大きな差
2008年Jリーグディビジョン1第33節
名古屋グランパス 3-1 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/ダヴィ
名古屋/小川、杉本、米山
やっぱり原博実さんのダヴィ好きはガチ。
まぁそんなわけで、あと残すところ2試合となったJリーグディビジョン1。勝点3を取らなければ優勝の可能性が数字上も潰えてしまう名古屋グランパスを相手にしたコンサドーレ札幌は、見事に名古屋に優勝の目を残すことに成功しました。最終節を残した段階で鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、そして名古屋の3チームに優勝の可能性が残ることになり、もつれにもつれたJリーグ優勝争いという状況を作り出した札幌。Jリーグの盛り上がりのために身を捨てて最終戦の鹿島アントラーズとのホームゲームでのNHK総合での地上波全国放送を勝ち取ったわけです。最下位の札幌がアウェイで名古屋に負けても誰も何の疑問も感じないことを利用した札幌の高度な策略によって、勝点と引換に分配金上乗せをゲットしたということになります。つーか優勝争いはもちろん、残留争いまでも最終節までもつれ込んでいるのですから、Jリーグ自慢の日程算出システム(通称「日程くん」)の実力は空恐ろしいものがありますね。しかし、その日程くんですら延命させられなかったコンサドーレ札幌の異次元の弱さはもっと空恐ろしいと思います。
まぁ最終戦くらいは大番狂わせを演出して初優勝のチームを作り出してみたいと思うのですが、名古屋戦を見ている限りではその可能性は限りなく薄い気がします。というか今年1年見てて思ったのですけど、確かに札幌の戦力は他のチーム、とりわけ優勝争いをしているようなチームに比べればかなり薄いと言わざるを得ません。じゃあその戦力は具体的にどこが劣っているのかというと、技術的レベルもまぁもちろんなんですが、一番劣っているのは「予測レベル」なんじゃないかと思います。守備ではボールを持った相手やマークをしている相手が次にどういうプレイをしようとしているのか、クリアしたボールがどこに来るのか、攻撃ではパスの出し手は周りの選手がどういう動きをしようとしているか、パスを受ける側も出し手がどこに出そうとしているか、パスやクロスを誰にどこに出そうとしているのか、なにごともそうですけどあらかじめいろんな状況を想定してその「準備」をしておくかおかないかででは、いざそうなった時の対処が全然変わってくるわけで、逆にそういう予測をほとんどしてないか、してたとしてもそれが全然足りない(準備が出来てない)から、攻撃時には一か八かの勝負パスならまだしも何でもないようなショートパスですら呼吸が合わなかったり、パスが出てから「あ、俺かよ」みたいな感じで走り出して相手に先にボールを押さえられてチャンスをフイにしたりするし、守備時には相手を簡単にフリーにしたり寄せが遅れたり、信じられないようなミスをしてあっさり失点したりするんじゃないですかね。まぁディフェンスはその性質上後手に回りがちなものですし、明らかに相手のほうがうわてというようなプレイもあるので、すべての状況を予想して備えるのは実質不可能だとは思いますけど、これまでの札幌の失点シーンの多くはそういう感じではないですし、守備はともかく攻撃の時にすらチームメイトのプレイを予測できないってのは、普段いったい何の練習をしてるんだって感じですよ。
上位チームのようにワンタッチ・ツータッチでボールを早く回すことができないのであれば、周りの選手が動いてパスコースを作ってやんないといけないのに、この試合でもボールの出し手がどうしたいのかわからないから周りの選手は動けない、周りが動いてくれないからパスの出しどころがなくてとりあえずドリブルして、にっちもさっちもいかなくなってパスを出しても誰もいない、みたいなシーンが多かったですし、とりあえず近くにいるヤツに出しておこうといった感じの無意味なパスで結果としてプレスの餌食になる、みたいなシーンも目につきました。ダイレクトでボールを回せないチームが回せる相手より動けないんじゃ勝てるはずもないですよ。2-0から穴沢主審にPK見逃してもらってすら1点返すのがやっとなのも当然ですよね。
要するに考えてサッカーやってないってことなんでしょうね。ずいぶん前から同じようなこと言ってきた気がしますが、J2ではごまかしは利いてもJ1では結局昔とあまり変わっていないことが露呈されてしまいました。ヤンツーはその辺のところからほんとにみっちりやっていたんですけど、2002年と同様の成績しか挙げられなかったことを見ても、あまり身になってはいないと言わざるを得ないですね。当時のメンバーはレギュラークラスにはほとんど残ってないですし、本来そういうのは監督の仕事ではないんで、その点において三浦監督に非があるわけではないんですけど、ダヴィみたいに出来てる選手はちゃんと出来てますからね。だからああいう本来ならあり得ないような形のゴールをたたき出したりも出来るわけですよ。まぁ彼の場合は霊感ヤマカン第六感を通り越したアマゾンの本能とも言ったほうがいいのかもしれませんけど。ちゃんと考えてはいるけど経験が足りずに判断を誤るとか、予測は出来てるんだけど身体のほうがついてこないとかならともかく、そういった予測レベルの向上を図っていく必要があると思います。
来年度から新たに栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3チームのJ2への参入が決定し、J2も来季は18チームとなります。札幌の他にJ1から降格するチームがどこになるか、また1チームとなるのか2チームとなるのかはまだわかりませんけど、おそらくJ1昇格を現実的な目標としてとらえるチームとそうでないチームの二極化がより進んで行くでしょう。札幌とてJ2の中では比較的格上の扱いになると思います。そんな中でそこいらあたりをチームとして改善していかないと、J1定着はおろかJ2大将すらおぼつかなくなると思いますよ。