2018年03月一覧

育てよう

昨日触れた「Jリーグ育成マッチデー」についてですが、いろいろな苦労と努力が見られますね。

クラブ側としても、次世代の選手育成なんてどうでもいいと思っているところはないでしょうけど、かといってリーグ戦で積極的に選手を試せるような余裕があるチームは少ないですから、主力のケガなどの理由でもなければなかなかしにくいですよね。我々だって、好みに合致するかどうかわからない同人誌を表紙買いするなんて行為、お財布に余裕がないとできませんから、それは仕方のないことです。

なので、リーグ戦に出られないメンバーのために、なるべく実力が近い相手と、なるべく本番に近い形での実戦経験を積ませるべきなのでしょうけど、そうは言っても現実的には難しいわけで。ルヴァンカップもあるけどJ2、J3は基本対象外だし、参加できるJ1チームだって、夏以降はほとんどのクラブには無関係な大会になりますしね。

しかしなるべく実力が近い相手となると、事実上Jクラブに限られてきてしまいます。電車で向かえば一時間の距離にいくつもJクラブがある関東や関西などの大都市圏ならまだしも、地方クラブだとそうもいかず、隣のクラブに出かけるにもそれなりの移動費が発生します。地続きならまだマシですけど、北海道の場合どこへ行くにも飛行機ですもんね。

それに、テストマッチだと試合会場がそのチームの練習場だったりして、お客さんも物好きしか来ませんから、どうしても緊張感に欠けてしまうというのも問題です。車の運転だって、教習所でいくら運転経験を積んでも、公道ではまったく勝手が違ってくるのと一緒です。あるいはどんなにギャルゲーで女の子とデートしたとしても…いやこれ以上はやめておきましょう。心の傷は治らないんだ。かといってちゃんとしたスタジアムを用意しようとすればお金もかかるし、お客さんを入れるなら対応するスタッフも必要になります。

結局のところ、「コストに見合わない」というところに集約されてしまうわけですね。もちろんスケジュールの問題もあります。

今回Jリーグ育成マッチデーのレギュレーションには、そのあたりをできるだけ考慮しようという意図が見えてきます。

まずは「育成奨励金」が出ること。金額が充分かどうかは別として、これまでは持ち出しするしかなかったのが、多少なりともリターンがあるのは大きいでしょう。今回は6チーム参加で6位にまで奨励金が出ますので、少なくとも参加賞はもらえます。

さらに重要なポイントとして、リーグ戦ながらもホーム&アウェイにこだわらなくてもいいし、試合数の縛りもないということ(※ただし、3試合未満は奨励金の対象外)。要するに、(相手の都合もありますが)自分のペースで試合を組めるということですね。

そしてその奨励金をなるべくたくさんもらうための順位の決定方法は、以下の通りとなっています。

ポイント付与基準 ポイント付与ルールとポイント数
試合数と試合結果 1試合/1ポイント、 勝ち/1ポイント(負け、引き分け/0ポイント)
23歳以下選手の出場時間 23歳以下選手の年間出場時間を合計し、出場時間の多い上位5クラブにポイント付与
1位/5ポイント、2位/4ポイント、3位/3ポイント、4位/2ポイント、5位/1ポイント
試合環境(スタジアム開催等) 公式戦に近い環境(スタジアム使用等)での試合開催に1試合/ホームクラブに3ポイント
アウェイ遠征(遠征距離基準) 原則片道300km以上の遠征をしたビジタークラブに1ポイント

試合数と試合結果の条件は、そのままですね。試合をやればやるほど、勝てば勝つほどポイントが貯まります。勝ちが1ポイントなので、1試合だけやって勝つより、負けても2試合やるほうがポイントが多くもらえるわけです。もちろん勝てばその分多くポイントゲット。

23歳以下の出場時間は、若手選手をなるべく多く、なるべく長く使うことで、最大5ポイントのプラス。5試合分、あるいは5勝分のポイントですが、これも出場時間の「合計」なので、試合をやればやるほど有利になります。

試合環境もけっこう大きいですね。公式戦に近い環境で試合をやれば、ホームチームに3ポイント。ポイント配分は大きいです。リーグのレギュレーションにも「トップチームの試合の前座/後座もしくはそれに類するスタジアムでの試合実施を推奨」とあるとおり、トップチームの試合と同じ日にやれば、運営と金銭的な負担もそれほど大きくはなりません。

で、最後はアウェイ遠征。コンサドーレと横浜FCはどこに行っても300km以上ありますので、アウェイならどこに行っても1ポイントがもらえます。逆に北海道にも来てもらうのも、多少のメリットが出るということですね。

全体的に割とよく考えられているなぁという印象ですね。ポイントの計算は面倒そうですが、基本は「なるべく本番に近い環境で、なるべく多く試合をやって、なるべく若手を多く使ったチームの優勝」ということでしょう。集めたポイントは最大400万円と交換できます、というのもDAZNマネーのたまものだとしたら、やっぱりお金があるってのはいいことだと思いますよね。