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2011年8月 アーカイブ

2011年8月 1日

(サイズが)大型助っ人キタ━(゚∀゚)━!

 前にも書いたと思いますが、選手の移籍というのはいつでもどこでも出来るというわけではありません。「大会の公平な競争性を確保する」ため、具体的に言うと「チーム作りに失敗したからといって金持ちチームが札束振り回して選手とっかえひっかえしたりしたらつまんないでしょ?」という理由から、FIFAの定めるルールに従い、いくつかの例外を除いてある一定の期間しか移籍(選手登録)ができないような仕組みになっています。
 この移籍(登録)できる期間がいわゆる「移籍ウィンドー」と呼ばれるもので、年に2回設けられています。第1の登録期間が「1月2日以降の第1金曜日から12週間」、第2の登録期間が「7月の第3金曜日から4週間」となっており、2011年の第2期間は7月15日から8月12日までとなっています。
 春開幕のJリーグでは、この第2期間の頃というのは大きな怪我人が出てきてしまったり、想定外のウィークポイントがはっきりしてきてしまう頃合いで、その穴埋めや補強のため、シーズン開幕前ほどではないにせよ活発な選手の移籍が行われます。そしてもう一つ、この期間は「フィットしなかった助っ人選手がいなくなる」時期でもあります。ご存じの通り助っ人選手は立場が特殊で、まず1チームにわずか3~5人しか登録することができませんから、既に枠がいっぱいの場合、新しい選手を入れるためには、既にいる選手を出さなければいけません。フィギュアケースがパンパンでこれ以上置く場所がないのに、新しく「俺の嫁」を迎えてしまった場合、既にいる嫁の誰かをケースから出さなければいけないのと同じではないが似ています。それに、日本人選手であれば「成長見込み」として当面囲っておくことが可能でも、助っ人とはその名の通りチームを助けるためにいる人。つまり、完全なる即戦力を期待されている選手であり、それは「試合に出られない助っ人は必要ない」という極めてシビアな立場に置かれています。
 そして、残念ながら今年やってきたアンドレジーニョ、ブルーノ、チアゴの3人のブラジル人選手は、ここ最近の試合ではスタメンはおろかベンチにも名前がなかったことからも、ウィンドウが開いているこの期間で何か動きはあるだろうなと思っていたんですが…案の定、MFアンドレジーニョ選手がオーストラリアのパース・グローリーFCへ移籍、そしてDFチアゴの契約解除が発表されています。
 チアゴはついぞ本職のCBとして公式戦で使われることないまま退団。もともと京都にいた頃もパワータイプでクイックネスはさほどでもない選手でしたが、それにしても身体が絞りきれないのか、練習を見ても「この人センターバックに使ったら絶対に怖い」レベルでしたから、しかたないですね。アンドレもブラジル人ドリブラーにありがちな「俺のドリブルで相手の守備をぽぽぽぽーん」という独りよがりなタイプでないのはいいんですが、「球離れが良すぎてキープしてくれない」のが致命的だったのか、というかたぶんノブリンが欲しかったのは「シャア専用砂さん」だったんだろうと思います。ブルーノさんは今のところ契約解除や移籍の発表はありませんが、彼もあまりの守備の軽さのせいか最近はベンチにも入っていません。契約解除するにもおそらく給料は1年分払う必要があるでしょうから、入ってくるあてが(金銭的にも)ないのであればそのままチームにとどまるかもしれませんが、このままだとマユゲのインパクトだけが置き土産になりそうな雰囲気です。うーん…。

 というわけで2選手の退団によってアンドレジーニョの移籍が発表された同じ日に、ブラジルのサンタエレナからFWジオゴ選手の新加入が発表されています。
 ジオゴ選手は本名をDIOGO CORREA DE OLIVEIRA、ジオゴ・コヘア・デ・オリベイラ…と読むんでしょうかね。1983年4月8日生まれの28歳。187cm82kgという長身の選手。前所属のサンタエレナはゴイアス州リーグ1部、ブラジル全国リーグ4部のチームのようですが、それ以前にはUAEやスウェーデンを含むやたらたくさんのクラブを渡り歩いているようです。ざっと調べた限りでは…よくわかんないですね。あんまり試合には出ていなかったみたいで、ここ2シーズンで18試合出場4ゴール、という感じなんでしょうかね。まぁこの時期に札幌が獲れるような選手なんですから、「当たれば儲けもん」くらいに考えておくのがベストだと思いますし、とりあえず今の1トップを変えないのであれば、うっちーがいる以上使い道があまり思いつかないんですけど、Google先生の画像検索で見る限りは、なんだかとってもオモシロ人間の予感がしますね。

2011年8月 9日

6位浮上

2011年Jリーグディビジョン2第23節
コンサドーレ札幌 1-0 FC岐阜
得点者:札幌/上原
     岐阜/ない

 前節はジェフユナイテッド市原・千葉に完膚無きまで叩きつぶされてしまった札幌は、ホームに戻ってFC岐阜を迎えての試合を行います。ここまでわずか2勝、引き分けも2つだけであとは全部負け、勝点8は19位の横浜FCの勝点16に大きく差をつけられるぶっちぎりの最下位です。まさに異次元の弱さ、と書いたところでそういえば2004年のコンサドーレ札幌はどうだったんだろうなぁと思って調べてみたら、トータルの試合数は違いますが17試合を終えた時点でたったの1勝しかしてませんでした。異次元を通り越して超次元の弱さですね。あまり人のことは言わないようにしておきます。もっとも、当時を知るメンバーはもう砂さんしか残っていないわけですが。
 そして札幌は千葉に負けたことで順位も9位にまで落としてしまったわけですが、現時点での順位はさておき、ちょっと心配なのは選手の精神的なダメージです。もちろん千葉が強いことは選手たちもわかっていたでしょうけど、もう少し勝負になるんじゃないかと思っていましたし、たぶん選手たちもそうだったと思うんですよ。それがまさに「前足も後ろ足も出ない」という試合だったんですからね。今まで自分たちがやってきたことはなんだったんだ、という気になったとしても無理はないように思います。
 そういう意味では、次の試合がホームで最下位のチームが相手というのは、第三者的視点で見ると巡り合わせとしてはいいのかもしれませんが、何しろコンサドーレは19位(対戦時18位)の横浜FCにホームでシュート2本しか打てなかったチームですから、ナメてはいけません。案の定、札幌の動きはあまりパッとしません。この試合、ノブリンはDF岡山を加入後初めてスタメンで起用。河合をボランチで使ってきました。チアゴが想定通りに使えていれば、おそらくはこの形で行きたかったのだろうと思いますが、これがどうにもしっくり来ません。彼を中盤で使う目論見のひとつである「ボランチのところで相手を食い止める」というのが思ったほど出来ていない感じ。マリノス時代の河合はこんな程度ではなかったと思いますし(もちろん芳賀さんのようなワンワンディフェンスタイプではないにせよ)、攻撃面でも、少なくともイメージほど守備に偏った選手ではなかったような気がするのですけど。特にここのところは宮澤が札幌の攻撃の中心というのが相手チームもわかっていて、まずそこを潰しに来ることが多いので、河合が攻撃にももう少し絡めるようになれば面白いのですけどね。
 岡山もまだ合流して日が浅いこともあってか、気合満点なのは充分に伝わってくるのですけど、現状ちょっと空回りというかもともと空回りがデフォとも言えますが、割と危ないシーンもありましたね。もともと札幌は「シュートを打たせない守備」ではなく、むしろ被シュートはリーグでも多いほうなんですが、相手のミスで命拾いしたシーンもあり(まぁああいうところで決められていれば岐阜はもう少し上の順位に行ってると思いますが)、今のところはしっくりいってない感じですね。

 そんなわけで前半は0-0で終了。こんな程度で終わるチームじゃないぜ、後半から大変身して怒濤の反撃を見せてくれるに違いない、と期待に胸と鼻の穴を膨らませたサポーターの声援に応えるべく、電光石火の早業でうっちー退場。

 どうやら故意のハンドを取られたっぽいです。スローで見る限りは肩なのか腕なのかははっきりしませんけど、いずれにしても2枚目のイエローで退場。プリキュアみたいな変身ならよかったのに、11人のチームが10人になったんじゃ、これじゃどう見てもグレゴール・ザムザの変身ですよね。
 とはいえ、結果から言えば10人になってよかったのかもしれません。1人減ったことでかえって各選手のやるべきことがはっきりとし、プラスアルファの働きをするようになって動きが良くなるのはサッカーにはままあることです。10人になった札幌はさすがに相手を圧倒とまではいかずともわりかし互角っぽい試合を展開。とはいえ、人数がいようがいまいがシュートについては断固拒否する姿勢は変えるつもりもないようで、まんじりともだんじりともしない展開が続きます。
 守備の選手が退場した場合は、たいていFWを1人外して新たにその退場したポジションの代わりの選手を入れるものですが、今回はいなくなったのがFWのうっちーということもあってノブリンも選手交代はギリギリまで動きませんでした。動いたのは後半30分を過ぎてから。まずは77分に砂川に代えて岡本を投入、その6分後には疲れの見えた近藤に代えて上原を投入します。今季はサイドバックにコンバートされたりしていまいちFWとしての存在感の薄かった上原ですが、入って早々に大仕事をします。左サイドの折り返しを拾った古田のクロスボールをドンピシャで頭に合わせて先制点をゲット。サイドバックで守備が出来ずに自分を見失っていた上原くんですが、これで自分探しの旅に出たりする必要もなくなりましたね。今季初ゴールということで、自分へのごほうびを買っちゃったりしてもいいかもしれません。
 さて、数的不利の中リードを奪った札幌ですが、ここから先は無理をせず1点を守る戦術に。サポーター的な興味は横野の肺炎によって初のベンチ入りとなったユースの榊翔太くんの出番はあるか? ということでしたが、その期待も最後の交代も時間稼ぎ的な意味合いでの岩沼→日高で終了。さすがにこの展開ではを出すわけにもいかないでしょうけどね。
 そんなわけで不格好ながらも勝利した札幌は、この結果6位に浮上。3位との差も「7」に縮まり、ようやく相手の背中が見えてきたという感じですね。正直なところ、実力的にはこの辺の順位が妥当ではないかというような気もしないでもないのですが、すぐ上の順位にいるのがギラヴァンツ北九州というところから見ても、今のJ2は何が起こるかわかりませんからね。いけるところまで行って欲しいと思います。

2011年8月11日

ブラジル人やってきた

 先日アンドレジーニョの移籍とチアゴの退団が発表され、新たにブラジル人FWジオゴの加入が発表されました。出て行った人2人に対して入ってきた選手は1人。まぁアンドレの場合は退団ではなく移籍なので、「移籍先が見つかった=残りの期間の給料は払わなくていい」ということで(邪推)、後釜のあてはないけどとりあえず使うこともないだろうから飼い殺すよりは出番のあるチームに行ったほうがお互いにとっていいということになった、という可能性もなきにしもあらずですが、その一方で単純に考えれば枠が1つ余ったのだから、もう1人補強があるのではないか? という噂もありました。
 結果として正しかったのは後者で、移籍ウィンドウが閉じる8月12日を前に、本日ブラジル人FWレモス選手の加入発表がありました。

 レモス選手は本名をDaniel Soares de Souza Lemos(ダニエル ソアレス デ ソウザ レモス)、1990年1月5日生まれの21歳。176cm70kgと、特に大きくも小さくもない標準的な体格ですかね。06年にアトレチコ・パラナエンセでプロのキャリアをスタート、って書いてありますけど今21歳で06年ってことは16歳? その後07年はオーストリアのザルツブルク、08年から09年までドイツブンデスリーガ2部のインゴルシュタット04でプレイ、10年はブラジルに戻ってブラジル全国リーグ4部、パラナ州選手権1部のオペラリオ・フェロヴィアリオECでプレイしたあと、今季はフリーだった模様。今シーズンの開幕前には横浜F・マリノスの練習にも参加しており、当時の新聞にはマリノスの木村和司監督の「強烈に足が速い」というコメントが残っています。それでいて契約には至らなかったのですから、「足が速いことしか印象に残らなかったのか」などとひねくれた考え方をしてしまうこともあるかも知れませんが、マリノスと札幌じゃチーム事情が違いますからね。
 FW登録ですが、オーストリアやドイツではミッドフィールダー登録だったようですから、中盤での起用がメインになるんじゃないかと思います。問題は、トップ下タイプなのかサイドアタッカータイプなのかってところくらいですが、例の如くYouTubeに上がってるドイツ時代の動画を見る限りでは自分から仕掛けていくサイドアタッカーみたいですね。「一歩目が速い」タイプなので、テクニックではなく緩急で抜くタイプといった印象。札幌のサッカーに合うかどうかはわかりませんけど、とりあえず外見的な部分については際だった特徴はないですね。「顔全体が笑ったような作り」とか「上下逆さまにしても顔に見える」とかはなさそうです。残念。

2011年8月19日

魅惑の助っ人ダブル

2011年Jリーグディビジョン2第24節
カターレ富山1-2 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/魅惑の助っ人、宮澤
     富山/黒部

 FC岐阜戦の勝利で6位に浮上し、昇格圏内との勝点差を7に縮めた札幌は、今節はアウェイでカターレ富山との対戦を迎えます。前節は勝ったとはいえアレな感じの内容で、まぁアレな感じの内容でも最低限の結果だけは出せるようになり、しかも試合を決めたのが途中出場の上原だったことは、チーム全体の成長と捉えていいのかもしれませんが、できればあんまりアレじゃないほうがサポーターとしては主に精神的な部分で助かります。この試合の3日後にはつい先日こてんぱんにされたジェフユナイテッド市原・千葉とのホームゲームが控えていますから、できるだけ万全な状態でジェフ戦に臨むためにも、19位の富山相手には勝点3はもちろん、できるだけアレじゃない内容で勝つことが求められます。
 そんな札幌は、加入したばかりのFWジオゴをスタメンで起用。そして怪我で離脱していた「中盤の掃除屋」芳賀がようやく復帰してベンチ入り。だからというわけではないでしょうが、岐阜戦ではちょっとアレだった「河合ボランチ」をあきらめ、河合主将はもとのセンターバックへ。となれば当然ボランチは宮澤1枚。名付けて「10番ってのはな、誰もがつけられる番号じゃないんだ。チーム・サポーターからエースだと認められた中心選手じゃなきゃつけることを許されないんだぞ」システム、早い話が「だから四の五の言わずに逝ってこい」なシステムに落ち着きました。

 そんなわけで試合ですが、練習試合などでは点を取ったりでわりかし存在感を発揮してきたものの、連携面やJ2への順応性はまったく未知数状態だった面白い顔のジオゴ、これが案外…といっては失礼かも知れませんが、面白い顔の割には非常に懐が深く、コンサドーレの得意とする多少雑なパスでも、相手を背負いながら長い足で収めてしまえる選手。うっちーが出場停止で横野も病み上がりという背景はあったにせよ、新加入の選手をおきなりスタメンで使うことの少ないノブリンでも、これなら頭から使えると判断したのでしょうね。
 ただ、その反面珍しくどうもピリッとしなかったのが守備陣。集中していないというわけでもないのですけど、どうもとっさの判断がバッドエンド方面の選択肢を選んでしまうような感じ。前半10分、いくらでもクリアのチャンスはあったのにそれをさばききることができず、ゴール前の混戦から黒部にゴールを決められ先制を許してしまいました。今更感丸出しですごいどうでもいいですけど、富山の黒部といえばダムですよね。ダムと言えばダムダム人ですね。つまり黒部がダムダム人。ダムダム人にやられたんじゃしょうがないですよね。おおダムダム人、ダムダム人よ。

 先制された後もどうもちぐはぐ感は抜けず。前回対戦(0-0)でも前半はけっこうやられるシーンが多かったですし、後半も攻め込みながらも得点が奪えなかったわけですから、札幌の1ボランチは富山の3-3-3-1にはあまり相性が良くないのかもしれません。こういうこと書くと某数霊術師みたいでとてもイヤですね。と思ったらなんかいつの間にか3-3-3-1じゃなくなってるし。
 それでも前回対戦と違うのは、札幌には面白い顔のジオゴさんがいること。前にキープできる選手がいればそれだけ押し上げが効くと言うことですから、攻撃の幅が一気に広がります。まぁ逆に言えば今まではキープできてなかったんで攻撃に人数をかけられず、シュートまで持っていけなかったってことになるんですけどね。
 とはいえ、面白い顔のジオゴ自身はどうやら前線で起点となって回りを生かすことに特化したタイプで、自分でゴリゴリ仕掛けたり積極的にシュートを打っていくタイプではないようで、そのあたりの役割はこれまた新加入のレモスの担当なのかもしれませんけど、とりあえず今の段階ではフィニッシュは周囲の日本人がやらないといけない、でもその辺は実は前と変わってない、ってことでいつもの通りシュートについては打てない打たない入らないのないないづくし。むしろ形が作れてるだけ見てるほうにはなんとももどかしい展開が続きます。得点の匂いがしないわけではないのですけど、札幌の場合は匂いだけで終わってしまうことも多々あるので、これは我慢の試合になるかもなぁと思っていた矢先のことでした。「うちの選手がゴールできないなら相手選手にゴールをしてもらえばいいじゃない」と思ったのか、降臨したのは魅惑の助っ人オウン・ゴール選手。前半19分、面白い顔のジオゴさんのポストプレイから左サイドをえぐった岩沼が上げたクロスに富山選手…木本ですかね。木之本だと桜ですけどね。まぁとにかく札幌じゃない誰かがドンピシャで合わせてゴール。同点に追いつきました。
 しかし試合が振り出しに戻ってもペースまでは振り出しには戻らず、試合は相変わらず富山ペース。まぁプラスに考えればこういう流れの悪いときでも我慢できるようになったのが今の札幌の強みでもあるのですけどね。去年までだったらこういう流れの時は我慢しきれずに失点、それどころかペースを握ってたはずなのにカウンター一発であっさり失点とか、五分五分の緊迫した勝負だけどこっちだけやっぱり失点とか、今更失うものなど何もないぜーみたいなノリで点を失いまくってたものですが、変われば変わるものです。河合も山下も1対1ではまず負けないですし、河合は経験に裏付けされた読みなんでしょうか、カバーリングもうまく、山下はスピードがあって守備範囲が異常に広く、空中戦も強い。よくセレッソが出したもんだと思いますよ。シュートを打たれても無難に正面でキャッチすることが多いのは、イホスンのポジショニングもいいんでしょうね。まぁ、全員去年までいなかった選手ですけどね!

 後半になってもあまり状況は変わらず、札幌はセカンドボールを抑えられ押し込まれる状態に。とはいえ、札幌の守備陣が踏ん張っているのは確かですがそれ以上に富山の拙攻も目立ちます。前回対戦の時も書いたとおり、メンバー的にはもっと上の順位にいてもおかしくない富山(まぁジェフや東京など一部のチームを除けばJ2の上位と下位でメンバー的な差がさほど大きいわけでもないですけど)が下位に甘んじているのも、こういう自分たちがペースを握っている時に決めきれないところによるんでしょうね。まぁ札幌も似たようなもんで、ついこの間まで下のほうをうろうろしてましたしね。そんなでも今では6位なんですからね。実際攻められてるのはその札幌なんですけど。
 ソヨンドク、苔口卓也と攻撃力の高い選手を次々に投入し攻勢をかける富山に対し、札幌も選手交代で巻き返しを図ろうとするも、面白い顔のジオゴさんに当てるのまではいいけどその後の展開のアイディア不足で前半同様シュートまで持っていけない状況が続きます。シュートと言っても某小学生バスケアニメの主題歌ではもちろんなく、最後の交代は前節決勝ゴールを決めた上原を投入してくるかと思いましたが、ノブリンの打った手は芳賀の投入。もちろんこれは引き分けでよしという意図ではなく、宮澤を前に持って行って攻撃の手を増やすためでしょう。結果としてこの采配がぴたっとはまったわけです。引き分けのまま終了かと思われた後半終了間際、面白い顔のジオゴさんがボールをキープし、相手を引きつけてのスルーパス。日高が折り返したクロスにその宮澤が某日常アニメの人間魚雷の如く身体を投げ出しダイビングヘッド。競り合った際に鼻骨を折りながらも血の代償としても値千金の決勝ゴールをゲットしました。
 こうなればもう札幌は守りきるだけ。倍以上となる15本ものシュートを浴びながらも最少失点に抑えた札幌が数少ないチャンスをものにして2連勝。試合前の思いとは裏腹に内容的にはやっぱりアレな感じで、とりあえず勝ててホッとした感じですけど、ひとまず面白い顔のジオゴさんが思った以上にいい選手なのは収穫でしたね。これでなんかアレな感じだったら、「ジオ、動け! ジオ、なぜ動かん!」とパプテマス様のように叫ぶつもりだったんですけど、残念杞憂に終わりました。周囲の選手がジオゴさんを信頼して彼の胸に自ら飛び込んでいくようになれば、けっこう昇格争いに食い込めるんじゃないでしょうか。

2011年8月22日

ヘルベチカスタンダード

2011年Jリーグディビジョン2第3節
コンサドーレ札幌 4-0 ジェフユナイテッド市原・千葉
得点者:札幌/高木、内村x2、古田
     千葉/なぜかいない

 つけたタイトルに深い意味はありません。とりあえず京都戦も終わりましたけど、先にジェフユナイテッド市原・千葉戦から。

 ジェフとは先日対戦したばかりですが、東日本大震災の影響で延期となっていた第3節の代替日程がここに組まれ、さほど間を置かずに再び相まみえることになった両チーム。その前回対戦で千葉にこてんぱんにやられて差を広げられてしまった札幌ですが、その後2試合では内容的にはアレながらも連勝。この試合では負傷で戦列を離れていたボランチ芳賀博信がスタメンに復帰。ボランチの人数不足で緊急回避的に採用してきた4-1-4-1ではなく、芳賀と宮澤裕樹の2枚ボランチを採用。1トップにオモシロ顔のジオゴさん、出場停止明けの内村圭宏をちょっと下がり目に置き、左右は近藤祐介と砂川誠。4バックは右から高木純平、山下達也、河合竜二、岩沼俊介と並ぶ4-2-3-1の布陣で臨みます。芳賀がいることで宮澤も前に出て行きやすくなり、ポストプレイの得意なジオゴさんの後ろに置くことでうっちーが前を向いてプレイする機会も多くなるはず。ようやくベストといっていい布陣を組むことができるようになり、状況的には申し分のない形で強敵を迎え撃ちます。
 一方、千葉は札幌戦の直後の横浜FC戦で攻撃の要であるオーロイが負傷で離脱。オーロイがいなくとも高い能力を持った選手が多い千葉ですから、それだけで全体的な戦力が大きくダウンするなんてことはないでしょうが、それでも「どんなに調子が悪くてもオーロイがちっちゃくなったりはしない」という意味では替えの効かない部分であり、確実に使えるカードを一つ失ったということですから、その部分についてはこれからの戦い方に影響が出るのは否めません。
 それ以上に、相手チームにとっては「オーロイを気にしなくていい」というのは大きいはずで、前回対戦のようにオーロイを封じきれずにそこから好きなようにやられてしまった札幌にとっては、千葉に勝つための戦いかた、つまり生存戦略に大きく影響してくるはず。この日行われたJ2の試合はこの札幌対千葉戦のみで、割とJ2ファンの注目を集めていたかも知れない試合がスタート。

 オーロイがおらずとも全体的な戦力に差があるのは確かで、ホームとはいえ札幌としては我慢の試合になるでしょうから、まず対応が後手に回らないことが重要かな、とかいっぱしの評論家気取りなことを思っていたら、開始早々にコーナーキック得た札幌。砂さんからのトリックプレイ気味のグラウンダークロスを、高木純平が右足で丁寧に合わせます。「ふかさないこと」だけ気をつけた感じの、さほど勢いがあるわけではないシュートでしたが、おそらくゴール前を固めるDFでブラインドになったのでしょう。GK岡本の脇の下を抜けてゴールイン。なんと札幌が早々と先制しました。去年のフクアリでの試合も前半の早い時間にコーナーキック崩れから古田のゴールで先制したんでしたっけね。
 札幌としては狙い通りのゴールで早い時間に先制したのはゲームプランとしてもかなり余裕を持って進められたようで、オモシロ顔のジオゴさんのポストプレイは千葉の守備陣相手にも十分通用するレベルで、ボールの収まりどころがなくなんぼもボールを持つことができなかった前回対戦とはうって変わって、戦力で上回る千葉を相手にほぼ互角のペースに持ち込みます。
 しかしいいことは長くは続かないもので、ケガから復帰したばかりの芳賀が相手選手との接触で古傷を悪化させたらしく、22分に交代を余儀なくされます。ノブリンは右サイドバックに日高を入れ、岩沼を中盤に上げて対処しますが、ちょっと中盤の守備に不安が残る芳賀の交代となります。千葉を相手に戦術的な交代枠をひとつ前半のうちに消費してしまったこともあり、札幌としてはいやな空気が流れます。もっとも、交代枠を自在に駆使できるほど選手交代のバリエーションがあるわけでもないんですけど。
 しかし、その何となく重苦しい空気を払ったのが内村でした。芳賀交代後の4分後の26分、砂さんからのクロスをDFと競り合いながら頭で合わせたボールがGK岡本の手をかすめゴールイン。大きな大きな追加点であると同時に、うっちーのヘディングゴールなんて滅多に見られないレアものです。ものまねタレントでいえば谷村仁司くらいのレア度。
 前半で2点のビハインドを負うというまさかの展開に、千葉のドワイト監督は38分に一気に2人の選手を交代させる荒療治に出ます。日本人のセオリーではケガでもなければ前半のうちに、しかも2枚も交代させることはほとんどあり得ないですけど、この辺はさすがに外国人監督といいますか。坂本から青木良太への交代は近藤対策、そして久保から林への交代はおそらく高さ勝負では山下に勝てないと踏んでのことだと思いますが…残念ながら山下はスピードもあるんですよね。前半は札幌のシュート6本に対して千葉は5本。前半だけで14本と笑っちゃうほど打たれまくった前回対戦から比べれば中野梓とブル中野くらいの差があります。

 ジェフ相手に2点のリードというのは、これがフクアリだったらそんなもんかで済んでいたかも知れませんが、札幌ドームでこのような展開になるとは思いませんでした。そんなサポーターをさらに驚かせたのが後半8分のセットプレイ。砂川のコーナーキックをうっちーがニアで頭で後ろに逸らしたボールがそのままゴールに入り、レア度の高いうっちーヘディング2連発でさらに点差を広げます。どちらかといえばセットプレイのあまり得意でない札幌でコーナーキックから2得点。どっちもわりかし舞の海の猫だまし的なプレイではありましたけど、正攻法で取れないならこういうのもありですね。
 さて、前回対戦ではあれだけ攻められても2点しか取られなかった札幌にとっては3点というのはほぼ安心できる点差です。もちろん油断は禁物ですが、考えなければいけないのは次の試合のこと。4日後にはすぐ函館での試合が控えていることもありますし、芳賀が負傷、宮澤が前半に警告を受けてツモったことを考えれば、状況を見ながら主力を休ませるのも手のひとつです。というわけで後半22分には内村を下げ古田を投入。ここから先はいよいよ尻に火の付いた千葉を抑え込む簡単ではないお仕事が始まりますが、とりあえず点差があることもあって心境的には比較的余裕な感じに見えます。それどころか、後半42分には昨季千葉戦で2得点を取っているジェフキラー古田が今季初ゴールとなるダメ押しの4点目を決め、4-0で試合終了。今季最多得点とはいえスコアほど楽な試合ではありませんでしたが、前回対戦のリベンジどころか「倍返し」で、去年に引き続き千葉にとって「すごくイヤなやつ」となったのでした。

2011年8月23日

理由があるとすれば、雰囲気?

2011年Jリーグディビジョン2第25節
コンサドーレ札幌 2-1 京都サンガFC
得点者:札幌/ジオゴ、近藤
     京都/中山

 あっと驚く2日連続更新ですよ。びっくりしたよね! 主にオレが!

 ジェフユナイテッド市原・千葉との決戦を制し、3連勝で5位にまで順位を上げて昇格レースに加わる勢いを見せている札幌は、今節は4連勝をかけて京都サンガFCとの対戦となります。J屈指のエレベーターチームとして知られている京都は、2007年に3度目の昇格を果たした後、ともに昇格しながらわずか1年であえなく陥落したコンサドーレ札幌を後目にしばらく頑張っていたのですが、昨年リーグで17位に終わって力尽き、Jリーグ全クラブで単独トップとなる4回目の降格を達成しました。札幌も負けてはいられませんね!
 J1だと決して多いほうではないものの、J2ではかなり恵まれていると言える資金力を背景に、例年降格のたびに大型補強をして昇格争いに加わっていましたが、今季は助っ人選手を含めて地味な補強に終始。代わりにユースからの昇格や二種登録を含む生え抜きの若手選手中心の編成に移行しています。そのためかなかなか勝てない試合が続き、ここまで6勝9敗5分の14位という成績に甘んじています。この試合でも17歳のFW久保裕也を含め、FW宮吉拓実、FW伊藤優汰、DF駒井善成とスタメンに10代の選手が4人、ベンチメンバーを入れてもフィールドプレイヤーに30代の選手が1人もいないフレッシュな顔ぶれです。これはいわゆる「五段階計画」という名のリセットボタンか? といった感じで、だったら天皇杯まで獲ったチームがJ2のこの順位に甘んじているのも無理はないと思いますが、逆に言えばそんなメンバーでもこの順位にいるあたり、ユースも含めて力があるということなんでしょうね。札幌がこれやったときは異次元の弱さで最下位でしたからね。

 そんなわけで、京都だけになんだかアニヲタ的にとっても期待感の募る新生京都を迎え撃つ札幌は、前節千葉戦で負傷交代した芳賀が全治2ヶ月の重傷と判明。宮澤が通算4枚目となる警告をもらったためこの試合出場停止で、ついにボランチの選手が誰1人としていなくなる緊急事態に、DFの岩沼と河合を1つ前に上げて対処。空いた左サイドバックには右サイドバックの日高をスライド、センターバックには櫛引を入れてきました。開いた右サイドバックには、本来ならば高木純平が入るはずだったのでしょうが、怪我で欠場となり代わりに上原が入りました。

 さて試合ですが、将来楽しみな選手が多いとはいえ下位のチームを相手のホームゲームであれば無難に勝っておきたいところなのに、どっちかといわなくても明らかに京都のペースで試合が進みます。17日に試合をしたのは札幌と千葉のみ。ホームといえども札幌から300km離れた函館は、関東でいうとこれは東京から福島県の第一原発を通り越して相馬市あたりまでの距離、といえばだいたいわかっていただけるでしょうか。かたや千葉との死闘を繰り広げてから中3日で移動、かたや休息充分の京都。その辺の差が出たのか、それともほかに理由があるのかはわかりませんが、鋭い出足で高い位置からプレスをかけ、奪ってからも選手同士の距離がよくパスも良く繋がる京都に対し、どうも動きの重い札幌はセカンドボールもほぼ制圧される劣勢に立たされます。押し返そうにもボールを奪ったところで狙い澄ましたかのように敵にパスしたり、選手にだけ見ることができる透明な味方にパスしたりとオモシロ顔のジオゴさんにまともにボールを当てることすらできない状況で、これでは先制点を取られるのも当然といった感じの内容。前半13分も何でもないパスミスからボールを失い、左サイドを破られて宮吉のクロスを伊藤が櫛引と競り合いながら頭で合わせてシュート。このボールはイホスンがいったんははじきますが、こぼれたボールを中山にボレーに決められてしまいました。
 この後もペースは変わらず…というよりかはなお一層の京都ペース。河合・岩沼のボランチコンビは、スポォツ報知によれば「裸のつきアーッ!い」をする仲だそうですが、その割には連携という意味ではいまいち。ノブリンが前半途中から近藤をトップに上げ河合のワンボランチとする4-4-2にシフトチェンジをしてから多少はマシになったものの、中盤で食い止められなければシュートも打たれるのも当たり前の話で、前半45分の両チームのシュート数は、札幌の2本に対して京都は10本。札幌のシュートの少なさはいつものこととしても、枠外のも多かったとはいえ10本はちょっと打たれすぎですね。ただ、ここで守備陣が追加点を奪われずに踏ん張ったのが大きかった、といっておきましょうかね。

 そして後半。前半はまったくと言っていいほどボールが来ずに孤立していたオモシロ顔のジオゴさんにようやくボールが入るようになります。そして後半開始早々、オモシロ顔のジオゴさんがうっちーとのワンツーで突破。最初は右足アウトサイドでDFの裏にパスを出したようですが、それは相手にあたって通らず。しかしちょうど自分のところに戻ってきたので、今度は自分で打つことにしたらしく長い左足を振り抜くと、ボールはあざやかな弾道でゴール左隅に決まり、貴重な同点弾をゲット。出場3試合目にして来日初ゴールを決め、ゴール裏に向かって駆け出すジオゴさん。

 飛んでいます。

 羽ばたいています。

 なんぞこれ。

 あの…初ゴールですよ? しかも劣勢の中での貴重な同点ゴールですよ? すごい綺麗なミドルシュートですよ? 普通なら「どうだ! 俺のかっけえゴール、なまらかっけえべ!?」とばかりに、超かっけえパフォーマンスしようとか思うじゃないですか。マジかっけえ俺の姿を道民どもの目にやきつけてやんよ、なんて思ったって不思議じゃないじゃないですか。
 それなのに、飛び出したのはあのとても怪しい踊りですよ? どうやら「聖書に出てくる神の遣いであるカラスを表現」したらしいのですが、ひいき目に見ても神の遣いどころセクシーコマンドーです。いや、もしやジオゴさんの中ではあれがピカイチにかっけえパフォーマンスなのかも知れません。こんな変な踊りはビジュ以来ではないでしょうか。やだ、この人ホントにオモシロい。
 そんなオモシロ人間・ジオゴさんの同点ゴールと奇妙な動きで息を吹き返した札幌は、ようやくここからエンジンが掛かり始めます。前半飛ばしていた京都の運動量が多少落ちてきたこともあり、前半に比べれば割と攻撃の形を作れるようになってきています。これなら逆転も可能かも、という空気が流れ始めた後半20分過ぎ、「その時」はやってきました。
 京都が左サイドのライン際で持ったボールに上原が守備に行き、こぼれたボールを砂さんが奪い一直線にドリブルでカウンターを仕掛けます。相手に抑えられながらも前線に出したボールに近藤が必死に抜け出すと、GKとの1対1を落ち着いて決めてゴール。シュートを放つまでずいぶん長い距離を走っていたはずですが、逆転ゴールを決めた近藤さんもそのままゴール裏スタンド前まで走ってサポーターにアピール。喜ぶサポーターやゴールを決められてしまった京都GK水谷が映った後、カメラが喜ぶ近藤さんを抜きます。ゴールを決めた選手をチームメイトが祝福する光景は、いつ見てもいいものですね…って、なんか近藤さんと抱き合ってる選手の1人がビブスをつけています。ほどなくアップになってそれが岡山であることは確認できましたが…。えーと。近藤が札幌ベンチに向かって走って行ったのならともかく、走って行ったのはゴール裏です。確かに後半に入れば控え選手は全員ウォーミングアップに入るのが普通ですけど、だいたいアップの場所はベンチの裏、メインスタンドの前あたり。ということはつまり、岡山さんは近藤のゴールを見た後、ベンチ裏から函館千代台競技場の広い陸上トラックをすごいスピードで駆け抜けてきたってことですよね。そしてその岡山と近藤を奪い合うかの如くがっつり密着していたのがジオゴさん。やだ、この人たちホントにオモシロい。

 逆転された京都も再び追いつくべく猛攻を仕掛けてきます。札幌も少し足が止まって押し上げが効かなくなってきていたためボールを回せることは回せるんですが、さすがに京都も疲れが隠せず、決定的な得点機も最後の最後でミスが出てしまい、札幌にとっては命拾いなシーンが続きます。いやほんとに点が取られなかったのが不思議なくらいの感じ。浴びたシュートは17本。前半だけで10本浴びてるのでそれに比べれば後半のシュートは少ないですが、危ないシーンはむしろ後半のほうが多かった感じ。というか京都のあんちゃんたちは攻撃のアイディア豊富ですね。
 札幌もこういう時間帯でリズムを取り戻すような働きができる選手がいればいいんですがね。交代で出てきた古田や三上も試合の雰囲気飲まれてしまったようで、なかなかリズムを変えられず。確かにあと1点取って2点差にすればかなり楽になるのはわかりますが、攻め急いでしまいすぐに相手ボールになってしまっては逆効果。まだ若い彼らにその辺を期待するのは酷かもしれませんが、こういう小さいプレイの積み重ねがロスタイム病の原因になったりするので、もう少し落ち着いてプレイしてくれたらと思います。

 それでもチーム全員で身体を張って守り切って、タイムアップのホイッスルが鳴った瞬間、チームのほぼ全員がその場にへたり込むほど厳しい試合でしたが、見事な逆転勝利で4連勝。内容が悪いなかでも勝てているのはいいのか悪いのかはわかりませんが、ようやく昇格圏内が手の届くところまでやってきました。でもそんなことより、ジオゴさんはいろんな意味で貴重な人材なので、早いところ契約を延長するべきだと思います。

2011年8月30日

いつもそんなにうまくいくわけがない

2011年Jリーグディビジョン2第26節
ファジアーノ岡山 1-0 コンサドーレ札幌
得点者:札幌/いなかった
     岡山/岸田

 4連勝で昇格圏内がもう手の届くところまでやってきた札幌は、今節はファジアーノ岡山とのアウェイ戦となります。金曜日の変則開催、この日行われるJ2の試合はこの岡山対札幌戦のみで、この試合に勝てば暫定ながら4位に浮上、スコアによっては3位に食い込むことも出来てしまいます。もっとも、そのためにはスコアの最低限が「5-1」と、得点力の残念な札幌にとってはまさに夢のようなスコアが必要で、土日に上位チームが勝てば結局は元の木阿弥、観阿弥世阿弥なんですけどね。ところで時東ぁみってどこへいったのでしょうね?
 実情はともかく世間的にはコンサドーレ札幌というチームはそこそこ実績があるわけで、そういうチームが息を吹き返してきているというのは上位チームにとってはイヤなものに違いありません。上位チームはなかなか負けないからこそ上位にいるわけですけど、勝ち続けることによって上位にプレッシャーを与えることが出来ますし、まだ千葉以外は直接対決が残されているわけですから、そういうチームと当たるまで取りこぼしをしないことも重要です。重要なんですよね。重要だったんですよ。はい。

 まぁそういう時にコロッと負けてしまうのがまたコンサドーレというチームなわけで。相手の岡山は20チーム中17位と順位的には下位にいますが、第25節終了時点での岡山のチーム総得点は24。失点が多いため下位に沈んでいますけど、6位のギラヴァンツ北九州や10位のロアッソ熊本よりも多くの得点を取っています。ちなみに札幌の得点数も24で、単純に考えれば札幌と同程度の攻撃力は有しているわけで、まぁその「札幌と同程度」ってのはすごいのがすごくないのかいまいち微妙な線ではありますけど、その札幌だってジェフ相手に4点取ったりしてるわけですからね。前節は14位の京都に苦戦したように、今のJ2は下位のチームだって「普通にやってれば勝てる」なんて程度の実力差はないわけです。
 別に札幌も「岡山なんてらくしょーだぜー」なんて思って試合をしていたわけではないと思いますけど、過密日程の影響か確かに動きは悪かったですね。といってもいつもこんなもんじゃないのかといわれれば、ソレを否定できるほど普段の動きがいいわけでもないような気もするんですが、そういう状態で勝てるほど甘い相手・試合でもなかったということでしょうね。

 岡山はジオゴさんへのボールを相当警戒していたようで、徹底的にマンマーク+彼にボールが入ると2~3人がかりで潰して自由にさせない、ということを徹底していました。さすがのジオゴさんといえどよってたかって来られてはキープも難しいのはしかたないですけど、ジオゴさんへのフォローが少なかったのが気になるところ。ジオゴさんに2人~3人つくということはそのぶん他のマークが減るということですし、それだけのマークを受けた状態でも周りに落とすくらいはできていたので、そこからボールを繋げられれば、もう少しチャンスも増えてたような気がします。あとはまぁ、前半に近藤がボールを奪ってのGKとの1対1を決めていれば…とか、うっちーが頭から使えていれば…とか、たらればレベルではいくらでも思うところはあるのですけど、この先どのチームだってまっさきにジオゴさんを潰しに来るでしょうから、ひとまず札幌もジオゴさんに頼りっぱなしだともうひとつ上の争いには加われないと思いますよ。いろんな意味でジオゴさんをうまく「利用する」方法をやっていきたいですよね。マークがきつければジオゴさんをおとりに使うとか、もう少しコントロールしやすいボールを出せるくらいの距離を保つようにするとか、他チームに「ジオゴさんにプレスかけると変な汁が出ますよ」とか風説の流布を行うとか。

 というわけで試合的な見所はあんまりなかったんですが、今節は他の試合も割と番狂わせが起こっていて、首位のFC東京と2位の徳島ヴォルティスがそれぞれがカターレ富山と大分トリニータに敗戦、3位の栃木SCが愛媛FCに引き分け、そして4位のジェフユナイテッド市原・千葉も京都サンガFCに敗戦、6位のギラヴァンツ北九州が湘南ベルマーレに引き分けと、上位陣6チームで勝ったチームはありませんでした。3位との勝点差がちょっと開いたものの、全体的には上位がよりだんご大家族になってきています。まぁそれだけにここで勝っておけば…という思いもないわけではないですが、こういうことが起こってしまうのが今のJ2でもあるんですね。絶対に勝てるチームはない代わりに、絶対に勝てないチームもない。もちろん、勝負所できっちり点を取る、あるいはしっかり守るといったことがどれだけ出来るかどうかが順位の差に繋がっているんだと思いますし、そういう意味では札幌は現時点ではまだそこまでの力を持っていないのかも知れませんが、昇格争いのプレッシャーの中に身を置くことは確実にチームのプラスになるはず。
 以前も書いたことがあるかもしれませんが、札幌って「毎年昇格争いにはあんまり絡んでないのに、たまになんか思い出したようにいろいろとすっげーうまくいって優勝しちゃう」ってパターンですよね。たとえるなら田代富雄(大洋)のホムーランみたいな感じで。まぁ「昇格できなかった」という結果だけ問うのであれば4位も16位も同じっちゃ同じなんですけど、その過程として「頑張ったけど、最後に力尽きました」ってのと、「もう箸にも棒にもかかりませんでした! てへぺろ!」ってのじゃ、だいぶ印象が違うわけですからね。主にスポンサー様に対しての。それに、昇格争いのプレッシャーに身を置いて戦った経験ってのは、実際上に上がってから生きてくると思うのですよ。まぁ何しても落ちるときは落ちるんですけどね。
 そんなわけで、こういう試合は金輪際最後にして欲しいと思うわけでして、どっちかというと内容はともかく個人的にはオモシロい人たちのオモシロパフォーマンスを見たいと思ってる次第で、でもオモシロのためにはやっぱり勝たないといけないですからね。せっかくオモシロ人間が増えたんですから、盛り上げて欲しいところです。

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