限りなく突破に近いゴルー

2019YBCルヴァンカッププレーオフステージ第1戦
ジュビロ磐田 1-2 北海道コンサドーレ札幌
得点者:磐/ロドリゲス(57’) 札/アンデルソンロペス(49’、85’)

苦しみながらもグループリーグを首位で通過した札幌は、ジュビロ磐田とのプレーオフ第1戦を戦います。ホームアンドアウェイで行われるこのプレーオフに勝利すれば、ACL組が入るプライムステージに進むことができます。ちなみにサッカーで「プライム」といえば、オールドファンにとってはナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から出てたスーパーファミコン用サッカーゲーム「プライムゴール」を思い出しますね。当時はまだコンサドーレはなかったのですが、どんなにハードウェアが進化しても現在まで面々と受け継がれるサッカーゲームの「足の速いやつが強い」という法則に従い、ベルマーレ平塚で奈良橋をFWにしておけば勝てるゲームでした。

さて、札幌の今季の目標はあくまでACLですから、リーグ戦の成績に影響しないカップ戦でレギュラー選手を消耗させるのは、特に怪我人の多い現在の状況からは得策ではありません。とはいえ、タイトルとしてはルヴァンカップか天皇杯のほうが、リーグ戦に比べて比較的狙いやすいのは確かすから、未だに3大タイトルとは縁がない札幌にとっても、取れるものなら取りたいというのが本音ではあると思います。

グループリーグでも3節以降は部分的に主力を投入してきたこともあって、この試合も必勝を期して半分くらいは主力を使ってくるかと思っていたのですが、主力クラスでは川崎戦で20分弱の出場だったアンデルソンロペスがスタメン入りしたくらいで、DF濱大耀、DF中村桐耶、MF藤村怜の3人を今季初スタメンで使ってきたことに加え、ベンチを含めると大学生と高校生2人ずつの計4名の学徒動員を敢行。しかもベンチ入りメンバーも規定より1人少ない6人という、突破する気があるのかないのかさっぱりわからない陣容。

だいぶ怪我人が戻ってきたとはいえ、駒井善成もあともう少し時間が必要、宮澤裕樹と中野嘉大も復帰はしばらく先、いつもならこういう時にこき使われそうな菅大輝もコパアメリカで留守中ですから、レギュラー陣をあまり消耗させたくないというのはわかるんですが、それにしてもだいぶ極端なメンバーですね。ガースーの代わりにこき使われることになったのは、フランスから帰国したばかりのMF岩崎悠人でした。

あとそれはいいのですけど、正統派イケメンだった濱くんがいつの間にかギニュー特戦隊のリクームみたいになってるのは、いったい何があったのでしょう。犯人は主にチャナティップらしいですが。

もっとも、プレーオフはホームアンドアウェイの2戦合計スコアで決まりますので、アウェイではそこまで無理して勝ちに行く必要はないですし、アウェイゴール2倍ルールもありますので、1ゴールでも挙げられれば、たとえ負けたとしてもホームでの挽回はかなり楽になります。ですので、まず札幌としては「負けないこと」がまず第一のタスクです。そして第二のタスク「あわよくば点を取ること」であり、投げ出さないことや信じ抜くことは特に大事ではありません。

そんなわけで試合。予想通りホームの磐田が優勢なペースで試合は進みますが、札幌も予想していたよりは悪くない感じ。経験不足ゆえのポジショニングや状況判断の甘さも見られるものの、少なくとも、ルヴァンカップの最初のほうの試合に比べれば全然良くなってきています。若い選手もそれなりにミシャサッカーを理解してきているのでしょうか。

札幌のチャンスらしいチャンスは、コーナーキックからの混戦から濱がヘディングで放ったシュートがクロスバーを直撃したシーンがあったくらいでしたが、前半も半分を過ぎたあたりから札幌も徐々に慣れてきて、チャンスを作れるようになります。28分には白井からのクロスをアンデルソンロペスが頭で合わせ、34分にも左サイドからアンデルソンロペスが強引にシュートを放つなど、しばらく試合から離れていたアンデルソンロペスのうずうずした感じが見て取れます。ブラジル人は基本、ボールを触ることで調子を上げていくんでしょうね。

そんな思いを強くしたのが後半開始早々の4分。藤村からのスルーパスに抜け出したアンデルソンロペスが、飛び出してきたキーパーを交わしたところで足を引っかけられ、PKをゲット。これを本人が冷静に決めて先制点をゲットします。

アウェイでの貴重なゴールをゲットした札幌ですが、さすがに若いメンバーが多いためか、運動量が落ちてきて、受け身になる時間が増えていきます。さすがに追いつかれるのも時間の問題かなと思いましたが、案の定12分にロドリゲスにニアをぶち抜く豪快なシュートを決められてしまいました。ここまでファインセーブを何度も披露してきた菅野にとっては悔しい失点でしたが、ここは濱のマークがちょっと甘かったですね。これも経験。

どうでもいいですけど、磐田のロドリゲス、風体がなんとなくダヴィに似てますよね。馬力型のプレイスタイルもなんとなく。ダヴィみたいにめんこくはないですけど。

アウェイゴールを奪った札幌にとっては引き分けでも問題ないので、追いつかれること自体はそこまで気にすることではないのですけど、ちょっと追いつかれる時間が早かったですね。残り30分以上というのは、運動量の落ちた若手主体のチームにとってはちょっと長すぎる時間。

そんなピッチ状況を察したのか、ミシャは後半16分に川崎戦は出場停止だったルーカスフェルナンデスを投入。若手選手にとっては、ボールを持って時間が作れるルーカスの投入は、卍丸先輩が帰ってきたかのような安心感を与えたことでしょう。髪型的にも。

続いて20分には進藤亮佑を投入。これでなんだかんだ言って、ケガで離脱中の駒井善成と、無理をさせられない深井一希と、第3GKの阿波加俊太と、あと馬を除く全員がルヴァンに出場したことになりますね。

その後、ようやくお役御免となりかけたところでネコタクくんが足をつってしまい、最後の交代枠を奪われてフル出場が確定、やつれきった岩崎を後目に試合は進み、菅野のビッグセーブのおかげもあって狙い通り引き分け濃厚で試合も終わろうとしていた40分のことです。ロングパスに抜け出したルーカスフェルナンデスが折り返したボールをアンデルソンロペスがうまく合わせ、再び札幌が突き放しました。

結局試合はそのまま終了。アウェイで2ゴールを奪う理想的な勝利を挙げた札幌は、これでプレーオフ突破に限りなく近づいたわけですが、こういう時にコロッと0-2くらいで負けて台無しにしてしまうなんてことも充分ありそうですので、しっかり兜とパンツのヒモを締め直してほしいものですね。