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初勝点

2019明治安田生命J1リーグ第15節
川崎フロンターレ 1-1 北海道コンサドーレ札幌
得点者:川/小林悠(’69) 札/鈴木武蔵(39’)

かつては日本のあちこちにあった「鬼門スタジアム」も、札幌がそれなりに強くなってきたことでだいぶ減ってきてはいるのですが、ここ等々力競技場とカシマサッカースタジアムは、毎回言ってるような気がしますが鬼門中の鬼門。某スーパーのプライベートブランド風に言えば、「きもんのき」です。

もっとも、札幌がJリーグに参入した1998年以降、1度だけここで勝っているのですが、その時の相手は川崎は川崎でもヴェルディ川崎でした。川崎フロンターレ戦ではカップ戦含めて12戦全敗。6点取られて負けたりとか、7点取られて負けたりとか、気づいたら降格してたとか、イヤな思い出しかないスタジアムです。

なんだかんだ言って川崎は経営の安定している強豪チームであり、これまでの対戦時それぞれにおいても札幌との戦力差は明らかでしたから、仕方ないと言えば仕方ない。ただ、これまでも同じくらいの力の差がありそうなチームにも、まさかの勝利を飾ったことはありましたから、12回も対戦すれば1回くらいは、勝てないまでも引き分けくらいはあってもいいと思うんですけどね。きれいに全敗なんですよね。

川崎って基本強いくせに意外なところで勝ちを取りこぼしたりする印象が強いのに、なぜかコンサドーレだけは絶対殺すマンな気がします。まるで旧JFL時代に喰らわせた厚別での伝説的大逆転試合の借りを、22年経った今でも丁寧に返し続けられている感じです。もう忘れてくれよ。

そんな等々力での試合。ケガで代表辞退した鈴木武蔵やチャナティップが戻ってきて、さらに膝の靱帯を痛めて長期離脱していたアンデルソンロペスもベンチ入り。徐々にメンバーが復帰してきたものの、広島戦で膝を痛めた宮澤は欠場、コパアメリカに日本代表として参加している菅大輝と、トゥーロン国際大会にU-22日本代表として参加している岩崎悠人も欠場。前節退場したルーカスフェルナンデスが出場停止と、相変わらずベストとは言えない状況です。

1トップにジェイ、2シャドーは鈴木武蔵とチャナティップ、菅の代わりの左ウィングバックは石川直樹、これは明確に家長昭博対策でしょうね。右ウィングバックは当然のようにワイルドカードの早坂良太。中盤は荒野拓馬と深井一希となりました。

この試合はフライデーナイトJリーグ。週末とはいえ平日夜の試合、自分はその日ボンズの保育参観で休みを取っていたので、せっかくだから(娘の強いプレッシャーにより)行ってみることにしたのですが、なんとビジタースタンド含めて全席種完売。まぁパッと見た感じその割にはメインスタンドとかけっこう空席が見えたのですけど、きっとあれは光学迷彩でしょう。富士通のテクノロジーならそのくらいあり得ると思います。スタジアムのQR入場はできなくても。

さて、そんなわけで試合は、やはり開始から川崎ペース。札幌はできるだけ高い位置でボールを奪い、チャナティップやジェイに預けて鈴木武蔵が裏を狙う、あるいはサイドに展開してジェイの高さを生かすという作戦だと思いますが、川崎にゴール前まで押し込まれることが多く、ボールを持ってもそこから素早い展開に持って行けません。ジェイのポストプレイはさすがにうまいのですが、ファウル覚悟で止めに来る川崎の守備に手を焼き、また山本雄大主審が真後ろから当たってきてもちっともファウルを取ってくれない(そして取るときもある)ため、なかなか自分たちの時間が作れないという状況です。

それなのに、前半25分に長谷川が倒れたプレイは自信を持ってPKに。この人神戸戦でも、西大伍が明らかにPK狙いで倒れたプレイを注文通りにPKにしましたよね。そんな役に立たない目玉はくりぬいて銀紙でも貼っとけ。

しかしここで立ちはだかったのは、自他共に認めるウザキャラの荒野拓磨。主審に詰め寄るのではなく、何やらフレンドリーに絡んで(おそらく言いたいことは言った)上、PKを蹴る準備をしていたレアンドロダミアンにも何やら話しかけています。得意のおかめ顔で。

きっと荒野のことですから、知ってるポルトガル語を駆使しして「いくらと筋子の違い」などを語ってたに違いありません。この時のレアンドロダミアンの気持ちとしては、MGグレードのガンプラ作ってるときに、耳元で延々とガルパンの話をされるのと同じでしょうから、そりゃイライラしますよね。

その心理作戦が奏功したのか、レアンドロダミアンのPKは何の変哲もないど真ん中に蹴り込んだもの。そんなくらいのちょろキックならうちの守護神クソンユンなら余裕で止めるわけで、失点はソンユンの神セーブ(と、荒野のおかめトーク)によって防がれました。

PKを止めて俄然気持ちがアゲアゲになったのか、ここからしばらく札幌の時間に。そして前半37分に、ペナルティエリアの中でジェイがジェジエウに後ろから蹴られてPKをゲット。正直PKかどうか割と微妙な感じではあったのですが、これを現役日本代表を辞退したFW鈴木武蔵が落ち着いて決めて先制。前半をリードして折り返します。

しかし後半になると札幌の運動量が落ちてきたこともあり、圧倒的な川崎ペースへ。後半開始から残り10分のような試合展開となり、跳ね返してもセカンドボールを拾われる、たまにボールを持っても前へのカウンターが遅いためにあっという間に囲まれてまた攻められる、ごくたまにカウンターで裏を取っても、ジェジエウがものすごい勢いですっ飛んできて止められる。あの体格であのスピードって反則じゃないですか。こいついたら奈良竜樹いらねえじゃん。返せよ。

正直、失点は時間の問題かと思われましたが、そこでも立ちはだかったのが守護神クソンユン。「それ止められるの!?」というシュートをことごとくストップし、なんとなく「今日はもしかしたら勝てる日なのでは?」と思ったりもしましたが、残念ながらそうは問屋が卸しませんでした。

後半24分、家長からのクロスを小林悠がシュート。ソンユンもいったんは止めますが、ボールはゴールの中に入ってしまい失点。「家長止め止めマン」としての役割をほぼまっとうしていた石川直樹が交代で下がってから、わずか3分後の出来事でした。

その後も圧倒的に川崎に攻め込まれる展開か続きますが、なんとかしのぎきり引き分けで試合終了。等々力での川崎戦では初の勝点ゲット、試合内容からすれば引き分けは御の字とも言えますが、結局、家長&小林という天敵コンビにやられてしまった格好で、まだまだ力の差はありましたね。最大の天敵である中村憲剛がいなかったのが幸いだったのかもしれません。