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2009年8月 アーカイブ

2009年8月 3日

面白きこともなき世を面白く

2009年Jリーグディビジョン2第29節
カターレ富山 0-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いません
     富山/おりません

 今年は冷夏だと言われているとおり、本州では例年になく涼しい日々が続いておりますが、その日本の夏というのは金鳥の夏であると同時に暑い日々が続きくもので、特に7月に入れば日中は30度を超えることも珍しくはありません。そのため、Jリーグでは夏になるとよっぽどのことがない限りは日中の試合は行われず、ナイトゲームがほとんどとなります。チームにとっては照明費用など余計なコストがかかり、アウェイチームにとってもナイトゲームの場合は終わってから帰るということが難しいため後泊の必要があり、そのぶん余計なコストがかかるため、日中の試合のほうがメリットは大きいのですが、夏になると毎年のように熱中症で病院に運ばれる運動部員のニュースが出るように、そういった猛暑の中でサッカーの試合を行うのは、選手にとってはもちろん観客にとっても危険ですから、背に腹は代えられないということなのでしょうね。といってもその大部分が温帯気候に属する日本列島では、単純な気温よりも湿度のほうが大きく影響し、夜になってもあまり気温が下がらないことが多いのですが、それでも直射日光がないだけマシです。平日の試合はやむにやまれぬ事情がある場合を除いて、季節に関係なく夜のキックオフとなりますが、夏の間は週末の試合も夜行われるようになるため、この時期は全ての試合が夜行われるようになります。
 しかし、亜寒帯気候に属しており夏場の気温も湿度もあまり上がらない北海道に本拠地を置くコンサドーレ札幌は、夏場でも日中に試合を行うことができます。ですから、コンサドーレだけはこの時期でもホームゲームとアウェイゲーム、プラスしてウィークデーの試合で頻繁にキックオフ時間が変わることになります。統計を取ったわけではないのであくまでイメージなのですが、札幌って平日夜のアウェイを割と苦手にしてる印象があるのは、コンディション面から考えると、そうでなくても移動がきつい札幌にとっては、昼間の試合に慣れている体を夜動かすのは微妙に影響しているためなのかな、と思います。

 前置きが長くなりましたが、この試合もまさにそんな感じ。電撃退団したクライトンがいなくなった上に、前節4試合連続でイエローカードをくらい、最短時間で有休取得をしたダニルソンも出場停止。加えて趙晟桓も腰痛で欠場と、助っ人3人を欠く緊急事態に、ノブリンは加入したばかりの石川をセンターバックとして起用、上里を左サイドバックにしてボランチは芳賀と宮澤、左のサイドハーフには岡本ではなく謙伍を、2トップの一角には大伍というメンツ。もはや誰がどこを本職としていたのかわからなくなるようなスタメンです。
 もっとも、試合が始まったら攻撃面ではミスばっかりでろくすっぽパスも繋がらないわ、守備でも組織的に守っているというわけでもなくただ闇雲にプレスをかけて、ボールに何人も群がる中学生みたいなサッカーを展開。いや、今時の中学生でももう少し考えてやってるような気もしないでもないですが、とにかくポジションがどうこう以前の問題で、今までどんなときも、渡せばボールをキープしてくれたクライトンがもういないのですから、今までとは勝手が違うのは仕方がありませんが、判断ミス、パスミス、トラップミス、シュートミス、ジョンスミス、バルサミコ酢などおおよそミスと言えるミスは全て出し尽くすといわんばかりのミスの出血大サービス。いやそれサービスじゃないし。
 そんな感じでいつもならばチャンスを外し続けているうちにぽろっと失点し、慌てて攻め込むもやっぱり得点を奪えずそのまま敗戦というパターンなのですが、富山も富山でしょーもないミスが多く、お世辞にも固いとは言えない札幌の守備陣を脅かすシーンもあまりみられず。新規参入組の中でもっとも順位が高く、決して弱いチームではないことはその順位が証明していますが、それでも怪我人が多くなかなか満足なメンバーが組めないことが大きく影響しているのでしょう。まぁ理由はどうあれひとまずピッチ上で繰り広げられている戦いは、一言でいえば「ザ・J2」といわんばかりの残念サッカー。それ以外には特筆すべきこともほとんどなく、おかげで書くことが全然ないという週中のアウェイゲームはスコアレスドローという結果で終了。

 まぁ過密日程が選手のパフォーマンスに少なからず影響していることは否めないですし、スコアレスドローという結果もサッカーでは珍しくも何ともないのですが、どうにもここまで両チームのサポーターにとって盛り上がりの少ない試合というのも珍しいですね。プロスポーツの興行としてはあまりよろしくないことですから、試合で盛り上げないのなら別の要素で盛り上げることも考えないといけないと思いますね。試合以外で盛り上がる要素としてよくあるパターンとしては「スタジアムに犬乱入」あたりが定番ですけど、それだと確かに盛り上がることは盛り上がりますが、おかしなところに迷い込んで逃げ回る犬を追いかける警備員の姿はコミカルですから、そのドッグショーが終了して試合が再開されても、なんとなく和んだ空気のまま試合が行われてしまいかねません。それではいけません。やはりピッチ上はほどよい殺伐感があって然るべきです。というわけで、ピッチに乱入するのが普通の小型犬ではなく、闘犬や警備犬だったらいかがでしょうか。「ちんたら試合をやってたらよく訓練されたドーベルマンをピッチに放します」というルールを採用し、スタジアムの電光掲示板に現在のドーベルマン投入確率を示す「犬指数」を表示。試合状況によってリアルタイムに増減する犬指数が試合終了時点でMAXになってたら、ホイッスルと同時にドーベルマン投入、という流れにするのはいかがでしょうか。おそらく逃げ切れるのは全盛期の岡野さんだけだと思いますから、選手も必死にプレイするようになりますし、試合内容が不甲斐ないからといってピッチに乱入するようなサポーターもいなくなるでしょう。乱入した途端に餌食ですからね。そしてこの試合みたいな内容であれば、きっとアディショナルタイムあたりにはホーム・アウェイ関係なくスタジアム全体から一寸も乱れぬ「犬コール」がわき起こり、真の意味での「一体化」が見られること請け合いです。Jリーグって素晴らしい。

2009年8月 5日

久しぶり

2009年Jリーグディビジョン2第30節
コンサドーレ札幌 4-2 ファジアーノ岡山
得点者:札幌/紀梨乃、西×2、上原
     岡山/西野、保坂

 第2クールに入ってから11試合で2勝5敗4分と、巻き返しを図るどころか1歩進んで2歩下がるチーターチームと化している札幌は、今節はホーム厚別に戻ってファジアーノ岡山との試合となります。第1クールの試合ではアウェイで対戦し、上里一将のドライブシュートで先制するも、その後チャンスを外し続けて後半に西野晃平のゴールで追いつかれるという、今季の札幌のおきまりパターンとも言える流れで引き分けに終わっています。生放送でも再放送な「8時だョ!全員集合」のコントを見ているかのような試合でしたが、全員集合はアドリブはあっても基本的に台本があってのもの。よく「筋書きのないドラマ」と呼ばれるスポーツの試合で、毎回のように筋書き通りにことを進めるというのもなかなかできることではありません。つーかすんな。

 まぁそれはともかく、コンサドーレの第2クールでの不調の原因のひとつとして、ここ5試合で無得点試合が3試合という深刻な得点力不足が上げられます。「得点は水物」といわれるものですが、一時期は8試合で19得点という爆発力を見せていたことから比べると、第2クールはここまで11試合で10得点という何とも水っぽすぎる今の状態。それでいて失点は同じく11試合で13。第1クールの1試合平均失点1.17に対し第2クールは今のところ1.18。守備力はそのままで攻撃力が落ちているのなら勝てるはずもありませんね。
 そんな攻撃力不足のまっただ中にいる札幌ですが、この試合のスタメンはDFでは腰痛で前節のメンバーから外れた趙晟桓が復帰。センターバックに入っていた石川が左サイドバックに回り、4バックは右から西嶋弘之、吉弘充志、趙晟桓、石川直樹。ダニルソンが引き続き出場停止のため、左のサイドバックに入っていた上里一将がボランチに戻り、宮澤裕樹とコンビを組みます。ここ3試合左サイドハーフとしてスタメン出場していた石井謙伍も累積警告で出場停止のため、ベテラン砂川誠が出場、右サイドハーフは藤田征也、そして2トップは前節と同じく紀梨乃と西大伍という布陣。そしてこの試合でユース所属の「小ヒロ」こと古田寛幸が発のベンチ入りを果たしています。
 得点力アップのための施策が「大伍FW」というのもどうしたもんかとは思いますが、ノブリンは宮澤をトップよりもパスの配球役として使いたいみたいですし、残りのFW登録の選手も交代出場がほとんどとはいえ上原慎也2得点、中山元気0得点、石井謙伍0得点、横野純貴0得点と、日本人FW全員が束になってかかってもDFの西嶋1人の得点数(4得点)と同じという惨憺たるもの。もっとも、身も蓋もない言い方をすれば点なんて誰が取ったってかまやしませんし、かつてはチーム得点王がディフェンダーだったこともあるコンサドーレにとっては別段不思議でもないことですが、もう少し前のほうでも点が取れるないことには安定して勝てるようにはなりません。であれば大伍のほうがまだマシなんじゃねぇの、という気にノブリンがなったかどうかはわかりませんが、果たしてこの試合、その大伍が大活躍することになります。

 30分、大伍が軽くヒールで後ろに流したボールを走り込んでいた紀梨乃がダイレクトボレーでゴールに叩き込みゴール。ユースの頃はバリバリのファンタジスタだった大伍らしいアシストで先制すると、そのわずか3分後には、GK荒谷からのキックをうまく拾った大伍が左足を振り抜いたシュートがゴール隅に決まり、あっという間に2点のリードを得ました。
 久しぶりに前半で2点のリードを得た札幌。あとは追加点をゲットして3点差にもっていってしまえば、ほぼ試合の趨勢を決定させることができます。ところが、2点も取ってしまったことで「いや、こんなはずはない」と思ってしまったのか、後半8分に寄せの甘さを突かれて苦手の西野晃平にゴールを決められ1点差。「あ~こりゃいつものパターンか?」と思ったその8分後の後半15分、再び荒谷のキックからボールを拾った大伍がミドルシュートを決めて再び2点差に。「まぁこれで少しは落ち着くだろう」と思いきや、どっこいその7分後の後半22分、淡泊な守備からサイドを割られ、交代出場の保坂にボレーシュートを決められてまたしても1点差に詰め寄られてしまいます。めまぐるしく動くスコア、「皆様に極上のスリルをお届けします」とでも言わんばかりのホラーサッカーで、試合の行方はわからなくなりました。いやそういうのいらないし。
 「聖地厚別」の伝説も今はいずこ、今ではすっかり「勝てる試合なのに勝てません」というかつての札幌ドームの魔物が移り住んできたかのような「勝てない伝説」に成り代わりつつある厚別競技場。その割には札幌ドームでも相変わらずアレなことも多いので、移り住んだと言うよりは「コンサドーレに合わせて通ってます」といった感じなのですが、こうなってしまうとノブリンも戦術的な交代をせざるを得なくなります。早い段階で3-0になっていれば初のベンチ入りを果たした古田を使う余裕も出てきたのでしょうが、この状況で古田を無理に使うリスクは負えないですからね。そんなわけで芳賀博信、中山元気と交代枠を使い、後半38分に砂さんに替わって上原慎也が出場した時点で古田の出番はなし。出場すれば上里を抜いてチーム史上最年少デビューだったのですけどね。
 その後は降りしきる雨の影響もあったのか、いやあったということにしときましょうか、お互い決定力を欠き迎えた試合終了間際、上里からのパスに抜け出した上原が放ったシュートが相手DFに当たってコースが変わりゴールイン。ようやく待望の追加点をゲット氏、試合を決定づけました。

 さて、久しぶりに大量得点での勝利で、それ以上に久しぶりな厚別での勝利でしたけど、それで溜飲を下げたか、と言われれば素直に喜べないのも事実で、試合終了後の会見でノブリンも嘆いていた「結果として4点は取れただけ」というのもその通りだと思います。もちろん点は取れれば何でもいいですし、むしろ今までは綺麗な形にこだわってばかりだった、というよりかは「前が空かないと頑なに打とうとしなかった」のが、大伍が取った2点や上原の4点目のように綺麗な形じゃなくても点を取ったというのは札幌にとってはむしろ大事なことだと思います。パスサッカーにしろ放り込みサッカーにしろ、攻撃の戦術なんてものは点を取るためにあるのであって、二極化されるようなものでもありません。試合状況やチームコンディションなどによって使い分けをしていってもいいと思います。今までどっちのサッカーもやってきてるのですからね。
 ただし、そうだとしてもビルドアップの段階でのミスの多さは相変わらずで、加えていつものように何でもないような形で2点を失ったことについては、監督でなくてもすっきりしない勝利でしょう。それに、第2クールは12試合を行ってこれでようやく3勝目なのですが、この3勝の内訳も栃木SC、愛媛FC、そしてこのファジアーノ岡山と、いずれも下位に沈んでいるチームから、しかもその下位チームを相手にしても「すっきり勝った」とは言えない試合内容だったことに、現在の札幌の力量はやはり順位なりのものなんだろうなぁと思いました。

2009年8月13日

実力通り

2009年Jリーグディビジョン2第31節
セレッソ大阪 3-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いません
     セレッソ/マルチネス、香川x2

 試合については、まぁこんなもんでしょうね。第1クールの試合では真っ向勝負を挑んで札幌が勝ち、それまで無敗だったセレッソに初めて土をつけましたから、サポーターとしてはまともに戦っても決してセレッソに劣っているチームではない、という思いも多少はあったのですけど、冷静に振り返ってみれば4-1というスコアも、札幌のゴールはゴールもロングボールからのもの、相手のミスからのもの、セットプレイ、カウンターと、相手を崩してのものではなかったですからね。まぁ得点の仕方にそれほど意味があるわけでもないですし、札幌の戦術がセレッソにまったく通じなかったかといえばそういうわけでもないのですけど、少なくとも展開次第では逆の結果になっていてもおかしくはなかったように思います。
 それだけに、この試合でも幾人かの選手も指摘していたとおり、試合開始すぐにあった2つのチャンスをものにできていれば、あるいはもっと違った結果になっていたかもしれないですけど、それができてりゃ今頃札幌のこの順位にはいないと思いますし、逆にチャンスをしっかりものにしたセレッソと比べれば、やっぱり実力通りの結果だったということになるのでしょう。1点目はバイタルエリアでのプレスが甘かったとはいえあんなシュートとめられっこないですし、2点目も香川を褒めるべきシーン。3点目はダニルソンのパスミスからだったので確かにもったいなかったですけど、それまでのダニルソンの奮闘ぶりを考えれば、ミスはミスとして反省してもらうにせよあのシーンだけをあげつらう気にはなれません。つーかダニルソンのパスミスなんて今に始まったこっちゃないですし。
 まぁそんな感じで1点くらいは取って欲しかったですし、取れるチャンスもあったとは思うのですが、結果自体には納得という感じです。光明といえば高校生の古田がプロ初出場を果たし、けっこうやれそうな感じのパフォーマンスを見せたことでしょうかね。それはこの後の試合で確信に変わるわけですが、それはまた別のお話。

 それはそれとして、セレッソのサポーターの皆さんにとってはもう今更なんでしょうが…。

kagawa.jpg

 おい、南海ファンが紛れ込んでるぞ。

2009年8月17日

カズマサの すごい シュート

2009年Jリーグディビジョン2第32節
コンサドーレ札幌 3-0 アビスパ福岡
得点者:札幌/宮澤x2、上里
     福岡/なし

 前節セレッソに力負けを喫した札幌にとっては、このホームゲームが仕切り直しの一戦となります。第1クールのアウェイゲームでは札幌が終始試合を押し気味に進めながらも、中払のへたくそな演技に引っかかったレフェリーによりダニルソンが一発退場を食らったこともあり0-0のスコアレスドローに終わりました。その後の試合を見ているとまぁあの試合でダニルソンが最後までいたとしても札幌が勝っていたかどうかは微妙に思えるのですが、福岡の状態はそれ以上に深刻で、22節愛媛FC戦から26節水戸ホーリーホック戦まで5連敗を記録、しかもその間5試合で2得点19失点と壊滅的な状態に陥っています。その後は5試合で3勝2分とやや持ち直し、順位も13位にまで上げて来てはいるものの、主力に怪我が相次ぎ万全とは言えない状況のようです。中払も欠場。いいのか悪いのかはわかりませんがツラを見なくて済むんだからいいことでしょう。
 そして札幌のメンバーですが、前節プロデビューを飾って及第点以上の動きを見せた高校生の古田寛幸がプロ初スタメンを飾りました。MF岡本賢明が怪我で戦線を離脱、MF藤田征也が熱発で出走回避…いや欠場、西大伍も怪我で欠場とここに来て前線の駒不足に陥っており、まさしく文字通りの学徒動員。宮澤裕樹が2トップの一角に入り、左のサイドハーフとして石井謙伍が入りました。

 さて試合ですが、監督が替わってもシステムが変わっても、結局のところ「札幌の伝統スタイルはやはりワンワンサッカーである」ということを思い出したのかどうかはわかりませんが、猛犬ダニルソンを中心としたワンワンプレスでボールを奪い、ワンワントップの紀梨乃を走らせる札幌がややペースを握ります。しかしカウンターからチャンスを狙う福岡もバイタルエリアではそうそう自由にさせてくれず、どちらも決定的なチャンスを作れないまま迎えた前半23分、右サイドでボールを受けた小ヒロからのパスを受けた大ヒロが右足で折り返すと、中央で待っていた宮澤が体勢を崩しながら足に当てたシュートがころころと転がってゴールイン。決して綺麗な形のシュートではありませんでしたが、逆に見事なゴールよりも、こういう「え? あれが入っちゃうの?」というようなゴールのほうが、相手にとってはダメージが大きいものです。競馬に例えていえば、かすりもしないレースだったらあきらめもつくけど、馬連で1着3着、しかも2着は最後まで抑えようか迷って切った馬、みたいな感じ。福岡も「もう少しうまくやれば…」と気持ちの切り替えがしにくかったのか、この札幌の先制ゴールでペースを完全に奪われてしまいます。
 調子に乗った札幌はその後も攻めの手を緩めず次々とシュートを放ち、そして前半35分、再び右サイドを破った大ヒロからのパスを受けた小ヒロが前を向こうとしたところをクリアされますが、このこぼれ球をまたしても宮澤がダイレクトでゴールに叩き込み2点目をゲット。その差を2点に広げ前半を終了します。

 さて体よく2点をゲットした札幌にとって後半に求められるのは、早めに追加点を奪って福岡の戦意を削ぐことです。何度も書いていることですが、2-0というのはよく言われるとおり「サッカーではもっとも危険な点差」です。鹿島アントラーズのような守備の固いチームならともかく、何にもないところでコケるのが得意な札幌にとっては、残り45分での2点差なんて決してセーフティーリードとは言えませんからね。しかしリードを3点に広げてしまえば、いくら札幌といえども逆転されない、と自信を持って断言できないのがコンサドーレサポーターの悲しいところではありますが、それでもよっぽどのことがない限りは勝てるような気がしないでもない、かもしれません。しかし逆に福岡にとってみれば3-0になるのはごめんこうむりたいところであり、早めに1点を返せば試合はまだわからなくなります。前半好き放題やられていたサイドの守備を修正してきた福岡に対し、サイド攻撃を封じられた札幌はチャンスこそ何度か作るもののいずれも単発に終わり、前半のような波状攻撃ができなくなってきました。そうこうしているうちにやはり連戦の疲れによるものもあってか札幌の運動量も落ち始めます。ワンワンサッカーは何より体力がものをいう戦術であり、その体力がなくなってしまうととたんに乙女チックサッカーに様変わりしてしまいます。福岡も攻撃でミスが多くさほどの怖さは感じないものの、体力と共に集中も切れて何気なく失点する様をこれまでも何度も見てきたサポーターにちょっとイヤな予感も漂い始めた後半22分、待望の追加点は予想だにしなかった形で生まれました。
 福岡の攻撃を凌いでクリアしたボールを自陣で拾ったのはボランチの上里。やや前がかりになっていた福岡の中盤には広いスペースができており、カウンターを狙えるチャンスです。しかし、ルックアップした上里が迷うことなくその左足を振り抜いたその先は、前方のスペースに走る味方ではなく、福岡のゴールマウスでした。これまでも何度か遠い位置から狙うことはありましたが、いくら何でもそりゃ無茶だろ…と思われたボールは一直線にゴールに向かっていき、前に出ていた福岡GK吉田をあざ笑うかのようにゴールイン。その瞬間、オレの何かが漏れた。その「何か」を、あえて聞くような無粋な真似はしないで欲しいですが、まさしく漏れるに値する、名付けて「漏れシュート」。約65メートルものスーパーゴールにはふさわしくないネーミングであることは言うまでもありません。
 とにかくこのゴールでどうやら気持ち的にすっかり折れてしまったらしい福岡に対し、ずいぶん気分的には楽になった札幌は、その後はやや危ないシーンはあったものの、懸念されていた「後半の後半の失点癖」も顔を出すことなく無失点で試合終了。まだ細かいミスこそ目立ちはしましたが、久しぶりのすっきりした勝利とカズゥのスーパー漏れシュートで厚別の夜を熱くしたのでした。

2009年8月18日

久々の連勝

2009年Jリーグディビジョン2第33節
東京ヴェルディ 1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/紀梨乃x2
     ヴェルディ/永里

 週中のホームゲームで久しぶりの無失点勝利を納めたコンサドーレ札幌は、今節は味スタでの東京ヴェルディとのアウェイゲームに臨みます。第1クールではホームで対戦しましたが、終始相手にほとんどサッカーをさせないほどペースを握り、後半38分にはヴェルディのDF富澤清太郎が2枚目のイエローカードで退場するなど、さんざっぱら試合を有利に進めておきながらMF岡本賢明のゴールのみに留まり、後半アディショナルタイムにわずかな隙を突かれてゴールを決められ、9分9厘手にしていた勝点3を逃すという、今季のコンサドーレを象徴するような試合でした。もっとも、ロスタイム失点病は今季に始まったことではありませんけどね。
 ヴェルディもシーズン序盤の躓きで低迷していたものの、第2クールに入ってからは10戦連続負けなしと調子を上げ、順位もじわじわと上げてきています。しかし前節ファジアーノ岡山戦では2点を先制しておきながら終盤立て続けに3失点を食らって逆転負けを喫するというオッペケペな試合をするなど不安定さも覗かせています。まぁかつてロスタイムに3失点したこともあるチームに比べればどってことないですけどね。

 さて、札幌はDFの趙晟桓が累積警告で出場停止。前節左サイドバックとして出場した石川直樹が晟桓の代わりにセンターバックに入り、左サイドバックには前節65メートルの超ロングシュートを決めた上里一将が務めます。この空いたボランチに誰が入るかということがひとつの興味でしたが、今季はボランチで使われることの多かった宮澤裕樹は、ノブリンも前節2得点を挙げたことで再度FWとして使いたかったのでしょう、宮澤ではなく怪我で前節を欠場した西大伍をボランチで起用。そして発熱で同じく前節を欠場した藤田征也が左サイドハーフに入り、右サイドハーフには高校生の古田寛幸が2試合連続のスタメン出場。利き足を考えると征也と小ヒロの位置は逆なのですけど、クロス一辺倒ではなく中で勝負しろというノブリンのメッセージなのだと思います。
 で、この微妙なシフト変更が奏功してか、試合は始まってから札幌がほぼ一方的に攻め込む展開で、開始15分まで札幌のGK荒谷僧正がまったくボールに触らないというレベル。しかしそれでも15分過ぎには縦パス1本で大黒がシュートまで持っていく形を作ります。札幌はもとよりヴェルディにもあまり派手な髪の毛の選手がいない中、1人だけ金髪というのかプラチナ髪というのか、人形破壊者みたいにも見えるし、あるいはなまはげみたいにも見える色の髪はどこにいてもわかりますし、正直言ってあまり似合っていない点を含めてもっとも目立つ選手なのですが、それでも少しでも目を離すとあっという間にチャンスを作ってしまうあたり、さすがに危険な男です。そういう選手をマークしているのですから、札幌守備陣としてはいつも以上にセンシティブな対応をしなければいけません。21分に吉弘がクリアミスして危うく失点しかけたのも、なるべく大黒に触らせる前にクリアをしたいあまりのプレイだったのでしょうが、このあたりはさすがに何もないところからピンチを生むチームとして定評のある札幌らしいシーンだったと思います。
 それでも結果的に失点をしなかったことで札幌の勢いは続き、前半25分、古田が左サイドのオープンスペースに出したパスに走り込んだ上里がダイレクトに上げたクロスを紀梨乃が頭で叩き込んで札幌が先制。このプレイはクロスもシュートも見事だったのですが、その前に大伍が倒されたファウルをアドバンテージにした主審の判定もお見事だったと思います。この試合の主審を務めた山本雄大審判員、今季からJ2主審になったばかりのまだ若い方みたいですが、とてもしっかりした感じでしたね。
 先制した後は若干札幌もペースダウン。プレスも控えめになります。暑さや連戦の疲労を考えれば90分イケイケサッカーを貫くのは無謀ではありますので、これは当然と言えば当然ですが、それによって少し攻め込むシーンの多くなったヴェルディもミスが多く札幌のゴールを脅かすまでにはいたらず、前半は札幌リードで終了します。

 前回の対戦のことを考えればやはり追加点は取っておきたい札幌は、後半開始早々の2分にダニルソンのパスに抜け出した紀梨乃がペナルティエリア内で相手GK土肥と接触して倒れます。これはファウルなしの判定でしたが、その後もヴェルディ陣内に攻め込み惜しいチャンスを作ります。そして7分、古田からのパスを相手DFと競り合いながらキープした紀梨乃が放ったシュートはいったん土肥に止められるものの、そのこぼれ球を再び自ら押し込んで待望の追加点をゲットしました。
 その後も札幌がボールをキープする展開が続き、ヴェルディにボールを奪われてもどこからともなく現れるダニルソンがことごとく潰し、ほとんど攻撃の形を作らせません。札幌の攻撃も若干雑になってきてそれまでよりもいい形でのシュートはなくなってきましたが、それでもこの内容からすれば、いくら「危険なスコア」と言われる2-0でも問題はないだろうという感じでした。ところがどっこい、そんな状態でも決して安心させてはくれないのがコンサドーレ札幌というチーム。後半24分に一瞬の隙を突かれ永里にゴールを決められてしまいます。
 こうなると流れは1点を返して勢いに乗るヴェルディへ。あれだけ主導権を握っていた札幌もスタミナ切れてきて運動量が落ちたこともあり、押し込まれるシーンが続きます。相変わらず最後まで安心させてくれないこのチームですが、それでも何とか残り時間を凌ぎきり、連勝を達成したのでした。

2009年8月21日

長良川艶歌

2009年Jリーグディビジョン2第34節
FC岐阜 0-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ダニルソン、砂川
     岐阜/なし

 久しぶりの連勝を果たして勢いの乗るコンサドーレ札幌は、3連勝を賭けてFC岐阜とのアウェイゲームに臨みます。第2クール最後となるこの試合、しっかり勝点3をゲットしていい形で第2クールを終えたいところですが、真夏のアウェイ連戦の上、チームも怪我人や出場停止の選手がだいぶ増えてきています。そんな中でめぐってきたチャンスをしっかりものにしている古田寛幸の台頭や、石川直樹のレンタル補強はあったものの、もともと開幕当初から少ない人数でやってきただけに、そのやりくりにはノブリンも頭を悩ましていることでしょう。メンバーは前節に引き続き趙晟桓が出場停止のためDFラインは前節と同じ。前節4枚目のイエローカードを受けた藤田征也も出場停止で、岡本賢明も怪我で戦線離脱中ということで、左のサイドハーフとしてスタメン入りを果たしたのはベテランの砂川誠。2トップは紀梨乃と西大伍、ボランチはダニルソンと宮澤裕樹という布陣。大伍と宮澤の位置が前節と逆となった(というか戻った)感じですが、この辺は特に2人ポジションにこだわらずに試合の流れによって入れ替えるということでしょうか。まぁノブリンとしてはなんかもうどっちでもいいやという気になってるのかもしれませんが。
 相手の岐阜とは初対戦となった第1クールの試合(札幌ドーム)で、西嶋弘之、岡本賢明、上里一将のゴールで3-0の勝利と、札幌が数少ない完封勝利を果たした相手だけに厄介な相手というようなイメージはあまりないですが、岐阜のホームスタジアムである岐阜メモリアルセンター長良川競技場は、メモリアルとついても別にときめきがあったりはしませんが、ここでの岐阜は滅法強くここ11戦は負けなし、首位セレッソ大阪にも勝っています。前節終了時点の成績では札幌と岐阜との勝点差は6とそんなに離れてはいませんから、簡単な試合にはならないでしょうが、昇格へのわずかな望みを繋ぐためにも負けられない相手です。

 さて、札幌がこの長良川競技場に来るのはJFL時代の1997年にナビスコカップの予選対横浜マリノス(現横浜F・マリノス)戦でホームとして使用して以来のこと(隣の球技場では同年の9月に西濃運輸とのアウェイ戦を行っている)。何せ12年以上も前のことですから、その時にチームにいたのは1997年~98年まで選手として在籍していた赤池保幸GKコーチくらいで、サポーターの中でも当時を知る人はかなりの古参の方に限られるでしょう。もちろん、現在ハタチのオレも知りません。

 まぁそんなわけで試合は、キックオフ時点でまだ30度オーバーという気温の中だけに静かな立ち上がりになるだろうと思っていたら、そんな予想を見事に覆してくれたのがMFダニルソン。普段はどちらかと言えばそのあきれるほどのスピードに裏付けされた守備範囲の広さと、野生の勘に基づいた獰猛なディフェンスっぷりが目立ち、攻撃面ではたまに遠目からのシュートを狙ってあさっての方向に蹴るくらいで、あまり自分でゴリゴリ行くようなことはなかったのですが、この日はキックオフからなんかいつも以上にハッスル三昧。開始早々に紀梨乃とのワンツーで群がる相手を蹴散らして突っ込んでいったと思ったら、前半3分には自らドリブルで突破して左足を振り抜き、岐阜GK野田恭平の脇下をすり抜けてゴールイン。シュートは決してジャストミートというわけではありませんでしたが、開幕前のFC東京戦での2点目のゴールや愛媛FC戦のゴールもそうでしたが、ダニルソンのシュートって一見イージーでもGKが取り損ねるみたいな感じのものが多い気がしますね。あの膝から下にもう一つ関節があるかのような軟体動物みたいな足から放たれたボールは、なんか変な回転がかかってたりするんでしょうか。
 とにかく先制点をゲットして気をよくしたのか、その後も同じ人類とは思えないプレイでピッチを蹂躙。ずっとダニルソンのターンかと思われましたが、どうやら彼にはカラータイマーでも搭載されているのか、開始10分を過ぎたあたりからそれまでのパフォーマンスは影を潜めてきました。それに伴ってほぼ一方的に攻め込んでいたチーム全体も徐々に受けに回るシーンが多くなりますが、それだけに余計にダニルソンの出会い頭の先制点が重要な意味を持ってきます。暑さを考えれば遅かれ早かれ札幌のワンワンサッカーが機能しなくなるのは予想できたことですからね。それが意外と早かったというか、いくら何でも早すぎるというのはありますが、何度か岐阜にいい形を作られながらも荒谷僧正の法力などでなんとか守り、前半は1点リードのまま終了。

 15分のインターバルで少しは回復したか、後半はやや持ち直したのですが、それでも決定的なチャンスを作るまでには至らず。ボールキープ率は札幌のほうが上ですが、いい形を作るのは岐阜のほうで、ペースとしては五分五分といった感じ。そんな状況にノブリンは宮澤に代えて芳賀博信を投入、ひとまず中盤の守備強化を図ります。まぁ実際この試合の宮澤はあまりよくなかったので交代はわかりますが、これによって多少守備は落ち着いたものの、攻撃面では相変わらず。というか何しろセカンドボールが全然拾えてないので、とりあえず跳ね返すことは跳ね返しても、すぐにボールがこっちのゴール近くまでやってくる、といった感じです。
 そんなイヤな流れをうっちゃったのはやはりこの男。そう、ダニルソンでした。しばらく攻め込まれていた後半28分、大ヒロが相手と競り合ってこぼれたボールに鋭く反応しボールを奪うと、すぐさま野生の勘で迷わず前線の大伍にパス。この時点で3対2と完全にカウンターの形となり、ボールを受けた大伍が右サイドを駆け上がる砂川へパスを送ると、ベテラン砂さんはこれを落ち着いてゴールに決め、待望の追加点をゲットしました。
 試合の流れからすれば、こうなった時点で札幌が考えることはまずは守りきること。当然ノブリンもそれはわかっているようで、続く交代は中山元気。前線から激しいプレスをかけて後ろの人たちを楽にし、あわよくば点を取ってくれるような気がしないでもないという、こういう時にはうってつけの人材です。その中山さんは、疲れの見えた紀梨乃と交代で入ってきた上原と共に期待通りの奮闘で残り時間を守りきり、札幌は3連勝を達成。第2クールをいい形で終えることができました。

2009年8月24日

いつものこと

2009年Jリーグディビジョン2第35節
コンサドーレ札幌 3-3 サガン鳥栖
得点者:札幌/紀梨乃、ハファエル、元気
     鳥栖/マイク、島田、高橋

 3連勝と波に乗るコンサドーレ札幌は、昇格レースへの生き残りを賭けて6位のサガン鳥栖と対戦します。昇格圏内からはだいぶ離されているものの、気がつけば鳥栖とは勝点4差にまで詰め寄っており、この試合に勝てばその差を1にまで縮めるチャンスです。昇格レースという意味では札幌の目の前にあるものは蜘蛛の糸よりも細いですし、掴まってもいつ切れるかわからないわけですけど、だからといって「どうせ切れるんだし」などとあきらめていいものではありません。たとえ細くても極楽浄土へ行く努力を怠ってはいけないのです。もっとも、この場合糸を登っていっても上がった先は決して極楽なんかではないんですけどね。
 まぁそんなわけで4連勝を賭けてのサガン鳥栖戦ですが、前節出場停止だった趙晟桓と藤田征也が戻ってきたものの、ただいま絶賛売り出し中の小ヒロこと古田寛幸がU-18日本代表のSBS杯メンバーに選ばれたため欠場。久しぶりにドナドナですが、札幌のメンバーはGK荒谷、DF大ヒロ、晟桓、石川、上里、ダニルソンのワンワンボランチにトップ下宮澤、右に征也で左に砂さん、2トップは紀梨乃と大伍。

 さて試合は、3連勝の勢いそのままに札幌が宮澤のスルーパスから紀梨乃が落ち着いてゴールに流し込みとっとと先制します。試合前から生まれたばかりの娘のために「ゴールを決めてゆりかごダンスをやりたい」と公言していた紀梨乃、その言葉通りにゴールを決めてダンスを披露したわけですが、得点の取り方が人数をかけて押し込んでのものではなく、どちらかといえばカウンターに近いシンプルな攻撃だったために、みんなが集まってくるのが遅れて全然人数が揃わず、最初のゆりかごに大ヒロとカズゥが間に合わなかったのですけどね。まぁ最終的にはGK荒谷僧正とセンターバックの2人を除いた8人が集まってのゆりかごダンスはいい光景ではありましたけど。
 さて幸先よく先制した札幌ですが、当然このまま手をこまねいていられない鳥栖も反撃に出ます。鳥栖の攻撃は中盤のプレスからのハーフカウンターを基本線としながらも、状況によってマイクに当ててそのこぼれ球から展開というものですが、実際のところソダンや箕輪のいないいまの札幌には194cmのマイクを相手に空中戦を渡り合える選手がそうそうおらず、前半9分にはオフサイドで事なきを得たもののこのパターンで廣瀬浩二にゴールネットを揺らされており、シンプルでも札幌にとってはかなり効く攻撃です。この試合、マイクに対するマークはポジション的に石川が務めておりましたが、高さ面ならまだ晟桓のほうが勝負になったとは思いますし、カバーリングは石川のほうがうまいですから、ポジション的には逆でも役割を変えたほうがよかったんじゃないかと思います。とはいえ、晟桓もマイクが相手じゃやっぱり分が悪かったわけですが。柴田ならマイクにも勝てるでしょうけど、それ以外の課題が多いんでしょうかね。
 かといって札幌も受けに回っているわけではなく、出場停止明けの征也を中心としたサイド攻撃にカウンターを交えいい形を何度も作りますが、決めきることができません。いつものパターンだなぁという気が何となくしていると、案の定前半18分に日高拓磨からのクロスをマイクにダイビングヘッドで決められ失点。シーズン途中に移籍してきてから前節まで17試合で9得点、ほぼ2試合に1点のハイペースで得点を積み重ねるマイクを抑えきるのは難しいと思っていましたが、あまりにもいつも通りすぎる展開です。
 突き放したい札幌はなんとか鳥栖ゴールをこじ開けようとしますが、GKのファインセーブにあったりで得点できず、逆に前半36分にはCKからのカウンターで晟桓が廣瀬をペナルティエリアの中で倒してしまいPKを献上。これを島田に決められ逆転を許してしまいました。さすがに島田、宮史郎に似ていてもこのあたりは外さないですね。
 逆にビハインドを負う展開となった札幌は前半のうちに追いつこうと攻め込みますが、征也が作った絶好のチャンスを砂さんがブッぱずしたりして前半はこのまま終了。

 勝利のためにはまずは追いつかなければいけない札幌は、後半頭から宮澤に代えハファエルを投入。大伍の位置を1列下げ4-1-4-1に変更します。ハードワークの部分でまだ足りないものがあるのか、来日してからまだスタメン出場どころか時間稼ぎ要員だったことなんてまだいいほうで、出番自体なかった試合も多かった彼でしたが、久しぶりに与えられたチャンスできっちり結果を出します。後半14分に紀梨乃の落としからミドルシュートを決め、喉から手が出るほど欲しかった同点ゴールをゲットします。
 ところで、ハファエルがこのゴールの後にやってた両手の人差し指を突き上げるパフォーマンスって、紀梨乃もやってますしかつてはエメルソンやダヴィやフッキもやってたのを見たことがありますが、ブラジル人にとって何か意味のあるポーズなんでしょうかね。つーかHFCはなんでコマネチとか欽ちゃんジャンプとかアダモちゃんとか仕込んでおかなかったんですか! 職務怠慢ですよ!
 それはともかく同点に追いついた札幌は遅ればせながらのイケイケモード。おまけに後半27分にはハファエルを後ろから倒した飯尾が2枚目の警告を受け退場。まぁ鳥栖にはマイク大作戦があるので、1人減ったところでさほど大きな影響があるわけでもないのですが、試合の流れとしては一気に札幌に傾きます。そして後半41分、本日絶好調で何本も絶好のクロスを上げておきながら誰もが決めてくれなかったかわいそうな征也のクロスを、交代出場の中山元気が頭で決め、ついに札幌が逆転に成功しました。
 苦しい試合ながらも試合終了間際に逆転、しかも相手は1人少ないという状況と、普通だったら難なく逃げ切れていい状況です。問題があるとすれば、札幌が普通のチームではないことなのですが、まぁやっぱりというかなんというか、後半アディショナルタイムにペナルティエリア手前からのフリーキックを高橋義希に直接決められ見事に同点に追いつかれてしまいました。

 結局試合は3-3で終了。「あと残り試合を全て勝ってなんとかなるかもしれない」という札幌にとって、シーズン全体の話では非常に痛い引き分けでしたし、「最後まで守りきれず勝てない」といういつものクセが出たという意味では悔やまれる試合だったわけですが、サッカーの試合という意味では、お互い攻守の切り替えも速く、意地のぶつかり合いという感じで面白い試合だったと思います。まぁあとエポックメイキング的なことといえばダニルソンがカードをもらわなかったということですね。雪が降らなければいいのですけど。

2016年2月

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