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2007年12月 アーカイブ

2007年12月 1日

サッカーで優勝したよ(お約束)

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 Jリーグディビジョン2最終節、札幌ドームで行われた水戸ホーリーホック戦別名「コンサドーレの一番長い日」が本日行われました。引き分け以上で念願のJ1昇格が決まる札幌は、前半にコーナーキックから水戸にまぐれっぽい先制点を決められてリードを許したものの、その後ダヴィの2ゴールで逆転した札幌が勝利し勝点を91に伸ばしてJ1昇格を決めました。同じ勝点で並ぶ東京ヴェルディ1969がセレッソ大阪に引き分けたため、J2優勝という一時はあきらめていたおまけも転がり込んで、2万8千人もの観客が詰めかけた札幌ドームは歓喜に包まれました。
 もちろんうれしいことはうれしいのですけど、冷静になって考えるとここはゴールではなくスタートなんですよね。来年からはもっと厳しいステージに身を置くことになります。言ってみればドラクエで橋を渡るようなもので、出てくる敵は今まで戦ってきたヴェルディや京都、仙台クラスが普通にごろごろしているわけです。もともと戦力的にはJ2でも決して上位のそれではなかったコンサドーレ札幌がJ1でどうやって戦っていくんじゃと心配は尽きませんけど、それを今からあーだこーだ言うのは野暮ってものですね。とにかくひとつの目標に達したことは間違いありません。そしてそれは、チームに関わる全ての人たちによってもたらされたものです。自分も僭越ながらその末席に加わっていると自負してます。だってほら、月コンのコラム連載終了したら優勝したし。だからおめでとうもありがとうも言いませんよ。敢えて言うなら、お疲れさまでした、ですかね。あばよJ2、よろしくJ1。

 さて、あばよと言えばJ2優勝の歓喜の陰で、ひっそりと今季の契約満了選手が発表になりました。岡田佑樹、和波智広、関隆倫、金子勇樹、川崎健太郎、桑原剛の6人が、今季限りでチームを去ることになります。いずれも病気療養の和波以外は今季ほとんど出番がなく、監督の構想からは外れていたと思われる選手だけに致し方ない部分もありますが、桑原の名前があるのはちょっと意外でした。水戸、ザスパ草津とレンタル修行に出ており、チームとしても期待はしていたんだと思いますが、どちらのチームでもほとんど出番がなかったあたり、運動量のなさは結局治らなかったんでしょうかね。高校時代、筑陽学園高校を選手権初出場で決勝まで導き、また事故で他界した先輩の背番号を受け継いだ選手と言うことでコンサドーレの歴代の入団選手の中でもバツグンの知名度を持っていたのですけどね。Jリーグに上がってからの札幌は無名であればあるほど活躍するような気がします。ユースからの選手は別としても、山瀬も今野も藤ヶ谷も上里も岡本もみーんな無名でした。と言っても、そもそも有名な選手なんてほとんど来たことがないんですけど。とにかく、こちらもまたお疲れさまでした。

2007年12月 5日

勝利の栄光を君に

2007年Jリーグディビジョン2第52節
コンサドーレ札幌 2-1 水戸ホーリーホック
得点者:札幌/馬×2
     水戸/塩

 長い長い男坂のようなJ2リーグもついに最終節となりました。例年以上にもつれた昇格争いもこの日で全てが決まります。前節試合がなかった間に東京ヴェルディ1969に得失点差で逆転され首位を明け渡したものの、その可能性を大きく残す札幌は、この試合を引き分け以上で終えれば昇格が決定します。その運命の試合の相手は水戸ホーリーホック。現在12位の下位とはいえ、これまで幾度となく苦汁をなめさせられたチームです。首位と同勝点の2位チームが最下位と勝点1差でかろうじてブービーのチームと戦うホームゲームですから、客観的に考えれば負ける可能性は低いのですけど、J1で優勝を争っているアジアを制したチームがJ2で10位のチームにホームで負けることもあるのですから、サッカーには紛れはつきものです。水戸は2000年の参入以来、昇格争いに絡んだことはもちろん、順位表の上半分でシーズンを終えたことすらないチームではありますが、札幌なんてその水戸よりも弱かった時代もあったわけで、今季も1度負けていますから、サポーターとしては心配ばかりが募ります。
 水戸としても11位の草津とは勝点7の差があり、この試合に勝ったところで上の順位になるわけでもないですが、この試合に負けて最下位徳島ヴォルティスがベガルタ仙台に勝てば最下位が決定してしまいます。意外といっては失礼ですが、J2参入以降の水戸は先述の通り順位表の半分から上でシーズンを終えたことはない一方で、実は順位表の一番下でシーズンを終えたこともありません。ちなみに札幌はあります。J1への昇格という華々しい(と言うほどのものでもないですけど)結果に比べれば些細なことかも知れませんが、既に退任が決まっている前田監督のラストゲームに花を添えたいという気持ちもあるでしょうから、手を抜いてくることは期待できそうもありません。

 で、試合はやはり水戸が真っ向勝負で挑んできました。引き分け以上で昇格の決まる札幌は、極端な話90分守りきって0-0で終えても目的は果たせるわけで、だったら俺たち貝になるぜ下位が相手だしなんてこのも可能なわけですけど、札幌の昇格を見に詰めかけた2万8千人という、前々節京都サンガFC戦には及ばなかったものの、それでも「ドームを満員にしよう」とキャンペーンを張って必死こいてサポーターがお客さんを集めに走った9月15日の仙台戦をあっさり上回るお客さんの目の前で、ブービーのチーム相手に矢倉囲いやるのもどうかという気はしますし、しかしそうは言っても攻めに出てカウンターをボカンなんてのも困る…ってな感じで、「なるべくリスクを負わずに点を取ろう」という魂胆が見え隠れする札幌イレブン。まぁよく考えればいつものことなんですけど、この試合は「勝ちたい」というより「負けたくない」というマイナス方面の意識が強いような感じで、こういう時は得てしてなんとなく失点してしまったりするもの。前半11分の水戸のコーナーキック、村松の蹴ったボールをニアサイドで鈴木和裕が逸らし、塩沢がなんとか頭で合わせたボールは、必死に手を伸ばした高木の腕をあざ笑うかのようにゴールに吸い込まれていきました。シュート自体は限りなくまぐれのような弾道でしたけど、ニアサイドの低い弾道のボールをクリアできなかった時点でこうなる可能性も十分あるわけで、取られるべくして取られた点ではあります。どちらにせよ札幌が1点のビハインドを負ったのは純然たる事実としてのしかかってくるわけで、折しも3位の京都が前半6分に田原のゴールで先制、首位のヴェルディも前半14分にディエゴのゴールで先制という情報が入ってきます。つまり、このまま終われば優勝はもちろんのこと、なんだかんだで首位を守り続けてきたチームがラスト2節で入れ替え戦行きという、限りなく札幌らしい未来が僕らを待っています。
 尻に火が付いた札幌はここでようやく攻めるしかないという開き直りを見せ、水戸ゴールに迫ります。しかしいつものようにあと1本のパスの精度が足りず効果的な攻撃に結びつけられません。この時点で選手たちにはもちろん他会場の結果は耳に入っているはずもありませんが、見てる側としては既に他力本願寺を期待できる状況ではないため、まだ時間はたっぷり残っているというのに「このまま1点も取れないんじゃないか」というイヤな予感もじわじわとし始めます。そんなネガティブハートにロックオンなゴールが生まれたのが、前半も終わりに近づいた43分のこと。左サイドからおそらく西澤画伯が蹴った適当っぽいクロスボールを大伍が頭で折り返し。このボールはいったんは相手にクリアされますが、最初に競った時点でさりげなく相手に48の殺人技(画伯直伝)のひとつ「見えないエルボー」をお見舞いして無力化し、さりげなくフリーとなっていた大伍が再度ヘッドで折り返します。このボールに飛び込んできた砂川が胸トラップで落としたボールを、シュートする気マンマンの砂川が触る前にダヴィが右足のボレーで叩き込んでゴール。ようやく同点とした札幌はアディショナルタイムにもやはり大伍のクロスにダヴィが強烈なヘディングシュートを合わせますが、これはクロスバーに阻まれ得点ならず、結局1-1で前半を終了。

 とりあえずは追いつくことに成功し、再び地力昇格の可能性を高くした札幌。1点を取ったことで気分も前向きになったか、ようやく「勝ちに行く」ことで意識が統一された模様です。三浦監督も後半14分に砂川に替えて岡本を投入。これはもう明確に「点を取る」ことの意思表示であり、その岡本は入って最初のタッチでシュートを放ちリズムを作ります。ところが24分、クリアボールを拾って前線にフィードを仕様とした西嶋が突然脚を押さえて倒れ込みました。なぜか主審は試合を止めず試合を続行していましたが、傍目から見ても重い怪我であることは明らか。フルシーズンで続けてきた西嶋の身体も悲鳴を上げていたようで、すぐに池内と交代。おそらくフル出場はまだ無理であろう大伍を頃合いを見て征也に交代させ、そして謙伍の投入タイミングも見計らっていただろう三浦監督にとっても痛い交代となりました。
 とはいえ、このまま引き分けで終わってもとりあえずは大丈夫なわけで、切り替えるのにそれほど時間はかからなかったようです。札幌はとにかく、負けさえしなければいい。当たりさえしなければどうってことはないとはちょっと違いますが、脳さえ無事なら再生できると言う感じ。で、そういういい意味での開き直りは、えてして好結果を生むものです。この頃にはヴェルディがセレッソ大阪に追いつかれ2-2となったという情報が入ってきており、そのまま終わって札幌が勝てば再びヴェルディを抜いて優勝となります。J2の賞金は、1位で2,000万円、2位が1,000万円です。つまり、1点が1,000万円の価値を生むのです。その待望の1,000万は、後半38分に生まれました。自陣でクリアボールを拾った岡本が、迷わず前線のダヴィに向けて長いパス。「GKが出てこれないところに落とせば、ダヴィなら競り勝てると思った」という岡本のコメント通り、出足では平松に後れを取ったダヴィでしたが、さすがに「馬」と呼ばれるだけあるスピードとフィジカルの強さで競り勝ちペナルティエリア内に侵入すると、さすがに「馬」と呼ばれるだけある「ひづめシュート」でゴールネットを揺らしました。ついに札幌が逆転に成功します。
 いつもよりも長く感じたアディショナルタイムの途中で京都が引き分け、その瞬間札幌の昇格が決定。そして札幌に歓喜の瞬間が訪れた直後にセレッソ対ヴェルディの引き分けの報が入り、札幌は優勝も確定させました。通算成績は27勝11敗10分、勝点91、66得点45失点。リーグ最少の失点数に対し、得点力はリーグ7位。文字通りチーム一丸で守り抜いて得た歓喜でした。

2007年12月 9日

さよなら人類

 最終節のJ1昇格決定&優勝という、あまり札幌らしくはない劇的な展開で幕を閉じた2007年のJ2。しかし、リーグが終了したと言うことは、それはすなわち別れの季節が到来したということでもあります。前々回のエントリで岡田佑樹、和波智広、関隆倫、金子勇樹、川崎健太郎、桑原剛の6人が今季で契約満了となったことをお伝えしましたが、今季やってきた助っ人たちのうち、ブルーノとの契約を更新しないこととカウエ、イタカレの期限付き移籍終了の発表がありました。つまり、来季もチームメイトとしてやっていけそうなのはダヴィ1人だけとなります。
 ダヴィについては今季17得点を挙げ、ゴールランキングは6位。37ゴールというJ2歴代最多タイのゴール数を挙げたフッキには遠く及ばないものの、500万円(推定)という年俸を考えれば、PKによる得点なしでこの数字は充分に合格点でしょう。もっとも、PK蹴ってたとしても得点数は変わってないかもしれませんけど。それはともかく、過去の例からいってもJ2で15得点以上挙げた選手はだいたいJ1でもそれなりにやれてます。プレイスタイルは荒削りもいいところですし、GKとの1対1が徹底的に弱いのですけど、そのぶん伸びシロもあるということですし、こういうタイプは(めんこさも含めて)J1にあまりいないタイプですからね。結構やれるんじゃないかとは自分も思うので、ダヴィの契約更新については納得です。カウエも決して悪くはなかったと思うのですけど、怪我もありましたが後半戦以降は徐々に出番が減り、そしてそれは大塚が大怪我を負って戦線を離脱した後も変わらないどころかベンチからも外れることがありましたし、イタカレにしても21歳となる来季はC契約は結べませんから、ある程度その予感はしてました。しかしブルーノについてはてっきり来年も契約更新すると思っていたので予想外でした。確かに1対1にはめっぽう弱かったブルーノですが、その反面カバーリングと読みはさすがと思わせるものがあり、また日本語も堪能ということもあって来季は当然いるものだと思っていたんですけどね。スポォツ報知に三上強化部長のコメントとして「チームのレベルアップのために最終ラインを日本人で組むことを考えている」というのが載っていましたが、たぶんこれは本音じゃないような気がします。今季のブルーノの年俸は推定で3,000万と言われており、J1昇格ともなれば当然給料は上げないといけませんけど、そうなると札幌としてはかなりの高額年俸となってしまいますから、単純に「出したくても出せない」というのもあるのではないかと。まぁ真相はわかりませんけどね。

 今は「しまふく寮通信」などで選手のピッチ外の"素顔"を見ることも多くなり、より親近感を感じられるようになり、また彼らも本気で札幌を気に入ってくれていただけに、可能であれば長く一緒にやっていきたかったと思います。しかし、いくら群雄割拠のJ2を1シーズン戦い抜いて優勝したチームだとはいえ、J1という魑魅魍魎うごめく世界にそのままのチームで乗り込むなんてことをすれば「な、なんなんですか? こ、ここどこですか? な、なんであたし連れてこられたんですか?」などとなるのは目に見えているわけですから、心を鬼にしなければいけないこともある世界なんでしょう。J1に定着するためには、いつまでもぬののふくとひのきのぼうで戦うわけにもいきませんからね。
 ということでより強力な装備を手に入れるべく強化部も動いているでしょうが、誰を獲得するにしても必要なのはまずお金。J1でも屈指の貧乏チームである札幌にとっては、実弾は少しでも大いに越したことはありません。しかし、胸スポンサーの「白い恋人」を販売する石屋製菓が例の不祥事で経営的なダメージは避けられず、背中スポンサーのサッポロビールも商品はおいしいのに商売が下手なのか同業他社にシェアで水を空けられている状態で経営は苦しく、袖の日本航空も似たようなもの。スポンサー料大幅増額どころか現状維持でもありがたいような状況です。そこで救いの手をさしのべてくれたのが、家具インテリア販売大手のニトリです。
 ニトリは全国に店舗を展開し、飲食関係以外では内地企業と勝負できる数少ない道内企業です。自分も東京在住ですが、ニトリは普通に見かけますね。これまでもスポンサードはしておりましたが、額面としては1,000万円のゴールドスポンサーだったのが、J1昇格を契機に一気に総額3億円で胸スポンサーとなります。このうち2億円がスポンサー料、残りの1億円は選手強化費としての金額だそうです。要するに、1億やるからいい選手獲ってこいということですね。石屋製菓の石水勲前社長も(文字通り)太っ腹でしたが、ニトリを経営する似鳥昭雄社長も相当な太っ腹です。唯一気になるのが、持ちなれない人がお金を持つととんでもない使い方をしたりするので、どうかこの1億でファンタスティック映画祭を開催したり、トイレを作ったりイカのモニュメントを作ったりするのはくれぐれも禁止の方向で。

2007年12月12日

ようこそここへ

 去年と違ってとっととオフシーズンに入ったので、この時期の楽しみは「果たして誰が来るか」というくらいしかありません。今のところは他チームからの戦力補強は噂レベル程度の話しか挙がってきていませんが、数年先のコンサドーレを担うルーキーたちの入団が何人か発表されています。
 チーム事情としてはまぁどのポジションもまんべんなく薄いのですけど、中でも最優先となるのがディフェンダーでしょう。今季リーグ最少失点を誇った札幌ですが、実のところDF登録の選手は6人しかおらず、このうちブルーノクアドロスは既に退団が決定。残りのスタメンクラスの選手で一番若いのが西嶋が25歳で、あとは西澤画伯が33歳、ソダンが29歳、池内が30歳と高齢化の一途です。吉瀬は今季2試合の出場に留まり、上田常幸も地域リーグなどに武者修行の旅に出たままとスタメンを脅かすほどの存在には、今のところなっておりません。まぁDFというのは単純な身体能力などよりも(あるに越したことはないですけど)経験がモノをいうポジションだったりしますし、ソダンは超人年齢でカウントしますので、まだ当面は何とかなるとは思いますけど、そうは言っても「次」が出てこなければ遅かれ早かれじり貧に陥るのは目に見えているわけです。そんなわけで、現時点で仮契約締結の発表があった新人選手4人のうち、2人はディフェンダーでした。柏レイソルU-18の堀田秀平選手と、浜松大学の柴田慎吾選手が来季から赤黒のユニフォームを身に纏うことになります。
 Jクラブのユース選手が別のチームに加入するのはさほど珍しいことではなく、横浜FCのGK菅野(ヴェルディユース→横浜FC)や京都サンガFCの美尾敦(湘南ベルマーレユース→ヴァンフォーレ甲府)など結構います。もちろん、ユースチームの選手は最優先でそのクラブ(トップチーム)に交渉権がありまして、トップ昇格させようと思ったユース所属の選手を他のクラブが横取りすることは出来ません。長い時間とお金をかけて丹誠込めて育ててきた選手を「うちに来たらなんぼでも好きなもん買うたるで~」などと言葉巧みに連れて行かれてはたまったものじゃありませんから、普通に考えればそれは当然の権利なのですけど、逆に所属元クラブの承諾を得た上であれば他のクラブはその選手と交渉を行うことが出来ます。ですから、各チームのユースの有望選手に対して、他のチームのスタッフから非公式に「あの子のことどうすんの? ねぇどうすんの? 上げないならうちがもらっちゃうよ?」なんて、少女漫画っぽいセリフがけっこう飛び交うらしいですよ。まぁトップに上げたいと思った選手に対して「うちも声かけていい?」といわれて「いい」なんて言うはずもないですから、だいたいこういう場合はトップ昇格できないパターンがほぼ全てだと思いますので、どうしても「おこぼれ感」みたいなイメージがつきまとってしまいがちですけど、こういうのは単純な能力などのほかにいろいろな事情があるものですからね。某掲示板からの情報によれば、堀田くんの場合は柏ユースが2年生(堀田くんの1つ下世代)中心のチーム編成になったこと、選考時期に怪我をしていたこと、トップチームに若いDFが多いことなどが彼のトップ昇格が見送られた大きな理由のようです。U-15から毎年世代別代表に名を連ねていることからも、能力的なものよりもチーム事情みたいですね。
 そして柴田選手は浜松大に進学する前は柏レイソルU-18に所属しておりますので、かぶってはいませんが堀田選手の先輩に当たります。187cmと大柄な選手で、公式サイトに載っていた特徴は「恵まれた体格を活かし、一対一やヘディングに強さを見せ、またカバーリングにも優れたディフェンダー」とのこと。「でもかわいこちゃんには弱いんだ」とか付け足されていればもっと良かったんですけど。大卒ということもあり即戦力の期待がかかりますが、何しろ札幌はDFの育成だけはからっきしなところがあるんですよねぇ。特に大卒選手は吉川京輔にしろ河端和哉にしろ権東勇介にしろみんなすぐいなくなっちゃいましたからね。ソダンはもともとFWとしての入団でしたし。なので、柴田選手には「彼がいるからブルーノがいなくても大丈夫」くらいの活躍をして欲しいところですね。プレッシャーをかけるつもりはありませんが。

 そして、DF以上に人数的にやばいのがFW。今年の登録人数はのべ5人で、そのうち相川がFC岐阜にレンタル移籍中。来季どうなるかは今のところわかりませんが、イタカレも既に退団しているので今のところチームにいるのは謙伍、ダヴィ、元気、以上。2人と1頭しかいません。ここも当然補強ポイントでしょうが、新人選手の残り2人はともにFWでした。室蘭大谷高校の宮澤裕樹選手と、コンサドーレ札幌ユースU-18の横野純貴選手です。ともにU-18日本代表経験があります。最近はユースの試合を見てないので横野選手も直に見たことはないのですが、ユースのエースとしてブイブイ言わせていたようです。宮澤選手は先日里帰りした時にちょうどやっていた高校選手権の北海道予選決勝でちょっとだけ見ましたが、その試合では全体的にあまり見せ場はなかったものの、それでもしっかり唯一のゴールを挙げているあたり得点感覚は優れているみたいですね。宮澤選手は182cm、横野選手は183cmと共に大型のストライカーで、いかにも三浦監督好みな感じがしますが、顔つきを見てる限りでは何となく横野くんに「俺様臭」を感じるんですが彼のプレイをご存じのかたは実際のところどうなんでしょう。
 いずれにしても、来季からベンチ入り人数も2人増えて7人になりますし、先述の通りFWの選手はそもそも少ないですから、チャンスは早いうちに巡ってくるかも知れませんので、お互い切磋琢磨してレベルアップしてもらいたいものですね。

2007年12月18日

平岡くん

来季の新戦力として、新人選手4人の加入が発表されたことはここでも触れたとおりですが、いずれも将来性のある有望選手だとはいえ、さすがにルーキーだけでJ1を乗り切るのは無茶というもの。クラブは来季も三浦俊也監督に指揮を執ってもらう方針でいるようですが、一般的に言う4-4-2のサイドバックというのは、守備ラインにいながらも攻撃への有効な参加機会を求められ、それゆえに守備力と攻撃力を高いレベルで兼ね備えている選手が求められます。とはいえ、そんな選手がそうそう転がっているわけもないので、現実は守備といっても多くの場合は相手のサイドアタックを封じる役割がメインで純粋なディフェンダーとして求められる役割とは多少異なりますし、攻撃時の数的優位を作り出すための強襲用兵器として、どちらかと言えばアタッカー色の強い選手や有効的な攻撃参加を行うためにスピードのある選手を配置するのが一般的です。極端な例ですが元ブラジル代表のロベルトカルロスのような感じの選手ですかね。
 対して今季を見ててわかるとおり、三浦監督の4バックはセンターバックタイプを4人並べるのが基本形。おそらくこれはクロスに対して逆側のサイドバックが中に絞った際のマークのミスマッチを減らす意図があるのだと思いますが、今季でいえば右から西澤画伯、ソダン、ブルーノ、西嶋といういずれも高さがあって空中戦に秀でた選手がメインでした。来季も三浦監督が指揮を執るのであればやはりこの形が基本になると思いますが、ブルーノが退団し、さらに吉瀬広志もガイナーレ鳥取に期限付き移籍となったこともあって、ここの補強は何かしらあるだろうというのが通説でした(その後、上田常幸もツェーゲン金沢への期限付き移籍が延長された)。

 というわけでその補強第一弾(たぶん)となる、清水エスパルスのDF平岡康裕選手の期限付き移籍が発表されました。「ディフェンダーの平岡が来る」と聞いててっきり平岡靖成か平岡直起かジャスコ平岡が来るのかと思ってしまったりもしましたが、こっちの平岡選手は1986年5月23日生まれでまだピッチピチの21歳。名門・清水商業出身でU-18、U-21、U-22日本代表候補にも名を連ね、層の厚い清水のDF陣の中にあってなかなか出番には恵まれないがらも2年目から試合に出場しており、能力的には折り紙付きの上、ファン感謝イベントでは女装姿を披露という、割と真面目な選手の揃うコンサドーレにおいては異色の存在となりうる逸材です。182cmと上背がある割には65kgとスポーツ選手としては線の細い感じではありますが、とりあえずしまふく寮でいっぱいご飯を食べて大きくなって欲しいと思います。いろんな意味で。

2007年12月20日

監督どうでしょう

 清水エスパルスから補強の話もちらほらながらも聞こえてきていますが、その選手補強以上に重要なのが監督人事。オーケストラも指揮者がいなければどうにもならないのと同じように、サッカーチームも監督がいなければ話になりません。クラブとしては下馬評を覆して札幌をJ2優勝に導いた三浦監督を替える理由はどこにもありませんから、来季も三浦監督に引き続き指揮を執ってもらう方向となっておりますが、肝心の三浦監督自身が首を縦に振らなければ始まらない話。その三浦監督との第一回の交渉が行われました。
 しかしながら、事はそうすんなりいくこともなく、2時間半に及ぶ交渉の末に保留という結果に終わったそうです。その原因はもちろんお金の問題。といっても監督個人のお給料の話ではなく、強化費についてです。
 来季の強化資金はニトリがメインスポンサーになったこともあり、今季からほぼ倍増となる8億円と言われていますが、それでも予算規模としてはJ1でも最低です。J1の空気を吸うだけで高く飛べたりするわけもないですし、それで15位以上を目指すというのはそうそう簡単なことではありません。お金をかければ必ずしも強いチームにはならないということは過去様々なチームが身を以て証明してきて、かくいう札幌も結果的にはお金をドブに捨てる…は言い過ぎとしても、息子にあらゆる習い事をさせたのに結局ほとんど身につかなかったうちの親みたいな感じのことがあったわけですけど、かといって世界中どのリーグでも強いチームはそれだけのお金をかけていることは事実ですから、お金なくして強いチームを作ることは出来ません。三浦監督自身、J2優勝を果たした試合後の会見で「クラブの資本力は必要」というコメントを残しているとおり、どれだけのお金を用意できるのか、そこが最大の争点となっているようです。
 ただ、実際どういうやりとりがあったのかはわからないのでなんともいえませんけど、少なくとも報道されている話を見る限りは、交渉が難航しているというよりは監督は「来年は仕方がないから8億で何とかするけどその先も同じくらいしかないんならやってらんねぇよ」と言ってるだけのような気がしますけどね。とはいえ、そうでなくても莫大な累積赤字で約2億円の債務超過を抱えるチームだけに、そう冒険は出来ないのもまた事実。債務超過については減資→増資の方向で解消をするとのことですが、お金の絡むことだけにそうすんなりいく話でもなさそうですし、支援してもいいよと思っている企業も前回は2年であっさり陥落しただけに「しばらくはちょっと様子見」という感じでいるのかも知れません。まぁ逆に言えばJ1に留まり続ければあるいはスポンサー収入は増えていくかも知れませんけど、J1に留まり続けるには資金が必要という、ニワトリが先かタマゴが先か、いや、ひよこが先なんですという話になってしまいます。とりあえずクラブは継続的な収入アップの策を講じ続ける必要があると思いますが、たとえば来季8億の強化予算が再来年いきなり倍増なんてことはなかなか考えにくいですし、当面は泥をすすってでも生き存えていくことになるんでしょうね。

 まぁそういう感じで各方面最大限の努力をした上で、それでも落ちるんならしょうがないですけどね。ただし、その代わり川崎フロンターレと横浜Fマリノスとジュビロ磐田にはリーグ戦で是が非でも勝ってください。それさえ果たせば今季までの全Jチームから勝利を挙げることになるわけですからね。で、それで降格したとしても、堂々とFC岐阜とロアッソ熊本(仮名)を倒しに舞い戻ればいいのです。そして現在唯一の「全チームに黒星」記録を改めて(略)。

2007年12月24日

ぼくちん、つぼちん

一般的にクラブが選手の補強に関していつどのように動いているかはトップシークレット扱いの事項ですから、誰を狙っているとか誰と交渉しているなどと公にすることはほとんどなく、正式発表となるまでは我々一般的なサポーターはそれを知るすべを持ちません。しかしコンサドーレに限らずだいたいのチームのサポーターにとって、オフシーズンのこの時期の関心事はほぼ選手補強1つに集約されますから、メディアにとっては一番売れる「ネタ」が補強選手の名前です。しかし過去に新聞にリークされたがために獲得に動いていることが他のチームにバレてしまい、獲得費用が大幅に上がってしまったということもあったらしいので、出来れば秘密裏に動きたいチームが和と、何とか関係者から具体的な名前を聞き出そうとするメディア側との駆け引きなんかも我々のあずかり知らぬところで行われていたりするのでしょう。オレも詳しいことは知りませんけど、「来てくれるわけないじゃん」という選手がたびたび獲得候補としてメディア上に名前が挙がっていたりするのも、囲み取材の中で「○○選手が契約更新しないようですが、獲りに行くんですか?」「もちろん欲しい選手ではありますね」みたいなやりとりが翌日「○○獲得へ」なんて記事になったりするんじゃないでしょうか。逆にクラブ側はそれを利用して曖昧に返事したり、あえて狙いもしていない選手の名前を出したりしているのかも知れません。修学旅行の夜の恒例イベント「こういう機会だから誰を好きかをぶっちゃけてしまおう大会」における駆け引きみたいなもんでしょうか。こういう時に本命の女の子の名前をうっかり口にしてしまったりしたら翌日にはもう当人の耳に入っていて、土俵に上がる前から敗北確定だったりするので、煙幕のつもりで好きでも何でもない女の子の名前を出したら、いつのまにか既成事実になってたりするアレです。なぜだか目から汗が出てきました。
 話を戻しますが、そんなわけでチームにとっては本当に狙っている選手こそ完全な秘密裏で話を進めたいところでしょう。前任の城福強化部長もよくのらりくらりと話を交わしつつ隠し球的選手を連れてきてたりしましたが、それは後任の三上さんも変わらないようで、先日期限付きでの獲得がチームから発表されたヴィッセル神戸のDF坪内秀介選手もまさにそれで、新聞はもちろんも噂レベルにすら挙がっておらず、まさしく青天の霹靂といった感じの補強でした。
 坪内選手は1983年5月5日生まれの24歳。前橋育英高校から2002年にヴィッセル神戸に入団し、昨季までの6シーズンでリーグ戦ちょうど100試合、カップ戦12試合、天皇杯3試合、合計115試合に出場。1ゴールを挙げています。前橋育英高校ではアイカーの同期でした。神戸がJ2にいた昨季は左サイドバックのレギュラーとしてほとんどの試合に出場していますが、センターバックや守備的MFもこなすとのこと。というよりは左サイドが主戦場ですがもともとは右利きのセンターバックで、あまり攻撃的なタイプではなく、クロスも右足で上げることが多い…とプレイスタイルを聞けば聞くほど西嶋がもう1人って感じなのですが、少なくとも三浦監督の好きそうな選手であることは間違いないですね。その西嶋が最終節で骨折してしまい、復帰は早くても来年の2月くらいになりそうですから、その穴埋めという意味合いもあるのだと思います。とりあえずオフィシャルサイト上でのコメントも、「札幌の勝利のためにハードワークすることが自分自身の成長にもつながる」と既にハードワークという言葉を普通に使っているあたり、やる気は十分みたいです。

 そして昨季途中に横浜FCから期限付きで加入していた鄭容臺選手の完全移籍も発表となっています。あまり派手な活躍こそありませんでしたが、怪我人続出の後半戦において、その穴埋め以上の働きをした立役者の1人です。横浜FCがJ2に降格してしまったため、おそらく容臺自身がJ1でのプレイを希望したのでしょうけど、来季も引き続き頑張って欲しいと思います。

2007年12月28日

年末調整

 日本の多くの会社と同様に、コンサドーレ札幌を運営する株式会社北海道フットボールクラブも本日28日が仕事納め。ヴィッセル神戸の坪内選手の加入発表以来、MF鄭容臺選手やGK富永康博の完全移籍とGK高木貴弘選手の期限付き移籍延長と、期限付き移籍だった選手の残留がそれぞれ発表されたくらいで新戦力の加入発表はなく、新しい戦力補強の発表は年明けになると思われていましたが、どっこい年内最終営業日に一気にブラジル人助っ人の加入発表がありました。今季から加入していた4人のブラジル人の中で唯一残留となっていたダヴィ選手の完全移籍での加入、そしてブラジルのバイーアからFWノナト選手の加入と、パルメイラスからアルセウ選手の加入が発表されました。 札幌歴代の助っ人の中でも1、2位を争うほどのめんこさを誇るダヴィ(ちなみ対抗馬はビジュ)の完全移籍発表はもちろんいいニュースですが、例年助っ人選手の加入発表は年明け以降となることが多いので、ちょっとびっくりしました。
 で、新加入の2人のプロフィールをざっと紹介しますと、まずアルセウ選手については昨季期限付き移籍で柏レイソルにてプレイしていたので実際にご覧になった方も多いでしょうが、守備力に長けたボランチの選手。1984年5月7日生まれの23歳…には見えないんですが、強烈なキック力も武器で、とんでもないフリーキックを決めたりしています。ただ決まればすごいけど大抵は「行き先はボールに訊いてくれ」みたいな感じのようで、柏が手放したのも攻撃面での物足りなさがあったからだそうです。セザールサンパイオのいた柏にとってはボランチに求めるレベルは高いのでしょうけど、札幌にとっては「ガッツリ守れるボランチ」というだけでも重宝するに値する能力者。まぁ「強化型大塚真司」といったところでしょうか。日本への適性という面でも問題ないでしょうから、いい補強なのではないでしょうか。
 そしてノナト選手は1979年7月5日生まれの28歳。韓国Kリーグでのプレイ経験はありますが、日本でのプレイ経験はなし。当然自分は見たことのない選手ですが、ブラジル国内では割と有名な選手なのか、YouTubeにも関連動画がたくさん転がっています。その中のひとつからノナト選手の画像をご覧ください。

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ノナト選手


 間違えました。こっち。

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ノナト選手(本物)


 176cm77kg…には見えないんですが、とにかく当たりには滅法強そうな感じです。バイーアではクラブ記録となる通算133得点を挙げているようで、いくつか動画を見た感じでは、得点感覚に優れたタイプと見ました。アルセウもノナトもおそらくレンタル移籍だと思いますが、札幌をJ1残留に導けるよう、ダヴィと共に頑張って欲しいですね。

2007年12月29日

来季もよろしくお願いします

 昨日書いたようにHFCが昨日仕事納めだったため、契約関係の発表は年内は打ち止めかと思っていましたが、油断していたところに不意打ちが来ました。三浦俊也監督の契約延長が本日発表されています。三浦監督については、先日もここで触れたようにクラブ側との交渉において強化費などの長期展望についていろいろと「宿題」を出したことから交渉が難航しているのでは? との見通しもありましたが、無事年内に契約更新にこぎ着けることができました。J2でもいいとこ5~6番手くらいだったシーズン前の下馬評を覆してJ2優勝に導いた結果は今更言わずもがなで、その理由として徹底的にリスクを排除した戦術が強調されることが多いですが、三浦監督の真骨頂はその分析力と意思伝達力だと思います。「彼を知り己を知れば百戦して危うからず」というのは孫子の兵法ですが、自軍の戦力と相手の戦力を過小評価することも過大評価することもなく勝つための方策を練り、さらにはその方策を選手たちに伝えて実行させることが重要なわけで、その意味で三浦監督の手腕は確かなものだと思います。まぁ「百戦して危うからず」なんて書きましたけど、実際は百戦して九十戦くらいは危うかったりしますけどね。まぁとりあえずは来季引き続き指揮を執ってくれるとのことで、まずは一安心でしょうかね。

 そしてそれと同時にコーチ陣の去就についての発表もされています。今季のコーチ陣はそのまま留任となっており、コーチには俺たちの松井さんとタマさんこと三浦雅之氏、そしてGKコーチに赤池保幸氏が来季も引き続き担当しますが、もう1人今季から沖田優氏が新たにコーチとして加わりました。沖田というと艦長とかちょうちょうサンバとかを思い出してしまうのですが、もちろんそれらとは全く関係なく沖田コーチは千葉県出身の29歳。筑波大学の蹴球部でソダンと2トップを組み、2002年から筑波大学の大学院に通いつつ蹴球部のコーチを務め、2004年に大宮アルディージャに普及部のコーチとして加入、翌2005年から今年まで大宮のコーチを務めた、いわば三浦監督の腹心です。おそらくは三浦監督が直々に加入を要請したのだと思われますが、大宮時代は分析担当として活躍されていたそうですので、来季は今まで以上に情報収集と文責が必要と監督も踏んでいるのでしょう。札幌のIT革命と言ったところでしょうか。勢い余ってインパクとかやっちゃって派手に失敗するようなことがなければ、盤石な体制となったと言えるかも知れません。とにかく、よろしくお願いいたします。

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