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2009年1月 アーカイブ

2009年1月 6日

セカンドライフ(笑)←違

 明けました。2000年のシーズン終盤に思いつきで作ったこのサイトも気づけば9年目です。

 2009年シーズンの新加入選手では、「第4の外国籍選手」として韓国Kリーグの浦項スティーラーズから元韓国代表DF趙晟桓(チョウソンファン)選手の加入が発表されていますが、これについてはまた改めて書くとして、今日は2人の選手の引退について書こうと思います。

 まず、2008年シーズン限りで契約満了となった鈴木智樹が現役を引退し、コンサドーレのフロント入りするという発表がありました。Jリーグの合同トライアウトにも参加したように現役続行への道も模索していたようで、日刊スポォツによれば、複数チームからのオファーもあったとのことですが、昨季の契約満了の段階でクラブ側からフロント入りの打診があり、結局は早めのリスタートという決断をした模様です。
 まだユースの選手だった頃は、2001年の全日本クラブユース選手権では1年生ながらも準優勝の原動力となり、その後はU-18日本代表候補にも選出されるなどサポーターの間でもよく知られた存在となっていました。昇格を果たした2004年は、チームの極端な若返り策のおかげもあったにせよ、吉原宏太以来の高卒ルーキーでの開幕スタメン入りするなどその将来を嘱望されていた選手ですし、まだ23歳と若いだけに、落ち着き先が決まってよかったと思う反面、続けようと思えば続けられたんじゃないかと複雑な心境のサポーターも多いかとは思いますが、だからこそサッカー選手を辞めるという決断は続けるのと同じくらい勇気のいる決断だったと思います。今後はユース年代のスカウト担当として、全道、場合によっては全国を飛び回ることになると思います。いい才能を見つけられるよう「活躍」をして欲しいものですね。
 ところで、新寮監のエビちゃんに続いて智樹もフロント入りということで、そうなるとあと現在福島ユナイテッドに所属している桑原剛も戻ってくれば、晴れてフロントでトリオ・ザ・坊主再結成ということになりますね。

 また、智樹と同様昨季限りで札幌との契約が満了となり、FC岐阜への期限付き移籍も終了していたFW相川進也も、その現役引退がクラブから公式に発表されています。2002年に前橋育英高校から加入した相川は、同年11月19日に東京スタジアム(現味の素スタジアム)で行われたJ1リーグ2ndステージ第12節・東京ヴェルディ1969(現東京ヴェルディ)とのアウェイ戦で、0-2からの後半頭から平間との交代でプロデビューすると、そのわずか4分後にゴールを決めデビュー戦初ゴールを記録(試合は2-3で延長Vゴール負け)。ファーストタッチで迷わずシュートを選択したそのストライカーっぷりに、同じ年にユースから昇格し既に函館千代台競技場での1stステージ第7節・鹿島アントラーズ戦(4月20日)にてデビュー戦初ゴールを記録している新居辰基と共に、「新居と相川がいればコンサドーレは10年戦える」と確信したサポーターはオレだけではないはず。まぁ実際は10年はおろか3年も持たなかったんですけどね。いくらサッカーは選手寿命が短いとはいえ、25歳というまだ若い部類に入る年齢での引退は残念な気もしますが、彼もまたかつて膝に大怪我を負っていますから、このあたりが潮時と判断したのかも知れません。彼の場合、試合中に同じ怪我を負ってしまった山瀬功治や三原廣樹、大塚真司、西澤画伯らに比べればあまりサポーターから心配されなかったかわいそうな選手でした。
 個人的なエピソードとしては、以前熊本の有名馬刺し屋でたまたま鉢合わせた札幌の選手に焼酎を差し入れしたことはこのエントリでも書いたことがありますが、その時我々が帰る際にわざわざお礼を言いに来たのがこの相川でした。第2の人生にも幸があらんことを。

2009年1月 8日

ギャンブリングエンジェル

 見知らぬ国の見知らぬリーグからやってきた助っ人選手はもちろんのこと、国内移籍してきた選手も多少知ってはいても札幌で既存の選手にどう食い込んでいくのかなど、気になることはたくさんあります。それもこれもシーズンが始まってしまえば見られることはありますが(まぁ見たいのに見れない選手とか、いるはずなのに見えない選手とかもいますが)、逆にシーズンが始まるまでは見られないということでもあります。見られないからこそ見たい、これは男のロマンとも言えます。
 そんなわけで毎年行っている開幕前のキャンプ襲撃、まぁ男のロマンも苦労して見たものがものすごいがっかりだったりすることもあるように、キャンプでも見てはいけなさそうな選手を見てしまったりすることもあるわけですが、それでもあくなきロマンが男を突き動かすように、今年もキャンプに行きます。ノブリンだし。
 しかしここ数年国内でのキャンプ地として定めている熊本まで行くとなるとそれなりに交通費がかかります。どの航空会社も通常料金の設定しかない年末年始の札幌帰省の後だけに、ごく普通のハタチのサラリーマンであるオレがぶっこける余裕などあるはずもないですから、なるべくお金をかけずに行かねばなりません。というわけで毎回JALの貯めたマイルを放出して特典航空券を利用しているわけですが、札幌サポーターならだいたいの方がご存じのように、特典航空券の席はそれほど多くありません。かつ、航空会社の予約開始は搭乗日の2ヶ月前から。要するに、2月に行こうと思えば12月中に予約が始まるわけです。せっかく熊本まで行くのですからどうせならテストマッチを見たいとは思っても、日程が出るのを待っていたらそれに間に合う便の席がもう埋まっちゃってる可能性も決して低くありません。ごく普通のハタチのサラリーマンであるオレは哀しいことにそうそう会社を休むこともできませんから、必然的に競争倍率の上がる土日や祝日を挟むことになりますし、帰りの便のことも考えないといけません。
 なので毎年キャンプの日程が出る前から見切り発車で特典航空券を押さえ、後は運を天に任せるという感じになっています。言ってみればギャンブルです。うまいことテストマッチに当たるか、それとも2007年のように滞在3日間のうち2日がオフという大ハズレとなるかは神のみぞ知るセカイ。

 で、問題はそんな「トレーニングルーレット」のどの目に賭けるか、つまりどの日程で行くかです。とはいえ、例年の傾向から2月の初旬頃はまだ第2次キャンプが自体が始まっていないかもしれず、かといって2月の最終週くらいだとその時期までキャンプやってるのは地元で練習できないコンサドーレくらいしかいなくなるため、相手がいないのにテストマッチもへったくれもあったもんじゃありません。やるとしたら地元のロアッソ熊本くらいで、実際去年の2月最終週(実際は3月第1週)に熊本とプレシーズンマッチを行っていますが、去年はカテゴリが違いましたからね。同じJ2で戦う今季、開幕直前にわざわざ手の内を見せ合うような真似はしないでしょうから、ここもパス。というわけで実際選択肢としては2月第2週か第3週の週末の2つくらいしかありません。であれば日程は後ろのほうがチームがそれなりに仕上がってきているだろうし、それくらいにテストマッチが行われる公算が強いと見て、2月21日の朝に現地入りし、1日有休を取って2月23日に帰るという日程で航空券と宿を押さえたわけです。そしてそのうち少しずつ明らかになるであろうキャンプ日程を待っていた本日のスポォツニッポンに載っていたのがこの記事。

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 コンサ FC東京とプレシーズンマッチ

 札幌が2月22日にFC東京と沖縄県(会場未定)でプレシーズンマッチを行うことが7日、分かった。札幌は2月12日から熊本で2次キャンプに入り、この試合のために熊本から沖縄入りする。(以下略)
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 よっしゃ、プレシーズンマッチ引き当てた! ナイスツモ!

 って、え? 沖縄?

map.jpg


 何の陰謀ですかこれ。

 さて困った。特典航空券は行き先の変更はできません。キャンセルはできますが3,000マイルが必要となります。日程の変更ならば追加料金やマイルはかからないのですけど、現在のところ唯一の試合確定情報をソデにするのも何となくもったいない気もします。沖縄行ったことないしここで行ってみるのもありかな…と思い、沖縄行きの道を模索してみることに。

○プランA
 3,000マイルを払ってでもキャンセルして沖縄行きに変更する
 結果:羽田~沖縄なんて人気の便が今から取れるはずもなくあっさり終了。

○プランB
 熊本~沖縄便の特典航空券をゲットし、熊本経由で沖縄入りする
 結果:熊本~沖縄便は全日空便しかありませんでした。ANAのマイルなんてほとんど貯めてない。

○プランC
 航空券を買う。
 結果:そんなお金ない。

 はい詰んだ。

 仕方がないので日程を変更することにしました。2/14から熊本に行くことにします。熊本キャンプは2/12かららしいので、ひとまずいきなりオフということはないでしょう。あとは去年のようにテストマッチが当たることを祈るのみです。

 最後に、2007年シーズンを以てコンサドーレとの契約が満了した大塚真司が現役を引退、古巣大宮アルディージャのU-12コーチに就任するという発表がありました。ヤンツーがどうしても欲しいと獲得した大塚さん、ヴェルディ戦でのミドルシュートが印象深いですが、それ以上にキャンプで見学に来ていたサポーターの娘さんに「プリキュア見てる? プリキュア」というのが自分にとっての最大の思い出です。大塚さん、3歳になったうちの娘も見てますよ。オレも見てますけどね。

2009年1月14日

ライブフォーユー

 昨年末の就任発表から新年を挟んで約2週間、全国9千8百万とんで3人のコンサドーレサポーターが待ち望んだノブリンこと石崎信弘監督がついに来道、1月13日に就任会見が行われました。周知の通りコンサドーレ札幌の前身である東芝サッカー部出身のノブリン。現在のコンサドーレにも受け継がれている赤と黒の縦縞のユニフォームはノブリンが考案したものというのは一部で有名な話ですが、東芝で現役を引退した1993年から16年を経た今年、再び赤黒のユニフォームを身に纏うことになります。まぁ監督はユニフォーム着ませんけどね。
 その就任会見の中でノブリンは、札幌の監督に就任することになったことについて、「札幌で監督をやるというのが私の中でひとつの夢で、その夢がかなって大変光栄に思っております。(中略)札幌の強化担当である三上に連絡して『やらせてもらえるか?』という話をしました。」J's GOAL全文)と、人心掌握術に長けたノブリンらしくサポーターの心をわしづかみにするコメントを披露。そう言われてうれしくないサポーターがいるはずもなく、実際既に「ノブリンでダメならこのチームはどんな監督が来たってダメだ」とまで洗脳し尽くされているオレなんかはまさにこれでイチコロであり、どのくらいのイチコロ度かと言えば真珠の涙くらいです。つまり、ノブリンは魔女っ子メグちゃんだという仮説を立てることができます(できません)。
 まぁ多分にリップサービスも含まれているとしても、ノブリンはファンを大切にする人物としても有名。先日も紹介した御殿場でのエピソードもそうですが、ノブリンが大分トリニータの監督を務めていたJ2黎明期、やろうと思えば誰でも気軽にブログを開設できる現在とは違ってホームページを作って公開するにはまだそれなりの知識を必要とされた時代に「凶悪系サイト」というジャンルを確立させ、当サイトも多大な影響を受けた大分トリニータのサポーターサイト「鳥日新聞」内にかつて設置されていた掲示板に書き込んでいたことは有名な話。その後時代は流れノブリンが柏の監督になってから「最近『鳥日』ってまだやってるの? 俺王とか懐かしいね(笑)」というサイト管理人冥利に尽きるコメントも残していたそうです。もし自分がこんなこと言われたらメロメロですよ。メロメロ度でいえばメロンパンナちゃんのメロメロパンチを食らったレベル。つまり、ノブリンはメロンパンナちゃんだという仮説を立てることができます(できません)。
 その他ファンサービスについても「私ができるのはグラウンド上だけ」と述べ、「練習を見に来てくれた人に楽しんでもらう、あるいはゲームにまた観にいきたいと思わせるようなサッカーをやることが大切だと思います。選手にも話をしようかと思うんですが、やはりサポーターがいるからこそプロのチームは成り立つんだと。練習場に足を運んでくれたサポーターには、しっかりファンサービスをするように。一番はサッカーの内容が良くて勝つことだとは思いますけれど」とする一方で、「私にできることがあれば、何でもやっていきたい」とも述べるなど、ここでもファンに向けた「現場主義」へのこだわりが見えます。これぞライブフォーユー。いろいろな意味で楽しみなシーズンとなりそうです。

 ただこの会見でひとつ気になったのが、「選手の人数も27名ということで、人数の少ないなかで長いシーズンを戦っていかなければいけない」という下り。ここまでのところ札幌はFW紀梨乃、MFダニウソン改めダニルソン、そしてDF趙晟桓と3人の助っ人を獲得していますが、日本人の移籍加入はGK荒谷のみ。ルーキーも沖縄大の上原慎也、ユースから昇格の曵地裕哉、そして二種登録でチームに帯同する古田寛幸の3人しかおりません。ヴィトーリアからの帰還命令によりブラジルに帰ったままどうなったか不明のエジソンを除けば確かに合計27名。つまり補強はこれで打ち止めということで、1月18日に予定されているキックオフイベントでの背番号発表で「ゲェーーーーッ! あ、あの選手はーーーーっ!」とかいうサプライズがあったりするような可能性はなさそうです。
 昨シーズンの開始時の登録人数は32人。もっともこれはベンチ入りの人数が7人となるJ1での話であり、ベンチ入りメンバーが5人となるJ2においてそれと同じ程度の人数を維持する必要はないとはいえ、前回J2だった2007年シーズン開始時の29人に比べてもやや少ないですし、それに加えて今季は合計51試合という正気の沙汰とは思えない試合数を戦い抜くこと、そしてこの27人のうち少なくともソダンと箕輪は怪我で開幕に間に合うかどうかという状態であることを考えても、人数的には若干不安の残る体制に思います。
 もっとも予算に限りのある札幌であらゆる事態に事前に備えておくために保険をかけまくるような真似は到底できないですし、国内の場合は登録期限内であれば移籍はいつでも可能なわけですから、ひとまずはこの体制でやりくりしていって、もし何事かがあればシーズンが始まった後に力はあるのにチーム事情などで試合に出られなくなった選手をめざとく狙っていこうという魂胆なのかも知れません。そのあたりはノブリンと、そのノブリンとNEC山形時代に師弟の間柄(つまりロビンマスクとウォーズマンの関係)だった三上強化部長のコンビに期待をしておくことにします。

2009年1月20日

2009年シーズン始動

 1月18日に恒例のキックオフパーティーが札幌ドームで開かれ、いよいよ2009年シーズンのコンサドーレがスタートしました。このパーティーには父親の病気の看病でクライトンが不参加となったものの、ノブリンこと石崎信弘監督をはじめ、新助っ人の紀梨乃、ダニルソン、趙晟桓を含む新加入選手も参加。新バージョンのユニフォームや背番号ともども新しいチームのお披露目となりました。メディアやいろいろなブログを見る限り、自らを「ジャニ健(ジャニーズ健ちゃん)」と呼び自他共に認めるおしゃれさんだったコンサドーレOBの大森健作氏が全盛期の志村けんばりの白鳥スタイルで乱入したりとか、コンサドーレの若手選手にたちによく似た「グアムドールズ」がグアムから飛び入り参加したりとか、例年になく楽しいパーティーだったようですね。
 このグアムドールズ、話によればメンバーは岡本賢明によく似たジェニファーさんをリーダーに、柴田慎吾によく似たブリトニーさん、堀田秀平によく似たシュウコさん(日系)、西大伍によく似たキャサリンさん、横野純貴によく似たエジソンさん、そして宮澤裕樹によく似たソダさんの6人だったそうですが、もともとキャラの立ってるおかも…いやジェニファーさんはともかくとして、昨季の加入時には「人見知りするので…。独りぼっちにならないかと心配」と、おおよそストライカーとは思えない引っ込み思案っぷりを遺憾なく発揮していたみやざ…いやソダさんまでもが参加と、キャラなりでもしたのかと思うほどの変わりよう。ノブリンも「みんな、おとなしいと思っていたので感動です」(スポォツ報知)とご満悦だった様子です。確かに「おとなしい」というのはもはや札幌の伝統とも言え、かつてキャンプでのテストマッチを見ていた通りすがりのサッカー好きのおばさんが、「赤いチーム(札幌)には声を出しちゃいけない決まりでもあるのかい?」と言っていたという話もまことしやかに伝わっているほど。確かに観客の歓声の少ないテストマッチやサテライトリーグを見に行くと、ピッチから聞こえてくるのはゴールキーパーと相手選手の声ばかりということも珍しくありませんでした。過去にはやんちゃな選手がいなかったわけではないですけど、やんちゃすぎて警察沙汰になったりとそのやんちゃっぷりを間違った方向に発揮したりと非常に極端です。別に普段はおとなしくても構わないのですけど、くしゃみをしたら性格が変わるあの人みたいに「ピッチに立ったら性格が変わる」というのがあってもいいと思います。ノブリンが「まだ顔と名前が一致しない。コイツ誰じゃ、って思った」のに「みんなおとなしいと思っていた」とコメントしたのも、(冗談半分だとしても)「おとなしかったらこの世界で生きていけない」というノブリンが、これまで幾度となく敵チームとして対戦してきた中で抱いてきたイメージが強かったのではないかと思います。
 そんな監督の思いに選手たち(とOB)が応えての今回のグアムドールズ結成。もちろん監督もやらせるだけでなくアントニオ猪木…じゃなくてアントキの猪木の物まねでイベントを締めました。Mozilla Firefoxで見ると酷いことになる公式サイトを持つ春一番さんではなかったようです。
 それはともかく、これまでの札幌の歴代の監督は、岡ちゃんやヤンツー、三浦さんのように(完全外向けだとしても)どちらかと言えば生真面目な感じのキャラでしたから、こういうノブリンみたいな人は新鮮ですね。まぁ自分はキックオフイベントには行けなかったので実際の雰囲気を体感してないのは至極残念ではありますが、いろいろな話を伝え聞くにつけ思うことは、こうして監督も変わり、選手も変わろうとしている今年は、サポーターだって変わらなければいけないのではないかということです。札幌は歴代監督同様、サポーターも割と生真面目なところがありますからね。もちろん真面目にやるべき時はちゃんとやるべきだとは思いますが、サポーターももっとはっちゃけるところははっちゃけたっていいと思うのですよ。そりゃ、ひいきチームが試合に負ければ面白いはずもないですし、勝ったことは勝ったけどひどい試合内容だったなんてことも少なくありません。逆にだからこそ、自分たちで積極的に楽しんでしまえという考え方もありなのではないかと。「おもしろきこともなき世をおもしろく 住みなすものは心なりけり」は高杉晋作の辞世の句とされているものですが(下の句は野村望東尼が付け足したと言われている)、心の持ちようで楽しくもつまらなくもなる。もう少し肩の力を抜いて、「サッカーそのものを楽しむ」というのも必要なんじゃないかと思うこともあります。コンディション的な理由で「アウェイではつまらないサッカーをするかも」とエルゴラッソのインタビューで述べていましたが、それを踏まえて就任会見でノブリンが述べた「1年でJ1復帰ができるようにチーム、サポーターが一体になっていきたい」というのは、「おもしろきこともなき世をおもしろく」という下の句として「黙ってワシについてこい」ってことですね。しかと心得ました。

 最後に、石崎監督の愛称は「のぶりん」ではなく「ノブリン」であり、「柏時代に女性サポーターにつけられたもの」ではありませんので憶えておいてください北海道新聞さん。

2009年1月26日

グアムでの日々

 チームは現在グアムキャンプの真っ最中。51試合を戦い抜くための体力を養うべく、フィジカルを中心とした厳しいトレーニングを行っているようですが、そんな中で今季からノブリンこと石崎信弘監督が取り入れているのが「一発芸」。練習中にミスしたりミニゲームで負けたりした選手には、罰ゲームとして一発芸をやらせることを就任時のインタビューでもノブリンが触れていましたが、グアムキャンプから早速これを取り入れているようです。練習の時から勝ち負けにこだわらせ、また積極的な自己アピールを促す狙いがあるようですが、その効果のほどはと言えば、「犠牲者」の1人FW横野純貴は、「一発芸で映画・ハリーポッターの場面を演じ、『なぜか知らないが満足感があった』と笑顔を見せた。」(スポォツニッポン)と、何か違う世界を広げているようです。しかしその一方で、あまりはっちゃけるタイプではない選手たちは戦々恐々。「俺たちの砂さん」ことベテラン砂川誠は「(一発芸を)やらないように完璧に練習をする」と警戒心をあらわにしています。そんな言葉を聞いたら、オレだったらなんとかして砂さんに罰ゲームをやってもらおうという気分になるものですがね。雉も鳴かずば打たれまいに。
 そしてまた別の問題として、ノブリンはサッカーに加えて芸でも常に成長を求める方針のため、「同じ芸はダメ」としていること。つまり選手、とりわけ罰ゲームを多く受けそうな選手(中山さんとか中山さんとか、あと中山さん)は日々ネタを考えなければいけないということであり、結果として芸の幅が広がるという二次的要素も期待できますね。一次的要素の「サッカーのプレイ」の幅が広がるかどうかは不明ですけど。

 まぁそんな感じでトレーニングが本格的になっていく中で、徐々に新加入選手の様子も明らかになっています。キャンプ初日に早速足をつってキャシャリンかと思われた紀梨乃も無事に復活しミニゲームなどでゴールも決めているようですが、元コロンビア代表ダニルソンも怪物っぷりを発揮しつつあるようです。25日に行われた練習では持ち前のスピードを遺憾なく発揮。100メートル11秒台のFW上原ですら置いて行かれたそうですから、「しっかり測ったことはないが、100メートルで10秒台は出せる」(日刊スポォツ)というのも大げさな話ではなさそう。見ていたチームメイトからも「すげえ」「(まるで)新幹線だよ」 (北海道新聞)などという感嘆の声が上がったそうです。「新幹線」というのはまたすごいですね。ホントにそうなら止められるのはテリーマンくらいじゃないですか。札幌サポーターにわかりやすく例えれば、「高機動型ビジュ」ってところでしょうか。
 そんなダニルソンについて新聞上では、「江戸の黒豹」をもじって「エゾの黒豹」(スポォツニッポン)と呼ばれていましたが、記事にもあるとおり「浪速の黒豹」と呼ばれたパトリック・エムボマの二番煎じですし、そもそもコロンビアで黒豹っつったらファウスティーノ・アスプリージャのことです。というよりか、身体能力の高い黒人選手を「黒豹」というのはあまりにもそのまますぎますよね。横野なんてノブリンに「横野のまゆ毛が薄くて気になっとった。あれは"まろ"じゃ」(日刊スポォツ)ととても素敵な名前を頂戴してるんですから、ダニルソンにももうちょっとこうひねって、かっこいい「二つ名」があればいいと思います。元祖「黒豹」の元ポルトガル代表エウゼビオも、黒豹の他に「モザンビークの黒い真珠」という名前で呼ばれていましたから、そんな感じのやつがいいですね。「管理局の白い悪魔」とか「エルム街の悪夢」とか「プロコルハルムの青い影」みたいな。やっぱ元祖に対抗して「北海の黒いダイヤ」というのはどうでしょうか。まぁ、石炭ですけどね。

 そんなわけで定着しそうもない二つ名はおいとくとして、何となく見ていたスポニチのWebで「◆離脱 MF藤田が腰痛のため25日の午後練習を休んだ。」という記事がありましたが、その下が荒谷弘樹の紹介記事だったために、「離脱」を「解脱」と読んでしまったのは決して自分だけではないと思います。

2009年1月29日

クライ・トン・ザ・ムーン

 昨季のJ2降格というのはサポーターにとっては歓迎できる結果ではありませんでしたが、それでもクラブの体力やチームの戦力から考えればある程度は致し方ない話、と割り切ることはできました。しかし、降格自体を受け入れたとしても、それに伴う選手の流出についてはまた別問題。J2への降格チームは得てして「草刈り場」になりがちですから、果たしてどの程度の損失があるのかは予想もできないだけに、オフの各選手の動向はサポーターとしても気になるものでした。しかしながら、実際フタを開けてみれば選手の流出は名古屋グランパスへ移籍したダヴィくらい。もちろんエースが抜ける穴は大きいのですけど、昨シーズン中にカタールリーグへの移籍話が出たことからもダヴィが引く手あまたとなるのは現実のものとしてサポーターも認識していましたから、これはまぁ予想の範囲内。ダヴィだけで済んだのは降格と共に玉田圭司や明神智和、土屋征夫らが出て行った柏や、別に降格してもないのに主力が5人くらい出て行った千葉に比べればずいぶんマシですし、その上ダヴィは3億円も置いていってくれたのですから、別に降格もしてないのにチーム総得点の2/3を稼ぎ出した2トップが丸ごといなくなった2001年に比べればかわいいもんです。もっとも、年間わずか4勝、史上最速タイ記録で降格という異次元の弱さを誇った札幌には、少なくとも獲得するために必要な金額に見合う選手がダヴィくらいしかいなかった、というほうが正しいような気もしますけど、ひとまずは来るべきシーズンに楽観はできずとも悲観するほどのことでもない、という感じ…だったはずなんですけど、ここに来て少々雲行きが怪しくなってきているようです。一転札幌に残留となったクライトンが、古巣アトレチコ・パラナエンセ(以下アトレチコ)へ移籍するかもしれない、という話が伝わっています。右下の時計の柄を三浦監督からクライトンに変えた途端にこれだ。
 昨季はリーグ5位となる9アシストを記録(TBSスーパーサッカーでの集計)するなど、J2降格となったチームにおいてダヴィと共に気を吐いたクライトンにも複数クラブから獲得の打診があると言われており、昨季終盤に父親が心臓病を患ってしまったため2試合を残した段階で帰国したため、そのまま退団・他チームへ移籍するのではないかというのが大方の予想でした。しかしクライトンが札幌と2年契約(昨季の段階で)を結んでおり、その違約金(一説によれば函館の夜景1つぶん)がネックとなり正式オファーまでには至らなかったらしく、さらにノブリンがクライトンを軸として考えていることなどから、移籍濃厚が一転して札幌残留となっていました。
 しかし、いったんは病状が快方に向かっているとも伝えられていた父親の容態は、その後あまり思わしくはないようで、看病のためチーム合流が遅れるという発表が1月17日にあった以降は何の音沙汰もないままグアムキャンプに突入しておりました。その実力はもうわかっているとはいえ、チームへの合流が遅れると言うことは既に「クライトンが軸」と明言しているノブリンにとってはチーム作りが遅れるということであり、可能な限り早めにトレーニングに加わって欲しいというのが正直なところでしょうけど、そこに湧いて出た移籍話。といってもいろいろと情報が錯綜していて結局のところはどうなってるのかよくわからないのですが、某掲示板や新聞など各方面の情報を総合すると、だいたい次のような感じみたいです。

 まずクライトン本人は、病に伏した父親を置いてブラジルを離れることを渋っており、ブラジル国内でのプレイを希望しているというのが前提にあり、そこでコンサドーレに来る前に所属していたアトレチコがクライトンを獲得しようとしている、というのがそもそもの発端。まぁクライトンの出身地ポルトアレグレとアトレチコのあるクリチーバとは500kmくらい離れてるんですけど、それでも地球の反対側にある日本との距離に比べればミジンコみたいなもんですし、クライトン本人の事情を考えればわからないでもない話。
 不思議なのは、アトレチコの公式サイトにもクライトンが加入するだろうというようなことが書かれているにも関わらず、札幌側は「アトレチコ・パラナエンセからは何の話も届いていない」とコメントしていること。まぁかつてブラジリエンセというクラブが公式サイトで「うちのジョジエルにコンサドーレ札幌からオファーが来たよ!」という主旨のニュースを載せ、速攻で札幌に否定されたということもありましたので、ブラジルにおいてはクラブの公式発表というのは王大人の「死亡確認」くらいの意味合いだと捉えたほうがいいのかも知れませんけど、ブラジルのメディアでもクライトンが札幌との契約を破棄するために必要な違約金の金額をはじめとする移籍交渉の内容や、アトレチコの会長やクライトン本人のコメントまで具体的に書かれているくらいですから、少なくとも移籍に動いているというのは事実と思われます。クラブ間で何の話もないということは、考えられるのはクライトン本人、あるいはクライトンの代理人が間に入って動いているという感じなのかも知れませんが、ひとまず現在の状況としては違約金に対してクライトン側(正確にはそれを肩代わりするアトレチコ側)が高すぎるからまけてくれ、という感じのようです。札幌としてもクライトンは(事情が事情とはいえ)できれば手放したくはないでしょうし、よしんば手放すにしてもクライトンの穴を埋めるに足るだけの選手を改めて獲得するための「実弾」が必要ですから、そうそう簡単に相手の要求に応じるわけにもいきません。

 そんなわけで一言で言えば「もめてる」わけなんですけど、昨季のアルセウを出すまでもなく今まで助っ人選手がトラブルとかで帰ったり帰らされたりした例は枚挙にいとまがないですし、クライトン自身、札幌に来る時もパラナとの契約を破棄して(パラナとの契約にはオファーがあったら移籍するよ条項があったと言われている)いますから、こういう事態になるのも予想していたわけではありませんが、なったからといって特に驚きがあるわけでもないですね。クライトンがチームに合流したと思ったら実はうなりやベベンさんだったりしたらそりゃ驚きますけど。もっとも、驚いたり怒ったり悲しんだり浜辺の蟹に話しかけたりしたところで結局はなるようにしかならんのですから、我々にできることは今後の成り行きを見守るくらいしかないですね。

2009年1月31日

帰ってくるクライトン

 サポーター及び関係者をヤキモキさせていたクライトンのアトレチコ・パラナエンセ移籍騒動ですが、昨日クラブから「熊本キャンプ(2月12日~)から合流する」という正式発表がありました。アトレチコの公式サイトでも、「クライトンの獲得はちょっと無理っぽいわ。だってコンサドーレがごうつくばりなんだもん。」というような旨(超意訳)のニュースが載っておりましたので、形はどうあれ決着はついた、と見ていいでしょう。それにしても、今回の件でのアトレチコといい、前回のエントリでも少し触れたブラジリエンセといい、ブラジルのクラブはけっこう細かいことというか、未確定事項まで公式サイトに載せたりするんですね。日本の常識だとニュースリリースで発表するのは原則として既に決まっている情報だけで、誰々を獲得に動いているとか誰々がどこぞに移籍するかも知れないみたいなことは原則スポォツ新聞の領域であり、むしろクラブ側にとっては秘密事項のはず。HFCも去年ダヴィがアル・サッド(カタール)への移籍交渉を行うためにチームを離れたということを公式に発表していましたが、あれはごくまれな例(というかどちらかといえばダヴィがチームを離れた理由の発表という意味合いが強かった)ですから、お国柄の違いってやつなんでしょうかね。
 この件については日刊スポォツが割と詳しく扱っておりますが、交渉決裂の理由はやはり金銭面。「アトレチコ・パラナエンセでは、札幌退団の場合に発生する約3,000万円の違約金を肩代わりする案もあったが資金難のため、代わりに複数の若手選手を交代要員として提示。だが、札幌側はいずれもクライトンの代役に匹敵しないと断固、拒否し続けていた」とのこと。そりゃそうですよね。男塾で言えば、伊達臣人の代わりとして冨樫や虎丸よこすようなもんですからね。で、結局は「双方の意見が平行線をたどっていたが、札幌側から、父親の病状が悪化した際、シーズン中でも帰国を認めることを条件に盛り込むなど、翻意をうながした。J2でのプレーに消極的で、家族からも母国でのプレーを熱望さていたが、新たな条件提示に再来日を決意。アトレチコ側からの正式オファーもなく、札幌との契約を履行するに至った。」ということらしいです。
 ただ、ここで気になるのが「J2でのプレーに消極的」という記述。ブラジルの記事では自分の見た範囲では2部でのプレイ云々はもちろん移籍の理由(父親の件)すら書いていなかったように思いますし、道内主要メディア(道新およびスポニチ、日刊、報知の北海道版)のうち、このことを書いているのは日刊スポォツだけ。三上さんがそうコメントしたのであれば、他のメディアが全スルーというのは考えにくい気がするのですけど、これはいったいどっからでてきたんでしょうね。そういえば、昨年12月のクライトンとの契約更新を伝える記事内で、「クライトン自身、残留への思いが強かったのも好材料だった。11月26日、父カルロスさん(57)が心臓発作で倒れ、ブラジルに緊急帰国する際『来年も札幌でプレーしたい』と言い残した。交渉中も『10万ドル(約900万円)高いクラブがあっても札幌を選ぶ』と言ったほど。」と書いていたのは他ならぬ日刊スポォツだったんですが(元記事)、いったいどれが本当なんでしょうか。
 あとは懸念事項である父親の病気の件についても、何かあればシーズン中の帰国を認めることでクライトンも納得したようですし、納得さえすればクライトンのことですから全力でプレイしてくれるでしょう。クライトンがポルトアレグレのアカデミー(が何を指すかは不明ですが)でトレーニングを続けているのはブラジルのメディアにも出てきてましたから、コンディションについてもほぼ問題なしだろうと思いますので、とりあえず一安心といったところでしょうか。
 しかしせっかくクライトンが戻ってきたんですから、ベガルタ仙台もナドソン残しておいて欲しかったですね。そうすればクライトン対ナドソン、略してクラ×ナドが実現したんですけど。

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