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2007年8月 アーカイブ

2007年8月 3日

かつての自分たちを

2007年Jリーグディビジョン2第30節
ベガルタ仙台 0-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/元気、ダヴィ
     仙台/いません

 前節東京ヴェルディ1969との壮絶な死闘っぽい試合を痛み分けで終えた札幌は、今節はベガルタ仙台とのアウェイゲーム。会場のユアテックスタジアム仙台は、昨季の天皇杯でヴァンフォーレ甲府を破ってベスト4進出を果たした場所だけにイメージ的には悪くはありませんが、2000年の最終節で勝利(2-0)して以来、昨季の22節で勝利を挙げるまでは5年半もの間勝てなかったスタジアムですし、その後も今季の第1クールでの試合を含めて2試合やって2引き分けと、そんなに相性がいいわけではありません。ただし、仙台とは2005年の15節(アウェイ)で4-0で負けて以来約2年間負けておらず、対戦成績としては分がいい相手です。
 仙台は現在3位。自動昇格となる2位の京都サンガFCとは勝点6差で、これ以上離されるわけにもいかない上、すぐ背後に東京ヴェルディ1969が忍び寄ってきています。まさに前門の虎、後門の狼。わかりやすくいえば、「マリオブラザーズ(無印)」において相方が明らかな敵性行動を示す中グリーンボールが発生してしまったような感じ。
 とはいえ、状況としては札幌も似たようなもんで、足踏みしつつもなんとか首位をキープし続けていますが2位との勝点差はわずかに1。台風で順延され札幌の消化試合数が1試合少ないとはいえ、追ってきているのが実力のあるチームだけに、ドラゴンバスターのケイブシャークに追いかけられている気分です。まぁケイブシャークはハメられますけどね。それはともかく、現時点では首位がどうのよりは3位との差を縮められるほうがキツくなるため、ここは何とか勝利で仙台を突き放したいところです。その札幌は、ワールドユースから帰ってきた征也が久しぶりにスタメンに復帰し、久しぶりにベストメンバーが出揃いました。カウエがベンチに行っちゃいましたけど。

 仙台といえば第29節終了時点で47得点と、リーグトップの攻撃力を誇るチーム。昨季得点王のボルジェスを放出して連れてきたウィリアンはわずか2試合の出場に留まり得点なしで解雇と、穴を埋めるどころか傷口を広げただけだったにも関わらず、フッキのいるヴェルディやパウリーニョのいる京都より多い得点を挙げているのですから、現在リーグ6位の得点数のチームサポーターから見ればうらやましい話というか、お金の問題もあるんでしょうけどボルジェス残しておけば無敵だったんじゃないのなんてちょっと思ったりもしますね。まぁとにかくリーグナンバーワンの攻撃力対リーグナンバーワンの守備力のチームという、要するにいつもの仙台戦。
 というわけで試合ですが、そんな仙台を相手に最初から守勢に回っては分が悪いと思ったか、開始直後に西谷が相手GK小針が前に出ていたのを見逃さずロングシュートを放ちます。これは惜しくもバーを叩いてゴールなりませんでしたが、まずはこのプレイでリズムを掴んだ札幌が攻め込む立ち上がり。仙台戦になると妙に張り切る西谷を中心にサイドから攻撃を仕掛け、何度か惜しいチャンスを作り出します。しかし先制点は西谷ではなく右サイドの征也のクロスから。前半19分、敵陣深くでダヴィが奪い返したボールを受けた征也がライナー性のクロスを入れると、中で待っていた元気が技ありのボレーを叩き込んでゴール。西谷で行くぞ行くぞと思わせておいて、実は手薄となった逆サイドから狙うという戦法ですね。実際狙ってやってたかどうかはわかりませんが。
 アクションサッカーを標榜していたヤンツーこと柳下正明が指揮を執っていた昨季の札幌は、チーム得点は77点とリーグで3番目に多かった反面失点の数も多く、JFLから初参入の愛媛FC(63失点)よりも多い67失点。13チーム中8位という成績でした。ジョエル・サンタナ監督が指揮を執っていた昨季の仙台は1シーズン通して43失点と、2番目に少ない失点数を誇っていた(1位は横浜FCの32失点)のに、今季が前節までの33失点もリーグ7位という数字となっており、去年の札幌と極めてよく似た感じで、やはり同じ磐田系の指導者である仙台の望月監督の作るチームもそんな感じなのでしょうか。ゴール自体はクロスも含めて見事なものではありましたが、この時の仙台は中に人数は揃っていましたし、元気にもマークはついていたにもかかわらず失点。なにやら他人事の気がしません。
 そういえばかつて、なかなか失点が減らないチームに対してヤンツーが「殴られて初めて『あ、痛いんだ』とわかる」とコメントしていたことがあります。相手に完全に崩されたわけでもないのにポカンと失点するのは去年の札幌でもよく見られた光景ですが、仙台もよりによって元気に殴られたことでようやく目が覚めたか、ここから攻勢に出ます。
 現在の札幌の守備対策として各チームがやってくるのは、「札幌のラインとラインの間に入ってボールを動かし、ゾーンを崩す」というもので、最近はそれに加えてザスパ草津の植木監督が暴露した「最終ラインの2人のCB、具体的にはソダンとブルーノの間にFWを配置する」というやりかたがもっともトレンディーでポップでキュートでノルマンディーひみつ倶楽部のようですが、仙台のやりかたはこれのさらに強化版といった感じで、草津式だと「2トップをどちらかを」札幌のDFの間に配置していたのを、仙台式の場合は「2トップ両方」ともを札幌のDFのポジションの間に置く形。で、ラインの間に潜り込んでフリーダムに動きパスを配球するロペスがうまいので、ここで札幌はボールの出所を捉えきれずラインはずるずると後退、そこからサイドに展開されるとマークの受け渡しがずれ、守備が後手後手となってしまいます。仙台のシュートミスにも助けられ、何とか踏み止まり前半は1-0で終了。

 そんな感じでしたので、結果論ではありますが後半開始直後のダヴィの1点はかなり重要なゴールでしたね。ゴールはこれまた理想的なもので、持ち前のスピードで磯崎を抜いた征也が上げたクロスに元気がニアで飛び込み、潰れた後ろからダヴィが詰めてのもの。オレはこういうゴールが一番好きなんですが、意味合い自体も後半追い上げをしようという仙台の出鼻をくじいた格好にもなりましたし、またこの得点以降、ということはつまり後半はほとんどの時間、ほぼ一方的に仙台に攻め込まれましたが、この得点があったからある程度は余裕を持って守れたというのもあったでしょうから。
 とはいえ、もうあとがない仙台の攻撃はまさに「猛攻」と言っていいもので、前半のやり方に加えてさらに梁勇基までゴール前に入ることが多くなり、DFの意識が中央に集中したところで、後顧を憂うことなくオーバーラップしてきたボールサイドの逆側のサイドバックが飛び込むという、ここまで来ると策というよりはかなり力技に近い攻撃を繰り返します。実際、上がってきた菅井にフリーで合わせられるシーンも何度かあり、肝を冷やすシーンも多くなります。相手が前がかりになってくるということは後ろが手薄になっているということで、つまりカウンターのチャンスが増えると言うことでもありますが、ただでさえ自陣内に黄色のユニフォームがわらわらといる上に、中盤の底のジョニウソンがあっちこっちでボールを拾っているので、クリアするのが精一杯で、とてもカウンターを見舞っちゃいなYOとかそんなこと言ってられるような余裕はこれっぽっちもない状況。
 そんないつ失点してもおかしくない流れで結局無失点に抑えることができたのは、高木のファインセーブや最後の最後でDFが身体を張って守っていたこともありますが、仙台が自分たちの「札幌崩し」にこだわって、陣形が整うまで攻めてこなかったことも大きな要因かも知れません。早く攻めるチャンスはいくらでもあったように見えましたが、このあたりもなんだか去年までの札幌によく似ているような気がします。

 まぁそんなわけで、何とか危ないシーンを迎えながらも札幌が2点のリードを守りきってアウェイで勝利を飾った分けなんですが、前後半合わせた両チームのシュートは、札幌のわずか6本に対して仙台は打ちも打ったり22本。たった6本で2点を取った札幌の攻撃がよかったのかシュート6本に抑えておきながら2点を取られた仙台の守備がまずいのか、はたまた22本のシュートを浴びながらゴールを守り抜いた札幌の守備がよかったのか、22本もシュートを打って1本も決められなかった仙台の攻撃がまずかったのか、正直どっちかは判断しかねる試合ではありましたが、札幌にとっては貴重な勝点3、仙台にとってはもったいない勝点のロスという試合でしたね。今年の仙台と去年の札幌が対戦したら、どんな試合になってたんでしょう。ドリフのバカ兄弟コントみたいになってたんじゃないでしょうか。つーかドリフ大爆笑のDVDにバカ兄弟入ってないとはどういうことですか。

2007年8月 9日

ピンクパンサー

2007年Jリーグディビジョン2第31節
コンサドーレ札幌 1-1 サガン鳥栖
得点者:札幌/西谷
     鳥栖/藤田

 前節仙台を相手にアウェイ勝利を飾った札幌は、今節は中2日でサガン鳥栖を迎え撃ってのホームゲーム。30節を終えた時点での鳥栖の順位は9位。12勝とそれなりの勝ち数をを挙げている反面、負け試合も12試合と多く、しかも負けるときは5失点とか4失点ということも多く、得点31に対して失点は40と、のるかそるかのサッカーをしてしまってるのがいまいち順位を上げられない原因のようです。セレッソから大型FWの金信泳を期限付きで獲得したりいろいろと手を打ってるようですが、チームの中心であるはずの尹晶煥もケガや出場停止などであまり試合に出られず、なかなか苦労をしてるみたいです。この試合も尹が出場停止。札幌にとっては尹がいないのはやりやすいんですが、それよりも気になったのが鳥栖のGK浅井俊光。なんとなく戦国時代の武将みたいでカッコイイ名前です。でもピンクで坊主ってそりゃどんな武将ですか

 GKユニフォームにピンク色を採用しているのは鳥栖に限った話ではありませんが、ピンクの服を着るなんて世間では写真好きの夫婦くらいなのに、それに加えてスキンヘッド。誰か止めるべきだったんじゃないでしょうか。まぁそれを言っちゃうとセレッソなんかどうするんだという話になりますし、見ようによっては「ちょっと派手好きのぬらりひょん」くらいで済むかも知れませんが、そのせいか札幌選手の動きは開始からなんとなくおかしく、ソダンが珍しくヘディングの目測を誤ったり、ラインの裏を取られたり、アタッキングエリアでのマークズレなど「らしくない」プレイを連発して決定的なシュートを打たれるシーンが何度も見られます。
 それでも先制したのは札幌でした。前半15分、元気が粘りに粘って得たフリーキックのチャンス、西谷が蹴ったボールは何を期待できるボールでもなくラインを割る…かと思われましたが、風で戻され微妙な弾道になり、そのボールを追いかけてようとしたソダンがペナルティエリア内で倒されPKを獲得。このPKを西谷がキッチリ決めて1-0とします。
 この得点以降は、ようやく札幌もピンク坊様の呪縛から落ち着いたかそれなりにボールを持てるようにはなりますが、攻撃は単発で終わることが多く、ペースとしては依然として鳥栖のまま。鳥栖の攻撃自体はさほど分厚いわけでも鋭いわけでもなかったのですけど、いかんせん札幌の守備は相変わらずピリッとせず。何度となくボールサイドと逆の選手をフリーにして使われピンチを招くという、まさしく右のほおを打たれたら喜んで左のほおを差し出している感じ。それでも何とか鳥栖の攻撃を凌ぎ、前半は1-0で終了。劣勢に立たされながらも、現実としては勝っているというのはいつものパターンなんですが、いつもなら劣勢ではあってもある程度の余裕が感じられるのですが、この試合では余裕どころかマジでやられる5秒前といった感じで、出足が遅くてプレスもあまりかからず、かけたとしても当たるのが遅れ気味。当たるのが遅れれば当然カードをもらう可能性も増しますし、まぁちょっと厳しいかなというカードもありましたけど、アフタータックルだとやっぱり心象が悪いですからね。心象の悪さで言えば、腰が痛いからと帰国した先でサッカーやってましたレベルです。とにかくいいとこなし太夫の前半でした。

 いつもであればハーフタイムでしっかりと修正してくるのが三浦監督なのですが、後半のコンサドーレもやっぱりさっぱりで、セカンドボールは拾えない、守備も後手後手で何とかかんとか跳ね返しているという状態。鳥栖は他のチームのようなあからさまな札幌対策、つまりラインとラインの間、選手と選手の間でボールを持つというやり方を採っていないにもかかわらずこの体たらく。さすがに中2日での試合が続くと、もう口で言ってどうこうというレベルじゃないって感じなんでしょうかね。そういう意味では、後半の失点がPKによる1点のみというのはよく頑張ったほうだったのかも知れません。まぁPK自体はちょっと厳しいかなという感じはしましたけど、前半の札幌のPKもけっこう微妙でしたしね。
 とはいえ、それでも試合の終盤は札幌ペースの時間帯が多かったですし、それなりにチャンスは作ってましたけどね。それでも追加点を奪って突き放すまでの体力はなかったようで、結局最後までピンク坊様の牙城を崩すことができず、1-1の引き分けで終了。ホームとしてはちょっと情けない試合内容でしたけど、負けなくてよかったという感じの試合でした。

2007年8月10日

ブラジルからの練習生

 少し前に大分トリニータの松橋章太を獲得という情報が流れたことはここでも少し触れました。その信憑性がいかほどのものだったかは知る由もありませんが、いずれにしても結局札幌に松橋は来ておらず、またそれ以来補強に関する話はどれも都市伝説レベルの域を出ていません。もっとも、昇格がおぼろげながら見えてきた現在、来期にかかるお金は確実に増えることが予想され、そもそも金銭的にぜんぜん余裕がないコンサドーレにとっては、補強費を使わずに済むのであればそれに越したことはありません。幸い、現時点で3位との勝点差は13あります。FWとDFは確かに欲しいところではありますけど、だからといって焦って単なる数合わせの補強に終わってしまったら、宵越しのゼニは持たないのがポリシーですといういいわけしかできなくなります。チームとしてもそれなりにうまく行っており、どうしても緊急で補強しなければいけないような状況ではないですから、特に積極的に補強に動いているわけではないのではと思っていました。そんな中、ブラジルから1人の練習生がいきなりやってきました。ダヴィとカウエと同じヴィトーリアからやってきたイタカレという名前のストライカーです。

 なんだかみょうちくりんな名前ですが、もちろん本名ではなく登録名で、公式サイトによれば本名はエリソン・ファグンテス・ドス・サントス。ブラジル人選手はビジュやフッキのように本名を使わずに愛称を登録名とすることが多いですが、その登録名に自分の出身地を入れることも珍しくなく、たとえば「パウリスタ」はサンパウロ、「カリオカ」はリオデジャネイロ、「バイアーノ」はバイーアなどが有名です。このイタカレもブラジルのバイーア州にある都市の名前です。謙伍が「道産子」で登録するようなもんですかね。まぁ日本人の姓もその多くが地名か職業名ですけどね。枢斬暗屯子みたいな名前の人はあんまりいません。
 さて、ちょっと気を抜くとインカラだったかイカリヤだったかわからなくなる名前のインパクトばかりに注目が集まりますが、肝心のプレイはどんなのかというと、まったく資料がない上に練習も見に行けるはずもないオレにはどんな選手かさっぱりわかりません。181cm81kgという大型であることと、1987年8月21日生まれのもうすぐハタチと、オレと同い年ということしかわかりません。
 現在ブルーノ、カウエ、ダヴィとBCDトリオでA契約外国籍選手枠は埋まっていますが、規約上はC契約であればあと2人までの保有が認められます。契約についての詳しい話はここでは割愛しますが、当然のことながらC契約を結べる選手には条件があり、端的に言うと「育成目的の20歳未満の選手」です。で、イタカレ選手はまだ19歳と規約上はC契約を結べるのですが、どうやら練習生としての参加のようで、わざわざそういう形にしたということは補強ではなく「お試し」の意味合いが強いと思われます。もっといえば、ヴィトーリアから売り込みがあったけどブラジルに行って見に行くヒマなんてないし足代と滞在費くらいは持ってやるからそっちからきやがれ、といった感じなのかも知れません。
 まぁいずれにしてもものになりそうなら正式契約を結べばいいし、そうじゃなければ曖昧3センチ、そりゃぷにってことかい!?と、札幌にとってはさほどのデメリットはありませんから、いい方法じゃないでしょうか。もちろん、個人的にはせっかく遠く日本まで来たんですから、頑張って欲しいものですね。

2007年8月16日

草津戦初勝利

2007年Jリーグディビジョン2第32節
ザスパ草津 0-3 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/元気、スナマコ、征也
     草津/なし

 調子が悪い悪いと言われつつもしぶとく負けずに踏ん張っているコンサドーレですが、今節はちょっと正念場。「プチ正念場」とかちょっと流行りっぽい言葉を使ってみようとして実は微妙に廃れた表現で重ね重ね上塗りしてしまうようなことはできれば避けたいものですが、今季唯一勝ち星を挙げていないザスパ草津とのアウェイ戦を迎えました。第1クールは先制ゴールを挙げておきながらその後わずか4分間で逆転されてそのまま敗戦、第2クールでは2度リードを奪いながらも2度追いつかれ引き分け。第1クールの試合はその直後から7連勝と、結果的には「いい薬」となったわけですし、第2クールの試合も負けているわけではないのですけど、同じチームを相手に2試合とも2失点とは、こういう書き方は申し訳ないのですけど、攻撃力の高い上位チーム相手でも無失点に抑えた試合があるのに、ここまでの総得点数はリーグワースト4位の20得点、順位も11位という草津に対してトータル4失点というのは、もちろん同一チーム相手の最多失点。守備を売りにしているチームとしては不思議な感じです。なんというか、ギターで頂点を目指すために上京してきたのになぜか笛を吹いているという感じ。なので、この試合では勝利は最低条件としても、無失点に抑えることが重要となってくるでしょう。
 とはいえ、札幌にとっての最大の敵は何よりも暑さです。幸い、日中に雨が降ったおかげで気温自体はキックオフ時点で24.3度とかなり下がりはしたものの、湿度は84%とむしむしする状態は変わらず、さらに攻撃の要である西谷が出場停止。穴は砂川で充分埋まるにしても、控えの切り札っぽい謙伍もケガで欠場となり、流れを変えられる選手がベンチにいないことに若干の不安を憶えます。
 対する草津のほうは、5月26日の水戸戦以来約2ヶ月以上も勝ちがなく、まさに草津の湯でも治せない勝利欠乏症はありますが、ゲンのいい札幌戦で浮上のきっかけを掴みたいところでしょう。対札幌戦3ゴールを挙げている氏原と新加入の大型FWカレカがスタメンの2トップ、DFチカの出場停止もこの試合で明け、ほぼベストの布陣で臨んできました。

 で、試合はいきなり前半4分にラインの乱れを突かれて高田に抜け出されるピンチを招きます。ここはGK高木がファインセーブを見せ事なきを得ますが、いまいち不安な立ち上がり。札幌は前半はサイドバックも上がらず、ボランチもあまり積極的に前に行かなかったことからも、コンディションを考えた省エネモードだったようですが、試合前に降った雨の影響でボールが滑りやすかったこともあってあまりチャンスを作れず。草津の新FWカレカは戦術的な指示なのか本人のプレイスタイルなのか、いずれにせよ前線に張ってポストになるのではなく、割と引いた位置でボールを受けるタイプのようで、シジクレイに似た顔の怖さとは裏腹に、技術的にはそんなに怖くはなく、言うなれば「白いダヴィ」。しかしそのカレカが引いたスペースに入ってくる鳥居塚にフリーでシュートを打たれたり、天敵・氏原にあわやのミドルを打たれるなど危ないシーンも何度かあり、ペースとしてはやはり草津の試合です。
 でもまぁ、前節の鳥栖戦もそうだったように、相手が上位だろうが下位だろうがだいたいいつもこういう展開になって、それでも先制するのが札幌というのがこれまでのパターンであり、果たしてこの試合も先制したのはやはり札幌。前半35分、ダヴィが相手ペナルティエリア近くで倒されて得たFKのチャンスで、砂川が蹴ったボールに元気が頭で合わせてゴール隅に決めます。ゴールに向かっていくボールを枠に飛ばすのはかなり難しいのですけど、うまく決めましたね。まぁ年々少しずつ成長を見せている元気ですから、これくらいはやってもらわないと、上達したのはマリオカートだけなんて言われかねませんからね。見事なゴールでした。
 このゴールでちょっと勢いが付いたか、この後はカウンターから何度かチャンスを作るものの、相手GK本田の好セーブもあって追加点は奪えず、前半は1-0で終了。

 さて先制したのはいいのですが、前述したとおり草津との前2戦も同じように札幌が先制し、そのあとに追いつかれるという展開だったために、後半求められるのはまずは相手に点を与えないこと、同時に早めに追加点を奪うことでしょう。2点目を酉さえすれば、12戦勝ちのない草津に「今日もダメかオーラ」を背負わせることができるはず。というわけで後半は前半よりかは幾分札幌もギアアップ。前半よりは前への意識も強くなりましたが、しかしあくまで主体は「失点をしないこと」であり、あまりリスクを負わないのはさほど変わらずで、草津にビッグチャンスは与えずともこっちもビッグチャンスはなく、試合のペースとしては五分五分といったところ。
 しかし今年の札幌が恐ろしいのは、五分五分、あるいは相手ペースでいけそうだと思わせておいて、実は相手の体力をじわじわと奪っているというところであり、そんなジョジョバトル的展開が札幌が首位を守っているひとつの理由だったりします。まぁ相手に攻めさせていると思わせておいて、実はやっぱり攻められていたという試合もあったりするんですが、この試合はまさしくいつもの札幌で、後半20分を過ぎた当たりから徐々に草津の運動量が落ち始めます。
 こうなってくればあとはいつ追加点を入れるか。後半も札幌がろくすっぽチャンスを作れなかったんですが、後半32分、相手のクリアミスを拾った元気が右サイドのタッチライン際を走っていた征也にパス。パスを受けた征也がアタッキングエリアまで持ち込んで入れたグラウンダーのクロスを、ファーサイドに走り込んでいた砂川が決めて待望の追加点をゲットしました。まぁ厳しい見方をすれば、征也のクロスは若干ミスキック気味でしょぼくれた弾道だったので、抑えようと思えば抑えられたはずなのに一瞬躊躇してしまった本田の判断ミスとも言えなくもないのですが、それでも元気が征也にパスを出した時点でダヴィと砂川の2人が猛然とダッシュをかましていましたから、なんだかんだで終盤になっても運動量が落ちない札幌の強みが出たと言えると思います。本田が飛び出しを迷ったのは猛然と走り込んでいるダヴィが目に入ったからというのもあるでしょうしね。
 ちなみに砂川は今季初ゴール。初ゴールといえば恒例となっている「アレ」はありませんでした。このあたりからも現在のチーム内の力関係が何となく見て取れます。芳賀主将といえども西谷と砂川という実力者2人にはうかつな行動は取れない模様。
 こうなればもう草津には反撃の余力は残されておらず、逆に札幌は後半43分に相手のクリアボールを拾った征也が見事なミドルシュートを突き刺してダメ押しゴールを決め、3-0で試合終了。第3クールにしてようやく草津からの今季初勝利を挙げることが出来ました。

2007年8月17日

ホーム無敗継続中

2007年Jリーグディビジョン2第33節
コンサドーレ札幌 3-0 セレッソ大阪
得点者:札幌/征也、ダヴィ、西谷
     セレッソ/なし

 前節対草津戦今季初勝利を挙げた札幌は、久しぶりの札幌ドームでセレッソ大阪を迎え撃ちます。ここまでセレッソとは2戦2勝と分のいい成績ですが、2戦とも終始劣勢に立たされ、相手の決定的なシュートがポストを叩く幸運に何度も助けられながらワンチャンスを生かし切っての1-0勝利と「辛勝」と言える内容でした。まぁ札幌の場合はどこのチームが相手だったとしても楽勝とか完勝とか勝新太郎とか新春金粉ショーという言葉とはあんまり縁がなかったりするのですが、その中でも過去2つのセレッソ戦は肝を冷やすシーンが多かったように思います。
 で、そのセレッソのここまでの成績は14勝12敗4分。途中監督交代などのゴタゴタを挟みつつも3位のアビスパ福岡とは勝点3差の7位につけています。ただしセレッソは福岡より試合数の消化が1試合多いため、実質的な勝点差はそれ以上ということであり、また同じチームに3連敗は避けたいでしょうから、ここは是が非でも勝ちに来ると思われます。第3クールに入ってからは6試合で5勝1敗、第30節では東京ヴェルディ1969には0-4と大敗したものの、その後はベガルタ仙台、京都サンガといった上位チームを立て続けに撃破と調子自体はどうやら上向きの模様。出場停止の選手もおらず、スタメンも前節と同じ。もっとも、クルピ監督が出場停止だったりしますけど。
 対する札幌としては、優秀なアタッカーの揃っているセレッソの攻撃陣をいかに抑えるかがカギとなりますが、CBのブルーノが奥様の出産のために急遽欠場。右サイドバックの西澤画伯がCBとなり、右サイドバックには池内が久しぶりのスタメン出場となります。ソダンと画伯のコンビは実績がありますし、ブルーノの欠場はさほどの影響はないと思いますが、前節出場停止だった西谷も戻りましたし、確実に言えるのはセットプレイでの凶悪度は2割り増しとなったということでしょうか。

 さて試合ですが、予想通りガンガン攻めてくるセレッソに対し、ホームの札幌も決して受けに回ることなくお互いに真っ向勝負。セレッソがセットプレイでチャンスを掴めば、札幌も負けじと前節の出場停止で休養充分なのか気味の悪いくらいキレキレな西谷があり得ないようなピンポイントのパスを通してチャンスを作り出すなど、見応えのある攻防が続く中、先制したのは札幌でした。
ポストに当たって跳ね返ったボールを征也がインサイドで落ち着いて蹴り込みあっさりと札幌が先制します。前半9分、やはり西谷からのスルーパスに反応した元気が左足を振り抜くと、ボールは逆サイドのゴールネットに吸い込まれ…ればかっこよかったんですけど、残念ながらポストに当たってゴールならず。しかしそのボールを詰めていた征也が押し込んでゴールしました。
 そしてゴールを決めた征也を始め元気、ソダン、池内の4人がゆりかごダンスを披露。もちろん生まれてくるブルーノの子供を祝ってのパフォーマンスです。バラバラじゃなければもっとよかったんですけどね。これでは寝た子も起きると思います。
 先制したとはいえまだまだ時間はたっぷり残されており、セレッソも当然攻撃の手を緩めるようなことをするはずもありませんが、札幌としてはそれは想定内の展開です。チーム全体の守備もいつも以上に冴えを見せ、セレッソはパスの出しどころがなく後ろでボールを回すか、もしくはミスから奪われてカウンターを喰らうかのどちらかで、自慢の攻撃陣になかなかボールが回りません。ただ攻撃のほうはといえば先制以降はさほど大きなチャンスを作れず、34分に西谷のフリーキックがポストを叩いたシーンがあったくらいで、あとは池内がゼ・カルロスがスライディングをかまそうとした時にはもう倒れ込んで池田主審に当然のようにスルーされたり、ソダンが何を思いついたかおもむろにオーバーラップしていったなと思ったら相手にファウルしただけで帰ってきたり、おもむろにドリブルを始めたと思ったらそのままラインの外に出て行ったり、センターバックに入ったためにあまり1対1のシーンが多くなかったことに鬱憤がたまっていたのか、画伯が数少ないチャンスでちゃっかり小松を屠ったりと、得点とは全然関係ないけどちょっとオモシロかったシーンがあったくらいで、前半は1-0のまま終了。

 前半はほとんど危なげない試合運びができていた札幌は、後半も理想的な試合運びを見せます。開始早々に得たフリーキックのチャンスで、西谷の蹴ったボールはいったんはクリアされますが、そのボールを拾った西嶋が再び中央に入れると、セットプレイといえばこの男、オモシロサイドバック池内友彦が頭で合わせてゴールゲット…かと思いきや、これまたポストに跳ね返りますが、それをダヴィが押し込んで追加点をゲット。これでダヴィは今季10点目。なんだかんだ言ってけっこう獲ってるんですね。
 で、この追加点でかなり楽になった…というかセレッソは完全に出鼻をくじかれた格好で、選手交代に活路を見いだそうとしますがなんだか攻め方も全然はっきりせず、豪華な攻撃陣がまったく生きていない状態。逆に後半13分には西谷が個人技から右足を振り抜き、ダメ押しとなる3点目をゲット。関係ないけどセレッソGKの吉田はちょっと平井堅っぽい。
 その後もセレッソがボールをキープして攻め込むという展開が続きますが、札幌の守備はなかなか崩れません。無理に攻めないながらも大塚がウルトラスペシャルサイクロン当たり損ねシュートという異次元のプレイを見せたり、親分西谷が割とえげつないファウルをかましてきたアレーに落とし前を付けさせようとしたりもしましたが、試合はそのまま3-0で逃げ切りました。前節草津戦に続いてびの3-0勝利ですが、前節と違い全体的には快勝と言える内容で連勝を飾りました。

2007年8月18日

うっちゃった

2007年Jリーグディビジョン2第34節
京都サンガFC 2-3 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/西嶋、ダヴィ、石井
     京都/パウリーニョ、徳重

 メインスポンサーの石屋製菓で発生した不祥事が騒がれる中迎えた首位決戦。コンサドーレ札幌は現在2位の京都サンガFCとアウェイで対戦します。前々節はセレッソに負け、前節も草津に引き分けるという足踏みで札幌との勝点差が7まで広がってしまった京都は、ここで勝って少しでも差を詰めたいところでしょう。西京極ではこれまで札幌は一度も勝っておらず、今季の開幕戦でもなすすべなく敗戦した相性の悪いスタジアムだけに、厳しい試合になると予想されます。そしてそんな札幌の最大の敵は暑さです。この日は京都名物の五山送り(いわゆる大文字焼き)のために夜間照明を付けられず、この時間のキックオフとなりました。大文字焼きなんてポートピア連続殺人事件で京都に行けばいつでも見られると思いますが、とにかくただでさえ半端なく暑い京都でまだ日のあるうちに試合を行うという異例の事態。まだ曇っていたり雨が降っていたりすれば多少はマシだったのでしょうけど、あいにく天気は快晴。もうここまで来ると結果云々よりもとにかく両方の選手や審判団が無事に試合を終えられることを祈りたい心境です。

 で、キックオフからしばらくはまだ日も高く、メインスタンド側の一部を除いてピッチのほぼ全面が西日に晒されており、ピッチ上は発表された気温以上に暑いに違いありません。実際、キックオフからそれほど時間が経っているわけではないのに、京都の選手のユニフォームは既に汗が染みて変色してない範囲のほうが狭い状態。アウェイ用の2ndユニフォームなのでわかりにくいものの、札幌の選手たちも似たような感じでしょう。しかも暑さでボールもあめってしまい(※北海道弁)、何度も牧野主審がボールの交換を指示するなど、選手たちだけじゃなくボールまでもが悲鳴を上げる異常事態です。これではまともなサッカーをしようというほうが無茶ってなもんで、わずかな日陰部分をプレイエリアとする画伯なんて、誰が何と言おうとその結界から出る気がないらしいのも無理ありません。まぁ日が傾くに連れて結界も広がるでしょうし、日没になれば体感気温は下がるでしょうから、両チームともそれ待ちなのかあえて動かないようにしているといった感じ。
 となるとカギを握るのはやはりセットプレイです。そしてセットプレイといえば札幌。かつてはセットプレイなんてちっともチャンスだなんて言えなかったことを考えると隔世の感がありますが、今では札幌と対戦する各チームがもっとも警戒すべきこととして挙げ、そしてそれでも点の獲れるストロングポイントとなっているのが札幌のセットプレイです。飛天御剣流で言えば九頭龍閃。というわけで前半38分、西谷の直接FKをGKがはじいたこぼれ球を詰めていた西嶋が押し込みゴール。西嶋のゴールといえば、ソダンに横取りされた「幻の初ゴール」が思い出されますが、今回は正真正銘今季初ゴール。初ゴールといえば恒例の「芳賀ラッシュ」ですが、スカパー!では真っ先に飛びついてきたシーンしか映っておらずラッシュを浴びたかどうかは不明。
 苦戦が予想される中先制した札幌ですが、当然京都がこのまま黙っているわけもなく、そして京都にはJ2でもっとも危険な男であるパウリーニョがいます。前半アディショナルタイム、札幌のミスからパウリーニョにボールを奪われ、抜け出されそうになったところをソダンが倒してしまいPKを献上。このPKをパウリーニョ自身にキッチリ決められて同点に追いつかれてしまいました。

 ピッチの全面から日なたの消えた後半、試合は大きく動き始めます。はなからアウェイで京都を無失点に抑え切ることは望んでませんが、それでも先制したすぐ後に同点にされてしまったのはもったいない話であり、しかも京都はまだ切り札のアンドレをベンチに残しています。そしてその京都にとってのビグ・ザム、アンドレが後半11分に満を持して登場。ここから徐々に京都ペースの試合となっていきます。札幌も後半19分に前半ずっと日なたでプレイしてひからびかけていた西谷に代えて砂川を投入し活性化を図りますが、その直後の後半21分、リスタートからのボールをアンドレが落とし、パウリーニョがヒールで繋いだ先に走り込んだ徳重に決められ逆転を許してしまいました。
 普段は相手に押されていても終わってみれば勝っているという、にこやかに微笑みながらテーブルの下で相手の足を踏んでいるという、とってもイヤなヤツみたいなチームが札幌なのですが、今回ばかりは相手のペースでやられてしまった格好です。ただでさえきついコンディションの中、今まで勝ったことがないスタジアムで、力のあるチームを相手に珍しく完全に崩されての失点で逆転。そんな絶体絶命の状況に札幌は、にこやかに足を踏むのではなく殴り合い上等に変貌しました。京都が気分的に守りに入ったこともありますが、逆転された直後に交代で入ってきた謙伍をはじめガンガン前に上がってくる選手たち。惜しいチャンスを何度か作った後の後半31分、右サイドをぶち抜いた征也のクロスを謙伍がスルー、後ろにいたフリーの砂川が右足を振り抜いて打ったシュートはGK平井に阻まれますが、こぼれたボールをダヴィが押し込んで同点に追いつきました。
 こうなるともう札幌はイケイケムード。同点からわずか2分後の後半33分、中盤で繋いだボールを受けた謙伍がドリブルで突破し、飛び出してきた平井をあざ笑うかのように羽化したシュートを決め、ついに逆転に成功しました。石井最高! 石井最高!

 その後は捨て身で攻撃をかける京都に押し込まれるシーンが増えますが、チーム一丸の守備で京都の猛攻を凌ぎ3連勝を達成。不利なコンディションの中もぎ取った貴重な勝点3で京都との勝点差を10にまで広げ、再び盤石な首位独走態勢を築くことに成功しました。

2007年8月25日

ホーム初黒星

2007年Jリーグディビジョン2第34節
コンサドーレ札幌 1-2 湘南ベルマーレ
得点者:札幌/西谷
     湘南/原、石原

 京都サンガFCとの死闘(死にそうな闘い)を制した札幌は、その疲労を充分癒す時間もなく中2日でのホームゲームを迎えます。ホームといってもいつもの厚別やドームではなく、札幌から約130km離れた室蘭での開催。相手は湘南ベルマーレです。前節までの43得点31失点という成績は、リーグで一番失点の少ない札幌の次に失点が少なく、そして上位6チームの中で5番目に得点の少ない札幌の次に得点が少ないという、割とよく似たチームである湘南。しかしその札幌が20勝3敗8分で首位に立っているのに対し、湘南は15勝11敗4分で6位。勝点にして19もの差をつけられているひとつの原因は、下位チームに対しての成績は札幌が17試合で11勝2敗4分、湘南が19試合で14勝3敗2分とほとんど変わらない成績なのに、これが上位チームとの対戦となると、札幌が13試合で8勝1敗4分とほとんど負けていないのに対し、湘南は12試合で2勝8敗2分とあからさまにタケちゃんマンであることでしょう。
 ただし、現在のところ3位グループが大混戦のため、湘南も6位といっても3位のアビスパ福岡とは勝点4差。しかも湘南は第32節の鳥栖戦が試合途中で雷雨のため中止・順延となった関係で消化試合数が1試合少なく、その差はもっと少ない可能性があると言えます。まぁうちもそうですけど延びたぶんのしわ寄せが後からやってくるので、そうでなくても過密日程のJ2がさらにキツキツになることを考えると、別段有利というわけではないんですけどね。休日出勤の代休を先にもらったみたいなもんですね。平日休めて何となく得したような気分になるけど、全然そんなことないみたいな。
 とにかくそんな湘南自身の上位陣との対戦成績の悪さに加え、札幌は湘南には相性がよいというのもあって、この試合も行けるとは踏んでいたんですが…。結果的には、ホーム初黒星ということになってしまいました。まぁそれでも今季4敗目。1年で5つしか勝てなかった2004年から考えればまだ4敗しかしてないというのは驚くべき数字ですがね。

 お互い中2日ということもあって試合は開始から両チームとも動きはあまりよくなかったのですが、まだ日があるうちにキックオフとなった札幌のほうがよりダメージが大きかったのでしょうか。京都での試合が「三日殺し」みたいになっていたのかも知れませんし、カミーユに負けたシロッコみたいに逆転負けを喰らった京都が札幌の心も一緒に連れて行ってしまったのかも知れません。まぁ実際、勝ったとはいえダヴィとソダンが警告を受け、この試合は累積警告による出場停止と、トップスコアラーと守備の要を連れて行かれてしまったわけなんですけどね。対空戦は言わずもがな、セットプレイでも重要な得点源であるソダンと、すごいのかすごくないのかよくわからないけどとりあえずめんこいことだけは確かなダヴィを欠くということは、今の札幌にとってはいわば飛車角を欠いた状態です。ソダンのポジションには西澤画伯が入り、空いた右サイドバックにはいつもの通り池内が、ダヴィの代わりには前節劇的な逆転ゴールを決めた石井謙伍が入りましたが、画伯とブルーノのコンビは今季初めて。相性はいいと言っても札幌と湘南の間にそこまで大きなチーム力の差があるわけではないですから、その辺りの差が出てしまったと言ってもいいかもしれません。

 さらに、前半28分には大塚がセットプレイで斉藤俊秀と競り合った際に頭部に8針を縫うほどの裂傷で交代を余儀なくされました。
中盤の潰し屋である大塚がピッチを退いたことで札幌は飛車角どころか金将まで失った格好。交代で入ったカウエはあまり守備が得意なほうではないですから、アジエルをますます自由にプレイさせることになり、守備陣はその対応に四苦八苦。アジエルはそれほど派手な選手ではありませんが、基本技術は高いですし自己中心的なプレイはしないため、相手にとっては厄介な選手。たのきんトリオで言えばヨッちゃんです。そうでなくても動きの重い札幌は湘南のパス回しにプレスのポイントが絞れず、イヤな時間が続きます。
 そして前半38分、左サイドからの尾亦のクロスを西澤画伯がクリアしきれず、ボールはその裏にいた原竜太へ渡り、フリーの原が難なく決めて先制されてしまいました。言っても由のないことですが、ソダンだったらクリアできていたボールでしたね。ちなみに原は前所属がモンテディオ山形。今季3得点を喰らっている草津の氏原も元山形です。山形に対する苦手意識はだいぶ薄れましたが、こういう形でまだ残ってるんですね。というか、決勝点を取られたのは石原。「原」のつく選手に弱いんでしょうか。本名に「原」がつくオレでも点が取れるかもしれませんね(取れません)。
 イヤな時間にイヤな点の取られ方をした札幌ですが、それからわずか2分後の40分、スローインから元気が後ろに反らしたボールを征也が胸で落とし、西谷が見事なダイレクトボレーでゴールに突き刺して同点に追いつきます。前半はこのまま1-1で終了。

 後半は一進一退の攻防。湘南が細かいパス回しからチャンスを作れば、札幌もセットプレイでチャンスを掴みます。後半6分、ペナルティエリアすぐ手前でフリーキックを得ます。絶好のチャンスに蹴るのは同点ゴールを決めた西谷。「セットプレイに強い」と言われる札幌ですが、実は今季ここまで直接FKを決めたことがありません。というよりは、ここ3年くらいを記憶を掘り出しても、札幌が直接FKを決めたシーンって2005年の徳島戦の池内のちょこざいなフリーキックと、2006年鳥栖戦と神戸戦でフッキが決めた2つくらいしか思い出せないのですが、この西谷が蹴ったボールも壁に当たってしまい、さらに跳ね返ったところを再び西谷がダイレクトで蹴ろうとしたらいつぞやの代表での柳沢みたいなミスキック。変な回転のかかったボールをダイレクトで枠に飛ばした征也はすごいと思ったのですが、このシュートは相手GK金永基が左手一本で止めゴールならず。その後も謙伍がいくつかシュートを放ちますがゴールの枠をとらえることができません。
 そして湘南も、後半23分にいまいちフィットしていなかったエドワルドマルケスに替え、ついに天敵・石原を投入してきました。その石原にゴールを決められてしまうのですから、これまた相性を感じざるを得ません。石原が投入されてから8分後の後半31分、アジエルからのボールを受けた石原がターン一発でブルーノを交わし、右足でトゥキック気味のシュートを突き刺しゴール。
 再びリードを奪われた直後、三浦監督は征也に替えて最近ますます龍拳の頃のジャッキーチェンに似てきた砂川を投入します。ただジャッキー…いや砂川を入れるのであればもう少し早い段階で入れるべきだったかも知れません。その前に三浦監督は後半26分に元気に替えて相川を投入していますが、少なくともこの交代は逆のほうがよかったような気がします。前半で大塚に代えてカウエを入れているので、戦術的な交代枠が2つしかなかっただけに慎重になったんでしょうかね。83分のフリーキックのチャンスも西谷が壁に当ててしまい、その後も砂川が大先輩・加藤望のケツを蹴ったり、池内が前線に上がって点を取る気マンマンだったりしましたが、ジャーンと斉藤の牙城を崩すことができずタイムアップ。いつもなら最低でも同点で終わってきた札幌ですが、今回ばかりはその神通力は現れませんでした。

2007年8月31日

久しぶりのウノゼロ

2007年Jリーグディビジョン2第36節
モンテディオ山形 0-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/石井
     山形/なし

 前節湘南ベルマーレに対して今季4敗目を喫した札幌は、今節はモンテディオ山形とのアウェイ戦です。
 山形は11勝11敗10分の9位と不振。3位のアビスパ福岡とは勝点13差と昇格争いからは二歩くらい交代した感があり、札幌との対戦成績もここまで1分1敗と分がよくありませんが、スコアはそれぞれ0-1、1-1と僅差での敗戦。そのうち1失点はPKによるものとさほどの力負けという感はなく、そもそも山形は伝統的に「やる時はマジでやりやがる」チーム。決して侮れる相手ではありません。
 札幌は台風4号の影響で順延となった7月14日の第28節・徳島ヴォルティス戦の代替日程が9月5日に決まっており、この山形戦を皮切りに8月30日に第37節アウェイ水戸ホーリーホック戦、9月2日に函館での第38節愛媛FC戦を行った後、四国に移動して徳島戦と、11日間の間に4連戦というどうでしょう企画並の強行日程となります。いずれも下位チームが相手とはいえ、それぞれ3日、2日、2日という試合間隔はかなりキツいですし、この間札幌での試合は行われない上、苦手の四国も含まれているという至れり尽くせりっぷり。それだけにスタートとなるこの山形戦は、ここをものにすれば気分的には楽になりますし、逆に落としてしまったりしたら、修学旅行の行きのバスでトイレが我慢できずに止めてしまい、以後旅行の間中「トイレット博士」と呼ばれてしまうくらい残念なことになりかねませんので、ここは是非とも落としたくない試合です。しかし札幌は2試合出場停止中のダヴィに加え、芳賀主将と左サイドバックの西嶋という、開幕以来ほぼ試合に出続けてきた2人を出場停止で欠くという苦しい布陣で臨まねばならず、状況としては決して楽ではありません。

 いずれにしても、過去の対戦成績からも1点勝負になりそうなこの試合、それだけに先制点をどちらが取るかがカギとなりました。どちらも様子見とばかりに慎重な立ち上がりとなり、果たしてその先制点を挙げたのは札幌でした。
 カウンターから池内のロングパスをトラップ一発でレオナルド(not熊)の頭上を抜いた謙伍がうまくゴールに流し込み先制ゴールを挙げます。京都戦の逆転ゴールもそうですが、、なんかこういうテクニカルなのは本当にうまいですね謙伍は。ゴール近くでボールを持ったら、もっとドリブルでの勝負を増やしてもいいんじゃないでしょうか。別にワンタッチゴーラーというわけでもないんですし。
 首尾よく先制したその後も山形キラー・西谷がえげつないスルーパスを通したり、右足のアウトサイドで寒気がするほど美しいクロスを挙げたりしますが、やはりというかなんというか元気が景気よくぶっぱずして得点できません。こういうビッグチャンスをキッチリ得点に結びつけられればね、もう少し楽に勝てるようになると思うんですけどねぇ。もちろんチャンスは全部決めろというつもりもありませんし、人生におけるチャンスをことごとく逃し続けているオレがそんなこと言える筋合いもないのですが、「あんなやつはもっと苦しめてやらなきゃ…」と言って周囲の忠告を無視したために父親が死んでしまった、ということにもなりかねませんからね。
 先制された山形もなんとか札幌ゴールをこじ開けようとあの手この手で揺さぶりをかけてきますが、札幌守備陣もトラップし損ねて相手にフリーでシュートを許すソダンスペクタクルが発動したりなど危ない場面はありましたが、それ以外では特に大きな破綻はなく前半は1-0で札幌リードのまま終了。

 後半は早めに追いつきたい山形とリードを広げたい札幌との一進一退の攻防が続きますが、後半10分、札幌はルーズボールをめぐっての競り合い中にペナルティエリア内で西澤画伯が横山にファウルをしたとの判定でPKを与えてしまいました。確かにスローで見ればヒジが入っているように見えますが、普段なら主審にわからないようにさりげなく屠っている闇狩人な画伯にしてはちょっと軽率なプレイではありましたね。いずれにしても絶体絶命のピンチです。
 しかし、このピンチを救ったのが守護神高木でした。宮沢の蹴ったPKを横っ飛びでセーブ。確かに宮沢が慎重になったこともあったとはいえ、難しいコースだったのは確か。高木本人は「たまたま」と語っているようですが、だとしたら高木にラッキーマンが降臨したと言えるでしょう。とにかく高木のPK阻止により同点は免れました。
 このプレイで勢いづいたのか、やや押され気味だった札幌が盛り返し始めます。大塚のシュート性のクロスを謙伍がヘディングシュートしたり、ダイレクトでポンポンポンとソダン→大塚→画伯→大塚→征也→長門→元気→大塚→西谷とつなぎ、最終的にカウエがシュートまで持っていったりといい攻撃を見せます。まるでサッカーみたいです。しかし残念ながらそういうのはなかなかゴールは結びつかないものでして、追加点なりません。
 山形もPK失敗以降あまりパスも繋がらずチャンスもなかったのですが、佐々木の投入により俄然前線が活性化。ペースは大きく山形に傾きます。他チームのサポーターから見るとこれだけの選手がどうしてスタメンで使われないのかと思うのですが、スタミナや守備に課題があるのかも知れませんし、砂川みたいにジョーカー的な扱いなのかも知れませんし、あるいは「宗教上の理由」とかはたまた「坊やだから」なのかはわかりませんが、とにかくこの佐々木がよくボールに絡んでチャンスを演出。それに引っ張られてか左サイドの宮沢からもいいクロスが上がるようになり、次々とチャンスを作られてしまいます。山形のフィニッシュの拙さに助けられてはいたものの、旗色のよくない流れです。
 それでもなんとか踏ん張る札幌は、山形の猛攻を凌ぎきって久しぶりの無失点勝利。主力を欠く中貴重な勝点3をゲットしたのでした。

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