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2007年4月 アーカイブ

2007年4月 2日

こつこつ貯金

2007年Jリーグディビジョン2第6節
コンサドーレ札幌1-0セレッソ大阪
得点者:札幌/インテリビジュ
     セレッソ/いやしない

 前節難敵モンテディオ山形を西谷のPKで下した札幌は、今節は室蘭入江競技場で降格組のひとつセレッソ大阪との対戦です。昨季17位でJ2降格となったセレッソは、西澤明訓、大久保嘉人、下村東美、ブルーノ・クアドロス、徳重隆明といった主力陣を含めた多くの選手を放出。2005年にJ2降格した時の柏レイソルは、明神智和や玉田圭司ら多くの主力を放出し、逆にそれがチームの一体感を生み見事1年での昇格を果たしましたので、必ずしも京都サンガや東京ヴェルディのようになりふり構わず選手をかき集めるパターンを取る必要はないわけですが、何となく「沈む船から逃げるネズミ」のような印象を受けなくもない…というのはとっくに沈みきった船に取り残されている人間だから言えるわけですが、まぁフロントがどう言おうと、考えているのは1年での再昇格じゃなくてリスタートでしょうね。誰を出してもモリシだけは出さなかったことからも、ウルトラマンタロウみたいに「心臓さえ無事なら再生できる」ってことなんだと思います。
 で、そのJ2での再出発の舵取り役として白羽の矢が立ったのが元ベガルタ仙台監督の都並敏志氏を新監督に迎えましたが、選手を放出しすぎて激やせしすぎたからなのか、チームは第5節終了時点で1勝3敗(4試合)。都並監督が仙台を4位に導いた時も開幕5試合で1勝1分3敗でしたから、もともとスロースターターなのかも知れませんけど、いずれにせよ12位と苦戦中。しかし前節は京都に逆転勝ちを収め初勝利を挙げ、気分よく室蘭に乗り込んできました。
 そのセレッソは前節京都に勝ったメンバーから森島が外れ、昨季までサガン鳥栖に在籍し札幌も手を焼いた濱田をスタメン起用。「デカモリシ」こと森島康仁のワントップで臨みます。ちなみにこのデカモリシが滝川二高の3年生だった時に高円宮杯U-18準決勝で当時コンサドーレ札幌ユースU-18と対戦し、1-2で札幌ユースに敗れていますが、その試合で札幌の全得点を叩きだしたのが当時ユースのキャプテンだった藤田征也でした(いずれもPK)。そして札幌の守備の要であるブルーノと、攻撃の要である西谷は古巣がセレッソ大阪。チーム同士の対戦は実は2001年以来6年ぶりだったりするのですが、細かいところで因縁があったりします。
 そして札幌はダヴィが負傷で戦線を離脱し、元気の相方にはアイカーが入りましたがそれ以外は前節と同じメンバーで臨みました。

 さて試合はいつもの通り前線から鋭いプレスをかける札幌がペースを掴みます。試合開始早々には征也の突破からCKをゲット。征也は一時期テクニックで相手を交わそうとしすぎて自爆することが多かったですが、もともと彼の最大の長所はトップスピードのまま質の高いクロスを入れられること。それが生きたプレイだったと思いますが、それにしてもそのコーナーキックで画伯、ブルーノ、ソダン、元気と並んでいるのを見るとなぜだか笑いがこみ上げてくるのはなんでなんでしょうね。なんかもう、ユニフォームじゃなくてどうしてもバンカラ学生服を着てもらいたい気持ちを抑えることが出来ません。まぁそのガクラン八年組でもこのコーナーキックで点を奪うことは出来なかったのですが、その後も札幌は高い位置でボールを奪い、シンプルに攻めるやり方でチャンスを掴みます。しかし元気のシュートがポストが惜しくもポストを叩いたり、セットプレイでフリーとなったソダンが右足で合わせたり惜しいシーンはあったものの得点を奪うことが出来ず。
 守備面でも、前半終了間際にブルーノがインターセプトを狙いに行ってさっくりと交わされ、苔口にシュートを打たれ、高木のファインセーブで事なきを得た以外は特に危ないシーンもなく、割と余裕を持って対応していたように見えます。結局0-0で前半終了。

 後半、勝負をかけてきた都並監督が投入してきたのが、新助っ人のゼ・カルロス。京都戦でも同点ゴールを決めた助っ人を満を持して投入…って、これはジオンの水陸両用モビルスーツですか? と思うほどの俺王様体型。まぁそれゆえにスタメンでは使われてないのでしょうけど、能力自体は高いようで随所にいいプレイを見せ、後半は一進一退の攻防が続きます。
 試合が動き始めたのは札幌がスナマコを投入し、セレッソが元祖モリシを投入したあたりから。お互いスペースの空き始める時間帯でリズムを作ることの出来る選手が入ったことにより、さらにバイタルエリアでの攻防が激しさを増してきます。ここでじわじわと存在感を見せてきたのがカウエでした。
 だいぶ日本のサッカーにも慣れてきたのか前半からいいプレイを見せることもありましたが、スペースが空いたことで余裕が出来てボールに絡むシーンも増えてきたカウエは、よりアクセントの効いたパスなども見せるようになります。そしてソダンの怒濤のオーバーラップなどビックリプレイも飛び出したあとの後半30分、左サイドからの西谷のクロスを競った元気が倒れながらも繋いだボールを、ついさっきまで自陣にいたはずのカウエが拾い2人に囲まれながらも右足アウトで浮かせる技ありのゴールで先制点をゲット。来日初ゴールを決めたカウエは、徳島戦で初ゴールを決めたダヴィ同様、当然のようにキャプテン芳賀の百烈拳で祝福されていました。
 その後は注文通り守備を固めつつカウンター狙いで試合を進める札幌。スナマコのミドルがバーを叩くなど追加点は奪えなかったものの、その後のセレッソの猛攻を凌ぎきり5試合連続無失点のおまけ付きで今季4勝目をゲット。
 全体的にはお互いの距離感やタイミングなどはだいぶこなれてきた感じで、攻撃面ではボールを奪ってから味方を探したり、味方がボールを持ってから動き出したりというのが減って、そのためやり方が大きく変わったわけではないにも関わらず攻撃のスピード自体はだいぶ増したと思います。守備面でもプレイの切り替えが早くなり、ディレイしたあと挟み込んだりという基本的な部分がキッチリ出来ており、そういった細かいところを見れば「勝つべくして勝った」と言えるのですが、それでも札幌には絶対的なストライカーがいるわけでもなく、他のチームと比べてもお世辞にも戦力的に恵まれているとは言えないですし、また4勝のうち3勝が1-0での勝利、試合内容も決して相手を圧倒しているわけではない、そんな今の札幌を見るにつけ、なんとなく「星泥棒」という言葉が頭に浮かんできたりもします。

2007年4月 7日

正念場

 ご存じの方はご存じの通り、「月刊コンサドーレ」で連載中だった「百鬼夜行放談」は、現在発売中の4月号でめでたく打ち切り連載終了を迎えました。連載が始まったのが2005年の2月号だったはずですから、2年ちょっとですか。出来れば連載中にJ1に上がりたかったなぁという気もしますが、ある意味ヤンツーと共に戦い抜いた2年間と言えなくもないかも知れません。つーかそもそも一介のサポーターの、しかも素人の文章を、いやしくもクラブの公式マガジンの一コンテンツとして載せてしまっていたのですから、今から考えると大胆なことしてたなぁと思ったりもします。ともあれこれで第一部完です。ご愛読どうもありがとうございました。第二部はスラムダンクの二部が始まるくらいに再開予定となっている第二部では、オレの孫が柱の男たちと戦ったり戦わなかったりする連載になる予定もないですし、そもそも第二部なんて多分ないと思いますが、機会があればまた会うこともあるでしょう。

 さてさて、日曜日はベガルタ仙台とのアウェイ戦です。ここまでのところ4勝1分1敗と好調なチームではありますが、今のところ唯一の敗戦は昇格有力候補である京都サンガとのアウェイ戦でした。その後は負けなしとはいえ、対戦したチームの現在の順位は7位(湘南ベルマーレ・0-0)、8位(徳島ヴォルティス・3-0)、9位(モンテディオ山形・1-0)、11位(サガン鳥栖・1-0)、12位(セレッソ大阪・1-0)と、見事に下位チームばかり。まぁ「札幌にローザミスティカを奪われたから下位に沈んでいる」という説も学術的な見地からは捨てきれないのですが、結果としては上位陣との対決は京都だけ、そしてその京都には負けているということになっていますから、昇格の有力候補である仙台とのアウェイ戦、さらに来週水曜日のアビスパ福岡戦、順位こそ今は最下位ながらも苦手としている笠松での水戸ホーリーホック戦、そして昇格最有力候補の東京ヴェルディ1969戦、休みを挟んで最後に昨年2戦2敗の愛媛FCとのアウェイ戦と続く4月はかなり重要な月と言えるでしょう。ここでどれだけ勝点を取れるかでこの先のシーズンの見通し変わってくるような気がします。3月と同じかそれに近いくらいの勝点を取れれば立派な昇格候補、全然勝てなかったら普通のチーム。弓と矢で射抜かれてスタンド使いになれるかそのまま死んでしまうかくらいの違いがありそうです。
 そういう意味では明日の仙台戦はひとつの試金石となりそうですね。怪我人が多かったりあまり万全とは言えない状況ですが、最低限引き分けに持ち込むことが出来れば御の字だと思いつつ、ただ1チームだけ未だに無敗の仙台に今季初の黒星を付けることが出来たら、けっこう勢いに乗りそうな気がします。とはいえ、今日ヴェルディが福岡に負けたので、明日仙台に勝ったら札幌が首位に立ってしまいます。もちろんそれはそれでうれしいんですけど、個人的には主役になるのはちと分不相応であり、アイシールド21で言えば石丸くんくらいの立ち位置がちょうどいいような気がします。

2007年4月10日

2位

2007年Jリーグディビジョン2第7節
ベガルタ仙台1-1コンサドーレ札幌
得点者:札幌/そだん
     仙台/ばんだい

 勝てば首位。

 こんな言葉を札幌が耳にする日が再び来るとは実はあんまり思ってませんでした。ベガルタ仙台とのアウェイ戦は、首位をかけた一戦となりました。気がつけばローカルなチームばっかりになってしまったJ2で、まだ第1クールなれど覇権を争うのが北海道と東北のチーム。どちらがいなかっぺ大将か決定戦です。そう考えるといまいち盛り上がらない首位決戦ではありますが、我々にとっては正真正銘「7年ぶりの頂上決戦」。今週の山場です。

 などと茶化すのはほどほどにして、客観的に見ればリーグ最多の13得点という攻撃力の仙台とリーグ最少の2失点という守備力を誇る札幌という対決は普通に見所のあるゲームでしょう。攻める仙台に守る札幌という図式が容易に想像できたわけですが、フタを開けてみれば前半は札幌が攻め込み仙台が守るというまるで逆の展開でした。札幌のやることはいつもと変わってはいないのですが、両サイドからの攻撃が増えてよりチャンスが増えるようになってきました。この辺、ホントに徐々にですがカードは増えてきていると思います。手持ちのカードは多いほうがいい。そして、トランプには使いようによっては弱くも強くもなる、でもないよりはあったほうがいいカードがあります。そう、ジョーカーです。コンサドーレにとってのジョーカー。それはソダンです。
 といっても今シーズンになってからのソダンはジョーカーと呼ぶには失礼なくらい安定しているのですが、この日もブルーノと共に仙台の攻撃を跳ね返し続けただけでなく、「座りヘディング」という不思議な新技まで披露。それに加え、先制点まで取ってしまうのですからまさしくエース。ハートのエースだと思います。いつもの通り0-0で終わるだろうと思い始めた前半41分、セットプレイ崩れから征也のクロスをヘディングで突き刺し今季初ゴールを決めたソダンは、キャプテン芳賀の「芳賀ラッシュ」の洗礼を浴びつつサポーター席に自らの存在をアッピール。アウェイの地で貴重な貴重な先制点です。

 さて望外の先制点を得た札幌にとって、後半は守備を固めつつカウンターを狙うというのが定石。ある程度引いて守り相手に球を持たせて…と書けば聞こえはいいですが、開始から作戦コマンドを「ガンガンいこうぜ」に変更した仙台のペースにタジタジとなります。人数をかけて間髪入れずに波状攻撃を仕掛けてくる仙台に対して作戦コマンド「いのちだいじに」の札幌は完全に防戦一方。実際菅井や田ノ上といったサイドバックも、もはやサイドバックじゃなくてサイドフロントじゃんというくらい上がりっぱ。すごいショットガンフォーメーションです。相手が攻撃に人数を割いているということは後ろの人数が足りないということであり、そのこと自体は札幌がつけいるスキとなりうるわけだったんですが、前半飛ばしすぎたのか運動量も落ちてきていたため守備も後手後手に回り、既にクリアするだけで精一杯。そんな状態では前線に効果的なボールを送ることなど出来るはずもなく、裏を突くどころの話ではありません。三浦監督は後半12分に相川に替えてダヴィを投入。これ自体はおそらく前線のターゲットを増やす目的なのでしょうが、せっかく入れたダヴィもほとんどボールに触ることが出来ず。そんな感じですからまたすぐにボールが札幌陣内へ帰ってきてしまい、なんとかクリアしてもやはり味方には渡らず、また攻められるというデススパイラル。長い時間守備をしているというのは思った以上に疲れるもので、もう「いのちだいじに」というよりはほとんど「みんながんばれ」といった感じ。高木の好セーブや最終ラインの必死のブロックでなんとか水際で食い止めていましたが、多くの時間札幌陣内でのプレイとなった状況ではいつ破られてもおかしくありません。
 旗色が悪いと見た三浦監督は、今度は元気に替えて大塚を投入。前線にボールが行かないのであれば無理に前の人間を増やす必要はないですし、バイタルエリアを好き放題使われていた状況ではそのポイントに動ける選手を入れるのはおかしなことではありません、というか単純にロペス対策だったんだと思いますけど、まぁ本気になったロペスはそう簡単に止められるもんでもないですね。
 それでもアディショナルタイムを含めて残り10分くらいというところまでは我慢できたんですが、ついに辛抱たまらんといった感じで萬代にゴールを決められ同点に追いつかれてしまいました。
 結局試合はそのまま引き分けで終了。まぁ先制しただけに追いつかれたのは残念ではありますけど、後半の仙台の怒濤の攻撃を1失点に抑えたのは御の字だと思いますし、あれだけ攻め込みながらも1点しか奪えなかった仙台は「勝点2を失った」というイメージのほうが強いでしょう。セオリーでいえば上位チーム相手のアウェイ戦で引き分けというのは充分に及第点の結果です。
 ただ、失点シーンの直前にソダンが田ノ上にヒジ打ちを喰らってるんですよね。失点自体にはさほどの影響を及ぼしてはいないと思いますけど、あれをファウル取ってくれていればあの失点はなかったと思うと、若い時の村上ショージによく似た河合主審は気づかなかったみたいですね。まぁ「ザ・ソダンショー」の幕切れとしてはふさわしかったのかも知れません。

2007年4月14日

西が丘は今日も雨だった

2007年Jリーグディビジョン2第8節
コンサドーレ札幌0-0アビスパ福岡
得点者:札幌/null
     福岡/null

 Jリーグとなってからの初めての東京でのホームゲームは、J1降格組のひとつアビスパ福岡との対戦です。相手の福岡はJ1からの降格組のひとつ。前節終了時点で3勝2敗1分で勝点10の5位というという成績ですが、日程上の消化試合数が札幌よりも1試合少なく、実質ほぼ差がない順位と言っても差し支えはないでしょう。前節はそれまで無敗だった昇格最有力候補の東京ヴェルディ1969を2-1で振り切っており、やはり潜在的なポテンシャルは高そうです。形式上はホームゲームとはいえ距離的にはアウェイ戦、しかも前節から中3日の福岡に対し、札幌は中2日での試合となるため、条件的にはやや札幌が不利と言わざるを得ません。
 ところがどっこい、ヴェルディとの激戦の影響か福岡も随分疲れている感じで、むしろ先に運動量が落ちたのは中3日の福岡でしたし、札幌のチャンス自体も決して少なくありませんでしたから、終わってみれば勝てる試合だったという思いもあるのですけど、試合中はいつもの通り「点を取られる気はしないけど取れる気もしない」といった感じでした。そういう意味では、今回の0-0というのはまぁ悪くはないかもしれません。良くもないけど。

 まぁそんな感じだったので試合そのものには取り立てて印象に残っているシーンはあまりないんですけど、よく考えてみれば自分は今年初めての生観戦でした。戦術的には「守備一辺倒」、「ヒキコモリのリアクションサッカー」などと揶揄され、とりわけ攻撃に人数をかける柳下正明前監督の「アクションサッカー」と比較され対極に語られることの多い三浦サッカー。実際、失点のリスクを最小限にとどめるスタイルであることは疑いようもないのですが、指揮を執る三浦監督本人はテクニカルエリアを端から端までワイドに使い、身振り手振りで征也に埋めるべきスペースを指示したり、カウエにポジション修正を呼びかけたり、誰が見てもヒットポイントが黄色になっている元気に「元気! サボるな!」と愛(のムチ)にあふれた言葉を投げかけたりと、試合中ほとんど止まることのないものすごいアクションっぷりでした。もちろん監督の横には常に通訳のウリセスがいて、要所要所で松井さんも出てきて叫び、味方のミスがあると3人とも全身で怒りを表現。という、まさしく「人も口も動くアクションベンチ」と言ったところです。試合見てるよりそっち見てたほうが楽しいんじゃないかと思いました。ヤンツーも熱かったけど三浦さんも熱いなぁ。

 ということで試合そのものについてはこのくらいにしておくとして、この試合は関東後援会のスタッフとしてお手伝いをいたしました。といっても自分がやっていたのは主にCWPの配布だったので、これはHFCとは全く関係がないことなんですが、それ以外にも場内案内とエスコートキッズの案内を成り行きでやってました。まぁ成り行きと言ってもスタッフカードぶら下げてぼーっと突っ立ってりゃお客さんから何かしら訊かれるのは当たり前ですし(事前にある程度予習しておいて良かった…)、エスコートキッズのほうはうちの姪っ子が出ていたんでその関係でなんですけどね。三角山のラジオゲストなどでたまに試合の「裏側」を目にしているため、裏方スタッフの苦労というのはある程度は知っているつもりではあったのですけど、実際わずかながらも自分で関わってみるとやはり見ているだけではわからない大変さがあるものです。特に今回は雨というのもありましたしね。「(来季ホーム東京開催は)できれば避けたい(日刊スポォツ)」という児玉社長のコメントが出ていましたが、あくまで自分個人の意見として言わせてもらえばできればそうしていただきたいと思います。貴重な体験をさせていただいたとは思いますが、やっぱり一観客としてのほうが気が楽ですね。CVSの皆さんは改めてすごいと思いました。

2007年4月19日

水戸泉

2007年Jリーグディビジョン2第9節
水戸ホーリーホック0-2コンサドーレ札幌
得点者:札幌/西谷、中山
     水戸/今日もない

 一週間で札幌-仙台、札幌-東京、札幌-水戸間をそれぞれ往復するという罰ゲームのような移動距離の「死のロード」もようやく最終局面を迎えました。最後は水戸ホーリーホックとのアウェイ戦です。第8節を終えた段階で未だ勝ち星なし、最下位に沈んでいる水戸が相手であれば、昇格を狙う以上はキッチリと勝ち点を稼いでおかねばいけない相手…と言いたいところですが、何しろこと笠松でのアウェイ戦に関してはまったくもって相性の良くない水戸戦。水戸が札幌よりも下位にいようが上位にいようが、こっちが試合のペースを握っていたはずなのに気がついたら負けていたり、かといってこっちがメタメタな試合をすればやっぱり負けていたりと、他のチームが普通に3-0とかで勝っているチームに3-0で負けちゃったりするのが水戸戦なわけで、要するに「今日は余裕で勝てるだろ」なんてケツ掻きながら見てられるような試合ではないであろうというのが戦前の予測でした。

 で、その試合ですが、やはりというかなんというかさすがに大移動の疲労が残っているのか、札幌選手の動きは目に見えて鈍く、うまくプレスがかかりません。三浦サッカーのみならず現代サッカーでは守備はまずFWのフォアプレスからというのが定説なんですが、8試合でわずか3失点という堅守を支えるのは、守備陣の頑張りももちろんですが、中山元気の献身的な守備があってこそということに異論を唱える人はいないでしょう。ハルヒ人気の6割は長門有希で持っているというのと同じくらい定説です。
 まぁそんなわけで普段であれば前段階で跳ね返しているはずの攻撃もフィニッシュまで持ち込まれるシーンも多く、苦しい試合展開が続いていたのですが、それでも先制したのは札幌でした。前半16分、ケガでセレッソ戦を欠場し、仙台戦で途中出場してちゃっかりカードをもらって福岡戦は出場停止と出ている選手の中では比較的元気なダヴィが、フォアチェックで鈴木和裕からボールを奪い、すぐさま西谷にパス。そのままドリブルで持ち込んだ西谷がゴール右隅に決めて先制点を奪いました。これだけ見れば労せずして奪ったように見えるゴールなんですけど、ダヴィと西谷で両側からきっちりパスコースを消しつつ一気にプレスをかけ、相手のミスを誘った連携は見事なもの。ザ・マシンガンズばりの友情パワーと言えるでしょう。ちなみに、ゴールを決めた選手への洗礼である「芳賀ラッシュ」は、やはり西谷にはありませんでした。
 しかし先制はしたもののその後も試合のペースとしては水戸で、札幌にとっては難しい時間帯が続きます。いつもであればひとたびリードを奪ってしまえば割とセコムしてるみたいな感じになる札幌ではありますが、さすがに1点で逃げ切るのは難しい流れです。しかし相手は未だ勝ち星のない水戸だけに、もしリードを広げることができれば相手の心を折ることができるはず。なのでなるべく早い時間に追加点を挙げたいところですが、なにぶんチャンスもそれほど多くないためそれもままならず。こういう時にセットプレイで取れれば断然楽になるはずですが、札幌というチームはなぜか伝統的にセットプレイにあまり強くはありません。2005年はセットプレイから相当数のゴールを挙げましたが、それは多分にDFながらこの年チーム得点王に輝いた池内一人の功績と言っても過言ではなく、現にノッポさんの揃った今季も未だにセットプレイからの得点はありません(セットプレイ絡みはありましたが)。33分の唯一神・ソダンのゴッドヒールシュートは惜しくもギリギリ決まりません。決まっていれば未来永劫語り継がれる伝説のゴールになり、サポーターも末代まで語り続け、はるみちゃんの次の知事に推す声も高まり、宇宙刑事としてデビューしたりしていたに違いないだけに決まらなかったのは残念です。
 しかし残念なことは長くは続きませんでした。ソダンダイナミックからわずか3分後の36分、右サイドで得たフリーキックを、元気が頭で突き刺して追加点。がんばる男のがんばった初ゴールは貴重な追加点となりました。

 2-0というのはなんだかんだ言ってサッカーではもっとも危険なスコアといわれていますが、今の札幌にとっては2点のリードは事実上ほぼ勝利に近い点差です。ここまで全試合でフル出場でボランチやったりサイドバック両方やったりと大忙しで疲労度はかなりのものであろう西嶋がちょくちょく裏を取られるシーンが目についたものの、守備に比重を置けば今の札幌はそうそう失点はしません。というわけで後半は前半に比べれば多少は余裕の試合運びをすることができ、詳細はすごい眠いので省略しますがとにかく無失点で凌いでそのまま2-0で勝利。地獄週間3試合を勝点5という悪くない結果で終えました。

 ところで、現在発売中のJ'sサッカーという雑誌に、「首都圏在住コンサドーレサポの365日」と銘打った、関東後援会スタッフによる座談会の模様が載っているのですが、自分も後援会スタッフとして参加させていただいております。本名プレイでの参加です。まぁ本名に関しては「月刊コンサドーレ」でも本名での執筆だったので今更どうってこともないのですが、このJ'sサッカーではよせばいいのに顔バレもしてます。お見せできるほどのツラではありませんが、ご興味のある方は是非ご覧になってください。全国有名書店でお求めいただけると思います。

2007年4月23日

単独首位

2007年Jリーグディビジョン2第10節
コンサドーレ札幌4-3東京ヴェルディ特許許可局
得点者:札幌/馬×2、神、プリンス
     ヴェルディ/金澤×2、超人

 首位ですよ。

 三浦監督も言っているとおりこの時期の首位なんてあまり意味はありませんし、以前も書いたとおり戦力的には決して充実しているとは言えない札幌としては、他のチームのスリップストリームで何となくついて行っているという状態が理想的なので、そんなに浮かれるようなことでもないんですけど、それでも首位という響きに悪い気がするはずもありませんし、J's GOALなんかの順位表ページを意味もなく開いて一番上の「コンサドーレ札幌」という文字を見てニヤニヤしたりするわけです。まあコンサドーレはお休みとなる次節の東北ダービーでベガルタ仙台が勝てば再び仙台に首位を明け渡してしまうんですけどね。まぁそれならそれでまたスリップストリームに入ればいいだけの話。

 ということでヴェルディ戦。ホームゲームが室蘭→西が丘と続いたため、第4節湘南戦以来1ヶ月ぶりの札幌での試合は、ここの所の好成績を反映してかお客さんの入りも上々。1万8千人を超える観客が詰めかけました。
 そんな中迎え撃つヴェルディは、昨季札幌で25得点を挙げたフッキ、柏で21得点を挙げたディエゴ、そして服部年宏、名波浩といった元日本代表選手らなりふり構わない大補強を敢行。誰もが昇格候補として名を挙げる陣容を整えました。しかし、開幕当初こそ前評判通りの強さを発揮していたものの、第7節の福岡戦で初黒星を喫した途端にずるずると3連敗。6位にまで順位を落としています。まぁ、選手の性能の差が戦力の決定的な差ではないことを4年も前にイヤと言うほど教わっている我々としては、別段驚くようなことでもないのですけどね。しかしそうは言ってもフッキの怖さも重々承知している札幌としては、フッキ以外にも得点能力の高い選手の揃うヴェルディの攻撃力はやはり脅威なのは間違いありませんし、ヴェルディはその高い攻撃力の反面守備面はあまり強くはないとはいえ、元とはいえ日本代表もいます。フル代表の経験がある選手もおらず、いるのはせいぜい「元・鳶職」とか「元・気」という札幌にとっては、いかにしてヴェルディの攻撃を凌いで少ないチャンスをモノにするかが鍵となるはずでした。
 ところが試合は意外な展開を見せます。前半2分、最初のコーナーキックから西谷の蹴ったボールをソダンがヘッドで突き刺し先制。確かに「数少ないチャンスを生かす」という意味では確かに思った通りの展開ですし、取れる時に取っておくに越したことはないんですが、たとえて言うならコイン投入後にいきなり天和を上がるスーパーリアル麻雀くらいの空気の読めなさです。ちなみに、この日のスタンドには「見に行くと高い確率でソダンがゴールする」うちのおかんがいました。
 さて思わずリードを奪ってしまった札幌は、まるで任天堂のサッカーをやってるみたいに簡単にゴールを奪っていきます。前半10分にはゴールキックから元気が競って落としたボールを拾おうとしたヴェルディDF土屋が抑えるよりも早くダヴィが足を出してシュート。このシュートは相手GKにいったんははじかれますが、跳ね返ってきたボールを冷静に流し込み追加点をゲット。さらに15分には服部の中途半端なバックパスをかっさらった征也がGKを交わしてこれまた冷静に流し込んで、開始わずか15分でなんと3点のリードを奪ってしまいました。
 人間やり慣れないことをすると戸惑ってしまうものです。まるでキモオタの自分には無縁と思っていたバレンタインデーに自分の机の中にチョコが入っていたのを発見した時のように、喜ぶよりもまず「ドッキリか!?」と周りを見回してしまうような、そんな展開に戸惑ったのはサポーターだけではないようで、ヴェルディが逆に開き直ってしまったこともあるでしょうが、ここから徐々に札幌が劣勢になり始めます。前半25分には金澤の飛び出しを抑えきることができず1点を返されてしまいました。ヴェルディが前がかりになっており、ディフェンスラインの連携に不安を残すヴェルディだけにカウンターは狙いやすかったはずですし、事実何度かカウンターを仕掛けるシーンもあったのですが、どフリーのシュートをダヴィが外すなどトドメを刺すことができずに3-1で前半を終了。

 さて後半。ヴェルディは45分もあれば2点くらいなんてことはない攻撃力を持っています。しかし札幌もダテにリーグ最少失点の守備陣を抱えているわけではありません。45分間2点のリードを守りきるのは無理な相談ではないでしょう。1点はやられるかも知れませんが、まぁ充分セーフティーリードであろうと感じていました。よっぽどのことがなければ。

 でまぁ、ご存じの通りその「よっぽどのこと」があったわけなんですがね。

 後半11分、裏に抜けようとしたヴェルディFW船越をソダンがペナルティエリア内で倒したとして、家本主審はPKを宣告。限りなく船越のシミュレーションくさいように見えたんですが、このPKをフッキに決められて3-2。その差は1点となりました。
 つーかね。PK自体は別にいいんですよ。まぁ勝ったからそう言えるのかも知れませんけど、山形戦でのPKも「ホントにPKでいいの?」って感じのものでしたし、札幌にとっていい時もあれば悪い時もある。レフェリーの判定が勝負のアヤとなることもあります。それはしょうがない。家本主審がジャッジがヘタなのも、百歩譲って仕方がないと思うことにしているんですけど、それでもただひとつ、主審に近寄る札幌の選手たちを「(カードの入っている)胸のポケットに手をかけて威嚇していた」のはどうしても許せません。札幌の選手たちがエキサイトして審判に詰め寄るという感じでもなかったですし、そもそも主審のカードってそういうものじゃないでしょ? カードはあくまでスポーツの試合を行う上で著しく不利益となる行為を罰するものであり、断じて「主審の伝家の宝刀」などではありません。なんか勘違いしてるんじゃないですかね。昔はひどいレフェリングだったけど研鑽を積み今では多くの選手・サポーターから信頼を得ている審判員もいますけど、ああいうことをやっている限りはこの先審判技術の向上なんて彼には望めないですね。しかもそれがプロのレフェリーと来たもんだから、一体どうなってるんだって話ですよホントに。
 で、珍しく自分がエキサイトしてしまいましたが、このPKでいよいよもってヴェルディが調子づきます。こうなると追う側は強いもので、そのわずか3分後には心理的に守りに入ってしまったか札幌のDFラインが乱れたわずかな隙を突かれて再び金澤に決められ、ついに追いつかれてしまいました。
 3点のリードを奪っておきながらこの状況はどう見ても逆転される流れです。今までの札幌であればそうなっていたかも知れません。しかし、決してあきらめないのが今の札幌。追いつかれてからわずか5分後、奥さんが来日していいところを見せたいダヴィが西谷のスルーパスを落ち着いて決めて再び突き放すことに成功しました。
 ダヴィの値千金のゴールで再び落ち着きを取り戻した札幌は、なりふり構わず攻め込んで来るヴェルディをなりふり構わぬ守備で封じ込め、4-3で逃げ切って連勝。試合のなかった仙台を抜いてついに単独首位に浮上したのでした。

 どうでもいいですけど、久しぶりに見たフッキは、去年散々見ていたはずのうちのカミさんが一目見るなり「誰これ?」とのたまった通り、札幌にいた頃みたいなやんちゃ坊主みたいな面影はなく、伸ばした髪をメッシュにするという妙な風貌になっていました。都会に出てきて大学デビューした田舎のあんちゃんみたいな感じというよりは、往年の武田鉄矢によく似ています。思えば遠くへ来たもんだ。

2007年4月27日

スペシャルウィーク

 世間では明日からゴールデンウィークに突入です。世の中の学校や多くの企業が「プチ春休み」となるこのシーズン、家族や友人らと旅行に行く計画を立てているという方も多いのではないでしょうか。そういう方々にとっては、「この忙しい時にサッカーなんて見に行ってられるか!」なんて感じなんでしょうけど、とはいえ旅行業界かき入れ時のこの時期はいわゆる「繁茂期」指定となっていて、まぁ要するに「どこに行くにも高い」という状態です。しかもどこも人がいっぱいですから、当然「何が哀しくて高い金出して混んでるところに行かなきゃならんのだ!」という方も多いでしょう。そういう方々の中には「ヒマだからサッカーでも見に行ってやるか」なんて奇特なことを思ってくださる方ももしかしたら多いかも知れません。要するにJリーグにとってもこの時期はかき入れ時であるため、今年もゴールデンウィークの期間中3試合が行われることになっています。
 まぁ、J2では週に3試合なんて当たり前なんで、ゴールデンウィークだろうがゴールデンレトリバーだろうがあまり関係はないんですけど、普段は週に3試合やると平日夜の試合を含んじゃいますからね。その点、ゴールデンウィークなら一番いい時期の一番いい時間帯に試合を組めます。この場合、原博実さんの「いい時間帯」とは多少意味合いが違いますので念のため。
 折しもJ2は第1クールが終了して第2クールに突入するこのゴールデンウィークは非常に大事な時期であり、とりわけ水曜日にお休みしている間に、上位陣が軒並み引き分けで終わったため図らずもついうっかり首位の座を守ってしまい、まさしく


ビクッ. ∧ ∧ ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) < うおっ、なんかすげえ所に迷い込んじまったぞ!
     ./ つ つ    \______________
  ~(_⌒ヽ ドキドキ
     )ノ `Jззз

 という感じの札幌にとっては、明日の愛媛FC戦を皮切りに、ザスパ草津戦(5月3日)、ベガルタ仙台戦(5月6日)と続くこの3連戦は非常に重要です。首位とはいえ6位の京都サンガF.C.までの勝点差はわずか4しかありません。ちょっと連敗しただけですぐに昇格圏外に放り出されるくらいの差です。加えて、相手は現在11位の愛媛、7位の草津、2位の仙台と、なかなか難しい相手が続きます。愛媛と草津は下位のチームということで「勝って当然」となるわけですが、そうは言っても愛媛には去年2敗してますし、決して後ろを振り向かない青春サッカーで現在のところ札幌が唯一敗北している京都に勝っています。草津は草津でこれまでは一応札幌は負けたことはありませんが、J2で3年目となり少しずつ地力を付け始め、札幌が1点も取れなかった湘南から2点を取って勝っています。仙台は仙台でやはり直接のライバルだけに負けられない相手。まぁ負けていい試合なんてそもそもないとはいえ、正念場が続きます。
 といっても、どんな形であれ首位に立ってしまったチームにとっては毎試合が正念場なわけです。毎日がサラダ記念日よりはいいかもしれませんけど、いずれにしても気を抜けるヒマなんてありません。まずは明日の愛媛戦にしっかり勝つことですね。
 ところで今「毎日が給料日だったらいいのになぁ」と思ったんですけど、それって世間では日雇いと呼ぶということに気づきました。

2016年2月

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