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2012年4月 アーカイブ

2012年4月 2日

未だ勝ちなし

2012年Jリーグディビジョン1第4節
コンサドーレ札幌 0-1 清水エスパルス
得点者:札幌/ない
     清水/高木

 「高木のゴールで1-0で勝利しました」と書くと札幌が勝ったような気がしますが、勝ったのは清水です。今季初勝利を賭けて臨んだ清水エスパルスとのアウェイ戦、今まで一度も勝ったことがないアウトソーシングスタジアム日本平での初勝利も期待されましたが、残念ながら0-1で敗れてしまいました。

 まぁ、日本平で0-1なら今までで一番よかったんじゃないですかね。何しろ今までの通算成績は、4試合で3得点15失点、少なくとも3失点はしないと勘弁してもらえないという惨憺たるものでしたから。相性が悪いとかそういうレベルの話じゃないですよね。有り体に言えば、フルボッコ。
 それがこの試合では守備陣も清水をシュート4本に抑える出来でしたし(清水の攻撃もたいがいしょぼかったですけど)、攻撃も存外やれてはいるんですよね。その辺は今までと比べれば雲泥の差なんですが、ただ、それでもやっぱ細かいところでの技術の差はあったように思います。勝負どころのパスはしかたないとしても、奪って一本目二本目のパス、これはスカパー!解説のモン…いや柱谷幸一氏も指摘していたとおり、ここの精度が極めて低いのが気になりましたね。あとはフィニッシュの精度以前に思い切りが欠けているどころじゃないというか、打ったら家族がひどい目に遭うぞとか、中学生の頃の恥ずかしい自作小説を発表するぞとか脅されてるんじゃないかと思うくらいのシュート拒否っぷりです。「少ないチャンスを確実に」とは言いましたけど、マエシュンにせよ内村にせよヤスにせよ、逆に「チャンスが少ない」というのを意識しすぎて、大事にいこうとしちゃってるのかもしれませんね。この試合だけでなく今までの試合でも、ダイレクトで行ける場面でもひとつふたつトラップ入れてしまうシーンも結構ありますし。気持ちは分かりますけど、サッカーにおいては攻撃の時間をかければかけるほど得点率が下がっていくのは統計としてありますので、やっぱりあそこまで行ったらチャレンジして欲しいなと思います。
 また、守備もまずまず機能してきているとはいえ、それでもここまでの失点全てを見てみると、やっぱりバタバタしている時にやられてることが多いのですよね。要するにクリアボールを繋げることが出来ず、マークの確認や立て直しの時間を取ることが出来ずにフリーの選手を作ってしまうパターン。状況的に余裕がないと、どうしてもボールに意識が集中しがちではありますが、そこはちゃんと声をかけあってもらいたいところ。目と目で通じ合うのは色っぽいですし、目と目があったらミラクルですけど、サッカーにはあんまり役に立たないと思いますので。
 それと、ホスンがコーナーキックで2度もかぶったり、去年なら止めていたシュートを止められていないのも気にはなりますけど。もともとムラッ気のあるGKではありますけど、ちょっとプレイに真宵があるようにも見えます。悩んでいるようであればちょっと休ませるのも必要かも知れませんが、まぁその辺は現場のスタッフにしか分からないことですからね。

 ひとまず前節まではあまりパッとしなかったキリノや大島がこの試合で復調気配を見せてきているのも好材料ではありますので、そこいらへん、何かきっかけがあれば変わりそうな気もします。別に大した根拠があるわけではないですけど。本当に、本当にあと1枚殻を破ることができれば、中からかわいいひよこがぴーよぴよな気がするんですけど…。あまりこの状態が続くと、方向性は間違ってなくても自信を失ってしまいかねません。自分なんて極度の方向音痴なので、正しい道を行ってるのに、突然引き返したりしますからね。

 そしてあとは…やっぱり山本・如来・真希の怪我が痛かったですよね。チームとしても、あそこから一気にチームのテンションが下がってしまいましたから。この原稿を書いている段階ではチームから彼の怪我についての発表はありませんが、腿裏ということで長引くかもしれません。もちろん軽いに越したことはないのですけど…。怪我はつきものとはいえ、高柳も膝の怪我で長期離脱を余儀なくされている今、ノブリンとしてもどういうメンツで今後を乗り切るかは頭の痛いところでしょう。河合主将さえいれば守備の面ではある程度は踏ん張れると思いますけど、攻撃面で如来のようにしっかりとスペースに飛び込んでいってボールを引き出せる動きのできる選手はそうそういないので…。前くんも宮澤もそういうタイプではないですし。可能性があるとしたら荒野くらいでしょうか。U-19の代表合宿に行っちゃってますけど。

 まぁ、いずれにしても負けは負け。ちなみにこの試合に先立ちまして、クラブが「赤い羽根共同募金」の活動に協力し、1ゴールにつき3,000円、リーグおよびカップ戦での勝点1につき3,000円を共同募金会に寄付することを発表しましたが、ゴールも、勝点も、ないんだよということでこの試合の募金額はゼロです。野球選手も個人で1勝とか1盗塁とか1ホームランごとにいくらみたいなチャリティーやってたりしますけど、「失点1と失った勝点1ごとに3,000円」というほうが意外とみんなが幸せになれるんじゃないでしょうかね。
 いずれにせよ、今のままでは札幌サポーターのバッドエナジーでピエーロ様復活が前倒しされかねないので、そろそろ勝利が欲しいところですよ。ホントに。

2012年4月10日

やっと勝った

2012年ヤマザキナビスコカップ グループB第2節
横浜F・マリノス 1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/大島、榊
     マリノス/松本

 はーどっこい(挨拶)

 前の試合で清水エスパルスにあと一歩及ばなかった札幌は、今季初めての平日試合、ナビスコカップの横浜F・マリノスとのアウェイ戦に今季初勝利を賭けて臨みました。相手のマリノスも現時点でリーグ戦、カップ戦含めて未勝利で、どちらが先に初勝利をもぎ取るかという対決。こういうのってだいたい引き分けという微妙な結果に終わったりするのがパターンですが、結果は大島と榊のゴールで2得点を挙げた札幌が、マリノスの猛追を1失点で凌ぎ勝利を挙げました。

 前節の新潟戦で、「当該試合直前のリーグ戦5試合の内、1試合以上先発メンバーとして出場した選手を6人以上含まなければならない」というJリーグのベストメンバーの基準を逆手に取り、「まだ2試合しかしてないんだから関係ないじゃろ」とばかりに「スタメン全員を丸ごと入れ替え」という思い切りすぎる大胆起用をしてきましたが、今節も「まだ4試合しかしてないんだから関係ないじゃろ」ということで、やっぱりスタメンを大幅入れ替え。「札幌がやってるんならうちがやっても大丈夫だろ」と思ったかどうかは分かりませんが、マリノスもスタメンを前の試合からほとんど入れ替えてきました。
 試合としては割と静かな立ち上がり。マリノスは五輪代表FW齋藤学を中心に、札幌は大島のポストを中心に攻撃を仕掛けますが、両チームとも守備陣が落ち着いて対応し、つばぜり合いといった感じの様相…などと思っていたら、ゴールは意外な形でやってきました。札幌の何でもないクリアボールをバックステップしながら処理しようとしたマリノスDF青山が、芝生に足を取られたか突然転倒。こぼれたボールを素早く拾った大島がそのままドリブルで突き進みます。大島を阻む者はGKしかいない超がつくほどのビッグチャンス到来です。しかしここで「シュート入らないイメージ」が見えてしまうのが札幌サポーターの哀しいところですが、さすがにJ通算94得点のベテランFW、ゴールキーパーむったん六反のタイミングをうまく外す「ちょこざいなチョロシュート」をゴール隅にキッチリ決め、札幌が先制点を得ます。
 このゴールでだいぶ気分的な余裕が出た札幌は、その後も反撃に出るマリノスを相手に互角の試合を見せます。「カモメッシ」こと齋藤学から何度も崩されかけますが、奈良&櫛引の未成年センターバックコンビを中心に守備陣が身体を張って守ります。左サイドバックで先発出場した上原が負傷交代するアクシデントはあったものの、今季初先発となったぎーさんことGK高木貴弘も好セーブを連発、未だ健在っぷりをアピールしました。
 そして迎えた前半アディショナルタイム、立て続けにコーナーキックを与えるピンチを凌ぐと、すかさず左サイドを駆け上がる日高にパスが通り絶好のカウンターチャンス。そのままドリブルで突破した日高がトップスピードのまま左足で上げた柔らかいクロスは、ちょうどゴールキーパーが出るか出ないか判断を迷う絶妙な位置へ。そこへ飛んで来たのが、「清水町が生んだ偉大なる豆柴」こと榊翔太。こちらもトップスピードのままワンワン言いながら胸でトラップ、浮かせたボールを飛び出してきたゴールキーパーより先に頭で触ると、ボールはゆっくりとネットに吸い込まれます。榊のプロ初ゴールで札幌が突き放しました。

 これ以上ない形で前半を終えた札幌ですが、後半になるとドリブルでの仕掛けを多用してきたマリノスに翻弄されるようになります。前半けっこうすっ飛ばしていましたからそれは仕方がないのですが、前半のうちに既に1枚交代カードを使っている札幌としては、バテたからと言ってあまり早くに交代させられないし、あまりにも早く守り用のカードを切ってしまえば、気持ち的に守勢に回ってしまう可能性もあります。試合が始まってしまえば指揮官に出来ることなど限られてはいるのですけど、それでも交代のタイミングや要員によっては試合展開を大きく変えてしまいかねません。失敗したからといって「てへぺろ」では済まないのが辛いところです。
 そして後半23分、齋藤学のドリブル突破に何人も引っ張られたところでフリーになった松本翔というジャニーズっぽい名前を持つ選手にゴールを決められ、1点差に。その後も三上に代えて近藤を入れますが、全体的にラインが下がっては近藤も守備に追われることが多く、ラスト30分はほぼ一方的なマリノスペースとなります。それでも札幌は集中力を切らせずリードを守り切り、5分のロスタイムを凌ぎきって今季初勝利。カップ戦で控えメンバー中心とはいえ、大きな自信となる勝利を手に入れました。

2012年4月12日

ぼっこぼこ

2012年Jリーグディビジョン1第5節
コンサドーレ札幌 0-2 柏レイソル
得点者:札幌/ない
     柏/工藤、近藤

 水曜日の試合で今季初勝利を挙げた札幌は、昨季王者の柏レイソルを札幌ドームに迎えてのホームゲームを戦います。ようやく勝てたとはいえそれは空くまでカップ戦の話。同じように見えてもリーグ戦とは花粉症と金粉ショーくらいの違いがあります。残留のためにはリーグ戦で勝点をゲットしなければいけません。それが昨季Jリーグチャンピオンであればなおのこと。それが石崎監督が札幌の前に指揮を執っていた柏レイソルです。いくらJリーグ王者といっても、その前年は札幌と一緒にJ2の釜の飯を食ってた仲じゃないですか。それがなんですか。今じゃACLだかCWCだかOHPだかぶいぶい言わしてるじゃらしいじゃないですか。わが世の春らしいじゃないですか。欠けたることもなしと思えば状態らしいじゃないですか。うらやましい。

 そんなわけで札幌は、前節清水エスパルス戦で負傷交代した山本真希はやはり大腿二頭筋、ハムストリングスの肉離れと診断され、全治1ヶ月の重傷。さらにナビスコカップ横浜F・マリノス戦でやはり負傷交代した上原慎也も右第五中足骨骨折という思った以上の重傷で全治2~3ヶ月。怪我はスポーツ選手の宿命とはいえ、ここまでリーグ戦2点(※全2得点中)を挙げている山本真希の離脱は痛いですし、いざとなればパワープレイ要員にもなる上原の離脱も痛いところ。少しでも早く治るよう、木工ボンドを贈りたいところです。その真希の代わりに、ナビスコカップでもスタメンで出場した宮澤裕樹がボランチに入りました。

 試合は立ち上がりは札幌ペース。前線からのプレスから高い位置でボールを奪う、というと簡単ではありますが、実際のところ前の選手が追い込みつつ後ろの選手はパスコースを読んでパスカット、もしくはパスを受けた相手選手にいち早くプレッシャーをかけてミスを誘ったりボールが収まらないうちに奪うという連動性が必要になります。これをできるだけ前方の選手で出来れば相手ゴールへの距離は短くなりますし、相手の人数も少なくなります(もちろん状況にもよりますが)。出だしの札幌はこれが面白いように決まり、Jリーグ王者を相手に「じゃあなんでそんなに黄色いんだよ」とばかりに果敢に攻め込みます。7分には純平からのクロスを内村が右足で合わせ、16分にはコーナーキック崩れからのクロスを居残っていたジェイドノースがフリーで頭で合わせるなど、惜しいシーンも作り出します。
 ところがさすがに経験豊富な柏レイソル、「うふ、坊やたち元気いいのね」とばかりに老獪に札幌をいなすと、30分過ぎから徐々にペースを握られます。そして33分、CBの奈良さんが相手のロングパスをクリアし損ねてボールを柏FW工藤に渡してしまい、これをそのまま豪快に決められてしまうと、うまくいっていたはずのチーム全体が途端にリズムを崩してしまいます。ワグネル・レアンドロのブラジル人コンビがうまいことスペースに入り込んで組み立てていたというのもありましたが、それにしてもあれだけ効いていたプレスも全く効かなくなり、奈良さんもらしくないミスを連発。ジェイドノースに至っては「俺の、俺の、俺の名を言ってみろ!」とばかりにいきなり自陣からドリブルで駆け上がってまごまごする始末で、守備が後手後手に回ってはチーム全体の押し上げも出来ず、劣勢のまま前半終了。

 後半頭からヤスに変えてケガから復帰した古田を、14分にはナビスコカップで先制点を決めた大島を入れて打開を図りますが、流れとしてはあまり変わらず。守勢に回るのはいつものこととしても、攻めるための守備ではなく守るだけの守備となってしまい、そうなるとボールを奪ってもクリアが精一杯、たまにいい形で奪えても一発目のパスをミスる、あるいはフォローが薄くて相手の戻りを許してしまったりで、これといったチャンスには繋げられません。こういう時にセットプレイで点が取れればいいんですけどね。逆に後半18分、コーナーキックから柏のほうの近藤にうまいこと頭で決められちゃったりしてもうまいっちんぐ。こうなると1点取れればもうけもの程度の攻撃力しか持たない札幌にとってはかなり致命傷ではあったのですが、それはそれとして1点でも返すか返さないか、もっというと結果はともかくそれをしようとするかしないかがとても重要なわけで、そういう意味では結局点は取れなかったのですが、交代で前くんが入ってきて、それで宮澤が前線に上がってからは割といい感じで繋げてましたし、1点でも返そうという気持ちは見られたのでいいとします。今のところは。

 まぁそんなわけで結局試合は0-2、実に23本ものシュートを浴びるというスコア以上の完敗だったわけなんですが、柏とはずいぶんと力の差を感じてしまった、というのが正直なところですね。1失点目にしても、あれはやっぱり奈良さんのミスはミスなんですが、J2だったらあの形になったとしても、たぶんシュートは枠の外に飛んでいくか、枠内だったとしてもぎーさんの止められるくらいのシュートしか飛んでこなかったと思うんですよね。まぁ現在日本代表のレギュラーセンターバックである今野泰幸だって、ルーキー時代は札幌ドームで5失点とかして泣いてたことがあるんですから、奈良さんもミスはミスとして次に繋げればいいのです。もちろんそれは奈良さんだけじゃなく全ての選手に言えることですけど、今出来ないなら出来るようになればいいし、もし出来なかったとしても別の出来ることを延ばしてカバーする方法もあります。それをやろうとする意志さえあれば、何らかの形で結果は出ると思います。オレのお腹は何にもしなくても出てきちゃってますけど。

2012年4月19日

いつになったら

2012年Jリーグディビジョン1第6節
名古屋グランパス 3-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/古田
     名古屋/金崎、オウン・ゴール、玉田

 「なかなか勝てない病」を患ったまま…というかまぁいわゆる世間の予想通りの感じに進んでいる札幌は、今節は名古屋グランパスとのアウェイ戦です。2010年に悲願のリーグ戦優勝を果たした名古屋ですが、昨季はわずか勝点1の差で柏レイソルの後塵を拝してしまいました。何しろJリーグでは浦和レッズ、鹿島アントラーズに次ぐ第3位の経営規模を誇るチーム。ヨーロッパとのパイプも太く、今季も捲土重来を期して大補強を敢行し、汚いなさすが名古屋きたないと言わせてくれるかと思ってたら、今季の新加入5人のうち移籍加入はヴィッセル神戸から移籍の石なんとか選手のみで、あとは高卒の新人選手と、極めて地味な補強にとどまっています。
 対する札幌は、FW内村が腰痛で欠場。ここまではボランチに入っていた宮澤をトップに上げ、空いたボランチにはルーキーの前貴之がリーグ戦初スタメンとなりました。ようやく怪我の癒えた古田寛幸もスタメンに入ります。センターバックの奈良竜樹、ベンチの横野純貴、三上陽輔とユース出身が5人、宮澤、櫛引一紀の室蘭大谷コンビを入れると道産子7人、岩沼俊介、岡本賢明を加えて生え抜き選手が9人。レンタル選手ばっかだった頃もあったことを考えると、とても感慨深いものがありますね。強いか弱いかは別として。

 今ではすっかりJ2が主な戦場となり、たまにJ1にいることもあるという弱小チームな札幌にとっては、どのJ1チームとも対戦成績としては分が悪いわけですけど、その中でも名古屋は「比較的」相性がいい相手で、2008年は2戦2敗ながらも、同じく異次元の弱さを誇っていた2002年でもシーズン初勝利は名古屋が相手でした。今年もリーグでのシーズン初勝利をプレゼントしてくれたらいいなーなんて思っていたんですけど…。結果として、今季の名古屋の補強がやけに地味だったのは、補強に失敗したのではなく、単に「補強する必要がなかった」からだ、ということを思い知ることになったわけです。
 開始3分、ペナルティエリア手前でボールをゆっくりと回していたかと思いきや、藤本淳吾が札幌センターバックのどまんなかに向けてカミソリのようなスルーパス。どっちがクリアに行くか迷ったのか一瞬の隙が生まれ、そこに合わせてトップスピードで飛び込んできた金崎にうまく流し込まれてしまいました。「そこにパスが来る」と信じて走った金崎、「そこに走り込んでくる」と信じてピンポイントのパスを出した藤本、敵ながら超あっぱれです。
 先制後も攻撃の手を緩めない名古屋は、流れるようなパス回しで札幌を攻め立てます。前半15分、細かいパス回しにマークが引きつけられ、永井がダイレクトのヒールパスでサイドに流したところにどフリーの阿部がすっ飛んできて折り返すと、クリアしようとした奈良さんの足に当たってゴールに入ってしまいます。いわゆる魅惑の助っ人オウン・ゴール選手の降臨です。まぁあそこで奈良さんが触ってなかったらファーに入っていた金崎に合わせられていたでしょうから、あそこでどフリーで折り返された時点でほぼ失点は決まってたと思います。敵ながら超オレ好みの攻撃でズバッとやられてしまいました。快傑ズバットなんて今の若いもんはしらねぇだろうなぁ。まぁ知っててどうなるもんでもないですけど。
 まだ前半も半分終わってないのに2点のビハインド。Jリーグ2年連続得点王のケネディを欠いていながらなんつー攻撃力だ、ケネディいないのハンデにすらなってないじゃないかと厳重に抗議をしたいところなんですが、ただその反面、守備については決して強いわけではなくて、両センターバックやGKなどの個人能力だけで守ってる感じで、サイドバックが上がった後とか、DFラインとボランチのスペースはけっこう使わせてくれてたんですけどね。札幌の攻撃はそれでも破れない程度のものしかないらしく、チャンスらしいチャンスといえばマエシュンのパスに抜け出した古田がシュートを放ったシーンと、コーナーキックから宮澤が頭で合わせたボールをはじかれ、こぼれ球をプッシュしようとして枠を外したシーンくらいでしょうか。どっちか1つでも決まっていれば…という感じでしたが、これを決めきれないのが今の札幌なんでしょうね。

 後半も基本的にはペースは変わらず。相変わらず名古屋のパス回しに翻弄されながらもいくつかチャンスは作り出すのですが、やっぱりシュートは入りません。というかそれ以前にシュートが打てません。なんでしょうね、やっぱりJ1だと相手の寄せも速いのでしょうか…とも思いましたけどそういえば去年からあんまりシュート打ってなかった気もする。ただ去年はそれでも昇格できるくらいに勝てたのは、数少ないチャンスを確実に決めていたからであって、それがそのままJ1でやれるかと言えば微妙な話です。シュート精度だってプレッシャーの有無によって影響されるわけで、そうそう簡単にやらせてくれるわけではありません。であれば下手な鉄砲も数打ちゃ当たるというように、チャンスの数を増やせばいいのですけど、それが出来てりゃ苦労はしてないわけで。今の状態は、弾ごめにもたついて引き金を引くまでに至ってないって感じですもんね。
 そうこうしているうちに後半32分、またしても細かいつなぎから玉田に3点目を決められてしまいました。この試合の3日前(4月11日)に32歳の誕生日を迎えた彼にバースデーゴールを献上。ちなみに以前も書きましたが、彼のJリーグ初ゴールの相手はコンサドーレ札幌です。どんだけ玉田好きなんだって感じですね。
 残り15分を切った段階での3失点目というのは、サッカーのセオリーから見ればほぼ「試合が決まった」状態です。ましてや勝ってるほうが力量的に上の合はなおさら。サポーター目線であってもここからの逆転は無理だろうという状況ですが、しかしここで無得点で終わるのと1点でも取って終わるのでは大違い。J1きっての豆鉄砲チームであるコンサドーレ札幌ではありますが、せめて1点は取って終わりたい。しかしそんなサポーターの願いとは裏腹に、41分に自らドリブル突破でチャンスを作った古田のシュートがゴール・ポスト選手の出現によってクリア。オウン・ゴール選手に続く魅惑の助っ人の登場に、もうこれはどうやっても点が取れないんじゃないかと本気で思いました。
 その割には、後半終了間際に一番積極的に攻撃してたのに打っても打っても入らなかった古田がやけになって(推定)打ったシュートが、相手DFに当たってコースが変わってゴールインするあたり、なんかうまくいかないもんだなぁと思ったりもしました。入らない時は徹底的に入らないのに、入るときってこんなもんですよね。困ったもんです。とりあえず、古田寛幸J1初ゴールです。おめでとう。

 そんなわけで今節もまた勝てず、これでついに5連敗となってしまったわけですが、札幌が決して強いチームじゃない、というかむしろ弱いのは充分承知の上でそれでも敢えて言わせてもらえば、ゴール前であのパス回しをやられたら、たいていのチームは失点すると思いますよ。まぁ、最終的に名古屋の左サイドがフリーになるシーンがけっこうあったことからも、試合を通じて札幌の右サイド(純平)を徹底的に狙ってた感じでしたけど、いずれにしても3人目以降の動き出し…というかどういう風に動けばどこにスペースが出来て、そこに誰が入るかというのがきっちりとチームとして出来ているんでしょうね。ヒールなんかも織り交ぜてるので一見トリッキーに見えながら、計算し尽くされた攻撃、という印象を受けました。プリキュアで言えば「狙いきったあざとさ」のキュアミューズといったところですね。あざといは褒め言葉です。
 まぁ開始早々に失点したとき、「今日もダメか」みたいな空気がちょっと見受けられたのはいくない傾向だと思います。こういう状況だけになかなか気持ちのコントロールは難しいかとは思いますが、「カラ元気でも元気」という偉人の言葉もありますから、無理矢理にでも前向きに行くのがいいと思います。

2012年4月22日

1対35

2012年ヤマザキナビスコカップ グループB第3節
コンサドーレ札幌 1-2 鹿島アントラーズ
得点者:札幌/榊
     鹿島/ジュニーニョ(PK)、岡本

 リーグ戦ではいっこうに勝てる気配のない札幌ですが、ナビスコカップは前節横浜F・マリノス相手に勝利を挙げました。第3節となるこの試合、鹿島アントラーズをホームに迎えました。札幌育ちの西大伍を擁する昨季チャンピオンの鹿島ですが、今季はどうにも調子が上がらず、リーグ戦では開幕3連敗、土曜日のFC東京戦でようやく今季リーグ戦初勝利という状態です。ただナビスコカップではここまで2戦2勝となっています。
 札幌はいつもの通りフレッシュメンバー。さすがにリーグ戦はもう5試合以上やってしまったので、ベストメンバー規定にギリギリ引っかからない程度にメンバーを入れ替えてきました。つっても怪我人続出の中メンバーやりくりに四苦八苦しているのも事実。ノブリンに今一番欲しいものはなんですか? と訊いたらきっと「仙豆じゃ」と答えそうなくらいです。望まずとも控え選手を使わざるを得ない状況なわけですが、とはいえ今現在なお経済的な事情でサテライトリーグに参加していない札幌の控え選手たちにとっては、ナビスコカップというのは格好のアピールポイント。ここでいい働きをすればリーグ戦でも使ってもらえるということでもあり、ガンガンアピールしてスタメンを脅かすくらいになってほしいものです。力の差があるのはしかたがないのだから、ガツガツしたところを見せて欲しいところですよね。
 そんなわけで試合は、攻められるのはある程度織り込み済みとして、奪ってからシンプルにカウンターという戦術を徹底。それが奏功したか、前半16分、カウンターから日高がファーを狙ったクロスに、「清水町が生んだ偉大なる豆柴」こと榊翔太がワンワン言いながら飛び込んでいきます。若干ボールの処理にもたつき、ゴールに背を向けた状態になりながらも、鹿島DFが詰めてくるわずかな間にボールを支配下に置いた榊は、すかさず身体を反転しそのままシュートを打つと、ゴールはGKの手の先を通過してゴールへ吸い込まれます。ナビスコカップ2戦連続ゴールで札幌が先制しました。無理矢理でもシュートに持って行くあたり、ストライカーなんですね。163cmと小柄ながらもトップチームへの昇格をつかみ取ったのは、ひとえにこのセンスなのでしょうか。
 攻め込みながらも逆に先制されてしまった鹿島ですが、リーグ戦の不調を物語るかのように攻撃がうまくいきません。特にジュニーニョの衰えっぷりは涙を誘うレベル。スピードが最大の売りだった選手が、その売りを失ってしまったらこうなるという感じ。もちろん彼がスピードだけの選手だったわけではないのですけど、おそらく見ている我々以上に本人のイメージに身体がついて行ってない様子は痛々しいどころの話ではなく、これはもうジュニーニョではなくて爺ニーニョです。鹿島の攻撃にあまり連動性がないこともあってさほど脅威は感じず、割と余裕を持って試合を進められるかと思った矢先に、突然不幸はやって参りました。30分を過ぎたあたりで先制点を挙げた榊が突然ピッチに倒れ込みます。相手選手との接触も何もなかったはずなのに座り込んだまま立ち上がることが出来ません。すぐさま担架で運び出されますが、担架に乗った様子などからも、怪我の箇所はアキレス腱、それも決して程度は軽くないことを物語っています。当然のようにそのまま古田と交代。10年前、地元出身の若きエースとしてサポーターの期待を一身に集めていた山瀬功治が同じピッチで前十字靱帯を断裂したのを思い出していまいました。あの後お祓いまでしたんですよね(※後日の発表で、怪我の箇所はアキレス腱ではなく左長母趾屈筋の肉離れ、全治3週間と診断されました。肉離れというのは筋肉の裂傷ですから決して軽い怪我ではないのですが、アキレス腱だと今季絶望クラスもあり得たので「比較的」軽傷と言ったところでしょうか)。

 そして、不幸はそれだけでは終わりませんでした。榊交代のすぐ後のことです。カウンターからスペースに出たボールに対し、キリノが自慢のスピードとたてがみをなびかせて突進。相手より速くボールに触るとドリブルでペナルティエリアに侵入し、さぁシュート体勢というところで、昌子に後ろからスネ(ふくらはぎのあたり)を踏まれ倒されてしまいます。岡部主審の笛が鳴り響き、こりゃPKだろうと思っていたら…遙か遠くから走ってきた岡部主審はペナルティスポットではなく、キリノを指しています。え、それってまさか…と思っていたらやはりキリノに対してイエローカードを提示。キリノは32分に1枚カードを受けていたので、2枚目のイエローカードで退場処分。なにそのカードふざけてるの。
 まー言いたいことはたくさんありますけど、いい加減「ペナルティエリアで攻撃の選手が倒れたら問答無用でシミュレーション認定して無条件でカード」って考え方、やめましょうよ。というかシミュレーション自体別に必要なくないですか。今回は本当にキリノは足を踏まれてたんですけど、そうじゃなくてもたとえばバランス崩してこれ以上踏ん張ったら怪我するかも知れないとか、単純に芝生のギャップに足を取られたとか、そういうことだってあるじゃないですか。どうせ故意か故意じゃないかなんて分かりっこないんだから、「シミュレーションは極悪なのでカードであるからして、君が! 退場するまで! カードを出すのをやめない!」なんてはっきり言って横暴すぎますよね。主審が「あ、こりゃPKじゃないな」と判断したなら「はよ起きれグズ」ってガン無視してりゃいいと思うんですよね。まぁ今でも上手なレフェリーはだいたいそうですけどね。ぶっちゃけ○×いレフェリーほど「オレは! オレは騙されないぞ!」みたいにはっちゃきこいたレフェリングしちゃうような気がしますね。

 まぁいずれにしても判定が覆ったりはしないので、残り半分以上を10人で戦わなければいけなくなった札幌。後半に入ると完全に防戦一方となってしまいます。とはいえ、守備の選手が退場した場合は、FWを1枚外して代わりの守備的選手を入れてバランスを取ることが多いように、通常はFWが1人減った程度では目に見えた不利にはならないもの。しかし後半の札幌はまさしくサンドバッグ状態となります。ゴール前に釘付けにされ、ノブリンが良くやる8対6の守備練習のような感じ。胸を借りてますみたいな感じ。どすこーい。
 しかし鹿島もやはり調子が悪いだけあって、シュートは打てどもまったく入る様子がありません。札幌がギリギリのところで身体を張ってるのもあるのですが、ドン引きする札幌を引っぺがすこともこじ開けることもままならず。たまに決定的なシーンを迎えてもシュートミスでフイにする、典型的な「強いチームが弱いチームに負けるパターン」です。後半30分過ぎに一気にピンボールみたいに4~5本のシュートを浴びながらその全てを防ぎ、最後のシュートがゴールの上に外れていったときは、ああこれはもう何をやっても鹿島は点を取れないパターンだと思ったんですけどね。
 …意地の悪いいい方をすれば鹿島は点を取れなくてもレフェリーは点を取らせることが出来るということでしょう。39分、ペナルティエリアの中で相手の放ったシュートが宮澤の手に当たってしまい、無情のPK判定。まぁ、実際に手に当たってるのでハンドと言えばハンドなんですが…。北海道ではそれは前足と言うんじゃあああああ! というのは冗談としても、こういう時だけはキッチリ見てるわけですね、ええ。このPKをジュニーニョにきっちりと決められ同点。まぁ止まってるボール蹴るなら今のジュニーニョでもできるわな。

 同点ゴールを決められても札幌イレブンに気持ちの面ではさして落ち込んだ様子は見られなかったのですが、さりとて疲れた身体をどうこうできるほどの気力は既になく、そうでなくても1人少ない札幌に再び突き放せる体力は残されていませんでした。しびれを切らしたクッシーが「おっしゃ! 行けるところまで行っちゃる!」とばかりに自陣から怒濤のドリブル突破を行い、3人くらい抜いたところで力尽きるなどほほえましいシーンはありましたが、選手交代も焼け石に水状態。結局ロスタイムにセットプレイから岡本にゴールを決められ逆転を許してしまったところでタイムアップ。別に判官贔屓しろなんて言いませんけどね。せめてまともなジャッジをお願いしたいですよね。

 ところで、この試合札幌が鹿島に浴びたシュートは35本。これは1999年11月23日のベルマーレ平塚対鹿島アントラーズで鹿島が記録した34本を抜いて、Jリーグ最多記録となります。ちなみにこれは90分での記録で、延長込みの120分となると、最多は1998年10月21日のベルマーレ平塚対コンサドーレ札幌戦で平塚が記録した37本。つまり、120分と90分で最も多くのシュートを浴びたチームはコンサドーレ札幌ということになりました。札幌誇らしい。

2012年4月24日

だい・じ・けん♪

2012年Jリーグディビジョン1第7節
コンサドーレ札幌 2-3 川崎フロンターレ
得点者:札幌/前田、高木
     川崎/中村、レナト、山瀬

 開幕戦に引き分けたのみで絶賛連敗街道邁進中、同じ昇格組のサガン鳥栖がなんだかんだで勝利を重ねているのを後目に、結果だけを見るならまさに「異次元の弱さ・再び」といった感じのコンサドーレ札幌の今節の相手は、川崎フロンターレ。J1でのタイトル獲得こそないものの、ナビスコカップ準優勝3度、リーグ2位3度とすっかりJ1でも強豪の部類に。「シルバーコレクター」と呼ばれることもありますが、かつてはJ2オリジナル10として同じ釜の飯を食った仲でありながら、J1で1つ勝つにも四苦八苦してるチームのサポーターから見ればシルバーで何の不満があるんだと思わないでもなく。
 とはいえ、昨季は11位と不調のシーズンに終わり、今季も開幕直後こそ2連勝を達成したものの、その後は4試合で3敗1分といまいち調子が上がらず、昨季から指揮を執っていた相馬監督が解任。望月コーチが監督代行を勤める中での試合となりました。

 そして相手が調子よかろうが悪かろうがかまわず負けちまう札幌ですが、相変わらず怪我人発生が止まりません。ナビスコカップ鹿島アントラーズ戦で2得点目を挙げ、負傷交代した榊翔太の怪我は肉離れと、当初の想定よりは軽かったものの、それでも全治は3週間。同じくリーグで2得点を挙げた山本如来がこちらも肉離れで全治4~5週なので、今のところだと1点につき10日~14日離脱という交換レートになっております。なんですかそのカイジみたいな世界は。それどころか点を取ってない宮澤まで肉離れの巻き添えを食っており離脱。トップ下には近藤が入り、サイドにはどこかを痛めたのかベンチスタートの古田に代わり岡本がスタメン復帰、ここまではサイドバックだった高木純平が1列前に上がりました。空いたサイドバックには鹿島戦でいい動きを見せていた日高が入りました。

 これまで何度も書いてきましたが川崎との相性は極めて悪く、Jリーグとなってからは2008年のナビスコカップで勝ったのみで、リーグ戦では未だに勝利なし。この試合も苦戦が予想されましたが、意外なことに試合は札幌ペースで進みます。前半9分には右サイドをえぐった岡本からのクロスを前田俊介がニアでうまく合わせて先制ゴール。マエシュンの移籍後初ゴールは意外にも頭での得点でした。
 川崎はそんなに調子が良くないのか、まったくもって川崎のほうも調子が悪いようで、ボールは持てるのですが全体的な動きが少ないため、札幌としてはかなり守りやすい状態です。32分には岡本からのスルーパスに追いついた日高が上げたエロい弾道のクロス、いわゆるエロスに高木純平がこれまた頭で合わせて追加点をゲット。6試合でたったの3点しか取れてない札幌が、なんとなんと前半だけで2点ゲットという思ってもみなかった展開になりました。どうしたんですかなんか悪いものでも食べたのですか。その後も絶好調にエロい日高のエロスからチャンスを作り出すなど、札幌はほぼやりたい放題で2-0のまま前半終了。

 確かに、見てるほうからしても札幌が前半90分持たないサッカーをやっていたのは分かっていたのですが、それ以上に川崎の元気がなかったこと(川崎元気って引退してたんですね)、点差に余裕があったことから、その分を差し引いても逃げ切れると思っていたんですよ。
 しかし後半、形勢は一気に逆転します。中でも水曜日の鹿島戦にも(おそらくはキリノの退場で予定外に)出場していた近藤は、後半開始時点で既に電池がすっからかん。実のところ今の札幌の鍵を握っているのはマエシュンよりも近藤でして、彼の電車道アタックが攻守両面で「効いていた」わけですが、もとよりマエシュンは守備が得意なほうではないため、前線の守備は彼の力によるところが大きいのは確かなのですが、その分彼の電池が切れると前線からのプレスが効かなくなってズルズルとラインが下がり、相手選手を自陣に招き入れてしまう悪循環となってしまいます。ノブリンとしてもそれは分かっていただろうと思いますが…。ノブリンはなかなか動かず、先に動いたのは川崎の望月監督代行でした。後半12分、往年の存在感がまったくなくなった稲本に変わってコンディション不良でベンチスタートだった中村憲剛を投入。そして交代で入った直後にその中村がレナトからのパスを、バランスを崩しながらも綺麗に決めて1点を返しました。

 後半のまだ早い時間に決められたことももちろんですが、札幌としては一番決められてはいけない人に決められたのが、結果として致命的でしたよね。2点をリードされていても、川崎の選手には「中村憲剛が入ればまだなんとかなる」という思いはあったと思うんですよ。で、彼が入った直後に、まさにその中村が得点を決めたわけですから、選手の士気が上がらないはずありません。
 逆に札幌は連敗中だけあって、1点を返されたことでますます浮き足立ってしまいます。息を吹き返した川崎の意図的な裏を突く攻撃に対し、息も絶え絶えな札幌はラインを上げられません。それでもマエシュンが身体を張ってボールをキープし、相手と入れ替わってGKと1対1になりかけましたが、それを見届けた村上主審がご丁寧にその前のファウルを取ってくださってロールバック。逆に後半20分過ぎに、DFの裏に出たボールに思わず前足を出してしまった日高がハンドを取られてPKを献上。レナトが蹴ったPKにホスンもよく反応して左手ではじきゴールポストに当たったのですが、シュートの勢いのほうが強かったようで、ボールは無情にもゴールの中。ついに同点に追いつかれてしまいました。ところで、このレナトっててっきり去年までいたレナチーニョと同じ人だと思ってたのですが、違ったんですね。セイゴがフッコになって、さらにスズキとなり、最後にイチローになるみたいに、進化して改名したんだと思ってたのに。

 さて同点に追いつかれてしまった札幌が、息の根が止まる寸前の近藤を下げたのは後半26分になってからでした。それはいいのですけど、交代として入ってきたのは…横野? Why?
 確かに追いつかれてしまった以上は点を取らなければいけません。2点先取して勝ちゲームの流れだったのならなおさらです。とはいえ、全体的な押し上げも出来ない状況で、基本的には使われてなんぼの横野を入れてどうしろというのでしょうか。まぁキリノが出場停止であったことも影響してるのでしょうけど。彼も使われる側の選手ですけど、アバウトなロングパスでもヨーイドンでマイボールにできるスピードがありますからね。
 ただそうじゃなければキープの出来る古田を入れて、全体的な押し上げの時間もしくは後ろが休める時間を作れるようにするほうがいいと思うのですが…。横野も前線からボールを追い回すものの、後ろがついてこられずにうれしはずかし空回り状態で、やはり札幌の置かれた悲惨な状況は変わるはずもなく。35分には同じくとっくのとうに体力を使い果たした前くんをようやく交代させたのですが、ここでもやはり古田ではなく三上。しかも、高木純平をボランチにスライドさせてサイドで使うのではなく、そのまま三上がボランチに。さらにその5分後には、足を痛めたらしいマエシュンに代えて櫛引を投入します。むー。そこまでくると「どうしても古田を使えない理由」があったんだろうと推測できますけど、それが怪我であれ他の理由であれ、手駒がほとんどない札幌に対して、山瀬という大駒をまだ残していた川崎とじゃ、この時点で勝負は決まっていたのかもしれませんね。
 結局、交代で入ってきたその山瀬にあっさりとゴールを決められ、無念の逆転負け。名古屋戦に引き続き2試合連続で3失点というのは、それだけ見ればちょっとまぁアレですけど、とはいえ柏レイソル戦からこっち、ナビスコカップの鹿島戦を含めて4試合で96本ものシュートを浴びながら10失点というのは、けっこう頑張ってるほうじゃないですかね。

 でも勝ちたいなぁ…

2016年2月

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