サッカー一覧

ゆく人来る人2022

明けましておめでとうございます(今更)。

年明けから新型コロナウイルスのオミクロン株が大流行を見せ、テレビや新聞も「過去最高の感染者数! 勢いが止まりません!」などと、陽性者の数だけを殊更にあおり立てる毎日が続いています。

北海道コンサドーレ札幌でも、何人かの選手が事前検査で陽性反応が確認され、隔離措置となったと発表され、他のチームでも、陽性者が多数出たことでキャンプの中止や中断を余儀なくされるなど、大きな影響が出ています。

キャンプの中止・中断は、開幕前にじっくり練習する機会の損失につながるので、シーズンへの影響も大きそうですね。札幌は幸いにしてキャンプを中止するほどでもない…というよりは、キャンプを中止すると練習する場所がないという切実な理由があるので、一応予定通りに行われてはいますが、そこそこの人数が欠けている関係上、練習メニューも予定通りには行かないでしょうし、他のチームがキャンプができないということは練習試合のマッチメイクなどにも影響がありそうですので、他人事ではなさそう。

さて、年明けから激震が走ったチャナティップの川崎フロンターレへの移籍。チャナティップはああ見えてタイNo.1プレイヤーとしての自覚も自負もあると思うので、年齢的に欧州へのチャレンジも厳しくなった状況でのJリーグチャンピオンチームからのオファーというのは、そりゃ魅力的ですよね。「ACLでの地元凱旋」もできるかもしれませんし。札幌もACLを目標にしてますけど、現実的に考えると、あちらさんと比べれば可能性は薄いですからね残念ながら。ふん。

とはいえ、札幌にとっては当然、戦力的にはもちろん、愛嬌のあるキャラクターで北海道での人気も高い選手でしたし、母国タイ向けの市場という意味も含めて相当痛い流出ではあります。ただ、移籍を報じる記事が出てからクラブが事前に経緯を公開してくれてましたし、その際「めっちゃ高く売れそうなんで」と言ってくれたことで、正式発表の際は特に騒ぎにはなりませんでした。このあたりの情報公開はありがたいですよね。

で、その正式発表が1月10日だったのですが、それから一週間たたないうちに、返す刀で発表されたのが、前名古屋グランパスのガブリエルシャビエル選手の獲得。

最初クラブの公式Twitterでのツイートを見たときは、「ガブリエル」しか見ていなかったので、先日発表されたチームの契約更新選手の中で、移籍が発表された選手を除けばただひとりだけ名前のなかった、ガブリエルオケチュク選手の去就が発表されたとばっかり思って、特段気にしてなかったんですけど、よくよく見たらオケチュクではなくてシャビエル。は? シャビエル? マジで?

エリザベス女王杯のベガかと思ったらホクトベガだった、というくらいの衝撃ですよ。

ガブリエルシャビエル選手といえば、広い視野と左足からの高い精度のキックで、札幌も散々苦しめられた選手。2017年途中から長く名古屋の攻撃を支えてきましたが、昨年は監督の戦術に合わずに出番を減らし、退団となっていました。

契約満了で移籍金がかからないなら欲しいなぁとは思ってましたけど、古巣であるクルゼイロへの復帰が有力、という噂でしたし、高年俸の象徴みたいな名古屋の助っ人選手なんて札幌が獲れるわけない、獲れるとしたらガブリエナイシャビエナイとかいう名前のそっくりさんくらいだと思ってましたので、まさに寝耳に水。寝た子も起こす子守歌だったわけです。「国内最高クラス」と言われたチャナティップの移籍金のおかげかもしれません。

能力的には申し分ないですし、福森に大きく依存していた左サイドからの攻撃にもう一つ起点ができることは大きいと思います。名古屋時代には青木りょーちんともプレイしてましたから、慣れるのも早いのではないでしょうか。つきましては是非、福森とフリーキックを争って、試合中に取っ組み合いのケンカをしてほしいものです。

そして、ミシャのサッカーに合うかどうかという点についても、札幌戦では必ずミシャのところに挨拶に来ていたほどのミシャ好きみたいですから(過去、ミシャとの絡みはちっともないはず)、ミシャの言うことは聞きそうです。札幌への加入もそれが理由のひとつかもしれませんし。

それにしても、名古屋はフィッカデンティ監督が続ける前提でシャビエルとの契約を更新しなかったと思われるのに、結局フィッカデンティ監督とも契約を更新せず。後任の長谷川健太監督ならたぶん彼を重宝しただろうことを考えると、札幌的には割とラッキーな流れでしたね。

ともあれ、札幌としては予期せずかなりの大型補強になったわけで、いろいろな過程を雑に省いて表すなら、「チャナティップを生け贄カードに使ったらガブリエルシャビエルが召喚された」、あるいは「名古屋にキムミンテを貸したらガブリエルシャビエルになって帰ってきた」という形になったわけですね(なおミンテは鹿島に行った模様)。