選手としてその期待を一身に背負い札幌でプレイしていた、今では日本代表の10番をつけるまでになった山瀬功治を始めとして、中澤佑二ら代表の中心選手を抱え、前節はやはり優勝候補の一角である浦和レッズに競り勝ったチームが相手。Jリーグでもトップクラスの高さを誇る中澤を擁するマリノスを向こうに回して、唯一その中澤を空中で撃墜できる可能性を持つソダンは腰の痛みを抱えて開幕戦に引き続き欠場、西谷とノナトもまだケガが癒えず、守護神高木も間に合わずと相変わらず苦しい状況です。

 そうでなくてもJ1最下層の戦力に過ぎない上に、怪我人が続出したり助っ人がハヤテのごとく去っていったりなどでチーム作りが遅れた状態でJリーグ王者を相手にしなければいけなかったとはいえ、開幕戦では45分で決壊したディフェンスとろくすっぽチャンスも作れずじまいだったオフェンスに対して、さすがに三浦監督もテコ入れを行ってきました。まず守備については新井場や野沢に蹂躙され続けた右サイドに、開幕戦ではセンターバックでの出場だった坪内を入れ、空いたセンターバックには開幕戦はベンチだった吉弘を入れました。攻撃面ではボランチで使ってくるかと思われたクライトンをFWに入れてダヴィとの2トップとし、両サイドも開幕戦で左サイドでスタメン出場した砂川を外して右サイドで出場した大伍を左に入れ、右サイドに藤田征也を入れてきました。

 未だチーム作りに試行錯誤をせざるを得ない中、鬼が出るか蛇が出るかといった感じのスタメン編成。戦術にブレはそれほどないため、あとはその中で(強いチームを相手に)誰がどれくらい出来るのか、ということになるのかと思いますが…それはともかくとしてキックオフのボールを何の考えも無しにどかん前に蹴って相手に渡すのは可能であれば遠慮していただきたいんですがどうなんですかその辺。ただでさえマイボールに出来ることが少ないのに、その数少ないマイボールを簡単に相手に渡してしまうなんて、札幌の選手はもっとボールを大切にするべきだと思います。翼くんも言ってるじゃないですか。「失って初めてわかる、ボールは長い友達」だと。
 そんなわけでやっぱり試合は開始からマリノスペース。鹿島戦と同じようにマリノスの細かく速いボール廻しに守備は後追いを余儀なくされ、あちこちにほころびが生まれます。11分、坂田にスルーパスからラインの裏に抜け出され、飛び出してきた優也までも交わされて無人のゴールへシュートを打たれてしまいます。万事休すかと思われた刹那、スライディングで飛び込んできた吉弘が顔面でクリア。石崎くんもかくやというような吉弘のプレイで息を吹き返したか、20分過ぎから札幌がペースをつかみ始めます。21分には大伍が中に切れ込んで打ったシュートが詰めていた征也に渡り、征也がダイレクトで打った当たり損ねのシュートをクライトンが押し込みます。これはオフサイドで得点は認められませんでしたが、鹿島戦では揺れまくりだった味方のゴールネットに対してついぞ揺れることのなかった相手のゴールネットが揺れたことで、ある程度の自信が付いたのかもしれません。その後もクライトンを中心に何度かチャンスを作り出し、43分にはダヴィがうさんくさいPKをゲットして絶好の先制機を得ますが、このPKでクライトンがクロスバーにぶち当ててゴールならず。ダヴィが蹴って失敗するならわかりますが、クライトンまでが失敗するとは思いませんでしたね。やっぱりプレデターだけに温度変化のない無機物は見えなかったんでしょうか。
 というわけで絶好のチャンスをフイにしてしまった札幌。鹿島戦では後半から一気に崩れてしまったこともあり、前半のうちにリードできなかったのはかなり痛いかと思われましたが、意外にも先制したのは札幌でした。後半7分、左サイドでボールを持ったクライトンが右足アウトサイドでクロスを入れると、そこへ走り込んできたのは、前半は対面の小宮山への対応に追われてなかなかボールに絡めなかった征也でした。相手のマークを受けながらも征也が胸でボールを落とすと、待ちかまえていたダヴィがボレーでの必殺ひづめシュートをお見舞いします。不得手な右足で打ったため、大げさな前振りにしてはボッテボテなシュートだったのが幸いし、キーパー榎本も一歩も動けずマリノスゴールに突き刺さり、待望の先制ゴールが生まれました。
 さて、先制したはいいものの、試合はアディショナルタイムを含めればまだゆうに40分以上は残されているという時間帯です。J1相手に無失点で抑えることの難しさは開幕戦で身に染みていますから、可能であれば2点目を取りにいくことが求められるわけですが、点を取りに行って点が取れるようなチームであればそもそも苦労はしないわけで、格下相手に流れの中で失点をして尻に火が付いたマリノスに対して防戦一方となってしまいます。三浦監督も岡本を投入したり砂川を投入したりとなんとか反撃の手を打ちますが、カウンターをお見舞いしようにもボールを奪う位置が低い上にクリアが精一杯の状態だったので、なかなかボールを前に運べません。
 一番痛かったのはダヴィを交代させざるを得なかったことでしょうか。もともとかぜっぴきで頭痛を抱えていたそうですが、39分に元気と交代。既に守りきることを考えるべき時間帯でしたから交代策としては間違いではないのですが、マリノスとしてはクライトンの次にイヤだった相手がいなくなったことで、ほぼ後ろを気にせず攻めることができるようになりましたからね。結果、40分にCKからどフリーの大島に決められると、そのわずか1分後に山瀬のシュートを優也がはじいたこぼれ球を再び大島に押し込まれてあっという間に逆転されてしまうともはや札幌に反撃の体力は残されておらず、結局そのまま1-2で敗戦となってしまいました。

 というわけで、手に仕掛けていた初勝利をわずか2分で逃してしまった格好ですが、それなりに手応えを得られた試合だったように思います。とはいえ、最初のCKからの失点は余計でしたね。飛び出してボールに触れなかった優也と、大島を捕まえきれなかったマーカー、2つミスが重なればJ1ではほぼ確実に失点してしまうわけで、せめて引き分けにはおさめたかっただけに残念な失点だったと思いますが…。まぁ優也はあれが普通ですし。
 目に付いたところでは、まずは鹿島戦ではほとんど何もさせてもらえなかった大伍がずいぶんとボールに絡めていたこと。まぁもう少し粘ってほしいところもありましたし、一発チョロパスをカットされてピンチを招くプレイもありましたが、少なくともこの先の可能性は感じられました。同じようびっくりどっきりパスは大塚さんもやってますし
 あとは移籍後初スタメンの吉弘も総じて危なげのないプレイをしておりました。開幕戦でスタメンから外れた理由は戦術理解度によるものみたいな報道がありましたが、少なくとも能力的にはJ1でも十分やっていけるレベルにはあることを証明したと思います。主にネタ方面でもがっちりサポーターのハートをキャッチと、ソダンとのコンビは別の意味で新しい世界を見せてくれるかもしれません。
 対照的に平岡は…どんなもんでしょうね。カバーリングは確かにうまいのですが対人や高さ面ではやや弱く、一番の売りのはずのスピード面も坂田に簡単に振り切られてましたし…まぁ坂田のスピードも相当なものですから相手が悪かったとも言えますけどね。鹿島戦と合わせて見ても今のところは確かにブルーノの穴を埋めていることは間違いなさそうです。けっこう自信なさげにプレイしているように見えるので、慣れてくれば化けるかも知れません。
 岡本も鹿島戦に引き続いて何もさせてもらえませんでしたが、彼もあまり心配はしてません。近いうちに仕事ができるようになると思いますし、まだ札幌にはノナトやソダン、ぎーさんがいます。まぁノナトは未知数としても、あと2回変身を残している状態です。もっとも、2回変身してもトランクスにあっさり切り裂かれたりする運命かも知れませんけど。幸いナビスコカップという絶好のテスト機会があるわけですから、これがMAXではないことを見せてもらいたいと思います。

2008年3月21日

沢口靖子もびっくり

2008年Jリーグナビスコカップ予選リーグ第1節
柏レイソル 1-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/川
     柏/沼

 田舎から家族が出てくるために柏の葉をあきらめたため、試合は見ていないのですが、柏が多少メンバーを落としてきたとはいえ、アウェイで相手の攻撃を1点に抑えて、かつ追いついたのですから、それなりにチーム状態は良くなってきているということなのでしょうか。まがりなりにも自分たちのやり方がJ1にもある程度通用するということが判明したと思いますし、本日行われた道都大学との練習試合でぎーさんとノナトまたどーが復帰。23日のナビスコカップ川崎戦に出場するかは不明ですが、次のリーグ戦(30日)までまた実戦テストの機会もありますので、少しずつではありますがいい方向に動いてきたかも知れません。相変わらずノナト点獲ってませんけどね

 そんな折、一番驚いたのが優也のU-23日本代表選出のニュース。27日に国立霞ヶ丘競技場で行われるアンゴラ代表戦に、なぜかしれっと佐藤優也(コンサドーレ札幌)という名前があるではありませんか。 「この世代にはそんなにGKがいないのか」というのももちろんですが、そういえば優也ってまだ22歳だったんだっけというのが素直な感想。この世代ではまぁ実績・実力共に西川が頭ひとつ以上抜けていることに異論を挟む人はいないでしょうが、昨年からの招集実績があるのが清水の山本海人、流通経済大の林彰洋、ジュビロ磐田の松井謙弥あたりで、林は大学生とはいえU-20代表のレギュラーを務めていましたし、山本にしろ松井にしろプロとしての実績(J1での通算出場試合数)はほとんど代わりがないわけで、オリンピック開幕まで既に半年を切っているこの時期に反町康治監督があえて優也を選んだのはどうしてなんでしょうか。J's GOALの反町監督の記者会見でのコメントには優也の"ゆ"の字も出てきてないですし、報道陣も平山相太(FC東京)の不選出は気にしても優也の初選出は誰一人気にもとめてないようなので何とも言えませんが、U-23代表のディフェンダーたちに危機感を通り越して恐怖感を与えるつもりなんでしょうか。アンゴラ戦に出場するかはわかりませんが、出ればきっと全国のサッカーファンの脳裏に「佐藤優也」という名前がきざまれることは間違いないと思います。ええ、もちろん違う意味で。
 まぁとにかく、代表を経験してまた一回り(身体のサイズ以外で)大きくなって欲しいものですね。

2008年3月24日

木村佳乃もびっくり

2008年Jリーグナビスコカップ予選リーグ第2節
コンサドーレ札幌 2-1 川崎フロンターレ
得点者:札幌/鄭、西嶋
     川崎/寺田

 世の中が進歩して電波が宇宙からやってくるのが当たり前になった昨今、日本中のあらゆるJリーグの試合が家にいながらライブで見られるようになった日本のJリーグクラブサポーターに、「見たかったら現地に行きやがれ」という純然たる原則を突き付けるヤマザキナビスコカップの予選リーグC組第2節・コンサドーレ札幌対川崎フロンターレの試合が、3月23日に室蘭市の入江陸上競技場で行われました。
 札幌で唯一この時期に試合開催可能な札幌ドームがプロ野球の日程とかぶってしまっているため仕方がないことなのですが、「現地に来やがれ」という割には日曜日のしかも室蘭での開催というのは、ホームのサポーターはまだしもアウェイの川崎サポーターには「来るな」と言ってるようなもんかも知れませんが、それでもカップ戦で入場者5,387人は悪くない数字だと思います。
 で、その5千人あまりの観客の前で、コンサドーレ札幌は開始早々にセットプレイから寺田周平に頭で決められ先制を許すも、後半は鄭容臺の西嶋弘之のともにJ1初ゴールで逆転し、今季初勝利をゲット。川崎フロンターレ相手の勝利は1997年9月4日に等々力陸上競技場で4-3でVゴール勝ちして以来、約10年半ぶりのこと。1997年と言えば旧JFLの時代です。つまり、Jリーグになってからの対川崎戦初勝利ということになります。この10年の間、お互い所属しているリーグが違ったことが多かった(過去に同じリーグで戦ったのは1999年、2003~2004年の3シーズンだけ)せいもありますけど、天皇杯で当たったときもさっくり負けてますし、リーグ戦での負けも0-6で虐殺されたり開始17秒で失点したりと正直川崎は苦手な印象しかなかったので、この勝利は素直にうれしいです。ただこれで溜飲を下げたと言えば決してそう言うわけでもなく、ここでも何度か書いていますが等々力での川崎戦では同じく97年9月4日を最後にただの1点も獲れていませんので、アウェイ戦ではゴールを期待したいですね。この際魅惑の助っ人オウン・ゴール選手以外なら誰でもいいので。

 そんなわけで勝点を4としてグループ首位のジェフユナイテッド市原千葉と得失点差1の差で2位につけることになりました。まぁ仮にナビスコカップで優勝したとしてもリーグ戦で17位以下になれば降格しますし、そのリーグ戦では未だに勝点ゼロなんで、今のところ結果だけ見れば現実逃避以外の何者でもないんですが、たかがカップ戦、されどカップ戦。この試合では相手が中村憲剛と山岸智の代表組や、昨季J2得点王フッキを欠いていたとはいえ、それでも過去にボコボコにされたジュニーニョや我那覇を擁する川崎に対して少しだけでも苦手意識を払拭したことだけでなく、これまでは「攻撃力に劣る札幌は先に点を獲られたらもうおしまい」というのが定説だったのが、先制されながらも逆転で勝利をつかみ取ったこと、そして怪我で出遅れていた守護神高木と助っ人ストライカーのノナトが復帰して実戦の経験を積むことができたことなど、ルーキー柴田がフル出場を果たしたことなど、割と今後に繋がる材料は多かったように思います。
 とはいえ、セットプレイから失点したのは課題として解決しなければいけないのですけどね。まぁ相手もセットプレイは大きなチャンスなのである程度はしかたないとは思いますが、開始わずか3分で失点というのは、図書館で推理小説を借りてきたら、人物の登場シーンで「犯人コイツ」と落書きしてあった時くらいのガッカリ感ですし、去年の札幌のわけのわからない強さを支えていたのが「試合立ち上がりでの失点の少なさ」が挙げられると思いますからね。だいぶ陣容も揃ってきましたし、とりあえず相変わらず降格最有力候補の札幌ではありますが、それでもまったく歯が立たないわけではないという手応えを掴めたと思います。次はリーグ戦で再び柏と激突します。アウェイですし柏も次は気を引き締めて来ると思いますが、リーグ初勝点を目指してもらいましょう。相変わらずノナト点獲ってませんけどね

2008年3月31日

みんなびっくり

2008年Jリーグディビジョン1第3節
柏レイソル 1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ヒロユキ、ダイゴ
     柏/ジロー

 ナビスコカップ川崎フロンターレ戦で今季初勝利を挙げたコンサドーレは、リーグ再開となった第3節は柏レイソルとのアウェイゲームを戦います。柏は2005年にJ2に降格し、翌2006年同じリーグで対戦したものの、わずか1年で卒業していったため2年ぶりの対戦となります。ここ日立柏サッカー場は対戦成績としては苦手な部類のスタジアムですが、一番最近の対戦(2006年第51節)で0-2から立て続けに3ゴールを叩き込んでうっちゃるというびっくりどっきりショーを開催していますし、柏とは今季ナビスコカップで対戦して1-1で引き分けており、イメージとしては悪くありません。

 柏も怪我人が多く苦しい状況が続いており、フランサが長期離脱中、石崎監督の「申し子」とも言える山根も怪我で欠場と要の選手がいません。助っ人のアレックスやポポもベンチスタートでオール日本人のスターティングメンバー、かつリーグ戦では初スタメンとなる大津祐樹、鎌田次郎とルーキーも2人いたりと、チーム事情は決して楽ではないことを伺わせます。もちろん、彼らがJ1でスタメンを張るに充分なパフォーマンスは充分に発揮していたのですが、こと札幌に関しては柏の選手にプロ初ゴールを献上するのが得意なチームだけに、何をしてくるかわからない大津あたりに決められるような予感はしてたんですよね(決められたのは鎌田でしたが)。もっとも、柏で一番何をしてくるのかわからないのはゴール裏のサポーターだったりするんですけどね。この日も恒例の「柏バカ一代」の熱唱後、ゴール裏から聞こえてきたのは、

「ナ~ウ・ゲッタ・チャンス!」

「正解は…ニン!」

 …伊東四朗さんまでご来場されていました。俺一人が大喜び。

 そして札幌はいよいよ「ネ申」こと曽田雄志が復活。彼の不在の間、「曽田がいれば勝てた」と言われる試合があったと思おうとしてやっぱり思えませんが、それでもJ2時代はほぼ札幌が掌握していた制空権を相手に握られることも多かったですから、待ち望んでいた復活です。そしてその天空の覇者の相方としてコンビを組むのは、予想された吉弘ではなく大卒ルーキーの柴田慎吾でした。先日のナビスコカップ川崎戦でプロ初先発を果たし、フル出場で勝利に貢献した187cmのビッグマンを起用した三浦監督。柏はさほど空中戦に強いチームではなく、むしろ李忠成や菅沼などスピードのある選手が多いのですが、雨の予報でピッチコンディションが悪くなり空中戦が多くなると読んでいたのでしょうか。
 そしてもう1人、「ぎーさん」こと守護神高木が腰のリハビリから復活。こちらもナビスコカップでは既に出場していますが、リーグ戦では初となります。その他のメンバーは坪内・西嶋のサイドバックとクライトン・芳賀のボランチは前の試合(ナビスコカップ川崎戦)とは変わらないものの、今季猛威を振るっている「チーム・ザ・怪我人」から戻ってきてその川崎戦で初スタメンとなったと思ったら、わずか45分で交代した上に今度は腰だか腹だかを痛めたとチーム・ザ・怪我人に戻っていったノナトの代わりに、柏戦では例の大逆転劇での決勝ゴール以上に、あの函館でのロケットシュート(射出角度が)のイメージのほうが強い中山元気がスタメン。そして新しく靱帯を痛めた藤田征也もチーム・ザ・怪我人に移籍してしまったため、右サイドに岡本賢明がリーグ戦今季初スタメンとなりました。

 さて試合は、以前「キックオフで何も考えずに前に蹴るのやめれ」と書いたためではもちろんないでしょうが、札幌のキックオフから始まった試合はいきなりクライトンのドリブルから始まりました。止めに来た柏の選手が逆に吹っ飛ぶくらいの異次元の肉体を持つクライトンに脱帽していると、あれよあれよといういう間に相手陣内に攻め込み、はやばやとコーナーキックをゲット。このコーナーキックからわずかにゴールを外れたもののソダンがシュートを放ち、これでリズムを掴んだ札幌がペースを握ります。
 ところがどっこい、快調な出だしだった札幌ですが、12分に相手の最初のコーナーキックからDF鎌田にプロ初ゴールを決められてしまいました。鹿島戦、マリノス戦、川崎戦と今季ここまで行われた4試合のうち3試合でセットプレイから失点していますが、またしてもセットプレイで失点。このチームはいくつ伝統芸を持てば気が済むんでしょうか。ところでどうでもいいですけどこの鎌田次郎という選手、いい選手なんですがとてもサッカー選手とは思えない名前ですね。名前のイメージはなんとなく武士っぽい響きですよね。尊皇派? 攘夷派?
 さてこの失点をきっかけにイケイケっぽかったのがちょっとしらけムードになってしまい、柏に攻め込まれペースとしてはやや劣勢の展開が続きます。しかしボールを持たれてはいるものの実際はシュートまでは許さず、アウェイゲームということを考えてもほぼ互角の戦いができています。それだけに最初の失点が悔やまれますが、札幌としては早めに追いつきたいところでクライトンとダヴィを中心にそれなりにチャンスを作れていますが、持ち前の意味不明な動きでダヴィが何度かGK南との1対1となるも、ことごとく南にぶち当ててゴールに入れようとしてくれません。
 しかし前半38分、そのダヴィの突破で得た直接フリーキックのチャンス、ペナルティエリア右サイドやや手前からクライトンが蹴ったボールに飛び込んだ西嶋がヘッドで叩き込みました。西嶋はこれでナビスコカップ川崎戦から2試合連続ゴール。2004年の途中に移籍してくるまでただの1試合も出場がなく、プロとしてのデビュー戦でおばあちゃんと一緒に入場した男は、今では札幌には欠かせない男になりました。

 前半のうちに追いつくことに成功した札幌ですが、後半は開始から柏のペースとなります。降り続く雨にだいぶピッチコンディションが悪くなってきたせいもあってか柏が前半のパスを繋ぐサッカーから早めにトップに当てる作戦に切り替えてきたこともありますが、積極的に飛び出してくる2列目の選手を抑えるのに四苦八苦。しかしそんな中でもクライトンがすごい。その異名の由来である映画「プレデター」は、1作目では水に濡れて光学迷彩装置が故障してしまい、アーノルド・シュワルツェネッガー演じるシェイファー少佐に倒されますが、うちのプレデターは雨に濡れても平気平気。持ち前の運動量でパスコースに必ず顔を出すので、味方からもよく見えるようです。まぁみんなから見えないという別の意味でプレデターな助っ人はもう間に合ってるんで、これ以上見えない人が増えても困っちゃうわけですけど。そのクライトンのパスから突破したダヴィが「必殺ひづめシュート」を繰り出したりと、劣勢の中でもいくつかチャンスを作り出すことができていたのですが、そのわずかなチャンスが実を結んだのもやはりクライトンから。後半21分、相手からボールを奪い取ったクライトンは、大伍が自分を追い抜いたことを横目で確認しつつ、おそらく意識的にその大伍が自分を追い抜けるくらいのスピードのドリブルで攻め上がると、ゴールに向かって走り込む自分のスピードに合わせたクライトンからのふわりとしたループパスを胸で落とした大伍は、若干トラップは大きくなったものの雨でピッチが重かったことが幸いし、「昨日、夢で見た」という通りに一瞬飛び出しの判断を迷ったらしい南の股を抜いてゴール。札幌が逆転しました。
 試合時間は残り20分以上、守りきるにはちょっと長い時間ですが、かといって追加点を奪いにいく展開でもありません。マリノス戦ではホームゲームと言うこともあって、このくらいの時間から攻めるのか、守るのかの意思統一がはっきりせず、結果わずか2分で逆転されてしまいましたが、今回はアウェイ戦。カウンターが決まれば儲けものくらいの意識で守りに徹するのが(守りきれるかどうかはともかくとして)モアベターという感じでしょうか。得点の5分後には疲れの見えた岡本を下げて砂川を投入、これは予定通りの交代でしょうが、その7分後には中山元気を下げてマーカスを入れ、明確に守り固めの意志を伝えます。まぁその割にはマーカスがピンチメーカーになってたような気もしないでもないですが、42分に1枚カードをもらったダヴィを下げて池内を入れて、もはや完全に亀モード。その割には池内もピンチメーカーになってたような気もしますが、何とかかんとか守りきり、アウェイで貴重な貴重な勝点3をゲットしました。

 さてさて、またしても貴重なリーグ初ゴールを決めたユース出身の大伍に目を奪われがちですが、個人的に目に付いたのは柴田ですね。高校時代は柏ユースに所属しており、この日スタメン出場を果たした石川直樹やベンチスタートの菅沼実と同期で、トップ昇格かなわずに浜松大に進学してコンサドーレ札幌に入団、おそらくユース時代に慣れ親しんでいたであろう柏サッカー場での「古巣」との対戦、燃えないはずがありません。しかしうちにある2003年の全日本クラブユース選手権のパンフレットには、菅沼と石川はいるのに柴田の名前がどこにもありませんでした。その年の冬のJユースカップでは全試合スタメンで出ているので、その当時は怪我でもしてたのでしょうか。もしそうなのであれば、本人としては悔しい思いをしたでしょうから、なおさら期するものがあったかも知れません。いずれにしても、コンサドーレの一員として帰ってきた日立台でできることとしては、同期の選手やお世話になった人たちに、プロでも立派にやれることを見せることだったでしょう。そういう意味では、申し分のない「凱旋」だったと思います。正直、キャンプでの水原戦を見たときは、水原のブラジル人選手にいいようにやられていましたので、即戦力として活躍できるとは思っていなかったのですが、その時とはまったく違っていましたね。頭のいい選手なんだと思います。ごめん。
 あと「古巣」と言えばやはりこの人砂川誠。2006年第18節、今年のナビスコカップと柏戦で2つの「恩返しゴール」を決めています。この試合では交代出場した時間帯はチームが柏の猛攻に晒されほとんどボールが回ってこなかったため、あまり見せ場を作ることができませんでしたが、プロとしてのスタートを切って7シーズンを過ごした、慣れ親しんだスタジアムでの試合終了後、優也から「スナさん、飲み物の自販機ってここにしかないんだっけ?」と訊かれた元柏選手は、質問してきた高校の後輩に対して一言、

「知らない」

 俺たちのスナさん、にべもなし。

 とにかく、柏がだいぶメンバー落ちだったとはいえ、勝点3を得たという事実は大きいと思いますし、ナビスコカップに続き「自分たちでもやれるんだ」という自信は大きいのではないでしょうか。強豪チームに力でねじ伏せられるのは仕方がないと思いますが、少なくとも残留争いのライバルを相手にこういう試合ができれば、このメンバーでも15位は決して実現不可能ではない、と思わせるないようだったと思います。あとはまぁ、みんな出場停止はともかく怪我だけはしないことを祈るばかりです。

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