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2006年12月 アーカイブ

2006年12月 1日

修羅の門

 明日は最終戦だというのにまだ柏戦のことも書いてないのですが、柏戦について書く前に本日発表された契約満了選手について触れたいと思います。

 11月30日というのは、個人的にはうちの娘の誕生日なのですが、Jリーガーたちにとってはあまりめでたくない日です。Jリーグの規約では、翌年1月31日に満了するプロ契約を締結している選手(複数年契約中以外のほとんどの選手はこれに該当)の契約更新手続きとして「クラブは選手に対し、契約期間が満了する年の前年の11月30日までに、翌年度以降の契約条件を「契約更新に関する通知書」(書式A)により通知しなければならない。」とあります。この「契約更新に関する通知書」には来季のその選手との契約年俸が記されていますが、契約満了選手、つまり来季の契約更新を希望しない選手にはこの欄に「0」が記入されることになります。いわゆる「ゼロ円提示」と言われるものですが、つまり、この11月30日は来季チームでプレイできるのか、あるいはプレイできるとしても自分はどれだけの評価をされているかが判明する日なのです。
 クラブによってはこの契約を更新しない選手について公式サイトで発表することもありますが、HFCではこれまで公式な発表は行っておりませんでした。「選手会からの要望」というのがその理由ですが、それゆえにサポーターにとっては日本サッカー協会の移籍リストが発表されるまでは一体誰が来季いないのかわかりません。よって新聞報道だけが頼りとなるわけですが、選手の側も自分からいう人もいれば「いずれわかることだしいいたくない」という人も当然いるでしょう。クラブ記者会見があるわけでもないですし、新聞記者とてまさか選手を片っ端からひとりずつふん捕まえて

 「あなたクビですか?」

 などとぶしつけに訊けるわけもありませんから、どうしても毎年情報が錯綜してしまいがちなのも事実。去年も契約満了選手の報道についてヤンツーが激怒したという話もあります。情報が漏れたことに怒ったのかそれとも何かの誤報があったからなのかはわかりませんが、思惑はあるとはいえちゃんと発表してればメディアも無理矢理すっぱ抜いたりしないでしょうから、記者側も激怒されても困るんじゃないかと思いますけど。まぁそんなことがあったからなのか、今季は契約満了選手の公式発表が行われています。
 相変わらず前置き長いですけど、それによると来季の契約を結ばない選手はFW清野智秋、DF野本安啓、MF川崎健太郎の3人。ここ数年は毎年10人前後の選手が契約満了となっていたことを考えると今季は意外と少ないですが、昇格を逃したとはいえ戦力的には上位チームともいい勝負ができるものではありますし、来季の戦力構想を行うべき監督も今季限りで契約満了で、しかも後任の監督もまだ決まっていない状況を考えると、まぁさほど不思議ではないですね。
 ただし、エースのフッキを始めとして加賀や千葉といった期限付き移籍の選手がどうなるかは札幌側の都合だけで決められませんし、他チームへのレンタル移籍となりそうな選手が何人かいるという話もあるようです。さらに、今回の場合はあくまでも「クラブ側の意志」に過ぎず、クラブが契約更新を希望する選手でも、クラブの財政状況を鑑みればそれはもうがっかりな額を提示されている選手も少なくないと思います。現在J1ではベンチ入りできる選手が7人にまで増えており、控え選手の層を厚くしたいJ1クラブにとってはJ2チームの主力は目を付けやすいですから、これからの契約交渉でどうなるかはまだまだ予断を許さない状況です。


  \         /_ /     ヽ /   } レ,'        / ̄ ̄ ̄ ̄\
  |`l`ヽ    /ヽ/ <´`ヽ u  ∨ u  i レ'          /
  └l> ̄    !i´-)     |\ `、 ヽ), />/        /  地  ほ  こ
   !´ヽ、   ヽ ( _ U   !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―┬./  獄  ん  れ
  _|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '')  ""'''`` ‐'"='-'" /    !   !   /   だ.  と  か
   |  |;:;:;:{  U u ̄|| u u  ,..、_ -> /`i   !   !  \   :.  う  ら
   |  |;:;:;:;i\    iヽ、   i {++-`7, /|  i   !   !  <_      の  が
  __i ヽ;:;:;ヽ `、  i   ヽ、  ̄ ̄/ =、_i_  !   !   /
   ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i   /,ゝ_/|  i   ̄ヽヽ !  ! ,, -'\
    ヽ、\;:;:;:;:`ー、`ー'´ ̄/;:;ノ  ノ      ヽ| / ,、-''´ \/ ̄ ̄ ̄ ̄
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2006年12月 4日

妖逆門

2006年Jリーグディビジョン2第51節
柏レイソル2-3コンサドーレ札幌
得点者:札幌/アイカー、フッキ、元気
     柏/山根、石川

 別に「門」シリーズにこだわってるわけじゃないんですけどね。試合からもう1週間以上が経過して最終戦も終わってるのに今頃になって柏戦の感想を。

 以前も書いたと思いますが、コンサドーレはここ日立台ではこれまで一度も勝ったことがないという鬼門のスタジアム。と言っても、ある程度コンサドーレを見続けているサポーターの皆様であればとっくのとうにお気づきかと思いますが、他のJチームがホームとして恒常的に使用しているコンサドーレが勝ったことのないスタジアムなんてそれこそたくさんあって、一応勝ったことはあるけど負けや引き分けのほうが圧倒的に多いというところを含めると、それこそ相性がいいと言えるのは平塚競技場くらい。鬼門じゃないところのほうが珍しく、ある意味俺達にアウェイはない、その代わりに鬼門があるという感じなので、もはや文字通り八方ふさがりだったりするわけです。そんな日立台での初勝利は、2点差をひっくり返すという大逆転勝利。しかも2点目を失ってからわずか3分で追いついてしまうという展開で、ホームで3分ちょっとの間に3点取られたことなら記憶にありますが、アウェイで2点のビハインドを追いつき、そして逆転勝利というのはちょっと記憶にないなぁと思っていたら、やっぱりJリーグでは初だったようですね。
 1点目のアイカーの、「フッキにリターンパスを出そうとしたら小林祐三に当たって自分のところに戻ってきたんでせっかくだから決めたった」という「先輩後輩ワンツー」(※くどいようですが、この2人は中学時代チームメイト)ゴールなんかは柏にとって不運だったとも言えますが、とはいえヴェルディ戦のごっつぁんゴール同様、あのボールが自分のところに転がってきたことはラッキーなどではなく、ストライカーとしているべきところにいた、という解釈も出来ます。ああいうゴールが生まれるようになれば、年間二桁得点なんかも決して夢ではないと思いますよ。彼の真骨頂はあんな感じの泥臭いゴールだったはずですし。まぁアイカーの場合華麗な枠外しが印象に強いですけど、枠外しの数だけで言えばフッキだって25得点の陰でたくさんのシュートがその自らの産み出された理由も知らないまま天に召されているわけで、「成功には犠牲はつきものさ」と、使命を果たすことなく散っていった彼らをまるで意に介していない(たぶん)フッキを見習うのがいいと思います。
 で、そのフッキの2点目も元気の3点目も素晴らしいゴールだったと思いますが、反面、2失点についてはあまり褒められたものではありませんね。水戸戦で何食わぬ顔でレッドカードをもらって前節ヴェルディ戦は出場停止だった西澤画伯が戻り、久しぶりのスタメン出場となる池内、そしていつのまにやらスタメンに返り咲いていた西嶋という過去あまり記憶にない3バックだったことも影響しているかもしれませんが、この試合の2失点はあまり3バックのメンツがどうとかは大きな問題ではないものでしたからね。まぁ2点目の石川のゴールは仕方ないと思います(蔵川のミドルはあれはGKもはじくのが精一杯でしょう)が、1点目についてはアシストした蔵川をサイドで思いっきりフリーにするという見慣れたパターンからの失点。以前から言い続けてますけど、カウンターを受けて数的不利だったというのならまだしも、ああいった「人数は揃ってるのにフリーにする」というパターンが頻繁にあるようでは、守備のメンツをどうしようとも失点は減らないと思います。
 なので、大逆転勝利は確かに気持ちがいいですしそれがアウェイでかつこれまで一度も勝ったことがないスタジアムであればなおさらですが、そうは言っても冷静に考えれば「3点取って逆転したことは評価できるがその前に2失点すんな」という印象で、正直ディエゴがいなくて助かったなぁと思いました。

 しかしどうでもいいけどノブリン(石崎監督)って声が甲高いですね…。

2006年12月11日

第5関門突破

第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会第5回戦
コンサドーレ札幌(J2)2-2アルビレックス新潟(J1)
           PK(8-7)
得点者:札幌/スナマコ×2
     千葉/エジミウソン、矢野

 今回の天皇杯におけるコンサドーレの、「J2勢唯一の生き残り」という決まり文句がうれしくもあり哀しくもある今日この頃、それでもまだ少しだけこのチームが見られることに素直な喜びを感じている、そんな12月の土曜、ベスト8進出を賭けたアルビレックス新潟戦がフクダ電子アリーナで行われました。J2暮らしが長いと、「札幌対新潟」なんてカードには多少のノスタルジィを感じますが、今でこそすっかり立場は逆転したものの、過去の対戦成績は12戦で7勝3敗2分、新潟が昇格を果たした2003年ですら2勝1敗1分と、割と相性のいいチームです。まぁその1敗が「伝説のビッグスワンギロチン試合」なんで、そのダークイメージが強すぎてあんまり相性がいいという実感はないんですけどね。まぁとにかく過去の実績の上ではベスト16に残ったチームの中では比較的与しやすい相手であるですが、まがりなりにも新潟は3シーズンJ1の波にもまれてきたわけで、かたやこっちはその間J2で最下位や中位。過去の実績なんてあんまりアテになるものでもありません。そんなわけで試合はのっけから矢野にシュートを許す前途多難な立ち上がり。降雪の影響で満足な練習が出来なかったことが影響していたのか選手の出足は鈍く、内容的には前回のジェフ戦とは比べようもありません。特にボランチの大塚の出来が悪く、ここでボールが落ち着かないと札幌はサイドにも展開できないし中央でも勝負できません。かといって新潟もその立ち上がりの矢野のシュート以降はこれといったチャンスも作れず、正直どっちもどっちといった試合内容。開始10分くらいには「これPK戦まで行きそうだな…」という予感が頭をよぎりました。

 …当たってうれしくない予感ほど当たるもんですね。

 前半13分にシルビーニョのコーナーキックに飛び出したGK佐藤優也が目測を誤ったのかそれとも滑ったのかはわかりませんが、とにかく不十分な体制でパンチングに行ったためクリアが中途半端となり、パンチしたボールがエジミウソンに当たってゴールイン。ピタゴラスイッチみたいなオモシロアシストでリードを許しますが、前半34分には逆に新潟のクリアがピンボールみたいに転がってきた来たのを砂川が落ち着いて決めて同点。後半6分にはセットプレイからのクリアボールを拾った芳賀がゴール前に上げたクロスをソダンが競ってこぼれたボールを、再び砂川が反転しながらの難しいシュートを決めて逆転に成功します。ところが、このまま逃げ切るかと思われた後半38分、この試合ある意味最大の見せ場がやってきました。右サイドからのクロスボールを難なくキャッチした優也は、ボールを保持して前線へフィードするため、その手にしていたボールを足もとに転がしました。GKはキャッチしたボールを6秒までか保持できない(実際は厳密な6秒ではなく、プロレス並の「6カウント」ですが)ため、試合時間も残すところ10分を切った状況でリードしているチームのGKとしては決して間違った行動ではなかったと思います。むしろ、状況を鑑みれば彼のプレイは正しかったのではないでしょうか。このクロスの際に走り込んできて空振りに終わり、自分だけがゴールネットを揺らした相手FW矢野貴章がまだ後ろに残っていたことを除けば。
 結局、優也が転がしたボールを後ろからかっさらって矢野が無人のゴールに決めて同点となり、前後半15分ずつの延長でも決着が付かずにPK戦に突入。優也のあれがなければ「やらんでもいいPK戦」だったわけですけど、前述の通り優也のプレイだけを見ればあれは当然のプレイですし、後ろから気配を消してスキを狙っていた矢野の忍者っぷりも褒めるべきだと思います。確かに脇が甘かったと言われればそれまでですが、あの場面では周りも声をかけなければいけないでしょう。この場合、やっぱり「志村~! 後ろ、後ろ!」と叫ぶべきだと思います。
 つーか、そもそも同点ゴールの直前の決定的チャンスを相川が決めて3-1にしていれば、優也も殊更に時間稼ぎをしようとは思わずに済んだとはずなんですがね。あれを相川が外した瞬間に同点にされるのを覚悟しましたし、現場で見ててもあのシーンで優也に対しての怒りは全くなかったですね。「ありえないミス」というのであれば優也ではなく相川じゃないかと。あの位置からあれを外せるのは北海道には石井謙伍くらいしかいないと思ってたのに(´・ω・`)

 ということで試合はしなくてもいい延長戦に突入。勝負事には「流れ」というものがありまして、科学的には説明できないんですけど、とにかくこの「流れ」をモノにできるかどうかが勝負の分かれ目となることが多くあります。この試合の場合、追加点のチャンスをフイにし逃げ切れずに同点とされた札幌と、絶体絶命のピンチで命拾いし予想外のゴールで同点に追いついた新潟、通常であれば流れは「新潟勝利」に傾いてもおかしくありません。現在天皇杯のレギュレーションは延長Vゴール方式ではないため、点を取られたとしても挽回のチャンスはあるわけですが、札幌はエース・フッキが後半海本のえげつないスライディングタックルを受けて負傷退場しており、先に点を取られたら非常にきつい展開となることは間違いありません。こういうせっぱ詰まった状況で意外と頼りになるのが元気なんですが、元気のジョブ能力が発動するには「速いクロスとニアサイド」という限定条件が必要です。征也は既に交代しており、その征也の交代後に右サイドに入った芳賀も守備に奔走して攻撃に絡めず、左サイドもここのところは「成らない香車」どころか「成らない歩」にまでなってしまった和波さんと来れば、中山元気もその名の通りながらも誰も力をくれない元気玉でしかありません。

 そんなわけでお互いチャンスはそれなりにありながらも決めきれずにPK戦までもつれ込んだわけですが、ここまで来れば「優也は失地挽回できる男だ」と思っていたものの、まさか両チームとも出てくる選手出てくる選手誰も失敗せずに決め続けるとは思いませんでした。結局8巡目で札幌は西嶋がゴール左隅にキッチリ決めたのに対し、新潟は矢野のシュートが優也に止められ札幌が勝利となったわけですけど、「フットボウラーズ・ロシアンルーレット」という異名もあるPK戦において、一番の敵は「プレッシャー」です。プロレベルの選手になれば、あの位置からゴールマウスにボールを蹴り込むのは造作もないことです。しかし、プロゴルファーがたった1mのパットを外すこともあるように、それにプレッシャーという要素が加わると、途端にその成功率は下がるもの。俺王様が11人というのならまだしも、技術よりもプレッシャーに打ち勝つ精神力があるかどうかが重要なのがPK戦なのです。そんなPK戦で、誰も失敗しないどころかみんなえぐいところに決めるとは正直驚きました。そんなPK戦で札幌の選手にそんな胆力があったのならなんで今まで勝てる試合を落としてたんだろうと思わないでもありません。

 以上、いろんな逆境を跳ね返して札幌がPKでJ1を打ち破り、ベスト8に駒を進めました。次の相手は川崎フロンターレを破ってベスト8進出を果たしたヴァンフォーレ甲府。J2となってからは未だに1度も勝ったことがない川崎よりかはやりやすい相手ではありますが、甲府はその川崎から5点もふんだくっての勝利だけに決して楽観できるわけではありません。ましてや喉から手が出るほど賞金が欲しいのは甲府も同じでしょうから、難しい試合になることは間違いなさそうです。
 その準々決勝は23日。仙台のユアテックスタジアムで行われます。ここまで来たら新しい楽器を買う貯金に手をつけてでも現地に馳せ参じるべきでしょうか…。

 ところでこの試合では、前の試合で負けなければ2試合連続のホームで新潟を迎え撃っていたはずのジェフの選手の皆さんが揃って観戦に訪れていました。話によればJ2チームに負けた罰として自腹でチケットを買わされたらしいですが、わざわざチケットを買って寒い中こんな試合を見せられたんじゃ罰ゲームの効果としては充分だと思いました。なぜか阿部と巻は室内のVIPルームで観戦してたみたいですけど、佐藤勇人や羽生直剛らその他の選手たちは全員寒空の下スタンドで観戦。とはいえ、ジェフの選手の皆さんはどうやら昨年までチームメイトだった芳賀の応援モードだったようで、PK戦で芳賀が出てくると一斉に「ハガー! ハガー!」と口々に応援。芳賀がPKを決めた時はいい感じの壊れっぷりでした。その一方で大塚や寺川はすっかり忘れられていましたが、さすがにかぶってる選手はいないからしょうがないですね。

 そういえば、試合が終わった後、そのジェフの選手が陣取っていた席に1羽のカラスが紛れ込んできました。ご存じの通り天皇杯を主催する日本サッカー協会のエンブレムはヤタガラスで、天皇杯を制覇するとユニフォームにそのヤタガラスのエンブレムを入れることが出来ます(J1優勝しても入れられますが)。これはもう、何かの暗示としか思えません。何しろそのカラスはジェフの選手を攻撃してましたし。

2006年12月13日

新監督

 天皇杯ベスト8に勝ち上がり、「唯一のJ2チーム」というフレーズが日本人の判官贔屓心理をくすぐったりくすぐらなかったり素敵なサムシングを確かめたり見つけたりしているわけですが、リーグ戦自体は既に終了し、各チームとも来年への動きが活発になってきました。残念ながらJ1昇格を果たせず、順位的には昨季と変わらない6位という成績でシーズンを終了したコンサドーレですが、リーグ3位となる77得点というチーム総得点を叩きだした攻撃陣は他のチームからも注目の的のようで、25得点を挙げて1位のボルジェス(仙台・26得点)に次ぐリーグ得点ランキング2位の活躍を見せたエースのフッキはもちろん、砂川や西谷といった攻撃の主力選手にも複数のチームからオファーが届いていると言われています。まぁフッキやジュビロ磐田に復帰濃厚と言われている加賀は期限付き移籍なので仕方がないにしても、今年もリアル大貧民気分を味わう気配を見せていますが、それにも増してサポーターにとっての一番気になるのが、既に今季限りで退任となることが決まっているヤンツーこと柳下正明監督の後任が誰になるかでしょう。
 2004年に「五段階計画」がスタートしたと同時に、その計画の軸となる選手育成に長けた人材として就任したヤンツーは、就任3年間でJ1昇格こそ果たせなかったものの、「ふっかつのじゅもん」を忘れてしまってレベル1になってしまったチームを「とりあえずサッカーになっている」までは持っていきました。ただ「勝てるチーム」にはなれなかったのも事実で、勝てる試合を落とし続けて結果J1昇格に絡めなかったことを考えれば、後任の監督に望むことは「勝てるチーム」を作ること。まぁそうは言っても強化費の削減も予想され、フッキの残留も微妙という状況で「強くしてね」などというのは鼻からスパゲティを食べろというようなもんですんで、せめて昇格争いくらいはしてもらいたいと思うわけですが、かといってチームの基本方針があくまで五段階計画である以上、今までのやり方をまるで変えてまでそれを求めるのではなく、ヤンツーが築いたベースを元にプラスアルファの出来る人でなければいけません。

 ということでクラブが白羽の矢を立てたのは、どうやら今季まで大宮アルディージャの監督を務めた三浦俊也監督の模様です。まだ就任が決まったわけではないようですが、理論もしっかりしており、大宮を率いてJ1昇格を達成したように経験も豊富。満足な補強も出来ず、地理的なハンデを抱えていながらもそれでもJ1昇格を目指すという、目でピーナッツを噛むようなチームに来てくれるような物好きはあまりいないであろうことを考えれば、現状では申し分のない人選ではないかと思います。
 問題があるとすれば、三浦監督が大宮でやっていた4-4-2の3ラインシステムが札幌に合うかどうかですが、まぁその辺りは柔軟にやるんじゃないでしょうかね。Jリーグには「4バックが好きだから」というぐうの音も出ない理由で4バックを貫く監督もおりますが、三浦さんは基本的には「システムありき」な監督ではないと思いますし、そもそも今季札幌が勝負弱かった理由はシステムに起因するものではないですしね。
 あとは、もし三浦監督就任ということになれば、旭川から三浦雅之U-15監督をコーチとして呼び寄せて「W浅野」よろしく「W三浦」として売りだした上、かわいらしく「ミウミウ」と呼べばきっとチームはファミリーだと思います。東京ミ○ウミ○ウとは違いますのでそちらの方面の方はお気をつけください。

2006年12月18日

国立へ行きたい

入れ替え戦の影響で順延されていた天皇杯第5回戦の浦和レッズ対アビスパ福岡の試合が16日に行われ、福岡を3-0で下した浦和が準々決勝に勝ち進みました。これでベスト8すべてのチームが出揃いました。高校野球的な言い方をすれば、全国6,390チーム中のたった8チームということになるわけですが、そのベスト8チームの対決となる23日に行われる準々決勝4試合は以下の通りです。

Home
(獲得タイトル)
Away
(獲得タイトル)
浦和レッドダイヤモンズ ジュビロ磐田
天皇杯、リーグ、カップ 天皇杯、リーグ3回、カップ
ガンバ大阪 横浜F・マリノス
リーグ 天皇杯、リーグ3回、カップ
鹿島アントラーズ 清水エスパルス
天皇杯2回、リーグ4回、カップ3回 天皇杯、カップ
ヴァンフォーレ甲府 コンサドーレ札幌
J2最下位 J2最下位


 ということで、どこもメジャータイトル制覇の経験を持ついずれ劣らぬJリーグの強豪チーム同士の対戦カードが居並ぶ中、ヴァンフォーレ甲府対コンサドーレ札幌だけがひときわ強烈な違和感を放っているわけですが、いくら北斗四兄弟で言えばジャギ様、ニャンギラスで言えば山本スーザン久美子くらいの立ち位置といえども(ニャンギラス自体が微妙というツッコミは野暮)、これに勝てばベスト4となり、賞金2,000万円が手に入ります。
 というわけで、その賞金を手にすべく練習に励みたいところなのですが、この時期の札幌はもう雪景色です。多少の雪であれば宮の沢自慢の融雪設備が力を発揮するかもしれませんが、さすがの宮の沢システムで普通に氷点下になる気温まではどうすることも出来ません。まともな練習も出来ませんし、寒いと古傷を持つ選手に悪い影響が出ないとも限りません。なので、チームは厳寒の北海道を脱出し、今日から福島県のジェイソン(J村=Jヴィレッジ)でミニキャンプを張っています。気温は福島でも充分寒いことは寒いですけど、試合会場である仙台に近いですし、周りにホントになにもないのでサッカーに集中できるという意味では申し分のない環境だと思います。元旦の国立を目指し、まずは仙台での準々決勝までの間、ここでみっちり練習するわけですが…その大事な合宿に連れて行ってもらえなかった選手がいたようで。いろんな所での情報を元にすると、池内、上田、吉瀬、智樹、関、千葉の6人が「札幌居残り組」で、「練習で集中力を切らしていたり、切れかかっている(スポォツ報知)」という理由でヤンツーが不参加を言い渡したとのこと。上田と吉瀬はもともと天皇杯に選手登録されておらず、大会に出場することが出来ないので仕方がないとしても、残りの4人中3人が道産子ですか。要するにおだってたんですね。智樹は去年の指宿キャンプでも部屋でおだってヤンツーから雷を落とされて丸坊主になってましたね。今回もみんな反省のために丸坊主にしたらいいと思います…と思ったら既に刈る毛がない人がいますので、その方は額に「大往生」と書くことにしてください。

raiden.jpg

2006年12月21日

フッキ帰る

 さて、既報の通りチームは、23日の天皇杯準々決勝・ヴァンフォーレ甲府戦に向けて福島県のJヴィレッジにて絶賛トレーニング中ですが、クラブ史上初のベスト4を目指すチームが順調か…と言われるとそれがそうでもないようです。6人がおだちすぎて合宿への参加禁止を言い渡されたことは前回のエントリで書いた通りですが、その「チーム置いてけぼり」以外でも別メニュー組が数人いるらしい上に、新潟戦で負傷して途中交代したフッキのケガも思わしくなく、合宿を離脱することになったそうです。しかもフッキは本日ブラジルへ帰国したとのこと。つまり甲府戦はもちろんのこと、もし甲府に勝って準決勝に駒を進めたとしても、そしてまかり間違って準決勝でうっかり勝ってしまって、なぜか知らねどここは国立、ってことになったとしても、それぞれのピッチにフッキの姿はないということです。さらに言うなら、川崎フロンターレからの期限付き移籍であるフッキは、来季は東京ヴェルディ1969へ移籍することが濃厚と言われており、要するにまぁコンサドーレのユニフォームに身を包んだフッキの姿を見ることはよっぽどじゃない限りないだろうということです。
 まぁその辺の話はいずれ明らかになるでしょうからどうでもいいとしても、少なくとも次の甲府戦は日本人だけで戦わなければいけません。まぁ甲府もブラジル人とナメック星人がいないみたいなので条件としては同じなんですが、今季25得点を挙げたエースを欠くことは札幌にとって非常に痛いことは事実。ブラジル人はリーグ戦が終わったら一日でも早く母国に帰りたいと思うらしいので、フッキもそうなのかという気も少しだけしますけど、新潟戦の負傷を間近で見ていた感じでは、とても2週間で試合が出来るケガではなかったと思いますし、間に合ったとしてもろくにトレーニングも出来ないような状態では満足なコンディションではないでしょうから、少なくとも甲府戦は無理だと思ってましたんで別段落胆はないですね。これがもし「朝起きたら肩が反対になっていたからブラジルに帰る」という素敵すぎる言い訳だったりしたらブラジルにでも釜山港にでも帰れと思いますけど。

2006年12月25日

第6関門突破

第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会準々決勝
ヴァンフォーレ甲府(J1)0-2コンサドーレ札幌(J2)
得点者:札幌/O.G.、カガケン
     甲府/なし

 というわけで、杜の都・仙台にて行われた、両チームの昨年度の営業収入を足しても他の6チームの平均の半分にも満たないという「どっちがよりお金が欲しいかダービー」は札幌に軍配が上がりました。札幌はフッキが新潟戦の負傷が癒えず帰国、甲府もバレーとビジュが既に帰国(帰星)、川崎フロンターレ戦で2ゴールを挙げたジョジマールもビザの関係で帰国と、お互い助っ人を欠いての戦いとなった…と思われましたが、ところがどっこい、我々は大事なことを忘れていました。まだ我々にはあの魅惑の助っ人・オウン=ゴール選手がいたのです。
 ということで忘れた頃にやってくるオウン=ゴール選手の降臨により、開始わずか1分で先制した札幌ですが、その後はすっかり甲府ペース。苦しみながらもJ1残留を勝ち取った甲府と、なんか勝手に苦しんでJ2残留を果たした札幌との差がそのまま現れているようで、ある程度は予想していたとはいえ、わずか1年の間にこうまで差がついてしまったのかと思えるほどの支配のされようです。
 ただ、今回も情報シャットアウトの上夜のBS録画放送にてオレなりの生放送だったわけですけど、なぜかはわかりませんが点を取られる気がしなかったんですよね。前半に優也がバックパスを手で掴んでペナルティエリア内で間接フリーキックを取られたときも、後半何を思ったかいきなりペナルティエリアの外にトライを決めたあとも、点は取られない予感がしてました。それくらい今の札幌にはATフィールドとも言えるバリアが張られているのですが、きっとあの後ろ髪から展開されているんでしょうね。
 逆に攻撃面では、決してチャンスは多くないながらもそれなりにいい形を作れていたんで、実のところもう少し点は取れていたんじゃないかという気がしてたんですけど、実際には後半の加賀のすごいボレーシュートによる1点のみ。まぁトーナメント戦は得失点差関係ないんで、1-0だろうが5-0だろうがそんなに違いはないんですけど、取れるときに取っておくというのは必要だと思います。特にこの試合の場合、2-0でロスタイム突入した瞬間に「あの試合」が頭に浮かばなかったコンサドーレサポーターはおそらく少ないと思いますし。そういう意味では、札幌のFWの決定力はみんな大して変わらないんですけど、謙伍はちょっと重症っぽいですね。なんかもう完全に自信を失っている感じで、全身から「僕外しちゃいます」オーラが出ているように見えます。涙なんかこぼれますといった感じの。とりあえず一回でも、フッキみたいな自分でゴリゴリ突破してシュート打ってみるというのもひとつの手だと思いますよ。そういえば謙伍のドリブル突破って見た記憶あまりないですし、中途半端にチームプレイにこだわるよりは、去年みたいに多少強引でも相手を交わしてシュートするようにしてみたらいかがでしょう。フッキがいない以上、謙伍にも一皮剥けてもらわないとチーム的に困るわけですからね。

 ということで、今回の関門も体当たりしたら硬い壁だったり、突破したと思ったらトラップが仕掛けてあったり、よろい注が待ちかまえていたりすることもなく無事突破。賞金2,000万円をゲットしました。
 とはいえ、この賞金も実際にはこの天皇杯のための合宿費用などでほぼ消えてしまうらしく、文字通りの「チーム強化資金」。「勝てなきゃ赤字アップ」というのはかなりもの悲しい話ではありますが、つまり次も勝って5,000万円をゲットしてようやくプラスになるということで、次も勝ちたいところですが、その次の試合の相手はガンバ大阪。こちらは大塚真司と藤田征也がイエロー累積で出場停止で、この試合で足を痛めた西谷の出場も微妙とのこと。ガンバもバンバンが出場停止とはいえ、昨年度リーグチャンピオンを相手にするには正直かなり厳しい布陣ですが、既に我々はナビスコカップチャンピオンに勝っているのですから、勝てる可能性はあると思います。ローザミスティカのないジャンクでもな!

 あと、ドーレくんは大至急ヴァンくんに返事を書いてください。ブログコメントを放置しっぱなしの自分が言うのもなんですが。

2006年12月29日

第7関門突破できず

第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会準決勝
ガンバ大阪(J1)2-1コンサドーレ札幌(J2)
得点者:札幌/相川
     ガンバ/加地、前田

 というわけで、公式戦53試合という過去最長のシーズンが終了しました。まずは監督、コーチ、選手、スタッフ、クラブフロント、そしてサポーターの皆さん、お疲れさまでした。

 さて試合ですが、やっぱり力の差はありましたね。中森明菜とコロッケ扮する中森明菜くらいの差があったように思います。さすがにJ1の3位チームだけあってこれまでの相手と比べてもパスのスピードやトラップの精度など基本的な技術は高く、J2だったら奪えているはずのボールが奪えなかったり、逆にこちらが少しでも雑なプレイをすればあっという間にボールを奪われてしまうなど、正直10回やって1回勝てるかどうかくらいのレベル差はあったように思います。最初の15分は元気のヘディングシュート以外は何もさせてくれませんでしたしね。まぁそれでも通用する部分はそれなりにありましたし、その元気のヘディングを始めとしてけっこうガンバもあり得ないくらいゴール前でフリーにさせてくれてたので、いくつかあったチャンスをきっちり決めていればとか、そもそもフッキや大塚がいたらとか思わないでもないですけど、今更それはよしなしこと。彼らがいたとしても10回に1回が10回に2回か3回くらいになる程度でしょう。札幌の選手は精一杯やったと思いますけど、逆に言えば精一杯やってもこのくらいの差はあるということなんですよね。札幌の目標が「J1定着」であるならば、そこに達するには少なくとも10回やって5回は勝てるくらいのレベルにはならなければいけないと思います。その前に上がんないといけないんですけど。
 で、1点目は加地さんなので許すとして、「疑惑の2点目」については、あれだけ派手なオフサイド見逃しなんて滅多にあるもんじゃないんで見ていた方はびっくり仰天だったでしょうね。かく言うオレも目が点になってしまったわけですが、審判がオフサイドじゃないと判断すればそれはオフサイドじゃないんですよね。まぁルールの上に審判がいるのであって審判がルールであっては絶対にいけないんですけど、それはともかくとして今まで札幌もオフサイドっぽい微妙なゴールが認められたり、逆に失点がオフサイドで取り消されたこともあります。今回のは明らかなミスジャッジだとは思うんですが、札幌が2点目を取るチャンスをことごとくぶっぱずし続けた以上、あれがなければ勝てたとも言えませんし、あれのせいで負けたとは言えません。それもまたサッカーです。まぁそれでもあの副審は許しませんけど。
 しかしまぁ、普通なら猛烈な抗議をしてもおかしくないゴールだったのに、ほとんど抗議らしい抗議もせずすぐさまゴールを奪い返した選手たちは立派だったと思います。あのゴールのあと、明らかに変なスイッチ入りましたもんねみんな。アイカーのボレーは素晴らしいゴールだったと思います。あんな難しいゴールを決めながら、その後のどフリーをぶっぱずすのもアイカーらしいというか何というか。新潟戦のあれといい、ああいうのを決められるようになればリーグ戦二桁得点なんて難しくないと思うんですが。

 まぁそれはともかくとして今回の天皇杯、獲得した2,000万円の賞金はほとんど合宿費などで消えてしまうみたいですが、「やればできる」ことと「やっても足りないこと」もわかったという意味では賞金以上の価値はあったかなと思います。来季は監督も変わり、また新しいチームとなりますが、「天皇杯ベスト4」という肩書きにあぐらをかいたりしなければ、リーグ戦でも上位を狙えるでしょう。そう思わせてベロベロバーなのがコンサドーレなんですけど。

2016年2月

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