« 2005年11月 | メイン | 2006年1月 »

2005年12月 アーカイブ

2005年12月 3日

ラストワン

Jリーグディビジョン2・第444節
コンサドーレ札幌2-1ザスパ草津
得点者:札幌/清野、謙伍
     草津/ヒゲ

 今季限りでチームを去る人たちについての情報が錯綜する中行われた今季最終戦。前半開始早々にDFのミスから失点するも、清野が自身初の2桁得点となる今季10点目で追いつくと、後半ルーキー石井謙伍のプロ初ゴールで逆転勝ちを収めました。ヤンツーのコメントを見る限りでは技術的な面はまだまだなれど、最終戦をいい形で終わることが出来たというのは来年に繋がるでしょう。いや、繋げないといけないんだな。

 さて、今季でチームを去る人たちの中には、堀井岳也、三原廣樹、田畑昭宏というベテラン勢だけでなく、2年目の蛯沢、1年目の野田、権東、徐暁飛と若手選手たちも含まれています。その他にも2年目の上田、桑原が他チームへレンタル移籍をするという話も出ているらしく、例年以上に若手の退団が多いですね。一見育成クラブとしての道を外れているのではないかと思えるような措置ですが、ここからチームの育成方針を感じることが出来ます。

 それは「促成栽培」です。

 確かに若手育成には時間がかかるものです。退団する人たちも来年以降もしかしたら化ける可能性を秘めているかもしれません。しかし、そうはいってもその成長をじっくりと見守るような余裕がないのも事実。何年J2暮らしをしてもいいのであればそれでもいいかもしれいません。あるいはチームがJ1で安定した成績を残し、比較的余裕を持ったチーム編成が出来るのであればそれも可能でしょう。しかし今の札幌はそのどちらでもありません。無茶しない範囲でなるべく早くJ1に上がりたいというのがほとんどのサポーターの願いでしょう。保有人数や予算は限られているわけですから、そんな中でいかに選手を効率よく育成していくか。成長曲線が皆同じであるわけはないですが、上里、智樹、謙伍といった選手たちはルーキーの頃から試合に出場してしっかり結果を残しています。ですから、ルーキーだろうがなんだろうがプロの中でやっていけるようなものを示せなければチームに残ることは出来ないし、コンサドーレ札幌にとっての育成の対象は、そういう選手に限られるということなのだろうと思います。そしてより厳しい競争をさせる。ポジションの争いももちろんそうですが、スタメン・ベンチ入り争いを勝ち抜けないのであれば来年はありませんよということなのでしょう。ベテラン勢についてはちょっと事情が違うかもしれませんが、若手だからという理由「だけ」で特別扱いはしないよということなのでしょう。これはヤンツーの普段からのコメントからも伺えます。ジムを量産しただけじゃジオンには勝てない、そんな断固たる決意が見えるような気がします。

 まぁそれはともかくとして、選手の皆さん1年間お疲れさまでした。今年は例年になく楽しいシーズンでした。来年は今年以上の楽しいシーズンとなるようトレーニングしていってください。

2005年12月 8日

中山鈴木 原藤田西

 この時期ならば新人選手の1人や2人の加入がとっくに発表されていい頃ですが、例年になく動きの見えない札幌で、昨日ようやっと2名の新加入が正式発表されました。以前から噂されていたとおり、コンサドーレ札幌ユースU-18所属のMF藤田征也選手と、MF西大伍のトップチーム昇格です。
 藤田と西、一見ジュビロ磐田のようなこのコンビ、中学生の頃は藤田がSSS、西がコンサドーレ札幌ユースU-15とチームが違いましたが、小学生時代は共に札幌FCでプレイし、コンサドーレ札幌ユースU-18で再びチームメイトになりました。2005年の高円宮杯全日本ユース選手権U-18(以下、高円宮杯U-18)で準優勝の原動力となった2人が共にプロの道を歩むことになります。
 プレイスタイルについては高円宮杯をご覧になった方も多いと思いますので今更説明の必要はないかも知れませんが、藤田は右サイドの攻撃的MFで、速い振り抜きで強く正確にボールを蹴ることが出来る右足と、親御さんが「陸上選手として育てようかとも思った」というほどのスピードを持ちます。特にトップスピードのまま速くて低いクロスを上げる技術は絶品で、サイド攻撃に課題のあった札幌にとって大きな武器となることは間違いありません。中学生の頃から世代別の日本代表に名を連ね、早くからその存在が注目されていた逸材で、SSSからコンサドーレユースに入団した際にはJ1を含む7チームが自分のユースチームへの加入に動いたことが大きな話題となっています。キン肉マンでいえばエリート育ちのロビンマスクです。ユースマニアのゴール裏メイトから聞いた話では、かつては少々ムラっ気があり、いい時と悪い時の差が大きかったとのことですが、3年生になってキャプテンを任されてからは責任も芽生え、課題だった波の大きさも解消されたようです。
 西も攻撃的なMF。日本代表の経験はなく、藤田ほどの知名度はありませんが、ここでも何度か紹介したとおりU-15時代に高円宮杯全日本ユース選手権U-15で最初に準優勝した時の中心メンバーです。その高いテクニックに裏付けされたキープ力と常に一手先をイメージしたプレイには定評があります。これまたユースマニアの話によれば、高円宮杯U-18で見せた活躍が認められてのトップ昇格とのことなので、キン肉マンで言えばミキサー大帝を破ったミートくんといったところでしょうか。藤田が175cm63kg、西が175cm64kgと2人とも華奢な体格なので、フィジカル面においてプロにどう対応するかは未知数ですが、両名ともユースの頃からサテライトゲームに出場し得点も挙げており、特に藤田は先日の草津戦で5分間ながらもトップチームデビューを果たしています。城福強化部長の「今季は例年以上に獲得の際の選手のハードル(基準)を高くした(報知)」というコメントから、両者とも即戦力に近い活躍を期待されていると思います。
 ということで、野田と蛯沢は残念ながら退団となってしまいましたが、それでもトップチームのユース出身選手はMF鈴木智樹、FW石井謙伍を含めて4人となります。智樹はスタメンを張ることに誰も違和感を抱かないまでに成長し、草津戦ではその智樹からのパスで謙伍がプロ初ゴールを決めました。トップ下の西、右サイドの藤田とユース出身選手がバランス良く加わり、もしそう遠くない将来彼らが揃って試合に出るようになれば、その筋の人じゃなくても悶絶死すること請け合いでしょう。そうなると「あのどアホウがあんなどアホウなことやらなければなぁ」と思ったりしないでもないのですが、まだまだユースには有望な選手たちが目白押しですし、楽しみは増える一方ですね。まぁ両者とも守備面などまだ課題は少なくないですし、特に西には砂川や上里という大きな壁が立ちはだかっているだけにそうそう簡単に試合には出られないと思いますが、とりあえず自分に言えるのは「ケガには徹底的に気をつけろ」ということだけです。

2005年12月12日

行く人来る人2005

 最初から天皇杯なんて一切関係なかったコンサドーレ札幌は、12月9日の練習を以て2005年は全ての日程を終了しました。これからは例年と同様「行く人来る人」の季節となります。今のところユースから昇格の内定が発表された藤田征也と西大伍を除く「来る人」の発表は一切ありません。一応、モンテディオ山形のMF大塚真司や、以前コンサドーレの練習に参加していたアルビレックス新潟シンガポールのDF野本安啓の獲得に動いているらしいという噂は出ていますが、これも特に表面化している話でもなく、いわば都市伝説みたいなもの。今は静かに見守るしかない状況です。都市伝説といえば毎年この時期になると「吉原宏太が戻ってくる」という話が出てきますが、これも一つの都市伝説でしょうかね。で、「去る人」についてはこれもチームから正式発表があったわけではないのですが、報道などからの情報を総合すると、どうやら以下の通りのようです。

 契約満了:堀井岳也、三原廣樹、田畑昭宏、権東勇介、徐暁飛、野田達郎、蛯沢省吾、デルリス
 レンタル予定:桑原剛、上田常幸、吉瀬広志

 確か11人だったはずだけどどうしても10人しか思い出せない…と吉瀬を思い出すのに小一時間を要したわけなんですが、ざっとこれだけの選手が来季の構想外となった模様。レンタル予定となっている3選手も今のところ移籍先のチームははっきりしていません。チームが強くなるためには犠牲が必要であると頭ではわかっていても、やはり寂しいものはあります。この中で野田だけは大学進学を希望しているそうですが、その他の選手はいずれの選手も現役続行を希望しているとのこと。特にタバタンは娘さんが生まれたばかりで、「通知をもらった時は自暴自棄になったが、11月29日に生まれた長女・日菜ちゃんの顔を見て『僕がサッカーをしているのを子供に見せられたら…』と思い直した(スポォツ報知)」とのこと。オレも1日違い(11月30日)で娘が誕生し、草津戦で謙伍の決勝点が決まったあとのゆりかごダンスは勝手に自分の娘に向けられたものとして見ていただけに、その気持ちはよくわかります。つってもまぁ、オレなんて自分の文章はオノレの子供には見せらないですけど。ともあれ、娘さんが大きくなるまで現役を続けていられることを祈っています。
 
 あとはそうですね。デルリス、徐暁飛と2人の外国籍選手が退団したということは、外国籍枠が3つ空くということですから、助っ人選手の補強も注目です。ただし、以前からヤンツーは「これまでのサッカーが変わるような特徴を持つ選手ならいらない」とコメントしていていますので、あらゆる場所からレーザー砲を発射できるなんでもありガンダムみたいな選手は考えていないようです。もっとも、そんなフリーダムな選手を獲得できる財力はそもそも札幌にはないのですが、J1から3チームが降格してくる来季に現実的な目標としてJ1昇格を目指す以上、ある程度の力を持った選手を引っ張ってくる必要があります。いろいろな情報をまとめると、どうやらストライカーを獲得するのは確実らしく、「個人の打開力を持ち、前線でしっかりとボールが収まる選手」を狙っているようです。また、チーム事情を鑑みれば未知数の選手を獲得するリスクは避けたいでしょうから、おそらくはJリーグ経験のある選手を中心にリストアップしていると思われます。現在のところ噂レベルですら未だ具体名は挙がっておらず、どんな選手が来るかはまったくわからないのですが、「素直でマジメで頑張りやさんでキープ力と得点力を持つJ経験ありのストライカー」というSQL文をオレデータベースに投げてみたところ、1件のデータが見つかりました。

 アンドラジーニャ。

2005年12月15日

遺伝子移植

 12月も半ばとなり、そろそろ各チームとも本格的に動き出す頃合いです。今のところまだ大きな動きはないようですが、コンサドーレ札幌は既に2選手の移籍加入が発表されました。ジェフユナイテッド市原千葉のMF芳賀博信選手と、シンガポールSリーグ・アルビレックス新潟シンガポールのDF野本安啓選手です。芳賀、野本とも完全移籍での加入となります。

 芳賀は宮城県仙台市出身。年齢と名前から考えると親御さんは野球選手にしたかった(思い違いしてた…落合は博満だった)ファイナルファンタジーファンなのかもしれませんが、サッカーの道に進んだ芳賀は仙台育英高校時代はU-16日本代表候補にも選ばれた逸材で、プロ入りも確実と言われながらもいろいろあって断念。その後仙台大学を経てジェフのアマチュアチームに所属し、天皇杯出場に貢献した後、昨年9月に晴れてトップチームへ昇格したという苦労人です。トップチームでは1年半で1試合の出場に留まっておりますが、千葉の場合は何しろミッドフィールドの選手層が厚すぎるために出場機会がなかなか回ってこなかったためで、千葉のサポーターもこの芳賀の移籍を惜しむ声が多かったようです。惜しむで思い出しましたが、その千葉のオシム監督は、J1チームからもオファーのあった芳賀に対して「札幌に行くのが一番成長出来る」とコンサドーレへの移籍を勧めたという話も伝わっています。その真偽のほどさだかではありませんけど、札幌への移籍を決めた理由が「『北へ。』のファンだったから」という話は今のところありません。
 そして野本は新潟県新潟市出身。前所属のアルビレックス新潟シンガポールではレギュラーとしてリーグ・カップ計30試合に出場し1得点を挙げています。実際にプレイを見たことがなくどんな選手かはわかりませんのでこれ以上のことは夏季用もないのですが、彼が試合に出てアシストを決めたりなんかすれば「マーライオンパス」とかいうベタな名前が付きそうです。

 さて、野本もまたアルビレックス新潟シンガポールの前は2002年のプロ入りから2004年までの3シーズンをジェフユナイテッド市原千葉で過ごしています。つまり、この人もまた「オシムチルドレン」の1人。芳賀同様市原(当時)時代はトップチームでの試合出場はなく、どちらかといえば地味な補強です。しかし、ヤンツーは来期の抱負を語るにあたって「95分走れる選手を使う」と明言しており、それは逆に言えば走れない選手は使わないということ。そういう意味では、なるほど千葉をJリーグでナンバーワンの運動量を持つチームに鍛え上げたオシム監督の下で指導を受けた選手であればその素地は間違いなくあるはずですから、地味ではあってもコンセプトが明確な補強であるといえるでしょう。2人ともまだ若いので、しっかり修行を積んで伸びていってもらいたいと思います。

2005年12月20日

移籍納期

 さてさて、先日生まれた娘の世話でてんやわんやの状態で、あまり更新出来なかったわけですが、その娘がカミさんと共に先週実家に帰って現在ひとり暮らし中です。カミさんが戻ってくるのは年明けの予定。このまま知らない間に一生ひとり暮らしの刑におしおかれたらどうしようと思わないでもないですが、それなりに時間は出来たので更新でもしようかと思ったら…どういうわけかネタがありません。例年であればそろそろ移籍市場が活発になってきてもおかしくない頃。それなのに、既にここでも取り上げた芳賀と野本の獲得発表以外は、磐田から期限付き移籍中のDF加賀健一とGK 原寿康のレンタル期間が延長されたという発表があったのみ。その他の移籍選手の獲得発表は全くありません。一応、以前から話の出ていたモンテディオ山形のMF大塚と、川崎フロンターレのFWフッキ、そして水戸ホーリーホックのMF関隆倫、セレッソ大阪のDF千葉貴仁、ガンバ大阪のMF児玉新の獲得に動いているという報道はありましたが、この5人を含めたとしても退団・移籍選手の数を考えれば少なすぎますし、そもそも来季は保有選手数を増やすという話も出ていますから、これで終わりということは考えにくいです。ちなみにオフシーズンの移籍市場は野球用語では「ストーブリーグ」と言います。どうやらレギュラーシーズンのリーグより熱いからストーブリーグなんだということをウソかホントか聞いたことがありますが、こと今オフのコンサドーレに関してはちっともストーブじゃありません。この時期のネタといえば移籍関連のニュースくらいしかないのに、今年は妙に情報が漏れてこず生殺し状態です。その代わり全道の家庭でストーブが大活躍中です。何の関係もありませんが。

 そういえば、以前城福強化部長が「J1の控えよりもJ2のレギュラーを獲得する」というようなコメントを残していました。なるほど、コンサドーレに限らずともJ2のチームはどこもJ1のチームの控え選手を補強するパターンが多いです。まぁJ2からJ1なら別としてもその逆なんてあり得ませんから、必然的そういう流れになるのは当たり前なのですが、ことコンサドーレのような若いチームの場合、今年がそうだったように試合経験が圧倒的に不足しているわけですから、他チーム以上にそういった経験を持つ選手が必要ということでしょう。単に弱点の補強に留まらず、プラスαを求めているのであれば、大塚や関を狙っているのも納得が出来ますし、またJ2ではないものの前所属チームでフルシーズンをレギュラーとして戦った野本の獲得に繋がっているんだろうと思います。
 なので、この先もそういう選手を狙っているんだと思いますが、問題はホントにそれがうまく行くのかということですね。「J2チームのレギュラークラスを引き抜く」というのは、早い話が去年の京都と同じやりかたですから、その京都が成功した以上方策としてはうまくいく確率は高いです。ただしそれはもちろん引っこ抜きが成功した時の話。資金力がある京都と同じやり方を最北端の貧乏チームが出来るのかというと、いくら楽観的なオレでもさすがにそれは無茶なんじゃないかと思うわけです。大根引っこ抜くのとはわけが違う。
 まぁ、世の中には悪魔超人のリーダーがいきなり正義超人になったり、地球を支配しようとした大魔王の子供が地球を守るために戦ったり、売れないアイドルがティーンのカリスマ歌姫になったりするこのご時世ですから、何があっても不思議じゃないということで吉報を期待したいと思います。

2005年12月22日

結果発表

 前回「発表まだ~」という内容を書いたせいではないと思いますが、昨日から一気に移籍関連の正式発表が相次いでいます。まず来る人については、報道にあったとおり水戸ホーリーホックのMF関隆倫選手の完全移籍による加入が発表され、ついで今季浦和からレンタル移籍していたMF西谷正也選手の完全移籍が発表されました。西谷についてはもう皆さん既にご存じと思いますので紹介は省くとして、関について紹介します。
 関は1981年1月16日生まれ、千葉県の出身で、習志野高校から東洋大学に進学し2003年に大宮アルディージャに入団したものの、試合出場はないまま1年で退団となり、2004年に水戸に移籍しました。今季終了までの2シーズンでリーグ・天皇杯通算82試合に出場、2得点を挙げている主力中の主力でした。水戸では右の攻撃的MFを務めており、札幌ではおそらく右のウィングバックでプレイすることになると思います。スキンヘッドという以外に派手さはないものの、堅実なプレイが売りで、フルタイム手を抜かないあたりもヤンツー好みの選手だと言えるでしょう。プレイスタイルからはつい「田渕の再来」を期待してしまうのですが、水戸で培った経験を生かして頑張って欲しいと思います(太陽拳とか)。

 次に「旅立つ人」たちについてです。今季限りでの退団選手のうち、他チームへのレンタル移籍が予定されているという報道があった桑原剛、上田常幸、吉瀬広志の3人についてその去就が決定しました。桑原は水戸へ、上田と吉瀬はアルビレックス新潟シンガポールへそれぞれ期限付き移籍となります。上田のレンタル先については、当初は来季からJ2に参入する愛媛FCなどが有力とされてきましたが、ふたを開けてみれば意外や意外の新潟シンガポール移籍。ホンコンなのにシンガポールとはどういう事よと思わないでもありませんが、ホテルで呪いのデーボに襲われたりしないように気をつけていただきたいと思います。
 ところで、アルビレックス新潟シンガポールといえば来季から札幌に加入する野本安啓の前所属チームで、桑原が移籍する水戸ホーリーホックは先ほど紹介した関隆倫の前所属チーム。移籍なんてこんなモンとはいえクリスマスのプレゼント交換の様相を呈してきましたので、こんな図を作ってみました。

triangle.gif

 何だか水戸だけが一方的に損をしているような感じですね。まぁ札幌もこれまでの歴史上、似たような憂き目に遭ったりもしてるわけで、サッカー界は改めて弱肉強食の世界なんだなぁと思いました。タフすぎて損はない。

2005年12月26日

山形の川崎

 派手に地味な補強を繰り返しているコンサドーレ札幌に、本日また新しい仲間が加わりました。モンテディオ山形のMF、川崎健太郎選手です。一見すると元ヤクルトのエースみたいな名前なこの選手は、1982年12月18日生まれ、23歳になったばかり。大阪府出身で、セレッソ大阪のユースからトップチームに昇格し、その後佐川急便大阪SCを経て2003年に山形に加入しました。山形では2004年までに計38試合に出場したものの、昨季はわずか3試合の出場に留まり今オフに構想外となりました。先日長居陸上競技場で行われたJリーグの合同トライアウトを視察したヤンツーが「収穫はあったよ」と語っていましたが、このトライアウトにはこの川崎も参加していましたので、その収穫というのが川崎なんでしょう。
 プレイエリアは左サイド。オレもあまり見たことはないのですが、守備も攻撃もそつなくこなすといったタイプの印象です。ただ、それ以上に大きいのが左サイドのスペシャリストであるということ。札幌には左利きの選手はそれなりに多かれど、左のウィングバックが得意な選手というのはほとんどいませんでした。まぁこれはあまりどこのチームも変わらないみたいですけど、札幌もここ数年は左ウィングバックの本職としている選手は和波くらいしかおらず、従って和波がいくらチョンボをしたりコンディションを落としていても、その代わりとなる選手がいない状態が続いていました。それだけに、左のスペシャリストは喉から手が3本くらい出るほど欲しい人材です。それだけでも札幌にとって川崎はうってつけの人材でしたし、加えて柱谷幸一監督、鈴木淳監督というヤンツーのスタイルとよく似たサッカーを志向する監督の下で3シーズンプレイしていますから、ヤンツーサッカーへの適応も問題ないでしょう。

 ということは、A地点(山形)からB地点(大阪)まで行く間に移籍が決まっていたんです。そうなんですよ川崎さん。え? ホントですか柳下さん。 

2005年12月28日

大塚やってきた

 噂になっていたモンテディオ山形のMF大塚真司選手の獲得が発表されました。「J1の控えでなくJ2のレギュラークラスを狙う」という札幌の今オフの補強の「目玉」でもあったのがこの大塚の獲得でしたから、サポーターもここ最近は製薬とか商会とか愛とか家具とか寧々とか美容整形とか各「大塚」にすら反応しまくりというような感じだったわけですが、何しろこの大塚はJ2屈指のボランチといわれる選手だけあって、他のチームも放っておくはずもなく、札幌の他にもJ1を戦う京都パープルサンガやベガルタ仙台からもオファーがあるといわれておりました。他チームとの競合になった場合、札幌のようなローカル貧乏チームはどうしても不利です。実際オファーが競合した選手にフラれたり、ほぼ札幌に決まりかけていた選手が最後の最後で他のチームに行ってしまったという話は枚挙にいとまがありませんから、今回の大塚も半分あきらめていた方が多いと思われます(オレもそうでした)。ところが、「お金がなければ知恵を出せばいいじゃない」とばかりに、札幌はどうやら大塚に対して複数年契約の提示。まんまとひっかかっ…いや最大限の評価に意気を感じた大塚が、最終的に札幌入りを決めた格好です。

 というわけで、まだストライカーの補強がどうなってるのは不明ですが、この大塚の獲得によってまずは今オフの補強策は一通り順調であると言っていいでしょうか。京都のように2チーム分編成出来るような財力を持たない札幌にとって、来季48試合を戦い抜くために「複数ポジションをこなせる選手」に狙いを定めてきたこれまでの補強は、今のところ一定の評価が出来るものではありました。しかし、全体的に若いチームである札幌にとって、その上でもどうしても足りなかったパーツ、それが「経験豊富なベテランボランチ」でした。
 とはいえ、選手としても大塚はタイトなマークが売りで、加えて自分も動きながら周りも動かせますから、智樹や金子や上里、また移籍してきた芳賀も含めてどちらかといえば攻撃に特化したボランチの多い札幌にとっては、うってつけの選手であることは間違いないのですけど、ディフェンシブなボランチというだけであればタバタンでもよかったはずです。それがなぜタバタンではなく大塚なのか。プレイヤーとしての能力は別としても、大塚にあってタバタンになかったもの。それは単純な試合経験だけでなく、「昇格争いの経験」なんじゃないかと思うのです。
 「昇格」が少しずつ見えてきた今季の第3クール以降、重要な試合を落としたり勝ちきれない試合が続いたのも、「これから」というところで主力にケガが相次いだ面もあるとはいえ、ひとえに経験不足という側面があったことは無視出来ません。「昇格」を現実目標とし、また世間からも昇格候補のひとつとして数えられるであろう来季は、今季の第3クール以降に受けたプレッシャーを開幕から受けるわけです。とはいえ、札幌のレギュラークラスの選手はコンサドーレがキャリアのスタートだったり、あるいはJ1チームの控えだった選手ばかりですから、経験なんてものはそう簡単に得られるものではありません。であれば、外部から持ってくるしかないわけです。「持ってないなら輸入しろ」というまさに日本型貿易政策。そういった意味で、1999年に川崎フロンターレで昇格経験を持ち、以後大宮アルディージャや山形といった昇格争いをしてきたチームでレギュラークラスとして活躍してきた大塚は、まさにうってつけであると言えるでしょう。昇格争いとは何か、昇格するチームに求められるものは何かを知っている上に、プレイ面でも頼れるベテラン、それが大塚なのだと思います。ガンダムで言えばランバ・ラル大尉でしょうか。願わくば孤立無援でゲリラ戦を挑まなければいけないような状況にはならないようお願いしたいものです。

2016年2月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

アーカイブ