横浜いれぶん

2018年明治安田生命J1リーグ 第10節
北海道コンサドーレ札幌 2-1 横浜F・マリノス
得点者:札/都倉賢(49’)、進藤亮佑(66’) マ/金井貢史(44’)

「ゴールしてもひとり」

進藤亮佑の言葉です。

ルヴァンカップを含めて一週間でアウェイ3連戦という、阪神っぽく言えば「死のロード」を2勝1分でしのいだと思ったら、またすぐ水曜日に試合です。地味に厚別開幕戦。

6月に登録商標的に正式名称を使えないサッカーの大きい大会が7月の中旬まであって、といっても日本にとってのこの大会はきっと6月いっぱいで終わっちゃうと思うんですけど、大会期間中はJ1はお休みになります。なので、今時期に消化しておかないといけないのはわかるのですけど、正直詰め込みすぎですよね。アイドル声優のリリイベじゃあるまいし。

そんなわけで横浜F・マリノス戦。

前節終了時点で15位と下位に沈んでいるマリノスですが、札幌にとってマリノスは(数多い)苦手チームのひとつで、過去の対戦成績はカップ戦で1度だけ勝ったことがあるものの、リーグ戦では1分11敗という、すがすがしいまでのお得意様っぷりです。鹿島にだって勝ってるのにね。もう17年も前の話ですけど。1回だけですけど。

そんな感じで相性は最悪のチームですし、15位つっても勝点の差は6しかないですからね。というか1位と2位の勝点差より、4位と最下位の勝点差のほうが少ないってどういうことなんですかね。何なんだよ今年。

幸いなのは、その難敵を相手に札幌はベストといえる布陣で臨むことができたこと。ジェイはまだ戻ってきてませんが、都倉とジェイどちらがベストか、というのは難しいところでしょうね。もちろん点を取ることについてはジェイのほうが上ですけど、都倉の場合は守備面での貢献が大きいですからね。リーグ戦で都倉がスタメン出場した場合は5試合で1失点しかしていないのに対し、ジェイスタメン出場の場合は4試合で8失点です。

もっとも、ジェイが出ていたのは開幕当初でしたから、当時と今とではチーム全体の練度の差がありますし、清水戦とかセレッソ戦なんか、ジェイとか都倉とかまったく関係ないところで失点してるので、単純比較はできませんけど。

いずれにしても、終盤の一番苦しい時間に率先して守備に戻って、奪ったら全力で前線に走るとっくんの姿は毎試合のように見られますし、それでいてしっかりゴールも決めてるんですから、その貢献度を否定できる人はいないでしょう。

要するに戸松遥ヒロインとライバルの青い子、どちらを選ぶかという話ですね。青い子がショートカットならなお最高。

と、やたら長い前置きをした上での試合なんですが…ベストメンバーの札幌は開始からマリノスに押されまくる展開。浦和もそうでしたけど、1人1人の技術レベルが高いチームだとまだうまいことはめ込めない感じですね。

いつもならボールを奪われても、またダーッと行ってウワーッと取り返す百姓一揆な感じでオッケーだったりするんですけど、やっぱり連戦の疲れがたまっているのと、浦和やマリノスが相手だとそこで上手いこといなされてしまうので、どうしても後追いのディフェンスになってしまいます。最終的にはファウルで止めるシーンも多くなり、ピンチを広げてしまう有様。

札幌にしてみれば肝を冷やすシーンが何度もあり、ただ、マリノスも決定力を欠き失点は免れます。この辺がこの順位に甘んじてる理由なんでしょうかね。得点王ウーゴ・ヴィエイラがいるのに。

そんな感じで、失点は時間の問題的な雰囲気もあったのですけど、それでも前半終了間際の失点はもったいなかったですね。なんであそこで中澤に3人も行こうとしたんでしょうかね。ドムじゃないんだから。そりゃ金井もフリーになるってもんよ。

しかしここのところの札幌の強みは、先制されてもあんまりくじけないところ。柏戦でもすぐに追いついたように、この試合でも後半開始早々、左サイドで粘ったガースーからのパスを受けた福森が上げたクロスを、なぜかフリーだった都倉がボールをコントロールして得意の左足でシュート…と見せかけて、必死こいて止めに来たDFを切り返して交わすという冷静さを見せ、利き足ではない右足で放ったシュートがゴール右隅に決まります。

同点に追いつき勢いに乗る札幌は試合の主導権を奪い返しました。そして後半21分、三好が中央での突破を試みてボールを奪われたものの、マリノスのつなぎのパスが緩いと見るや、猛然とダッシュしたガースーがカット、フリーで上げたクロスはとっくんの頭上を超えて行き、逆サイドに流れてせっかくのチャンスが潰えたかと思ったその時でした。大外から飛んでくる赤黒い影が!

鳥だ!

飛行機だ!!

オレたちの進藤だ!!!

定番のネタをまた使える日が来るとは思いませんでした。

進藤は三好がドリブル突破した時点で当たり前のように上がってきていたのですが、奪われて戻りかけたところでガースーのカットを見て戻ってきたようです。全力疾走から点で合わせる難易度の高いヘディングシュートを叩き込んだ進藤に、やはり誰も祝福には行くことはありませんでした。

その、「ウィングバックやサイドバックのクロスを逆サイドのウィングバックやサイドバックが決める」のは大好物ですけど、右ストッパーならもっと好きでしょ? みたいに言われても困るんですけどね。まぁ好きですけど。

悪いなりにも逆転に成功した札幌は、残り時間マリノスの猛攻をしのぎきって勝利。特に終了間際の天野のフリーキックをセーブしたソンユンは素晴らしいの一言でした。普通止められないよあんなシュート…。

というわけで、殊勲の逆転ゴールを挙げてしまったためやむなくヒーローインタビューに呼ばれた進藤、なぜかその時だけ音響の調子が悪くなり、マイクにすらコメントを拒否される様が、マジ進藤さんでした。