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2008年12月 アーカイブ

2008年12月 1日

大きな差

2008年Jリーグディビジョン1第33節
名古屋グランパス 3-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ダヴィ
     名古屋/小川、杉本、米山

 やっぱり原博実さんのダヴィ好きはガチ。

 まぁそんなわけで、あと残すところ2試合となったJリーグディビジョン1。勝点3を取らなければ優勝の可能性が数字上も潰えてしまう名古屋グランパスを相手にしたコンサドーレ札幌は、見事に名古屋に優勝の目を残すことに成功しました。最終節を残した段階で鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、そして名古屋の3チームに優勝の可能性が残ることになり、もつれにもつれたJリーグ優勝争いという状況を作り出した札幌。Jリーグの盛り上がりのために身を捨てて最終戦の鹿島アントラーズとのホームゲームでのNHK総合での地上波全国放送を勝ち取ったわけです。最下位の札幌がアウェイで名古屋に負けても誰も何の疑問も感じないことを利用した札幌の高度な策略によって、勝点と引換に分配金上乗せをゲットしたということになります。つーか優勝争いはもちろん、残留争いまでも最終節までもつれ込んでいるのですから、Jリーグ自慢の日程算出システム(通称「日程くん」)の実力は空恐ろしいものがありますね。しかし、その日程くんですら延命させられなかったコンサドーレ札幌の異次元の弱さはもっと空恐ろしいと思います。
 まぁ最終戦くらいは大番狂わせを演出して初優勝のチームを作り出してみたいと思うのですが、名古屋戦を見ている限りではその可能性は限りなく薄い気がします。というか今年1年見てて思ったのですけど、確かに札幌の戦力は他のチーム、とりわけ優勝争いをしているようなチームに比べればかなり薄いと言わざるを得ません。じゃあその戦力は具体的にどこが劣っているのかというと、技術的レベルもまぁもちろんなんですが、一番劣っているのは「予測レベル」なんじゃないかと思います。守備ではボールを持った相手やマークをしている相手が次にどういうプレイをしようとしているのか、クリアしたボールがどこに来るのか、攻撃ではパスの出し手は周りの選手がどういう動きをしようとしているか、パスを受ける側も出し手がどこに出そうとしているか、パスやクロスを誰にどこに出そうとしているのか、なにごともそうですけどあらかじめいろんな状況を想定してその「準備」をしておくかおかないかででは、いざそうなった時の対処が全然変わってくるわけで、逆にそういう予測をほとんどしてないか、してたとしてもそれが全然足りない(準備が出来てない)から、攻撃時には一か八かの勝負パスならまだしも何でもないようなショートパスですら呼吸が合わなかったり、パスが出てから「あ、俺かよ」みたいな感じで走り出して相手に先にボールを押さえられてチャンスをフイにしたりするし、守備時には相手を簡単にフリーにしたり寄せが遅れたり、信じられないようなミスをしてあっさり失点したりするんじゃないですかね。まぁディフェンスはその性質上後手に回りがちなものですし、明らかに相手のほうがうわてというようなプレイもあるので、すべての状況を予想して備えるのは実質不可能だとは思いますけど、これまでの札幌の失点シーンの多くはそういう感じではないですし、守備はともかく攻撃の時にすらチームメイトのプレイを予測できないってのは、普段いったい何の練習をしてるんだって感じですよ。
 上位チームのようにワンタッチ・ツータッチでボールを早く回すことができないのであれば、周りの選手が動いてパスコースを作ってやんないといけないのに、この試合でもボールの出し手がどうしたいのかわからないから周りの選手は動けない、周りが動いてくれないからパスの出しどころがなくてとりあえずドリブルして、にっちもさっちもいかなくなってパスを出しても誰もいない、みたいなシーンが多かったですし、とりあえず近くにいるヤツに出しておこうといった感じの無意味なパスで結果としてプレスの餌食になる、みたいなシーンも目につきました。ダイレクトでボールを回せないチームが回せる相手より動けないんじゃ勝てるはずもないですよ。2-0から穴沢主審にPK見逃してもらってすら1点返すのがやっとなのも当然ですよね。
 要するに考えてサッカーやってないってことなんでしょうね。ずいぶん前から同じようなこと言ってきた気がしますが、J2ではごまかしは利いてもJ1では結局昔とあまり変わっていないことが露呈されてしまいました。ヤンツーはその辺のところからほんとにみっちりやっていたんですけど、2002年と同様の成績しか挙げられなかったことを見ても、あまり身になってはいないと言わざるを得ないですね。当時のメンバーはレギュラークラスにはほとんど残ってないですし、本来そういうのは監督の仕事ではないんで、その点において三浦監督に非があるわけではないんですけど、ダヴィみたいに出来てる選手はちゃんと出来てますからね。だからああいう本来ならあり得ないような形のゴールをたたき出したりも出来るわけですよ。まぁ彼の場合は霊感ヤマカン第六感を通り越したアマゾンの本能とも言ったほうがいいのかもしれませんけど。ちゃんと考えてはいるけど経験が足りずに判断を誤るとか、予測は出来てるんだけど身体のほうがついてこないとかならともかく、そういった予測レベルの向上を図っていく必要があると思います。

 来年度から新たに栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3チームのJ2への参入が決定し、J2も来季は18チームとなります。札幌の他にJ1から降格するチームがどこになるか、また1チームとなるのか2チームとなるのかはまだわかりませんけど、おそらくJ1昇格を現実的な目標としてとらえるチームとそうでないチームの二極化がより進んで行くでしょう。札幌とてJ2の中では比較的格上の扱いになると思います。そんな中でそこいらあたりをチームとして改善していかないと、J1定着はおろかJ2大将すらおぼつかなくなると思いますよ。

2008年12月 8日

天と地と

2008年Jリーグディビジョン1第34節
コンサドーレ札幌 0-1 鹿島アントラーズ
得点者:札幌/ない
     鹿島/野沢

 長かった2008年シーズンも最終節を迎えました。泣いても笑ってもこれが最後の試合、その開始前の時点で優勝の可能性が残されたのは鹿島アントラーズ、名古屋グランパス、川崎フロンターレの3チーム。そしてもう一つ注目されたJ1の残留争いでは、自動降格の可能性が残されたのはジェフユナイテッド市原千葉、東京ヴェルディ、ジュビロ磐田の3チームとなりました。立場こそ違えど運命を決する最終戦に臨むチームに、必死の思いを託したそれらのチームのサポーター達が様々な場所で見守っていたかと思いますが、われらがコンサドーレ札幌はご存じの通り既にJ2への降格が決定しており、優勝争いはもちろん残留争いにすら全く何の関係ありません。言ってみれば高みの見物ならぬ低みの見物といった感じでことの成り行きを見守っていたわけですが、その首位鹿島をホームに迎えた札幌は結局は何の波乱を演出することもなく鹿島の6度目のリーグ優勝を「アシスト」しました。

 はるばる札幌まで足を運んだ甲斐のあった鹿島のサポーターは別として、0-1という結果だけを見れば「惜しい」という見方も出来るため、名古屋や川崎のサポーターやドラマ的な展開を望んでいたサッカーファンにとっては「もう少し粘れよ」という感想を抱かれたかも知れません。ご期待には添えませんでしたけど札幌にしてはこれが精一杯粘った結果なんでご容赦くださいな。まぁ名古屋が大分トリニータに引き分け、川崎がヴェルディに2-0で勝利で終わった結果から見ればもし札幌が勝ってたとしても鹿島の優勝は変わらなかったわけですけどね。札幌が4-0くらいで鹿島に勝つなんてあり得ないですし。逆はあっても。

 そんなわけで今年1年を締めくくる試合についてですが、試合開始20分くらいまではほぼ札幌のペースで試合を進めることが出来たのに、そのいい時間帯でゴールを決められずじわじわと押され始め、結局先に失点してしまうという展開でした。良くも悪くも今年1年戦ってきたそのままの内容ですね。王者鹿島といえど優勝のかかった大一番の試合、最下位でとっくに降格の決まっているチームを相手に「勝って当然」という空気のプレッシャーはさすがにあったようで、試合開始からしばらくは札幌のペースだったのもそれと無関係ではないでしょう。逆に引き分けさえすれば鹿島の優勝が決まるこの試合、いったん守ると決めた時の堅さはもはや伝統とも言えるディフェンスを持つ鹿島に対して先に点を取られればその時点でほぼ勝ち目はないのですから、札幌としては鹿島の動きがまだ硬いうちに先制点を挙げて焦りを誘っていくしかなかったわけですけどね。そういうところで決めきれないのが札幌の弱さであり、流れが悪くても決めさせないのが鹿島の強さでもあるのでしょう。野沢のゴールはフリーにしてしまったのはいただけませんがひとまずシュートを褒めるべきだとしても、後半の札幌はほぼノーチャンス、マルキーニョスが本調子なら少なくともあと1点は入れられてたでしょうから、結果は0-1でも内容的にはやはり完敗といわざるを得ません。

 とはいえ、札幌の選手も持ち味そのものは発揮したと思います。特に上里のプレイには来季への期待を充分に感じさせてくれました。膝の大怪我から復帰して以来、トップフォームに戻るのに時間がかかっていたようですが、中盤で当たり負けせず効果的にパスを散らしていましたし、左足のシュートも以前より威力を増していたと思います。枠には飛びませんでしたけど。征也と砂川の右サイドの崩しもよかったと思います。ただまぁ砂川が中盤でボールを受けることが多かったのと、西谷はサイドに張るタイプのため、実質ワントップとなったダヴィが孤立してしまい、クロスを上げてもペナルティエリアの中にダヴィしかいないという状況が多く、岩政と伊野波を2人まとめて相手してその上から決められるFWなんぞ国内にはいませんし、そもそもダヴィはあんまり空中戦は得意じゃないですからね。馬だし。かといって砂川がトップに張ったら中盤でのタメが作れなくなるわけで、あっちを立てればこっちが立たずといいますか、あそこでボランチのどちらかが飛び込んでこれるようになればもっと得点の可能性は増すんですがね。飛び道具のある上里はともかく、三浦監督が大伍にもっと高い位置でプレイさせようとしていたのはそのあたりが理由なんでしょう。まぁそうはいっても前線に技術の高い選手が揃っている鹿島のカウンターを警戒するとなかなか簡単に上がれないというのも正直なところでしょうから、サッカーって難しいもんです。

 とにかく、天皇杯もとっくに終了している札幌はこれで今年のすべての試合が終了したことになります。リーグ戦の最終成績は4勝24敗6引き分けの勝点18。17位の東京ヴェルディとの勝点差は19、失点も70の大台に乗ったのは札幌だけ、もちろんリーグダントツの多さで、ワースト2のジェフユナイテッド市原千葉が53失点ですからまさに圧倒的な弱さを見せつけた格好となりました。それだけに新聞などでは「最悪の1年」というような書き方をされていますが、個人的には別に最悪ではなかったです。ただ単にいろんな意味で力が足りなかっただけで、少なくともチームに何の未来や希望も見いだせなかった2002年や2003年よりは断然マシなシーズンでしたよ。昨季参入のFC岐阜とロアッソ熊本に加え、来季参入の栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山という新規組を倒せば、コンサドーレ札幌が「公式戦でのJリーグ全チームから勝利」を最初に達成することができるのですから、J1から降格したのではなく、J2でやり残したことがあったから戻ることにしたと考えればいいのですよ。ポジティブシンキング。

2008年12月10日

行く人来る人2008

 今年もそんな季節がやって参りました。

 ここでも触れた通り来季の新助っ人として、スウェーデンのユールゴーデンからブラジル人の紀梨乃…いやキリーノというストライカーと、コロンビアのインデペンディエンテ・メデリンからコロンビア人のコルドバというボランチの選手の加入が濃厚とのことですが、その他にも正確には新加入ではありませんが、今季途中に川崎フロンターレから期限付きで移籍してきた箕輪義信の完全移籍での獲得が発表されています。怪我で戦列を離れてしまったのは残念ですが、熱いハートとプロ意識の高さはきっとチームにプラスになってくれると思います。染まらなければ。

 しかしチームとしての選手保有に一定の枠がある以上、来る人がいれば当然去る人もいるわけで、多少話題に乗り遅れた感がありますが今季も契約満了選手について触れたいと思います。先日発表された今季いっぱいの契約満了選手はDF西澤淳二、DF池内友彦、MF鈴木智樹、MF大塚真司、MF西谷正也、GK富永康博、MF鄭容臺、FW相川進也、DF吉瀬広志、DF上田常幸の10選手と、ベテラン選手がその半分を占めています。J2降格で再び緊縮財政を余儀なくされ…とはいっても別にJ1だった今季もジャブジャブ使えるお金があったかといわれれば全然そんなことはないんですけど、あくまで比較の問題としてスポンサーからの広告費なども減ると思われる来季の予算は、今季のそれよりはだいぶ減額されることが確実。来季は若手中心の編成でシーズンに臨む方針、名付けて「わかさ生活(cv:野沢雅子)」となることが非公式ながらも明らかにされていますが、方針は方針だとしても実際は「そうせざるを得ない」という事情も半分くらいを占めているように思います。2007年がそうだったようにチームが勝つためにはベテランの経験や力が必要であるということはわかってはいても、経験と実績を持った選手はそのぶんだけ高いですから、世代バランスも考慮した結果なのだろうと思います。
 その一方で、鈴木智樹や上田常幸など若手の部類に入る選手も退団となっています。まぁ智樹はここ2年はトップの試合にはまったく出られていませんでしたし、上田や吉瀬もここ数年はレンタルでJFLどころか地域リーグでのプレイでしたから、来るべき時が来たのかなという感じではあります。
 それにしても、吉瀬にしろ上田にしろ札幌ではDFがなかなか育たないのが気になるところではあります。過去に新卒として入団したDF(入団初年にDF登録された)の選手は他のポジションに比べればさほど多くはありませんが、高卒では大野貴史や中尾康二、岡田佑樹、大卒でも吉川京輔、河端和哉、権東勇介と現在でもチームに残っている選手は誰1人としておりません。一応生え抜きで今でもレギュラークラスで活躍しているDFの選手はソダンがいますけど、入団当初はFWでしたしね。そういう意味では柴田には来季も期待していますし、高卒で入団してまだトップでは出番のない岩沼やほっちゃんにもまずベンチ入り出来るようになってもらいたいものです。
 また、今季得点ランキング2位となる16ゴールを挙げたFWダヴィも、噂通り名古屋グランパスへの完全移籍が発表となっています。移籍金は推定3億円とのこと。
 ブラジル人にしてはあまり技巧的なほうではありませんけど、体躯の強さとリーチの長さを最大限に生かし、強引に突破して必殺ひづめシュートとか、相手DFが先に抑えたはずのボールを無理矢理自分のものにして必殺ひづめシュートとか、相手GKに音もなく忍び寄って必殺ひづめシュートとか、とにかく力一杯蹴ってみたら入っちゃった必殺ひづめシュートとか、割と試合の流れとは関係なく点を取ってくる選手ですし、もともとの年俸がJリーグの助っ人としてもえらく安いほうだっただけに、オファーが殺到するのは容易に予想できましたし、結局お流れにはなりましたが実際今季も途中でカタールのクラブからオファーがあったくらいですから、移籍発表があった時も驚きはなかったのですけど、めんこい選手でしたからやはり寂しくはありますね。
 ただまぁ、ブラジルの片田舎から「お試し価格」でやってきた最初のキャンプで見た時は、正直なんてへたくそなんだろうと思ったものですが、そんな選手がJ1昇格の立役者となったばかりか3億円ものお金を置いていってくれたのですから、まさにコスモバルクです。馬だし。名古屋でも活躍を祈っています。
 そしてもう一つ個人的に残念なのが、「俺の松井さん」こと松井清隆コーチの契約満了。思ったほど育成が進んでいないからなのか、それとも他の理由なのか詳しいところはわかりませんが、いつも「松井さんコール」に手を挙げて答えてくれたことは忘れません。

 その他の具体的な話は今のところはなさそうですが、あくまで噂レベルながら今季いっぱいで大宮アルディージャを契約満了となった吉原宏太が戻ってくるという報道も出てはいます。1996年のチーム誕生年に初芝橋本高校から加入し高卒ルーキーとして開幕スタメンを飾り、その甘いマスクも合わせて人気・実力共にチームの顔として札幌の黎明期を支えました。1999年には五輪代表に選出され、そして怪我した中山雅史の穴埋めだったとはいえフル代表でもキャップを記録(現在のところ札幌の所属選手として唯一)したことで札幌以外のサッカーファンにもその名が知られることとなり、その年のオフにガンバ大阪へ移籍しました。
 ちなみにこの時は播戸竜二との交換という形での期限付き移籍でした。以前にも書きましたけど、当時の札幌のサポーターにとって生え抜きのスター選手が出ていくのは前代未聞のことであり、そんなサポーターのショックを多少なりとも和らげる意味合いもあって、わずかでも戻ってくる可能性のある期限付き移籍となったのでしょう。しかし結局、翌年には播戸はレンタル延長に留まったにも関わらず、宏太はガンバへ完全移籍。その移籍金は推定4,000万円で、おそらく播戸のレンタル料などもさっ引いての値段だったのでしょうけど、サポーターの考える宏太の価値からすれば「わずか」とも言える金額でした。で、さらにその翌年には播戸もレンタル元であるガンバからヴィッセル神戸へ完全移籍となりまして、その過程にはJ1昇格や残留という結果もあったものの、結局のところ札幌に形になるものはほとんど残らなかったというわけです。
 まぁそういう経緯を経て、その後の山瀬や今野、藤ヶ谷そして今回のダヴィと、我々も「どうせ出て行くのなら中途半端にレンタルなんぞせず移籍金をなるたけふんだくれ」というよく訓練された札幌サポーターになったわけで、そういう意味でも功労者と言えると思います。
 まぁ宏太の場合、移籍してからも常に札幌のことは気に掛けていたようで、ことあるごとに札幌に遊びに来たりはしていたようです。そんな宏太ももう30歳。ほんとに戻ってくるのかどうかはわかりませんけど、札幌という街を好きでいてくれていて、キャリアの最後を札幌で迎えたいというのであれば、それは札幌に生まれ育った者としては本当にうれしいことだと思います。

2008年12月16日

鬼が出るか蛇が出るか

 「ストーブリーグ」という言葉があります。ここでも何度か使ったことはありますが、もともとはプロ野球用語で選手の契約更改や移籍の動向を指しています。プロ野球選手の契約更改や移籍が行われるシーズンオフがストーブの必要となる季節、つまり冬であることからついたと言われていますが、プロ野球以外ではせいぜいF1などで使われることがあるくらいで、プロ野球とシーズンオフを同じくするJリーグでは、プロ野球以上に選手の移籍が激しいにもかかわらず、新聞などでもあまり使われることはありません。実際、各スポォツ新聞のサイトでもプロ野球のカテゴリには「ストーブリーグ情報」というコーナーがあるのにJリーグには同じようなコーナーはありません。プロ野球の場合はどちらかというと移籍動向より選手の年俸の増減の話題が注目されるからなのかも知れませんが、ストーブが熱いことから「レギュラーシーズンよりも熱い」という意味合いでも使われることがある言葉ですから、Jリーグでもこの時期はどんな選手が来るのか、また来ることになった選手はどうなのかという期待感で盛り上がる時期でもあります。とりわけ外国籍の助っ人選手、特にJリーグのチーム以外からやってくる選手については、情報がないぶんだけ却っていろいろな妄想も膨らみます。
 もっとも、決して潤沢ではない資金力しか持たない札幌においては、おいそれとスーパーな選手を獲得できるはずもないわけで、毎日ショーウィンドウに張り付いてカカを見てたら通りすがりの老紳士が何も言わずに買ってくれたりとか、現実にそんなうまい話が転がってるはずもないですから、その期待や妄想はシーズンが始まってしばらく後には、伝説の責任取らされた人とか伝説のスーパークロスの人とかみたいに残念極まりない現実として降りかかってくる場合も少なくないですし、プレイ面では問題がなくても監督とそりが合わずに退団したりとか、よくわからないけど「国に帰ります」と空港から電話掛けてきてそのままいなくなったりとか、加入したはずなのにそもそも札幌のユニフォームを着てプレイした姿を誰も見たことがないという都市伝説レベルの話もあったりします。
 その一方で、J2でもJ1でも得点王を獲り海外でもプレイするようになったエメルソン(まぁ海外と言っても中東ですけど)や、気がつけばJリーグのみならず海外からも注目されるほどの選手になったダヴィ(まぁ海外と言っても中東ですけど)みたいに、来た時は無名であっても札幌で飛躍のきっかけを掴んだ選手もいるわけですから、サポーターとしては「やっぱり」を覚悟する一方で、「もしかして」も期待してしまうのもまた事実。そんな中、既報通りスウェーデンリーグのユールゴーデンからブラジル人FWチアゴ・キリーノ・ダ・シウバ選手の移籍加入がチームから正式発表されました。
 登録名はキリノ。もともと発音の種類の少ない日本語で外国の人の名前を表記すること自体けっこう無理がある(たとえば英語の"R"と"L"の発音の区別を日本語で表すことはできない)もので、さらに英語圏以外の国の人の名前だと現地語での発音を日本語に直すか、それとも英語での発音を日本語にするかで同じ名前でもまったく別の発音になったりします。キリノのいたスウェーデンなんてその最たるもので、スウェーデンの有名なテニス選手にSterfan Edbergという人がいますが、英語読みだと「エドバーグ」がスウェーデン語では「エドベリ」と読みますね。ちなみに自分はマッケンローが好きでした。ブラジルで主に使われているブラジルポルトガル語も同様で、大きなところでは"R"の発音なんですが、たとえばRonaldoは英語読みでは「ロナルド」ですが、ブラジルでのポルトガル語読みでは「ホナウド」となります。日本では「ロナウド」という表記が一般的ですが、これは英語読みとポルトガル語読みがごっちゃになったものなんだそうです。
 で、このキリノもご多分に漏れず、獲得のニュースを伝える新聞ごとに「カリーノ」「キリーノ」などとそれぞれ違った名前で表記されていました。最終的に基準になるのは選手登録名となるわけなのですが、かつてRobertという選手を「ロバート」とも「ロベルチ」とも「ホベルチ」とも「ホベルト」とも読める名前を「ホベルッチ」という斜め上の名前で登録した札幌だけにどうなるかと思われましたが、結局「キリノ」となったようです。
 キリノといえば思い出されるのが、前にも書いたとおりアニヲタ的にはバンブーブレードに出てくる千葉紀梨乃なんですけど、道民的には摩周湖でしょうか。エニックス(現スクウェアエニックス)の「堀井雄二ミステリー三部作」のうち最高傑作との呼び声高い「北海道連鎖殺人オホーツクに消ゆ」のMSX版では、第3巻のテープ(!)をロードする時のパスワードがそれでしたので、レトロゲーマーにとっても霧と言えば摩周湖でしょう。まぁ前のエントリをごらんいただければわかるとおり、実際のキリノ選手は猫口金髪ポニーテールの部長どころか摩周湖っぽい雰囲気すらないわけですけど、とりあえずここでは何となく紀梨乃と呼ぶことにします。
 ところで、クラブからの公式リリースによれば、紀梨乃さんの身長は181cmとなっていました。あれ? 確か以前の記事では彼の身長は183cmだったはずですけど、いつの間にか2cm縮んでますね。まぁこういうのってあんまりアテにはならないものですし、どう好意的に見ても80kgを下回ることはないように見えるのに公称77kgとかいうよりはいいのかなという気もします。とりあえずどんな選手かは実際に見てみないとなんとも言えませんので、来年また熊本に行くことになりそうです。

2008年12月17日

サプライズ


         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ    あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
         (.___,,,... -ァァフ|
          |i i|    }! }} //|  『村野寮監がコンサドーレを離れるという発表が
         |l、{   j} /,,ィ//|  あったと思ったら次の寮監が蛯沢匠吾だった上に
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ      いつのまにか結婚していた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人   な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ  おれも何が起こったのかわからなかった
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \ 寮母さんも退任でお疲れさまとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ 感傷に浸るようなヒマすら
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }    与えてくれねえ
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ
                       もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

 やんちゃ盛りの若者たちの私生活の面倒を見つづけてきた村野夫妻は、ある意味コンサドーレで最も大変な仕事をしてきたんじゃないかと思います。これまでの「しまふく寮」は村野夫妻と共にあったとも言えますから退任は残念ではありますけど、とにかくお疲れさまでした。いちサポーターとして感謝を込めて、村野さんご一家に羽後農協の萌えあきたこまちをプレゼントしたいところですがたぶん理解されないのでやめておきます。
 つーかエビちゃんが新寮監とは。選手時代、キャンプで部屋で騒いでヤンツーに雷落とされて丸坊主になってましたっけ。今季いっぱいで鈴木智樹が退団することとなり、あの時の「トリオ・ザ・坊主」もみんないなくなってしまったかと思われましたけど、意外な形でまた戻ってきましたね。寮監というと村野さんみたいな鬼教官タイプか、もしくは「ツルモク独身寮」の三反田春彦みたいなベテランながらもテレンス・トレント・ダービーとか踊るタイプみたいなイメージがあるんですけど、まだ23くらいですよね? イメージとしてはペルソナトリニティソウルの戌井暢って感じでしょうかね。

 その他にも、ヴィッセル神戸から期限付き移籍していた坪内秀介が期間満了につき神戸へ戻ることが発表されております。まだ正式発表こそないものの、他のレンタル選手についても、DF平岡康裕、MFディビットソン純マーカス、FWエジソンは寮母さんの「しまふく寮通信」に「見送った」という記述があり、またGK高木貴弘も所属元の大宮アルディージャが戻したがっているという話もあり、既に札幌への完全移籍が発表されている箕輪義信を除く全員が来季はそれぞれの所属チームに戻ることになるようです。坪内は全力で左サイドを駆け上がってパスがもらえず、「なんだせっかく上がったのに」とスピードを緩めた瞬間にパスが出てきたのでまたダッシュするかわいそうな姿が、マーカスは素晴らしいボール奪取で褒めようと思ったら相手にパスしてがっかりなプレイが、平岡はどうしてかいつも哀しげな顔をしているところくらいしか印象にないですけど、こちらもお疲れさまでした。

 そんなふうに別れの季節を感じてしまう今日この頃ですが、驚いたのはクライトンとの契約更新の発表。父上の病気のためシーズン終了を待たずにブラジルに帰国しましたが、スーパーサッカーでのアシストランキングもJ1で5位となる9アシストを記録したクライトンには、いくつかのJ1チームから獲得の打診があるとのことで移籍の可能性が高いと言われていましたし、ここでも取り上げたとおり来季の新助っ人としてクライトンとポジションのかぶるコロンビア代表MFコルドバを獲得濃厚という記事も出てましたので、ブラジルに帰国したまま退団となるだろうと思われていただけに、一転して残留という発表にはただただ驚いています。もちろん能力の高い選手ですから戦力的には大きいのですけど、そうなるとコルドバはどうなるのでしょうか。確かに今季の札幌は、現代のサッカーでは心臓部分とも言えるボランチに誰をどう組み合わせても失点は減らなかったですから、ひとつの弱点であることは間違いないのですけど、かといって助っ人2枚ボランチというのは考えにくいですね。コルドバは結局来ないということになるのか、それともクライトンを1列上げてより攻撃的なポジションで使うのか、それとも2人くっつけてコルイトンさんにしてしまうかはまだわかりませんが、いずれにしてもうれしいニュースではあります。
 また、来季の新加入選手として、コンサドーレ札幌ユースU-18からGK曵地裕哉選手のトップ昇格と、ユース所属のMF古田寛幸選手のトップチーム登録も発表されています。GKは富永康博とぎーさんが退団のようで、そうなると札幌のGKは佐藤優也と高原寿康、そしてベガルタ仙台に期限付き移籍中の林卓人しかいません。林が戻ったとしても面白キーパーしかいないという状況ですので、曵地くんには面白要素も含めて先輩越えを目指して欲しいと思います。
 そして古田くんのほうはユースマニアの間では早くから逸材の声が聞かれていた選手。自分も西が丘で1度だけしか見たことはないですが、確かに技術面はもとより見ている世界がちょっと違うなという印象でした。二種登録ではなく、高校を通信制に変えてまでトップチームに帯同するとのことで、強化部としてもそこまでして上でやらせるほうがベターと判断したということなんでしょうね。すぐには無理でしょうが楽しみな選手であることは間違いありません。彼らやもう1人、沖縄大学から新加入の上原慎也選手のチェックも含めて、熊本へ行く楽しみが増えました(私信:はかたん1号様、またお世話になると思います)。

2008年12月24日

ゴールを守れ

 エースストライカーのダヴィが名古屋グランパスへ移籍してしまったものの、そのダヴィが残していってくれた移籍金のおかげで、補強を含む戦力整備については現在のところ割と順調に見えるコンサドーレ。もっともそれも「札幌にしては」という但し書きの上での話であり、新助っ人が機能するかは未知数ですし、もし機能したとしてもじゃあ2004年の川崎フロンターレや2008年のサンフレッチェ広島のようにぶっちぎりの独走を果たせるような陣容かといわれればそういうわけでもありません。何よりも、2003年や2006年のように、かなりいい感じの陣容を揃えておきながら結局昇格争いにすら絡めなかった過去もありますから、実際にはフタを開けてみないとわからない部分はあるにせよ、それでも「とてもこれじゃ戦えそうもない」という感じではないだけマシかと思います。
 しかしそれでも層の薄さが懸念されるポジションがないわけではなく、そのひとつがゴールキーパー。本日正式に発表されましたが、以前からの報道の通り大宮アルディージャへ復帰するGK高木貴弘の穴をどう埋めるか、ということ。今季は自身の怪我やめまぐるしく変わるDFラインとの連携がうまく行かず不本意な成績に終わってしまいましたが、昨季はほぼ全ての試合でゴールマウスを守りリーグ最少失点の守備陣を支えた選手だけに、札幌としても手放すには惜しい選手ではありましたが、逆に大宮にとっては労せず(というかむしろお金もらって)育ててもらったんですから、戻そうとしないほうがどうかしてます。「3年目のレンタルくらい大目に見てよ」なんて言ってみて大目に見てくれるのはヒロシくらい。逆の立場なら札幌だってそうしたでしょうし、実際後述しますが林卓人でそれをやろうとしたわけですからね。とにかく、ぎーさんが抜けるとなると残るは佐藤優也、高原寿康、曵地裕哉の3人のみで、優也も高原も1シーズンフルにゴールマウスを任せるにはやや安定感に欠けますし、腹を決めて彼らのどちらかに任せるとしても、高卒ルーキーの曵地を含めて3人というのはちょっと厳しい気がします。いざとなったら新寮監が出てきてやっつけてくれるということにはならんでしょうから、少なくともあと1人は必要でしょう。
 で、そこで真っ先に思いつくのがベガルタ仙台に期限付き移籍している林卓人。昇格叶わなかったとはいえ正GKとしてフルシーズンゴールを守り続けた上、独特の雰囲気を持つ入れ替え戦を経験したのは大きいでしょうから、札幌としては戻すことを第一に考えたのでしょうが、仙台もみすみす手放すはずもないようで、林本人の意志も含めたその動向に注目が集まりましたが、結局は仙台へのレンタル延長ということで落ち着いたようです。まぁ林本人にとっても仙台でやり残したことがあるのか、それとも札幌に戻ったらアンパンマン林日記とか書かれるからイヤなのかは不明ながらも、本人としては仙台でのプレイを希望したということなんでしょうから、妥協点としてのレンタル延長だと思いますけど、「3年目のレンタルくらい大目に見てよ」なんて言ってみて大目に見てくれるのはヒロシとコンサドーレくらいですね。そこで「欲しいなら買え、今すぐ買え、いいから買え」と強気に出れない理由があるのでしょうか。

 まぁいずれにせよ林がダメな以上よそから取ってくるしかないわけで、その林のレンタル延長と同時に発表されたのが、大宮アルディージャに所属してた荒谷弘樹選手の完全移籍での加入。アニオタとしては荒谷といえば朋恵さんなのですけど、いや自分としては京アニなら堀口悠紀子さんの絵のほうが好きとかはともかくとして、荒谷選手は富山県出身で1975年8月6日生まれの33歳。富山第一高校から1994年に浦和レッドダイヤモンズに入団し4シーズンを過ごした後、1998年当時JFLだった川崎フロンターレへ移籍、欲1999年から今度は大宮アルディージャへ移籍しています。浦和、川崎時代を含めプロ入り後9シーズン目にしてようやくプロデビューを果たした苦労人で、ゴールキーパーというポジションは特殊とはいえ、8年もの間試合に出られなかったことにどれほどのストレスがあったのかを推し量ることはできませんが、坊主頭にしているのはきっと悟りを開くためだと思います。
 その後大宮で正GKの座を掴み、J1への昇格やJ1残留に貢献している通りGKとしての経験も技術も問題なく、特にその経験は若い選手の多い札幌には単純な戦力以上のものをもたらしてくれるものと思います。というか、戦力以上のものと言えば、ソダン、箕輪、荒谷が並んだゴール前はものすごいことになりそうですね。何しろネ申に僧兵ですよ。それに山伏みたいな箕輪を加えれば何かわけの分からない結界が生まれるに違いありません。その結界を破ろうとすれば、きっと相手選手にはまずソダンから神罰が下り、その後荒谷から仏罰が下り、最後に箕輪がほら貝を吹く、という霊力のジェットストリームアタックが見られるかも知れません。やばいオラすっげえワクワクしてきたぞ。

2008年12月28日

3人目

 暦はもう少しで今年も終わりですね。

 補強関係でいくつか正式発表がありました。アンデルソンの退団、平岡康裕の期限付き移籍満了、そしてコロンビアのインディペンディエンテ・メデジンからダニルソン・コルドバ選手の移籍加入です。いずれも事前報道の通りで特に目新しいことはないのですが、正式発表ということでひとまず落ち着いた感じですね。
 アンデルソンは途中からの加入で、すぐ怪我したり試合に出ても誰かと交代することが多かったり、ピッチにいる間も全然ボールが来なかったりで、あまりじっくり見ることってよく考えたらあまりなかったですし、厳しいファウルを受けたりおかしな判定をされたりしても、あるいはゴールを決めたりしてもダヴィやクライトンらに比べるとあまり感情を爆発させることもなかったので、いまいち印象の薄いプレイヤーでした。平岡もやっぱり哀しそうな顔しか印象にありません。

 で、コルドバ選手。コンサドーレでは初のコロンビア国籍選手となります。改めて紹介すると、本名はルイス・ダニルソン・コルドバ・ロドリゲス。登録名は「ダニウソン」とのこと。ブラジル風の読み方ですね。コロンビアはスペイン語圏ですから「ダニルソン」でいいはずですが、通訳はたぶんウリセス1人で行うでしょうからそれに合わせたということなんですかね。1986年の9月6日生まれの22歳、185cm80kgという大型のMFです。コロンビア代表として2つのキャップを保持しており、公式サイトでの特徴は「溢れ出る闘志と圧倒的な身体能力で幅広いエリアをカバーする左利きのボランチ。粗削りながらパス能力も高く、強烈なミドルシュートも武器の一つ。」だそうです。モビルスーツに例えればサイコガンダムあたりでしょうか。2007年に札幌でプレイしたカウエは「インテリジェンスのあるビジュ」という前評判でしたが、それに倣うとすれば、「攻撃センスのあるビジュ」といった感じかも知れません。未だに基準がビジュってのもいい加減どうかという気もしますが。ちなみにダニウソンの顔はちょっとビジュっぽいです。日本のサッカーにフィットするかどうかという懸念はありますが、能力的には問題なさそうですので、見るのが楽しみですね。

2008年12月29日

ノブリンキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

 補強は割と順調ながらも、肝心の「頭」、つまり監督はどうなってるだという話がまことしやかに囁かれているとかいないとかいうコンサドーレ札幌。降格決定後早い時期から候補の名前は数人挙がっていましたが、その中で「本命」と言われていたのが、今季まで柏レイソルで監督を務めていた「ノブリン」こと石崎信弘氏でした。

 過去大分トリニータ、川崎フロンターレ、柏レイソルを率いて都合6シーズンをJ2で戦い、J2をよく知っている監督の1人。大分や川崎ではぎりぎりで昇格を逃したことから「勝負弱い」という評価もされていましたが、2006年には柏レイソルで初の昇格を勝ち取っており、J2を戦っていく上で三浦監督以上の経験を持っていると言えるかも知れません。そして何よりノブリン自身コンサドーレ札幌の前身である東芝堀川町サッカー部の出身で、ある意味OB監督とも言える上、今年は所属選手の逮捕という事件で不祥事も経験済という、まさに札幌にはうってつけの人材。忘れちゃいけないジャージストでもあります。これ重要。
 一時期は柏が石崎監督との契約を更新するのではないかという噂も流れていましたが、最終的に柏から契約満了による退団が正式に発表され、札幌の監督就任への障害は何もなくなったことで、リーグ戦終了後すぐにでも発表があるのではないかと言われていました。しかし柏が天皇杯で勝ち進んだことでタイミングを逸したのか、結局柏が決勝進出を決めた後での発表ということになりました。このパターンは2003年に札幌の監督就任が内定と言われながらも、天皇杯を勝ち進んでいたために発表が同じく決勝進出後になったヤンツーこと柳下正明監督の時と同じです。
 ちなみに石崎監督と柳下監督は東京農大の先輩後輩の間柄。その当時大本命だった関塚隆氏(当時鹿島アントラーズコーチ)にあっさり振られ、石崎監督にオファーを出そうと思って就任の打診をしたら、「わしゃもうJ2ではやりとうない」と広島弁で断られた(推測)代わりに、「わしの後輩の柳下というやつが(ジュビロを)辞めたがってる」というネタをくれた、という逸話を耳に挟んだことがあります。ほんとかどうかはわかりませんが、その時から5年経ってノブリンも再びJ2でやってくれる気になり、その当時磐田とケンカ別れ状態だったヤンツーもコーチでの復帰を経て来季から再び磐田の監督に就任するわけですから、時が経てば変わるものですね。そういえばヤンツーが就任した時の天皇杯は、結局ヤンツー率いるジュビロ磐田が優勝を果たしましたが、もし札幌にやってきた時のノブリンにも「天皇杯優勝監督」という肩書きが増えていたら、奇妙な縁といわざるを得ません。
 個人的にはノブリンにはこの時のことでとても心酔しております。この時から6年が経過し、ようやくひいきチームの監督としても応援することができるようになりました。よろしくお願いいたします。

 また、もう1人三浦体制では設置されていなかったフィジカルコーチとして石栗建氏の就任も発表されています。石栗コーチは2002年にもコンサドーレでフィジカルコーチを務めていましたので、7シーズンぶりの復帰ということになります。こうなるとメンタルコーチは必要ないのかとか、という気もしますが、精神を鍛えるには荒谷和尚のもとで座禅を組んで煩悩を追い出すのが一番有効そうな気もしますのでやっぱり必要ない気がしてきました。あとは哲学コーチは心配なさそうですし乱闘コーチもいくらでも候補がいそうですので、来季のコンサドーレは人材豊富すぎて困りますね。

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